JP3230759B2 - 測距装置 - Google Patents

測距装置

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JP3230759B2
JP3230759B2 JP6067692A JP6067692A JP3230759B2 JP 3230759 B2 JP3230759 B2 JP 3230759B2 JP 6067692 A JP6067692 A JP 6067692A JP 6067692 A JP6067692 A JP 6067692A JP 3230759 B2 JP3230759 B2 JP 3230759B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカメラ等に用いられる測
距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、撮影光学系を通過して得られた
被写体像を2つの像に分割して、再結像し、その像間隔
より撮影光学系のデフォーカス量を求める測距装置があ
る。このような測距装置は、再結像された2つの像を比
較し、最っとも一致性の高い像間隔を求めることによっ
て撮影光学系のデフォーカス量を求めている。
【0003】従って、測距精度を向上させるためには、
再結像された2つの像が等しい光強度、等しい波形を持
ち、より一致性の高い像であることが求められている。
逆にこの2つの像の一致性を検証することによって、検
出した像間隔が信頼できるか否かを判定する測距装置
提案されている。例えば、特公昭62−7523号公報
によると、2つの像の比較値を像自身のコントラスト値
と比較することによって、信頼性を判定する方式が開示
されている。また、特開昭60−37513号公報に
は、2つの像の複数の比較値によって信頼性を判定する
方式が開示されている。これらの方式では、検出した像
間隔の信頼性がないと判断すれば、カメラは測距不能と
判定し測距動作を中止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した測距
装置はカメラの複数のレンズ群から構成される撮影光学
系を利用しており、撮影する画面内又は画面近傍に強い
光源がある場合には、レンズ表面に反射等によるフレア
ー現象(以下、フレアーと称する)が起きることが知ら
れている。
【0005】従来から前記フレアーが起きないような光
学設計、レンズコーティングが試みられているが、カメ
ラの小型化・軽量化・低コスト化に推移するに従い、画
質に関しては、影響のない程度のフレアは許容されてき
た。しかし、このようなフレアが起きた場合に、図1
1、図12に示すように測距に関しては精度に過大な影
響を及ぼしている。図11は、位相差方式の原理を示し
た図である。
【0006】被写体Oの像は、撮影レンズ1,2,3を
通過してフィルム等価面4に結像される。フィルム等価
面4に結像された像は、再結像レンズ6によって2つに
分割され、光電変換素子列7上に2つの像L,Rとして
再結像される。前記光電変換素子列7は、再結像された
被写体像L,Rを電気信号に変換し、変換された2像の
電気信号を比較することによって、再結像された被写体
像L,Rの像間隔を求める。次に測距視野外に被写体O
にくらべて著しく明るい被写体Mがある場合の様子を図
12に示す。
【0007】被写体Mの像は、図12に実線で示すよう
に、撮影レンズ11,12,13を通過して、フィルム
等価面14に結像される。しかし、前記フィルム等価面
14近傍におかれ、測距視野を制限する視野マスク15
によって制限され、光電変換素子列17上には再結像さ
れない。
【0008】ところが、図12の点線で示すように、前
記撮影レンズ11と12との間に内面反射が起きた際
に、大抵の場合は正規の結像関係を有せず、フレアー光
として光電変換素子17上に投影される。その内面反射
される光量は、極僅かな量であり、被写体OとMの光量
が同程度であれば全く問題にはならない。ところが、測
距視野外の被写体Mの光量が、視野内の被写体Oの光量
に対して、数百〜数千倍を超える明るさであった場合に
は、再結像された被写体像L,Rに対して多少の影響が
でる。図13は、光電変換素子列で変換された再結像被
写体像の電気信号を示した図であり、この図に基づき被
写体像への影響について説明する。
【0009】図13(a)は、フレアー光がない場合
に、被写体像L,Rとも同じ光強度、同じ波形として検
出されるが、同図(b),(c)のように、フレアー光
が起きた場合には、被写体像L,Rが異なった光強度、
異なった波形を生じる。このような像信号に対して、2
像の間隔を求めて、さらに検出した像間隔の信頼性を判
断すると、多くの場合には、信頼性がないと判定され、
カメラは測距不能状態に陥いる。
【0010】また、仮に信頼性が有ると判定されても、
このような異なった波形で検出した像間隔では、精度が
得られない。例えば、図13(b)に示すような波形で
あれば、被写体の像間隔が、フレアー光の像間隔に影響
される。そこで本発明は、フレアー光の影響があっても
カメラが測距不能に陥いることなく精度の良い測距性能
を得る測距装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、被写体像を2像に分割する光学系と、分割
した2像を光電変換する光電変換手段と、この光電変換
手段の出力に基づいて、前記2像の少なくとも一部の
信号に重畳する測距視野外の光成分に起因する光量差を
検出する検出手段と、この検出手段の出力に基づいて、
前記測距視野外の光成分の影響を除去するように前記光
電変換手段の出力を補正するための補正係数を演算する
補正手段と、前記光電変換手段の出力と前記補正手段の
出力とに基づいて、測距演算を行う演算手段とで構成さ
れる測距装置を提供する。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。まず、本発明の測距装置の基本的な概念を
説明する。
【0013】本発明はフレアー光が再結像した被写体光
像に影響を及ぼしているか否かを判定し、影響している
と判定された場合には、再結像した2像の光量差を補正
することによってフレアー光の影響を除去するものであ
る。図2に前記フレアー光の影響を受けた2像に対し
て、光量差を補正する手法を示し、説明する。
【0014】光学系を通過して、光電変換素子列で変換
された再結像被写体像の電気信号の2像L,Rに対し
て、図2(a)に示したように等しい領域Nの範囲で、
光量の総和WL ,WR を求める。
【0015】そして光量の大きい像に対して、(WR
L )/Nだけ光量を補正すれば、図2(b)に示すよ
うに、2像L,Rは同じ光強度、同じ波形の像になり、
補正した像で検出した像間隔は、充分に信頼性が高くな
る。このような2像の光量差が不都合を起こす例を図3
に示す。図3(a)は輝度が連続的に変化する被写体の
例である。
【0016】このような被写体で撮影光学系がデフォー
カスしている場合、再結像した2像は図3(b)に示す
ように、像間隔x1 で再結像される。この図3(b)の
像に対して、図2に示すような光量差の補正を同様に行
なうと、図3(c)に示す像が得られ、補正像で検出し
た増間隔は、x2 になり、誤まった測距値を検出してし
まう。従って、2像の光量差の補正は、フレアー光が再
結像された被写体光像に影響を及ぼしていると判定され
た場合にのみ行なわなければならない。以下にフレアー
光が再結像した2像に影響を及ぼしているか判定する手
法について述べる。図4は、いわゆる多分割測距パター
ンの一例を示したものである。
【0017】この図4では、画面50内が6分割されて
おり、測距視野に対応する測光領域51と、その周辺の
主要被写体に対応する測光領域52と、画面周辺部を測
光する領域53,54,55,56とで構成される。
【0018】図4に示した測光パターンで、測距視野に
対応する測光領域51で検出した光量より、その周辺部
の測光領域52で検出した光量の方が、数十倍明るい場
合には、測距光学系に再結像する被写体光像にフレアー
光として影響を及ぼすと考えられる。
【0019】また画面周辺部の測光領域53,54,5
5,56のいずれかで検出された光量が、前記測光領域
51から検出された光量より、数百倍明るければ、同様
にフレアー光の影響があると判定される。
【0020】即ち、前記測光領域と周辺の各領域の光量
の差が、どの程度あればフレアー光として影響している
かの判定基準を撮影光学系の構成・特性により、予め定
めて、測距領域を含む領域とその他の所定の領域との光
量を比較することによって、フレアー光の影響があるか
否かを判定することができる。次に前述した多分割測光
パターンを用いた判定以外の判定手法について説明す
る。
【0021】前述した図13(b),(c)に示したフ
レアー光の影響を受けた再結像被写体像で、像間隔を求
め、像間隔の信頼性を前述したような判定を行うと、ほ
とんどは信頼性が得られないが、図2(b)に示したよ
うな像の場合には、充分に高い信頼性が得られる。従っ
て、一度検出した像間隔について信頼性が得られなかっ
た場合は、フレアー光の影響を受けているものと仮定す
ることができる。
【0022】但し、画面に遠近の被写体が共存する場合
の再結像被写体像や、測距光学系の再結像範囲を超える
ようなデフォーカス量の大きい被写体の再結像被写体
像、あるいは光電変換素子の能力を超える低コントラス
ト被写体の再結像被写体像の場合には、前記多分割測光
パターンで検出した像間隔で信頼性を判定しても、信頼
性が得られない。
【0023】そこで、まず信頼性を判定した後、前述し
たような2つの再結像被写体像の光量差を求める。ここ
で、遠近共存被写体や低コントラスト被写体の場合に
は、2像の光量差は少なく、2像の光量差が所定値以上
の時には、フレアー光の影響を受けている可能性が高い
と判定する。そして2像の光量差が所定値以上ある場合
は、前述したように光量差を補正した後、像間隔を求め
て、求めた像間隔について信頼性を判定する。
【0024】従って、フレアー光の影響を受けている場
合には、図2(a)の像から図2(b)の像に補正し、
補正後の像から検出した像間隔を用いるため、高い信頼
性が得られる。また、デフォーカス量の大きい被写体の
場合には、2像の光量差は大きいが、本来の波形が2像
間で異なっているため、光量差を補正した像で像間隔を
検出しても、信頼性は得られない。このようにしてフレ
アー光の影響を受けているか否か判定できる。次に図1
に本発明による第1実施例としての測距装置を搭載した
カメラの具体的な構成を示し、説明する。
【0025】この構成において、被写体光Oは、5つの
レンズ群即ち、17枚のレンズから成る撮影レンズ21
を通過して、メインミラー22aに入射する。前記メイ
ンミラー22aは、ハーフミラーになっており、入射光
量の1/2が通過して、サブミラー22bを介して測距
光学系23に入射する。
【0026】この測距光学系23は、フィルム等価面近
傍に置かれ、測距視野を制限するための視野マスク2
4、測距に不要な赤外光をカットする赤外カットフィル
タ25、コンデンサレンズ26及び反射ミラー27、測
距光学系に入射した光線のうち撮影光学系上の2つの瞳
を通った光線を分離して光電変換素子上に再結像する再
結像絞り28及び再結像レンズ29、光電変換素子30
により構成される。
【0027】前記メインミラー22aに入射した残りの
1/2の光量は、該メインミラー22aで反射され、フ
ァインダー光学系33に入射する。ファインダー光学系
33はフォーカシングスクリーン34、コンデンサレン
ズ35、プリズム36、モールドダハミラー37、接眼
レンズ38及び接眼レンズ38の横に並置された測光レ
ンズ39、測光素子40から構成される。
【0028】前記撮影レンズ21を通過した被写体光
は、フォーカシングスクリーン34上に結像される。結
像された像をコンデンサレンズ35、接眼レンズ38を
通して撮影者は観察することができる。同様に測光素子
40は、コンデンサレンズ35、測光レンズ39を通し
て、前記フォーカシングスクリーン34上に結像した被
写体像の光量を測定する。前記測光素子40は、前述し
たように画面内での測光領域は6つの測光領域に分割さ
れている。
【0029】図5は、図1に示した測距装置の電気信号
の処理系統を示した図である。前述した測距光学系によ
り、2つに分割された被写体光像は、2つの光電変換素
子列30(L),30(R)上に、それぞれ再結像され
る。前記光電変換素子列30(L),30(R)は、そ
れぞれマトリックス上に配置された64個の画素(図示
せず)から構成される。それらの各画素は、該画素上に
結像した被写体光量に対応する電気信号を発生し、デジ
タル値としてCPU61に送信する。 そして、前記C
PU61に入力された画素データは、EEPROM62
内に予め記憶されている不均一補正データに基づき、不
均一補正部64で不均一補正される。ここで、不均一補
正とは、コンデンサレンズ26、再結像レンズ29等に
よる光量分布の不均一性や各画素ごとの光電変換特性の
不均一性を補正するものであり、各画素ごとの補正デー
タが製造時に測定され、EEPROM62に予め補正基
準が記憶されている。
【0030】次に不均一補正した画素データは、フィル
タ補正部65により、光電変換素子内に発生する電気ノ
イズや、カメラの他の部分で発生し電源ラインを通して
入力される電気ノイズを除去するフィルタ補正が施され
る。このフィルタ補正は、例えば、高域フィルタあるい
は画素データにリミットを設けること等により行なわれ
る。
【0031】次に前記フィルタ補正された画素データ
は、画素データ記憶部66に記憶される。記憶された画
素データに対して、後述する相関演算部67により相関
演算が行なわれ、像間隔検出部68により再結像した2
像の像間隔が求められた後、その像間隔に対して、信頼
性判定部69により信頼性が判定される。ここで求めた
像間隔の信頼性が充分に高ければ、レンズ駆動量計算部
70により、レンズ駆動量が測定される。
【0032】一方、前記測光素子60で測定された被写
体光量信号は、各測光領域ごとにインターフェースIC
63で増幅処理され、CPU61内のA/D変換回路7
1に入力される。そしてA/D変換された測光値は、6
つの領域毎に平均化されて、測光値記憶部72に記憶さ
れる。次にフレア判定部73により、予め記憶されてい
る測光値基準値と検出された測光値を比較して、フレア
ー光の影響があるか否か判定する。この判定で、フレア
ー光の影響があると判定された場合には、光量補正部7
4により、前記画素データ記憶部66に記憶された画素
データを光量補正する。次に検出された測光値がフレア
ー光の影響を受けているか否か判定するフレア判定部7
3について説明する。
【0033】図6のフローチャートを参照して、測光か
らフレアー光の影響の判定までの動作を説明する。ここ
で、図4に示した6つの領域で検出される測光値におい
て、測距視野に対応する測光領域51から測光値“B
S”、同様に測光領域52から“BA”、測光領域53
から“BL”、測光領域54から“BR”、測光領域5
5から“BU”、測光領域56から“BD”が検出され
るものとする。
【0034】前述したように、6つの領域毎に検出され
た測光値は、ステップS1〜S4に示すように、10回
検出され、平均化されて、測光値記憶部72に記憶され
る(ステップS5)。
【0035】次に中央部の測光値BSに対して、その周
辺部の測光値BAが4EV以上明るいか否か判定し(ス
テップS6)、明るい時は(YES)フレアーフラグを
1に設定(ステップS18)し、フレアー光の影響があ
ると判定する。一方、ステップS6で暗い場合には(N
O)、画面左右のいずれか明るい方の測光値BR,BL
の一方を測光値Bとし(ステップS7,S8,S1
0)、この測光値Bが測光値BS,BAが6EV以上明
るいか否か判定する(ステップS9,S11)。この判
定で、測光値Bが測光値BS,BAより6EV以上明る
い場合は(YES)、ステップS18に移行し、フレア
ーフラグを“1”に設定しフレアー光の影響があると判
定する。
【0036】一方、測光値Bが測光値BS,BAより暗
い場合には(NO)、画面上下のいずれか明るい方の測
光値BU,BDの一方を測光値Bとし(ステップS1
2,S13,S14)、この測光値Bが測光値BS,B
Aが8EV以上明るいか否か判定する(ステップS1
5,S16)。この判定で、測光値Bが測光値BS,B
Aより8EV以上明るい場合は(YES)、ステップS
18に移行し、フレアーフラグを“1”に設定しフレア
ー光の影響があると判定する。一方、測光値Bが測光値
BS,BAより暗い場合には(NO)、フレアー光の影
響はないものと判定して(NO)、フレアーフラグを
“0”に設定する(ステップS17)。以上説明したよ
うに、各測光領域において、(1)BAがBSより4E
V以上明るい場合、(2)BL又はBRがBA及びBS
より6EV以上明るい場合、(3)BU又はBDがBA
及びBSより8EV以上明るい場合、
【0037】いずれか1つ条件が満たされる場合には、
フレアー光の影響があると判定される。ここで、左右の
領域の測光値(BL,BR)と上下の領域の測光値(B
U,BD)との判定条件が異なるのは、測距光学系にお
いて被写体光像を2像に分割する方向と同じである左右
の領域の方がフレアー光の影響を受けて像間隔が検出し
にくくなりやすいためである。また上下の領域から受け
るフレアー光は、再結像した2像に均等な影響を与える
可能性が大きく、条件をきびしくして構わない。
【0038】なお、フレアー光の発生条件は撮影光学系
の構成,特性によって大きく異なるため、判定条件はこ
の限りではない。また本実施例のようなズーム機能を有
する撮影光学系の場合には、焦点距離によっても、レン
ズの位置関係が大きく異なるため焦点距離によって判定
条件を変えてもよい。
【0039】また、本実施例では測光値の相対値により
判定しているが、フレアー光の発生条件が、太陽光等の
高輝度光源に限定されると考えられる場合には、絶対値
で判定してもよい。
【0040】次に図7のフローチャートを参照して、フ
レアー光の影響を補正してレンズ駆動力量を求めるまで
の動作について説明する。ここで各構成部材の符号は図
5の参照符号を用いる。
【0041】まず、前述した2つの光電変換素子列30
(L),30(R)より出力された画素データを入力し
記憶する(ステップS20)。記憶した画素データに不
均一補正部64により不均一補正し(ステップS2
1)、フィルタ補正部65によりフィルタ補正を行う
(ステップS22)。
【0042】次にフレアーフラグを判定し、“1”の場
合は、フレアー光の影響があると判定され、記憶されて
いる画素データに対して前述したような光量補正を行な
う(ステップS25)。次に相関演算部67により相関
演算を行ない(ステップS24)、その結果に基づき像
間隔検出部68により像間隔を検出する(ステップS2
6)。ここで検出された像間隔に対して、信頼性判定部
69により、信頼性の値を計算し(ステップS27)、
判定する(ステップS28)。この判定で、信頼性があ
ると判定された場合は(YES)、レンズ駆動量計算部
70でレンズ駆動量を計算し(ステップS29)、信頼
性がないと判定された場合は(NO)、測距不能と判定
する(ステップS30)。次に本実施例の光量補正部7
4における光量補正について説明する。
【0043】まず、再結像し、2つの光電変換素子列3
0(L),30(R)で得られた2像の画素データをL
(I) ,R(I) (Iは画素番号で左端から順に1〜64で
ある)とする。これら2像についてそれぞれ光量を求め
る。
【0044】
【数1】
【0045】この場合、各光電変換素子列の中央部48
画素について画素データを加算して求めている。周辺部
を使用しないのは、周辺部がデフォーカスしている時に
再結像絞りによって、光路が遮断される可能性があるた
めである。次に光量差を補正する。
【0046】
【数2】
【0047】この場合、明るい方の光電変換素子出力に
対して減算補正したが、光電変換素子の出力が最っとも
明るい画素出力基準で行なわれる方式の場合は、暗い方
の光電変換素子出力に対して、加算補正しても構わな
い。
【0048】
【数3】
【0049】ここで補正された画素データは、図5に示
す画素データ記憶部66に記憶される。なお、2像の光
量WL ,WR の差が所定値に満たない場合には、フレア
ー光の影響がないものとして補正を行なわないようにし
てもよい。次に図8のフローチャートを参照して、本実
施例の相関演算部67により行われる相関演算について
説明する。
【0050】まず、変数SLに初期値“5”、変数SR
に初期値“37”が設定される(ステップS31)。次
に、変数Jに“8”を設定する(ステップS32)。前
記変数SLは、2像の画素データのうちの一方の画素デ
ータL(I) の内から、相関演算によって他方の画素デー
タR(I) と比較される小ブロックの先頭画素番号であ
り、前記変数SRは同様にR(I) の小ブロック先頭画素
番号である。前記変数Jは、小ブロックの移動回数をカ
ウントする変数である。また相関演算は次式で行なわ
れ、相関出力F(s) が求められる(ステップS33)。
【0051】
【数4】 ただし、小ブロックの画素数は27画素とする。
【0052】次に、相関出力F(s) の最小値を検出す
る、すなわちF(s) とFMIN を比較し(ステップS3
4)、この比較で、F(s) がFMIN より小さければ(Y
ES)、FMIN にF(s) を代入し、その時の変数SL,
SRを変数SLM,SRMに代入する(ステップS3
5)。
【0053】次に変数SR,Jからそれぞれ“1”を減
算する(ステップS36)。そして変数Jが“0”にな
ったか否か判定し(ステップS37)、この判定で
“0”でなければ(NO)、ステップS32に戻り、相
関演算をくり返す。すなわち変数SLを固定し、変数S
Rを8回ずらせながら相関をとる。また、前記判定で変
数Jが“0”ならば(YES)、変数SLに“4”を加
算し、変数SRに“3”を加算し(ステップS38)、
前記変数SLが“29”になるまで相関演算をくり返し
行う(ステップS39)。以上の手順により、効率的に
2像の間で相関演算を行なうことができる。
【0054】この結果、得られた相関出力F(s) の最小
値FMIN を与える小ブロックの位置SLM,SRMが最
っとも相関性の高い像位置、すなわち2像の像間隔を示
す。但し、この像間隔は画素単位であり、レンズ駆動量
を計算するには精度が粗い。よって補間を行ない、画素
単位以下の精度で2像間隔を求める。まず、次式によっ
て最っとも相関の高い像間隔から“±1”画素ずらした
時の相関出力FM,FPを求める(ステップS40)。
【0055】
【数5】 よって、求める2像の間隔S0 は次のようになる(ステ
ップS41)。
【0056】
【数6】
【0057】次に前記(10),(11)式により求め
た像間隔の信頼性SKを求める(ステップS42)。こ
こで、図9(a),(b)を参照して、求める信頼性に
ついて説明する。
【0058】まず分割された2像は、検出した像間隔S
0 が正しい像間隔であれば、検出された像間隔で一致す
る。よって、前記相関出力F(s) は、図9(a)に示す
ように像間隔S0 で“0”になる。
【0059】しかし前述したようにフレアー光の影響を
受けている像、遠近の被写体が共存する像、大デフォー
カスされた像若しくは、低コントラスト被写体の像等の
場合には、分割された2像は一致しないため、前記相関
出力F(s) は図9(b)に示すように、検出された像間
隔S0 では、“0”にならない。図9に示す特性から、
次式によって信頼性の値SKを求めることができる。
【0060】
【数7】
【0061】即ち、信頼性の高い場合には、図9(a)
に示すように、(12)式又は(13)式の分子が分母
と同様な大きさになり、信頼性の値SKは約“1”とみ
なせる。しかし信頼性がない場合には、図9(b)に示
すように、分母に比べて分子が大きくなり、SKの値は
“1”より大きな値になる。
【0062】従って、(12)式又は(13)式で求め
られたSKを所定値SK0と比較することによって、検
出された像間隔S0 の信頼性を判定することができる
(ステップS43)。この判定で、信頼性があると判定
された場合は(YES)、検出された像間隔S0 より、
レンズ駆動量を求める(ステップS44)。しかし信頼
性がないと判定された場合には(NO)、測距不能と判
定し(ステップS45)、相関演算を終了する。
【0063】なお、実際には測距光学系の誤差や、光学
変換素子の変換誤差や電気ノイズ等の影響により、分割
された2像の像信号は一致しない場合があり、信頼性の
判定値SK0は“1”より大きい値になる場合がある
(例えば2〜3)。
【0064】従って、判定値SK0を限定すると測距不
能に判定されることが多くなり、カメラとしての商品性
を損なうので、条件によっては判定値を大きく設定す
る。例えば低輝度の場合、光電変換素子で発生する暗電
流の影響で一致性が悪くなるため、判定値を大きく設定
する。
【0065】また低輝度時に被写体を照明する補助光を
設けているカメラでは、補助光非点灯時の判定値を小さ
くし、点灯時の判定値を大きく設定することによって、
補助光を点灯していない時に検出した像間隔によって、
レンズ駆動されないようにする。
【0066】ここで、信頼性値SKが判定値SK0より
小さい値の場合は、検出された像間隔で直ちにレンズ駆
動量を求める。また判定値SK0より大きく、第2の判
定値SK1より小さい場合には、複数回の測距の後、検
出された像間隔の変化がないことを確認してからレンズ
駆動量を求めてもよい。
【0067】前記信頼性値SKが、判定値SK0より大
きく、第3の判定値SK3よりも小さい場合には、相関
演算で相関をとる2像の位置関係をずらして相関をとり
なおしても良い。これは相関をとった小ブロック内に距
離の異なる複数の被写体像が含まれた場合に信頼性が悪
くなるためであり、相関をとる小ブロックの位置関係を
ずらせるか、小ブロックの画素数を小さくすることによ
って被写体像を絞ることができる。次に図10のフロー
チャートを参照して、本発明による第2実施例としての
測光手段を用いない測距装置について説明する。
【0068】前述した第1実施例と同様に検出された2
像の画像データに対して、相関演算を行ない(ステップ
S51)、2像の像間隔を検出して(ステップS5
2)、検出した像間隔に対して信頼性値の計算する(ス
テップS53)。次に計算した信頼性値に基づいて信頼
性の判定をする(ステップS54)。この判定で信頼性
があれば(YES)、直ちにレンズ駆動量を計算する
(ステップS63)。ここで、信頼性がないと判定され
る被写体像は次のような像が考えられる。 (1)フレアー光の影響を受けた像、(2)異なる距離
の被写体が共存した像、(3)低コントラスト被写体、
(4)デフォーカス量の大きい像。
【0069】前記ステップS54で信頼性が無いと判定
された場合(NO)、フレアー光の影響を受けている像
と仮定し、2像の光量を(1)式,(2)式に基づいて
計算し、2像の光量差ΔWを求める(ステップS5
5)。
【0070】
【数8】
【0071】次に、異なる距離の被写体が共存した増感
剤あるいは低コントラスト被写体の場合2像の光量差Δ
Wが小さく、フレアー光の影響を受けた像あるいはデフ
ォーカス量の大きい像の場合には、2像の光量差ΔWは
大きい値を示す。従って、2像の光量差ΔWを判定値Δ
0 と比較することによって(ステップS56)、フレ
アー光の影響を受けている可能性を高かめることができ
る。この比較で2像の光量差が所定値以下の場合には
(NO)、測距不能と判定する(ステップS58)。
【0072】ここで、(1)式、(2)式によって、前
記光量差を求めた場合、判定値ΔW0 が約1000にな
る。但し、フレアー光の発生条件及び再結像被写体像の
影響の度合は、撮影光学系の構成,特性によって大きく
変わり、前記判定値ΔW0 は撮影光学系に応じて決めら
れる。またカメラがズーム機構を有している場合には、
焦点距離に応じて、判定値ΔW0 を変更しても良い。ま
た、装置個々でフレアー光の発生状態にバラツキがある
場合には、工場出荷時に所定条件でフレアー光を発生さ
せて、その画像データより、判定値ΔW0 を測定し、E
EPROMに書き込んでおくこともできる。
【0073】ステップS56の比較で、2像の光量差が
所定値以上の場合は(YES)、(3)式,(4)式あ
るいは(5)式,(6)式に基づいて、CPU61内に
記憶されている画素データに対して、光量補正を行なう
(ステップS57)。次に光量補正した画素データに対
して前述した相関演算(ステップS59)、像間隔検出
(ステップS60)、信頼性計算(ステップS61)を
繰り返し行う。
【0074】前述したように、フレアー光の影響がある
場合には、光量補正した画素データで求めた像間隔は高
い信頼性が得られる。一方、デフォーカス量の大きい被
写体の像の場合は、本来の2像が一致していないため、
信頼性は得られない。
【0075】従って光量補正した画素データで求めた像
間隔の信頼性を判定することによって(ステップS6
2)、フレアー光の影響を受けた像であるか否かを判定
できる。同時に、ステップS60で求まった像間隔が正
しい像間隔になる。
【0076】前記ステップS62で信頼性があると判定
された場合には(YES)、検出した像間隔によってレ
ンズ駆動量を求め(ステップS63)、信頼性がない場
合には(NO)、測距不良と判定し(ステップS6
3)、
【0077】なお、デフォーカス量の大きい像の可能性
がない場合、例えば、撮影光学系のデフォーカス量に対
して、測距光学系のデフォーカス検出範囲が充分にある
場合などでは光量差の判定(ステップS56)した後、
直ちにレンズ駆動量を求めても良い。あるいは2回目の
相関演算(ステップS59)を省略し、1回目の相関演
算(ステップS51)で求めた小ブロックの画像位置S
LM,SRMに対して光量補正した画素データで像間隔
を求めても良い。また本発明は、前述した実施例に限定
されるものではなく、他にも発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0078】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、測
距視野外の光源によるフレアー光が測距視野内の被写体
像に影響を及ぼす場合でも、2像の光量差を補正するこ
とによって安定した測距動作を続けることができる測距
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による第1実施例としての測距
装置を搭載したカメラの具体的な構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の原理を説明するための光電変
換素子列で変換された再結像被写体像の電気信号を示す
図である。
【図3】図3は、本発明の原理を説明するための光電変
換素子列で再変換された輝度が連続的に変化する被写体
像の電気信号を示す図である。
【図4】図4は、多分割測距パターンの一例を示したも
のである。
【図5】図5は、図1に示す構成の測距装置の電気信号
の処理系統を示した図である。
【図6】図6は、測光からフレアー光の影響の判定まで
の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、フレアー光の影響を補正してレンズ駆
動力量を求める動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1実施例の相関演算部により行われ
る相関演算の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9(a),(b)は、相関出力の特性を示す
図である。
【図10】図10は、本発明による第2実施例としての
測光手段を用いない測距装置の動作を示すフローチャー
トである。
【図11】図11は、測距における原理を示す図であ
る。
【図12】図12は、位相差方式で測距視野外に被写体
より著しく明るい被写体Mがある場合の原理を示す図で
ある。
【図13】図13(a),(b),(c)は、従来の光
電変換素子列で変換された再結像被写体像の電気信号を
示す図である。
【符号の説明】
1,2,3,11,12,13,21…撮影レンズ、
4,14…フィルム等価面、5,15,24…視野マス
ク、6,16…再結像レンズ、7,17,30,30
(L),30(R)…光電変換素子列、22a…メイン
ミラー、22b…サブミラー、23…測距光学系、25
…赤外カットフィルタ、26…コンデンサレンズ、27
…反射ミラー、28…再結像絞り、29…再結像レン
ズ、33…ファインダー光学系、34…フォーカシング
スクリーン、35…コンデンサレンズ、36…プリズ
ム、37…モールドダハミラー、38…接眼レンズ、3
9…測光レンズ、40,60…測光素子、50…画面、
51,52,53,54,55,56…測光領域、61
…CPU、62…EEPROM、63…インタフェース
IC、64…不均一補正部、65…フィルタ補正部、6
6…画素データ記憶部、67…相関演算部、68…像間
隔検出部、69…信頼性判定部、70…レンズ駆動量計
算部、71…A/D変換回路、72…測光値記憶部、7
3…フレア判定部、74…光量補正部、L,R…被写体
像、O…被写体光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−77711(JP,A) 特開 平3−109532(JP,A) 特開 昭61−166509(JP,A) 特開 平4−39636(JP,A) 特開 昭60−172009(JP,A) 特開 平4−67111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 7/28 - 7/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体像を2像に分割する光学系と、 分割した2像を光電変換する光電変換手段と、 この光電変換手段の出力に基づいて、前記2像の少なく
    とも一部の像信号に重畳する測距視野外の光成分に起因
    する光量差を検出する検出手段と、 この検出手段の出力に基づいて、前記測距視野外の光成
    分の影響を除去するように前記光電変換手段の出力を補
    正するための補正係数を演算する補正手段と、 前記光電変換手段の出力と前記補正手段の出力とに基づ
    いて、測距演算を行う演算手段と、 を具備することを特徴とする測距装置。
  2. 【請求項2】 前記演算手段による演算結果の信頼性を
    判定する信頼性判定手段と、 この信頼性判定手段の出力に基づいて、測距可能か否か
    を判断する手段と、 を具備することを特徴とする請求項1に記載の測距装
    置。
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