JP3250349B2 - 第4アンモニウム化合物の製造方法 - Google Patents

第4アンモニウム化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は相関移動触媒またはトナ
ー用素材の原料等として有用な第4アンモニウム化合物
の効率のよい製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】第4アンモニウム化合物の製造方法とし
ては、3級アミンとハロゲン系有機化合物を 無溶媒で反応させる方法、 水中で反応させる方法、 アセトニトリル中で反応させる方法 が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記および
の方法では反応性が低いため高温で長時間反応させる
必要があり、また上記の方法では使用するアセトニト
リルの安全性が問題となっている。更に上記〜の方
法は不純物を減圧留去させる必要があるといった問題点
も有している。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は収率
がよくしかも上記のような問題点のない第4アンモニウ
ム化合物の製造方法について検討を加えた結果、ある特
定の化合物の存在下において反応を進行させることによ
り、これら諸問題が解決されることを見出だし本発明に
到達した。すなわち本発明の第1の要旨は、下記一般式
(I)
【0005】
【化9】
【0006】{一般式(I)中、R1 、R2 およびR3
はそれぞれ置換基を有していてもよいアルキル基または
置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。}およ
び下記一般式(II)
【0007】
【化10】
【0008】{一般式(II)中、Xはハロゲン基、
【0009】
【化11】
【0010】は置換基を有していてもよいフェニル基を
表す。}で表わされる化合物を下記一般式(III )
【0011】
【化12】 R4 −OH …(III )
【0012】{一般式(III )中、R4 は置換基を有し
ていてもよいアルキル基を表す。}で表わされる化合物
の存在下において反応させ、下記一般式(IV)
【0013】
【化13】
【0014】{一般式(IV)中、R1 、R2 およびR3
はそれぞれ上記一般式(I)におけると同義であり、
【0015】
【化14】
【0016】は上記一般式(II)におけると同義であ
り、X- はハロゲンアニオンを表す。}で表わされる第
4アンモニウム化合物を製造する方法に存し、第2の要
旨は該反応が実質的に終了した後、水および芳香族系ま
たはハロゲン系有機溶媒を加え、次いで有機溶媒層を除
去することにより上記一般式(IV)で表わされる第4ア
ンモニウム化合物を製造する方法に存し、第3の要旨は
第1または2の要旨に記した方法で得られた上記一般式
(IV)で表わされる第4アンモニウム化合物と有機酸ま
たは有機酸金属塩を液相中で接触させ、下記一般式
(V)
【0017】
【化15】
【0018】{一般式(V)中、R1 、R2 およびR3
はそれぞれ上記一般式(I)におけると同義であり、
【0019】
【化16】
【0020】は上記一般式(II)におけると同義であ
り、Y- は有機酸アニオンを表す。}で表わされる第4
アンモニウム化合物を製造する方法に存する。以下、本
発明を詳細に説明する。置換基R1 、R2 およびR3
具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、
iso−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ドコ
シル基、またはテトラコシル基等のアルキル基;水酸基
置換アルキル基、ハロゲン基置換アルキル基、またはア
ルコキシル基置換アルキル基等の置換アルキル基;ベン
ジル基等のアラルキル基;またはアルキル基置換アラル
キル基、ニトロ基置換アラルキル基、またはハロゲン基
置換アラルキル基等の置換アラルキル基が挙げられ、中
でもアルキル基またはアラルキル基、特に炭素数が1〜
5のアルキル基またはベンジル基が好ましい。置換基を
有していてもよいフェニル基
【0021】
【化17】
【0022】が有していてもよい置換基の具体例として
はメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロ
ピル基、ブチル基またはペンチル基等のアルキル基;ま
たはフッ素基、または塩素基等のハロゲン基等が挙げら
れ、中でも炭素数が1〜5のアルキル基、または塩素
基、特にメチル基、エチル基または塩素基が好ましい。
【0023】ハロゲン基Xの具体例としてはフッ素基、
塩素基、または臭素基等が挙げられ、中でも塩素基が好
ましい。置換基R4 の具体例としてはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、
またはペンチル基等のアルキル基;またはハロゲン基置
換アルキル基、またはアルコキシル基置換アルキル基等
の置換アルキル基が挙げられ、中でもアルキル基、特に
炭素数が1〜5のアルキル基が好ましい。
【0024】芳香族系またはハロゲン系有機溶媒として
は水との溶解性が小さく、上記一般式(IV)で表わされ
る第4アンモニウム化合物を溶解させず、適当な沸点を
有しているものであればよいが、具体例としては、トル
エン、エチルベンゼン、またはキシレン等の芳香族系有
機溶媒;またはハロホルム、トリハロエタン、トリハロ
エチレン、またはハロベンゼン等のハロゲン系有機溶媒
が挙げられ、中でもトルエン、クロロホルム、1,1,
1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、またはク
ロロベンゼン、特にトルエンまたはクロロベンゼンが好
ましい。
【0025】上記一般式(III )で表わされる化合物の
使用量は、上記一般式(I)で表わされる化合物1モル
に対して0.1〜100モルであり、中でも2〜20モ
ルが好ましい。上記一般式(III )で表わされる化合物
の使用量が少ない場合には反応が有効に進行せず、また
多い場合には上記一般式(IV)で表わされる第4アンモ
ニウム化合物の反応系からの回収が困難となる傾向にあ
る。
【0026】上記一般式(II)で表わされる化合物の使
用量は上記一般式(I)で表わされる化合物1モルに対
して0.8〜10モルであり、中でも0.9〜2モルが
好ましい。上記一般式(I)、(II)および(III )で
表わされる化合物の混合方法としては 予め上記一般式(I)で表わされる化合物と上記一
般式(III )で表わされる化合物を混合させてから、上
記一般式(II)で表わされる化合物を作用させる、 予め上記一般式(II)で表わされる化合物と上記一
般式(III )で表わされる化合物を混合させてから、上
記一般式(I)で表わされる化合物を作用させる、 等が挙げられる。この様な上記一般式(III )で表わさ
れる化合物の共存により、上記一般式(I)で表わされ
る化合物と上記一般式(II)で表わされる化合物の反応
性は著しく向上する。又上記一般式(III )で表わされ
る化合物の他に、アセトニトリル等の極性を有する化合
物の存在下において反応させることも可能である。
【0027】更に反応性を向上させるために、反応系を
加温してもよい。加温を開始する時期は特に限定はされ
ないが、上記一般式(I)、(II)および(III )で表
わされる化合物の内、少なくとも2つの化合物を混合さ
せた後が好ましい。反応温度は100℃以下が好まし
く、特に80℃以下がより好ましい。反応時間は反応温
度と関連するので特に限定はされないが、0.5〜20
時間が好ましく、特に1〜10時間がより好ましい。
【0028】該反応により上記一般式(IV)で表わされ
る第4アンモニウム化合物が得られた後使用する水およ
び芳香族系またはハロゲン系有機溶媒の使用量は、上記
一般式(I)で表わされる化合物1モルに対して水は1
0〜500モル、有機溶媒は0.1〜10モルが好まし
く、特にそれぞれ50〜200モル、0.5〜5モルが
より好ましい。上記一般式(IV)で表わされる第4アン
モニウム化合物は水層に含まれ、上記一般式(I)およ
び(II)で表わされる未反応の化合物、および上記一般
式(II)で表わされる化合物の加水分解物等の不純物は
有機溶媒層に含まれる。そこで有機溶媒層を除去するこ
とにより、上記一般式(IV)で表わされる第4アンモニ
ウム化合物の水溶液を得ることができる。
【0029】得られた上記一般式(IV)で表わされる第
4アンモニウム化合物は、有機酸または有機酸金属塩と
液相中で接触させることにより、上記一般式(V)で表
わされる第4アンモニウム化合物とすることができる。
接触方法は、例えば以下の方法が挙げられる。 1)上記一般式(IV)で表わされる第4アンモニウム化
合物の溶液に、有機酸又は有機金属塩の水溶液を添加す
る。 2)有機酸又は有機酸金属塩の水溶液に、上記一般式
(IV)で表わされる第4アンモニウム化合物の溶液を添
加する。
【0030】また、析出時に上記一般式(III) で表わさ
れる化合物が水溶液中に存在することにより、不純物の
析出を防止する効果がある。上記接触時に上記一般式(I
II)で表わされる化合物を添加する事もできる。溶液の
液性は、酸性、アルカリ性、中性のいずれでもさしつか
えないが、より好ましくは、中性(pH6〜8)であ
り、弱酸、弱塩基等で液性を調整する事ができる。反応
温度は70℃以下が好ましく、特に60℃以下が好まし
い。反応時間は、反応温度と関連するので特に限定され
ないが、0.5〜20時間が好ましく、特に1〜10時
間が好ましい。使用される有機酸または有機酸金属塩の
具体例としては、1,5−ナフタレンジスルホン酸、
1,5−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、1−ナフ
トール−4−スルホン酸、1−ナフトール−4−スルホ
ン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例
により制限されるものではない。
【0032】(実施例−1)2リットルの丸底フラスコ
にトリ−n−ブチルアミン33.3gとメチルアルコー
ル20mlを秤り取り、室温(15〜25℃)で撹拌し
つつ、更にp−メチルベンジルクロライド27.8gを
5分間にわたって滴下した。その後、この溶液を60℃
に加温しつつ5時間撹拌した。なお、溶液は加温開始後
約1時間で粘稠となった。
【0033】加温を止め、水210mlおよびトルエン
8gを加え、40℃で30分間撹拌した。その後、トル
エン層を除去し、トリ−n−ブチル−p−メチルベンジ
ルアンモニウムクロライドの水溶液を得た。なお、高速
液体クロマトグラフィーによりトルエン層中の成分を分
析した結果、主成分としてp−メチルベンジルアルコー
ルを約65ppm含有していた。
【0034】次に、得られたトリ−n−ブチル−p−メ
チルベンジルアンモニウムクロライドの水溶液中に1,
5−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム35gを添加し
た。添加と同時に白色の結晶が析出した。1時間、反応
を継続させた後、反応物を濾別した。これを水200m
lで2回洗浄し、70℃で減圧乾燥して白色の粉末状物
質60.2gを得た。この収量より、4級化反応のモル
収率を計算すると、77.2%であった。更にこの白色
の粉末状物質の元素分析はC69.28%、H9.02
%、N3.25%、S7.40%であり、炭素を50と
したときの組成比はC5078.12.072.0 となった。
この結果より得られた白色の粉末状物質はトリ−n−ブ
チル−p−メチルベンジルアニモニウムの1,5−ナフ
タレンジスルホン酸塩であることが確認できた。
【0035】(実施例−2)メチルアルコールをiso
−プロピルアルコールに、反応温度60℃を85℃に変
えた以外は実施例−1と同様の実験を行った結果、白色
の粉末状物質が58.2g得られた。
【0036】(実施例−3)p−メチルベンジルクロラ
イド27.8gをp−クロロベンジルクロライド31.
9gに、トルエン8gをクロロベンゼン20gに変えた
以外は実施例−1と同様の実験を行った結果、白色の粉
末状物質が65.6g得られた。
【0037】(実施例−4)トリ−n−ブチルアミン3
3.3gをトリオクチルアミン63.5gに変えた以外
は実施例−1と同様の実験を行った結果、白色の粉末状
物質が84.2g得られた。
【0038】(実施例−5)トルエンを使用しない以外
は実施例−1と同様の実験を行った結果、白色の粉末状
物質が60.7g得られた。ただし、この白色の粉末状
物質にはp−メチルベンジルアルコールが1000pp
m混入していた。
【0039】(実施例−6)3リットルの丸底フラスコ
にトリ−n−ブチルアミン176.5gとメチルアルコ
ール200mlを秤り取り、撹拌しつつ65℃に加温し
た。この中にp−メチルベンジルクロライド134.1
gを1時間にわたって添加した。その後、この溶液を6
5℃に加温しつつ10時間撹拌した。加温を止め、30
℃に冷却した後、水1113ml、およびトルエン8
4.4gを加え、30℃で30分間撹拌した。その後ト
ルエン層を除去し、トリn−ブチル−p−メチルベンジ
ルアンモニウムクロライドの水溶液を得た。この水溶液
の中に0.3gのNaHCO3 を加えpH=6.8に調
整した。
【0040】1,5−ナフタレンジスルホン酸ナトリウ
ム186.5gに水1113mlを加え、50℃に加温
した。この水溶液の中に3.5gのNaHCO3 を加
え、pH=7.0に調整した。この水溶液を50℃に保
ち、この中に上記第4アンモニウムクロライド水溶液を
2時間にわたって添加した。添加と共に白色結晶が析出
した。1時間反応を継続させた後、反応物をろ別した。
これを水1000mlで4回洗浄し、90℃で減圧乾燥
して白色の粉末状物質315gを得た。
【0041】(比較例−1)メチルアルコールを使用し
ない以外は実施例−1と同様の実験を行った結果、白色
の粉末状物質は27.3gしか得られなかった。なお、
この白色の粉末状物質の元素分析を行った結果、実施例
−1と同様の化合物であることが確認できた。
【0042】(比較例−2)メチルアルコールを水に変
えた以外は実施例−1と同様の実験を行った結果、白色
の粉末状物質は32.5gしか得られなかった。なお、
この白色の粉末状物質の元素分析を行った結果、実施例
−1と同様の化合物であることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】以上の如く、本発明を用いることによ
り、相関移動触媒、あるいはトナー用素材の原料等とし
て有用な第4アンモニウム化合物を、従来法に比べ温和
な条件下で短時間に効率よく安全に、しかも多種にわた
って製造可能であり、その実用的価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 昌子 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平4−5263(JP,A) 特開 昭60−178846(JP,A) 特開 昭58−138797(JP,A) 特開 昭50−77308(JP,A) 特開 昭63−280045(JP,A) 特開 平1−197462(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 211/63 C07C 209/12 C07C 209/68

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 {一般式(I)中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ置
    換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有
    していてもよいアラルキル基を表す。}で表わされる化
    合物と下記一般式(II) 【化2】 {一般式(II)中、Xはハロゲン基、 【化3】 は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。}で表
    わされる化合物を下記一般式(III ) 【化4】 R4 −OH …(III ) {一般式(III )中、R4 は置換基を有していてもよい
    アルキル基を表す。}で表わされる化合物の存在下にお
    いて反応させ、該反応が実質的に終了した後、水および
    芳香族系またはハロゲン系有機溶媒を加え、次いで有機
    溶媒層を除去することを特徴とする、 下記一般式(IV) 【化5】 {一般式(IV)中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ上
    記一般式(I)におけると同義であり、 【化6】 は上記一般式(II)におけると同義であり、X- はハロ
    ゲンアニオンを表す。}で表わされる第4アンモニウム
    化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法で得られた上記一
    般式(IV)で表わされる第4アンモニウム化合物と、有
    機酸または有機酸金属塩を液相中で接触させることを特
    徴とする下記一般式(V) 【化7】 {一般式(V)中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ上
    記一般式(I)におけると同義であり、 【化8】 は上記一般式(II)におけると同義であり、Y- は有機
    酸アニオンを表す。}で表わされる第4アンモニウム化
    合物の製造方法。
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