JP3237868B2 - 往復式電気かみそりの内刃の製法 - Google Patents

往復式電気かみそりの内刃の製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は往復式電気かみそりの内
刃、殊に板金加工によって形成される内刃の製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】板金加工で内刃を形成するにあたり、材
料取りに無駄を殆ど生じることなく内刃を板金加工で形
成することが特公昭57−41266号公報に示されて
いる。これは、材料となる金属板に所要のピッチでアー
チ状の切り込みを施すとともに、これら切り込みに挟ま
れる部分を夫々切り起こすことで、平行に並ぶ複数枚の
アーチ状ブレードを形成するものであり、各アーチ状ブ
レードは、金属板における切り込みが施されていない両
側端部によって互いにつながった状態にある。
【0003】そして、上記公報における内刃では、各ア
ーチ状ブレードの中央部を別途用意した支持部材で連結
した状態で、使用に供している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記の内刃で
は、両側端部とブレードとの接続部分の強度が弱く、ブ
レードの保持強度が低いために、髭を捕えて外刃との間
で切断する時、ブレードに逃げが生じてしまうものであ
り、これはブレードの上記両側端部寄りのところで顕著
となっている。
【0005】ブレードの保持強度を高めるために、ブレ
ードの上記両側端部寄り及び両側端部を樹脂モールド化
してしまうことが考えられるが、この場合には、樹脂が
成形後に収縮しようとするのに対し、樹脂に埋め込まれ
た金属板の両側端部の剛性が大で全く収縮しないため
に、樹脂割れが生じて結果的にブレードの保持強度を高
めることができなくなる。
【0006】本発明はこのような点に鑑み為されたもの
であり、その目的とするところは材料取りに無駄を生じ
ることなく内刃を形成することができる上に、各ブレー
ドの保持強度を高いものとすることができる往復式電気
かみそりの内刃の製法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、金属
板に所要のピッチで円弧状の切り込みを施すとともに、
これら切り込みに挟まれる部分を夫々切り起こすこと
で、平行に並ぶとともに金属板の切り込みが施されてい
ない両側端部で互いにつながっている複数枚のアーチ状
ブレードを形成し、ついで各アーチ状ブレードの上記両
側端部寄りの部分を樹脂モールド化して、各アーチ状ブ
レードを樹脂製の支持部材で支持した後、上記金属板の
両側端部を切り離して、各アーチ状ブレードを独立させ
ることに特徴を有している。
【0008】本発明によれば、樹脂モールド化による支
持部材の形成で問題となる樹脂割れを、各アーチ状ブレ
ードを独立させてしまうことによって排除することがで
きるものであり、樹脂製支持部材によるアーチ状ブレー
ドの保持強度の向上を新たな問題を招くことなく行うこ
とができる。
【0009】
【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述す
ると、まず本発明によって得られる内刃を図1〜図5に
示す。この内刃は、複数枚のアーチ状ブレード1と、合
成樹脂製の支持部材2とからなり、図2から明らかなよ
うに、互いに独立している各アーチ状ブレード1は支持
部材2によってその両側端部及び中央部が互いに連結さ
れている。図中17はアーチ状ブレード1の外周縁に沿
って形成されている「ツカシ」と称される溝であり、図
3に示すように、ブレード1の外周縁を鋭角な切断エッ
ジとするために設けられたものである。また図中14は
支持部材2と各ブレード1中央部との固着強度を高める
ためにブレード1に形成された小孔、18はブレード1
の側端部と支持部材2との固着強度を高めるために形成
されたアンカーである。ここにおける支持部材2は、往
復式電気かみそりにおける往復駆動機構との連結に使用
される継手部20を一体に備えているほか、図4及び図
5に示すように、上下に貫通する複数個の排出孔21を
備えている。これら排出孔21は、支持部材2の上面に
たまる髭屑を下方に落とすためのものである。
【0010】上記内刃は、図6に示す帯状の金属板10
から次のようにして製造される。すなわち、上記金属板
10に対し、図7に示すように、その両側に金属板10
の長手方向に沿ったV溝12,12をプレス型30で形
成して、両側端部の連結部10b,10bと中央部のブ
レード形成区域10aとを区画し、この後、図8に示す
ように、パンチ31,32及びダイ33によって、金属
板10の連結部10b,10bにパイロット孔13,1
3を所定ピッチで穿孔するとともに、金属板10のブレ
ード形成区域10aの中央部に所定ピッチで小孔14を
穿孔し、続いて図9に示すように、上記V溝12,12
を横切る角孔15をパンチ35及びダイ36によって所
定ピッチで両側端部に穿孔する。
【0011】しかる後に、図10に示すように、金属板
10におけるブレード形成区域10aに円弧状の切り込
み16を所定ピッチで金属板10の長手方向に沿って並
ぶように形成する。尚、各切り込み16は同一形状で平
行に並ぶものとなっている。そして、ここでは切り込み
16を形成するパンチ37及びダイ38として、4つの
切り込み16を同時に形成するとともに、切り込み16
ではさまれるアーチ状の部分11が少し起き上がるよう
にしたものを用いている。尚、円弧状の切り込み16は
単一の曲率を持つものでなくともよく、途中で曲率が変
化するものであってもよいのはもちろんである。
【0012】こうして、切り込み16を施した金属板1
0に対し、続いて図11に示すように、前記「ツカシ」
としての溝17をプレス型39,40で各切り込み16
に沿って上下両面に形成し、その後、図12に示すよう
に、切り込み16ではさまれたアーチ状部分11をプレ
ス型41,42ではさむことで起こし量を揃える修正を
行い、次いで図13及び図14に示すように、上記アー
チ状部分11の90°曲げを型43,44と型45とで
二段階に分けて行って、平行並列にならぶアーチ状ブレ
ード1を形成し、更に図15に示すように、パンチ46
及びダイ47により、ブレード1の両側の根元部で且つ
ブレード形成区域10a内で90°曲げがなされなかっ
たところを下方に切り起こしてアンカー18を形成し、
その後、図16に示すように、カッター48で上記金属
板10を定尺に切断する。
【0013】この後は、切断された金属板10に対して
樹脂モールドを行って、図17に示すように、前記支持
部材2を形成するわけであるが、この時、支持部材2は
一対のV溝12,12間のブレード形成区域10aに対
する樹脂モールドで形成するものであり、金属板10に
おけるパイロット孔13が形成されているV溝12より
外側の連結部10b,10bは、支持部材2の両側に突
出するようにしておき、図18に示すように、次工程に
おいて、この両連結部10b,10bをV溝12部分か
ら切り離す。
【0014】この切り離しを行った時点では、切り込み
16の両端がV溝12にまで至っていないことから、各
アーチ状ブレード1同士は、角孔15間の複数個が両側
端部において依然としてわずかにつながっているが、続
いて図19に示すように、この部分に対する砥石による
成形研削で各アーチ状ブレード1をつないでいた部分を
削るために、各アーチ状ブレード1は互いに独立したも
のとなる。
【0015】図20に上記各加工を施した金属板10の
展開図を示す。V溝12と図中19の鎖線との間の部分
が、上記成形研削工程で削ってしまう部分であり、図中
の破線は折曲線を示している。支持部材2は前述のよう
に、各ブレード1の中央部と両側端部とを夫々保持する
のであるが、この時、ブレード1の中央部では図3に示
したように、小孔14に樹脂が侵入することから、両者
の固着強度は高く、また、同一形状の切り込み16を所
定ピッチで形成する関係上、ブレード1の両側端は中央
部よりも幅が細くなってしまっているが、図2から明ら
かなように、支持部材2に埋め込まれた部分がアンカー
18を含めてZ字形をなすようになっていることから、
この部分においても、ブレード1と支持部材2との固着
強度は高い。角孔15は、樹脂モールドを行ってから各
アーチ状ブレード1を完全に切り離してしまうまでの間
の樹脂収縮の影響を緩和するために設けたものである。
【0016】図21及び図22に他の実施例を示す。こ
れは上記実施例において、アーチ状ブレード1が金属板
10の長手方向に並ぶように形成していたのに対して、
金属板10の短手方向にアーチ状ブレード1が並ぶよう
にしたもので、図21に(a)から(f) の順に示すよう
に、パイロット孔13の穿孔とV溝12の形成、小孔1
4と角孔15の形成、外形抜き、切り込み16の形成、
切り込み16ではさまれたアーチ状部分11の起こし量
を揃える修正を順次行った後、図22に(a)から(f)の順
に示すように、「ツカシ」としての溝17の形成、切り
込み16ではさまれたアーチ状部分11を起こす折り曲
げ、アンカー18の形成、パイロット孔13を通る線で
の切断、支持部材2の同時成形、両連結部10b,10
bのV溝12部分からの切り離しを順次行い、その後、
成形研削を行う。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明においては、一枚の
金属板に円弧状の切り込みを施して切り込み間のアーチ
状部分を切り起こすことでブレードを形成するために、
材料取りの無駄がないものであり、しかも樹脂モールド
化による支持部材を設けていることから、各ブレードの
保持強度を高くすることができて、良好な切れ味を発揮
させることができるものであり、しかも樹脂モールドに
際しては、各ブレードが互いにつながったままであるた
めに、樹脂モールドを容易に行うことができ、そして最
終的には各ブレードが完全に切り離されて独立したもの
となるために、樹脂と金属板との収縮率の差による樹脂
割れ等の問題を招くこともないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例によって製造された内刃の斜視
図である。
【図2】同上の破断拡大斜視図である。
【図3】同上のブレードの断面図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上の断面図である。
【図6】(a)(b)(c) は金属板の平面図と横断面図と縦断
面図である。
【図7】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は平
面図、(b)は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工部
材の斜視図である。
【図8】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は平
面図、(b)は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工部
材の斜視図である。
【図9】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は平
面図、(b)は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工部
材の斜視図である。
【図10】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d)は加工
部材の斜視図である。
【図11】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工
部材の斜視図である。
【図12】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工
部材の斜視図である。
【図13】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工
部材の斜視図である。
【図14】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工
部材の斜視図である。
【図15】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工
部材の斜視図である。
【図16】金属板の加工工程を示す図であって、(a) は
平面図、(b) は横断面図、(c) は縦断面図、(d) は加工
部材の斜視図である。
【図17】(a)(b)は樹脂モールド直後の状態の平面図と
側面図である。
【図18】(a)(b)は金属板の両側端部の切り離し時の平
面図と側面図である。
【図19】(a)(b)は成形研削後の平面図と側面図であ
る。
【図20】金属板の拡大展開図である。
【図21】(a) から(f) は他の実施例における加工工程
順に示す平面図である。
【図22】(a) から(f) は他の実施例における加工工程
順に示す平面図である。
【符号の説明】
1 ブレード 2 支持部材 10 金属板 16 切り込み

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板に所要のピッチで円弧状の切り込
    みを施すとともに、これら切り込みに挟まれる部分を夫
    々切り起こすことで、平行に並ぶとともに金属板の切り
    込みが施されていない両側端部で互いにつながっている
    複数枚のアーチ状ブレードを形成し、ついで各アーチ状
    ブレードの上記両側端部寄りの部分を樹脂モールド化し
    て、各アーチ状ブレードを樹脂製の支持部材で支持した
    後、上記金属板の両側端部を切り離して、各アーチ状ブ
    レードを独立させることを特徴とする往復式電気かみそ
    りの内刃の製法。
  2. 【請求項2】 アーチ状ブレードは複数枚を同時加工で
    形成することを特徴とする請求項1記載の往復式電気か
    みそりの内刃の製法。
  3. 【請求項3】 金属板の両側端部寄りの部分には樹脂収
    縮緩和部を形成することを特徴とする請求項1記載の往
    復式電気かみそりの内刃の製法。
  4. 【請求項4】 円弧状の切り込みを施してから切り込み
    に挟まれる部分を夫々切り起こすまでに切り込みに挟ま
    れる部分の修正工程を備えていることを特徴とする請求
    項1記載の往復式電気かみそりの内刃の製法。
  5. 【請求項5】 樹脂モールド化される部分にアンカーを
    形成していることを特徴とする請求項1記載の往復式電
    気かみそりの内刃の製法。
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