JP3250310B2 - アルミ電解コンデンサ用陽極箔の化成方法 - Google Patents

アルミ電解コンデンサ用陽極箔の化成方法

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JP3250310B2 JP06783093A JP6783093A JP3250310B2 JP 3250310 B2 JP3250310 B2 JP 3250310B2 JP 06783093 A JP06783093 A JP 06783093A JP 6783093 A JP6783093 A JP 6783093A JP 3250310 B2 JP3250310 B2 JP 3250310B2
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一夫 岡村
哲夫 園田
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種電子機器に利用され
るアルミ電解コンデンサ用陽極箔の化成方法に関するも
ので、さらに詳しく言えば、アルミ電解コンデンサの製
品劣化特性(漏れ電流特性)の改善が図れ、かつ静電容
量の高い陽極箔が得られるようにした化成方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般にアルミ電解コンデンサは、電解エ
ッチング処理を行って、実効表面積を拡大させた電極箔
の表面に化成処理により誘電体酸化皮膜を形成し、そし
てこの陽極となる電極箔と陰極箔をセパレータとともに
巻回してコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子
に駆動用電解液を含浸させた後、コンデンサ素子をケー
ス内に封止することにより構成されている。
【0003】スイッチング電源等の電源平滑回路に使用
されているアルミ電解コンデンサは、高いリップル電流
が流れるため、コンデンサ素子内部での発熱は大きくな
る。また電子機器に利用される電子部品群は、電子機器
の小型化に伴って高密度実装が行われるため、放熱効率
は悪く、その結果、アルミ電解コンデンサの内部は常に
高温になってしまうため、電極箔は徐々に劣化していく
ものである。
【0004】一般にアルミ電解コンデンサ用陽極箔の化
成においては、劣化特性の改善、静電容量の増加を図る
ために化成工程中に減極処理を行っているが、従来の化
成工程中の減極処理における熱処理炉としては、ガス
炉、電気ヒータ炉を使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
従来の減極処理用熱処理炉では、熱処理炉内の雰囲気温
度を所定温度まで上昇させて陽極化成箔表面に減極処理
を施すようにしているもので、温度の設定を雰囲気温度
で行っているため、陽極化成箔表面に均一に熱処理の温
度効果を与えることは難しく、また温度の設定も各化成
箔種ごとにきめ細かく設定することは不可能であり、し
たがって各陽極化成箔種ごとに最適な減極処理を施すこ
とができなかった。そのために、陽極化成箔の静電容
量、耐電圧の不均一化を生じるとともに、電極箔表面の
熱処理温度をコントロールできないことから劣化特性
(漏れ電流特性)もコントロールできないという問題点
を有していた。
【0006】本発明はこのような問題点を解決するもの
で、アルミ電解コンデンサの製品劣化特性(漏れ電流特
性)の改善が図れ、かつ静電容量の高い陽極箔が得られ
るアルミ電解コンデンサ用陽極箔の化成方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のアルミ電解コンデンサ用陽極箔の化成方法
は、陽極化成を行う化成工程中に行われる減極処理用熱
処理を少なくとも2回以上行い、この熱処理に遠赤外線
発熱体を用いて、その温度を陽極化成皮膜成長に合わせ
て変更するようにしたものである。
【0008】
【作用】上記した本発明の化成方法によれば、陽極化成
を行う化成工程中に行われる減極処理用熱処理炉に遠赤
外線発熱体を使用しているため、この遠赤外線を陽極化
成箔表面に照射することにより、陽極化成箔表面に熱処
理の温度効果を均一に与えることができ、これにより、
静電容量、耐電圧のばらつきを陽極化成箔の幅方向、長
さ方向で抑えることが可能となるため、アルミ電解コン
デンサの製品特性の安定化が可能となるものである。ま
た、この遠赤外線発熱体を使用した減極処理用熱処理炉
を使用することにより、静電容量、耐電圧のばらつきを
抑えられるばかりでなく、陽極化成箔表面の温度分布の
均一化を行うことができるため、陽極化成箔表面の温度
制御が可能になり、これにより、陽極酸化皮膜形成プロ
セス、すなわち化成工程の途中で2回以上行われる減極
処理の最適温度を陽極化成皮膜成長に合わせて各熱処理
炉で設定することが可能となるため、アルミ電解コンデ
ンサの製品劣化特性(漏れ電流特性)の改善が図れるも
のである。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。図1は
本発明の一実施例における高圧用として用いられるアル
ミ電解コンデンサ用陽極箔の化成方法を示す製造工程図
で、巻取りローラ1に巻かれたアルミ電解コンデンサ用
エッチング箔2は、複数個の槽上ローラ3と槽内ローラ
4により、純水ボイル処理槽5および複数個の化成槽
6,7,8内に減極処理用熱処理炉9,10を介して連
続的に挿入された後、乾燥炉11で陽極化成箔12を乾
燥させ、その後、巻取りローラ13に巻取られるが、本
発明の一実施例においては、純水ボイル処理槽5で純水
ボイル処理を施した後、化成槽6内において、前工程の
電解エッチング処理で表面を拡大したアルミ電解コンデ
ンサ用エッチング箔2に所定の陽極化成電圧まで電圧を
印加し、そしてこの陽極化成電圧印加を一定時間保持し
た後に、遠赤外線発熱体を使用した減極処理用熱処理炉
9で減極処理を行い、この後、化成槽7内で再化成を行
い、そして、再度遠赤外線発熱体を使用した減極処理用
熱処理炉10で減極処理を行い、その後、化成槽8内で
最終化成処理を行い、さらにその後、この陽極化成箔1
2を乾燥炉11で乾燥させ、かつこの陽極化成箔12を
巻取りローラ13に巻取るようにしたものである。
【0010】このように、アルミ電解コンデンサ用エッ
チング箔2を化成する工程において、減極処理用熱処理
炉9,10に遠赤外線発熱体を使用することにより、こ
の遠赤外線発熱体から直接陽極化成箔12に遠赤外線を
照射して、陽極化成箔12を直接加熱して減極処理を施
すことができるため、陽極化成箔12の減極処理、すな
わち陽極化成皮膜中の欠陥、クラック等を暴露する処理
は、陽極化成箔12の幅方向、長さ方向で均一に行われ
ることになり、その結果、陽極化成箔12の幅方向、長
さ方向の静電容量、耐電圧のばらつきを抑えることがで
きるとともに、減極処理を均一に、かつ確実に行うこと
ができるため、アルミ電解コンデンサの製品劣化特性
(漏れ電流特性)を改善することができるものである。
【0011】(実施例1) (1)前工程で電解エッチングしたアルミ電解コンデン
サ用エッチング箔2に、純水ボイル処理槽5で15分間
純水ボイル処理を行う。 (2)硼酸系化成液を使用した化成槽6内で陽極化成電
圧600Vを印加し、そしてこの陽極化成電圧600V
印加を一定時間保持する。 (3)遠赤外線発熱体を使用した減極処理用熱処理炉9
で500℃2分間の減極処理を行う。 (4)化成槽7内で陽極化成電圧600Vを再度印加
し、再化成を行う。 (5)遠赤外線発熱体を使用した減極処理用熱処理炉1
0で500℃2分間の減極処理を行う。 (6)化成槽8内で陽極化成電圧600Vを再度印加
し、再化成を行う。 (7)陽極化成箔12を乾燥炉1で乾燥させた後、巻取
りローラ13に巻取る。
【0012】なお、上記した再化成を行う化成槽7,8
の化成液は、化成槽6内に入れた化成液と同一のものを
使用している。
【0013】(表1)は、陽極化成法を上記した方法で
行い、かつ減極処理を遠赤外線発熱体を使用した減極処
理用熱処理炉で行った本発明の実施例1と、従来のガス
炉、電気ヒータ炉からなる雰囲気熱処理炉で減極処理を
行った従来例について、静電容量、耐電圧と、そのばら
つき(標準偏差)を示したものである。
【0014】
【表1】
【0015】(表1)から明らかなように、遠赤外線発
熱体を使用した減極処理用熱処理炉で行った本発明の実
施例1は、従来例に比較して、陽極化成箔の幅方向、長
さ方向のばらつき(標準偏差)が、小さくなっているも
のである。なお、(表1)に示した結果は、他の化成条
件(電解エッチング箔、化成液の種類、化成液温度、化
成液濃度等)を両者とも同一にした結果である。
【0016】(実施例2) この実施例2は、遠赤外線発熱体を使用した減極処理用
熱処理炉9と10の減極処理の温度を陽極化成皮膜成長
に合わせて減極処理用熱処理炉9と10で変更するよう
にしたもので、すなわち、減極処理用熱処理炉9、10
の減極処理温度を500℃−500℃、300℃−30
0℃、500℃−300℃に設定したもので、このよう
にすることにより、図2に示すようにアルミ電解コンデ
ンサの製品劣化特性、すなわち、漏れ電流特性を従来例
に比例して改善することができる。なお、この効果は、
純水ボイル処理工程のない低圧陽極化成、保護膜化成に
ついても同様の効果が得られるものである。
【0017】なお、上記実施例においては、2個の減極
処理用熱処理炉9,10を設けて、減極処理を2回行う
ようにしたものについて説明したが、これに限定される
ものではなく、2回以上であっても、上記実施例と同様
の作用効果を奏するものである。
【0018】
【発明の効果】以上のように本発明のアルミ電解コンデ
ンサ用陽極箔の化成方法によれば、陽極化成を行う化成
工程中に行われる減極処理用熱処理炉に遠赤外線発熱体
を使用しているため、この遠赤外線を陽極化成箔の表面
に照射することにより、陽極化成箔の表面に熱処理の温
度効果を均一に与えることができ、これにより、静電容
量、耐電圧のばらつきを陽極化成箔の幅方向、長さ方向
で抑えることが可能となるため、アルミ電解コンデンサ
の製品特性の安定化が可能となるものである。また、こ
の遠赤外線発熱体を使用した減極処理用熱処理炉を使用
することにより、静電容量、耐電圧のばらつきを抑えら
れるばかりでなく、陽極化成箔表面の温度分布の均一化
を行うことができるため、陽極化成箔表面の温度制御が
可能になり、これにより、陽極酸化皮膜形成プロセス、
すなわち化成工程の途中で2回以上行われる減極処理の
最適温度を陽極化成皮膜成長に合わせて各熱処理炉で設
定することが可能となるため、アルミ電解コンデンサの
製品劣化特性(漏れ電流特性)の改善が図れるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミ電解コンデンサ用陽極化成箔の
化成方法の一実施例を示す製造工程図
【図2】アルミ電解コンデンサの高温中の漏れ電流(L
C)と熱処理温度の関係を示す特性図
【符号の説明】
1 巻取りローラ 2 エッチング箔 3 槽上ローラ 4 槽内ローラ 5 純水ボイル処理槽 6,7,8 化成槽 9,10 減極処理用熱処理炉 11 乾燥炉 12 陽極化成箔 13 巻取りローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 園田 哲夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小島 浩一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−84125(JP,A) 特公 昭28−2576(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/04 301

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極化成を行う化成工程中に行われる減
    極処理用熱処理を少なくとも2回以上行い、この熱処理
    に遠赤外線発熱体を用いて、その温度を陽極化成皮膜成
    長に合わせて変更するようにしたアルミ電解コンデンサ
    用陽極箔の化成方法。
  2. 【請求項2】 熱処理の温度を陽極酸化皮膜成長に合わ
    せて順次低くするようにした請求項1に記載のアルミ電
    解コンデンサ用陽極箔の化成方法。
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