JP3234551B2 - 表面粗さ測定方法 - Google Patents

表面粗さ測定方法

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JP3234551B2 JP26229697A JP26229697A JP3234551B2 JP 3234551 B2 JP3234551 B2 JP 3234551B2 JP 26229697 A JP26229697 A JP 26229697A JP 26229697 A JP26229697 A JP 26229697A JP 3234551 B2 JP3234551 B2 JP 3234551B2
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/30Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces
    • G01B11/303Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces using photoelectric detection means

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ファイバオプテ
ィックプローブを用いた表面粗さ測定方法に係わり、特
に各種機械加工プロセス内のオンライン表面粗さモニタ
リングに有効な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面粗さモニタリングは、製造プロセス
の品質保証の観点から重要である。加えて、表面粗さ
は、加工プロセスにおけるツールの摩耗や振動のような
劣化を診断するためにも用いられる。最近の加工ツール
の革新は、高速性と高機能性を利用して高精度と高生産
性を実現している。これは、短時間の一つの加工プロセ
スに更なる加工機能を統合することを可能とする。短時
間で複雑な加工が可能であるから、ワークピースが一つ
の加工プロセスが終わって次のプロセスに移る前に、加
工されたワークピースの品質をチェックし、加工プロセ
スの正常性を診断することが重要になる。高生産性を保
持しながら効率的な製造とプロセス品質制御を実現する
ためには、高速のオンライン或るはプロセス内品質モニ
タリングシステムが必要となる。
【0003】この様な観点から、近年、ファイバオプテ
ィック法が注目されている。単純、高信頼性、高速応
答、信号検出及び送信との両立と便宜のため、ファイバ
オプティック法は、表面粗さ評価の更なる応用、特にオ
ンライン、プロセス内の粗さ測定や加工条件モニタリン
グ等への応用が考えられている。ファイバオプティック
法は、1986年に、A.W.Domanski, M.A.Karpiers等に
より提案された(A.W.Domanski, M.A.Karpiers, T.J.Rzy
sko, 1986, The methodof surface roughness measurem
ent with application of optical fibers, SPICE Vo1.
670 Optical Fibers and Their Applications IV,119-1
22)。彼らのシステムは、低コヒーレンスのフォトダイ
オードからの光を試料表面に導くファイバと、これと対
照的に配置されたマルチモードの検出用ファイバとから
構成される。ある種の表面モデルの仮定といくつかの単
純化に基づいて、散乱光強度と2乗平均粗さの間に単純
な関係が得られることが理論的及び実験的に明らかにさ
れた。
【0004】A.W.Domanski, W.Ejechart等は、同じ年、
別のファイバオプティック法を提案している(A.W.Doman
ski, W.Ejehart et al., 1986, The fiber-optic instr
ument for extremely small roughness measurement, S
PICE Vo1.670 Optical Fibers and Their Applications
IV,116-118)。この方法は、平均表面粗さ分布が、20
〜150nmの範囲で機能する。この方法では、ファイバ
により表面に導かれた光は、レンズの焦点面に配置され
たもう一つのファイバにより検出されて解析される。こ
の方法は、半導体技術のベースプレートチェックに用い
られる。測定される信号の振幅は測定される材料の反射
特性に大きく依存するため、校正が必要である。
【0005】1989年には、偏光測定に基づくファイ
バオプティック表面粗さ測定法が、A.W.Domanski, T.R.
Wolinski等により提案された(A.W.Domanski, T.R.Wolin
skiet al., 1989, Fiber-optic surface roughness sen
sor based on polarizationmeasurements, SPICE Vo1.1
169, Fiber Optic Laser Sensors VII, 558-566)。Cli
ve ButlerとGregorios Gregoriouは、1992年に表面
トポグラフィ測定のためのファイバオプティックセンサ
を提案し (Clive & Gregorios Gregoriou,1992, A nove
l non-contact sensor for sutface topography measur
ement using a fiber optic principle, Sensors and A
ctuators A.31(1992)68-72)、そのセンサの性能評価を
1994年に報告している (Clive & Gregorios Gregor
iou,1994, Preformance Evaluation of a novel non-co
ntact fiber-optic triggering probe for surface-top
ography measurement, Sensors and Actuators A.41-42
(1994),98-101)。このシステムでは、側面のレーザダイ
オードから発射された光がビームスプリッタにより分割
され、レンズにより150μm のスポットとして試料表
面に照射される。表面からの反射光はビームスプリッタ
を通り、ファイバ束により集光される。検出される光強
度と、センサの焦点面から被測定面までの距離との相関
関係が求められる。その理論モデルは、レンズの幾何光
学に基づく。
【0006】この方法は、ナイロン、アクリル樹脂等の
各種材料表面の測定に用いられるが、彼らはおよそ50
0μm 程度の表面段差のみ測定しており、他の表面粗さ
パラメータについては処理されていない。ファイバオプ
ティックセンサを用いて、加工面試料が回折パターンを
観測することにより、加工面を簡単に同定できることも
報告されている (Shetty,D., andNeault,H., 1993, Met
hod and Apparatus for Surface Roughness Measuremen
tUsing Laser Diffraction Pattern, USP No.:5,189,49
0)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、シンプル
で安価なファイバオプティックプローブを用いて、加工
面のテクスチャ方位の影響を受けることなく表面粗さを
モニタでき、特に加工プロセスのオンライン測定に適用
して有用な表面粗さ測定方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、一本の照射
ファイバと、この照射ファイバに対して同軸的に配置さ
れた複数本の受光ファイバとから構成された少なくとも
一つのセンサヘッドを有するファイバオプティックプロ
ーブを用いた表面粗さ測定方法であって、(a)前記セ
ンサヘッドにより、異なる複数の加工条件で得られた複
数の参考試料について光ビームを照射して、前記受光フ
ァイバの出力の合計である検出強度と、前記センサヘッ
ドと前記参考試料の面の間のギャップ距離との第1の相
関関係を予備測定するステップと、(b)ステップ
(a)により求められた第1の相関関係に基づいて、前
記検出強度のピーク値である最大強度と表面粗さの第2
の相関関係を求めて、その相関関係を記憶保持するステ
ップと、(c)ステップ(a)において求められたモニ
ターしようとする加工条件で加工された参考試料面につ
いての第1の相関関係に基づいて、前記プローブを前記
最大強度が得られるギャップ距離の位置近傍に設定する
ステップと、(d)ステップ(c)で設定されたギャッ
プ距離で加工面の最大強度をモニターして、予め記憶さ
れている第2の相関関係に基づいて、加工面の粗さ判定
を行うステップとを有することを特徴とする。
【0009】この発明によれば、ファイバオプティック
プローブを用いた非接触表面粗さ測定法が得られる。こ
の発明の有効性を確認するため、基準面及び加工面が用
いられ、検出される光強度と表面粗さの間に良好な相関
関係が得られた。結論的に、この発明の方法は、CNC
加工センターのような生産加工システムに適用されるオ
ンライン表面粗さモニターリング法として有効である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施例を説明する。図1(a),(b)は、この発明
の実施例に用いられるファイバオプティックプローブ1
の断面図と底面図である。このプローブ1は、本発明者
により先に提案された、米国特許第5,410,410
号に開示された三次元形状測定装置に用いられたものと
同じである。プローブ1は、プローブベース11と、こ
れをCNC等の加工機械に取り付けるための支持体とな
る筒体12とから構成されている。プローブベース11
には、5個のセンサヘッド2(20〜24)が埋設され
ている。センサヘッド20はベース11の先端中央に配
置され、残り4個のセンサヘッド21〜24はヘッド面
を傾けてセンサヘッド20を取り囲むように、配置され
ている。
【0011】各センサヘッド2は、図2(a),(b)
にそれぞれ正面断面図及び底面図を示すように、ヘッド
ベース21に埋設された9本のファイバにより構成され
ている。中央のファイバ22が照射ファイバであり、そ
の先端にはセルフォックマイクロレンズ23が取り付け
られている。照射ファイバ22を中心に8個の受光ファ
イバ24が対称的に配置されている。内側の4個の受光
ファイバ24Ni,24Si,24Ei,24Wiはヘッド面の
中心を通るx,y軸と半径riの円Ciの交点位置に、
外側の4個の受光ファイバ24No,24So,24Eo,2
4Woはx,y軸と半径roの円Coの交点位置に、それ
ぞれ配置されている。これらのファイバ22,24に
は、NA=0.47のものが用いられる。また照射ファ
イバ22に結合される光源としては、小型で高出力のL
ED(波長637nm)が用いられる。
【0012】マイクロレンズ23の端面(光出射端)と
受光ファイバ24の端面(検出端)とは同一平面上に並
ぶ。照射ファイバ22と内側の受光ファイバ24Ni〜2
4Wiの間の距離ri、照射ファイバ22と外側の受光フ
ァイバ24No〜24Woの間の距離roは、後に説明する
受光強度とギャップ距離のカーブの形状に大きな影響を
与え、これがセンサヘッドのダイナミック特性に直接関
係する。実際に作られたセンサヘッドでは、2ri=
2.75mm,2ro=5.25mmであり、受光ファイバ
24は0.75mmφ,照射ファイバ22は0.5mmφ、
マイクロレンズ23は1.0mmφである。この様に、各
センサヘッド2は9本のファイバにより構成される。そ
して、図1(a)に示すように各センサヘッド2のファ
イバ束20は、筒体12を通って外部に引き出され、光
源及びフォトセンサに接続される。
【0013】図3は、表面粗さモニタリングを行うため
のシステム構成である。プローブ1の各照射ファイバ2
2はLED31に結合され、各受光ファイバ24はフォ
トセンサ32に結合される。LED31はコンピュータ
36により制御されるLEDドライバ33により駆動さ
れる。フォトセンサ32の出力は、信号処理回路34に
より増幅、フィルタリング等の処理を受け、A/Dコン
バータ35によりディジタルデータに変換されてコンピ
ュータ36に取り込まれる。プローブ1がコンピュータ
制御の加工機械にとり付けられる場合には、コンピュー
タ36はその加工機械制御用コンピュータである。
【0014】この発明においては、上述のようなファイ
バオプティックプローブ1を用いて、測定すべき面から
の反射光強度を検出する事により、表面粗さモニタリン
グを行う。図1のプローブ1は、三次元形状の測定を目
的として複数のセンサヘッド2を設けているが、一つの
面の表面粗さモニタリングは、例えば中央の一つのセン
サヘッドのみを用いて行うことができる。以下に、一つ
にセンサヘッドを用いた表面粗さ測定の原理を詳細に説
明する。一般に反射光強度は、表面の反射率、粗さ、表
面テクスチャ方位等の多くのファクタに依存する。同じ
材料の加工面については、反射光強度は主として、加工
プロセス、表面粗さ、及びテクスチャ方位に影響され
る。通常表面からの散乱は、ベクトル散乱理論を用いて
扱われるが、ベクトル法は長たらしく、誤解釈しやす
い。そこで二つの代替法が考えられる。一つは、スカラ
ー法であり、もう一つは幾何光学を利用する方法であ
る。表面粗さが入射光波長より小さい場合には、幾何光
学を用いることができる。
【0015】図4は、3つの異なる表面の散乱、即ち
(a)散乱がない鏡面からの反射、(b)拡散面からの
散乱、及び(c)鏡面と拡散面を含む面からの散乱を示
している。ほとんどの加工面では粗さが入射光光源の波
長より大きく、従って全体の面を幾何学的に平坦な面と
して扱うことはできない。このような場合でも、表面
を、それぞれがエッジ効果を無視して幾何光学を適用で
きる大きさのファセットの組み合わせとすれば、扱うこ
とができる。しかしこのファセット方式で反射光強度と
表面粗さの定量的な関係を求めることは、各ファセット
が高さと傾斜の情報を含むため、簡単ではない。
【0016】そこで、われわれのアプローチでは次の仮
定をおく。 (1)面からの反射光強度分布は、楕円により近似され
る。 (2)全入射光強度は、楕円の面積により近似し、散乱
特性は楕円の形状、例えば二軸の径a,bの比により、
図5に示すように、比a/bが大きくなる程平滑であ
る、というように表す。 (3)散乱特性は、同じ材料についての表面粗さとテク
スチャ方位、及び同じ加工プロセスにより完全に決定さ
れる。 (4)以上の3つの仮定に基づき、その表面は幾何学的
に平坦な面として扱うことができる。上記4つの仮定に
より、反射光強度と測定すべき表面の表面粗さとの相関
関係が成り立つ。
【0017】図5に示す異なる形状の楕円は、上述の仮
定に従うシミュレーションモデルと、表面粗さと径a,
bの比との相関関係により作ることができる。図6に示
すように、センサヘッド2のレンズ23から照射される
ビーム61は、円錐形をなし、ビーム61中の全ての光
線は測定すべき面63で反射されて上記仮定に基づく楕
円62の反射強度分布を形成する。ビーム強度I(x,
z)を表す下記数1の実験式は、図7(a),(b)に
示す測定結果から導かれたものである(Yamazaki, Kee
Sein Lee,et al.,1993, Non-contact Probe for Conti
nuous Measurement of Surface Inclination and Ppsit
ion Using Dynamic Irradiation of Light Beam, Annal
s of the CIRP, Vo1.)
【0018】
【数1】
【0019】光強度検出の原理は、図8に示す。図8で
は、図2(b)に示すヘッド面のy軸上の二つの受光フ
ァイバ24Ei、24Eoに着目して、受光の様子を示して
いる。反射光が受光ファイバにより検出されるか否か
は、ファイバの径と臨界角αに依存する。受光ファイバ
により検出できる強度は、反射強度楕円の検出可能領域
により表される。検出可能領域を決定するために、図8
に示すように、楕円と、被測定面の光入射点から受光フ
ァイバの入射端面を望む直線セグメントとの交差領域を
考慮しなければならない。受光ファイバに取り込まれる
光のうち、ファイバ側面に対する入射角が臨界角αより
大きい範囲を検出可能領域とする。図8の場合、測定面
への光入射点から中心に近い側の受光ファイバ24Eiの
入射端面に入る光(斜線範囲A)は全て検出可能であ
り、中心から離れた受光ファイバ24Eoでは、入射端面
に入る光のうち臨界角αより大きい一部の成分(斜線範
囲B)が検出可能であることを示している。これらの検
出可能領域がセンサヘッドによる受光強度の合計を求め
るために利用されることになる。検出可能領域は次の数
2を用いて計算される。
【0020】
【数2】
【0021】 ここで、a,bは、反射光強度分布の楕円
の二つの径であり、測定すべき面の反射特性に従って選
択される。上式の積分は、次の数3を用いて計算され
る。
【0022】
【数3】
【0023】楕円の検出可能領域は、それぞれ独立の8
個の受光ファイバについて存在し、これらが合計され
る。本発明者等は先に、その様にして計算された検出可
能領域の合計と、実際に各受光ファイバに検出された光
強度の合計とがほぼ合致することを明らかにした(Y.Yan
g and K.Yamazaki, 1996, Error Analysis by Simulati
on for a Fiber Based Non-contact Measurement Probe
System, Proceedings of ASPE Annual Meeting, 199
6)。
【0024】以上の反射光強度検出の原理を前提とし
て、次に、この発明による表面粗さモニタリングを行う
際の前提となる、表面粗さと、検出強度、ギャップ距離
等との具体的な関係について説明する。なおセンサヘッ
ドにより測定面に光照射して各受光ファイバにより検出
される出力の合計を、以下単に“検出強度”という。
【0025】検出強度と表面粗さの関係 センサヘッドによる検出強度と楕円の径の比a/bの間
の定量的関係は、上に展開した方法を用いたシミュレー
ションにより求められた。図9はその関係を示す。図9
から、検出強度は、比a/bとの関係がその全範囲にわ
たって単調ではないが、ある範囲に限れば単調増加或い
は単調減少となることが分かる。例えば、比a/bが
0.05から約1.4の範囲では検出強度は単調増加と
なっており、これはセンサヘッドによる検出強度と表面
粗さの相関関係が表面粗さ決定に用い得ることを示唆し
ている。しかし、図9はまた、粗さ値のある範囲ではこ
の発明の方法が有効ではないことも示している。
【0026】検出強度と表面テクスチャ方位の関係 異なる加工プロセスは、加工面に異なるテクスチャを作
り出す。通常、散乱強度分布は散乱角に依存し、テクス
チャが最も粗いところで面方向の散乱が大きくなる。例
えば、加工面の平行溝では、殆ど溝に直交する方向に散
乱するであろう。言い換えれば、加工面は一般に散乱に
関しては非等方的である。この場合、散乱法を用いて表
面粗さを決定するには、テクスチャ方位を考慮にいれる
べきである。そこでわれわれは、図10に示す二つの座
標軸xh,yhとxs,ysとの相対角度位置を意味す
る“面テクスチャ方位”(surface texture orientatio
n)θなる概念を導入する。第1の系xh,yhはセンサ
ヘッドの座標系であり、その原点はセンサヘッドの中心
であって、z軸はヘッドの長軸方向である。第2の系x
s,ysは試料面の座標軸であり、原点は面の測定点で
あり、z軸は面の測定点の法線である。明らかに、面テ
クスチャ方位θに依存しない方法は、オンライン加工モ
ニタリングに好ましい。
【0027】この発明の方法では、センサヘッドに8本
の受光ファイバがあり、図2(b)で説明したように、
それらのうち4つは南北に、他の4つは東西に配置され
ている。異なる面テクスチャ方位θについて、各受光フ
ァイバの受光強度は異なるが、しかし、全受光ファイバ
の出力の合計である検出強度は、ギャップ距離が同じで
あれば同じでなる。図11(a),(b)は、異なる旋
盤加工面について、面テクスチャ方位θ=0°,15°,
30°,45°,60°,75°,90°においてギャップ
距離gと検出強度のカーブを測定した結果である。二つ
のカーブは異なるが、いずれもθ=0°〜90°の全範
囲において、ギャップ距離gと検出強度はほぼ完全に一
致すること、従ってこの発明によるセンサヘッドを用い
る場合、検出強度のピーク値(以下、これを単に“最大
強度”という)は、面テクスチャ方位θに依らず、ギャ
ップ距離gと同じ加工プロセスで得られた面の粗さによ
り決まることを示している。
【0028】検出強度とギャップ距離の関係 シミュレーションと実際の測定により、検出強度が粗さ
だけでなく、センサヘッドと測定面との間のギャップ距
離gに依存することが明らかになった。実際にはギャッ
プ距離gの方が、検出強度により大きな影響を与える。
従って、検出強度を粗さに一義的に関係づけるために
は、測定は、参考測定が行われたギャップ距離において
行うことが好ましい。これは、実際の状況では難しく、
また校正エラーを生じるおそれがある。幸いなことに、
この発明において用いられるセンサヘッドは次のような
優れた特徴を待つ。検出強度は、同じ面に対してもギャ
ップ位置に応じて異なるが、その最大強度は面そのもの
により決まる。同じ材料と同じ加工プロセスの場合に
は、最大強度はほぼ同じギャップ位置で得られる。最大
強度が得られるギャップ距離は、主として面の反射率に
依る。
【0029】実験によれば、最大強度が得られるギャッ
プ距離は、面の反射率の広い範囲にわたって、3mmから
5mmの間であることが明らかになっている。従って、一
度最大強度が得られたら、それは問題とする面の粗さを
決定するために用いることができる。実験装置において
は、センサヘッドは座標測定装置(CMM)のカラムに
取り付けて移動できるようにした。最大強度は、センサ
ヘッドのあらゆるギャップ距離に対する測定を通して簡
単に決定される。
【0030】検出強度と粗さ値(中心線平均値)Raの
関係 検出強度は、校正を通して、中心線平均値Ra(平均線
から測定曲線までの偏差の絶対値の平均)、自乗平均値
Rq(平均線から測定曲線までの偏差の自乗を平均した
平方根)、山の最大高さRq等の面粗さの異なるパラメ
ータと関係づけることができる。われわれの研究では、
検出強度と粗さRaの関係が明らかにされた。
【0031】図12(a)〜(d)は、4つの研削面
(それぞれ、Ra=0.07,0.1,0.2,0.
7)について表面粗さ測定器(ミツトヨ社製サーフテス
ト501)により測定されたプロファイルである。測定
条件は、カットオフ波長λc=0.8μm,測定数4,水
平倍率×20,垂直倍率×10,000である。図13
は、これらの試料面についての検出強度とギャップ距離
gの測定カーブである。図14は、検出された最大強度
と粗さ値Raの関係を示すカーブである。
【0032】図15(a)〜(e)は、5個のフライス
盤加工面(それぞれ、Ra=0.98,2.09,3.
64,5.46,6.69)について、サーフテスト5
01により測定したプロファイルである。図16は、そ
れらの試料面についての検出強度とギャップ距離gの関
係を測定したカーブである(但し,Ra=2.09,
5.46の場合は省略した)。図17は検出された最大
強度と粗さ値Raの関係を示すかカーブである。
【0033】図18(a)〜(d)は、4個の円筒面加
工面(それぞれ、Ra=0.08,0.29,0.6
6,1.24)のサーフテスト501により測定したプ
ロファイルである。図19は、それらの試料面について
の検出強度とギャップ距離gの関係を測定したカーブで
ある。図20は検出された最大強度と粗さ値Raの関係
を示すカーブである。
【0034】これらの結果から、どの様な加工タイプの
面についても、最大強度は粗さ値と相関関係を示すこと
が明らかである。この相関関係は、参照粗さ測定結果を
利用した予備校正の助けをかりて、面の粗さを決定する
ために用いることができる。以上の知見に基づいて、具
体的にある加工機を用いてある材料の加工を行う際の表
面粗さモニタリングは、次のように行う。なお実際の表
面モニタリングに際しては、センサヘッドのヘッド面を
測定面に対して平行に保つ。この発明において用いられ
るセンサヘッドは、米国特許第5,410,410号
に開示されたように、測定面との平行度のズレを検出す
る機能を有するから、この機能を利用すれば、平行度が
ずれた場合にも調整は容易である。
【0035】図21に表面粗さモニタリングの概略行程
を示す。予備測定ステップS1においては、異なる複数
の加工条件で得られた複数の参考試料についてプローブ
による測定を行って、それぞれギャップ距離と検出強度
の相関関係を求める。この相関関係から、図14,1
7,20で明らかにしたように、加工の種類に応じて異
なる最大強度と表面粗さ値の相関関係が得られるから、
ステップS2では得られた最大強度と表面粗さの相関関
係データをメモリ等に記憶保持する。
【0036】次に、ギャップ調整ステップS3では、予
備測定ステップS1において求められたモニターしよう
とする加工条件で加工された参考試料面についての検出
強度とギャップ距離の相関関係に基づいて、プローブを
最大強度が得られるギャップ距離の位置に設定する。図
11(a),(b)で明らかにしたように、加工条件に
応じて検出強度とギャップ距離のカーブは異なるが、加
工条件が一定であれば最大強度が得られるギャップ距離
はほぼ一定である。ステップS4は実際の加工に伴う粗
さモニタリングのステップであり、ステップS3で設定
されたギャップ距離で加工面の最大強度をリアルタイム
でモニターして、予め記憶されている最大強度と粗さ値
の相関関係に基づいて、粗さ判定を行う。
【0037】測定法の単純さの故に、この発明の方法を
実際の用途に適用することは容易である。具体的には、
センサヘッドをCNC装置のスピンドルに正規のツール
と同様に装着して、CNCコントローラのコンピュータ
により計算を行うことができる。この様な応用により、
オンラインの表面粗さモニタリングと制御が実行可能で
ある。従ってこの発明の方法は、製造加工システムでの
面品質モニタリングに最適である。この発明の方法の他
の特徴は、同じセンサヘッドが、CMMとその関連制御
ソフトウェア及びアルゴリズムの助けをかりて、研削面
の傾斜角と位置座標ともに非接触で自動測定するために
用いられることである。これは、非接触の面座標測定や
粗さ測定を一つの測定プローブで行い、或いは一つの測
定機に統合する事を可能とし、高機能の多目的測定機を
実現できることを意味する。
【0038】
【発明の効果】従ってこの発明によれば、次のような効
果が得られる。 (a)単純で、高速且つオンラインの表面粗さ測定が可
能であり、このシステムをCNC装置や加工センター等
の加工システムに適用して有効である。 (b)これまで提案されている多くの非接触表面粗さ測
定法が持つ欠点を有しない。 (c)装備の単純さから、このファイブオプティック法
は将来特に有望になる。 (d)ファイバセンサの配置により、測定ヘッドは試料
面のテクスチャ方位の影響を受けずに測定が可能であ
る。 (e)同じタイプの面について、検出される最大強度は
試料面の粗さ値と良好な相関を示す。 (f)表面粗さ測定,面の位置座標及び傾斜角の測定を
一つの測定プローブで行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例に用いられるファイバオプ
ティックプローブ1の断面図と底面図である。
【図2】 同プローブのセンサヘッドの正面断面図と底
面図である。
【図3】 この実施例の測定システムである。
【図4】 異なる試料面の反射モードである。
【図5】 散乱反射光の楕円分布である。
【図6】 照射ビームと反射光強度分布の関係である。
【図7】 反射光強度測定の測定法である。
【図8】 反射光強度検出の原理である。
【図9】 検出強度と楕円分布の相関関係である。
【図10】 面テクスチャ方位を示す。
【図11】 面テクスチャ方位をパラメータとする検出
強度とギャップ距離の関係を示す。
【図12】 研削面についてサーフテストにより測定さ
れたプロファイルである。
【図13】 上記研削面についてのセンサヘッドによる
検出強度とギャップ距離の関係を示す。
【図14】 図13から求められた最大強度とギャップ
距離の相関関係を示す。
【図15】 フライス盤加工面について、サーフテスト
により測定されたプロファイルである。
【図16】 上記フライス盤加工面についてのセンサヘ
ッドによる検出強度とギャップ距離の関係を示す。
【図17】 図16から求められた最大強度とギャップ
距離の相関関係を示す。
【図18】 円筒面加工面についてサーフテストにより
測定されたプロファイルである。
【図19】 上記円筒面加工面についてのセンサヘッド
による検出強度とギャップ距離の関係を示す。
【図20】 図19から求められた最大強度とギャップ
距離の相関関係を示す。
【図21】 この発明の実施例による表面粗さモニタリ
ングの工程を示す。
【符号の説明】
1…ファイバオプティックプローブ、2…センサヘッ
ド、21…ヘッドベース、22…照射ファイバ、24…
受光ファイバ。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一本の照射ファイバと、この照射ファイ
    バに対して同軸的に配置された複数本の受光ファイバと
    から構成された少なくとも一つのセンサヘッドを有する
    ファイバオプティックプローブを用いた表面粗さ測定方
    法であって、 (a)前記センサヘッドにより、異なる複数の加工条件
    で得られた複数の参考試料について光ビームを照射し
    て、前記受光ファイバの出力の合計である検出強度と、
    前記センサヘッドと前記参考試料の面の間のギャップ距
    離との第1の相関関係を予備測定するステップと、 (b)ステップ(a)により求められた第1の相関関係
    に基づいて、前記検出強度のピーク値である最大強度と
    表面粗さの第2の相関関係を求めて、その相関関係を記
    憶保持するステップと、 (c)ステップ(a)において求められたモニターしよ
    うとする加工条件で加工された参考試料面についての第
    1の相関関係に基づいて、前記プローブを前記最大強度
    が得られるギャップ距離の位置近傍に設定するステップ
    と、 (d)ステップ(c)で設定されたギャップ距離で加工
    面の最大強度をモニターして、予め記憶されている第2
    の相関関係に基づいて、加工面の粗さ判定を行うステッ
    プとを有することを特徴とする表面粗さ測定方法。
  2. 【請求項2】 前記センサヘッドは、一本の照射ファイ
    バと、これに同軸的に配置された8個の受光ファイバと
    を有し、8個の受光ファイバのうち4個の受光ファイバ
    は照射ファイバの出射面を通る第1の軸上に照射ファイ
    バを挟んで対称的に配置され、残りの4個の受光ファイ
    バは前記第1の軸と直交する第2の軸上の照射ファイバ
    を挟んで対照的に配置されていることを特徴とする請求
    項1記載の表面粗さ測定方法。
  3. 【請求項3】 前記ファイバオプティックプローブは加
    工機械に取り付けられ、前記モニタリングステップ
    (d)は、前記加工機械による加工工程内で行われるこ
    とを特徴とする請求項1記載の表面粗さ測定方法。
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