JP3248303B2 - 湿し水管理装置 - Google Patents

湿し水管理装置

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JP3248303B2
JP3248303B2 JP16785893A JP16785893A JP3248303B2 JP 3248303 B2 JP3248303 B2 JP 3248303B2 JP 16785893 A JP16785893 A JP 16785893A JP 16785893 A JP16785893 A JP 16785893A JP 3248303 B2 JP3248303 B2 JP 3248303B2
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dampening
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフセット印刷機で循
環使用される湿し水の濃度を管理する装置に関し、さら
に詳細には、インキ、紙の微細片等からなる不純物およ
びエッチ液を含んだ湿し水中のエッチ液濃度を管理する
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オフセット印刷法等では、インキ
が載ってはならない非画線部にいわゆる湿し水を付着さ
せてインキを弾かせるようにし、これにより版上での絵
柄に応じたインキの付着の有無を制御している。従っ
て、湿し水の機能をいかに高性能に維持管理するかは、
オフセット印刷法による印刷品の品質に対して非常に重
大な問題となっている。そして通常、前記湿し水中に
は、水と、エッチ液(湿し水に添加して使用する液)
と、アルコール(イソプロピルアルコールまたはエチル
アルコール等)等が含まれている。
【0003】アルコールの含有量は微量ではあるが、湿
し水の表面張力を低下させることにより版への濡れを良
好にし、しいては湿し水が版全体へ均一に広がるように
作用する。つまり適量のアルコールはオフセット印刷法
の原理的な部分の性能に強く貢献している。
【0004】また、エッチ液中にはアラビアゴム(水溶
性高分子からなるコロイド物質であり)含まれている。
アラビアゴムはいわゆる不感脂化作用を有しているが、
この作用はpH値によって大きな影響を受け、ある酸性
域で最も機能を発揮すると考えられている。このことか
ら通常、湿し水はある酸性域(一般には、pH値4.0
乃至6.5)で使用されることが多い。ところで、湿し
水を循環使用(湿し水の節約から一般的に実施されてい
る)した場合、通常、印刷機で消費されずに戻ってくる
湿し水中には、インキ、紙の微細片等の不純物が混入し
ている。一般に、紙は成分として炭酸カルシウムを含ん
でいるため、湿し水中における炭酸カルシウムの量が増
大するにつれて湿し水中のpH値は上昇していく傾向に
ある。このため、湿し水中のpH値に基づく管理では、
上記炭酸カルシウムの存在により湿し水中のエッチ液濃
度を正確に判断することが困難となってしまう欠点があ
った。
【0005】さて、湿し水管理装置としては、使用中の
pH値をモニターし、その結果に基づいて湿し水中のエ
ッチ液の濃度管理を行なっていた。尚、これとは別に、
前記アルコールについての観点から、湿し水中のアルコ
ールの濃度をモニターして、その結果に基づいてアルコ
ールの濃度管理を行なうものもあった。
【0006】このことから、例えば特開昭56−157
360号公報に開示の発明の如く、使用中の湿し水の導
電率をモニターし、これに基づいてエッチ液濃度の管理
をする試みもなされている。これは前記導電率がエッチ
液濃度に比例するという判断に基づいた技術であり、測
定自体が非常に容易であるという利点がある。
【0007】ところが、この導電率に基づく湿し水中の
エッチ液の濃度の判断は、次のように判断を誤らせてし
まうという欠点があった。すなわち、「水舟」(一般に
は、湿し水の入った細長いパッドであり、湿し水循環経
路中に設置され、湿し水は水舟を介して版面に供給され
る。「水溜め」等の別称もみうけられる。)から還流し
てきた湿し水の導電率を計測しているため、湿し水が使
用されてやがて前記の不純物が湿し水中に混入してきた
際には、前記不純物の影響によって湿し水の導電率が変
化してしまう。つまり、湿し水中のエッチ液の濃度と導
電率との関係がくずれてしまうのである。
【0008】あるいはまた、次のような不具合もある。
すなわち、前記のような場合に一般に測定用電極を用い
てある測定をする際には、湿し水中に電極を浸す必要が
あるが、このとき陰極には析出物が生じる。尚、陰極で
あることから、この析出物の材質は陽イオンであると考
えられる。これは使用期間に伴い次第に増加してゆく
が、あまりに長く使用するとやがては電極が使用不可能
になる。すなわち、析出物のために電極の寿命が早く尽
きてしまうということである。これは、析出量が増える
に従い、測定データの精度や信頼性にも影響を与えるう
え、電極が高価な場合には保守費用が高額につきいっそ
う問題となってくる。
【0009】尚、ここで湿し水中のエッチ液濃度〔%〕
は、エッチ液の原液が混合される前の水の量をX、エッ
チ液の原液の量をY、そしてアルコールの量をZとする
と、 100Y/(X+Y+Z) 〔%〕 として定義されるものである。
【0010】また参考までに、湿し水中のアルコール濃
度〔%〕は、同様に、 100Z/(X+Y+Z) 〔%〕 として定義されるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点に
鑑みなされたものであり、その第一の目的とするところ
は、湿し水中のエッチ液の濃度を格段に精度良く管理
し、湿し水中のエッチ液濃度を適切な一定濃度に維持し
える湿し水濃度管理装置を提供し、印刷品質を向上し維
持することにある。さらに第二の目的とするところは、
性能が安定して装置寿命もより永く、保守費用もより経
済的である、という湿し水濃度管理装置を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記問題点を解決するた
めに、本発明が提供する手段を次に述べる。つまり、オ
フセット印刷法で用いられる湿し水のエッチ液濃度を管
理する湿し水管理装置において、次の手段、すなわち、
(イ)前記湿し水中のエッチ液に含まれる硝酸イオン、
亜硝酸イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、硫酸イオ
ン、硫黄イオンの陰イオン、及びナトリウムイオン、ア
ンモニアイオン、カリウムイオンの陽イオンから選択さ
れた少なくとも一種のイオン濃度を測定し、湿し水中に
おける上記イオン濃度情報を出力するイオン濃度測定手
段、(ロ)前記湿し水の温度を測定し、この温度情報を
出力する湿し水温度測定手段、(ハ)前記湿し水の温度
情報に基づき、前記湿し水中における前記イオン濃度情
報を補正するイオン濃度情報補正手段、(ニ)補正され
た前記イオン濃度情報に基づき、湿し水中のエッチ液濃
度を調整するエッチ液濃度調整手段、以上、少なくとも
(イ)乃至(ニ)を具備することを特徴とする湿し水管
理装置である。
【0013】あるいは、オフセット印刷法で用いられる
湿し水のエッチ液濃度を管理する湿し水管理装置におい
て、次の手段、すなわち、(ホ)前記湿し水中のエッチ
液に含まれる硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオ
ン、フッ素イオン、硫酸イオン、硫黄イオンの陰イオ
ン、及びナトリウムイオン、アンモニアイオン、カリウ
ムイオンの陽イオンから選択された少なくとも一種のイ
オン濃度を測定し、湿し水中における上記イオン濃度情
報を出力するイオン濃度測定手段、(ヘ)前記湿し水の
温度を測定し、温度情報を出力する湿し水温度測定手
段、(ト)前記湿し水の温度情報に基づき、前記湿し水
中の前記イオン濃度情報を補正するイオン濃度情報補正
手段、(チ)補正された前記イオン濃度情報を湿し水中
のエッチ液濃度情報に変換し、このエッチ液濃度情報を
出力するエッチ液濃度情報変換手段、(リ)変換された
前記エッチ液濃度情報に基づき、前記湿し水中のエッチ
液濃度を調整するエッチ液濃度調整手段、以上、少なく
とも(ホ)乃至(リ)の各手段を具備することを特徴と
する湿し水管理装置である。
【0014】そして好ましくは、前記エッチ液濃度情報
変換手段がエッチ液濃度情報を表示する手段を具備して
いることを特徴としている前記の湿し水管理装置であ
る。
【0015】そして、特に好ましくは、前記湿し水中の
エッチ液に含まれるイオン濃度を測定する手段がイオン
電極法であることを特徴としている前記の湿し水管理装
置である。
【0016】また、湿し水中のエッチ液に含まれるイオ
ン濃度を測定する前に測定試料となる上記湿し水に混入
された不純物を取り除き、この不純物が除かれた湿し水
を上記イオン濃度測定手段の部位へ供給する不純物分離
手段を具備していることを特徴とする前記の湿し水管理
装置も好ましい。
【0017】それから、湿し水中のエッチ液に含まれる
イオン濃度を測定する前に測定試料となる上記湿し水か
ら陽イオンのみを分離し、この陽イオンが除かれた湿し
水を上記イオン濃度測定手段の部位へ供給する陽イオン
分離手段を具備していることを特徴とする前記の湿し水
管理装置もいっそう好ましい。
【0018】さて、本発明に係わる湿し水管理装置は概
要を述べると、まず、湿し水中の特定のイオン濃度を求
める。このためには、直接的かあるいは間接的方法かを
問わない。例えば、間接的方法として、いわゆるイオン
電極法をあげることができる。(JIS K 0122
参照)。これによると、測定対象とするイオンに応じ
てイオン電極が用意される。そして、このイオン電極は
〔参照電極|被測定溶液|イオン電極〕の測定系におい
て測定対象イオンに感応し、ネルンストの式に従ってそ
のイオン活量に対応した電位差を生じる。イオン活量a
は、活量係数γとイオン濃度mとの間に、a=γ・mの
関係式がある。このことから、前記イオン電極により出
力される電位差によってイオン濃度を算出することがで
きる。
【0019】湿し水中の特定のイオンに着目し(それを
対象イオンと称する)、使用中の湿し水中の対象イオン
の濃度を精度よく求め、それに基づいてエッチ液濃度が
適切な状態にあるか否かを判断し、適切でなければ適切
な状態になるように適度の処置を施す、という各手段が
設けてあるものである。さらには、測定データ自体が、
被測定液である湿し水の温度変化によっても変動するこ
とを考慮し、イオン電極による対象イオン濃度の測定と
並行して、湿し水の温度を測定し、この温度測定データ
に基づいて前記対象イオン濃度の測定データの補正も施
すことにより、対象イオンの濃度をより精度よく把握出
来るようになる。
【0020】そして、その結果に基づいて前記の判断
(エッチ液濃度は適正か異常か、もし適正範囲よりも減
少していれば補充する、との判断)をし、設定値よりも
減少していればエッチ液の補充の処置を施す手段も設け
てある。また、イオン濃度センサのイオン濃度検出部の
寿命を延ばすために、湿し水と混入物とを分離するフィ
ルターを設けて、センサーに悪影響を及ぼすものを排除
出来る手段を追加した。
【0021】測定する対象イオンとしては、湿し水に混
入する前記不純物、pH調整剤、水等に起因したイオン
ではなく、且つエッチ液のみに含まれるイオンが好適で
ある。そして、一般のエッチ液の場合には、対象イオン
としては好適なイオンのうちでも、量的にも最も多く含
まれ且つイオン濃度を求めやすいものとして前記の硝酸
イオン例示できる。
【0022】また、精度をさらに向上させたり、特殊な
エッチ液を使用する等の場合がある。これは、対象イオ
ンを特定しそれに応じたイオン電極を選定しても、対象
イオンとイオン電極との組み合わせによっては、自明的
に測定誤差を生じさせてしまう他のイオン(いわゆる妨
害イオン)が存在する場合があるからである。この場合
の対象イオン、すなわち、硝酸イオンの替わりに測定す
る対象イオンとして、あるいは硝酸イオンと別のイオン
とを別個にイオン濃度測定した結果に基づきエッチ液濃
度を判断する際の対象イオンとしては、前記のリン酸イ
オン、フッ素イオン、硫酸イオン、硫黄イオン、ナトリ
ウムイオン、アンモニアイオン、カリウムイオン、ある
いは亜硝酸イオンを適宜選定して用いればよい。
【0023】尚、本発明に係わる湿し水管理装置は、本
発明とは異なる湿し水管理装置、例えば前記アルコール
の濃度をモニターし、適切か否かの判断あるいは適切な
濃度にするにはどの程度の処置をすればよいのかの判断
をしてその処置を施す、という湿し水管理装置と併用し
ても好ましい効果を発揮する。
【0024】
【作用】本発明に係わる湿し水管理装置によると、水舟
から還流してきた湿し水の状態を把握する際、前記不純
物が湿し水中に混入した状態でその不純物に起因するイ
オンとは異なり且つ使用しているエッチ液に含まれるイ
オンのみを選択的に対象イオンとして濃度をモニター
し、そのに基づいて湿し水のエッチ液濃度を管理してい
るため、前記従来のpH値によるものとか、導電率によ
るものとかと比較して、格段に高精度でエッチ液濃度を
把握することが出来る。その精度の向上の程度は、通常
でもおおよそ2乃至3倍程度は向上し、顕著な場合には
5倍程度もの効果を上げている。
【0025】また、さらにはセンサー部をなす電極の寿
命に関しては、端的な例として前記イオン電極方法によ
る場合、従来は、使用された陰極表面には不要な析出物
が生じてしまい、電極としての寿命が縮まり、性能の維
持と安定性についての問題や高額な交換部品代の問題が
生じていたが、しかし本発明によると、前記析出の原因
(析出の原因の正確な特定は出来ていないが、陰極に析
出することから、少なくとも陽イオンと関わりがあると
考えられる)と考えられる陽イオンを湿し水中から分離
する槽を用いて除去(もしくは減少)することができ
る。
【0026】
【実施例】
<実施例1>本発明に係わる湿し水管理装置の一実施例
を、測定する対象イオンとして特に硝酸イオンを選択し
た場合について、図面にもとづいて以下に説明する。
【0027】(図1)で、湿し水タンク1に貯えられて
いる湿し水30は、循環ポンプ43により送り水パイプ
5を経て水舟31へ送られ、そこで印刷機のローラーに
導かれる。水舟31は湿し水30が所定の液量に保つよ
うに出来ている。印刷機で消費されなかった湿し水30
は、戻り水パイプ6、湿し水サブタンク2、サブタンク
排出パイプ11、循環ポンプ43、冷却機42、を経て
湿し水タンク1へと循環してくる。湿し水30はこのよ
うに循環使用するため、前記したように不純物としてイ
ンキあるいは印刷紙の微細片等が混入する。
【0028】エッチ液の原液は、エッチ液貯蔵タンク3
に貯蔵されている。エッチ液はエッチ液供給ポンプ40
により、エッチ液貯蔵タンク3からエッチ液供給パイプ
41を経て湿し水タンク1へ適量が供給されるようにな
っている。
【0029】モニター用タンク33には、湿し水30が
パイプ5から一部分岐させて送られてくるようになって
おり、且つ測定用センサーが試料である湿し水に十分に
浸漬するよう水位が常に一定に保たれる構造をもち、湿
し水を測定する状態が湿し水タンク1での状態と同一と
なるようにしてある。
【0030】モニター用タンク33内に貯えられた湿し
水30には、エッチ液濃度測定手段としての硝酸イオン
用のイオン濃度測定センサー8(液体膜形イオン電極お
よび参照電極からなる)が浸漬されてあり、さらに湿し
水30の温度を測定する湿し水温度測定手段としての湿
し水測温センサー7が浸漬されている。
【0031】この硝酸イオン濃度測定センサー部は、エ
ッチ液が添加されている湿し水30中の硝酸イオン濃度
を、電極間に発生する起電力をもとにして測定し、硝酸
イオン濃度情報を制御管理手段4に出力する。但し、こ
のときの硝酸イオン濃度値のデータは湿し水の温度によ
る誤差も含んでいるので、測定精度を高める為に、湿し
水温度による補正をする。そこで、湿し水測温センサー
7では、湿し水30の温度を測定し、硝酸イオン濃度情
報の補正用の温度情報を管理制御手段4に出力する。
【0032】制御管理手段4は、(図2)に示すような
マイクコンピュターシステムからなっており、入力手段
20と、システム全体を統括するCPU24と、CPU
24との間でデータのじ授受を行なうRAM23、(図
3)にフローチャートで示されたプログラム等が予め格
納されているROM22、そして出力手段21を有す
る。
【0033】湿し水30中に含まれる硝酸イオン濃度と
湿し水30の温度との関係、及び硝酸イオン濃度とエッ
チ液濃度との関係は、これらをそれぞれ示す特性図に基
づいた補正データがROM22中に表の形で記憶されて
いる。これらの補正データは、測定によりあらかじめ確
認されたデータによって求めてある。
【0034】RAM23には(入力手段20を介し
て)、測定系の校正の為の(硝酸)イオン濃度情報や、
外部にあるエッチ液濃度設定スイッチ15で設定された
値(しきい値であり、湿し水30のエッチ液の濃度を管
理する基準値とする)が取り込まれ、また湿し水中のイ
オン濃度情報、校正用イオン濃度情報そして温度情報に
ついても、一時的に記憶されてる。
【0035】ここで、校正の為の(硝酸)イオン濃度情
報とは、様々な分野の一般的な測定装置と同様に、測定
試料となる湿し水30中のエッチ液に含まれる(硝酸)
イオン濃度を測定する前に、エッチ液濃度が予め判明し
ている湿し水標準サンプルを校正用としてイオン濃度測
定(一点校正の場合なら、例えばエッチ液濃度が3%の
湿し水、そしてエッチ液濃度が0%では出力値は0と仮
定する。好ましくは、他の標準サンプルも使用するが、
作業の手間や実用上の測定精度問題から、二点校正とし
て例えばエッチ液濃度が0%のものでも確認する。)を
行ない、イオン電極の感応特性を予め確認しておく為に
求められる情報である。
【0036】CPU24では、これらのRAM23に記
憶された記憶情報とROM22に記憶された記憶情報と
に基づいて、以下に示すような演算を行う。まず、CP
U24は、実際に測定された湿し水中の硝酸イオン濃度
情報を、校正用の硝酸イオン濃度情報に基づいて校正す
る。そして、湿し水30の温度に基づく湿し水中の硝酸
イオン濃度の変動分も補正する。このようにして、湿し
水30の補正された硝酸イオン濃度が得られる。CPU
24は、その湿し水の補正された硝酸イオン濃度をエッ
チ液濃度に変換し、エッチ液濃度情報として取り扱う。
【0037】次にCPU24は、エッチ液濃度情報が、
外部にあるエッチ液濃度設定スイッチ15を介して予め
設定入力されてあった前記のしきい値と比較して、これ
との高低関係を判断する。出力手段21は、その判断結
果に基づいて、エッチ液供給ポンプ40に起動/停止の
信号を出力する。
【0038】湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定濃
度よりも低い場合には、エッチ液供給ポンプ40が起動
し、エッチ液の原液が湿し水タンク1に供給されて、湿
し水30に含まれているエッチ液の量が増加する。また
湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定濃度と等しい場
合には、エッチ液供給ポンプ40は停止され、湿し水タ
ンク1へのエッチ液原液の供給は停止する。尚、湿し水
中のエッチ液濃度が管理用の設定濃度よりも高くなる現
象は通常では起きえないが、何らかの原因から万一にも
その事態が(現実に、もしくは単なる電気信号上で)発
生した場合には、アラーム信号を発してオペレータへ報
知する仕組みになっている。(アラーム発生装置は、こ
こでは図示していない)
【0039】印刷機の使用中に、これらのプロセスをた
えず繰り返し、湿し水30のエッチ液の濃度が予め設定
されていた濃度管理値に近付けられ、エッチ液濃度は一
定に保たれる。
【0040】尚、前記補正された湿し水30のエッチ液
の濃度換算値、湿し水30の温度情報は、表示装置17
にデジタル表示される。また、このときの処理の概略を
説明するフローチャートを(図3)に示してある。そし
て、通常は本装置は自動的に繰り返し処理を実行してい
る。ここで、装置の停止についてはフローチャート中に
特に明示してはいないが、オペレーターは任意のタイミ
ングで停止の操作(図示しないが、停止スイッチとかあ
るいは停止のコマンドによる操作)を実行することが出
来る。
【0041】<実施例2>この実施例に係わる湿し水管
理装置は、(図4)に示すように上記送り水分岐パイプ
10の途中に不純物分離手段としてフィルター34を配
した点を除き<実施例1>に係わる湿し水管理装置と略
同一である。
【0042】(図4)で、湿し水タンク1に貯えられて
いる湿し水30は、循環ポンプ43により送り水パイプ
5を経て水舟31へ送られ、そこで印刷機のローラーに
導かれる。水舟31は湿し水30が所定の液量に保つよ
うに出来ている。印刷機で消費されなかった湿し水30
は、戻り水パイプ6、湿し水サブタンク2、サブタンク
排出パイプ11、循環ポンプ43、冷却機42、を経て
湿し水タンク1へと循環してくる。湿し水30はこのよ
うに循環使用するため、処置を施さないと、前記不純物
が次々と混入し増加してくる。
【0043】エッチ液の原液は、エッチ液貯蔵タンク3
に貯蔵されている。エッチ液はエッチ液供給ポンプ40
により、エッチ液貯蔵タンク3からエッチ液供給パイプ
41を経て湿し水タンク1へ適量が供給されるようにな
っている。
【0044】モニター用タンク33には、湿し水30が
パイプ5から一部分岐させて送られてくる送り水分岐パ
イプから、フィルター34(ここでは、日本フィルター
製、商品名:ワインドカートリッジ、形式:CS、孔
径:50乃至100μm程度を使用)に湿し水が供給さ
れる。このフィルター34は、混入物(インキ、紙粉
等)を湿し水から分離する構造になっている。フィルタ
ー34によって分離した湿し水は、モニター用タンク3
3を経由して再び湿し水タンク1に戻る。
【0045】モニター用タンク33内に貯えられた湿し
水には、エッチ液濃度測定手段としての(硝酸)イオン
濃度測定センサー8(イオン電極および参照電極からな
る)が浸漬されてあり、さらに湿し水の温度を測定する
湿し水測温手段としての湿し水測温センサー7が浸漬さ
れている。
【0046】この(硝酸)イオン濃度測定センサー部
は、<実施例1>と同様に電極間に発生する起電力をも
とにして、湿し水30中の(硝酸)イオン濃度を測定
し、(硝酸)イオン濃度情報を制御管理手段4に出力す
る。また湿し水測温センサー7は、湿し水30の温度を
測定し、(硝酸)イオン濃度情報の補正用の温度情報を
管理制御手段4に出力する。
【0047】制御管理手段4’も<実施例1>と同様
に、入力手段20’、ROM22’、RAM23’、C
PU24’、および出力手段21’を主要部として有す
る。(図5)参照
【0048】湿し水30中に含まれる硝酸イオン濃度と
湿し水30の温度との関係、及び硝酸イオン濃度とエッ
チ液濃度との関係は、これらをそれぞれ示す特性図に基
づいた補正データとして、ROM20’中に表の形で記
憶されている。これらの補正データは、あらかじめ測定
されたデータによって求めてある。
【0049】RAM23’には(入力手段20’を介し
て)、校正用の硝酸イオン濃度情報や、外部にあるエッ
チ液濃度設定スイッチ15で設定された値(しきい値で
あり、湿し水30のエッチ液の濃度を管理する基準値と
する)が取り込まれ、また湿し水中のイオン濃度情報、
校正用イオン濃度情報そして温度情報についても、一時
的に記憶されてる。
【0050】CPU24’では、これらのRAM23’
に記憶された記憶情報とROM22’に記憶された記憶
情報とに基づいて、<実施例1>と略同様に以下に示す
ような演算を行う。(図6)フローチャート参照
【0051】まず、CPU24’は、実際に測定された
湿し水中の硝酸イオン濃度情報を、校正用の硝酸イオン
濃度情報に基づいて校正する。すなわち、エッチ液濃度
3%の場合とエッチ液濃度0%の場合の各標準サンプル
により二点校正により、エッチ液濃度と出力値との二点
間の特性関係の近似式を算出して、校正用の硝酸イオン
濃度情報を求めている。そして、ここでもやはり、湿し
水30の温度に基づく湿し水中の硝酸イオン濃度測定の
誤差も補正する。このようにして、湿し水30に含まれ
る硝酸イオン濃度の補正された測定データが得られる。
CPU24’は、その補正された硝酸イオン濃度値をエ
ッチ液濃度値に変換し、エッチ液濃度情報として取り扱
う。
【0052】次にCPU24’は、測定により得られた
エッチ液濃度情報が、外部にあるエッチ液濃度設定スイ
ッチ15を介して予め設定入力されてあった前記のしき
い値と比較して、これらの高低関係を判断する。出力手
段21’は、CPU24’による判断結果に基づいて、
エッチ液供給ポンプ40に起動/停止の信号を出力す
る。
【0053】そしてやはり、湿し水中のエッチ液濃度が
管理用の設定濃度よりも低い場合には、エッチ液供給ポ
ンプ40が起動し、エッチ液の原液が湿し水タンク1に
供給されて、湿し水30に含まれているエッチ液の量が
増加する。また湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定
濃度と等しい場合には、エッチ液供給ポンプ40は停止
され、湿し水タンク1へのエッチ液原液の供給は停止す
る。尚、通常は湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定
濃度よりも高くなる場合は、起きないが、その事態が発
生した場合には、アラーム信号を発してオペレータへ報
知する仕組みになっている。(アラーム発生装置は、こ
こでは図示していない)
【0054】本発明に係わる湿し水管理装置は、印刷機
の使用中に前記のプロセスを自動的に繰り返し、湿し水
30に含まれるエッチ液の濃度を、あらかじめ設定され
ていた濃度管理値に近付ける。その結果、湿し水30の
エッチ液濃度はある一定範囲に保たれる。さらには、前
記混入物を除去する手段(ここでは、フィルター)が設
けてあるため、装置の寿命を延ばすことになる。さらに
は、装置を保守点検する際に、作業をより容易にする一
助となっている。
【0055】尚、補正された(硝酸)イオン濃度から変
換されたエッチ液濃度や、湿し水30の温度は、表示装
置17’に(ここでは)デジタル表示される。また、こ
のときの処理の概略を説明するフローチャートを(図
6)に示してある。(図6)では、<実施例1>での記
述とは異なり、装置の停止に係わるフローについて特に
明示しているが、通常は、この装置は処理を自動的に繰
り返しており、オペレーターが特に停止の操作(図示し
ていないが、停止スイッチとかあるいは停止のコマンド
等による操作)を実行しない限り処理を繰り返し続け
る。尚、オペレーターは任意のタイミングで停止操作を
実行することも出来る。
【0056】<実施例3>本実施例に係わる湿し水管理
装置は、送り見ずパイプ5からモニター用タンク33へ
湿し水が供給され水路の途中に、イオン分離槽50が介
装されている点を除き<実施例1>と略同一の湿し水管
理装置である。
【0057】(図6)で、エッチ液の原液は、エッチ液
貯蔵タンク3に貯蔵されている。エッチ液はエッチ液供
給ポンプ40により、エッチ液貯蔵タンク3からエッチ
液供給パイプ41を経て湿し水タンク1へ適量が供給さ
れるようになっている。
【0058】モニター用タンク33には、湿し水30が
パイプ5から一部分岐させて送られてくる送り水分岐パ
イプ10から、イオン分離槽50(図4および図5に概
要を示す)の陽イオン電極槽51と、湿し水陰イオン水
溶液槽52、陰イオン電極槽53にそれぞれ湿し水が供
給される。このイオン分離槽50は、水位が常に一定に
保たれる構造になっている。これは、イオン分離の処理
が十分に出来、且つ処理状況がばらつかせぬためであ
る。なお、イオン分離槽50は内部を陽イオン透過膜6
2(ここでは、いわゆるイオン交換膜の一種を使用し
た。旭硝子製、商品名:セレミオン)で仕切られてい
る。尚、このときのイオン分離槽50は、槽の下側から
湿し水が流出する構造であり、効果としては構造が簡単
であるが、他と比較した場合には槽内の流れがやや均一
化し難いために陽イオンの除去能力でやや不利になる可
能性もある。尚、槽の水深、槽内の流速、陽イオン透過
膜62の性能、あるいはイオン分離槽50内の電極間電
圧等々の面の設計上の工夫・使用条件により、これらの
欠点を改善できる余地はある。
【0059】この3つの水槽の内、湿し水陰イオン水溶
液槽52のみが、モニター用タンク33に湿し水陰イオ
ン水溶液54を供給するする様になっている。他の陽イ
オン電極槽51と陰イオン電極槽53との2つの槽の湿
し水と、モニター用タンク33を経由した湿し水陰イオ
ン水溶液54とは、いずれも再び湿し水タンク1に戻
る。ここで、湿し水陰イオン水溶液槽52の上側から流
出した湿し水のみがモニター用タンク33へ送られる
が、これは、湿し水陰イオン水溶液槽52の湿し水は、
単に除去したい陽イオンが無いだけであり、測定したい
陰イオンの濃度は変化しないと判断されるからである。
陽イオン電極槽51では陽極の存在のために陰イオンの
濃度が減少してしまうから、陰イオンを対象イオンとし
た濃度測定には不適である。また陰イオン電極槽53で
は陽イオンが存在することから陽イオン除去の目的から
当然に不適である。
【0060】モニター用タンク33内に貯えられた湿し
水陰イオン水溶液54には、エッチ液濃度測定手段とし
ての硝酸イオン濃度測定センサー8(イオン電極および
参照電極からなる)が浸漬されてあり、さらに湿し水陰
イオン水溶液54の温度を測定する湿し水測温手段とし
ての湿し水測温センサー7が浸漬されている。
【0061】この硝酸イオン濃度測定センサー部は、エ
ッチ液が添加されている湿し水陰イオン水溶液54中の
硝酸イオン濃度を、電極間に発生する起電力をもとにし
て測定し、エッチ液濃度情報を制御管理手段4に出力す
る。また湿し水測温センサー7は、湿し水陰イオン水溶
液54の温度を測定し、硝酸イオン濃度情報の補正用の
温度情報を管理制御手段4に出力する。
【0062】制御管理手段4は、入力手段20、ROM
22、RAM23、CPU24、および出力手段21を
有する。
【0063】湿し水30中に含まれる硝酸イオン濃度と
湿し水30の温度との関係、及び硝酸イオン濃度とエッ
チ液濃度との関係は、これらをそれぞれ示す特性図に基
づいた補正データとして、ROM20中に表の形で記憶
されている。これらの補正データは、あらかじめ測定さ
れたデータによって求めてある。
【0064】RAM23には(入力手段20を介し
て)、校正用の硝酸イオン濃度情報や、外部にあるエッ
チ液濃度設定スイッチ15で設定された値(しきい値で
あり、湿し水30のエッチ液の濃度を管理する基準値と
する)が取り込まれ、また湿し水中のイオン濃度情報、
校正用イオン濃度情報そして温度情報についても、一時
的に記憶されてる。CPU24では、これらのRAM2
3に記憶された記憶情報とROM22に記憶された記憶
情報とに基づいて、以下に示すような演算を行う。
【0065】まず、CPU24は、実際に測定された湿
し水中の硝酸イオン濃度情報を、校正用の硝酸イオン濃
度情報に基づいて校正する。そして、湿し水30の温度
に基づく湿し水中の硝酸イオン濃度の変動分も補正す
る。このようにして、湿し水30の補正された硝酸イオ
ン濃度が得られる。CPU24は、その湿し水の補正さ
れた硝酸イオン濃度をエッチ液濃度に変換し、エッチ液
濃度情報として取り扱う。
【0066】次にCPU24は、エッチ液濃度情報が、
外部にあるエッチ液濃度設定スイッチ15を介して予め
設定入力されてあった前記のしきい値と比較して、これ
との高低関係を判断する。出力手段21は、その判断結
果に基づいて、エッチ液供給ポンプ40に起動/停止の
信号を出力する。
【0067】湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定濃
度よりも低い場合には、エッチ液供給ポンプ40が起動
し、エッチ液の原液が湿し水タンク1に供給されて、湿
し水30に含まれているエッチ液の量が増加する。また
湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定濃度と等しい場
合には、エッチ液供給ポンプ40は停止され、湿し水タ
ンク1へのエッチ液原液の供給は停止する。尚、通常は
湿し水中のエッチ液濃度が管理用の設定濃度よりも高く
なる場合は、起きないが、その事態が発生した場合に
は、アラーム信号を発してオペレータへ報知する仕組み
になっている。(但し、本明細書では、アラーム発生装
置を特に図示していない)
【0068】印刷機の使用中に、これらのプロセスをた
えず繰り返し、湿し水30のエッチ液の濃度が、湿し水
30のエッチ液のあらかじめ設定されていた濃度管理値
に近付けられ、湿し水30のエッチ液濃度は一定に保た
れる。
【0069】尚、前記補正された湿し水30に関するエ
ッチ液の濃度換算値や温度情報は、表示装置17にデジ
タル表示される。
【0070】<実施例4>本実施例に係わる湿し水管理
装置は、湿し水をイオン分離する手段の構成が若干異な
る点を除き、<実施例3>と略同一の湿し水管理装置で
ある。(図10)乃至(図11)にも示すように、モニ
ター用タンク33には、湿し水30がパイプ5から一部
分岐させて送られてくる送り水分岐パイプ10から、イ
オン分離槽50(図7に概要を示す)の陽イオン電極槽
51と、湿し水陰イオン水溶液槽52、陰イオン電極槽
53にそれぞれ湿し水が供給される。このとき、イオン
分離槽50内の各槽には下側から湿し水を供給する。そ
して、このイオン分離槽50の各槽の上側から湿し水が
所定の水路によって流出してゆく。
【0071】この3つの水槽の内、湿し水陰イオン水溶
液槽52のみが、モニター用タンク33に湿し水陰イオ
ン水溶液54を供給するする様になっている。他の2つ
の水槽の水溶液と、モニター用タンク33を経由した湿
し水陰イオン水溶液54は、再び一緒になって湿し水タ
ンク1に戻る。ここで、湿し水陰イオン水溶液槽52の
上側から流出した湿し水のみがモニター用タンク33へ
送られるが、その理由は前記<実施例3>の場合と同じ
である。尚、このときのイオン分離槽50は、槽の上側
から湿し水が流出する構造であり、他と比較して槽内の
流れが均一化し易いことや、構造が簡単であることが特
徴である。
【0072】<実施例5>本実施例に係わる湿し水管理
装置は、湿し水をイオン分離する手段の構成が若干異な
る点を除き、<実施例3>または<実施例4>と略同一
の湿し水管理装置である。すなわち、(図12)にも示
すように、送り水パイプ5から送り水分岐パイプ10を
経て送られてくる湿し水を、複数からなる各水槽(隣ど
おしが互いに陽イオン透過膜62で仕切られてある水
槽)に対して、水槽の下部から供給する。
【0073】水槽の両端にある槽は、それぞれ、陽イオ
ン透過膜62を隔壁にした水槽とし、片方の水槽の中に
陽極板を、そして他方の水槽の中に陰極板を固定する。
この電極板に直流電圧を印加し、下部から上方へ流れて
くる湿し水に対して、前記の両端を除く各水槽から陰極
板が固定された水槽へ陽イオンのみを回収する。陽イオ
ンを取り除いた各水槽からの湿し水は、ここでは1つの
配管に集められてイオン濃度測定用水槽(モニター用タ
ンク33)へ送られる。両端の電極板のある水槽の湿し
水は湿し水タンクに戻される。ここで、湿し水は下部か
ら上部に流れて上部流出口からオーバーフローするの
に、ある適当な一定所要時間を設けられる設定にしてお
く(流量もしくは槽の水深等を適宜に設定)。湿し水が
槽に下側から流入して上側から流出する時間内に、各水
槽の湿し水から陽イオンを取り除き、陰電極板固定水槽
に回収する。
【0074】ここでのイオン分離槽50の構造は、陽イ
オン透過膜62を間の隔壁にした水槽であり、両側の槽
のみで片方の水槽には陽極板を、そして他方の水槽には
陰極板を固定してある。これの特徴としては、前記<実
施例3>または<実施例4>と比較して、複数からなる
各水槽から陽イオンを除去するため陽イオン除去能力が
高いこと。そして使用材料の面で相対的に低コストであ
ることが特徴として挙げられる。つまり、各電極板は耐
性(耐酸化性、耐腐食性)のある材料が適当であるため
一般に高価なチタン、白金等々の限られるが、両端の槽
のみであるので、電極板材料費としては低コストとな
る。
【0075】<実施例6>本実施例に係わる湿し水管理
装置は、湿し水をイオン分離する手段の構成が若干異な
る点を除き、<実施例3>乃至<実施例5>と略同一の
湿し水管理装置である。すなわち、(図13)にも示す
ように、イオン分離槽50の構造は、陽イオン電極槽5
1、湿し水陰イオン水溶液槽52、そして陰イオン電極
槽53を一組として、イオン分離槽50の内部に複数の
組が集合したものである。これによると、<実施例3>
乃至<実施例5>と比較して、さらに短時間で陽イオン
を大量に除去出来る特徴がある。但し、構造が複雑であ
り、材料や製造の費用の面でコスト高の傾向がある。
【0076】
【発明の効果】本発明にかかわる湿し水管理装置による
と、循環している湿し水のエッチ液濃度を把握するに際
に、湿し水中への不純物の混入に起因して外乱として働
くイオンとは別であり且つ使用中のエッチ液に(好まし
くはエッチ液のみに)含まれるイオンを選定し、これを
測定の対象イオンとして特定しておき、(好ましくは)
対象イオンのみの濃度を測定出来る手段によって、さら
には湿し水の温度も測定しておき、対象イオン濃度の測
定データを温度データに基づき補正することによって、
湿し水に混入した前記不純物(紙粉やインキかす)や湿
し水の温度変化という外乱からの影響を受けず、湿し水
中に含まれる対象イオンの濃度を精度よく把握すること
が出来る。そして、このことによって湿し水中のエッチ
液の濃度を精度良くモニターでき、その結果に基づいて
エッチ液濃度が適正か否かを判定をしエッチ液の補充の
制御も行なうことが出来るようになる。すなわち、本発
明のによると、湿し水中のエッチ液濃度を精度よく自動
的に適切に管理することが出来る。
【0077】さらに本発明によると、対象イオンの測定
に先立ち、湿し水中から陽イオンを除去出来るために、
使用に伴いイオン電極の陰極へ通常は析出物が生じてし
まうという不具合を回避することが出来、その結果、重
要であり且つ高価でもあるイオン電極の寿命を延ばし、
高精度で且つ信頼性の高い測定を可能とすることが出来
るようになる。
【0078】以上のことから、循環して使用する湿し水
中のエッチ液を適切な濃度範囲に精度よく保つことがで
きるようになり、湿し水としての機能を効率よく発揮さ
せることが出来るようになり、さらには性能が安定して
装置寿命もより永く、保守費用もより経済的となり、印
刷品質の向上と維持と低コストに大きく貢献することが
可能な湿し水管理装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる湿し水管理装置の一実施例につ
いて、装置の概要を示す説明図である。
【図2】図1に示す一実施例についての概略のブロック
図である。
【図3】図1に示す一実施例についての概略のフローチ
ャートである。(図7、図10、図12、図13に示す
実施例についても、完全にまたは略同様に適用可)
【図4】本発明に係わる湿し水管理装置の別の一実施例
について、装置の概要を示す説明図である。
【図5】図4に示す一実施例についての概略のブロック
図である。
【図6】図4に示す一実施例についての概略のフローチ
ャートである。(図7、図10、図12、図13に示す
実施例についても、完全にまたは略同様に適用可)
【図7】本発明に係わる湿し水管理装置の他の一実施例
について、装置の概要を示す説明図である。
【図8】図7に示す一実施例について、イオン分離槽を
より詳細に示す説明図である。
【図9】図7に示す一実施例について、イオン分離槽を
さらに詳細に示す説明図である。
【図10】本発明に係わる湿し水管理装置のさらに別の
一実施例について、装置の概要を示す説明図である。
【図11】図10に示す一実施例について、イオン分離
槽をさらに詳細に示す説明図である。
【図12】本発明に係わる湿し水管理装置のまた別の一
実施例について、イオン分離槽を詳細に示す説明図であ
る。
【図13】本発明に係わる湿し水管理装置のまた別の一
実施例について、イオン分離槽を詳細に示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1・・・湿し水タンク 2・・・湿し水サブタンク 3・・・エッチ液貯蔵タンク 4、4’・・・制御管理手段 5・・・送り水パイプ 6・・・戻り水パイプ 7・・・湿し水測温センサー 8・・・イオン濃度測定センサー 10・・・送り水分岐パイプ 11・・・サブタンク排出パイプ 15・・・エッチ液濃度設定スイッチ 17、17’・・・表示装置 20、20’・・・入力手段(制御管理手段内) 21、21’・・・出力手段(制御管理手段内) 22、22’・・・ROM(制御管理手段内) 23、23’・・・RAM(制御管理手段内) 24、24’・・・CPU(制御管理手段内) 30・・・湿し水 31・・・水舟 32・・・水舟ローラー 33・・・モニター用タンク 34・・・フィルター 40・・・エッチ液供給ポンプ 41・・・エッチ液供給パイプ 42・・・冷却機 43・・・循環ポンプ 50・・・イオン分離槽 51・・・陽イオン電極槽 52・・・湿し水陰イオン水溶液槽 53・・・陰イオン電極槽 54・・・湿し水陰イオン水溶液 60・・・陽電極板 61・・・陰電極板 62・・・陽イオン透過膜 65・・・湿し水陰イオン水溶液送りパイプ 66・・・イオン水溶液戻りパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦瀬 寿人 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版 印刷株式会社内 審査官 畑井 順一 (56)参考文献 特開 昭63−1543(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41F 7/32 B41F 7/24 B41F 33/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オフセット印刷法で用いられる湿し水のエ
    ッチ液濃度を管理する湿し水管理装置において、次の手
    段、すなわち、(イ)前記湿し水中のエッチ液に含まれ
    る硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、フッ素イ
    オン、硫酸イオン、硫黄イオンの陰イオン、及びナトリ
    ウムイオン、アンモニアイオン、カリウムイオンの陽イ
    オンから選択された少なくとも一種のイオン濃度を測定
    し、湿し水中における上記イオン濃度情報を出力するイ
    オン濃度測定手段、(ロ)前記湿し水の温度を測定し、
    この温度情報を出力する湿し水温度測定手段、(ハ)前
    記湿し水の温度情報に基づき、前記湿し水中における前
    記イオン濃度情報を補正するイオン濃度情報補正手段、
    (ニ)補正された前記イオン濃度情報に基づき、湿し水
    中のエッチ液濃度を調整するエッチ液濃度調整手段、以
    上、少なくとも(イ)乃至(ニ)を具備することを特徴
    とする湿し水管理装置。
  2. 【請求項2】オフセット印刷法で用いられる湿し水のエ
    ッチ液濃度を管理する湿し水管理装置において、次の手
    段、すなわち、(ホ)前記湿し水中のエッチ液に含まれ
    る硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、フッ素イ
    オン、硫酸イオン、硫黄イオンの陰イオン、及びナトリ
    ウムイオン、アンモニアイオン、カリウムイオンの陽イ
    オンから選択された少なくとも一種のイオン濃度を測定
    し、湿し水中における上記イオン濃度情報を出力するイ
    オン濃度測定手段、(ヘ)前記湿し水の温度を測定し、
    温度情報を出力する湿し水温度測定手段、(ト)前記湿
    し水の温度情報に基づき、前記湿し水中の前記イオン濃
    度情報を補正するイオン濃度情報補正手段、(チ)補正
    された前記イオン濃度情報を湿し水中のエッチ液濃度情
    報に変換し、このエッチ液濃度情報を出力するエッチ液
    濃度情報変換手段、(リ)変換された前記エッチ液濃度
    情報に基づき、前記湿し水中のエッチ液濃度を調整する
    エッチ液濃度調整手段、以上、少なくとも(ホ)乃至
    (リ)の各手段を具備することを特徴とする湿し水管理
    装置。
  3. 【請求項3】前記エッチ液濃度情報変換手段がエッチ液
    濃度情報を表示する手段を具備していることを特徴とす
    る請求項2記載の湿し水管理装置。
  4. 【請求項4】前記湿し水中のエッチ液に含まれるイオン
    濃度を測定する手段がイオン電極法であることを特徴と
    する請求項1乃至3記載の湿し水管理装置。
  5. 【請求項5】湿し水中のエッチ液に含まれるイオン濃度
    を測定する前に測定試料となる上記湿し水に混入された
    不純物を取り除き、この不純物が除かれた湿し水を上記
    イオン濃度測定手段の部位へ供給する不純物分離手段を
    具備していることを特徴とする請求項1乃至4記載の湿
    し水管理装置。
  6. 【請求項6】湿し水中のエッチ液に含まれるイオン濃度
    を測定する前に測定試料となる上記湿し水から陽イオン
    のみを分離し、この陽イオンが除かれた湿し水を上記イ
    オン濃度測定手段の部位へ供給する陽イオン分離手段を
    具備していることを特徴とする請求項1乃至5記載の湿
    し水管理装置。
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