JP3231159B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの製造方法

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JP3231159B2 JP26220493A JP26220493A JP3231159B2 JP 3231159 B2 JP3231159 B2 JP 3231159B2 JP 26220493 A JP26220493 A JP 26220493A JP 26220493 A JP26220493 A JP 26220493A JP 3231159 B2 JP3231159 B2 JP 3231159B2
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博紀 北川
明 中澤
淳 児玉
裕子 三宅
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、インク滴を吐出させ
て記録を行うためのインクジェットヘッドの製造方法に
関する。
【0002】インクジェット記録方式は、構造が簡単で
カラー化がし易く、騒音も無いなどの特長があり、今後
の記録方式の主流として期待されている。
【0003】
【従来の技術】インクジェットヘッドからインク滴を吐
出させるには、圧力室に面して設けた振動板を振動させ
て、圧力室内のインクに吐出圧力を与える必要がある。
【0004】振動板を振動させるのは一般に圧電素子で
あり、圧力室の位置に対応して振動板の表面に密着して
設けられる。そのような圧電素子は、以前は、振動板と
は別に、独立して圧力室の大きさに対応する大きさに形
成された後、一つ一つ振動板の表面に接着されていた。
【0005】しかし、インクジェットヘッドにはインク
吐出ノズルの数と同数の圧電素子を取り付ける必要があ
るので、圧電素子を一つ一つ振動板に接着するのは大変
手間がかかり、ヘッドの製造コストを押し上げてしま
う。
【0006】また、ヘッドを小型化するためには圧力室
を高密度に配置しなければならないので、それに合わせ
て圧電素子を小さく、薄くする必要がある。しかし、圧
電素子をあまり小さく、薄く形成すると、組み立て時な
どに取り扱うのが困難になってしまうので、圧電素子を
あまり小さくすることができず、ヘッドの小型化をすす
めることができない。
【0007】そこで、最近では、インクジェットヘッド
の小型化が可能で且つ製造コストを大幅に低減するため
に、振動板に圧電体ペーストを印刷して加熱、焼成し、
圧電素子を振動板上に直接形成する方法などが考えられ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、そのような印
刷法によって振動板の表面に形成された圧電素子は、印
刷ムラに起因する凸凹が表面にあって、強い振動を起こ
させると凹み部分から破損してしまい、耐圧が低い。ま
た、一枚の振動板に多数の圧電素子が形成されるが、そ
れらの厚さや平面寸法などにばらつきが生じるので、各
圧電素子の特性もばらついてしまう欠点がある。
【0009】そこで本発明は、印刷によって振動板に直
接形成される圧電素子の耐圧を高めると共に、多数の圧
電素子が均一な特性を有するようにすることができるイ
ンクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、図1
に示されるように、振動板5の表面に、インクに吐出圧
力を与えるための圧力室2の位置に対応して圧電材料を
含有する圧電体ペーストを印刷し、それを加熱、焼成す
ることによって圧電素子9を形成した後、その圧電素子
9を機械加工によって整形するようにしたことを特徴と
する。
【0011】なお、上記振動板5の表面に複数の圧電素
子9…を形成した後、上記機械加工によって各圧電素子
9…の寸法を均一化するとよい。また、上記のようにし
て圧電素子9を作った後、さらにその上に圧電体ペース
トを印刷し、それを加熱、焼成することによって外層の
圧電素子19を形成し、その外層の圧電素子19の表面
を上記と同様に機械加工によって整形してもよい。
【0012】
【作用】印刷によって振動板5の表面に形成された圧電
素子9を機械加工によって整形して、その表面の凸凹を
無くすことによって耐圧が向上し、外周の余分な部分を
削除することによって無駄な抵抗が減って、入力電圧に
対する変位量が増加する。
【0013】そして、振動板5の表面に形成された複数
の圧電素子9…の寸法を整形によって均一化することに
より、各圧電素子9…の特性が均一化される。また、圧
電素子9,19を多層に形成することによって、単位面
積あたりの出力特性が増大する。
【0014】
【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図2は、
本発明が適用されて製造されたインクジェットヘッドの
部分断面図であり、シリコン単結晶ウェハ1に、エッチ
ング加工によって圧力室2とインク流路3とが各々所定
の深さに形成されている。
【0015】なお、図2は一つの圧力室2について図示
してあるが、図3に示されるように、一枚のシリコンウ
ェハ1は、多数のインクジェットヘッド4をまとめて形
成する大きさであり、その一つのインクジェットヘッド
4の一部分Aを示す図4に示されるように、各インクジ
ェットヘッド4に多数の(例えば64個の)圧力室2…
が配列されている。
【0016】図2に戻って、シリコン単結晶ウェハ1
は、圧力室2が形成されているのと反対側の表面から例
えば厚さ0.1mmに研削されて、圧力室2の背側の部分
が、所定厚さ(例えば0.02〜0.025mm)の振動
板5に形成されている。
【0017】また、エッチング加工によってノズル孔6
が貫通形成されたシリコン単結晶ウェハからなるノズル
板7が、圧力室2の表面を塞ぐようにシリコン単結晶ウ
ェハ1に接合されている。
【0018】シリコン単結晶ウェハ1の圧力室2と反対
側の表面、即ち振動板5の表面全面には、例えば銀及び
パラジウムの粉末とそれらを結合させるためのバインダ
と有機溶媒とを混合した導電ペーストが、例えばスクリ
ーン印刷法によって厚さ5μmに印刷され、乾燥後、加
熱、焼成により下部電極層8が形成されている。
【0019】下部電極層8の表面には、例えば酸化鉛と
酸化ジルコニウムと酸化チタンとからなる圧電微粉末
(PZT)とそれら粉末どうしを結合させるためのバイ
ンダと有機溶媒とを混合して粘度を3000cPに調整
した圧電体ペーストが、スクリーン印刷によって圧力室
2と位置及び大きさを対応させて厚さ20μmで印刷さ
れ、乾燥の後、電気炉で例えば950℃の高温で2時間
の加熱、焼成により圧電素子9が形成されている。
【0020】そして、圧電素子9の表面には、下部電極
層8と同材質の上部電極層10が、厚さ3μmで印刷、
焼成されている。ただし、本発明においては、この上部
電極層10を付ける前に、圧電素子9が機械加工によっ
て整形されており、その整形工程については後述する。
このようにして、図5に示されるように、振動板5の表
面に、各圧力室2と位置及び大きさを合わせて、多数の
圧電素子9が配列されている。
【0021】圧電素子9を形成するための圧電体ペース
トの材料としては、チタン酸バリュウム系セラミック
や、ペロブスカイト構造の化合物を加えたPMN−P
T、又はPNN−PTPZなどの材料を用いることもで
きる。
【0022】なお、このようにして、一枚のシリコン単
結晶ウェハ1をベースにして多数のインクジェットヘッ
ド4を形成した後、全体を図3に示される一つ毎のイン
クジェットヘッド4に分割切断する。
【0023】図6は、前述のようにシリコン単結晶ウェ
ハ1に圧電素子9が印刷され、さらに加熱、焼成された
状態を示している。この状態では、圧電素子9の表面に
は凸凹があり、側面は台形状に拡がる斜面になってい
る。
【0024】そこで、図7に示されるように、圧電素子
9の表面を、研磨機によって平滑に研磨する。これによ
って、上下電極層8,10間の距離が一定になり、絶縁
破壊に対する耐圧が例えば2kV/mmから8kV/mmに向上す
る。
【0025】また、総ての圧電素子9…を同時に研磨す
ることによって、全ての圧電素子9…の厚さが均一にな
る。その結果、各圧電素子9…の特性が均一化し、イン
クジェットヘッドから噴射されるインク粒子の径のばら
つきが小さくなる。
【0026】また、図8に示されるように、圧電素子9
の側面をダイシングソーで研削して、振動板5の表面に
対して鉛直にする。これによって、圧電素子9として利
用されない無駄な部分による抵抗が減って、入力電圧に
対する変位量を大きくすることができる。なお、この図
8の工程は、上部電極層10を形成した後に行ってもよ
い。
【0027】図9は、本発明の第2の実施例の圧電素子
を示しており、振動板5の表面に、圧電素子9,19を
2層に重ね合わせて形成したものである。8は下部電極
層、10及び20は上部電極層である。
【0028】この2層の圧電素子9,19を形成するに
は、まず下層の圧電素子9を前述の第1の実施例で説明
した工程により形成及び整形して、その表面に、図10
に示されるように、上部電極層10を印刷する。そし
て、さらに下層の圧電素子9と同じ圧電体ペーストを上
からスクリーン印刷して、加熱、焼成することによって
上層の圧電素子19が形成される。
【0029】そして、上層の圧電素子19を下層と同様
に研磨、研削によって整形した後、その表面に上部電極
層20を形成する。圧電素子はさらに3層以上に形成し
てもよく、そのように多層化することによって、入力電
圧に対する変位量を増大させることができる。
【0030】
【発明の効果】本発明のインクジェットヘッドの製造方
法によれば、印刷後加熱、焼成された圧電素子を整形す
ることによって、圧電素子の耐圧が上昇し、また単位面
積あたりの特性が向上する。そして、複数の圧電素子の
寸法を整形によって均一化することによって、各圧電素
子の特性が均一化され、噴射されるインク粒子径のばら
つきがなくなって高印字品質を得ることができる。
【0031】また、圧電素子を多層化すれば、単位面積
あたりの特性がさらに向上し、インクジェットヘッドを
より小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示す正面断面図である。
【図2】第1の実施例により製造されたインクジェット
ヘッドの正面部分断面図である。
【図3】第1の実施例に用いられるシリコン単結晶ウェ
ハの平面図である。
【図4】第1の実施例により製造されたインクジェット
ヘッドの平面断面図である。
【図5】第1の実施例により製造されたインクジェット
ヘッドの平面断面図である。
【図6】第1の実施例の製造工程を示す部分正面断面図
である。
【図7】第1の実施例の製造工程を示す部分正面断面図
である。
【図8】第1の実施例の製造工程を示す部分正面断面図
である。
【図9】第2の実施例により製造された圧電素子の正面
断面図である。
【図10】第2の実施例の製造工程を示す部分正面断面
図である。
【符号の説明】
2 圧力室 5 振動板 9 圧電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 裕子 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 三田 剛 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−306259(JP,A) 特開 平5−29675(JP,A) 特開 昭62−135377(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/16 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動板の表面に、インクに吐出圧力を与え
    るための圧力室の位置に対応して圧電材料を含有する圧
    電体ペーストを印刷し、それを加熱、焼成することによ
    って圧電素子を形成した後、その圧電素子の表面と側面
    各々機械加工により削って整形するようにしたことを
    特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】上記振動板の表面に複数の圧電素子が形成
    された後、上記機械加工によって各圧電素子の寸法が均
    一化される請求項1記載のインクジェットヘッドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載された製造方法によって整
    形された圧電素子の上にさらに圧電体ペーストを重ねて
    印刷し、それを加熱、焼成することによって外層の圧電
    素子を形成した後、その外層の圧電素子を機械加工によ
    って整形するようにしたことを特徴とするインクジェッ
    トヘッドの製造方法。
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