JP3244375B2 - 薄膜多結晶シリコンの製造方法及びこれを用いた光起電力素子の製造方法 - Google Patents

薄膜多結晶シリコンの製造方法及びこれを用いた光起電力素子の製造方法

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JP3244375B2 JP03476794A JP3476794A JP3244375B2 JP 3244375 B2 JP3244375 B2 JP 3244375B2 JP 03476794 A JP03476794 A JP 03476794A JP 3476794 A JP3476794 A JP 3476794A JP 3244375 B2 JP3244375 B2 JP 3244375B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜多結晶シリコン
製造方法及びこれを用いた光起電力素子の製造方法に関
するものであって、光センサや太陽電池等の応用商品に
関連するものである。
【0002】
【従来の技術】太陽電池に代表される光起電力素子は、
近年、時計や電卓等の小電源として使用されるまで普及
しているが、ここにきて商用電源設備を有する電力会社
に対して、その光起電力素子により得られた電力の余剰
分を売ることが可能となったことから、所謂電力用の電
源として新たな展開が始まろうとしている。
【0003】とりわけ、大面積化と低コスト化の容易さ
によって注目されている、薄膜半導体を用いた光起電力
素子では、商用電力コストとの競合が比較的有利である
ことから、早急な事業化が期待されている。
【0004】斯る薄膜半導体材料の中でも、その発電効
率や信頼性の面で特に期待を寄せられているのが薄膜多
結晶シリコンである。これは古くからあるインゴット状
の多結晶シリコンに替わり、例えば石英などの比較的高
温に耐える基板上に非晶質のシリコンを形成し、これに
熱を加えることで薄膜状態の多結晶シリコンとするもの
や、あるいはその非晶質のシリコンにレーザビームを照
射することで多結晶化させるものなどがある。特に、前
者による薄膜多結晶シリコンの形成方法は、通常固相成
長法と呼ばれ広く研究されている。
【0005】図3は、この固相成長法による代表的な薄
膜多結晶シリコンの製造工程を示した工程図で、図に従
って説明すると同図(a)の第1工程では、石英等の支持
基板(31)にスパッタ法やプラズマCVD法などによって
非晶質シリコン膜(32)を形成する。
【0006】同図(b)に示す第2工程では、非晶質シリ
コン膜が被着形成された支持基板(31)に約500〜70
0℃の熱処理を施すことで、該非晶質シリコン膜を薄膜
多結晶シリコン(32)’にする(特公平4−212473
号参照)。
【0007】本固相成長法は、その他のレーザ結晶化法
等と比べて、比較的大面積で且つ均一な薄膜多結晶シリ
コンが形成できるという長所を備えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、固相成長法
では出発材料である非晶質シリコン膜を多結晶化する際
に、体積の収縮現象が生じることから、これによる歪み
が生成された薄膜多結晶シリコン内に残留してしまうこ
ととなる。斯る歪みはこの薄膜多結晶シリコンの物性の
中でも膜中の欠陥密度を増加するように作用することか
ら、これによって製造された太陽電池や光センサの特性
を劣化させてしまうこととなる。
【0009】この様な、歪みによる影響を緩和する方法
として提案されているものとして、熱処理による多結晶
化に先立って、出発材料である非晶質シリコン膜に対し
て、シリコンイオンを注入し、予めこの非晶質シリコン
膜のシリコン密度を大きくしておくことで、熱処理後の
熱歪みを軽減させる方法がある(第40回応用物理学関
係連合講演会予稿集 1a−ZS−7(1993春季、p79
4)。
【0010】然し乍ら、この方法によれば、大面積の非
晶質シリコン膜に対して均一にイオン注入を行わなけれ
ばならないことや、その注入量等の制御が極めて複雑な
ものとなること、更には工程面での製造コストを非常に
高いものとなるという欠点があった。
【0011】本願発明では、大面積で且つ均一な薄膜多
結晶シリコンの形成が可能な製造方法及びこれを用いた
光起電力素子の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明薄膜多結晶シリコ
ンの製造方法の特徴とするところは、支持基板の表面
に、融点が非晶質シリコン膜の結晶化温度以下の金属又
は金属塩を形成する工程と、該金属又は金属塩の膜上に
上記非晶質シリコン膜を被着する工程と、該非晶質シリ
コン膜を熱処理することで多結晶化する工程と、から成
ることにあり、更にはこの多結晶シリコンを使用した光
起電力素子の製造方法として、支持基板の表面に、融点
が非晶質シリコン膜の結晶化温度以下の金属又は金属塩
を形成する工程と、該金属又は金属塩の膜上に一導電型
の上記非晶質シリコン膜を被着する工程と、該非晶質シ
リコン膜を熱処理することで多結晶化する工程と、多結
晶化された非晶質シリコン膜上に他導電型の非晶質シリ
コン膜を形成する工程と、から成ることにある。
【0013】
【作用】本発明製造方法によれば、支持基板表面に形成
される融点が非晶質シリコン膜の結晶化温度以下の金属
又は金属塩に、薄膜多結晶シリコンの出発材料となる非
晶質シリコン膜を被着形成し、斯る状態で熱処理を施
す。そのため、該非晶質シリコン膜が多結晶化する温度
領域にあっては、上記金属又は金属塩は液状となること
から、従来であれば形成された薄膜多結晶シリコン内に
残留してしまう歪みが、該シリコンの下地となる上記金
属又は金属塩に吸収されることとなり、その結果、薄膜
多結晶シリコン内にはその歪みが殆ど残留しない。
【0014】斯る製造方法によって形成された薄膜多結
晶シリコンは、膜中の欠陥密度が極めて低いものとなる
ことから、これによって形成された光起電力素子にあっ
ては、高い光電変換効率を示すこととなる。
【0015】
【実施例】図1は、本発明薄膜多結晶シリコンの製造方
法を示す工程別素子断面図である。同図(a)に示す第
1工程では、タングステンからなる支持基板(1)上に本
願発明の特徴である、融点が非晶質シリコン膜の結晶化
温度以下の金属又は金属塩(2)を膜厚0.1μm〜10
0μmとなるように形成する。
【0016】この非晶質シリコン膜の結晶化温度は、非
晶質シリコン膜自体の形成条件等によって変動するもの
の、一般に500℃〜700℃の範囲である。
【0017】具体的な金属又は金属塩としては、鉛、
錫、インジウム、ビスマス、亜鉛、セレンなどの金属
や、Sn-Pb、Sn-Ag、Sn-Sb、Pb-Ag、Pb-Sb、Sn-Au、Au-Ge、Au-S
i、In-Ag、In-Sn、In-Pbなどの合金、或いは塩化亜鉛、塩
化銀、臭化第一銅、臭化第二銅、臭化銀、臭化カドミウ
ム、塩化第1銅、塩化第2銅、塩化錫、塩化鉛等の化合
物などがある。
【0018】これらの融点は、表1の通りであり、多結
晶シリコンの製造にあっては、好ましくは、多結晶シリ
コン中の不純物として欠陥が発生しにくいIV族元素を
含む塩化錫や錫、より好ましくは、より融点の高い鉛の
材料が挙げられる。
【0019】
【表1】
【0020】また、支持基板(1)としては、実施例では
タングステンを使用しているが、この他には、ステンレ
ス、アルミニウム、あるいは耐熱性ガラスやセラミック
スなどの絶縁性の基板を使用してもよい。
【0021】次に、同図(b)に示す第2工程では、金
属又は金属塩(2)の表面に、出発材料となる非晶質シリ
コン膜(3)を従来周知のプラズマCVD法によって、膜
厚が1μm〜100μmの範囲で形成する。
【0022】そして、同図(c)に示す第3工程では、
非晶質シリコン膜(3)を約600℃の熱処理を施すこと
で多結晶化させ、薄膜多結晶シリコン(3)’を得る。
【0023】斯る工程での熱処理では、非晶質シリコン
膜は多結晶化のための固相成長が生じると共に、その非
晶質シリコン膜の下地となる金属又は金属塩(2)自体も
液状となることから、従来であれば薄膜多結晶シリコン
内に留まる歪みが、この金属又は金属塩(2)に拡散吸収
され、この多結晶シリコン(3)’内にはその歪みの殆ど
が残留しないこととなる。このことは、半導体の物性で
も重要なファクターである膜中の欠陥密度を低減させる
こととなることから、本発明製造方法による薄膜多結晶
シリコンを使用した半導体素子にあっては、良好な物性
特性を示すこととなる。
【0024】次に、本願発明光起電力素子の製造方法に
関する実施例を図2に従って説明する。図2(a)に示
す第1工程では、支持基板(21)上に融点が非晶質シリコ
ン膜の結晶化温度以下の金属又は金属塩(22)を形成し、
次にプラズマCVD法によるn型の非晶質シリコン膜(2
3)を形成する。この非晶質シリコン膜の膜厚は、約10
μmに設定している。
【0025】次に、同図(b)に示す第2工程では、約
600℃の熱処理を窒素雰囲気中で施すことにより、非
晶質シリコン膜(23)をn型の薄膜多結晶シリコン(23)’
にする。斯る工程に於いて、薄膜多結晶シリコン中の歪
みが軽減されることは、先の実施例と同様である。
【0026】そして、同図(c)に示す第3工程では、
予め表面洗浄を行った後に、薄膜多結晶シリコン(23)’
にp型の非晶質シリコン膜(24)を膜厚50〜1000Å
となるようにプラズマCVD法によって形成する。特
に、本工程では第2工程で行った熱処理温度よりも低温
で行うことが重要であり、本例では約120℃で形成し
た。この理由としては、熱処理による欠陥密度の低減な
どの効果を、熱処理温度の最適化により大きくすること
が可能だからである。斯る温度範囲としては、室温〜5
00℃が好ましい。
【0027】本工程により、n型の薄膜多結晶シリコン
とp型の非晶質シリコン膜(4)との接合が形成されるこ
ととなるが、本構成のpn接合に替えて、上記薄膜多結
晶シリコンと非晶質シリコン膜(24)との間に、真性の非
晶質シリコン膜を介挿せしめた接合を使用してもよい。
斯る構成によれば、実施例のようなヘテロ接合によって
生じる界面準位密度の低減が図れることから、より高い
光電変換効率を備えた光起電力素子を得ることができ
る。
【0028】表2は、本実施例における薄膜多結晶シリ
コンの出発材料である、n型の非晶質シリコン膜(23)及
びp型非晶質シリコン膜(24)のプラズマCVD法の代表
的な形成条件を示す。
【0029】
【表2】
【0030】次に、同図(d)に示す第4工程では、p
型非晶質シリコン膜(24)上に、光起電力素子の光入射側
電極となる酸化インジウム錫膜からなる透明導電膜(25)
を形成する。
【0031】引き続く同図(e)に示す第5工程で、光
キャリアの収集電極となる集電極(26)を形成することに
より、光起電力素子が完成する。この集電極は、透明導
電膜(25)の導電率が十分な場合には、省略することも可
能である。
【0032】なお、上記実施例では薄膜多結晶シリコン
の出発材料である非晶質シリコンの形成方法としては、
全てプラズマCVD法による膜を使用したが、本発明製
造方法はこの膜に限るものではなく、スパッタ法、蒸着
法、低温CVD法等による膜を使用しても全く同様の効
果を呈するものである。
【0033】
【発明の効果】本発明製造方法によれば、融点が非晶質
シリコン膜の結晶化温度以下の金属又は金属塩に、薄膜
多結晶シリコンの出発材料となる非晶質シリコン膜を被
着形成し、斯る状態で熱処理を施すものであることか
ら、該非晶質シリコン膜が多結晶化する温度領域にあっ
ては、上記金属又は金属塩は液状となるため、従来であ
れば形成された薄膜多結晶シリコン内に残留する歪み
が、該シリコンの下地となる上記金属又は金属塩に吸収
されることとなり、その結果、薄膜多結晶シリコン内に
はその歪みが殆ど残留しないこととなる。
【0034】斯る製造方法によって形成された薄膜多結
晶シリコンは、膜中の欠陥密度が極めて低いものとなる
ことから、これによって形成された光起電力素子にあっ
ては、高い光電変換効率を示すこととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明薄膜多結晶シリコンの製造方法を説明す
る工程断面図である。
【図2】本発明光起電力素子の製造方法を説明するため
の工程別素子構造断面図である。
【図3】従来例薄膜多結晶シリコンの製造方法を説明す
る工程断面図である。
【符号の説明】
(1)…基板 (2)…金属ま
たは金属塩 (3)…非晶質シリコン膜 (3)’…薄膜
多結晶シリコン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−110776(JP,A) 特開 平4−133357(JP,A) 特開 平1−309314(JP,A) 特開 平3−126220(JP,A) 特開 平4−291967(JP,A) 特開 平5−109638(JP,A) 特開 平5−48126(JP,A) 特開 昭63−152177(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/00 - 31/119 H01L 21/20 - 21/208

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基板の表面に、融点が非晶質シリコ
    ン膜の結晶化温度以下の金属又は金属塩を形成する工程
    と、該金属又は金属塩の膜上に上記非晶質シリコン膜を
    被着する工程と、該非晶質シリコン膜を熱処理すること
    で多結晶化する工程と、から成る薄膜多結晶シリコンの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 支持基板の表面に、融点が非晶質シリコ
    ン膜の結晶化温度以下の金属又は金属塩を形成する工程
    と、該金属又は金属塩の膜上に一導電型の上記非晶質シ
    リコン膜を被着する工程と、該非晶質シリコン膜を熱処
    理することで多結晶化する工程と、多結晶化された非晶
    質シリコン膜上に他導電型の非晶質シリコン膜を形成す
    る工程と、から成る光起電力素子の製造方法。
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