JP3248384B2 - 経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステム - Google Patents

経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステム

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JP3248384B2
JP3248384B2 JP2983095A JP2983095A JP3248384B2 JP 3248384 B2 JP3248384 B2 JP 3248384B2 JP 2983095 A JP2983095 A JP 2983095A JP 2983095 A JP2983095 A JP 2983095A JP 3248384 B2 JP3248384 B2 JP 3248384B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,鳥瞰図表示ナビゲー
ションシステムに関し,特に,経路や交差点のデータに
基づいて透視変換の視線方向を決定することにより,利
用者が確実に経路上を走行できるように誘導する機能を
有した経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーショ
ンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の鳥瞰図表示ナビゲーションシステ
ムとしては,例えば,図11に示すよなものがある。こ
のシステムは,大別すると,地図情報を格納しておく外
部記憶装置1101と,地図上の表示領域を決定するた
めの基準となる点を決定する表示基準点決定装置110
2と,鳥瞰図表示に必要な所定の演算処理を行う演算処
理装置1103と,地図画像を表示する画像表示装置1
104とから構成されている。
【0003】また,演算処理装置1103をさらに機能
別に分解すると,経路データを記憶する経路データ記憶
部1103aと,経路上の注視点を算出する経路注視点
算出部1103b,視線方向角度を算出する視線方向算
出部1103cと,地図情報の選択や透視座標変換に必
要な内部パラメータを決定する内部パラメータ決定部1
103dと,必要な地図情報を外部記憶装置から選択的
に読み込み透視座標変換を施して画像表示装置に出力す
る地図データ座標変換部1103eとから構成されてい
る。
【0004】以下,このシステムの動作を説明する。一
般にナビゲーションシステムにおいて経路の誘導表示を
行う場合,システムは各時点において必要な地図情報を
表示するために,情報の検索や画像データの作成など一
連の演算処理を行う。また,表示が終了すると次の画面
表示のために再び一連の演算処理を繰り返し表示を更新
する。
【0005】このループ処理は,自車両が経路に添って
走行している間続けられるが,例えば,経路を外れたと
きや利用者から誘導表示の中断を要求する入力があった
場合には,ループを終了して必要な別処理に移る。ここ
では誘導表示の際に繰り返し実行される一連の手続きに
ついて説明することとし,そのフローを図12に示す。
【0006】先ず,ステップS1201において,シス
テムはループ処理にはいる初期設定として,前の時点で
画像データ作成等に用いられた視線方向を示すパラメー
タφ -1をnone(未定義)にセットする。なお,この
視線方向についての詳細は後述する。
【0007】次にステップS1202において,表示基
準点決定装置1102の出力に基づいて表示基準点Pを
決定する。ここで,図13の視点,視線,表示画面およ
び表示対象領域の関係図を参照して,この表示基準点P
について説明する。
【0008】図13に示すように,鳥瞰図表示において
は3次元直交座標系(x,y,z)内で定義された地図
情報に対して視点Vをその上方に置き,Vから俯角θで
地上に向けられた視線に対して垂直に置かれた視平面
(表示画面)上に地図情報を透視投影した画像を表示す
ることになる。ここで表示画面の大きさは有限であるか
ら,例えば,地図情報がxy平面内だけで定義されてい
る(すなわち,z=0)とすると,表示対象領域は図の
等脚台形ABCDの内部となる。
【0009】通常は,自車両の現在位置の近傍を表示す
るのが一般的であるから,例えば,図示の如く,自車両
位置が常に画面中心線上で,かつ,下辺から一定距離d
の点に表示されるように表示対象領域の位置を決定しな
ければならない。あるいは自車両位置が移動する度に画
面全体を更新するのではなく,例えば,ある時点での自
車両位置から経路上をある一定距離進んだ点を画面上の
中心点として表示対象領域を決定し,自車両が移動して
その点に到達するかあるいは数秒程度の一定時間が経過
するまでは表示領域は固定して地図情報の表示内容は更
新せず,自車両位置の表示のみを画面上で移動させると
いうようにしてもよい。いずれにしても表示対象領域の
地図上の位置を決定するために表示画面上の固定点を自
車両位置もしくはそれに類する点に一致させる必要があ
る。
【0010】この固定点に対応する地図上の点を表示基
準点と呼ぶ。以下の記述では簡単のために表示基準点決
定装置1102として,例えば,GPSセンサを考え,
これから得られる自車両の現在位置をそのまま表示基準
点Pとする。
【0011】再び,図12のフローチャートに戻って,
次にステップS1203において経路注視点算出部11
03bがあらかじめ与えられ経路データ記憶部に格納さ
れた推奨経路等の経路データに基づき,経路注視点Qを
算出する。ここで経路データとは,自車両が今後進行す
ると予想される進路を示す一連の道路リンクデータと,
それらを接続しているノードデータの集合である。これ
らはあらかじめ利用者によって登録されたものでもよい
し,利用者が出発点と目的地のみを入力することにより
システムによって自動的に計算された推奨経路であって
もよい。あるいは明示的に経路情報を利用者が入力しな
い場合は,自車両が現在走行中の路線を継続して走行す
るものと予想して,システムが擬似的に設定した予想経
路であってもよい。なお,この擬似経路の決定方法とし
ては,例えば,本出願人によって出願された特願平6−
180553号の『ナビゲーションシステム』に詳述さ
れている。
【0012】また,経路注視点とは,この経路に添って
現在の自車両位置からある一定距離だけ進んだ前方の経
路上の点のことで,この点を現在位置から見る方向を視
線方向とすることによって鳥瞰図表示において今後の進
行経路をより多く画面内に表示することが可能になる。
なお,この経路注視点を決定する現在位置からの距離の
定め方としては,例えば,本出願人によって出願された
特願平6−033182号の『鳥瞰図表示機能付ナビゲ
ーションシステム』に詳述されている。
【0013】ステップS1204において,視線方向算
出部1103cは,現在位置Pから経路注視点Qを見る
方向,つまり2つの位置ベクトルQ,Pの差ベクトルの
xy2次元平面内における偏角arg(Q−P)を視線
方向の基準方向としてパラメータψにセットする。ここ
で視線方向というのは,図13に示すように,視点Vか
ら地図を見下ろす視線のxy平面上への正射影,すなわ
ち表示領域を表す等脚台形ABCDの対称軸がx軸の正
方向となす角度φのことである。
【0014】3次元座標系内の地図データは,後述する
ようにφに応じて回転変換等を施すことにより,表示画
面上の2次元座標系に座標変換される。
【0015】次に,ステップS1205において,1つ
前の時点における視線方向の値φ-1が未定義かどうか調
べられる。φ-1が未定義であれば,すなわち誘導表示の
繰り返しループの1巡目であるならば,ステップS12
06に進み,視線方向算出部1103cはステップS1
204求めた視線の基準方向ψをそのまま視線方向φと
する。一方,φ-1の値が定まっているならば,ステップ
S1207に進み,視線方向算出部1103cは,あら
かじめ定められた重みwを用いてφ-1とψとの重み付け
平均をとり,これをこの時点における視線方向φとす
る。すなわち,次式のように視線方向φを求める。 φ=wφ-1+(1−w)ψ ただし,0<w<1
【0016】この処理は,視線方向変化に対するローパ
スフィルタの役割を果たし,これによって,基準方向ψ
が急激に変化しても画面上の表示内容をゆっくりと変化
させることができる。
【0017】こうして決定された視線方向φは,ステッ
プS1208において,表示基準点Pの位置と共に内部
パラメータ決定部1103dに出力され,表示対象領域
の地図上の位置と方向が決定される。また,視点Vの位
置座標(Vx,Vy,Vz)も逆算により求められる。
【0018】さらに,地図データ座標変換部1103e
は,内部パラメータ決定部1103dで決定した表示対
象領域に応じて必要ならば外部記憶装置1101から表
示に必要な地図データを読み込み,これらのデータに対
して座標変換を施す。ここで,個々のデータの座標値を
(Mx,My,Mz),これを表示画面上に透視投影し
たときの2次元座標を(Sx,Sy)とすると,座標変
換式は,例えば,数1および数2で示すようになる。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】ここで,θは視線俯角,φは視線方向角
度,またDsは視点Vと視平面との理論的距離を表す。
以上の演算結果が地図データ座標変換部1103eから
画像表示装置1104に対して出力され,描画が終了す
ると,ステップS1209において視線方向算出部11
03cは計算に用いた視線方向φの値をφ-1に格納し,
ステップS1210において表示手続きを繰り返すかど
うかを判断し,ループを終了して別処理に移るならば,
処理を終了する。また,表示手続きを継続するなら再び
ステップS1202に戻って上記の処理を繰り返す。
【0022】図14は,図12のフローチャートで示し
たアルゴリズムにしたがった表示画面例を示す。図14
(a)において,自車両は点Pの位置にあり,推奨経路
上を点Qに向かう方向に進んでいるものとする。なお,
点Qは経路上の点Pからある一定距離にある経路注視点
である。この時点で経路の誘導表示のループ処理が始ま
ったものとすれば,点Pから点Qを見る視線の基準方向
ψがそのまま視線方向φとして設定されるので,表示画
面は例えば画面1401のようになる。
【0023】次に,図14(b)において,自車両位置
が点Pまで移動したとすると,経路注視点も同じ距離だ
け経路上を前方に移動し,基準方向ψは,図示のように
変化する。しかし,視線方向φは1時点前の視線方向φ
-1(同図(a)におけるφと同じ)と新しい基準方向ψ
との重み付け平均によって決定されるため,表示画面は
基準方向ψの変化ほど急激には変化せず,例えば,画面
1402に示すようになる。
【0024】さらに,図14(c)においても同様に視
線方向φが計算され,例えば,画面1403に示すよう
に,すぐに新しい基準方向ψの方を向くとは限らない。
このように上記のシステムでは,経路注視点を基準とし
て視線方向を定め,さらに移動前の視線方向により方向
変化のローパスフィルタリングを行うようにしたため,
自車両がこの先進行する予定の経路をより多く表示する
と同時に,実際の経路の方向が急激に変化しても画面の
変化は緩やかなるような鳥瞰図表示画面を実現すること
ができる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従
来の鳥瞰図表示ナビゲーションシステムにあっては,表
示画面の変化を緩やかにするという点を重視して視線方
向を決定しているため,例えば,図14(b)に示すよ
うに,実際の経路の方向が大きく変化するような交差点
に自車両が接近した場合,車両の進行方向が表示画面上
で横向きに大きく傾いて表示されることになり,次の交
差点で利用者が左右どちらに曲がるべきであるかあるい
は直進すべきなのか,瞬時に判断することが難しくな
り,曲折方向の誘導という点での視認性が必ずしも良く
ない場合があるという問題点があった。
【0026】また,図14(c)においては,交差点曲
折直後も視線方向は曲折前の方向に大きく影響されるた
め,本来見たい経路注視点の方向に視線がすぐに追随せ
ず経路前方の見通しが良くない場合があるという問題点
もあった。
【0027】この発明は,このような従来の問題点に着
目してなされたもので,自車両が,曲折方向を誘導すべ
き交差点に接近した場合における該交差点直前での曲折
方向の視認性の向上を図ると共に,該交差点通過直後に
おける視線変化の追従性を速め経路前方の見通しを確保
することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに,請求項1に係る経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表
示ナビゲーションシステムは,地図情報を記憶する外部
記憶手段と,地図上の表示基準点を決定する表示基準点
決定手段と,鳥瞰図表示に必要な演算処理を行う演算処
理手段と,地図情報を表示する画像表示手段とを備えた
鳥瞰図表示ナビゲーションシステムにおいて,前記演算
処理手段は,あらかじめ定められた推奨経路等の経路デ
ータを記憶する経路データ記憶手段と,前記経路データ
および表示基準点に基づいて,経路上の特定の点を経路
注視点として算出する経路注視点算出手段と,経路上に
あらかじめ定められた誘導交差点データを記憶する誘導
交差点記憶手段と,前記経路注視点および誘導交差点デ
ータに基づいて,特定の誘導交差点を選択する誘導交差
点選択手段と,前記表示基準点,経路注視点および選択
された誘導交差点に基づいて,座標変換行列の決定に必
要な視線方向角度を算出する視線方向算出手段と,前記
表示基準点および視線方向角度に基づいて,地図情報の
選択および透視座標変換に必要な内部パラメータを決定
する内部パラメータ決定手段と,前記内部パラメータに
基づいて,表示に必要な地図情報を前記外部記憶手段か
ら選択して読み込み,前記読み込んだ地図情報に対して
透視座標変換を施した後,前記画像表示手段に出力する
地図データ座標変換手段とを備えたものである。
【0029】また,請求項2に係る経路・交差点誘導機
能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムは,請求項1に
おいて,前記視線方向算出手段が,前記表示基準点があ
らかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した場合,
表示基準点から該誘導交差点に向く方向を基準方向とし
て前記視線方向角度を算出するものである。
【0030】また,請求項3に係る経路・交差点誘導機
能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムは,請求項1に
おいて,前記視線方向算出手段が,前記表示基準点があ
らかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した場合,
該誘導交差点に対する経路の進入方向を基準方向として
前記視線方向角度を算出するものである。
【0031】また,請求項4に係る経路・交差点誘導機
能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムは,請求項1に
おいて,前記視線方向算出手段が,前記表示基準点があ
らかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した場合,
表示基準点から該誘導交差点に向く方向,もしくは該誘
導交差点に対する経路の進入方向を第1の基準方向と
し,さらに該誘導交差点よりも先にある誘導交差点もし
くは経路注視点に基づいて第2の基準方向を決定し,前
記第1の基準方向および第2の基準方向に基づいて前記
視線方向角度を算出するものである。
【0032】また,請求項5に係る経路・交差点誘導機
能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムは,請求項2,
3または4において,前記視線方向算出手段が,前記基
準方向または前記第1の基準方向が,前記画像表示手段
上で所定の角度以上傾かないように前記視線方向角度を
算出するものである。
【0033】また,請求項6に係る経路・交差点誘導機
能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムは,請求項1,
2,3,4または5において,前記視線方向算出手段
が,前記表示基準点があらかじめ定められた誘導交差点
の1つに接近した場合に,該誘導交差点に基づいて決定
される基準方向および前記表示基準点が移動する1時点
前において算出された視線方向との重み付け平均から現
時点における視線方向角度を算出し,前記表示基準点が
あらかじめ定められた誘導交差点の何れにも接近してい
ない場合には,前記経路注視点に基づいて決定される基
準方向および前記表示基準点が移動する1時点前におい
て算出された視線方向との重み付け平均から現時点にお
ける視線方向角度を算出し,前記基準方向と前記1時点
前における視線方向との相異の度合いに応じて,該重み
付け平均の算出に用いる重みの値を変化させるものであ
る。
【0034】また,請求項7に係る経路・交差点誘導機
能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムは,請求項1,
2,3,4または5において,前記視線方向算出手段
が,前記表示基準点があらかじめ定められた誘導交差点
の1つに接近した場合に,該誘導交差点に基づいて決定
される基準方向および前記表示基準点が移動する1時点
前において算出された視線方向との重み付け平均から現
時点における視線方向角度を算出し,前記表示基準点が
あらかじめ定められた誘導交差点の何れにも接近してい
ない場合には,前記経路注視点に基づいて決定される基
準方向および前記表示基準点が移動する1時点前におい
て算出された視線方向との重み付け平均から現時点にお
ける視線方向角度を算出し,かつ,前記表示基準点が誘
導交差点を通過した直後においては前記重み付け平均を
とらずに前記基準方向をそのまま現時点における視線方
向角度とするものである。
【0035】
【作用】この発明の経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示
ナビゲーションシステム(請求項1)は,経路注視点算
出手段で,経路データおよび表示基準点に基づいて,経
路上の特定の点を経路注視点として算出し,誘導交差点
選択手段で,該経路注視点と誘導交差点記憶手段に記憶
してある誘導交差点データとに基づいて,特定の誘導交
差点を選択し,視線方向算出手段で,表示基準点,経路
注視点および選択された誘導交差点に基づいて,座標変
換行列の決定に必要な視線方向角度を算出することによ
り,曲折方向を誘導すべき交差点である誘導交差点に自
車両が接近した場合における該誘導交差点直前での曲折
方向の視認性が向上する。
【0036】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項2)は,表
示基準点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接
近した場合,視線方向算出手段において,表示基準点か
ら該誘導交差点に向く方向を基準方向として視線方向角
度を算出することにより,曲折方向を誘導すべき交差点
である誘導交差点が,表示画面の中心付近に表示され
る。
【0037】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項3)は,表
示基準点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接
近した場合,視線方向算出手段において,該誘導交差点
に対する経路の進入方向を基準方向として視線方向角度
を算出することにより,現在の自車両の進行方向に関わ
らず,曲折方向が正確に画面上に表示される。
【0038】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項4)は,視
線方向算出手段で,表示基準点から該誘導交差点に向く
方向,もしくは誘導交差点に対する経路の進入方向を第
1の基準方向とし,さらに該誘導交差点よりも先にある
誘導交差点もしくは経路注視点に基づいて第2の基準方
向を決定し,第1の基準方向および第2の基準方向の両
方に基づいて,視線方向角度を算出することにより,誘
導交差点直前での曲折方向の視認性が確保され,さらに
誘導交差点通過直後の視線変化が少なくなる。
【0039】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項5)は,視
線方向算出手段で,基準方向または第1の基準方向が画
像表示手段上で所定の角度以上傾かないように視線方向
角度を算出することにより,視線変化が緩やかになるよ
うに基準方向を傾けて表示する場合でも,曲折方向の最
低限の視認性が確保される。
【0040】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項6)は,視
線方向算出手段で,表示基準点があらかじめ定められた
誘導交差点の1つに接近した場合に,該誘導交差点に基
づいて決定される基準方向,またはそれ以外の場合に,
経路注視点に基づいて決定される基準方向と,表示基準
点が移動する1時点前において算出された視線方向との
重み付け平均から現時点における視線方向角度を算出
し,該基準方向と該前時点における視線方向との相異の
度合いに応じて,該重み付け平均の算出に用いる重みの
値を変化させることにより,視線変化の追随性が速ま
り,経路前方の見通しが確保される。
【0041】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項7)は,視
線方向算出手段で,表示基準点があらかじめ定められた
誘導交差点の1つに接近した場合に,該誘導交差点に基
づいて決定される基準方向,またはそれ以外の場合に,
経路注視点に基づいて決定される基準方向と,表示基準
点が移動する1時点前において算出された視線方向との
重み付け平均から現時点における視線方向角度を算出
し,ただし表示基準点が誘導交差点を通過した直後にお
いては該重み付け平均をとらずに該基準方向をそのまま
現時点における視線方向角度とすることにより,通過後
の視線変化が,完全に経路の方向変化に追随し,経路前
方の見通しが確保される。
【0042】
【実施例】以下,この発明の経路・交差点誘導機能付鳥
瞰図表示ナビゲーションシステムについて,〔実施例
1〕,〔実施例2〕,〔実施例3〕の順に図面を参照し
て詳細に説明する。
【0043】〔実施例1〕図1は,実施例1の経路・交
差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステムの構
成を示し,このシステムは,大別すると,地図情報を格
納しておく外部記憶装置101と,地図上の表示領域を
決定する表示基準点を決定する表示基準点決定装置10
2と,鳥瞰図表示に必要な所定の演算処理を行う演算処
理装置103と,地図画像を表示する画像表示装置10
4とから構成される。
【0044】また,演算処理装置103をさらに機能別
に分解すると,経路データを記憶する経路データ記憶部
103aと,経路上の注視点を算出する経路注視点算出
部103bと,あらかじめ定められた誘導交差点データ
を記憶する誘導交差点記憶部103cと,誘導交差点の
接近を判定し特定の誘導交差点を選択する誘導交差点選
択部103dと,視線方向角度を算出する視線方向算出
部103eと,表示基準点および視線方向角度に基づい
て,地図情報の選択および透視座標変換に必要な内部パ
ラメータを決定する内部パラメータ決定部103fと,
必要な地図情報を外部記憶装置101から読み込み座標
変換を施して,画像表示装置104に出力する地図デー
タ座標変換部103gとから構成される。
【0045】以上の構成において,その動作を説明す
る。演算処理装置103は,誘導表示を行う場合に,一
連の演算処理を繰り返し行うものである。ここでは,一
連の演算処理のうち,この発明に関係するループ処理に
ついて詳細に説明する。
【0046】図2は,実施例1における演算処理装置1
03の制御フローチャートを示し,先ず,ステップS2
01においてループ処理の初期設定として前回視線方向
φ-1の値をnone(未定義)にセットする。
【0047】次に,ステップS202,S203におい
て従来例と同様に表示基準点Pおよび経路注視点Qが決
定される。続いて,ステップS204において誘導交差
点選択部103dが,経路上の点Pと点Qの間にあらか
じめ誘導交差点記憶部103cに格納されている誘導交
差点と一致するものが存在するか否かを判定する。
【0048】なお,経路データおよび誘導交差点データ
は,例えば,図3に示すような形で経路データ記憶部1
03aおよび誘導交差点記憶部103cにそれぞれ格納
されている。経路データの定義は,従来例と同様である
ので詳細な説明を省略するが,自車両の進路を示す一連
の道路リンクデータlinkと,それらを接続している
ノードデータnodeの集合から構成され,数3のよう
に定義されている。
【0049】
【数3】
【0050】ここでnは,設定経路を構成するリンク総
数である。これらは利用者によって登録されたものでも
よいし,システムが算出した推奨経路,あるいはシステ
ムが擬似的に設定した予想経路であってもよい。
【0051】また,誘導交差点データintsecは,
経路ノードデータnodeの部分集合であり,数4のよ
うに定義されている。
【0052】
【数4】
【0053】ここでmは,設定経路に対する誘導交差点
の総数である。これらのデータは経路が設定された時点
で利用者が入力設定したものでもよいし,例えば『3本
以上のリンク(経路リンクデータ以外のリンクを含む)
を接続する経路ノードデータのうち,直進方向に対して
45°以上の角度を持って2本の経路リンクを接続する
もの』などと定義して,経路設定時にシステムが自動的
に算出したものであってもよい。
【0054】再び,図2のフローチャートに戻って,ス
テップS204で,誘導交差点選択部103dは表示基
準点Pと経路注視点Qとの間に誘導交差点データint
secの中の要素が存在するかどうかを調べ,存在する
ならステップS205においてその中で最も点Pに近い
ものを選択しこれをRi とし,さらに現在位置である点
PからRi を見る方向arg(Ri −P),またはRi
に対する経路の進入角arg(Ri −Ri-1 )を,視線
方向の基準方向としてパラメータψにセットする。
【0055】一方,誘導交差点が存在しないならば,ス
テップS206において点Pから経路注視点Qを見る方
向をψにセットする。
【0056】次に,ステップS207において前回視線
方向φ-1が未定義であれば,すなわち,誘導表示のルー
プ処理の1巡目なら,ステップS208に進み,この基
準方向ψをそのまま現時点での視線方向φとしてセット
する。
【0057】前回視線方向φ-1が定義されていれば,φ
-1とψとの重み付け平均を求めるためにステップS20
9,S210へ進み,まず,ステップS209でその重
みを決定する。これは,例えば,誘導交差点を通過した
直後のように,それまで視線の向いていた方向φ-1と現
在注目したい方向ψとが大きく変化する場合において,
視線方向の変化を速く追随させて通過後の経路の見通し
を確保できるようにするためである。
【0058】なお,重みwと,前回視線方向φ-1,視線
方向φとの関係は,(1)式によって定義されるため,
(1)式から明らかなように,前時点の視線方向φ-1
φに対する影響は重みwが小さいほど小さくなる。した
がって,重みwを決定する関数Fとしては,例えば,図
4(a)〜(c)に示すように,φ-1とψとの差の絶対
値を直接の引数として,これが大きいはどwが小さくな
るような単調減少関数F1 ,F2,F3などを考えれば
よい。 φ=wφ-1+(1−w)ψ ただし,0<w<1‥‥(1)
【0059】重みwが決定したらステップS210にお
いて,(1)式により重み付け平均を求め,視線方向φ
を決定する。
【0060】こうして決定された視線方向φは,ステッ
プS211において,表示基準点Pの位置と共に内部パ
ラメータ決定部103fに出力され,表示対象領域の地
図上の位置と方向が決定される。また,視点Vの位置座
標(Vx,Vy,Vz)も逆算により求められる。地図
データ座標変換部103gは必要なら地図データを外部
記憶装置101から読み込み座標変換を施して画像表示
装置104に出力する。
【0061】描画が終了すると,ステップS212にお
いて視線方向算出部103eは計算に用いた視線方向φ
の値を前回視線方向としてφ-1に格納し,ステップS2
13において誘導表示ループを終了するかを判断し,終
了しないのならステップS202から表示手続きを繰り
返す。
【0062】図5は,図2のフローチャートで示したア
ルゴリズムにしたがった表示画面例を示す。図5(a)
において,自車両が点Pにあるとき,経路注視点Qとの
間には誘導交差点Ri が存在する。この時点での視線の
基準方向ψはPからRi を見る方向とする。これが誘導
表示の第1巡目であるならψはそのまま視線方向φとし
て用いられ,画面501に示すような表示画面になる。
【0063】次に,図5(b)において,自車両が点P
の位置まで進んだとする。依然として点Qとの間には誘
導交差点Ri があるため基準方向ψは図示の方向にな
る。一方,図5(b)では,視線方向φはφ-1(すなわ
ち,図5(a)におけるφ)とψとの重み付け平均によ
り求められるが,この場合は両者の差が小さいので重み
wは大きくなり,比較的φ-1よりの角度が視線方向φと
して求められ,画像502に示すような表示画面が得ら
れる。
【0064】図5(c)において,自車両が点Pまで進
むと,今度は点Qとの間に誘導交差点はないため,基準
方向ψは点Pから点Qを見る方向となる。さらに重みw
はφ -1(すなわち,図5(b)におけるφ)とψとの差
か大きくなるため小さな値となり,重み付け平均として
求められる視線方向φは比較的ψよりの角度となって画
像503に示すように交差点を曲がった後の進路に大き
く振られた表示画面となる。
【0065】前述したように実施例1では,経路注視点
算出部103bで,経路データおよび表示基準点に基づ
いて,経路上の特定の点を経路注視点として算出し,誘
導交差点選択部103dで,該経路注視点と誘導交差点
記憶部103cに記憶してある誘導交差点データとに基
づいて,特定の誘導交差点を選択し,視線方向算出部1
03eで,表示基準点,経路注視点および選択された誘
導交差点に基づいて,座標変換行列の決定に必要な視線
方向角度を算出するので,自車両が,曲折方向を誘導す
べき誘導交差点に接近した場合における誘導交差点直前
での曲折方向の視認性の向上を図ることができ,さらに
誘導交差点通過直後における視線変化の追従性を速め経
路前方の見通しを確保することができる。
【0066】具体的には,上記実施例1の画面501〜
503を,図14で示した従来の画面1401〜140
3と比較すると,実施例1では,誘導交差点直前では交
差点が画面正面に表示され,左折しなければならないこ
とがわかりやすい表示になっており,さらにそれにも関
わらず交差点通過後は視線方向が大きく変化して通過後
の経路を従来並みに見通すことのできる表示となってい
る。
【0067】〔実施例2〕実施例2は,演算処理装置1
03の視線方向算出部103eにおいて,基準方向と1
時点前の視線方向とから重み付け平均により現時点にお
ける視線方向を算出する場合に,誘導交差点通過直後に
おいては重み付け平均をとらずに基準方向をそのまま現
時点における視線方向として算出するものである。な
お,実施例2の構成は,図1に示した実施例1と共通に
付き,ここでは異なる部分のみを説明する。
【0068】図6は,実施例2における演算処理装置1
03の制御フローチャートを示し,先ず,ステップS6
01においてループ処理の初期設定として前回表示基準
点を示すパラメータP-1をnone(未定義)にセット
する。
【0069】次に,ステップS602においては表示基
準点Pを決定し,ステップS603において経路注視点
Qを算出し,ステップS604において点P,Q間の誘
導交差点の有無を調べる。ここで,誘導交差点があれ
ば,ステップS605において最も点Pに近いものをR
i として,視線の基準方向ψを点PからRi を見る方
向,またはRi に対する経路の進入方向にセットする。
一方,誘導交差点がなければステップS606において
点Pから点Qを見る方向をψにセットする。
【0070】続いて,視線方向算出部103eは,ステ
ップS607において前回表示基準点P-1の値が定義さ
れているか否かを調べ,未定義ならば,繰り返し処理の
1巡目であるからステップS609において現時点での
視線方向φの値をψとする。また,前回表示基準点P-1
の値が定義されているならば,ステップS608におい
て前回表示基準点P-1と現在の自車両位置である表示基
準点Pとの間に誘導交差点があるかどうかを調べる。
【0071】誘導交差点が存在するならば,自車両はこ
の時点において誘導交差点を通過した直後であることに
なるから,前の時点での視線方向との重み付け平均をと
らずに,ステップS609に進み,現在の基準方向ψの
値をそのまま視線方向φとする。
【0072】一方,上記P-1,P間に誘導交差点が存在
しないならば,ステップS610において,前回視線方
向φ-1と基準方向ψとの重み付け平均を求め,視線方向
φを求める。
【0073】こうして決定された視線方向φは,ステッ
プS611において,表示基準点Pの位置と共に内部パ
ラメータ決定部103fに出力され,表示対象領域の地
図上の位置と方向が決定される。また,視点Vの位置座
標(Vx,Vy,Vz)も逆算により求められる。地図
データ座標変換部103gは必要なら地図データを外部
記憶装置101から読み込み座標変換を施して画像表示
装置104に出力する。
【0074】描画が終了すると,ステップS612にお
いて視線方向算出部103eは計算に用いた視線方向φ
の値を前回視線方向としてφ-1に格納し,さらに表示基
準点Pを前回表示基準点としてP-1に格納する。その
後,ステップS613において誘導表示ループを終了す
るかを判断し,終了しないのならステップS602から
表示手続きを繰り返す。
【0075】図7は,図6のフローチャートで示したア
ルゴリズムにしたがった表示画面例を示す。図7(a)
において自車両が点Pにあるとき,経路注視点Qとの間
には誘導交差点Ri が存在する。この時点での視線の基
準方向ψは点Pから誘導交差点Ri を見る方向とする。
前回表示基準点P-1が未定義なら誘導表示の第1巡目で
あるから,基準方向ψはそのまま視線方向φとして用い
られ,画面701で示すような表示画面になる。
【0076】次に,図7(b)において自車両が点Pの
位置まで進んだとする。依然として経路注視点Qとの間
には誘導交差点Ri があるため,基準方向ψは図示の方
向になる。ここで点P-1,P間を調べると,誘導交差点
は存在しない,すなわち自車両は未だ誘導交差点を通過
していないから,視線方向φはφ-1(図7(a)におけ
るφ)とψとの重み付け平均により求められ,画面70
2で示すような表示画面が得られる。
【0077】さらに,図7(c)において自車両が点P
まで進むと,今度は基準方向ψは点Pから点Qを見る方
向となる。また,点P-1,P間に誘導交差点(図7
(b)おけるRi )が存在するから,この時点では基準
方向ψをそのまま視線方向φとして座標変換を行い,画
面703で示すように交差点を曲がった後の進路をまっ
すぐ見通す表示画面となる。
【0078】図7の画面701〜703を,図5で示し
た実施例1の画面501〜503と比較すると,誘導交
差点直前では実施例1同様交差点が画面正面に表示さ
れ,さらに交差点通過後は通過後の経路を完全に見通す
ことのできる表示となっている。
【0079】前述したように実施例2によれば,実施例
1と同様の効果を奏し,さらに誘導交差点通過後におい
ては,曲折後の経路の見通しを完全に確保することがで
きる。
【0080】〔実施例3〕実施例3は,演算処理装置1
03の視線方向算出部103eにおいて,表示基準点が
あらかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した場
合,表示基準点から該誘導交差点に向く方向,もしくは
該誘導交差点に対する経路の進入方向を第1の基準方向
とし,さらに該誘導交差点よりも先にある誘導交差点も
しくは経路注視点に基づいて第2の基準方向を決定し,
第1の基準方向および第2の基準方向に基づいて視線方
向角度を算出すものである。なお,実施例3の構成
は,図1に示した実施例1と共通に付き,ここでは異な
る部分のみを説明する。
【0081】図8は,実施例3における演算処理装置1
03の制御フローチャートを示し,先ず,ステップS8
01はループ処理の初期設定であり,前回表示基準点P
-1をnone(未定義)にセットする。次に,ステップ
S802,ステップS803においては表示基準点P,
経路注視点Qを求め,ステップS804において点P,
Q間の誘導交差点の有無を調べる。ここで誘導交差点が
ある場合は,以下の手順にしたがって視線方向φを定め
る。
【0082】先ず,ステップS805において点P,Q
間において最も点Pに近い誘導交差点をRi として,第
1の視線の基準方向(第1の基準方向)ψ1を点Pから
iを見る方向,またはRi に対する経路の進入方向に
セットする。
【0083】次に,ステップS806において点Ri
Q間の誘導交差点の有無を調べ,もし存在するならステ
ップS807においてその中で最もRi に近い誘導交差
点(Ri の次に来る誘導交差点)をRj にセットする。
そして点Pから点Rj を見る方向,または点Rj に対す
る経路の進入方向を第2の視線の基準方向(第2の基準
方向)としてψ2にセットする。一方,点Ri ,Q間に
誘導交差点がなければ,ステップS808において点P
から点Qを見る方向をψ2にセットする。
【0084】このように定めた2つの基準方向は,ψ1
は現時点で最優先して見たい視線方向を,ψ2は誘導交
差点Ri を通過した後に最優先して見たいが,現時点で
は優先度は低い視線方向をそれぞれ表している。そこ
で,視線方向φとしては,ψ2を反映しつつも最優先の
ψ1が画面上である角度ωs以上傾かないような角度を
とることにする。
【0085】ここで,この画面上の傾き角ωsについて
図9を参照して説明する。なお,簡単のために視点Vは
z軸上のある高さの点にあり,俯角θをもってy軸の正
方向を見下ろしているものとする。また,図中に示した
点Mを表示基準点であるとし,点Vから点Mを見る方向
は地表面に対して角度δで交わっているとする。点Vか
ら表示画面を見る縦方向の視野角を2βとすれば,点M
の透視投影点Msが画面内の中央線上に表示されている
範囲は,θ−β<δ<θ+βである。
【0086】さらに,表示基準点Mよりy軸に対して角
度ωの方向にある地図上の点をN,点Nの透視投影点を
Nsとする。ここで,例えば,本来見たい方向(すなわ
ち,第1の基準方向ψ1)が地図上の点Mから点Nに向
かう方向であるにもかかわらず,実際にはそれより角度
ωだけ傾いた方向(ここでは,y軸方向)を視線方向と
して透視変換画像を作成したのだとすれば,画面上での
MN方向,すなわちMsからNsに延びる方向は正面方
向に対してωsだけ傾いて表示される。一般にωsは地
図上の実際の傾き角ωよりも大きくなる。両者の関係
は,数5で表される。
【0087】
【数5】
【0088】表示画面上Msの位置が常に下辺よりdの
位置に固定されるように表示基準点Mを定めるとすれ
ば,角度δは,数6に示すように,位置d,俯角θ,視
野角β,視点Vと視平面との理論的距離Dsより一意に
求めることができる。
【0089】
【数6】
【0090】あるいはMsは表示画面のはぼ中央に来る
と大まかに過程すればδ≒θであるから,これにより数
5を変形し,数7としても良い。
【0091】
【数7】
【0092】ここで,誘導交差点での右左折方向が見や
すくなるように画面上の傾き角ωsを指定してやれば,
逆に実空間における傾きの許容角ωを求めることができ
る。例えば,θ=18°のとき,ωs=45°と指定す
れば数7からω=17.2°が求められる。
【0093】こうしてあらかじめ求めておいたωを用い
て2つの基準方向ψ1,ψ2から視線方向φを求める。
図8のフローチャートに戻って,ステップS809にお
いてはψ1,ψ2の差の絶対値がωよりも小さいかどう
かを調べる。小さい場合にはψ2の方向を視線方向とし
ても最優先すべきψ1の方向は表示画面上でωs以上傾
くことはないから,ステップS810においては視線方
向φとしてψ2をとる。また,ψ1,ψ2の差の絶対値
がω以上の場合はステップS811において,さらに所
定角度(例えば,ω+90°)よりも小さいかを調べ
る。小さいならばステップS812において視線方向φ
をψ1よりψ2の方向にωだけ回転させた角度とする。
すなわち,数8によって視線方向φを求める。
【0094】
【数8】
【0095】数8によりφを定めてこれを視線方向とす
れば,最優先して見たいψ1の方向は画面上で許容範囲
の限界であるωsまでしか傾かず,またφとψ2との差
は90°以内であるから画面上のψ2方向も真横より奥
向きになることが保証される。
【0096】ステップS811において,2つの基準方
向の差がω+90°以上になる場合は,視線方向にψ2
を反映するよりもψ1方向を表示することを優先し,ス
テップS813において,例えばψ1をそのまま視線方
向φと定める。以上によって表示基準点Pから経路注視
点Qまでの間に誘導交差点が存在する場合の視線方向φ
が求められる。
【0097】一方,ステップS804に戻って点P,Q
間に誘導交差点がない場合は,ステップS814におい
て,点Pから点Qを見る方向を視線の基準方向ψとお
き,例えば,実施例2と同様に前回視線方向φ-1との重
み付け平均により視線方向を決定する。すなわち,ステ
ップS815においてはP-1の値が決定しているか否か
を調べ,未定義ならば,ステップS817においてφの
値をψとする。また,P -1の値が決定しているならば,
ステップS816においてこれと現在の自車両位置Pと
の間に誘導交差点があるか,すなわち交差点通過直後か
否かを調べる。通過直後なら,ステップS817におい
てやはりψの値をそのまま視線方向φとする。そうでな
ければステップS818において前回視線方向φ-1と基
準方向ψとの重み付け平均を求め,視線方向φを求め
る。
【0098】こうして決定された視線方向φは,ステッ
プS819において,表示基準点Pの位置と共に内部パ
ラメータ決定部103fに出力され,表示対象領域の地
図上の位置と方向が決定される。また,視点Vの位置座
標(Vx,Vy,Vz)も逆算により求められる。地図
データ座標変換部103gは必要なら地図データを外部
記憶装置101から読み込み座標変換を施して画像表示
装置104に出力する。
【0099】描画が終了すると,ステップS820にお
いて視線方向算出部103eは計算に用いた視線方向φ
の値を前回視線方向としてφ-1に格納し,さらに表示基
準点Pを前回表示基準点としてP-1に格納する。その
後,ステップS821において誘導表示ループを終了す
るかを判断し,終了しないのならステップS802から
表示手続きを繰り返す。
【0100】図10は,図8のフローチャートで示した
アルゴリズムにしたがった表示画面例を示す。図10
(a)において点P,Q間に誘導交差点は1つだけ存在
しこれをRi とすると,ψ1はRi を見る方向,ψ2は
Qを見る方向である。両者の差はあらかじめ定めた傾き
の許容角ωよりも小さいので,視線方向φとしてψ2を
とり,画面1001に示すような表示画面を得る。
【0101】また,図10(b)において,自車両が点
Pまで進むと,点P,Q間にはRi,Rj の2つの誘導
交差点が存在し,それぞれを見る方向がψ1,ψ2とな
る。今度は両者の差はωより大きくなるため,φをψ1
よりψ2の方向にωだけ回転させた角度とし,画面10
02に示すような表示画面を得る。
【0102】さらに,図10(c)においては,点P,
Q間に誘導交差点はRi (図10(b)のRj に相当)
1つのみとなり,同様に2つの基準方向を定めた後,ψ
1よりψ2の方向にωだけ回転させた角度を視線方向と
する。この場合,画面1003に示すような表示画面を
得る。
【0103】また,図10(d)においては,点P,Q
間に誘導交差点はないため,点Pから点Qを見る方向
を視線の基準方向ψとする。ここで,自車両は誘導交差
点(図10(c)のRi に相当)を通過した直後である
から,φとしてψをそのままとる。この場合,画面10
04に示すような表示画面を得る。
【0104】以上の表示において自車両から最も近い誘
導交差点を見る方向ψ1は画像上である角度以上傾かな
いことが保証される。なお,図10においては|ψ1−
ψ2|との関係を見やすくするためωを比較的大きな値
とした例を示したが,これを小さく設定することにより
画面上のψ1の傾き角をいくらでも小さく制限すること
ができる。
【0105】前述したように実施例3によれば,実施例
1と同様の効果に加えて,さらに,接近した誘導交差点
の方向を第1の基準方向とし,該誘導交差点通過直後に
注目すべき方向を第2の基準方向と定め,両者に基づき
視線方向を決定することとしたため,交差点直前での曲
折方向の視認性を確保しつつ,交差点通過後の視線変化
を少なくすることができる。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように,この発明の経路・
交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステム
(請求項1)は,経路注視点算出手段で,経路データお
よび表示基準点に基づいて,経路上の特定の点を経路注
視点として算出し,誘導交差点選択手段で,該経路注視
点と誘導交差点記憶手段に記憶してある誘導交差点デー
タとに基づいて,特定の誘導交差点を選択し,視線方向
算出手段で,表示基準点,経路注視点および選択された
誘導交差点に基づいて,座標変換行列の決定に必要な視
線方向角度を算出するため,自車両が,曲折方向を誘導
すべき交差点に接近した場合における該交差点直前での
曲折方向の視認性の向上を図ると共に,該交差点通過直
後における視線変化の追従性を速め経路前方の見通しを
確保することができる。
【0107】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項2)は,表
示基準点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接
近した場合,視線方向算出手段において,表示基準点か
ら該誘導交差点に向く方向を基準方向として視線方向角
度を算出するため,曲折方向を誘導すべき交差点である
誘導交差点を画面中心付近に表示することができ,交差
点直前での曲折方向の視認性の向上を図ることができ
る。
【0108】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項3)は,表
示基準点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接
近した場合,視線方向算出手段において,該誘導交差点
に対する経路の進入方向を基準方向として視線方向角度
を算出するため,現在の自車両の進行方向に関わらず,
曲折方向を正確に画面上に表示することができ,交差点
直前での曲折方向の視認性の向上を図ることができる。
【0109】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項4)は,視
線方向算出手段で,表示基準点から該誘導交差点に向く
方向,もしくは誘導交差点に対する経路の進入方向を第
1の基準方向とし,さらに該誘導交差点よりも先にある
誘導交差点もしくは経路注視点に基づいて第2の基準方
向を決定し,第1の基準方向および第2の基準方向の両
方に基づいて,視線方向角度を算出するため,交差点直
前での曲折方向の視認性を確保しつつ,交差点通過後の
視線変化を少なくすることができる。
【0110】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項5)は,視
線方向算出手段で,基準方向または第1の基準方向が画
像表示手段上で所定の角度以上傾かないように視線方向
角度を算出するため,視線変化が緩やかになるように基
準方向を傾けて表示する場合でも,曲折方向の最低限の
視認性を確保することができる。
【0111】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項6)は,視
線方向算出手段で,表示基準点があらかじめ定められた
誘導交差点の1つに接近した場合に,該誘導交差点に基
づいて決定される基準方向,またはそれ以外の場合に,
経路注視点に基づいて決定される基準方向と,表示基準
点が移動する1時点前において算出された視線方向との
重み付け平均から現時点における視線方向角度を算出
し,該基準方向と該前時点における視線方向との相異の
度合いに応じて,該重み付け平均の算出に用いる重みの
値を変化させるため,視線変化の追随性を速め,経路前
方の見通しを確保することができる。
【0112】また,この発明の経路・交差点誘導機能付
鳥瞰図表示ナビゲーションシステム(請求項7)は,視
線方向算出手段で,表示基準点があらかじめ定められた
誘導交差点の1つに接近した場合に,該誘導交差点に基
づいて決定される基準方向,またはそれ以外の場合に,
経路注視点に基づいて決定される基準方向と,表示基準
点が移動する1時点前において算出された視線方向との
重み付け平均から現時点における視線方向角度を算出
し,ただし表示基準点が誘導交差点を通過した直後にお
いては該重み付け平均をとらずに該基準方向をそのまま
現時点における視線方向角度とするため,通過後の視線
変化を完全に経路の方向変化に追随させて経路前方の見
通しを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示
ナビゲーションシステムの構成図である。
【図2】実施例1における演算処理装置の制御フローチ
ャートである。
【図3】経路データおよび誘導交差点データの例を示す
説明図である。
【図4】重みwを決定する関数Fの例を示す説明図であ
る。
【図5】図2のフローチャートで示したアルゴリズムに
したがった表示画面例を示す説明図である。
【図6】実施例2における演算処理装置の制御フローチ
ャートである。
【図7】図6のフローチャートで示したアルゴリズムに
したがった表示画面例を示す説明図である。
【図8】実施例3における演算処理装置の制御フローチ
ャートである。
【図9】実施例3における画面上の傾き角ωsを示す説
明図である。
【図10】図8のフローチャートで示したアルゴリズム
にしたがった表示画面例を示す説明図である。
【図11】従来の鳥瞰図表示ナビゲーションシステムの
構成例を示す説明図である。
【図12】従来の鳥瞰図表示ナビゲーションシステムの
動作を示すフローチャートである。
【図13】視点,視線,表示画面および表示対象領域の
関係を示す説明図である。
【図14】図12のフローチャートで示したアルゴリズ
ムにしたがった表示画面例を示す説明図である。
【符号の説明】
101 外部記憶装置 102 表示
基準点決定装置 103 演算処理装置 104 画像表示装置 103a 経路データ記憶部 103b 経
路注視点算出部 103c 誘導交差点記憶部 103d 誘
導交差点選択部 103e 視線方向算出部 103f 内
部パラメータ決定部 103g 地図データ座標変換部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−244188(JP,A) 特開 平6−20198(JP,A) 特開 平6−265366(JP,A) 特開 平5−142995(JP,A) 特開 平6−347280(JP,A) 特開 平5−257436(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 21/00 G08G 1/0969 G09B 29/00 - 29/10 G06T 1/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地図情報を記憶する外部記憶手段と,地
    図上の表示基準点を決定する表示基準点決定手段と,鳥
    瞰図表示に必要な演算処理を行う演算処理手段と,地図
    情報を表示する画像表示手段とを備えた鳥瞰図表示ナビ
    ゲーションシステムにおいて,前記演算処理手段は,あ
    らかじめ定められた推奨経路等の経路データを記憶する
    経路データ記憶手段と,前記経路データおよび表示基準
    点に基づいて,経路上の特定の点を経路注視点として算
    出する経路注視点算出手段と,経路上にあらかじめ定め
    られた誘導交差点データを記憶する誘導交差点記憶手段
    と,前記経路注視点および誘導交差点データに基づい
    て,特定の誘導交差点を選択する誘導交差点選択手段
    と,前記表示基準点,経路注視点および選択された誘導
    交差点に基づいて,座標変換行列の決定に必要な視線方
    向角度を算出する視線方向算出手段と,前記表示基準点
    および視線方向角度に基づいて,地図情報の選択および
    透視座標変換に必要な内部パラメータを決定する内部パ
    ラメータ決定手段と,前記内部パラメータに基づいて,
    表示に必要な地図情報を前記外部記憶手段から選択して
    読み込み,前記読み込んだ地図情報に対して透視座標変
    換を施した後,前記画像表示手段に出力する地図データ
    座標変換手段とを備えたことを特徴とする経路・交差点
    誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステム。
  2. 【請求項2】 前記視線方向算出手段は,前記表示基準
    点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した
    場合,表示基準点から該誘導交差点に向く方向を基準方
    向として前記視線方向角度を算出することを特徴とする
    請求項1記載の経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビ
    ゲーションシステム。
  3. 【請求項3】 前記視線方向算出手段は,前記表示基準
    点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した
    場合,該誘導交差点に対する経路の進入方向を基準方向
    として前記視線方向角度を算出することを特徴とする請
    求項1記載の経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲ
    ーションシステム。
  4. 【請求項4】 前記視線方向算出手段は,前記表示基準
    点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した
    場合,表示基準点から該誘導交差点に向く方向,もしく
    は該誘導交差点に対する経路の進入方向を第1の基準方
    向とし,さらに該誘導交差点よりも先にある誘導交差点
    もしくは経路注視点に基づいて第2の基準方向を決定
    し,前記第1の基準方向および第2の基準方向に基づい
    て前記視線方向角度を算出することを特徴とする請求項
    1記載の経路・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーシ
    ョンシステム。
  5. 【請求項5】 前記視線方向算出手段は,前記基準方向
    または前記第1の基準方向が前記画像表示手段上で所定
    の角度以上傾かないように前記視線方向角度を算出する
    ことを特徴とする請求項2,3または4記載の経路・交
    差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステム。
  6. 【請求項6】 前記視線方向算出手段は,前記表示基準
    点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した
    場合に,該誘導交差点に基づいて決定される基準方向お
    よび前記表示基準点が移動する1時点前において算出さ
    れた視線方向との重み付け平均から現時点における視線
    方向角度を算出し,前記表示基準点があらかじめ定めら
    れた誘導交差点の何れにも接近していない場合には,前
    記経路注視点に基づいて決定される基準方向および前記
    表示基準点が移動する1時点前において算出された視線
    方向との重み付け平均から現時点における視線方向角度
    を算出し,前記基準方向と前記1時点前における視線方
    向との相異の度合いに応じて,該重み付け平均の算出に
    用いる重みの値を変化させることを特徴とする請求項
    1,2,3,4または5記載の経路・交差点誘導機能付
    鳥瞰図表示ナビゲーションシステム。
  7. 【請求項7】 前記視線方向算出手段は,前記表示基準
    点があらかじめ定められた誘導交差点の1つに接近した
    場合に,該誘導交差点に基づいて決定される基準方向お
    よび前記表示基準点が移動する1時点前において算出さ
    れた視線方向との重み付け平均から現時点における視線
    方向角度を算出し,前記表示基準点があらかじめ定めら
    れた誘導交差点の何れにも接近していない場合には,前
    記経路注視点に基づいて決定される基準方向および前記
    表示基準点が移動する1時点前において算出された視線
    方向との重み付け平均から現時点における視線方向角度
    を算出し,かつ,前記表示基準点が誘導交差点を通過し
    た直後においては前記重み付け平均をとらずに前記基準
    方向をそのまま現時点における視線方向角度とすること
    を特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の経路
    ・交差点誘導機能付鳥瞰図表示ナビゲーションシステ
    ム。
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