JP3244188B2 - エンボス化粧シートおよびその製造方法 - Google Patents

エンボス化粧シートおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、住宅や店舗等の窓ガラ
スに貼設する装飾用のエンボス化粧シートおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンボス化粧シートとしては、例えば表
面に絵柄を有する透明塩化ビニルシートに紫外線硬化型
塗料を塗布し、紫外線硬化させた後、表面にエンボスを
施したものや、透明塩化ビニルシートを熱でラミネート
させながら表面にエンボスを施すいわゆるダブリングエ
ンボスしたものなどが代表的なものとして従来からよく
知られており、これらのエンボス化粧シートは例えば住
宅や店舗等の窓ガラスの装飾用などにも広く利用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来公知のエンボス化粧シートはその製造に用いるエンボ
ス版をコンベンショナルグラビアあるいは網グラビアの
製版手法を用いて製造していたため、原版フィルムをシ
リンダーに巻き付けた際の端部同志の重なり部分がどう
しても生じるのでその部分を目立たないようにその部分
の柄のつなぎを手作業で修正する必要があり、製造に手
間がかかるという不都合があった。また、従来のエンボ
ス化粧シートは、柄模様は異なっていても表面に形成さ
れたエンボスの形状自体はどれも似かよっているため
に、表面の手触りや意匠性において他との差別化を図る
ことは困難であった。
【0004】本発明はこのような従来の問題点に鑑みな
されたもので、その目的とするところは、従来のエンボ
ス化粧シートの製造上の不都合を解決するとともに、従
来のものとは十分差別化できるような優れた意匠性を有
するエンボス化粧シートおよびその製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明に係るエンボス化粧シートは、電子
機械的彫刻によりセル形状が四角錐状に形成された凹部
を有するエンボス版を用いて合成樹脂シートの表面
上に凸の四角錐状のエンボスが線数100〜25
0線/インチの所定の規則的な配置で形成されて、連続
階調を有する柄のエンボスが付与されており光により
複雑に輝度感が変化する干渉色を呈することを特徴とす
る。
【0006】請求項2の発明に係るエンボス化粧シート
は、請求項1において、合成樹脂シートが少なくとも2
層の合成樹脂層をラミネートしてなり、該合成樹脂層間
に絵柄印刷層を有することを特徴としている。
【0007】また、請求項3の発明に係るエンボス化粧
シートの製造方法は、電子機械的彫刻によりセル形状が
四角錐状に形成された凹部を有するエンボス版を作製
し、次いで合成樹脂シートの表面にこの作製したエン
ボス版を用いてエンボスを施すことにより、合成樹脂シ
ートの表面に、光により複雑に輝度感が変化する干渉色
を呈するように、上に凸の四角錐状のエンボスを線数
100〜250線/インチの所定の規則的な配置で形成
して、連続階調を有する柄のエンボスを付与することを
特徴とする。
【0008】さらに、請求項4の発明に係るエンボス化
粧シートの製造方法は、請求項3において、いずれかの
層の上に絵柄印刷層を設けた少なくとも2層の合成樹脂
層を前記絵柄印刷層を内面側にしてラミネートしながら
表面にエンボスを施すことを特徴としている。
【0009】かかる構成にあって、本発明のエンボス化
粧シートは、その表面に上に凸の四角錐状のエンボスが
所定の規則的な配置で形成されており、光により複雑に
輝度感が変化する干渉色を呈するため、従来のものには
見られない優れた意匠性が得られる。
【0010】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0011】図1は、本発明のエンボス化粧シートの一
構成例を示す断面図である。図1より明らかなように、
本構成例によると、合成樹脂層1と合成樹脂層2が積層
されて合成樹脂シート3を構成し、これらの合成樹脂層
1と2の間に絵柄印刷層4を有し、合成樹脂層2の表面
にはエンボス5が形成されている。この表面のエンボス
5は図2に拡大斜視図で示したように、上に凸の四角錐
状に形成されている。
【0012】本発明のエンボス化粧シートの本体をなす
合成樹脂シート3は図1のような2層若しくはそれ以上
の多層構成でも単層構成でもよく、使用する樹脂の種類
や必要とするシート全体の厚み等により適宜所望の構成
を採ることが可能である。多層構成の場合、各層を接着
剤を介してラミネートしてもよいが、使用する樹脂によ
っては熱によるドライラミネートを行なうことも出来
る。かかる合成樹脂シート3全体の厚みとしては、エン
ボスが可能で、窓ガラス等へ貼り付けて使用する場合の
施工性等を考慮すると、 0.1〜 0.3mm程度であることが
望ましい。
【0013】本発明の合成樹脂シート3の材質は特に限
定されるわけではないが、例えば図1に示すような構成
の場合には、後述する如く合成樹脂層1及び2を熱でド
ライラミネートしながらエンボス5を施すのが好ましい
製造方法の1つであり、かかる目的からは各合成樹脂層
1及び2の材質として塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、
フッ素樹脂等の単体あるいはこれらの共重合体が好まし
く、特に塩化ビニル樹脂が好ましい。これらの樹脂中に
は各種配合剤、例えば可塑剤、安定剤、滑剤、充填剤、
着色剤等を含有させることができ、これら配合剤の含有
量は樹脂 100に対し5〜20重量部程度が良い。
【0014】絵柄印刷層4は公知の印刷手段を用いて容
易に形成することが出来る。図1に示すような構成で
は、絵柄印刷層4は合成樹脂層1と2が接する面のいず
れの側に形成しても構わない。
【0015】合成樹脂シート3表面の上に凸の四角錐状
のエンボス5は、電子機械的彫刻によりセル形状が四角
錐状に形成された凹部を有するエンボス版を用いて形成
することが出来る。電子機械的彫刻は、版胴面を電気信
号により彫刻針(ダイヤモンド針)を用いて彫刻するも
ので、代表的なものは、ヘリオクリッショグラフ(ドイ
ツ,ヘル社)がある。電子機械的彫刻機の原稿シリンダ
に抽象柄や木目柄など連続階調を有する所望の柄のフィ
ルム原版を装着し、かかる原版の走査によって彫刻シリ
ンダに原版に応じた彫刻が施され、セル形状が四角錐状
に形成された凹部を有するエンボス版が得られる。この
場合の線数は 100〜 250線/インチの中から任意に選択
される。また、電子機械的彫刻では、前述のエンボス版
の柄のつなぎの問題も生じない。
【0016】本発明のエンボス化粧シートの製造方法を
図1に示すような構成の場合をその一例として説明する
と、図3を参照して明らかなように、表面に所望の絵柄
印刷層4を形成した合成樹脂層1と合成樹脂層とをエン
ボスロール6(すなわちエンボス版)とバックアップロ
ール7との間を通すことによりドライラミネートしなが
ら合成樹脂層2の表面にエンボス5を形成して本発明の
エンボス化粧シートが出来上がる。ラミネート温度は合
成樹脂層1及び2が塩化ビニル樹脂の場合には120℃〜
160℃程度が望ましい。エンボスロール6の表面には前
述の如くして電子機械的彫刻によりセル形状が四角錐状
に形成された凹部8を有し(図4参照)、かかるエンボ
スロール6を用いてエンボスを施すことにより、合成樹
脂層2の表面には前述の図2に示したような上に凸の四
角錐状のエンボス5が所定の規則的な配置で形成され
る。
【0017】本発明のエンボス化粧シートはその裏面側
(エンボス面の反対側)に適当な粘着剤を塗布して所望
する窓ガラス等へ貼設される。こうしたエンボス化粧シ
ートは光により複雑に輝度感が変化する干渉色を呈する
ので、意匠性に大変優れている。
【0018】
【実施例】以下、実施例を示して、本発明を具体的に説
明する。
【0019】厚さ0.08mmの透明塩化ビニル樹脂シート
(可塑剤10重量部含有)の一方の面にグラビアインキ
(VCGTKインキ,東洋インキ製造(株)製)を用い
て連続階調を有する抽象柄模様を印刷し、このシートに
別の厚さ 0.1mmの透明塩化ビニル樹脂シート(可塑剤15
重量部含有)を図3に示す方法でドライラミネートしな
がらエンボスを施して本発明のエンボス化粧シートを作
製した。ラミネート温度は150℃で、エンボスは電子機
械的彫刻により作製した 137線/インチの抽象柄のエン
ボス版(図3のエンボスロール6)を用いて行なった。
【0020】一方、比較例として、公知の網グラビア製
版手法により作製した同じ抽象柄のエンボス版を用いて
エンボスを行なった以外は上記実施例と全く同様にして
エンボス化粧シートを作製した。
【0021】出来上がった本発明のエンボス化粧シート
は光によって輝度感が複雑に変化する干渉色を呈し、比
較のエンボス化粧シートと比べてはるかに意匠性に優れ
ていた。
【0022】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のエ
ンボス化粧シートによれば、化粧シートの表面に上に凸
の四角錐状のエンボスが線数100〜250線/インチ
の所定の規則的な配置で形成されているので、光による
輝度感が複雑に変化する干渉色を呈するために、従来公
知のものには見られない非常に優れた意匠性が得られる
という効果を奏する。また、エンボスが上に凸になって
いるため、表面に付いた傷が目立ちにくく、しかもシル
ク調の独特な手触りと光沢が得られるという効果も有す
る。
【0023】また、本発明のエンボス化粧シートの製造
方法によれば、連続階調を有する柄表現も容易にでき、
従来製造上の不都合となっていたエンボス版における柄
のつなぎの問題も解消できて、本発明のエンボス化粧シ
ートの容易な製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエンボス化粧シートの一構成例を示
す断面図である。
【図2】 本発明のエンボス化粧シートの表面形状の拡
大斜視図である。
【図3】 本発明のエンボス化粧シートの製造方法の一
例を示す概略断面図である。
【図4】 本発明に用いるエンボス版の表面形状の拡大
斜視図である。
【符号の説明】
1,2 合成樹脂層 3 合成樹脂シート 4 絵柄印刷層 5 エンボス 6 エンボスロール 7 バックアップロール 8 凹部(セル)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−29455(JP,A) 特開 昭52−148313(JP,A) 特開 昭63−132100(JP,A) 特開 平2−147284(JP,A) 特開 昭59−178209(JP,A) 特開 昭57−150532(JP,A) 実開 昭55−138602(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 59/00 - 59/18 B32B 7/02 103 B32B 27/00 B32B 33/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子機械的彫刻によりセル形状が四角錐
    状に形成された凹部を有するエンボス版を用いて合成
    樹脂シートの表面に上に凸の四角錐状のエンボスが
    線数100〜250線/インチの所定の規則的な配置で
    形成されて、連続階調を有する柄のエンボスが付与され
    おり光により複雑に輝度感が変化する干渉色を呈す
    ることを特徴とするエンボス化粧シート。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂シートは少なくとも2層の
    合成樹脂層をラミネートしてなり、該合成樹脂層間に絵
    柄印刷層を有することを特徴とする請求項1記載のエン
    ボス化粧シート。
  3. 【請求項3】 電子機械的彫刻によりセル形状が四角錐
    状に形成された凹部を有するエンボス版を作製し、次い
    で合成樹脂シートの表面にこの作製したエンボス版を
    用いてエンボスを施すことにより、合成樹脂シートの表
    面に、光により複雑に輝度感が変化する干渉色を呈する
    ように、上に凸の四角錐状のエンボスを線数100〜
    250線/インチの所定の規則的な配置で形成して、連
    続階調を有する柄のエンボスを付与することを特徴とす
    るエンボス化粧シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 いずれかの層の上に絵柄印刷層を設けた
    少なくとも2層の合成樹脂層を前記絵柄印刷層を内面側
    にしてラミネートしながら表面にエンボスを施すことを
    特徴とする請求項3記載のエンボス化粧シートの製造方
    法。
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