JP3242742B2 - 皮膚外用剤配合用スクラブ顆粒及びそれを配合した皮膚外用剤 - Google Patents
皮膚外用剤配合用スクラブ顆粒及びそれを配合した皮膚外用剤Info
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/又は水不溶性の有機高分子物質粉体と粉末の硬化油を
混合したものを、水溶性結合剤を用いて攪拌造粒法によ
って造粒した後、これを一旦、加熱処理することで含有
する硬化油粉末を融解なじませて得られた皮膚外用剤配
合用のスクラブ顆粒と、それを配合したマッサージ効
果、洗浄効果に優れる感触性が極めて良好な皮膚外用剤
に関するものである。
有皮膚外用剤において、配合されているスクラブ顆粒を
検討してみると、その材質や特徴からいくつかの種類に
分けられるようである。すなわち、 (1)例えば、植物の種子の殻を粉砕したようなもの
や、あるいはポリエチレン、ポリスチレンなどの炭化水
素系高分子といったような素材からなるもので、粒径と
しては50μm〜1mm程度のものだが、使用時にあって
いつまでもその大きさが変わらないようなタイプのも
の。 (2)水溶性結合剤や油脂などを結合剤として用い、数
μm〜20μm程の粉体を200μm〜2mm程の顆粒とし
たもので、使用時に徐々に小さくなって最後にはなくな
ってしまうようなタイプのもの。 (3)上記の2つのタイプの中間的立場に位置するよう
なもので、例えば、粉体をワックスだけを用いて造粒し
たもの、あるいは非水溶性結合剤を使用して造粒したも
のなどで代表される、使用中に徐々に小さくなっていく
ようなタイプのもの。といったように分類することがで
きる。
製造においてあるいは使用時にあって次のような不都合
や欠点をもっている。すなわち、(1)のような素材か
らなるタイプのものは、皮膚に対する粒子の接触感があ
るし、またマッサージ効果、汚れの除去効果(洗浄効
果)も高いが、何れも強すぎる傾向にある。更に、粒子
の減衰や消失がないことからこうした効果は持続され、
したがって、皮膚の弱い人や肌が敏感な人にはもちろん
不向なものであるし、そうでない人であってもその使用
における過度な刺激が、かえって肌を傷めてしまうなど
の心配がある。また、このタイプのスクラブ顆粒は、使
用後、皮膚上に残存するので洗い流す必要があり、した
がって、例えば、洗顔料などの皮膚洗浄を目的とするよ
うな製剤といったものにその用途が制約されてしまうな
どの欠点をもつ。
擦や、あるいは処方中の水分や油脂類による結合剤の溶
解などによって、粒子が次第に減衰し最終的に消失して
しまうという特徴があり、この点では前記の(1)のタ
イプのものに比べ、肌への刺激が少ないので安心して使
用できる。また、このタイプのものは、色の変化を楽し
んだり、皮膚外用剤全般的に配合できるという有利な点
もある。ところが、それと引き換えに、マッサージ効果
や洗浄効果といったスクラブ剤としての機能はほとんど
期待できないのである。
して適度な粒子の接触感があるし、マッサージ効果、洗
浄効果もそれなりに有する。それに、使用中にあって粒
子が次第に小さくなるということから(1)のようなタ
イプのものに比べれば刺激も少ない。ところが、このよ
うなスクラブ顆粒は、製造においていろいろと不都合な
ことがある。1つには、硬さの調整がむづかしいという
ことである。例えば、粉体をワックスだけを用いて造粒
する場合では、一般にワックスが水やアルコールなどに
溶解しないため、造粒するには相当な量を加熱融解させ
て使用しなければならない。その結果、できあがった顆
粒は硬くなり過ぎてしまう傾向があり所期の目的とする
適度な硬さの顆粒は得られにくい。また、非水溶性結合
剤を使用する場合でも、粉体を造粒するためにはある程
度の量が必要であり、同時に、その結合剤の量で粒子の
硬さが決定されてしまうため、予め硬さを考慮した上で
その添加量を調節し、造粒しなければならないというこ
とになり、技術的に非常にむづかしい。2つ目には、製
造における作業性や設備といった点である。上記のよう
にワックスのみを使用する場合では、それ相当の加熱設
備が必要であり、また、非水溶性結合剤を使用する場合
には、多量の有機溶媒を使用しなければならない。特
に、有機溶媒を使用すれば防爆設備、換気設備が必要と
なってくし、他の場合と比べ作業性も著しく悪い。ま
た、非水溶性結合剤を用いて造粒したものは、処方中に
アルコールなどの有機溶媒が含まれていると、前記
(2)のタイプと同様にスクラブ剤としての効果が低下
する傾向になることをさけられない。
た種々の欠点や不都合のない新しいタイプのスクラブ顆
粒を開発することを目的とし鋭意研究を重ねてきた。す
なわち、本発明の解決する課題は、どんな皮膚外用剤に
も配合することができ、適度な感触が得られ、マッサー
ジ効果や洗浄効果にも優れ、更に使用中に徐々に小さく
なるような刺激の少ない安全なスクラブ顆粒であり、し
かも有機溶媒を使用することなく製造することができる
ような、従来にない新しいタイプのスクラブ顆粒の開発
とそれを配合した皮膚外用剤を提供することにある。
製造法について、以下に例をあげて詳記するが、造粒の
際に使用する粉体、硬化油、及び結合剤などや、また造
粒方法などについては例示の通りに限定されるものでは
ない。本発明をより詳しく説明する意味で、はじめに製
造方法における概略と特徴についてをまとめてみる。
に融点が50℃以上の硬化油の粉末を混合させること、
そしてこの混合粉末を水溶性結合剤で攪拌造粒法により
造粒することに1つの特徴がある。この際、用いる水不
溶性の粉末とは、その性質のものであればどのようなも
のでも使用できる。例えば、タルク、酸化チタン、酸化
亜鉛などの無機鉱物類、リン酸カルシウムなどの無機塩
類、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロンパウダー、
シリコンパウダーなどの有機合成高分子類、それに、結
晶性セルロース、デンプンなどの天然高分子類などが代
表的である。また、硬化油とは、魚油、鯨油、または他
の動物性脂肪油もしくは植物性脂肪油に水素を添加して
得た脂肪油であり、例えば、硬化ナタネ油、硬化ヒマシ
油、硬化イワシ油などのようなものがあるが、本発明で
は、この内、融点が50℃以上のものを使用する。融点
が50℃以上のものを用いる理由は、目的のスクラブ顆
粒が適度な硬さに仕上がること、好ましい粒子接触感
や、マッサージ効果、洗浄効果が得られる粒子に仕上が
ること、配合製剤の保管において安定性が良好なものが
得られることなどである。水不溶性粉末と硬化油の量的
な関係は、水不溶性粉末の総量に対し、0.1〜25%
好ましくは2.0〜8.0%量の粉末硬化油を用いること
が良い。これらを十分に混練させ、水溶性結合剤で造粒
するわけであるが、用いる水溶性結合剤としては、ヒド
ロキシプロピルセルロースやポリビニルピロリドンなど
で良い。
加熱処理を行うということに2つ目の特徴がある。加熱
条件は、用いた硬化油の融点の10〜20℃程度高い温
度で、造粒物中の硬化油が融解するまで(およそ、20
〜40分程度)処理するのがよい。これは粒子中の硬化
油を水不溶性粉末とよくなじませるために行う。
に、常温下まで冷却することによって、目的となすスク
ラブ顆粒が得られるのである。
晶セルロース(100g)、それに黄酸化鉄(5.0g)と、硬化ナ
タネ油(20g)を十分に混合し、これを5%ポリビニルピ
ロリドン水溶液(200g)を用い攪拌造粒機によって造粒す
る。得られた造粒物を乾燥機で乾燥した後、80℃の恒
温器で30分間加熱処理を行う。次に、常温下まで放置
冷却し、ふるい(28〜48メッシュ)を行ってスクラブ顆粒
(A)を得る。
硬化ヒマシ油(30g)を添加し、よく混合する。これを攪
拌造粒機において、7%ヒドロキシプロピルセルロース
水溶液(200g)を用いて造粒する。得られた造粒物を乾燥
機で乾燥した後、80℃の恒温器で30分間加熱処理を
行う。次に、常温下まで放置冷却し、ふるい(28〜48メ
ッシュ)を行ってスクラブ顆粒(B)を得る。
尚、皮膚外用剤への配合ということを考慮して、乾燥状
態、水で湿らせた状態、エタノールで湿らせた状態とい
うように条件を変えて行った。供試品、測定器、試験方
法、結果は次の通りである。 <供 試 品> 1.製造例により得られたスクラブ顆粒(A) 2.製造例により得られたスクラブ顆粒(B) 比較対象として、 3.製造例のスクラブ顆粒(B)の未加熱処理品 4.ポリスチレン粒 5.くるみ種子殻粒 6.従来法により、水不溶性粉体をヒドロキシプロピル
セルロースだけで造粒した顆粒 7.従来法により、水不溶性粉体をエチルセルロースだ
けで造粒した顆粒 8.従来法により、水不溶性粉体をパラフィンワックス
だけで造粒した顆粒 <測 定 器> レオメーター NRM−2002J (不動工業株式会
社製) <試験方法>供試品の粒子径をふるって42〜48メッ
シュに揃え、それぞれ任意抽出した10粒を、乾燥状
態、水で湿らせた状態、エタノールで湿らせた状態で圧
縮し、弾性アダプターを使ってつぶれた時のg数を測定
した。尚、測定は1供試品につき10回行い、その平均
値を求めた。 <結 果>結果は、次表(表1)に示す通りである。
品1,2)は、どのような状態にあっても安定した硬度
を保持している。また、同じ材料を使用したものでも、
加熱処理しなかったもの(供試品3)の場合では、乾燥
状態での硬度が低く、さらに水やエタノールの存在下で
非常に脆いことがわかる。一方、従来のポリスチレン粒
(供試品4)や、くるみ種子殻粒(供試品5)といった
ものは、レオメーターのスケールを越えてしまうほどの
硬度でもつぶれなかった。従来の水溶性結合剤のみを使
用して造粒した顆粒(供試品6)は、やはり、水やエタ
ノールによる影響を受け易いものであることが確認され
る。また、非水性結合剤であるエチルセルロースのみを
使用して造粒した顆粒(供試品7)は、アルコールの影
響を受け易く、パラフィンワックスのみを使用して造粒
した顆粒(供試品8)では、硬すぎる傾向にあるようで
ある。
に応用した場合、処方中にどれほど配合すれば適切な感
触が得られ、また目的とするようなスクラブ剤としての
効果が発揮されるのかを検討してみた。その方法として
は、皮膚外用剤としてエモリエントクリーム及び洗顔ク
リームを代表にとりあげベースクリームを製し、本発明
のスクラブ顆粒をいろいろな添加量で配合し、モニター
に実際に使用してもらって評価を求めた。
℃に加熱し、完全に溶解させた後、油相部Aを攪拌中の
水相部Bに加える。その後も、攪拌したまま放置し、系
の温度が50℃となったらCを加え、なお攪拌を続け冷
却してエモリエントクリームを得た。
た後、攪拌しながらこれにBの溶液をゆっくり添加しケ
ン化を行う。次いで、これにCの混合溶液およびDを加
え攪拌しながら放置し、系の温度が50℃まで冷えたと
ころでEを加え、更に常温まで放置し、洗顔クリームを
得た。
しての三つの段階で、それぞれのクリームに対し、次の
項目についてを点数で評価してもらった。 感触、マッサージ効果、洗浄効果 好ましくない 1点 ややもの足りない 2点 ふつう 3点 やや満足 4点 良好 5点 <結 果>表2は、実施例で得られたスクラブ顆粒
(A)をいろいろと配合量を変えて製したエモリエント
クリームについての評価点の合計値である。また、表3
は、実施例で得られたスクラブ顆粒(B)をいろいろと
配合量を変えて製した洗顔クリームについての評価点の
合計値である。尚、比較対象として、それぞれのクリー
ムについて、硬度の測定の際に用いた以下のものを1%
配合したものを準備し共に評価してもらった。その際、
スクラブ顆粒の種類や配合量などは一切パネラーには知
らさないで行った。 比較1 製造例のスクラブ顆粒(B)の未加熱処理品 比較2 ポリスチレン粒 比較3 くるみ種子殻粒 比較4 水不溶性粉体をヒドロキシプロピルセルロース
だけで造粒した顆粒 比較5 水不溶性粉体をエチルセルロースだけで造粒し
た顆粒 比較6 水不溶性粉体をパラフィンワックスだけで造粒
した顆粒
顆粒を皮膚外用剤に配合するときは0.05〜5%程度
が最も適切な量であることが確認された。また、処方中
に、水や油脂類を含む場合にあっても、従来のものに比
べ使用時における安定性が非常に良好で、適度のスクラ
ブ効果が持続されることもわかった。
配合用スクラブ顆粒は、皮膚に対する接触感が極めて良
好で、適度なマッサージ効果、洗浄効果が得られる。ま
た、使用中に、徐々に小さくなるため皮膚への刺激も少
なくてすむ。これらを、0.05〜5.0%の範囲で配合
した皮膚外用剤は、皮膚に対する刺激が少なく、かつ上
記のような効果が得られる。したがって、使用開始直
後、それに使用後も共に高い満足感が得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】 水不溶性の無機物質粉体及び/又は水不
溶性の有機高分子物質粉体と、融点が50℃以上の硬化
油の粉末一種もしくは二種以上を混合し、これを水溶性
結合剤を用いて攪拌造粒法によって造粒した後、乾燥さ
せ、次に、この乾燥粒子に対し、粒子中に含有する硬化
油粉末が融解するように加熱処理を行い、冷却して得ら
れた皮膚外用剤配合用のスクラブ顆粒 - 【請求項2】 水不溶性の無機物質粉体及び/又は水不
溶性の有機高分子物質粉体と、融点が50℃以上の硬化
油の粉末一種もしくは二種以上の混合物を水溶性結合剤
を用いて攪拌造粒法によって造粒した後、乾燥し、次
に、この乾燥粒子を加熱処理して得られた請求項1記載
のスクラブ顆粒を、0.05〜5.0%の範囲で配合す
ることを特徴とする皮膚外用剤
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