JP3234233U - 釣用リール - Google Patents

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正晃 宇野
正晃 宇野
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【課題】スプールに巻装される釣糸が強く引かれたときに、該釣糸が既巻装される釣糸巻に入り込む所謂糸ガミ現象の発生を低減する、釣用リールを提供する。【解決手段】スプール7に巻装される釣糸を均等に巻装するレベルワインド機構Lを備えた両軸リール1において、該レベルワインド機構を構成するため設けられる螺旋軸9に形成される螺旋軸9cの螺旋ピッチを、往路と複路とで大小異ならしめたものとして、スプールに対する釣糸12の隣接する内外層での巻装状態を交差する構成にすることで糸ガミ現象の発生を低減する。【選択図】図1

Description

本考案は、スプールに釣糸を左右往復する状態で巻装するレベルワインド機構を備えた釣用リールの技術分野に関するものである。
一般に、釣用リールとして、釣糸(道糸、ライン、テグス)を巻装するためのスプールを、スプール軸を軸心として回転自在に軸支すると共に、該スプールの前方に、往復移動用の螺旋溝が形成された螺旋軸(ナピア軸、トラバースカム軸)に案内されて左右に往復移動する釣糸用の案内体を配し、ハンドルを巻き操作することにより、釣糸を左右往復移動する案内体によって案内してスプールに層状に巻装できるようにした所謂レベルワインド機構を備えたものが知られている。
このようにレベルワインド機構を備えた釣用リールでは、スプールに巻装される釣糸は、案内体の往路で既巻装された糸層のうえ(表面)に、案内体の復路で新規の糸層として巻装されることが繰り返されることになる。このものにおいて、案内体の移動速度を遅くして隣接する釣糸同士が近接した密状態で巻装した場合、釣糸は、巻き姿勢がスプール軸の軸心に対して直交する縦姿勢に近い状態で巻装されることになって小型の釣用リールであっても釣糸の巻き量を長いものにして深場や遠投での釣に対応できることになる。
ところがこのようにした場合、前述したように隣接する釣糸同士が縦方向に揃った状態で巻装されているため、例えば大物が針掛かりする等して大きな負荷が急激に働いた場合、引き出し際の釣糸が強く引っ張られて既巻装された釣糸の隣接同士間に挿入(侵入)する所謂糸ガミ現象を生じることがあり、このように糸ガミ現象が生じた状態のまま次の釣をするべく釣糸を繰り出すと、前記糸ガミ部位の釣糸が引っ掛った状態となって円滑な釣糸の繰り出しが阻害されるという問題がある。
これに対し案内体の移動速度を速くした場合、釣糸は傾斜した疎状態でスプールに巻装されることになって、往路と複路とで巻装される釣糸同士は交差状となって、前述したような糸ガミ現象の発生は解消されるが、この場合、釣糸のスプールに対する巻き量が短いものになって深場や遠投での釣に対応させるためには大型の釣用リールを用いなければならないという問題がある。
ところで従来、螺旋軸による案内体の往復移動速度を変化させるようにしたものが提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3043968号公報
しかしながら前記従来のものは、案内体の移動速度が、左右移動端の反転部位において遅くなることに起因してスプールに対する釣糸の巻き量が左右両端部位において膨大になって巻き姿勢が乱れてしまう、という不具合を是正するため、螺旋ピッチを中間部よりも左右両端部側を大きくなるよう変化したものとし、これによってスプールに対する釣糸の巻き姿勢が均等になるよう配慮したものであって、前述したように案内体の移動速度を遅くした場合の釣糸の糸ガミ現象の発生、逆に移動速度を速くした場合の釣糸の巻き量が短くなってしまうことの解決にはならないものであり、これらに本考案の解決すべき課題がある。
本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の考案は、釣竿に取り付けられるリール本体に、回転操作されるハンドルと、該ハンドルの回転操作に連動して回転するスプールと、該スプールと連動して回転し、周面に往復の螺旋溝が形成された螺旋軸と、スプールへの釣糸の巻装を螺旋軸に案内されて左右往復移動することで行う案内体と、が設けられ、釣糸のスプールへの巻装を、ハンドル操作に伴う案内体の往路、復路の繰り返し移動で行うように構成したレベルワインド機構が設けられた釣用リールにおいて、前記螺旋溝の往復の螺旋ピッチを、案内体による往路と複路の釣糸の巻装が粗密逆状態になるよう往路と複路とで大小異ならしめたことを特徴とする釣用リールである。
請求項2の発明は、 往路と複路との螺旋ピッチが大小異なることは、往路全体の螺旋ピッチが復路全体の螺旋ピッチに対して大小異なるものであることを特徴とする請求項1記載の釣用リールである。
請求項3の発明は、螺旋ピッチは往路と複路とでそれぞれ複数の大小変化をするものであり、該複数の大小変化は、往路と複路とで逆の大小変化をするものであることを特徴とする請求項1記載の釣用リールである。
請求項4の発明は、螺旋ピッチの複数の大小変化は偶数の変化であることを特徴とする請求項3記載の釣用リールである。
請求項5の発明は、往路と複路との螺旋ピッチが大小異なることは、往路および復路全体で大小互いに逆になる方向の変化が段階状または連続状に変化するものであることを特徴とする請求項1記載の釣用リールである。
請求項1の考案とすることにより、釣糸は、スプールに巻装される場合に、巻装される巻き層ごとに異なった巻装ピッチになって、内外隣接する巻き層の釣糸同士は互いに交差した状態で巻装され、この結果、スプールから繰出される部位の釣糸が、内層側の釣糸の隣接同士間に挿入する所謂糸ガミ現象を生じることが回避され、釣糸1繰出す場合に引っかかってしまうことなくスムーズな釣糸の繰出しができることになる。
請求項2の考案とすることにより、往路復路全体での螺旋ピッチが異なるものであるため、螺旋軸の形成が容易になる。
請求項3の考案とすることにより、螺旋ピッチを往路と複路とでそれぞれ複数の大小変化をする結果、螺旋ピッチを往路全体、複路全体でそれぞれ統一したものとした場合のように、往路と複路とでスプール7に対する糸巻き量が大きく異なることが回避され、釣糸の繰出し量(巻き取り量)の把握が容易になる。
請求項4の考案とすることにより、往路、復路での螺旋ピッチの複数の大小変化が偶数であるため、奇数とした場合に比して往路と複路とでの糸巻き量に出る差を小さいものにできるという利点がある。
請求項5の発明とすることにより、螺旋ピッチの変化が、往路、復路において連続状の変化になる結果、スプールに巻装される釣糸の巻装状態に生じる違和感を低減できることになる。
両軸の釣用リールの断面図である。 螺旋軸の正面図である。 (A)(B)は往路の螺旋溝の展開図、復路の螺旋溝の展開図である。 (A)(B)は第二の実施の形態の往路の螺旋溝の展開図、復路の螺旋溝の展開図である。
以下、本考案を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は釣用のリールであって、該リール1は、駆動側、従動側の左右ケーシング2、3および該ケーシング2、3間を連結するための連結部4を備えることで両軸受け型のケーシング本体が構成され、前記連結部4に設けられる脚部5を釣竿に設けた支持部(リールシート(図示せず))に着脱自在に取り付けることでリール1の釣竿に対するセットができるようになっている。
前記左右のケーシング2、3には、スプール軸6の左右両端部が軸受け6aを介して回転自在に軸支され、該スプール軸6にスプール7が一体回動するよう支持されている。
一方、前記スプール7の前方には、左右ケーシング2、3に左右両端縁部が支持される状態で案内筒8が設けられ、該案内筒8に、本考案が実施された後述するレベルワインド機構Lを構成する螺旋軸(ナピア軸、トラバースカム軸)9が軸受け9aを介して回転自在に軸支されている。そして螺旋軸9の従動側ケーシング3内の端部9bは、ギアを用いた動力伝動機構10を介して前記スプール軸6の従動側ケーシング3内の端部6bに連動連結されたものとなっており、これによってスプール7と螺旋軸8とは、スプール軸6の回転に連動して一体回動するよう構成されている。因みに動力伝動機構10は、スプール軸6の回転に対して変速(減速)する状態で螺旋軸9を回転するようギア比の設定がなされている。
前記案内筒8は、下半部側周面部に開口窓が形成されていて螺旋軸9の周面が露出する(視認できる)ようになっているが、案内筒8の上方には、左右のケーシング2、3の前端部に左右両端部が支持される状態でガイド杆(図示せず)が設けられ、該ガイド杆によりスプール7に巻装される釣糸12を左右案内するための案内体(ガイド)13の左右移動をするよう構成されている。
そうして前述したように、スプール7と螺旋軸9とがスプール軸6の回転に連動して回動した場合に、案内体13が螺旋軸9に設けた螺旋溝9cに案内されて左右に往復移動をすることになり、これによって釣糸12は、案内体13に案内される状態でスプール7に対する巻き取り、繰り出しが実行されるように構成されている。
そして釣糸12を案内体13の案内によってスプール7に巻装する場合に、螺旋軸9に形成される螺旋溝9cの螺旋ピッチを、後述するように往路と複路とで異ならしめたものとなっているが、該巻装される釣糸12は、案内体13の往路、復路の繰り返し移動によって層状に巻装されるようになっており、このようにして釣糸12をスプール7に均一状に巻装するため後述するレベルワインド機構Lが構成されている。
さらに本実施の形態のリール1において、左右のケーシング2、3の後端部間に、クラッチ機構を構成するためのクラッチ操作具15が上下方向揺動自在に軸支されており、該クラッチ操作具15を操作することに連動して後述するハンドル軸14aからスプール軸7に至る動力伝動を断ってスプール7をスプール軸6と共にフリー状態にして自由回転するよう構成されているが、斯かるクラッチ機構の具体的構成については従来公知のものが採用されており、これ以上の詳細説明は省略する。
また、駆動側ケーシング2には、キャスティング機構を構成するためのキャスティング操作具16が設けられるが、該キャスティング操作具16を回転操作することで前記スプール軸6に回動自在および軸心方向移動自在に設けられる従動ギア17がスプール軸6の軸心方向に移動し、これによってキャスティング用弾機16aの付勢力が変化することになってスプール7の前記自由回転に調節可能な制動を与えるようになっており、斯かるキャスティング機構についても従来公知のものが採用されており、これ以上の詳細説明は省略する。
一方、駆動側ケーシング2側に配されるハンドル14は、駆動側ケーシング2に軸受け14bを介して回転自在に軸支される前記ハンドル軸14aの先端部に一体的に取り付けられるが、該ハンドル軸14aには、前記従動ギア17に噛合した駆動ギア18が回転自在に設けられている。そしてハンドル軸14aにはドラグ機構Dが設けられるが、該ドラグ機構Dは、スプール7の糸繰出し方向の回転に対して設定される制動負荷(制動力)を与え、スプール7に対して該設定される制動負荷を越えた負荷が釣糸12側から働いた場合に、スプール7の釣糸12の繰出し方向への回転を、前記制動負荷に抗した状態で許容するよう構成されたものである。そして本実施の形態のドラグ機構Dは、レバー式のドラグ操作具19を備えて構成され、該ドラグ操作具19を揺動操作することにより駆動側ケーシング2内に設けた摩擦板式のドラグ機構Dの制動負荷の調整がなされる構成になっているが、このドラグ機構Dについても従来周知のものであるため、その詳細説明は省略する。
次に、前述したレベルワインド機構Lを構成する螺旋軸9に形成される螺旋溝9cについて説明する。螺旋軸9は、ハンドル14を糸巻き方向に回転操作した場合、案内体13が左右方向に往復移動することになるが、この往復移動について、説明のための便宜上、図2、3において案内体13の左端から右端への移動を往路、右端から左端への移動を復路とし、往路の螺旋溝9cxの螺旋ピッチ(螺旋溝9が1回転したときの案内体13の左右方向の移動距離(移動幅))Xを長く(大きく)し、復路の螺旋溝9cyの螺旋ピッチYを短く(小さく)したものに設定(X>Y)され、これによって往路の螺旋溝9cxの螺旋ピッチXが、復路の螺旋溝9cyの螺旋ピッチYよりも短いものとして、案内体13が往路を移動する場合の移動速度が、復路を移動する場合の移動速度よりも速くなる結果、釣糸12は、往路ではスプール軸6の軸心に対して傾斜する側の疎状態で巻装され、復路ではスプール軸6の軸心に対して直交する側の密状態で巻装されるように設定されている。
叙述の如く構成された本実施の形態において、繰出された釣糸12を巻き取るべくハンドル14を巻き操作すると、螺旋軸9が回転し、これに伴い案内体13が螺旋軸9に設けた螺旋溝9cに案内されて左右往復移動して釣糸12をスプール7に巻装していくことになるが、この場合に、螺旋溝9cの往復の螺旋ピッチX、Yについて、往路の螺旋ピッチXが大きく、復路の螺旋ピッチYが小さいものに設定されている結果、釣糸12は、スプール7に対し往路では隣接間隔が荒く、復路では隣接間隔が狭いものとして巻装される巻き層ごとに異なった巻装ピッチになって、内外隣接する巻き層の釣糸12同士は互いに交差した状態で巻装される。このため釣をしている際に釣糸12が強く引っ張られたような場合に、スプール7から繰出される部位の釣糸12が、内層側の釣糸12の隣接同士間に挿入(侵入)する所謂糸ガミ現象を生じることが回避され、釣糸12を繰出す場合に引っかかってしまうことを回避し、スムーズな釣糸12の繰出しができることになる。
尚、前記実施の形態においては、往路と複路との螺旋ピッチX、Yを大小異ならしめることを、往路全体の螺旋ピッチXが復路全体の螺旋ピッチYに対して大小異なるものとしたが、本考案はこれに限定されないものであることは勿論であって、図4に示す第二の実施の形態のように、螺旋ピッチを往路では「大→小」、複路では「小←大」となるようそれぞれ複数の大小逆の変化をするようにしても本考案を実施することができる。
具体的には、往路での螺旋ピッチについて前半を大きい螺旋ピッチX、後半を小さい螺旋ピッチYとし、復路での螺旋ピッチについて前半を大きい螺旋ピッチX、後半を小さい螺旋ピッチYとしたものであり、このようにすることにより、スプール7において同じ巻装位置での釣糸12の巻装は、大きい螺旋ピッチX、小さい螺旋ピッチYが交互に繰り返されることになって前述したように糸ガミ現象のないものにできる。そしてこのようにしたものでは、前記第一の実施の形態のように螺旋ピッチを往路全体、複路全体でそれぞれ統一したものとした場合のように、往路と複路とでスプール7に対する糸巻き量が大きく異なることが回避され、釣糸12の繰出し量(巻き取り量)の把握が容易になる。
この点をさらにこのものを改良するものとして、往路、復路での螺旋ピッチの各複数の大小変化は、前記第二の実施の形態では大小二段階とした偶数の変化としているため、例えば「大小大」と「小大小」のように奇数とした場合に比して往路と複路とでの糸巻き量に出る差を小さいものにできるという利点がある。
さらに本考案において往路と複路との螺旋ピッチが大小異なることについて、往路および復路全体において大小互いに逆になる方向の変化をする構成、例えば往路の螺旋ピッチを「大→中→小」、復路の螺旋ピッチを「小←中←大」のように連続して変化するように構成することができ、この場合の螺旋ピッチの変化について、段階状としたもの、さらには連続状としたものとすることもでき、このようにしたときには、大小変化が目立たないものになってスプール7に巻装される同層の釣糸12の巻装状態に違和感が生じることを低減できることになる。
本考案は、スプールに釣糸を左右往復する状態で巻装するレベルワインド機構を備えた釣用リールとして利用することができる。
1 リール
7 スプール
9 螺旋軸
9c 螺旋溝
12 釣糸
13 案内体
14 ハンドル
L レベルワインド機構

Claims (5)

  1. 釣竿に取り付けられるリール本体に、回転操作されるハンドルと、該ハンドルの回転操作に連動して回転するスプールと、該スプールと連動して回転し、周面に往復の螺旋溝が形成された螺旋軸と、スプールへの釣糸の巻装を螺旋軸に案内されて左右往復移動することで行う案内体と、が設けられ、釣糸のスプールへの巻装を、ハンドル操作に伴う案内体の往路、復路の繰り返し移動で行うように構成したレベルワインド機構が設けられた釣用リールにおいて、
    前記螺旋溝の往復の螺旋ピッチを、案内体による往路と複路の釣糸の巻装が粗密逆状態になるよう往路と複路とで大小異ならしめたことを特徴とする釣用リール。
  2. 往路と複路との螺旋ピッチが大小異なることは、往路全体の螺旋ピッチが復路全体の螺旋ピッチに対して大小異なるものであることを特徴とする請求項1記載の釣用リール。
  3. 螺旋ピッチは往路と複路とでそれぞれ複数の大小変化をするものであり、該複数の大小変化は、往路と複路とで逆の大小変化をするものであることを特徴とする請求項1記載の釣用リール。
  4. 螺旋ピッチの複数の大小変化は偶数の変化であることを特徴とする請求項3記載の釣用リール。
  5. 往路と複路との螺旋ピッチが大小異なることは、往路および復路全体で大小互いに逆になる方向の変化が段階状または連続状に変化するものであることを特徴とする請求項1記載の釣用リール。
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