JP3248967B2 - 防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体およびその製造法 - Google Patents

防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体およびその製造法

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JP3248967B2
JP3248967B2 JP00046093A JP46093A JP3248967B2 JP 3248967 B2 JP3248967 B2 JP 3248967B2 JP 00046093 A JP00046093 A JP 00046093A JP 46093 A JP46093 A JP 46093A JP 3248967 B2 JP3248967 B2 JP 3248967B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系樹脂発
泡成形体およびその製造法に関する。さらに詳しくは、
その表面層にボイドが存在しておらず、たとえばドレン
パンをはじめ、機械部品、金型などの防錆油などが付着
した部品の容器、通函、浮体、断熱材、水物の容器など
に好適に使用しうる防水性および防油性にすぐれたポリ
オレフィン系樹脂発泡成形体およびその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリオレフィン系樹脂発泡成形体
は、たとえば各種容器、浮具、断熱材などに広く用いら
れているが、該ポリオレフィン系樹脂発泡成形体は、水
透過性を有するため、たとえば浮具として用いたばあい
には、浮力の減少が発生し、また断熱材として用いたば
あいには、吸水による断熱性の低下が生じるなどの問題
があった。
【0003】こうした問題を解決しうるポリオレフィン
系樹脂発泡成形体としては、水不透過性ビーズ法発泡ポ
リオレフィン系成形体が提案されている(特公平3−7
501号公報)。
【0004】前記水不透過性ビーズ法発泡ポリオレフィ
ン系成形体は、確かにある程度の水不透過性を有するも
のであるが、かかる水不透過性は水との接触時間が短い
あいだに発現されるものであり、水と長時間接触したと
きには含水してしまうという欠点がある。また、前記発
泡ポリオレフィン系成形体は、たとえば防錆油などのオ
イルが付着したとき、一般に使用されている洗剤などに
含有された界面活性剤などが水中に溶解した水溶液が付
着しているときや、ある程度の水圧がかかるような状態
で使用したときにも、吸水してしまうという欠点があ
る。
【0005】したがって、前記発泡ポリオレフィン系成
形体は、たとえばある程度の水不透過性が要求されれば
足りる断熱材などには使用しうるものであるが、たとえ
ばドレンパンや、機械部品、金型などの防錆油などが付
着した部品の容器、通函などのように常にオイルで濡れ
るようなもの、浮体などのように水圧がかかるような状
況下で長時間使用されるものには、とても適用すること
ができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、前記従来技術に鑑みて、たとえば常に水やオイルで
濡れているばあいや、界面活性剤などが溶解した水が、
ある程度の水圧がかかった状態で連続して長時間接触し
たばあいであっても、水やオイルなどが浸透しない発泡
成形体をうるべく鋭意研究を重ねた結果、かかる性質を
有する防水性および防油性にすぐれた発泡成形体をよう
やく見出し、本発明を完成するにいたった。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
その内面に通気性多孔質面を有する金型Aおよび金型B
からなる成形型を用い、粒子100個あたりの平均重量
が30〜600mgであるポリオレフィン系樹脂予備発
泡粒子を成形型の成形室内に充填し、該ポリオレフィン
系樹脂予備発泡粒子の融着温度よりも5℃高い温度以上
かつ該融着温度よりも30℃高い温度以下の温度に該ポ
リオレフィン系樹脂予備発泡粒子を前記通気性多孔質面
を介して水蒸気を導入して水蒸気加熱し、該水蒸気加熱
を停止してそのままの状態で保持したのち、成形された
発泡成形体を冷却し、ついで金型Aと金型Bを型開きす
ることを特徴とする表面層にボイドが存在していない防
水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体の製造法
ならびに前記製造法にて製造された、粒子100個あ
たりの平均重量が30〜600mgであるポリオレフィ
ン系樹脂予備発泡粒子からなり、アルコール柱圧375
mmでアルコールが継続して7日間発泡成形体に浸透せ
ず、その表面層にボイドが存在していないことを特徴と
する防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体に関
する。
【0008】
【作用および実施例】本発明の防水・防油性ポリオレフ
ィン系樹脂発泡成形体は、従来の発泡成形体にはみられ
なかった、たとえば常に水やオイルで濡れているばあい
や、界面活性剤などが溶解した水がある程度の水圧がか
かった状態で連続して長時間接触したばあいであっても
水やオイルなどが浸透しないというすぐれた防水性およ
び防油性を有するものであり、本発明の発泡成形体がか
かる防水性および防油性を有する理由は、定かではない
が、おそらく特定の平均重量を有するポリオレフィン系
樹脂予備発泡粒子を用い、成形型の内面に通気性多孔質
面を設けることによって、該通気性多孔質面を介して該
予備発泡粒子が均一に水蒸気加熱され、成形条件とあい
まってえられる成形体の表面層に水、オイルをはじめ、
界面活性剤を含有する水などが浸透するボイドがなくな
ったことによるものと推測される。
【0009】本発明の防水・防油性ポリオレフィン系樹
脂発泡成形体は、前記したように、粒子100個あたり
の平均重量が30〜600mgであるポリオレフィン系
樹脂予備発泡粒子からなり、その表面層にボイドが存在
していないものである。
【0010】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に
用いられるポリオレフィン系樹脂としては、たとえばポ
リプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレンコ
ポリマー、プロピレン−塩化ビニルコポリマー、プロピ
レン−ブテンコポリマー、プロピレン−無水マレイン酸
コポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンターポリマ
ー、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが
あげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用
いることができる。これらのポリオレフィン系樹脂のな
かでは、本発明においては、耐薬品性、耐油性および耐
熱性の面でポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系
樹脂、とくにポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0011】前記ポリオレフィン系樹脂は、無架橋の状
態のものが好ましいが、パーオキサイドや放射線などに
よって架橋させたものであってもよい。
【0012】また、前記ポリオレフィン系樹脂として、
該ポリオレフィン系樹脂と混合しうる他の熱可塑性樹脂
が混合されたものを用いてもよい。かかる他の熱可塑性
樹脂の具体例としては、たとえば低密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテ
ン、アイオノマーなどがあげられ、これらの熱可塑性樹
脂の配合量は、通常前記ポリオレフィン系樹脂100部
(重量部、以下同様)に対して20部以下、なかんづく
10部以下とすることが好ましい。
【0013】前記ポリオレフィン系樹脂は、通常予備発
泡されやすいように、あらかじめたとえば押出機、ニー
ダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融
し、円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状など
の所望の形状に調整しておくことが望ましい。
【0014】本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂
予備発泡粒子は、粒子100個あたりの平均重量が30
〜600mgであるものである。かかる粒子100個あ
たりの平均重量が30mg未満であるばあいおよび60
0mgをこえるばあいのいずれのばあいにも、えられる
発泡成形体の表面層にボイドが生じやすくなる。かかる
粒子100個あたりの平均重量は、好ましくは50〜5
00mg、さらに好ましくは70〜450mgである。
【0015】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を
製造する方法としては、たとえば耐圧容器中でポリオレ
フィン系樹脂粒子に揮発性発泡剤を含有させ、撹拌しな
がら水中に分散させ、加圧下で所定の発泡温度まで加熱
したのち、該水分散物を低圧域に放出する方法などがあ
げられるが、本発明はかかる方法によって限定されるも
のではない。
【0016】つぎに、本発明の防水・防油性ポリオレフ
ィン系樹脂発泡成形体の製造法の一実施例を図面に基づ
いて説明する。
【0017】図1は、本発明の製造法に用いられる成形
型の一実施態様を示す概略説明図である。
【0018】図1において、金型A1は、たとえばシリ
ンダー3などと連接され、金型A1を移動させることに
よって金型A1と金型B2との型締めおよび型開きを行
なうことができる。金型A1および金型B2の内面に
は、それぞれ複数の蒸気孔4および5が設けられてい
る。
【0019】えられる発泡成形体の防水性および防油性
が要求される面に対応する成形型の内面に、通気性多孔
質面が設けられる。たとえば、えられる発泡成形体の全
表面に防水性および防油性が要求されるばあいには、成
形型の内面全体に通気性多孔質面を設ければよく、また
たとえば板状の発泡成形体を成形するばあいにおいて、
その一方表面に防水性および防油性が要求されるときに
は、図1に示されるように、金型A1の内面上に通気性
多孔質面12を形成すればよい。
【0020】前記通気性多孔質面12には、たとえばス
テンレスフェルト、金属メッシュ(篩)、不織布などの
通気性多孔質シート、焼結金属部材などを金型の所定の
位置に設けることによって形成することができる。
【0021】なお、前記通気性多孔質シートや焼結金属
部材を用いたばあいには、従来のようにえられる発泡成
形体の表面に蒸気孔の跡を残すことがなく、これら通気
性多孔質シートや焼結金属部材に基づく模様などをえら
れる発泡成形体の表面に転写し、該発泡成形体の外観の
美麗化を図ることができるという利点がある。
【0022】また、前記通気性多孔質面は、蒸気孔から
導入された水蒸気がまんべんなく分散されるようにする
ために、その孔が均整に分布され、かつ孔の大きさが大
きければ大きいほど均一に蒸気を分散させることができ
る。
【0023】前記金型A1と金型B2とを型締めし、フ
ィーダー11を介して前記ポリオレフィン系樹脂予備発
泡粒子を成形型の成形室10内に充填する。
【0024】なお、成形室10内にポリオレフィン系樹
脂予備発泡粒子を充填するに際しては、金型A1と金型
B2とを仮締めした状態でポリオレフィン系樹脂予備発
泡粒子を充填したのち金型A1と金型B2とを型締めす
ることが好ましいが、本発明はかかる仮締めによって限
定されるものではない。このように金型A1と金型B2
とを仮締めした状態でポリオレフィン系樹脂予備発泡粒
子を成形室10内に充填したのち型締めしたばあいに
は、金型A1と金型B2とを型締めした際に、予備発泡
粒子が圧縮され、該予備発泡粒子同士の密着性が高めら
れ、表面層でのボイドの発生がより一層少ない発泡成形
体がえられる。
【0025】前記金型A1と金型B2とを仮締めするば
あい、金型A1と金型B2との間隙は、成形室10内の
奥行き(一般に発泡成形体の厚さに相当)などによって
異なるので一概には決定することができないが、その一
例としてたとえば奥行きが50mm程度のばあい、前記
金型A1と金型B2との間隙は、充分に圧縮するために
2mm程度以上、好ましくは5mm程度以上、また水蒸
気が充分に予備発泡粒子間に通らなくなることによって
融着不良が発生しないようにするために、30mm程度
以下、好ましくは20mm程度以下とすることが望まし
い。
【0026】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を
フィーダー11を通じて成形室10内に充填するに際し
ては、あらかじめ予備発泡粒子を加圧ガスを用いて加圧
し、該加圧ガスが該予備発泡粒子中に充分に浸透され、
内圧が付与された状態で成形室10内に充填してもよ
く、該予備発泡粒子を加圧ガスを用いて圧縮した状態で
成形室10内に充填してもよく、また該予備発泡粒子に
内圧を付与したり、圧縮することなく、そのままの状態
で成形室10内に充填してもよく、本発明はかかる充填
する方法によって限定されるものではないが、該予備発
泡粒子同士の密着性を向上させ、発泡成形体の成形時に
表面層でボイドが発生しないようにするためには、該予
備発泡粒子を圧縮して成形室10内に充填することが好
ましく、また充填操作を容易に短時間で行なうことがで
きるという点では、該予備発泡粒子に内圧を付与せずに
常圧で成形室10内に充填することが好ましい。
【0027】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を
成形型の成形室10内に充填したのち、成形室10内に
水蒸気を導入する。水蒸気は、金型A1の蒸気導入口6
および金型B2の蒸気導入口7から導入される。金型A
1の蒸気導入口6から導入された水蒸気は、金型A1の
内部8を介して蒸気孔4を通って成形室10内に導入さ
れ、金型B2の蒸気導入口7から導入された水蒸気は、
金型B2の内部9を介して蒸気孔5を通って成形室10
内に導入される。
【0028】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を
成形型の成形室10内に充填したのち、該予備発泡粒子
の融着温度よりも5℃高い温度以上の温度に該予備発泡
粒子を前記通気性多孔質面12を介して水蒸気を導入し
て水蒸気加熱する。かかる予備発泡粒子の融着温度は、
該予備発泡粒子に用いられている樹脂の種類などによっ
て異なるので一概には決定することができないため、あ
らかじめ該予備発泡粒子の融着温度を調べたのち、金型
A1の蒸気孔4および金型B2の蒸気孔5から導入され
る水蒸気の温度を設定することが好ましい。
【0029】なお、前記融着温度とは、奥行きが50m
m程度の金型内に予備発泡粒子を充填し、所定温度(所
定圧力)の水蒸気を10〜20秒間該金型内に導入した
ときに、予備発泡粒子同士が融着し、発泡成形体の形状
を保持することができる状態となるときの最低温度をい
う。
【0030】また、前記水蒸気の圧力は、水蒸気の温度
が後述する温度範囲内となるように調整すればよい。
【0031】なお、前記水蒸気加熱の温度があまりにも
高すぎるばあいには、えられる発泡成形体の収縮が大き
くなりすぎるので、該予備発泡粒子が融着する温度より
も30℃高い温度以下、好ましくは該予備発泡粒子が融
着する温度よりも25℃高い温度以下とする。
【0032】前記予備発泡粒子を水蒸気加熱する際に要
する時間は、予備発泡粒子層の厚さなどによって異なる
ので一概には決定することができないが、通常予備発泡
粒子に水蒸気による熱を充分に伝達することができる時
間が選ばれる。その一例として、たとえば予備発泡粒子
層の厚さが100mm程度のものに対しては約3秒間以
上、好ましくは約5秒間以上であることが望ましいが、
あまりにもその時間が長すぎるばあいには、えられる発
泡成形体に収縮が生じるので、成形の際に収縮が発生し
ない範囲内で適宜設定することが好ましい。
【0033】また、前記のごとく予備発泡粒子を水蒸気
加熱したのち、該予備発泡粒子同士の融着性を向上さ
せ、発泡成形体の成形時に表面層でボイドがより一層発
生しないようにするために、水蒸気による加熱を停止し
たのち、そのままの状態で保持する。かかる保持の時間
は、少なくとも目的とする表面層における予備発泡粒子
同士が充分に融着する時間以上であればよく、予備発泡
粒子に用いられる樹脂の種類や前記水蒸気加熱の際の水
蒸気の温度などによって異なるので、これら条件に応じ
て適宜決定することが好ましい。
【0034】つぎに、えられた発泡成形体をあらかじめ
冷却したのち、金型A1および金型B2を型開きするこ
とにより、発泡成形体がえられる。なお、かかる冷却の
際の温度は、予備発泡粒子の種類、発泡成形体の発泡倍
率などによって異なるので一概には決定することができ
ないが、通常成形型から取り出した発泡成形体に後ぶく
れが生じない温度が選ばれる。
【0035】前記発泡成形体の発泡倍率は、あまりにも
大きいばあいには、えられる発泡成形体の収縮が大きく
なる傾向があり、またあまりにも小さいばあいには、防
水性および防油性がわるくなる傾向があるので、通常3
〜60倍、好ましくは5〜50倍、さらに好ましくは1
0〜40倍であることが望ましい。
【0036】えられた発泡成形体は、たとえば50〜8
0℃の常圧下で3〜24時間程度養生することが好まし
い。
【0037】なお、本発明において、ポリオレフィン系
樹脂発泡成形体の表面層にボイドが存在しないとは、ア
ルコール柱圧375mmでアルコールが継続して7日間
該発泡成形体に浸透しない防水性を該発泡成形体が有す
ることをいう。
【0038】本発明の防水・防油性ポリオレフィン系樹
脂発泡成形体の製造法においては、前記したように、内
面に通気性多孔質面が設けられた金型を用い、該金型を
型締めし、成形型の成形室内にポリオレフィン系樹脂予
備発泡粒子を充填し、特定の温度に該予備発泡粒子を前
記通気性多孔質面を介して水蒸気加熱し、該水蒸気加熱
を停止してそのままの状態で保持したのち、成形された
発泡成形体を冷却するという操作が採られているので、
その表面層にボイドが存在せず、たとえば界面活性剤な
どが溶解した水やオイルなどがある程度の圧力がかかっ
た状態で連続して長時間接触したばあいであっても水や
オイルなどが浸透しないというすぐれた防水性および防
油性を有し、しかも少なくともその表面で予備発泡粒子
同士の融着性にすぐれた発泡成形体を製造することがで
きる。
【0039】また、本発明の発泡成形体は、前記のよう
にすぐれた防水性および防油性を有するので、たとえば
ドレンパン、機械部品、金型などの防錆油などが付着し
た部品の容器、通函、浮体、断熱材、水物の容器などに
好適に使用しうるものである。
【0040】つぎに、本発明の防水・防油性ポリオレフ
ィン系樹脂発泡成形体およびその製造法を実施例に基づ
いてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例の
みに限定されるものではない。
【0041】実施例1 図1に示されるような成形型を用いた。
【0042】通気性多孔質面12として、ステンレス製
ウェブをプレスしてなるステンレスフェルト(たて29
0mm、よこ270mm、厚さ0.8mm、開孔率約6
0%、商品名:ファインポアNF、日本精線(株)製)
を用い、該ステンレスフェルトを金型A1に固定した。
【0043】ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子として
エペランPP(鐘淵化学工業(株)製、商品名)からな
るポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(ミカケ発泡倍率
30倍、平均重量180mg/100個)をあらかじめ
耐圧容器内に入れて空気圧で内圧2kg/cm2 ・Gが
付与されたものを用い、これを凹部(たて290mm、
よこ270mm、奥行50mm)を有する金型B2に設
けられたフィーダー11を介して、金型A1と金型B2
とを10mmの間隙をあけてあらかじめ仮締めして構成
された成形型の成形室10内に充填した。
【0044】つぎに、金型A1および金型B2を型締め
したのち、金型A1および金型B2の蒸気孔4および5
からそれぞれ水蒸気(蒸気圧3.8kg/cm2 ・G、
温度148〜150℃)を成形室10内に20秒間導入
したのち、水蒸気の導入を停止してそのままの状態で3
5秒間保持してから、18℃の水を用いて100秒間冷
却し、ついで金型A1と金型B2とを型開きし、通気性
多孔質面12に接した面に、予備発泡粒子にもとづく模
様がほとんど目立たず、通気性多孔質面にもとづく模様
が転写されたポリプロピレン系樹脂発泡成形体をえた。
【0045】えられた発泡成形体の物性として、ボイド
の発生、防水性、防油性および融着率を以下の方法にし
たがって調べた。その結果を表1に示す。
【0046】(イ)ボイドの発生 えられた発泡成形体を厚さ5mmに切断してサンプルを
作製した。かかるサンプルの表面に塩化ビニル樹脂製パ
イプ(外径:89mm、内径:77mm、長さ:395
mm)の開孔部をのせ、両者をシーリング剤で固定し、
このパイプ内に赤インクで着色したエタノール約180
0ml(エタノール柱圧:375mm)を入れ、24時
間後、サンプル裏面に設けられたペーパータオルの濡れ
状態を観察し、さらにそのままの状態で7日間試験を延
長したのち、同様にしてペーパータオルの濡れ状態を観
察し、エタノールの透過の度合によりボイドの発生の有
無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0047】(評価基準) A:7日間後でもペーパータオルの濡れがまったく認め
られない。
【0048】B:24時間後にはペーパータオルの濡れ
がまったく認められないが、7日間後にはペーパータオ
ルの濡れが少し認められる。
【0049】C:24時間後にペーパータオルの濡れが
少し認められ、7日間後にはペーパータオルの濡れがか
なり認められる。
【0050】D:24時間後にペーパータオルの濡れが
かなり認められる。
【0051】(ロ)防水性 前記(イ)ボイドの発生の試験において、赤インクで着
色したエタノールのかわりに赤インクで着色した陰イオ
ン系界面活性剤の0.1%水溶液(界面活性剤:ポリオ
キシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、商品名:エマー
ル20C、(株)花王製)約1800ml(水溶液柱
圧:375mm)を用いたほかは、(イ)ボイドの発生
の試験と同様にして評価した。
【0052】(ハ)防油性 前記(イ)ボイドの発生の試験において、赤インクで着
色したエタノールのかわりに赤色の染料で着色したシリ
コーンオイル約1800mlを用いたほかは、(イ)ボ
イドの発生の試験と同様にして評価した。
【0053】(ニ)融着率 えられた発泡成形体の表面にナイフで薄く切れ目を入れ
たのち、折り曲げて破断させ、その破断面全体を観察
し、予備発泡粒子が融着した破断面の割合を百分率で表
わす。
【0054】実施例2 実施例1において、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子
としてエペランPP(鐘淵化学工業(株)製、商品名)
からなるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子(ミカケ発
泡倍率15倍、平均重量180mg/100個)を用
い、金型Aおよび金型Bの蒸気孔から水蒸気(蒸気圧
4.4〜4.6kg/cm2 ・G、温度153〜156
℃)を20秒間導入したほかは、実施例1と同様にして
ポリプロピレン系樹脂発泡成形体をえた。えられた発泡
成形体の一方表面は、多孔質面12に基づく模様が存在
していた。
【0055】えられた発泡成形体の物性を実施例1と同
様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0056】比較例1 実施例1において、ステンレスフェルトを用いずに、ポ
リオレフィン系樹脂予備発泡粒子のかわりに高圧法ポリ
エチレン(メルトインデックス1.5、密度0.92
4、軟化点95℃)を架橋してえたゲル分率43.7%
の架橋ポリエチレン粒子から製造した直径3〜5mm、
見掛け比重0.036で、空気含浸によるビーズ内圧
1.75気圧の発泡ビーズを用いたほかは実施例1と同
様にして成形室10内に該発泡ビーズを充填した。
【0057】つぎに金型A1および金型B2を型締めし
たのち、金型A1および金型B2の蒸気孔4および5か
らそれぞれ水蒸気(蒸気圧4.4〜4.6kg/cm2
・G、温度155℃)を35秒間導入して加熱してから
90秒間放置し、18℃の水を用いて120秒間冷却
し、金型A1と金型B2とを型開きして発泡成形体をえ
た。
【0058】えられた発泡成形体の物性を実施例1と同
様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1に示した結果から明らかなように、本
発明の実施例1〜2でえられた発泡成形体は、いずれも
その表面にボイドが発生しておらず、防水性、防油性に
すぐれ、またその表面で予備発泡粒子同士の融着性にも
すぐれたものであることがわかる。
【0061】
【発明の効果】本発明の防水・防油性ポリオレフィン系
樹脂発泡成形体の製造法によれば、その表面層にボイド
が存在せず、防水性にすぐれ、さらに少なくともその表
面で予備発泡粒子同士の融着性にすぐれた発泡成形体を
容易にうることができる。
【0062】また、本発明の防水性ポリオレフィン系樹
脂発泡成形体は、たとえば界面活性剤などの水溶液、オ
イルなどがある程度の水圧がかかった状態で連続して長
時間接触したばあいであっても水やオイルなどが浸透し
ないというすぐれた防水性および防油性を有するので、
たとえばドレンパン、機械部品、金型などの防錆油など
が付着した部品の容器、通函、浮体、断熱材、水物の容
器などに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造法に用いられる成形型の一実施態
様を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 金型A 2 金型B 12 通気性多孔質面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 44/00 - 44/60 C08J 9/22,9/228

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その内面に通気性多孔質面を有する金型
    Aおよび金型Bからなる成形型を用い、粒子100個あ
    たりの平均重量が30〜600mgであるポリオレフィ
    ン系樹脂予備発泡粒子を成形型の成形室内に充填し、該
    ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の融着温度よりも5
    ℃高い温度以上かつ該融着温度よりも30℃高い温度以
    の温度に該ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を前記
    通気性多孔質面を介して水蒸気を導入して水蒸気加熱
    し、該水蒸気加熱を停止してそのままの状態で保持した
    のち、成形された発泡成形体を冷却し、ついで金型Aと
    金型Bを型開きすることを特徴とする表面層にボイドが
    存在していない防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡
    成形体の製造法。
  2. 【請求項2】 金型Aと金型Bを仮締めし、ポリオレフ
    ィン系樹脂予備発泡粒子を成形型の成形室内に充填した
    のち、金型Aと金型Bを型締めする請求項記載の防水
    ・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
    系樹脂またはポリエチレン系樹脂である請求項または
    記載の防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体
    の製造法。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂発泡成形体が発泡
    倍率3〜60倍を有するものである請求項または
    記載の防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体
    の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の製造法にて製造された、
    粒子100個あたりの平均重量が30〜600mgであ
    るポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子からなり、アルコ
    ール柱圧375mmでアルコールが継続して7日間発泡
    成形体に浸透せず、その表面層にボイドが存在していな
    いことを特徴とする防水・防油性ポリオレフィン系樹脂
    発泡成形体。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
    系樹脂またはポリエチレン系樹脂である請求項記載の
    防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成形体。
  7. 【請求項7】 発泡倍率3〜60倍を有する請求項
    たは記載の防水・防油性ポリオレフィン系樹脂発泡成
    形体。
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