JP3232764B2 - 耐熱性樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性樹脂組成物

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JP3232764B2
JP3232764B2 JP9049893A JP9049893A JP3232764B2 JP 3232764 B2 JP3232764 B2 JP 3232764B2 JP 9049893 A JP9049893 A JP 9049893A JP 9049893 A JP9049893 A JP 9049893A JP 3232764 B2 JP3232764 B2 JP 3232764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水添ノルボルネン系樹
脂に特定のリン系酸化防止剤を配合した耐熱性に優れた
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透明樹脂としては、ポリメチルメ
タクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、3−
メチルペンテン樹脂などが知られている。これらの樹脂
は、工業的にも大量に製造され、その良好な透明性を生
かし、各分野で大量に使用されている。しかしながら、
これらの樹脂は、耐熱性が必ずしも充分ではなく、例え
ば上記樹脂のうち一番耐熱性の高い樹脂とされるポリカ
ーボネートでも、その耐熱性の指標であるガラス転移温
度は150℃程度であり、より高い耐熱性を持つ樹脂の
開発が望まれている。
【0003】透明性に優れ、より高い耐熱性を持つ樹脂
として、極性置換基を有するノルボルネン誘導体の開環
重合体が提案されている。しかしながら、ノルボルネン
誘導体の開環重合体は、その主鎖に炭素−炭素二重結合
を持つため、高温下での酸化劣化が激しく、高いガラス
転移温度を持つに係わらず、耐熱性ポリマーとしては実
用化されていなかった。このため、上記開環重合体を水
添することにより、その酸化劣化性を改良する試みが提
案されている(特公昭57−8815号公報)。この水
添による酸化劣化性の改良は、従来の未水添重合体に較
べ、その耐酸化劣化性を大幅に向上させることができる
が、高いガラス転移温度を持つ高耐熱性樹脂の場合、必
然的に加工温度を高くする必要があり、このため加工時
の劣化、特に黄変着色が依然として問題となっている。
【0004】ところで、黄変は、光学用材料としては致
命的なので、これを防止すべく酸化防止剤を配合する方
法が種々提案されている(例えば、特開平2−2797
60号公報)。これらの酸化防止剤を配合する方法は、
一次酸化防止剤であるヒンダードフェノールによりラジ
カル捕捉し、二次酸化防止剤であるリン化合物により高
分子中に劣化とともに発生するヒドロパーオキサイドを
還元し分解するものである。また、ヒンダードフェノー
ルは、実使用温度での劣化に、リンは加工時における高
温下での劣化に効果を発揮できるよう配合されていると
もいえる。しかしながら、リンを含む酸化防止剤は、長
時間厳しい条件下に晒されると、加水分解を起こし、こ
れによって発生する物質がむしろ着色を促進することが
あり、充分満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、水添ノルボルネン系
樹脂に、リンを含む酸化防止剤が加水分解を生起し、着
色をむしろ促進するという問題が起きないような酸化防
止剤を配合することにより、耐熱劣化性に優れ、特に光
学材料として好適な耐熱性樹脂組成物を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)で表される少なくとも1種のノルボルネン誘導体
または該ノルボルネン誘導体と共重合可能な不飽和環状
化合物とを、メタセシス重合して得られる重合体(以
下、単に「重合体」ということがある)を水添して得ら
れる水添ノルボルネン系樹脂100重量部に対し、下記
一般式(II) で表されるリン系酸化防止剤および/また
は下記一般式(III)で表されるリン系酸化防止剤0.0
1〜10重量部を含有させてなる耐熱性樹脂組成物を提
供するものである。
【0007】
【化4】
【0008】〔一般式(I)中、AおよびBは水素原子
または炭素数1〜10の炭化水素基、XおよびYは水素
原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ま
たは1価の有機極性基を示し、nは0〜10の整数を示
す。〕
【0009】
【化5】
【0010】〔一般式(II) 中、R1 は、炭素数1〜1
0の炭化水素基である。〕
【0011】
【化6】
【0012】〔一般式(III)中、R2 、R3 およびR4
は、炭素数1〜30の炭化水素基である。〕本発明にお
いて、前記重合体としては、一般式(I)で表されるノ
ルボルネン誘導体を付加重合して得ることもできる。し
かしながら、本発明の水添ノルボルネン系樹脂は、好ま
しくはメタセシス開環重合し、水添して得られる水添ノ
ルボルネン系樹脂である。本発明の耐熱性樹脂組成物に
使用される水添ノルボルネン系樹脂について説明する
と、該樹脂を構成する一般式(I)で表されるノルボル
ネン誘導体において、得られる成形品の耐熱性を高める
ために、置換基XおよびYの少なくとも1つは、水素原
子および炭化水素基から選ばれる基以外の基であること
が好ましい。さらに、置換基XおよびYの一方が式−
(CH2 n COOR5 で表されるカルボン酸エステル
であると、樹脂製造時の水添工程で変化しないという点
で好ましく、他の一方が水素原子または炭化水素基であ
ることが樹脂の吸水性が高くならないという点で好まし
い。また、−(CH2 n COOR5 で表されるカルボ
ン酸エステル基のうち、nの小さいものほど水添ノルボ
ルネン系樹脂の耐熱性が高くなるので好ましく、特に式
−(CH2 n COOR5 において、nが0であること
が前記誘導体を合成する上で、また水添ノルボルネン系
樹脂の安定性の面からみて好ましい。ここで、R5 は、
炭素数1〜20の脂肪族、脂環族、または芳香族炭化水
素基であるが、炭素数の大きいものほど得られる水添ノ
ルボルネン系樹脂の吸水性が低くなる点では好ましい
が、熱分解性は一般に炭素数が大きくなるほど高くなる
ので、該樹脂の特徴を最大限に生かすには、炭素数1〜
4の鎖状炭化水素基、炭素数5以上の脂環式炭化水素
基、またはフェニル基、置換フェニル基が好ましく、さ
らには前記誘導体としてはmが1の8−メチル−8−メ
トキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセンが好ましい。
【0013】前記重合体は、一般式(I)で表されるの
ノルボルネン誘導体を2種以上使用し、共重合体であっ
てもよい。例えば、8−メチル−8−メトキシカルボニ
ルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−
ドデセンと5−メチル−5−メトキシカルボニルビシク
ロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンを共重合することもで
きる。この組み合わせは、5−メチル−5−メトキシカ
ルボニルビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテンが、8
−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.
4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン製造の中間体
として得られるため特に好ましい。
【0014】また、一般式(I)で表されるノルボルネ
ン誘導体と共重合可能な不飽和環状化合物としては、シ
クロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シク
ロオクテン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ〔2.
2.1〕ヘプテン、トリシクロ〔5.2.1.02,6
−8−デセン、トリシクロ〔5.2.1.02,6 〕−3
−デセン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ〔6.5.1.
3,6 .02,7 .09,13〕−4−ペンタデセン、ペンタ
シクロ〔6.5.1.13,6 .02,7 .09,13〕−11
−ペンタデセン、ペンタシクロ〔7.4.0.13,4
10,13 .02,7 〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ
〔6.6.1.13,6 .02,7 .09,13〕−4−ヘキサ
デセンなどのシクロアルカン、またそのアルキル置換体
を挙げることができる。これらの共重合可能な不飽和環
状化合物のうち、特に好ましいものは入手が容易なジシ
クロペンタジエンである。共重合可能な不飽和環状化合
物を用い、一般式(I)で表されるノルボルネン誘導体
との共重合体を得る場合、該誘導体が少ないと、最終的
に得られる樹脂は高い耐熱性を持つことができないた
め、一般式(I)で表されるノルボルネン誘導体の割合
は、5モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好
ましくは50モル%以上である。
【0015】また、一般式(I)で表されるノルボルネ
ン誘導体の重合を、ポリブタジエン、ポリイソプレン、
スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン
−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖
に炭素−炭素二重結合を含んだ不飽和炭化水素系重合体
の存在下に行うこともでき、この場合、得られる水添ノ
ルボルネン系樹脂は、特に耐衝撃性が高い。これらの不
飽和炭化水素系重合体のうち、スチレン−ブタジエン共
重合体、スチレン−イソプレン共重合体が、透明な成形
品を得やすいので好ましい。この場合、スチレンとジエ
ンの共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロッ
ク共重合体であってもよい。不飽和炭化水素系重合体存
在下の重合の際、該重合体は、一般式(I)で表される
ノルボルネン誘導体に対し、1〜90重量%、好ましく
は3〜70重量%、さらに好ましくは5〜40重量%使
用される。
【0016】本発明に用いられる重合体は、ポリスチレ
ン換算の重量平均分子量で20,000〜700,00
0、好ましくは30,000〜500,000である。
重合体を得るためのメタセシス重合および該重合体の水
素添加方法は、特開平1−132626号公報に記載さ
れている方法と同様の方法が挙げられる。このようにし
て得られる水添ノルボルネン系樹脂の水添率は、60M
Hz NMRで測定し、δ=4.5〜6.0ppmの範
囲のピークの水添反応による減少から計算して、通常、
98%以上であることが必要である。98%未満では、
たとえ本発明の酸化防止剤を添加しても、耐酸化劣化性
の良好な組成物は得られず、本発明の目的が達成されな
い。水添率が高いほど酸化防止剤の添加効果が顕著に表
れるので好ましく、その意味で水添率は99%以上であ
ることが好ましい。
【0017】次に、本発明に用いられるリン系酸化防止
剤は、上記一般式(II) および/または(III)で表され
る化合物である。一般式(II) において、R1 は、炭素
数1〜10の炭化水素基であり、好ましくはメチル基、
エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチ
ル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−アミル
基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシ
ル基、i−ヘキシル基、ビニル基、アリル基、i−プロ
ペニル基であり、さらに好ましくはt−ブチル基、t−
アミル基である。一般式(II) で表されるリン系酸化防
止剤の具体例としては、3,9−ビス{2−2(2,
4,8,10−テトラ−t−アミル−12H−ジベンゾ
〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オ
キシ)−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−
ビス{2−2(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル
−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサ
ホスホシン−6−オキシ)−1,1−ジメチルエチル}
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウ
ンデカンなどを挙げることができる。
【0018】また、一般式(III)において、R2 、R3
およびR4 は、炭素数1〜30の炭化水素である。ここ
で、R2 としては、好ましくはメチル基、フェニル基、
neo−ペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n
−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル
基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘ
プタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル
基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ド
コシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基であ
る。R3 およびR4 は、好ましくはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、n−アミル基、i−
ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、i
−ヘキシル基、ビニル基、アリル基、i−プロペニル基
であり、さらに好ましくはt−ブチル基、t−アミル基
である。一般式(III)で表されるリン系酸化防止剤の具
体例は、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシ
カルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オ
クタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0019】なお、本発明の組成物には、上記リン系酸
化防止剤に加えて、分子量350以上のヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤を配合することが望ましい。上記ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤としては、着色の点か
ら3−(3,5−ジ−アルキル置換−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオン酸アルキルエステル構造を有するも
のがより好ましく、さらにフェニル基上のアルキル置換
基は、メチル基、t−ブチル基、あるいはt−アミル基
がより好ましい。アルキルエステル部は、炭素数30以
下のアルキルモノエステルまたは分子量300以下の多
価アルコールを原料とする多価エステルがより好まし
い。
【0020】これらのヒンダードフェノール系酸化防止
剤のより好ましい具体例としては、ペンタエリスリチル
−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス
{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメ
チルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカン、オクタデシル−3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕などが挙げられる。
【0021】一般式(II) あるいは(III)で表されるリ
ン系酸化防止剤と上記ヒンダードフェノール系酸化防止
剤の使用量は、水添ノルボルネン系樹脂100重量部に
対し、いずれも0.01〜10重量部、好ましくは0.
1〜5重量部である。0.01重量部未満では、充分な
酸化劣化防止効果を得ることができず、一方10重量部
を超えて添加すると、樹脂の機械的強度が低下して好ま
しくない。
【0022】水添ノルボルネン系樹脂に、これらの酸化
防止剤を添加する方法としては、一般式(I)で表され
るノルボルネン誘導体の合成時または精製時に添加する
方法、水添後の樹脂溶液に添加する方法、水添後の樹脂
の精製時に添加する方法、ペレット化の際に添加する方
法などが挙げられ、樹脂そのものに添加する以外、溶媒
などにあらかじめ添加しておくこともでき、特に限定さ
れるものではない。
【0023】本発明の耐熱性樹脂組成物には、このほか
光による樹脂の劣化を防止する効果のある安定剤を、耐
熱性を損なわない範囲で1種または2種以上組み合わせ
て用いてもよい。安定剤として用いられるもののうち、
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、サルチレー
ト系、ベンゾトリアゾール系などが挙げられる。以下
に、安定剤の具体例を列記する。
【0024】アミン系安定剤としては、フェニル−α−
ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、ジオ
クチルフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フ
ェニレンジアミン、N′,N′−ジ−β−ナフチル−p
−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フ
ェニル−p−フェニレンジアミン、2−(3,5−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマ
ロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−
ピペリジル)、ポリ{〔6−(1,1,3,3−テトラ
メチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,
4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、コハ
ク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒ
ドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重
縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)セバケートなどが挙げられる。
【0025】ベンゾフェノン系安定剤としては、2−ヒ
ドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2′,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン
など挙げられる。
【0026】サルチレート系安定剤としては、フェニル
サルチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾ
エート、フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシベンゾエート、2−メチル−4−t−ブチルフェ
ニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
ベンゾエートなどが挙げられる
【0027】ベンゾトリアゾール系安定剤としては、2
−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブ
チル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−3′,5′−ジ−t−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0028】ヒドラジン系安定剤としては、マレイン酸
ヒドラジド、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒド
ラジン、N−サリシロイル−N′−アルデヒドヒドラジ
ンなどが挙げられる。
【0029】エポキシ系安定剤としては、エポキシ化ア
マニ油、エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレー
ト、エポキシオクチルステアレート、エポキシラウリル
ステアレート、低分子量エポキシ樹脂などが挙げられ
る。以上の各安定剤は、1種または2種以上混合して用
いられる。
【0030】本発明の耐熱性樹脂組成物には、さらに必
要に応じて高級ジカルボン酸金属塩、高級カルボン酸エ
ステルなどの滑剤、可塑剤、帯電防止剤、無機および有
機系着色剤、発泡剤、無機および有機系充填剤、上記以
外の難燃剤、表面光沢改良剤、艶消し剤などを添加する
ことができる。これらの各種添加剤は、樹脂組成物の製
造工程中あるいはその後の加工工程において添加するこ
とができる。
【0031】本発明の耐熱性樹脂組成物は、単軸押出
機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキ
シングロールなどの混合機を用い、水添ノルボルネン系
樹脂および上記酸化防止剤、さらに必要に応じて使用さ
れる添加剤を混合することによって得られる。本発明の
耐熱性樹脂組成物の製造方法の一例を示すと、ミキサー
で各成分を混合したのち、押出機を用い、200〜40
0℃で溶融混練りして造粒物を得る方法、さらに簡便な
方法としては、各成分を、直接、成形機内で溶融混練り
して組成物を得る方法などが挙げられる。
【0032】なお、本発明の耐熱性樹脂組成物は、単独
で使用することができるが、各種極性材料との親和性が
良好であることから、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維
あるいはこれらの粉末、炭酸カルシウム、タルク、セッ
コウ、アルミナ、シリカ、雲母、チッ化ホウ素、ジルコ
ニア、炭化ケイ素、チタン酸カリウムなどの複合材料と
して使用することもできる。
【0033】本発明の耐熱性樹脂組成物は、レンズ、光
ディスク基板、光ファイバー、発光ダイオード・フォト
カプラーなどの封止剤、CCDのリッドなどの光学材料
のほか、窓ガラス、自動車用ガラス、フィルム、OHP
やセル画用のシート、眼鏡レンズ、および一般成形品な
どに用いることができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らな
いかぎり重量基準である。また、実施例中の固有粘度、
色相は、次のようにして測定したものである。固有粘度〔η〕inh クロロホルム中、30℃、濃度0.5g/dlで測定し
た。樹脂は、熱などにより劣化すると、固有粘度が低下
する。粉末からペレット、成形品を経て加熱後まで固有
粘度の数値が変化しないということは、樹脂が劣化して
いないことを示す。色相 各種酸化防止剤をドライブレンドしたペレット化前の粉
末樹脂組成物、それを押出機で溶融混練りして得たペレ
ット、さらにこのペレットを射出成形した成形板を、そ
れぞれ15%塩化メチレン溶液とし、JIS K710
3に従って黄色度(YI値)を透過光で測定した。さら
に、上記成形板を150℃の循環熱完全オーブン中で耐
熱試験を行い、50時間後の黄色度を測定した。
【0035】参考例1(水添ノルボルネン系樹脂M−1
の製造) チッ素雰囲気下において、チッ素置換した内容積50リ
ットルの反応器内に、、構造式(I)で表される単量
体、すなわち8−メチル−8−メトキシカルボニルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセ
ンを5kgと、トルエン20リットル、分子量調節剤で
ある1−ヘキセン650gと、触媒として六塩化タング
ステンの濃度0.05モル/lのクロロベンゼン溶液8
6mlと、パラアルデヒドの濃度0.1モル/lのトル
エン溶液34mlと、ジエチルアルミニウムモノクロリ
ドの濃度0.5モル/lのトルエン溶液205mlとを
加え、80℃で4時間反応させることにより、重合体を
得た。この重合体溶液に、水5g、メタノール50gを
加えたのち、高圧反応器に移し、水添触媒としてRuH
Cl(CO)〔P(C6 5 3 3 を5.0g加え、
温度165℃、水素ガス圧100kg/cm2 で5時間
水添反応を行った。
【0036】水添反応後、水素化重合体溶液に乳酸50
gとメタノール20リットルを加え、60℃で1時間混
合し、その後、冷却、静置後、分液して上層を破棄する
ことにより、触媒含有量が低減した水素化重合体溶液を
得た。この水素化重合体溶液に、トルエン5リットル、
乳酸50g、メタノール15リットルを加え、60℃で
1時間混合した。その後、冷却、静置後、分液して上層
を破棄することにより、触媒含有量の低減した水素化重
合体溶液を得た。この水素化重合体溶液に、トルエン5
リットル、メタノール15リットルを加え、60℃で1
時間混合したのち、冷却、静置後、分液して上層を破棄
することにより、実用上問題となる量の金属を含まない
水素化重合体溶液を得た。この水素化重合体溶液を、ス
チームストリッピング、真空乾燥することにより、水添
ノルボルネン系樹脂M−1を得た。得られた樹脂の固有
粘度〔η〕inh (クロロホルム中、30℃、濃度0.5
g/dl)は0.50dl/gで、 1H−NMRチャー
ト上、オレフィンピークは実質的に認められず、水添率
は99%以上であった。
【0037】
【化7】
【0038】参考例2(水添ノルボルネン系樹脂M−2
の製造) 参考例1において、上記構造式(I)で表される単量
体、すなわち8−メチル−8−メトキシカルボニルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセ
ンを4.5kgと、構造式(II) で表される単量体、す
なわち5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ
〔2.2.1.〕−2−ヘプテンを0.5kgに代えた
以外は、参考例1と同様にして重合、水添などを行い、
樹脂M−2を得た。得られた樹脂の固有粘度〔η〕inh
は0.65dl/gで、 1H−NMRチャート上、オレ
フィンピークは実質的に認められず、水添率は99%で
あった。
【0039】
【化8】
【0040】参考例3(水添ノルボルネン系樹脂M−3
の製造) 参考例1において、上記構造式(I)で表される単量
体、すなわち8−メチル−8−メトキシカルボニルテト
ラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセ
ンを4.5kgと、構造式(III)で表される単量体、す
なわちジシクロペンタジエンを0.5kgに代えた以外
は、参考例1と同様にして重合、水添などを行い、樹脂
M−3を得た。得られた樹脂の固有粘度〔η〕inh
0.60dl/gで、 1H−NMRチャート上、オレフ
ィンピークは実質的に認められず、水添率は99%であ
った。
【0041】
【化9】
【0042】参考例4(水添ノルボルネン系樹脂M−4
の製造) 参考例1において、水添触媒量と水添時間を変えた以外
は、参考例1と同様にして重合、水添などを行い、樹脂
M−4を得た。得られた樹脂M−4の固有粘度〔η〕
inh は0.47dl/g、また 1H−NMRチャート
上、オレフィンピークは実質的に認められず、水添率は
99%であった。
【0043】実施例1〜15、比較例1〜6 参考例で得られた水添ノルボルネン系樹脂と各種酸化防
止剤を、表1に示す量でドライブレンドし、押出機でペ
レット化した。得られたペレットを、下記条件で射出成
形し、さらに成形品を150℃の循環熱完全オーブン中
に50時間放置し、固有粘度の変化と色相の変化をそれ
ぞれ測定した。結果を表1に示す。ペレット化 押出機;VSK40〔中谷機械(株)製〕、40mm スクリュー回転数;150rpm 温度;280℃射出成形 射出成形機;IS80A〔東芝機械(株)製〕 5オンス 射出圧力;900kg/cm2 スクリュー回転数;80rpm 背圧;60kg/cm2 サイクル;45秒 金型温度;80℃
【0044】なお、表1中、使用された各種の酸化防止
剤の詳細は、次のとおりである。 A;オクタデシル−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 B;ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕 C;3,9−ビス{2−(2,4,8,10−テトラ−
t−アミル−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,
2〕ジオキサホスホシン−6−オキシ)−1,1−ジメ
チルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカン〔下記構造式(IV) で表す。〕
【0045】
【化10】
【0046】D;ビス〔2,6−ジ−t−ブチル−4−
メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリ
トールジホスファイト〔下記構造式(V)で表す。〕
【0047】
【化11】
【0048】E;ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト F;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファ
イト)
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明の耐熱性樹脂組成物は、充分高い
水添率の水添ノルボルネン系樹脂と特定の酸化防止剤の
組み合わせにより、酸化劣化によって起こる着色が大幅
に改良され、従来問題となっていた過酷な条件下での黄
変着色の問題を解決することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08K 5/524 C08L 65/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される少なくとも
    1種のノルボルネン誘導体または該ノルボルネン誘導体
    と共重合可能な不飽和環状化合物とを、メタセシス重合
    して得られる重合体を水添して得られる水添ノルボルネ
    ン系樹脂100重量部に対し、下記一般式(II) で表さ
    れるリン系酸化防止剤および/または下記一般式(III)
    で表されるリン系酸化防止剤0.01〜10重量部を含
    有させてなる耐熱性樹脂組成物。 【化1】 〔一般式(I)中、AおよびBは水素原子または炭素数
    1〜10の炭化水素基、XおよびYは水素原子、炭素数
    1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、または1価の有
    機極性基を示し、nは0〜10の整数を示す。〕 【化2】 〔一般式(II) 中、R1 は、炭素数1〜10の炭化水素
    基である。〕 【化3】 〔一般式(III)中、R2 、R3 およびR4 は、炭素数1
    〜30の炭化水素基である。〕
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