JP3242242B2 - マイクロ波誘電体磁器組成物 - Google Patents
マイクロ波誘電体磁器組成物Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波誘電体磁器
組成物に関し、更に詳しく言えば、無負荷(以下、「Q
u」という。)及び共振周波数の温度係数(以下、「τ
f 」という。)を実用的な特性範囲で維持しつつ、高い
比誘電率(以下、「εr 」という。)を備えるマイクロ
波誘電体磁器組成物に関する。本発明は、マイクロ波領
域における誘電体共振器(特に、基地局用共振器)、マ
イクロ波集積回路基板、各種マイクロ波回路のインピー
ダンス整合等に利用される。
組成物に関し、更に詳しく言えば、無負荷(以下、「Q
u」という。)及び共振周波数の温度係数(以下、「τ
f 」という。)を実用的な特性範囲で維持しつつ、高い
比誘電率(以下、「εr 」という。)を備えるマイクロ
波誘電体磁器組成物に関する。本発明は、マイクロ波領
域における誘電体共振器(特に、基地局用共振器)、マ
イクロ波集積回路基板、各種マイクロ波回路のインピー
ダンス整合等に利用される。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波誘電体磁器組成物(以下、
「磁器組成物」という。)は、使用周波数が高周波とな
るに従って誘電損失が大きくなる傾向にあるので、マイ
クロ波領域でQuの大きな磁器組成物が望まれている。
また、この磁器組成物には、マイクロ波領域に適した高
いεr をもち、且つ、τf が小さいことが要求されてい
る。特に、近年では、上記基地局用共振器の小型化のた
め、高いεr (45程度)を有するものが求められてい
る。
「磁器組成物」という。)は、使用周波数が高周波とな
るに従って誘電損失が大きくなる傾向にあるので、マイ
クロ波領域でQuの大きな磁器組成物が望まれている。
また、この磁器組成物には、マイクロ波領域に適した高
いεr をもち、且つ、τf が小さいことが要求されてい
る。特に、近年では、上記基地局用共振器の小型化のた
め、高いεr (45程度)を有するものが求められてい
る。
【0003】そして、これらの要求を満足させる為、
(1─x)La(Mg1/2 Ti1/2)O3 −xCaTi
O3 で示される組成を有する磁器組成物(特開昭61−
128411号公報)、所定のモル比で配合されたM
gO、CaO、TiO2 、Nd2 O3 、ZnO及びPb
Oからなる6成分系の磁器組成物(特開昭61−291
456号公報)、所定のモル比で配合されたCaTi
O3 、La2 Ti2 O7 、Nd(Mg1/2 Ti1/2 )O
3 及びMgTiO3 ・ZnO混合物を主成分とする磁器
組成物(特開昭62−283862号公報、特開昭62
−283863号公報)等が提案されている。
(1─x)La(Mg1/2 Ti1/2)O3 −xCaTi
O3 で示される組成を有する磁器組成物(特開昭61−
128411号公報)、所定のモル比で配合されたM
gO、CaO、TiO2 、Nd2 O3 、ZnO及びPb
Oからなる6成分系の磁器組成物(特開昭61−291
456号公報)、所定のモル比で配合されたCaTi
O3 、La2 Ti2 O7 、Nd(Mg1/2 Ti1/2 )O
3 及びMgTiO3 ・ZnO混合物を主成分とする磁器
組成物(特開昭62−283862号公報、特開昭62
−283863号公報)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在に
おいては、上記磁器組成物の使用範囲の拡大等に伴い、
上記〜と同様に上記各要求性能(Qu、εr 等)に
優れた他の磁器組成物の出現が望まれている。また、高
品質の磁器組成物を安定的に得るには、その製造工程の
一つである焼成工程の焼成温度がある程度ばらついて
も、製造される各組成物間の性能に大きなばらつきを生
じさせない(即ち、磁器組成物の「焼成温度の変化に伴
う性能のばらつき」が小さい)ことが必要となる。
おいては、上記磁器組成物の使用範囲の拡大等に伴い、
上記〜と同様に上記各要求性能(Qu、εr 等)に
優れた他の磁器組成物の出現が望まれている。また、高
品質の磁器組成物を安定的に得るには、その製造工程の
一つである焼成工程の焼成温度がある程度ばらついて
も、製造される各組成物間の性能に大きなばらつきを生
じさせない(即ち、磁器組成物の「焼成温度の変化に伴
う性能のばらつき」が小さい)ことが必要となる。
【0005】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、上記各要求性能を満足すると共に、それらの要求性
能を安定的に発揮できる磁器組成物を提供することを目
的とする。
り、上記各要求性能を満足すると共に、それらの要求性
能を安定的に発揮できる磁器組成物を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の磁器組成物は、
組成式x[yMgTiO3−(1−y)CaTiO3]
−(1−x)(Nd2O3・2TiO2)〔但し、0.
85≦x≦0.95、0.55≦y≦0.65〕で示さ
れ、且つ測定周波数3.0〜4.2GHzにおける比誘
電率が43.1以上であることを特徴とする。
組成式x[yMgTiO3−(1−y)CaTiO3]
−(1−x)(Nd2O3・2TiO2)〔但し、0.
85≦x≦0.95、0.55≦y≦0.65〕で示さ
れ、且つ測定周波数3.0〜4.2GHzにおける比誘
電率が43.1以上であることを特徴とする。
【0007】上記の如く「x」の範囲を定めるのは、以
下の理由による。即ち、xが0.85未満の場合には、
高いQuを得られず、xが0.95を越える場合には、
τfが許容範囲外の大きな正の値になり好ましくない。
また、xが上記範囲内の場合には、Qu、εr 及びτf
の値の上記「性能のばらつき」が小さいからである。特
に、xが0.9程度の場合に、高いQuが得られると共
に、上記「性能のばらつき」も小さく好ましい。また、
上記の如く「y」の値を定めるのは、yが0.55未満
の場合には、Quの値が小さくなると共に、τf が許容
範囲外の大きな正の値をとり、yが0.65を越えると
εr の値が小さくなるからである。
下の理由による。即ち、xが0.85未満の場合には、
高いQuを得られず、xが0.95を越える場合には、
τfが許容範囲外の大きな正の値になり好ましくない。
また、xが上記範囲内の場合には、Qu、εr 及びτf
の値の上記「性能のばらつき」が小さいからである。特
に、xが0.9程度の場合に、高いQuが得られると共
に、上記「性能のばらつき」も小さく好ましい。また、
上記の如く「y」の値を定めるのは、yが0.55未満
の場合には、Quの値が小さくなると共に、τf が許容
範囲外の大きな正の値をとり、yが0.65を越えると
εr の値が小さくなるからである。
【0008】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (1)試験片の作製 本実施例の各試験片は、組成式x[yMgTiO3 −
(1−y)CaTiO3]−(1−x)(Nd2 O3 ・
2TiO2 )で表される磁器組成物(但し、各試験例毎
に、表1〜5に示すx、y及び焼成温度の少なくとも1
つが異なる。)となる様に、所定の調合粉末を用いて作
製したものである。
る。 (1)試験片の作製 本実施例の各試験片は、組成式x[yMgTiO3 −
(1−y)CaTiO3]−(1−x)(Nd2 O3 ・
2TiO2 )で表される磁器組成物(但し、各試験例毎
に、表1〜5に示すx、y及び焼成温度の少なくとも1
つが異なる。)となる様に、所定の調合粉末を用いて作
製したものである。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】
【表4】
【0013】
【表5】
【0014】これらの調合粉末を構成する出発原料とし
ては、TiO2 粉末(純度;99.98%)、MgO粉
末(純度;99.3%)、CaCO3 粉末(純度;9
9.7%)、Nd2 O3 粉末(純度;99.9%)を用
いた。そして、上記各調合粉末を所定量(約560g)
ずつ、アイリッヒミキサーにより、20〜30分掛けて
一次粉砕した。次いで、大気雰囲気中にて、1100℃
の温度の下、2時間仮焼を行った。尚、このときの昇温
速度は200℃/hであり、降温速度は−200℃/h
であった。
ては、TiO2 粉末(純度;99.98%)、MgO粉
末(純度;99.3%)、CaCO3 粉末(純度;9
9.7%)、Nd2 O3 粉末(純度;99.9%)を用
いた。そして、上記各調合粉末を所定量(約560g)
ずつ、アイリッヒミキサーにより、20〜30分掛けて
一次粉砕した。次いで、大気雰囲気中にて、1100℃
の温度の下、2時間仮焼を行った。尚、このときの昇温
速度は200℃/hであり、降温速度は−200℃/h
であった。
【0015】更に、これらの各仮焼粉末500gに、所
定の有機バインダー29gと水300〜400gを加
え、ボールミル(20mmφのアルミナボール、回転
数;90rpm)により、23時間掛けて2次粉砕を行
った。その後、真空凍結乾燥(真空度;約0.4Tor
r、真空乾燥時間;約20時間、凍結温度;−20〜−
40℃、乾燥温度;40〜50℃)により造粒し、これ
らの造粒された原料を用いて1000kg/cm2 のプ
レス圧で19mmφ×10mmt(高さ)の円柱状に成
形した(以下、この成形体を「仮焼試験片」とい
う。)。
定の有機バインダー29gと水300〜400gを加
え、ボールミル(20mmφのアルミナボール、回転
数;90rpm)により、23時間掛けて2次粉砕を行
った。その後、真空凍結乾燥(真空度;約0.4Tor
r、真空乾燥時間;約20時間、凍結温度;−20〜−
40℃、乾燥温度;40〜50℃)により造粒し、これ
らの造粒された原料を用いて1000kg/cm2 のプ
レス圧で19mmφ×10mmt(高さ)の円柱状に成
形した(以下、この成形体を「仮焼試験片」とい
う。)。
【0016】次に、これらの仮焼試験片を大気中500
℃、3時間にて脱脂し、その後、1350〜1475℃
の範囲の温度で、4時間焼成し、最後に両端面を約16
mmφ×8mmt(高さ)の円柱状に研磨して、各試験
例に係わる磁器組成物(以下、これらの組成物を「焼成
試験片」という。)を作製した。尚、この焼成工程にお
ける昇温速度は100℃/hで、降温速度は−100℃
/hであった。
℃、3時間にて脱脂し、その後、1350〜1475℃
の範囲の温度で、4時間焼成し、最後に両端面を約16
mmφ×8mmt(高さ)の円柱状に研磨して、各試験
例に係わる磁器組成物(以下、これらの組成物を「焼成
試験片」という。)を作製した。尚、この焼成工程にお
ける昇温速度は100℃/hで、降温速度は−100℃
/hであった。
【0017】(2)性能試験とその評価 以上の各試験片の性能を評価するために、以下に述べる
各項目の試験と評価を行った。 A.マイクロ波誘電特性 εr 、Qu及びτf 平行導体板型誘電体円柱共振器法(TE011 MODE)
等により行った。尚、測定周波数は3.0GHz〜4.
2GHzである。また、τf は30〜80℃の温度領域
で測定し、τf =(f80−f30)/(f30×ΔT)、Δ
T=80−30=50℃にて算出した。 焼結密度 アルキメデス法により測定した。
各項目の試験と評価を行った。 A.マイクロ波誘電特性 εr 、Qu及びτf 平行導体板型誘電体円柱共振器法(TE011 MODE)
等により行った。尚、測定周波数は3.0GHz〜4.
2GHzである。また、τf は30〜80℃の温度領域
で測定し、τf =(f80−f30)/(f30×ΔT)、Δ
T=80−30=50℃にて算出した。 焼結密度 アルキメデス法により測定した。
【0018】これらの結果を上記表1〜5及び図1〜1
3に示す。尚、これらの図のうち、図1〜8は、上記
「x」、「y」の値と、各特性値(εr 、Qu等)との
関係を示すグラフ(焼成温度;1400℃)である。ま
た、図9〜13は、表4に示される各試験例〔組成式x
(0.65MgTiO3 −0.35CaTiO3 )−
(1−x)(Nd2 O3 ・2TiO2 )で示されるも
の〕において、焼成温度(焼成温度;1350〜145
0℃)と焼成試験片の特性値(εr 、Qu等)の関係を
示している。更に、表6は同試験例において、焼成温度
が各焼成試験片の特性値(εr 、Qu等)に与える影響
〔焼成温度を1350〜1450℃間で変化させた場合
の各特性値の変動(同表中に±を付して示した特性値の
ばらつき)〕を示している。
3に示す。尚、これらの図のうち、図1〜8は、上記
「x」、「y」の値と、各特性値(εr 、Qu等)との
関係を示すグラフ(焼成温度;1400℃)である。ま
た、図9〜13は、表4に示される各試験例〔組成式x
(0.65MgTiO3 −0.35CaTiO3 )−
(1−x)(Nd2 O3 ・2TiO2 )で示されるも
の〕において、焼成温度(焼成温度;1350〜145
0℃)と焼成試験片の特性値(εr 、Qu等)の関係を
示している。更に、表6は同試験例において、焼成温度
が各焼成試験片の特性値(εr 、Qu等)に与える影響
〔焼成温度を1350〜1450℃間で変化させた場合
の各特性値の変動(同表中に±を付して示した特性値の
ばらつき)〕を示している。
【0019】
【表6】
【0020】以上の結果によれば、Quは、xの値が大
きくなるに従って増加し、x=0.9付近で3000以
上の良好な値になる。しかしながら、xの値が0.9を
越えると減少する傾向にある(図5等参照)。また、Q
uは、x=0.9及び1.0の場合において、yの値が
大きくなると増加する傾向にある(図1等参照)。更
に、εr は、yの値に影響され易く、yの値が大きくな
る(特に、yが0.65以上になる)と、減少する(約
50→40)傾向にある(図2、6等参照)。
きくなるに従って増加し、x=0.9付近で3000以
上の良好な値になる。しかしながら、xの値が0.9を
越えると減少する傾向にある(図5等参照)。また、Q
uは、x=0.9及び1.0の場合において、yの値が
大きくなると増加する傾向にある(図1等参照)。更
に、εr は、yの値に影響され易く、yの値が大きくな
る(特に、yが0.65以上になる)と、減少する(約
50→40)傾向にある(図2、6等参照)。
【0021】また、τf は、xの値が大きくなるに従っ
て、正の大きな値から0へと近づくが、xの値が0.7
〜0.8に達すると、逆に正の大きな値に向かう傾向に
ある(図3、7参照)。一方、yの値が大きくなると、
より0に近い良好な値に向かう傾向にある(同図参
照)。更に、焼結密度は、xの値に影響され易く、xの
値が大きくなると減少する傾向にあるが、いずれも許容
範囲内の数値を示している(図4、8等参照)。
て、正の大きな値から0へと近づくが、xの値が0.7
〜0.8に達すると、逆に正の大きな値に向かう傾向に
ある(図3、7参照)。一方、yの値が大きくなると、
より0に近い良好な値に向かう傾向にある(同図参
照)。更に、焼結密度は、xの値に影響され易く、xの
値が大きくなると減少する傾向にあるが、いずれも許容
範囲内の数値を示している(図4、8等参照)。
【0022】更に、図9及び表6によれば、x=0.7
の場合にはQu値のばらつきが±180であるのに対し
て、x=0.9の場合には±50となり、約1/4に迄
低減されている。また、その他の特性値も、図10、1
1及び表6に示す様に、x=9の場合には、x=0.7
の場合に比べ、εrのばらつきは約1/15、τfのば
らつきは約1/10にまで低減されている。この様に、
焼成温度の変化に伴う各性能のばらつきは、xの値が大
きくなるに従って、徐々に小さくなり、xが0.9のと
きに、好ましい範囲内になる。一方、xが0.85未満
の小さな値の場合に、各性能のばらつきが大きいのは、
この様な場合(Nd2 O3 ・2TiO2の組成物全体に
占める比率が大きい場合)には、低い焼成温度では磁器
組成物が緻密化し難く、高い焼成温度では液相が生成
し、セッターに滲み出て素子(同組成物)の組成が変わ
ったためと考えられる。尚、焼結密度に関しても、同様
な結果を示している(図12及び13)。
の場合にはQu値のばらつきが±180であるのに対し
て、x=0.9の場合には±50となり、約1/4に迄
低減されている。また、その他の特性値も、図10、1
1及び表6に示す様に、x=9の場合には、x=0.7
の場合に比べ、εrのばらつきは約1/15、τfのば
らつきは約1/10にまで低減されている。この様に、
焼成温度の変化に伴う各性能のばらつきは、xの値が大
きくなるに従って、徐々に小さくなり、xが0.9のと
きに、好ましい範囲内になる。一方、xが0.85未満
の小さな値の場合に、各性能のばらつきが大きいのは、
この様な場合(Nd2 O3 ・2TiO2の組成物全体に
占める比率が大きい場合)には、低い焼成温度では磁器
組成物が緻密化し難く、高い焼成温度では液相が生成
し、セッターに滲み出て素子(同組成物)の組成が変わ
ったためと考えられる。尚、焼結密度に関しても、同様
な結果を示している(図12及び13)。
【0023】以上より、総合的に判断すれば、0.85
≦x≦0.95、0.55≦y≦0.65の範囲の場合
に、各特性値がいずれも良好であると共に、焼成温度に
よる性能のばらつきも小さい。
≦x≦0.95、0.55≦y≦0.65の範囲の場合
に、各特性値がいずれも良好であると共に、焼成温度に
よる性能のばらつきも小さい。
【0024】B.結晶構造 上記表4に示す試験例No.411及び414の「仮焼
試験片」及び「焼成試験片」の結晶構造をX線により分
析した。また、表3の試験例No.314の「焼成試験
片」の結晶構造もX線により分析した。そして、これら
の結果を図14〜18に示す。
試験片」及び「焼成試験片」の結晶構造をX線により分
析した。また、表3の試験例No.314の「焼成試験
片」の結晶構造もX線により分析した。そして、これら
の結果を図14〜18に示す。
【0025】これによれば、仮焼試験片の場合(図14
及び15)には、いずれもMgTiO3 (各図中「○」
で表示)、CaTiO3 (各図中「●」で表示)、Mg
Ti2 O 5(各図中「×」で表示)、TiO2 (各図中
「R」で表示)、Nd2 O3(各図中「△」で表示)及
びNd2 Ti2 O7 (各図中「N」で表示)のピークが
表れた。
及び15)には、いずれもMgTiO3 (各図中「○」
で表示)、CaTiO3 (各図中「●」で表示)、Mg
Ti2 O 5(各図中「×」で表示)、TiO2 (各図中
「R」で表示)、Nd2 O3(各図中「△」で表示)及
びNd2 Ti2 O7 (各図中「N」で表示)のピークが
表れた。
【0026】一方、焼成試験片の場合(図16〜18)
には、MgTiO3 及びCaTiO3 〔但し、試験例N
o.411(図16)では、Nd2 O3 も〕のピークが
表れたが、MgTi2 O 5、TiO2 及びNd2 Ti2
O7 のピークは表れなかった。これにより、上記各焼成
試験片を構成している磁器組成物が、MgTiO3 、C
aTiO3 及びNd2 Ti2 O7 の混晶系ではなく、M
gTiO3 とCaTiO3 に、TiO2 とNd2 O3 が
固溶した組成系からなると考えられる。
には、MgTiO3 及びCaTiO3 〔但し、試験例N
o.411(図16)では、Nd2 O3 も〕のピークが
表れたが、MgTi2 O 5、TiO2 及びNd2 Ti2
O7 のピークは表れなかった。これにより、上記各焼成
試験片を構成している磁器組成物が、MgTiO3 、C
aTiO3 及びNd2 Ti2 O7 の混晶系ではなく、M
gTiO3 とCaTiO3 に、TiO2 とNd2 O3 が
固溶した組成系からなると考えられる。
【0027】また、仮焼試験片の場合は、xの値が大き
くなる(Nd2 O3 ・2TiO2 の比率が小さくなる)
に従って、MgTiO3 、CaTiO3 及びMgTi2
O 5の生成量が多くなるが、TiO2 、Nd2 O3 及び
Nd2 Ti2 O7 の生成量は、減少する傾向にある。一
方、焼成試験片の場合は、xの値が大きくなるに従っ
て、MgTiO3 及びCaTiO3 の生成量が多くなる
が、Nd2 O3 の生成量は減少する傾向にある(図示し
ないが、xが0.8を越えるあたりから、同Nd2 O3
のピークが表れなくなる)。
くなる(Nd2 O3 ・2TiO2 の比率が小さくなる)
に従って、MgTiO3 、CaTiO3 及びMgTi2
O 5の生成量が多くなるが、TiO2 、Nd2 O3 及び
Nd2 Ti2 O7 の生成量は、減少する傾向にある。一
方、焼成試験片の場合は、xの値が大きくなるに従っ
て、MgTiO3 及びCaTiO3 の生成量が多くなる
が、Nd2 O3 の生成量は減少する傾向にある(図示し
ないが、xが0.8を越えるあたりから、同Nd2 O3
のピークが表れなくなる)。
【0028】また、図17及び18を比べてみると、C
aTiO3 の回折ピークは、xの値が小さくなる(Nd
2 O3 ・2TiO2 の比率が多くなる)に従って、低角
側へシフトする傾向にあり(xが0.6と0.9の場合
では、0.2程ずれる)、xの値により結晶構造が変化
することを示している。
aTiO3 の回折ピークは、xの値が小さくなる(Nd
2 O3 ・2TiO2 の比率が多くなる)に従って、低角
側へシフトする傾向にあり(xが0.6と0.9の場合
では、0.2程ずれる)、xの値により結晶構造が変化
することを示している。
【0029】C.微細組織構造 本性能評価においては、各焼成試験片の平均結晶粒径の
測定を行った。上記試験例No.411〜414の焼成
試験片の各平均結晶粒径をIntercept法により測定した
結果を図19に示す。これによれば、xの値が変化して
も(Nd2 O3 ・2TiO2 の比率が変わっても)、平
均結晶粒径に与える影響は小さい。また、同様の方法に
より測定した試験例No.434及び444の各平均結
晶粒径と上記試験例No.414の平均結晶粒径とを用
いて、焼成温度と平均結晶粒径の関係を示すグラフ(図
20)を作成した。これによれば、焼成温度の上昇と共
に、平均結晶粒径が大きくなっている。
測定を行った。上記試験例No.411〜414の焼成
試験片の各平均結晶粒径をIntercept法により測定した
結果を図19に示す。これによれば、xの値が変化して
も(Nd2 O3 ・2TiO2 の比率が変わっても)、平
均結晶粒径に与える影響は小さい。また、同様の方法に
より測定した試験例No.434及び444の各平均結
晶粒径と上記試験例No.414の平均結晶粒径とを用
いて、焼成温度と平均結晶粒径の関係を示すグラフ(図
20)を作成した。これによれば、焼成温度の上昇と共
に、平均結晶粒径が大きくなっている。
【0030】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
前記仮焼温度等の仮焼条件、焼成温度等の焼成条件等は
種々選択できる。
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
前記仮焼温度等の仮焼条件、焼成温度等の焼成条件等は
種々選択できる。
【0031】
【発明の効果】以上の様に、本発明の磁器組成物は、Q
u及びτf が実用的な特性範囲で維持されると共に、高
いεr を備えている。また、焼成ばらつきの小さな磁器
組成物であるため、高品質な誘電体を安定的に製造でき
る。
u及びτf が実用的な特性範囲で維持されると共に、高
いεr を備えている。また、焼成ばらつきの小さな磁器
組成物であるため、高品質な誘電体を安定的に製造でき
る。
【図1】組成式x[yMgTiO3 −(1−y)CaT
iO3 ]−(1−x)(Nd2O3 ・2TiO2 )で示
される磁器組成物において、xを各値に定めたときのy
とQuとの関係を示すグラフである。
iO3 ]−(1−x)(Nd2O3 ・2TiO2 )で示
される磁器組成物において、xを各値に定めたときのy
とQuとの関係を示すグラフである。
【図2】図1と同様の磁器組成物において、xを各値に
定めたときのyとεr との関係を示すグラフである。
定めたときのyとεr との関係を示すグラフである。
【図3】図1と同様の磁器組成物において、xを各値に
定めたときのyとτf との関係を示すグラフである。
定めたときのyとτf との関係を示すグラフである。
【図4】図1と同様の磁器組成物において、xを各値に
定めたときのyと焼結密度との関係を示すグラフであ
る。
定めたときのyと焼結密度との関係を示すグラフであ
る。
【図5】図1と同様の磁器組成物において、yを各値に
定めたときのxとQuとの関係を示すグラフである。
定めたときのxとQuとの関係を示すグラフである。
【図6】図1と同様の磁器組成物において、yを各値に
定めたときのxとεr との関係を示すグラフである。
定めたときのxとεr との関係を示すグラフである。
【図7】図1と同様の磁器組成物において、yを各値に
定めたときのxとτf との関係を示すグラフである。
定めたときのxとτf との関係を示すグラフである。
【図8】図1と同様の磁器組成物において、yを各値に
定めたときのxと焼結密度との関係を示すグラフであ
る。
定めたときのxと焼結密度との関係を示すグラフであ
る。
【図9】組成式x[0.65MgTiO3 −0.35C
aTiO3 ]−(1−x)(Nd2 O3 ・2TiO2 )
で示される磁器組成物において、xを各値に定めたとき
の焼成温度とQuとの関係を示すグラフである。
aTiO3 ]−(1−x)(Nd2 O3 ・2TiO2 )
で示される磁器組成物において、xを各値に定めたとき
の焼成温度とQuとの関係を示すグラフである。
【図10】図9と同様の磁器組成物において、xを各値
に定めたときの焼成温度とεr との関係を示すグラフで
ある。
に定めたときの焼成温度とεr との関係を示すグラフで
ある。
【図11】図9と同様の磁器組成物において、xを各値
に定めたときの焼成温度とτf との関係を示すグラフで
ある。
に定めたときの焼成温度とτf との関係を示すグラフで
ある。
【図12】図9と同様の磁器組成物において、xを各値
に定めたときの焼成温度と焼結密度との関係を示すグラ
フである。
に定めたときの焼成温度と焼結密度との関係を示すグラ
フである。
【図13】組成式0.9[yMgTiO3 −(1−y)
CaTiO3 ]−0.1(Nd2O3 ・2TiO2 )で
示される磁器組成物において、yを各値に定めたときの
焼成温度と焼結密度との関係を示すグラフである。
CaTiO3 ]−0.1(Nd2O3 ・2TiO2 )で
示される磁器組成物において、yを各値に定めたときの
焼成温度と焼結密度との関係を示すグラフである。
【図14】試験例No.414の仮焼試験片のX線回折
の結果を示すグラフである。
の結果を示すグラフである。
【図15】試験例No.411の仮焼試験片のX線回折
の結果を示すグラフである。
の結果を示すグラフである。
【図16】試験例No.414の焼成試験片のX線回折
の結果を示すグラフである。
の結果を示すグラフである。
【図17】試験例No.411の焼成試験片のX線回折
の結果を示すグラフである。
の結果を示すグラフである。
【図18】試験例No.314の焼成試験片のX線回折
の結果を示すグラフである。
の結果を示すグラフである。
【図19】図9と同様の組成物からなる焼成試験片にお
いて、xの値と平均結晶粒径の関係を示すグラフであ
る。
いて、xの値と平均結晶粒径の関係を示すグラフであ
る。
【図20】図9と同様の組成物からなる焼成試験片にお
いて、焼成温度と平均結晶粒径との関係を示すグラフで
ある。
いて、焼成温度と平均結晶粒径との関係を示すグラフで
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−115704(JP,A) 特開 昭51−67999(JP,A) 特開 昭61−291456(JP,A) 特開 昭63−138605(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 組成式x[yMgTiO3−(1−y)
CaTiO3]−(1−x)(Nd2O3・2Ti
O2)〔但し、0.85≦x≦0.95、0.55≦y
≦0.65〕で示され、且つ測定周波数3.0〜4.2
GHzにおける比誘電率が43.1以上であることを特
徴とするマイクロ波誘電体磁器組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31430793A JP3242242B2 (ja) | 1993-11-19 | 1993-11-19 | マイクロ波誘電体磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31430793A JP3242242B2 (ja) | 1993-11-19 | 1993-11-19 | マイクロ波誘電体磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07144965A JPH07144965A (ja) | 1995-06-06 |
JP3242242B2 true JP3242242B2 (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=18051785
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31430793A Expired - Fee Related JP3242242B2 (ja) | 1993-11-19 | 1993-11-19 | マイクロ波誘電体磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3242242B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6541656B2 (en) | 2000-02-10 | 2003-04-01 | Nippon Shokubai Company, Ltd. | Process for producing α, β-unsaturated carboxylic acid esters and catalyst for use in such process |
-
1993
- 1993-11-19 JP JP31430793A patent/JP3242242B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6541656B2 (en) | 2000-02-10 | 2003-04-01 | Nippon Shokubai Company, Ltd. | Process for producing α, β-unsaturated carboxylic acid esters and catalyst for use in such process |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07144965A (ja) | 1995-06-06 |
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---|---|---|---|
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