JP3245204B2 - 複胴船の船体構造 - Google Patents
複胴船の船体構造Info
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Description
る。
の双胴船型の複胴船は、双胴船固有の利点を有している
ことが周知となっているが、然しながらこの種の船体は
縦揺れが大きく、乗客や積み荷に好ましくない力が作用
するとういう欠点を有している。そこで船体をその水線
の位置で細くくびれた断面形状とし、船体に作用する波
による持ち上げ力が小さくなるように設計した。それと
同時に水面下の船体部分を、水面上の船体と結合した。
このことにより、船体の推進装置に対して問題を生じ、
そして原動機にパワーが要求されるようになった。ウォ
ータジェットは、40ノットで巡行するような高速艇の
推進装置としてはウォータジェットが適しているが、船
体が接合されている水線位置に設置するのに適してい
る。そのために、水線の位置に細くくびれた腰部を有す
る双胴船型の船体(SWATH)は、実際上はプロペラ
により推進されている。然しながらプロペラによる推進
では、船体の巡航速度が制限されることとなる。と言う
のはプロペラは、水中で高速回転させると腐食、或いは
浸食されるためである。更にプロペラを駆動するために
は、船体の上部構造に据え付けられた駆動モータから動
力を伝達するための、複雑で高価な動力伝達装置が必要
となる。代替的手段として、エンジンを船体の水線より
も低い位置に据えつけることも可能であるが、然しなが
らこの場合には、取り付けや、整備が困難になるという
問題を生じる他、特に40ノット程度で巡航する場合に
最も選択されると考えられるガスタービンを使用する場
合には、空気の取り入れや、排気等の問題も存在する。
上述した水線位置に細くくびれた腰部を有する双胴船型
の船体(SWATH)は、水線よりも上部の船体の断面
が相対的に小さいことから、荷重安定性(ロード スタ
ビリティ)が小さいことは言うまでもない。そのために
SWATH型の船体を巡航させる場合には、フィン、或
いはバラストタンク等の付加的な手段により浮力状態
(フローティング ステイト)を調節することが必要と
なるが、こうした手段は複雑で、費用のかかるものであ
る。船体の浮力安定性(フローティング スタビリテ
ィ)は、船体に荷を積み降ろす場合に問題となることは
言うまでもない。
を提供することであり、該船体は、(1)巡航中に船体
が波により上方に持ち上げられにくく、(2)効率的に
高速で巡航可能で、(3)荒波に対して速度の低下が小
さく、(4)高い荷重抵抗性を有し、ウォータジェット
推進システムを含むあらゆる望ましい推進手段に適合
し、(5)そして船尾から荷を積み降ろし可能なよう
に、高い船尾安定性を有している。
めに本発明では、複胴船の船体構造であって、船尾と船
体中心部との間の船尾部分の船体において、船体の喫水
に通常相当する水線までの水面より下側の船体の容積
(ボルメトリック)重心と基線との間の鉛直方向の距離
が、水線と基線との間の距離で定義される船体の喫水の
長さの55%よりも大きくなっていることと、船首と船
体中心部との間の船首部分において、前記水面より下側
の船体の容積重心と基線との間の鉛直方向の距離が船首
部分の船体の喫水の長さの55%よりも小さくなってい
ることと、水面下のにある船体部分の船尾からの長さの
75%に相当する位置において、水線により画定される
フレーム領域の容積重心と基線との間の距離が喫水の長
さの55%よりも小さくなっていることと、水線の位置
における船体の幅が、前記船首部分における幅よりも前
記船尾部分における幅のほうが、充分に大きくなってい
ることを特徴とする複胴船の船体構造が提供される。
0ノットの巡航速度を有し、全長120m、船幅40
m、水没容量(サブマージド ボリューム)3000m
3 の旅客、或いは貨物双胴船に適用するのに適してい
る。本発明の船体構造は、水線下のフレームが玉葱状の
形状、すなわち水線の位置において細くくびれた腰部を
有した船首部分と、それと共に連続的に水没し、そして
船尾方向に向かって減少する局部喫水と、この方向に向
かって船幅が増加する船尾部分とを具備している。この
ことによりウォータジェット推進装置を据えつけるのに
適した船体形状となる。然しながら本発明による船体に
適した推進装置は、このウォータジェットに限定される
ことは無い。本発明による船体は、水線の位置において
船尾の船幅が広く成っており、このことにより空気の取
り入れや、排気の問題を生じること無く、推進エンジン
その他の原動機を直ちに据えつけることが可能となる。
本発明による船体構造は、特に船尾において水線の位置
の船幅が水面下の船体の幅よりも広く成っているので、
特に船尾において本発明の船体は高い安定性を有し、船
尾から荷を積み降ろしするのに適している。
葱状の、すなわち水線の位置に延設された相対的に細く
くびれた腰部を有した船首部分は、船体の長手方向に対
して一様な船体形状をした従来の双胴船において問題と
なっていた、波による縦揺れを制限する機能を有してい
る。船首部分の玉葱状の構造により、船首部分において
波による上方への持ち上げ力が低減され、船体が水中に
おいて縦方向に運動する際、船体の揺動を制限する吸引
力が船体構造の底面と、水面下の船体の上方に向いた表
面に作用することとなる。従来の双胴船の船体構造は、
船体の長手方向に対して一様な船体形状をしており、船
底から略V字状に延設された船体を有している。本発明
はこの船体構造の点において本質的に従来の双胴船とは
異なっている。本発明による船体は、水線の位置におい
て船首方向に向かって船幅が減少する構造と成っている
のに対して、船首、及び船尾を除いては、水面下では船
体の長手方向に対して略一定のフレームを有している。
そのために船体の水線の位置における船幅は、船尾にお
いて相対的に広く成っており、それと共に船尾において
喫水が制限されている。
している。本発明の船体は、複雑で動力を消費する動力
伝達装置を使用することなく、エンジンを含めた推進装
置を簡単に据えつけることが可能である。本発明の船体
は、特に船尾において荷重にたえる。本発明の船体は、
例えば40ノットといった高速艇に適用可能である。本
発明の船体は、ウォータジェット推進装置を据えつける
ことが可能であり、かつ巡航中において縦揺れが少ない
ことから、該船体は、旅客船としても、貨物船としても
利用可能である。本発明は、船体の加速動作を制限する
こともまた目的としており、これによって、通常状態の
海面において該船体が、タンクローリーやトラック等を
運搬する際に、これら車体を船体にくくり付ける必要が
無くなる。上述した船体の実施例を試験した所、波高4
mの海面において何ら問題を生じなかった。本発明によ
る船体構造は、ウォータジェットを使用可能であり、そ
して載貨重量1000トンから2000トン、全長12
0m、船幅40mの人貨両用双胴船において40ノット
で巡航させることが可能である。
は、船尾部分から船首部分にかけて参照番号0から5で
示される6つの分離した同様のフレームを示している。
図1にはまた、船体KVL(通常の喫水Tに相当する構
造水線)が示されている。更に図1には船体の基線BL
が示されており、該基線は、船体の最も低い点を含む水
平方向に延ばされた基準線である。
から喫水Tまでの前記正面線図の鉛直方向の中心点の、
喫水Tに対する百分率を示しており、それに対して横軸
は前記フレーム0から5の位置に対応する。図2に示さ
れる曲線は、図1に示される多数の各異なる喫水に関す
る。図2に示される曲線は本発明の特徴をなしており、
本発明の船体においては、水面下のにある船体部分の船
尾からの長さの75%に相当する部分の、水線により画
定されるフレーム領域の重心と、前記基線BLとの間の
距離は、多くても喫水の50%にしか達していない。更
に水線に達する最船尾フレームの、基線BLから重心ま
での距離は、喫水の65%よりも大きくすべきである
が、それに対して最も前方の、そして同じ水線に達する
フレームの、基線BLから重心までの距離は、喫水の5
0%よりも小さくすべきである。水線下の船体の船尾船
体の場合において、容積重心と前記基線BLとの間の距
離は、喫水の55%、好ましくは喫水の60%を超過す
べきである。図2より理解されるように重心と前記基線
BLとの間の距離は船体の船首方向に従って、相対的、
連続的に変化している。
喫水Tを表しており、横軸は船体の排水量を示してい
る。図3の曲線A、Bは夫々図1の船尾と、船首に対応
している。図3から理解されるように、喫水が増加する
際の排水量が相対的に小さいために、船首には波により
相対的に低い持ち上げ力が作用している。同様に図3か
ら理解されるように、後部船体は荷重に対して高い許容
度を有している。すなわち、荷重が大きくなったときの
喫水の増加は相対的に小さくなっている。船体に接する
波により生じる鉛直方向の運動に関して、後部船体は前
方船体よりも感受性、或いは反応性が低い。従来の航洋
船の船体の一般的な外形は、縦揺れが船首から船体の1
/3の位置にある転心の回りに生じるような船体であっ
た。これに対して本発明の縦揺れの転心は、船首から船
体の1/4、或いは1/5の位置に来るようになってい
る。
ルドラフト)が船尾の方向に向かって減少していること
が理解される。図1に図示された実施例において船尾の
局部喫水は、船体の喫水の50%となっている。船体は
その長手方向に対して船首部分に最大局部喫水を有す
る。更に図1からは、水線の位置における船体の幅が、
船尾から船首に向かってほぼ連続的に減少していること
が理解される。更に水面下の船体の幅は、少なくとも前
部船体から船体中心部分までは水線から下方に向かって
増加しており、これにより水面下の船体構造は、前記船
首部分から船体中心部分において玉葱状の形状をしてい
る。喫水を通常の喫水からほんの僅か変化させることに
より、水面における船体の面積、及び形状が変化するこ
とと、水線上の船体の幅が減少し、船体に作用する波に
よる付加的な持ち上げ力が制限され(SWATH船体の
場合に一般的なように)、そのために前部船体において
本発明による船体は、水線の上方のその部分の船体の幅
が狭いために、波による持ち上げ力が小さくなることが
図1から理解される。
部分の水面下にのみ玉葱状の形状を有しているために、
水面下の船首部分において、排水する船体(ディスプレ
ースメント ボディ)の上方に面した表面は相対的に大
きくなっており、そのために船体が縦揺れをする際の下
方への運動は著しく制限されることとなる。一例として
示した上述の船体構造は、40ノットで推進する喫水約
4.5m、水面下の船幅約5m、水面下の全長約120
を有する双胴船の船体に関する。前記基線BLは船体の
水線に略平行に船体の最低部、すなわちキール部に延長
されている。従って喫水は該基線BLと水線との間の距
離である。船体の長手方向のある位置における最低部
は、その位置における喫水により示される。
面線図である。
ある。
部分の排水量の変化を示すグラフである。
Claims (10)
- 【請求項1】 複胴船の船体構造であって、 船尾と船体中心部との間の船尾部分の船体において、船
体の喫水に通常相当する水線までの水面より下側の船体
の容積(ボルメトリック)重心と基線との間の鉛直方向
の距離が、水線と基線との間の距離で定義される船体の
喫水の長さの55%よりも大きくなっていることと、 船首と船体中心部との間の船首部分において、前記水面
より下側の船体の容積重心と基線との間の鉛直方向の距
離が船首部分の船体の喫水の長さの55%よりも小さく
なっていることと、 水面下にある船体部分の船尾からの長さの75%に相当
する位置において、水線により画定されるフレーム領域
の容積重心と基線との間の距離が喫水の長さの55%よ
りも小さくなっていることと、 水線の位置における船体の幅が、前記船首部分における
幅よりも前記船尾部分における幅のほうが、充分に大き
くなっていることを特徴とする複胴船の船体構造。 - 【請求項2】 水面下にある船体部分の船尾からの長さ
の75%に相当する部分において、水線下のフレーム領
域の容積重心と、基線との間の鉛直方向の距離が、喫水
の長さの50%よりも小さくなっていることを特徴とす
る請求項1に記載の複胴船の船体構造。 - 【請求項3】 基線と容積重心との間の鉛直方向の距離
が、船体の船尾方向の半分の部分において少なくとも喫
水の長さの60%となっており、そして船首方向の半分
の部分において喫水の長さの50%よりも小さくなって
いることを特徴とする請求項1または2に記載の複胴船
の船体構造。 - 【請求項4】 水線に達する最船尾フレームの水線まで
のフレーム部分の容積重心と基線との間の距離が喫水の
長さの65%よりも大きくなっていることと、 同じ水線に達する最船首フレームの水線までのフレーム
部分の容積重心と基線との間の距離が喫水の長さの50
%より小さくなっており、好ましくは45%よりも小さ
くなっていることを特徴とする請求項1から3の何れか
1項に記載の複胴船の船体構造。 - 【請求項5】 前記基線と前記水面下の船体部分のボト
ムラインとの間の鉛直方向の距離が、前記船体の中心部
分から船尾方向に向かって増加していることを特徴とす
る請求項1から4の何れか1項に記載の複胴船の船体構
造。 - 【請求項6】 前記基線と前記水面下の船体部分のボト
ムラインとの間の鉛直方向の距離が、前記船体の中心部
分から船首方向に向かって、少なくとも最大喫水の長さ
の40%に至たるまで増加していることと、 このボトムラインの上昇が前記船体の中心部分から開始
されることを特徴とする請求項5に記載の複胴船の船体
構造。 - 【請求項7】 水線の位置における船体の幅が、船尾方
向の1/4の部分においては略一定であり、かつ、船首
に向かって狭くなっていることを特徴とする請求項1か
ら5の何れか1項に記載の複胴船の船体構造。 - 【請求項8】 船体の前方半分の船体の断面の形状は、
水面下の球根状の部分と、水線の位置に延設された狭く
くびれた形状の腰部とを具備していることを特徴とする
請求項1から7の何れか1項に記載の複胴船の船体構
造。 - 【請求項9】 前記水面下のフレーム部分の容積重心と
前記基線との間の鉛直方向の距離は、船尾から船首に向
かって本質的に連続して減少していることを特徴とする
請求項1から8の何れか1項に記載の複胴船の船体構
造。 - 【請求項10】 前記水面下の船体のボトムラインと基
線との間の鉛直方向の距離は、前記船首部分で略一定と
成っていることを特徴とする請求項1から9の何れか1
項に記載の複胴船の船体構造。
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