JP3245589B2 - リソグラフィ用レーザ露光装置 - Google Patents

リソグラフィ用レーザ露光装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は略190〜300n
m範囲より選択された特定紫外線波長域で使用されるエ
キシマレーザをレンズ、プリズム、ミラー等の石英ガラ
ス製光学系を用いてウエハ上に投影露光しながら回路パ
ターンを描画するリソグラフィ用レーザ露光装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ウエハ上に回路パターンを描画するリソ
グラフィ露光装置は公知であり、近年LSIの微細化、
高集積化に伴ない前記ウエハ上に回路パターンを描画す
るリソグラフィ露光装置においてもその開発が急速に進
み、例えば16MビットDRAMに対応するパターン線
巾0.5μmと微細な線幅が描画可能な技術が開発され
つつあり、更に、近い将来において実現し得る64Mビ
ットDRAMに対応するパターン線巾0.3μmという
サブミクロン単位の描画技術の開発も急がねばならない
が、このような超微細な線幅描画技術においても最近の
光学系、光源、フォトレジスト等の着実な進歩からみて
やはり光リソグラフィー装置が主流になるものと推定さ
れる。
【0003】確かに光リソグラフィー装置は、比較的高
輝度の光源、高感度レジスト、安定した光学材料がそろ
っている等微細な線幅描画を行う上で必要な種々の条件
を備えているが、欠点として露光波長が大きいため、回
折により解像力が制限されるという問題がある。その解
決策として光の短波長化が検討されているが、光の短波
長化を図る為に400nm以下の紫外線を用いた場合
は、従来の光学ガラスを用いたレンズでは使用波長が3
65nm(i線)付近より光透過率が急激に低下して、
言い変えれば光吸収と該光吸収による発熱が生じ、該レ
ンズの焦点位置やその他の特性を狂わせることになる。
【0004】かかる欠点を解消する為に、レンズ材料を
従来の光学ガラスから石英ガラスに代える事が提案され
ているが、石英ガラスに通常の紫外線を透過した場合光
スペクトル巾が広いと色収差が発生してしまう。そこで
前記光リソグラフィー用の光源としてスペクトル巾の狭
いレーザを使うことが考えられ、特に光リソグラフィー
用のレーザの中で最も完成度の高いものがエキシマレー
ザである。エキシマレーザは短波長域、主として紫外域
で発振する高出力パルスレーザであり、その種類として
は希ガスエキシマ、希ガス酸素エキシマ、水銀ハライド
エキシマ、希ガスハライドエキシマなどが存在するが、
発振効率とガス寿命の点から、希ガスハライドエキシマ
の内、特にKrF(248nm)、XeCl(308n
m)、ArF(193nm)等が有利である。
【0005】しかしながら前記レーザはいずれも波長が
略300nm以下の短波長であるが故に例え前記石英ガ
ラスを用いて光透過体を製作したとしても屈折率の均一
性は前記i線の場合に比較して1桁以上高いものが要求
される。この為本出願人は先に、略400nm以下の特
定光波長帯域で使用される光学用石英ガラス部材におい
て、屈折率変動幅△nを5×10−6より小に設定しつ
つ更に脈理フリーで且つ低圧水銀ランプの照射により蛍
光を実質的に発生しない光学用石英ガラス部材を提案し
ている。(特開昭64-28240号)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ように屈折率変動幅の規定とともに脈理のない石英ガラ
スを用いてレーザ光学系を製作したとしても、高出力パ
ルス光である短波長レーザが長時間照射されると時間経
過とともに、石英ガラスレンズがダメージを受け、複屈
折が起こるのみならず、該レーザの長時間照射により、
透過率の低下、絶対屈折率の上昇、屈折率分布の変動が
起こり、最終的にクラック等が発生する場合があった。
そして前記のような石英ガラスの光学的物性変化が起こ
ると、特にエキシマレーザを光源とする投影型露光型装
置においては、レンズの光軸、焦点位置が変動し、微細
かつ鮮明パターンの形成が極めて困難となる。
【0007】かかる欠点を解消する為に、本出願人は、
先にレンズ等を製造する光学部材を、高純度の合成石英
ガラスで形成するとともに、該ガラス組織中のOH基含
有量を300ppm以上に設定したレーザ光用光学部材
を提案している。(特願昭62−323882 号、以
下先願技術という)
【0008】しかしながらOH基含有量が300ppm
以上の合成石英ガラスはその製造方法が限定され、例え
ば四塩化ケイ素(SiC)ガスを酸水素炎中で加水分
解して得られる粒子をターゲットに付着させて形成され
る、いわゆるダイレクト法以外では形成し得ず、汎用性
に乏しいという欠点がある。
【0009】本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、高
集積密度の高い64MビットDRAMに対応するパター
ン線巾0.3μmというサブミクロン単位の描画露光が
可能となるリソグラフィ用レーザ露光装置を提供する事
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
略190〜300nm範囲より選択された特定紫外線波
長域のレーザを石英ガラス製光学系を介してウエハ上に
投影露光させながら回路パターンを描画するリソグラフ
ィ用レーザ露光装置において、前記光源にKrF(24
8nm)、XeCl(308nm)、若しくはArF
(193nm)のエキシマレーザを用い、前記光学系の
石英ガラス材の屈折率変動幅Δnを5×10−6より小
に設定しつつ、更に脈理フリーの石英ガラス材を用い
て、OH基濃度を100ppm以上存在させ各金属元素
濃度を50ppb以下に設定した合成石英ガラス材を用
いていることを特徴とするリソグラフィ用レーザ露光装
置を提案する。更に脈理フリーの石英ガラス材は、1方
向脈理フリーでもよいが、好ましくは三座標方向脈理フ
リーの石英ガラス材がよい。
【0011】又本発明は、好ましくは前記合成石英ガラ
ス中に含まれるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属
元素の各金属元素濃度が50ppb以下で、且つ各遷移
金属元素濃度が10ppb以下である合成石英ガラスを
用いて前記光学系を構成した請求項1記載のリソグラフ
ィ用レーザ露光装置である。
【0012】本発明に至った過程を順を追って説明す
る。前記光リソグラフィー用の光源としてエキシマレー
ザ、特にKrF(248nm)、XeCl(308n
m)、ArF(193nm)エキシマレーザを用いる事
が有利である事は前記段落「0004」で説明した通り
である。この場合前記レーザを透過、集光、屈折、或い
は反射される光学系の光学特性が問題となる。
【0013】そこで屈折率変動幅△nを5×10−6
り小に設定しつつ更に脈理フリーの石英ガラス材を用い
てレンズその他のレーザ用光学系を形成してもレーザを
短波長化するに連れ蛍光特性、屈折率、透過率等の光学
特性の劣化を引き起こす事は前述した通りであり、そし
てこの場合石英ガラス組織中に含まれる不純物濃度を一
定にした場合、透過率と屈折率等の変化はOH基含有量
に依存する事が知見され、従ってOH基含有量を増大さ
せる事により、前記蛍光特性、屈折率、透過率等の光学
特性の安定性が向上することは既に先の出願において記
載した通りである。その理由はレーザ光透過体に強力な
レーザを照射すると、ガラス網目構造を構成する元素間
の結合が切断され、その結果透過率が低下し、吸収バン
ドが現われる。又、蛍光強度も増加するが、これら元素
間の切断もガラス組織中に含まれるOH基等の存在によ
り大部分が修復されるものと推定されるからである。
【0014】さて石英ガラス組織中にLi、Na、K等
のアルカリ金属元素、Mg、Ca等のアルカリ土類金属
元素、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu等の遷移金属元素
が所定濃度以上存在すると、レーザ光照射により蛍光を
発生し又透過率が低下する。そしてこれらは例えOH基
を増大させてもその修復能力には限界があり、所望の耐
レーザ性を得る事が出来ない。そこで先の出願において
は、OH基含有量を300ppm以上に設定しつつ、前
記アルカリ金属元素等の各金属元素濃度を夫々1ppm
以下好ましくは0.1ppmに設定する事により所望
の耐レーザ性を達成し得た。
【0015】しかしながら、石英ガラス組織中に含まれ
るOH基含有量と金属元素濃度は必ずしも前記数値のみ
に限定されるものではなく、本発明は実験を重ねる事に
より、前記金属元素、より具体的にはアルカリ金属元素
及びアルカリ土類金属元素の各元素を夫々50ppb以
下に設定する事により、所望の耐レーザ性を達成し得る
OH基含有量を100ppm以上にまで緩和させても所
望の耐レーザ性を得る事が可能となった。
【0016】この結果前記したOH基含有量の規制値
を、ダイレクト法以外の合成石英ガラス製造法、例えば
スート再溶融法で製造した合成石英ガラスを用いて前記
光学系を形成する事が出来、これにより複数の合成石英
ガラス製造法で製造した合成石英ガラスを用いて前記光
学系を形成する事が可能となり、リソグラフィ用レーザ
露光装置に用いる光学系の汎用性が向上した。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例を例
示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されてい
る、材質、OH基、濃度、試験条件等は特に特定的な記
載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣
旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0018】前記リソグラフィ装置の光学系に使用する
材料評価の為、下記のような製造法でエキシマレーザ照
射実験用試験片夫々複数個用意する。先ず、不純物レベ
ルの低い原料四塩化ケイ素を蒸留処理した後、これをテ
フロンライニング付のステンレス製容器に貯溜して夫々
純度の異なる3種類の四塩化ケイ素を用意し、これらを
スート再溶融法とダイレクト法により適宜合成条件を調
整しながら、所定の石英ガラス塊を製作した後、該石英
ガラス塊を特開昭64−28240号に示す方法を用い
て脈理フリー、好ましくは三座標方向脈理フリーであ
り、かつ光使用領域における屈折率変動幅 (△n)が2
×10−6に設定したインゴットを多数本製作した。
【0019】そして各四塩化ケイ素原料を用いたインゴ
ット群内よりOH基の含有量が5ppm以下、50pp
m、100ppm、200ppm、400ppm、の各
濃度を有するインゴットを各四塩化ケイ素原料毎に抽出
した。
【0020】そしてかかる石英ガラスインゴットのアル
カリ金属元素Li、Na、K、アルカリ土類金属元素M
g、Ca及び遷移金属元素Ti、Cr、Fe、Ni、C
uの含有量分析を行ってみるに、第1の四塩化ケイ素原
料を用いたインゴット群(I)においては、アルカリ金
属元素が0.1〜0.5ppm、アルカリ土類金属元素
が0.05〜0.1ppm、遷移金属元素が0.02〜
0.2ppm、先願発明の限度を超えていたが、第2の
四塩化ケイ素原料を用いたインゴット群(II)において
は、アルカリ金属元素が0.01〜0.1ppm、アル
カリ土類金属元素が0.05ppm前後、遷移金属元素
が0.1ppm以下と先願発明の限度範囲であった。
【0021】そして更に第3の四塩化ケイ素原料を用い
たインゴット群(III)においては、アルカリ金属元素
が0.05ppm以下、アルカリ土類金属元素が0.0
1ppm前後、遷移金属元素が0.01ppm以下と先
願発明より更に高純度化されていた。このようにして形
成した各種合成石英ガラスインゴットを30×20×1
0mmの寸法に切断し且つ両面鏡面仕上げを行ってエキ
シマレーザ照射実験用試験片を夫々9個作成する。
【0022】次にこれらの各9個の試験片に対して、レ
ーザ光源として248nm(KrF)の波長域を有する
レーザについてパルス当りエネルギー密度 200、4
00、600(mJ/cm・pulse)、及び照射
パルス数1×10、1×10、1×10(pul
se)の組合わせから成る照射条件にて照射を行った。
そして前記照射終了後の各試験片について干渉計にて屈
折率分布変化、透過率計にてソーラリゼーション、蛍光
測定器にて蛍光強度測定、及び目視にてクラックの有無
の判定を行った。
【0023】その結果を下記表1の実験結果一覧表に示
す。
【0024】
【表1】
【0025】この結果、レーザ光源として248nm
(KrF)の波長域を有するレーザが照射されたIのイ
ンゴット群より形成された試験片(光学系に対応する)
1)ではOH基含有量が400ppmの場合でも蛍光特
性、透過率、屈折率変化のいずれの場合も問題がある事
が確認された。又レーザ光源として248nm(Kr
F)の波長域を有するレーザが照射されたIIのインゴッ
ト群より形成された試験片(光学系に対応する)2)〜
4)ではOH基含有量が400ppmのダイレクト法で
形成されたインゴットの場合は蛍光特性、透過率、屈折
率が改善され高出力のレーザの光学系として適合し得る
ものである事が確認出来たが、OH基含有量が100〜
200ppmのスート法で形成されたインゴットの場合
は、耐レーザ性として一応平均レベルではあるが、高出
力のレーザの光学系として多少問題がある事が確認され
た。
【0026】更にレーザ光源として248nm(Kr
F)の波長域を有するレーザが照射されたIIIのインゴ
ット群より形成された試験片(光学系に対応する)5)
〜9)ではOH基含有量が400ppmのダイレクト法
で形成されたインゴットの場合は勿論OH基含有量が1
00〜200ppmのスート法で形成されたインゴット
の場合においても蛍光特性、透過率、屈折率が改善され
高出力のレーザの光学系として適合し得るものである事
が確認出来た。尚、OH基含有量が50ppm以下にな
ると、耐レーザ性として一応平均レベルではあるが、高
出力のレーザの光学系として多少問題がある事が確認さ
れた。
【0027】
【発明の効果】以上記載の如く本発明によれば、先願発
明におけるOH基含有量の下限規制値を金属元素濃度と
の関係において緩和する事により、光リソグラフィー用
の光源としてエキシマレーザ、特にKrF(248n
m)、XeCl(308nm)、ArF(193nm)
エキシマレーザを用いた場合に対応する石英ガラス製光
学系をダイレクト法でもスート再溶融法でも形成し得、
これにより製造の選択の幅を広げつつ長期間にわたる屈
折率、透過率等の光学特性の安定性を確保するととも
に、蛍光の低減をはかり、高集積密度の高い64Mビッ
トDRAMに対応するパターン線巾0.3μmというサ
ブミクロン単位の描画露光が可能となるリソグラフィ用
レーザ露光装置を得る事が出来る。等の種々の著効を有
す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 21/30 515B (56)参考文献 特許3187735(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 C03C 1/00 - 14/00 G03F 7/20 G02B 1/00 - 1/02 G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略190〜300nm範囲より選択され
    た特定紫外線波長域のレーザを石英ガラス製光学系を介
    してウエハ上に投影露光させながら回路パターンを描画
    するリソグラフィ用レーザ露光装置において、 前記装置の光源にXeCl(308nm)、KrF(2
    48nm)、若しくはArF(193nm)のエキシマ
    レーザを用い、 前記光学系の石英ガラス材の屈折率変動幅Δnを5×1
    −6より小に設定しつつ、更に脈理フリーの石英ガラ
    ス材を用いて、OH基濃度を100ppm以上存在させ
    各金属元素濃度を50ppb以下に設定した合成石英ガ
    ラス材を用いていることを特徴とするリソグラフィ用レ
    ーザ露光装置。
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