JP3239404B2 - 合成樹脂製のガイドローラ及びガイドローラの製造方法 - Google Patents

合成樹脂製のガイドローラ及びガイドローラの製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はテープカセットなどにお
いて、磁気テープの走行をガイドする場合などに使用す
るガイドローラ及びその製造方法に関し、特にガイドロ
ーラ自身に吸音効果をもたせることができるようにした
ものである。
【0002】
【従来の技術】テープカセットにおいては、一般に図3
に示したようにガイドローラ101…101が回転中心
軸102…102に回転自在に取付けられていて、これ
らガイドローラ101…101により磁気テープ103
の走行をガイドするようになっている。
【0003】そして、上記ガイドローラ101…101
は図4に示したように、非発泡の硬質の合成樹脂によ
り、厚肉の円筒状に形成されてい、外周105に磁
気テープ103を懸架し、内周106に回転中心軸1
02を挿入することにより、該回転中心軸102に回転
自在に取付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ガイドローラ101は合成樹脂により厚肉の円筒状に形
成されていたために、成形時に所謂合成樹脂のヒケによ
り、ガイドローラ101の内,外周106,105に
凹部が発生し、磁気テープ103等の円滑な走行を阻害
するという問題点があった。
【0005】そこで、上記ヒケの問題を解決するため
に、図5に示したように、内,外周106,105の
間に空隙部107,108を形成したガイドローラ11
1も開発されるに至った。
【0006】しかし、上記内,外周106,105の
間に空隙部107,108を形成したガイドローラ11
1にも次に述べるような問題点があった。
【0007】(1)無発泡の硬質の合成樹脂でガイドロ
ーラ111を形成していたために、該ガイドローラ11
1と回転中心軸102の接触面(摺接面)で発生した振
動や騒音(異音)等が外周105側の磁気テープ10
3に伝わりやすい。
【0008】(2)上記内,外周106,105間に
形成した空隙部107,108で騒音等が増幅、拡大さ
れる虞がある。
【0009】本発明は上記従来の問題点を解決すること
を目的として為されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のガイドローラ
は、内周部と,外周部と、これら内,外周部の間に介在
された間層部を備えた合成樹脂製のガイドローラであっ
て、 上記内,外周部を、非発泡合成樹脂によって形成す
ると共に、上記間層部を、発泡合成樹脂によって上記
内,外周部と一体に形成した。 また、本発明のガイドロ
ーラの製造方法は、発泡剤をブレンドした溶融合成樹脂
を成形金型内に射出して成形するものであって、 上記発
泡剤をブレンドした溶融合成樹脂の温度を、発泡剤をブ
レンドしない合成樹脂の溶融温度よりも高温に設定する
と共に、上記成形金型の温度を、発泡剤をブレンドして
いない合成樹脂で成形する場合よりも低温に設定して、
上記発泡剤をブレンドした溶融合成樹脂を上記成形金型
内に射出する構成にした。
【0011】
【作用】本発明のガイドローラは、非発泡合成樹脂の
内,外周部の間に、これと一体に形成された発泡合成樹
脂の間層部によって、上記内周部に挿入した回転中心軸
との間で発生した振動や騒音等を効果的に吸収して、外
周部側の磁気テープ等に伝達されるのを抑制する。 本発
明のガイドローラの製造方法は、発泡剤をブレンドした
溶融合成樹脂の温度を、発泡剤をブレンドしない合成樹
脂の溶融温度よりも高温に設定し、上記成形金型の温度
を、発泡剤をブレンドしていない合成樹脂で成形する場
合よりも低温に設定し、上記発泡剤をブレンドした溶融
合成樹脂を上記成形金型内に射出する構成にしたので、
おのずと、内,外周部は、発泡を抑制されて非発泡合成
樹脂で形成され、間層部は、発泡を促進されて発泡合成
樹脂によって形成された状態 になる。
【0012】
【実施例】次に本発明を図1〜図2を参照して説明す
る。
【0013】1は本発明のガイドローラであり、該ガイ
ドローラ1は厚肉の円筒状に形成されていて、内周側の
軸受孔2内に挿入した回転中心軸102に回転自在に取
付けられていて、外周側で磁気テープの走行をガイドす
るようになっている。
【0014】上記ガイドローラ1の内,外周3,4は
非発泡合成樹脂により形成されている。
【0015】上記ガイドローラ1の内周部3の表面は平
滑に形成されていて、回転中心軸102に取付けたとき
に、ガイドローラ1を円滑に回転させることができるよ
うになっていると共に、外周4の表面も平滑に形成さ
れていて、磁気テープ等を円滑に走行させることができ
るようになっている。
【0016】また、上記非発泡合成樹脂の内,外周
3,4間の間層部5は、発泡合成樹脂で上記内,外周部
3,4と一体に形成されている。
【0017】そして、上記ガイドローラ1の回転時に、
該ガイドローラ1と上記回転中心軸102の接触面で発
生する振動や騒音等を上記発泡合成樹脂の間層部5で吸
収することにより、上記振動や騒音等が上記外周部4に
接触しながら走行する磁気テープ等に伝わるのを防止す
るようになっている。
【0018】実施例のガイドローラ1は発泡剤をブレン
ドしたポリプロピレンで一体に形成されている。
【0019】そして、上記内,外周3,4は上記発泡
剤をブレンドしたポリプロピレンの発泡を抑制すること
により、非(未)発泡ポリプロピレンで形成され、上記
内,外周3,4間の間層部5は発泡を促進させて、無
数のセル状の気泡を設けた発泡ポリプロピレンで形成さ
れている。
【0020】上記発泡剤をブレンドしたポリプロピレン
で非発泡の内,外周3,4と、充分に発泡した間層部
5を一体的に形成するために、ポリプロピレンの樹脂温
度を、発泡剤を含まずに成形する場合のポリプロピレン
(以下100%PPという)の樹脂温度よりも若干高め
にする一方、成形金型の温度は100%PPの場合の金
型温度よりも若干、低目に設定しておく。
【0021】例えば、100%PPの溶融樹脂温度を1
80℃とし、成形金型温度を55℃とした場合に、発泡
剤50%ブレンドポリプロピレンとして、発泡成形用テ
ナイトポリプロピレン・マスターバッチ(商標名)の溶
融樹脂温度は、上記100%PPの場合よりも10℃高
い190℃に、また成形金型温度は、上記100%PP
の場合よりも7℃低い48℃に設定して、溶融樹脂を成
形金型内に注入すれば、成形金型の温度が低目になって
いるので、成形金型内に注入された溶融樹脂のうち成形
金型に接触する内,外周3,4は成形金型によって冷
却され、急速に温度が低下し、発泡しないで固化して、
きめの細い所謂硬質のスキン層の内,外周3,4が形
成されるが、これら内,外周3,4間の間層部5の温
度低下速度は遅いので、該間層部5は充分に発泡してか
ら固化することになるのである。
【0022】なお、発泡剤ブレンドポリプロピレンは発
泡剤の含有率により、100%PPから発泡剤50%ブ
レンドポリプロピレンまでの範囲においては、樹脂温度
は180℃〜190℃の間で、また成形金型温度は55
℃〜48℃の範囲の温度に設定される。
【0023】実施例のガイドローラ1は以上、説明した
ような構成であって、発泡剤をブレンドしたポリプロピ
レンの溶融温度を100%PPの場合よりもやや高目の
温度にし、100%PPの場合よりもやや低目の温度に
した成形金型で成形するという簡単な方法で作ることが
できる。
【0024】そして、上記方法で作られたガイドローラ
1は、内,外周3,4が上述したように、非発泡の、
きめの細い硬質のスキン層になっているので、回転中心
軸102に取付けた場合でも、該軸102を中心にして
円滑に回転し、また外周4に沿って磁気テープを円滑
に走行させることができるのである。
【0025】なお、実施例では合成樹脂として、ポリプ
ロピレンを使用した場合を示したが、その他の合成樹脂
を使用してもよい。
【0026】また、発泡剤の種類、含有率も適宜に選択
される。
【0027】また、本発明でガイドローラとは回転しな
がら他の部材を移動させる場合などに使用する回転ガイ
ド部材を云い、リールやハブ等も含む。
【0028】
【発明の効果】本発明には次に述べるような効果があ
る。
【0029】(1)本発明の合成樹脂製のガイドローラ
は、非発泡合成樹脂の内,外周部と、発泡合成樹脂の間
層部を一体に形成したので、従来の非発泡合成樹脂の
内,外周部と発泡合成樹脂の間層部を接着等により積層
したものを素材としてガイドローラを作る場合に較べて
ガイドローラのコストを安くすることができると共に、
内,外周部と間層部の間の剥離等の問題をなくすことが
できる。
【0030】(2)本発明のガイドローラの製造方法に
よれば、成形金型内に注入された溶融樹脂のうち成形金
型に接触する内,外周部は、成形金型によって冷却さ
れ、急速に温度が低下し、発泡しないで固化して、きめ
の細い所謂硬質のスキン層に形成され、これら内,外周
部間の間層部の温度低下速度は遅いので、該間層部は充
分に発泡してから固化することになり、非発泡合成樹脂
の内,外周部と、発泡合成 樹脂の間層部を一体に形成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガイドローラの斜視図。
【図2】本発明のガイドローラの断面図。
【図3】テープカセットの斜視図。
【図4】従来例の断面図。
【図5】他の従来例の断面図。
【符号の説明】
1…ガイドローラ、2…軸受孔、3…内周、4…外周
、5…間層部。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周部と、外周部と、これら内,外周部
    の間に介在された間層部を備えた合成樹脂製のガイドロ
    ーラであって、 上記内,外周部は、非発泡合成樹脂によって形成され、 上記間層部は、発泡合成樹脂によって上記内,外周部と
    一体に形成されている ことを特徴とするガイドローラ。
  2. 【請求項2】 発泡剤をブレンドした溶融合成樹脂を成
    形金型内に射出して成形するガイドローラの製造方法で
    あって、 上記発泡剤をブレンドした溶融合成樹脂の温度を、発泡
    剤をブレンドしない合成樹脂の溶融温度よりも高温に設
    定し、 上記成形金型の温度を、発泡剤をブレンドしていない合
    成樹脂を成形する場合よりも低温に設定し、 上記発泡剤をブレンドした溶融合成樹脂を上記成形金型
    内に射出して成形することを特徴とするガイドローラの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 発泡剤をブレンドした合成樹脂は、ポリプロピレンであ
    って、 上記発泡剤をブレンドした溶融ポリプロピレンの温度
    は、発泡剤をブレンドしないポリプロピレンの溶融温度
    よりも略10°C高い略190°Cに設定され、 上記成形金型の温度は、上記発泡剤をブレンドしないポ
    リプロピレンを成形する場合の温度よりも略7〜14°
    C高い略48〜55°Cに設定されていることを特徴と
    するガイドローラの製造方法。
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