JP3230223B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3230223B2
JP3230223B2 JP25225392A JP25225392A JP3230223B2 JP 3230223 B2 JP3230223 B2 JP 3230223B2 JP 25225392 A JP25225392 A JP 25225392A JP 25225392 A JP25225392 A JP 25225392A JP 3230223 B2 JP3230223 B2 JP 3230223B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関す
る。より詳しくは、CoPtBO系磁性層を有する垂直
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の分野においては、記録
の高密度化を図るために、垂直磁気記録媒体が用いられ
つつある。この垂直磁気記録媒体の磁性薄膜としては、
CoCr、CoMo、CoV、CoRu等の合金磁性薄
膜が知られている。
【0003】これらの合金のうち最も磁気特性に優れて
いるCoCr系合金ついて、その代表的な磁気特性をみ
ると、飽和磁束密度Bsは0.4〜0.6Tであり、垂
直保磁力Hcvは、この合金薄膜のスパッタリング等の
被着成膜時に基板を150℃程度に加熱した場合には1
20kA/mに及ぶ値を示すものの、その成膜時の基板
温度が室温程度である場合は、約24kA/mと比較的
低い値を示す。そして、垂直方向の角型比(Mr/M
s)は約0.2、異方性磁界Hkは約320〜480k
A/mである。この場合、飽和磁束密度Bsが比較的低
いという問題があり、また、成膜時の基板温度を高くし
なければ高い垂直保磁力Hcvを得ることができないた
めに、その基板として安価であるが耐熱性が不十分なポ
リエチレンテレフタレート(PET)基板等は使用する
ことができないという問題があった。
【0004】これに対して本出願人は、先に特開平2−
74012号公報において、膜厚を大きくしても十分な
保磁力Hcが得られ、成膜時の基板温度を高める必要が
なく、また、十分な飽和磁束密度Bsも実現しやすいC
oPtBO系合金を提案した。このCoPtBO系合金
は、その組成式が(CoPt100−x
で示され、そしてその組成範囲が、a=100−b−
c、0≦b≦50、0.1≦c≦30、及び0<x≦1
5(但し、a、b、c、xは原子%である)で示され
る。この磁性膜においては、その成膜時の基板温度を室
温程度の比較的低い温度とし、且つその膜厚を比較的厚
くしても240kA/m程度の高い垂直保磁力Hcv、
1〜1.2T程度の高い飽和磁束密度Bs(4πMs)
及び1200kA/m程度の高い垂直異方性磁界Hkが
実現されている。
【0005】また、本出願人は、先に特開平2−735
11号公報において、CoPt系又はCoPtO系合金
による磁性薄膜の下地にPt、Ti、Zr、V等の各種
材料よりなる薄膜を設けることにより、磁性薄膜の膜厚
を大きくしても、また、その成膜時の基板温度を高めな
くとも、垂直磁気記録媒体として或いは面内磁気記録媒
体として優れた磁気特性を有する磁気記録媒体が製造で
きることを提案した。ここで、垂直磁気記録媒体の記録
磁性層としてのCoPtO系合金からなる垂直磁化膜と
しては、その垂直異方性磁界Hk(kA/m)と飽和磁
束密度Bs(T)との関係が以下の式(1)で表される
ものを選択する。
【0006】 (10/4π)×Hk≧Bs (1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなCoPtO系合金を用いた垂直磁化膜を得る場合、
実際上その成膜時の諸条件、特に酸素分圧設定条件が厳
しく、またこれらの磁気特性は磁性薄膜の酸素含有量に
対して敏感であるため、その制御が難しく、従って製造
工程が繁雑になるという問題がある。
【0008】また、CoPtBO系合金を用いた垂直磁
化膜を有する磁気記録媒体においては、垂直異方性磁界
が大きい組成領域では保磁力が過度に大きくなる傾向が
あり、このためオーバーライト特性が低下するという問
題があった。
【0009】更に、一般に磁気記録媒体においては磁性
膜の垂直磁化曲線の角型性を低下させずに磁気記録の出
力を向上させることが常に要望されている。
【0010】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解決しようとするものであり、望ましい磁気特性、特に
高い垂直異方性磁界を有するCoPtBO系合金の磁性
薄膜を得るための成膜時の酸素分圧の条件を緩和し、所
望の磁気記録媒体を高い再現性且つ歩留まりで製造でき
るようにすることを第1の目的とする。更に、この発明
は、このような磁気記録媒体のオーバーライト特性及び
磁気記録の出力を、垂直磁化曲線の角型性を低下させず
に向上させることを第2の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、非磁性支持
上に磁性層を形成する際に、それらの間に面心立方晶
構造の中間層を設け、更にその非磁性支持体と中間層と
の間にTi下地層を設けることにより上述の第1の目的
が達成でき、更に磁性層と中間層との間に軟磁性層を設
けることにより上述の第2の目的が達成できることを見
出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】即ち、本発明は、非磁性支持体上に、Co
PtBO系合金からなる磁性層が形成されている磁気記
録媒体において、非磁性支持体と磁性層との間に面心立
方晶構造の中間層が設けられており、且つ該非磁性支持
体と該中間層との間にTi下地層が更に形成されている
磁気記録媒体を提供する。ここで、CoPtBO系合金
は、特開平2−74012号公報に示されているよう
に、以下の組成式 (Co Pt 100−x (式中、a、b、c及びxは原子%であり、これらは以
下の式: a=100−b−c; 0≦b≦50; 0.1≦c≦30;及び 0<x≦15 を満足する)で表されるものである。
【0013】この発明においては、更に該磁性層と中間
層との間に軟磁性層が設けられた磁気記録媒体を提供す
る。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明の磁気記録媒体の基本的態様は、図
1に示すように、ガラス基板等の非磁性支持体1、中間
層2、CoPtBO系合金からなる磁性層3が順次積層
されたものであり、この中間層2を面心立方晶構造とし
たことを特徴とする。
【0016】このように、前述の特開平2−74012
号公報で提案した特定のCoPtBO系合金から磁性層
を構成し、更に中間層2を面心立方晶構造とすることに
より、磁性層の成膜時の基板温度を高めずとも、また比
較的厚い膜厚にしても高い垂直保磁力Hcv、飽和磁束
密度Bs(4πMs)及び垂直異方性磁界Hkを実現で
きる。
【0017】なお、本発明においては中間層2の面心立
方晶が最密充填のときに、結晶の(111)面が非磁性
支持体1の平面に平行、即ち(111)軸が非磁性支持
体1の平面に垂直となる。しかし、実際にはすべての結
晶の(111)軸が非磁性支持体の平面に垂直ではな
く、その一部が垂直方向から傾き揺らいでいる。この揺
らぎの程度は、X線回折におけるθ−2θスキャンによ
る表面解析法により中間層2を調べたときに、中間層2
の(111)面上で2θを固定して求めたロッキングカ
ーブにおける最大強度Iに対してI/2以上の強度とな
る角度の範囲、即ち配向度Δθ50で表すことができ
る。配向度Δθ50の値が0の場合には、中間層2の結
晶軸の方向が一律にそろっていることを示し、逆にその
値が大きくなるほど非磁性支持体1の平面に垂直方向の
揺らぎが多いこと、換言すれば結晶配向性が低下してい
ることを示している。
【0018】従って、本発明においては、面心立方晶構
造を有する中間層2のX線回折像の(111)ピークの
ロッキングカーブにより求めた配向度Δθ50が、以下
の式(2) Δθ50≦10(deg.) (2) を満足するような中間層2とすることが好ましい。この
ようにΔθ50を10°以下として、中間層2の面心立
方晶の結晶配向性を良好なものとすることにより磁性層
3の磁気特性、特に垂直異方性磁界Hkを、従来に比べ
高い数値、例えば約800kA/m以上とすることがで
きる。更に、垂直磁化膜として満足すべき条件である前
述の式(1) (10/4π)×Hk≧Bs (1) を実現するための成膜時の酸素分圧の範囲を、従来にく
らべ格段に広くすることができる。このことは、成膜時
の酸素分圧条件を緩和できることを意味し、従って再現
性の向上や歩留まりの向上を図ることができる。
【0019】本発明においては、上述したように中間層
2の面心立方晶の揺らぎの程度を配向度Δθ50により
制御する他に、X線回折像の(311)ピークの積分強
度I311と(222)ピークの積分強度I222との
比(I311/I222)により結晶構造の揺らぎを制
御することもできる。この場合、I311/I222
比が0の場合、即ち(311)ピークが存在しない場合
には、面心立方晶が理想的に最密充填され、(111)
軸が非磁性支持体1の平面の垂直方向に一律に揃ってい
る状態を示し、またI311/I222の比の値が大き
くなると、面心立方晶の配向性が低下していることを示
している。
【0020】本発明においては、中間層2についてこの
ような(311)ピークと(222)ピークとの積分強
度比I311/I222が以下の式(3) I311/I222≦0.8 (3) を満足するような中間層2とすることが好ましい。I
311/I222の比が0.8以下の場合には、中間層
2の面心立方晶の結晶配向性が十分に良好であり、これ
により磁性層3の磁気特性、特に垂直異方性磁界Hk
を、従来に比べ高い数値、例えば約800kA/m以上
の数値とすることができる。更に、垂直磁化膜として満
足すべき条件である前述の式(1) (10/4π)×Hk≧Bs (1) を実現するための成膜時の酸素分圧の範囲を、従来にく
らべ格段に広くすることができる。このことは、成膜時
の酸素分圧条件を緩和できることを意味し、従って再現
性の向上や歩留まりの向上を図ることができる。
【0021】なお、本発明において中間層2を構成する
材料としては、面心立方晶を形成するAl、Ni、C
u、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Fe及びC
oの少なくとも1種を含有するものが好ましく、それに
加えて、Ti、Zr、V、Cr、Nb、Mo、Ta、
W、Hf、Mn、Re、Ru、Os、Zn、Cd、B、
Ga、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、
Sb、Bi、S、Se、Te、Be、Mg、Ca、S
r、Ba、Sc、Y、希土類元素などの元素を中間層2
の面心立方構造が維持できる範囲内で用いることがで
き、これらは非磁性体膜でも磁性体膜のいずれでもよ
い。
【0022】また、本発明においては図2に示すよう
に、非磁性支持体1と中間層2との間にTi又はCrを
少なくとも含有する下地層4を更に形成することによ
り、中間層2の面心立方晶構造の結晶配向性をより向上
させ、磁性層3の垂直保磁力Hcv、飽和磁束密度Bs
(4πMs)及び垂直異方性磁界Hk等の磁気特性を改
善することができる。特に、優れた結晶配向性を有する
Pt、Au、Pdなどの高価な非磁性金属膜に比べ、わ
ずかに結晶配向性に劣るとされているAlCuなどの非
磁性膜で中間層3を構成した場合でも、Ptなどの高価
な金属と同等程度の効果を得ることができ、この場合に
は高価な金属を用いずに低コストで中間層2を形成する
ことができるという利点がある。
【0023】また、垂直磁気記録においては磁気ヘッド
として単磁極ヘッドを用いる場合とリングヘッドを用い
る場合があり、特に単磁極ヘッドの場合には非磁性支持
体と磁性層との間に、0.5〜1.0μm程度の比較的
厚い軟磁性層を用いることが提案されている(鈴木、釘
屋、吉田及び北上、信学技報、MR88−6(198
8))が、本発明において中間層2としてこのような面
心立方晶構造の比較的厚い軟磁性層を用いる場合には、
Ti又はCrを少なくとも含有する下地層4の存在は、
中間層2の結晶配向性をより向上させるばかりでなく、
中間層2の付着強度を向上させ、更に磁性層3の結晶性
や配向性を改善することができるという利点がある。
【0024】このような下地層4の厚みは必要に応じて
適宜決定することができるが、厚すぎるとその上に形成
される中間層2の結晶配向性が低下する場合があるの
で、一般には約5nmから約50nm程度の厚みがあれ
ばよい。なお、下地層4にはTi或いはCrの他に中間
層2の結晶配向性に悪影響を与えない限り他の金属元素
等を含有させてもよい。
【0025】本発明においては、図3や図4に示すよう
に、中間層2と磁性層3との間に更に軟磁性層5を設け
てもよい。このように軟磁性層5を更に設けることによ
り、磁気記録媒体の磁気記録の出力とオーバーライト特
性とを、垂直磁化曲線の角型性を低下させずに向上させ
ることができる。
【0026】このような軟磁性層5は、体心立方晶構造
又は面心立方晶構造とすることが好ましい。これは軟磁
性層5の構造をアモルファス構造とした場合には、磁性
層3の結晶配向性の改善が十分でなく、そのため特に短
波長領域の記録・再生特性の改善が十分でない場合があ
るからである。このような体心立方晶構造又は面心立方
晶構造をとる軟磁性層5としては、FeSi層を好まし
く例示できる。
【0027】なお、中間層2を軟磁性膜から構成するこ
とにより、中間層2で軟磁性層5を兼用することができ
る。
【0028】本発明において、非磁性支持体1の素材や
その形状や厚み、さらに中間層2の厚さなどは、必要に
応じて適宜決定することができる。また、必要に応じ
て、図2及び4に示すように、磁性層3の上にカーボン
等からなる保護層6を形成してもよい。
【0029】本発明の磁気記録媒体は例えば、ガラス基
板等の非磁性支持体上に、PtやAlCuなどからなる
中間層をスパッタリングにより積層し、更にターゲット
及び流入ガスを換え、スパッタリングにより磁性層を積
層することにより製造できる。また必要に応じて、磁性
層を積層する前に、ターゲット及び流入ガスを換えてス
パッタリングにより軟磁性層を積層することができる。
更に、磁性層を積層した後に、カーボン保護膜を形成す
ることができる。また、中間層を積層する前にTiなど
からなる下地層を非磁性支持体上にスパッタリングによ
り予め形成しておくこともできる。
【0030】
【作用】本発明の磁気記録媒体においては、非磁性支持
体と磁性層との間に設ける中間層を面心立方結晶構造と
するので、磁性層の成膜時の基板温度を高めずとも、ま
た磁性層の膜厚を比較的厚くしたとしても、高い垂直保
磁力Hcv、飽和磁束密度Bs(4πMs)及び垂直異
方性磁界Hkを実現することが可能となる。特に、中間
層の面心立方晶構造の結晶配向性の程度を制御する場合
に、中間層のX線回折像の(111)ピークのロッキン
グカーブにより求めた配向度Δθ50を10°以下とす
るか、又は(311)ピークの積分強度I311と(2
22)ピークの積分強度I222との比(I311/I
222)を0.8以下とすることにより結晶配向性を良
好に制御することが可能となる。
【0031】また、Tiからなる下地層(Ti下地層)
を非磁性支持体と中間層との間に形成しておけば、中間
層の結晶配向性を更に改善することができ、磁性層の磁
気特性を改善することが可能となる。
【0032】磁性層と中間層との間に軟磁性層を設けた
場合には、垂直磁化曲線の角型性を劣化させずにオーバ
ーライト特性及び磁気記録の出力を向上させることが可
能となる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の磁気記録媒体について、実施
例により具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比
較例において垂直異方性磁界Hkは試料振動型磁力計で
測定し、また、磁性層等の結晶性評価のために、Cu−
Kα線を使用してX線回折像を解析した。また、磁気特
性評価については、Kerrループトレーサー(印加磁
場960kA/m)を用いた。記録・再生特性を評価す
る場合には、磁性膜の表面にカーボン保護膜をスパッタ
法にて10nm積層した後に液体潤滑剤を塗布して磁気
ディスクを製造し、それに対してヘッドコア材として
1.4Tの飽和磁束密度をもつFeRuGaSi合金膜
を用いたメタル・イン・ギャップヘッド(トラック幅2
5μm、ギャップ長0.35μm)を接触させ、周速3
m/secという条件で記録・再生を行って評価した。
なお、実施例1〜10及び17は、本願発明における中
間層又は軟磁性層の存在意義を明確にするための参考例
である。
【0034】実施例1 スライドカラス基板よりなる非磁性支持体上に、マグネ
トロン型スパッタリング装置によってPt中間層、磁性
層を順次積層し、図1に示すような磁気記録媒体を製造
した。このときの中間層と磁性層との成膜条件は次の通
りである。
【0035】 バックグランド真空度: 1.3×10−4Pa 非磁性支持体温度 : 室温 スパッタ投入電力 : 300W スパッタガス全圧 : 2.0Pa 磁性層 ガス組成 : Ar及び酸素 全ガス流量 : 50SCCM 酸素分圧 : 0.035Pa ターゲット : Co68Pt23(原子
%)組成の合金(直径10cm×厚さ4mm) 膜厚 : 100nm 中間層 導入ガス : Arガス ターゲット : Pt また、上記の条件下で、中間層を成膜する際のArガス
流量、ガス圧、中間層厚を変化させて種々のPt中間層
の(111)ピークの配向度Δθ50を有する磁気記録
媒体を製造し、これらについてX線回折像をとり、この
ときのPt中間層2の(111)ピークのロッキングカ
ーブにより求めた配向度Δθ50と垂直異方性磁界Hk
との関係を調べた。この結果を図5に示す。
【0036】また、中間層のX線回折像の(311)ピ
ークと(222)ピークとの積分強度比I311/I
222と、垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。その
結果を図6に示す。
【0037】実施例2 中間層をAuに代える以外は実施例1を繰り返すことに
より磁気記録媒体を製造し、実施例1と同様に中間層2
の(111)ピークのロッキングカーブにより求めた配
向度Δθ50と垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。
この結果を図5に示す。
【0038】また、中間層のX線回折像の(311)ピ
ークと(222)ピークとの積分強度比I311/I
222と、垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。その
結果を図6に示す。
【0039】実施例3 中間層をPdに代える以外は実施例1を繰り返すことに
より磁気記録媒体を製造し、実施例1と同様に中間層2
の(111)ピークのロッキングカーブにより求めた配
向度Δθ50と垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。
この結果を図5に示す。
【0040】また、中間層のX線回折像の(311)ピ
ークと(222)ピークとの積分強度比I311/I
222と、垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。その
結果を図6に示す。
【0041】実施例4 中間層をAgに代える以外は実施例1を繰り返すことに
より磁気記録媒体を製造し、実施例1と同様に中間層2
の(111)ピークのロッキングカーブにより求めた配
向度Δθ50と垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。
この結果を図5に示す。
【0042】また、中間層のX線回折像の(311)ピ
ークと(222)ピークとの積分強度比I311/I
222と、垂直異方性磁界Hkとの関係を調べた。その
結果を図6に示す。
【0043】図5から明らかなように、磁性層の垂直異
方性磁界Hkは、中間層の配向度Δθ50に対して強い
相関関係を示し、Δθ50=10°近傍で急峻な傾きを
示し、且つΔθ50≦10°の範囲では800kA/m
以上の垂直異方性磁界Hkが得られた。
【0044】ところで実施例1〜4で得られる磁性層の
飽和磁束密度Bsは約1〜1.2T程度であり、良好な
垂直磁化膜を得るための前述した式(1) (10/4π)×Hk≧Bs (1) に、この飽和磁束密度Bsの数値(1〜1.2T)を代
入すると、実用上必要な垂直異方性磁界Hkは約800
kA/m以上となる。従って、実施例1〜4において
は、配向度をΔθ50≦10°とすることにより式
(1)が満たされ、良好な垂直磁気記録媒体が得られる
ことが分かる。
【0045】また、磁性層の垂直異方性磁界Hkは、図
6から明らかなように、中間層の(311)ピークと
(222)ピークとの積分強度比I311/I222
依存し、この比が約0.8以下の範囲では800kA/
m以上の垂直異方性磁界Hkが得られている。従って、
積分強度比I311/I222を0.8以下とすること
により良好な垂直磁気記録媒体が得られることが分か
る。
【0046】なお、参考として図7に、Au中間層の場
合のX線回折像の一例を示す。この図においては、一般
にX線回折データの標準として利用されているASTM
(Amerian Society for Test
ing Materials)カードをもとに、面心立
方晶(fcc)構造を有するAuの回折ピークの位置を
示した。また、PCoは磁性層(CoPtBO)のピー
クを示し、P111、P311及びP222は、それぞ
れAu中間層の(111)ピーク、(311)ピーク及
び(222)ピークを示している。他の面心立方晶構造
の中間層についても、図7と同様なX線回折像が得られ
る。
【0047】図8に、PCoピークのピーク強度と積分
強度比I311/I222との関係を示す。この図から
明らかなように、積分強度比I311/I222が小さ
くなるほどPCoのピーク強度が強くなる。このことは
磁性層の結晶性が向上していることを示している。この
理由は、積分強度比I311/I222が小さいほど
(111)軸の方向が非磁性支持体の平面に対して垂直
方向に配向しており、その配向が磁性層の結晶性を向上
させていると考えられる。
【0048】実施例5 スライドカラス基板よりなる非磁性支持体上に、マグネ
トロン型スパッタリング装置によってPt中間層、磁性
層を順次積層し、図1に示すような磁気記録媒体を製造
した。成膜条件は、中間層を以下の条件で成膜する以外
は実施例1と同様である。
【0049】中間層 導入ガス : Arガス ガス流量 : 50SCCM スパッタ全圧 : 2.0Pa ターゲット : Pt 膜厚 : 100nm (中間層の配向度Δθ50=7.0〜8.0(de
g.)、積分強度比I31 /I222=0.02〜
0.04) この場合、上記の条件下で、磁性層を成膜する際の酸素
分圧を変化させて種々の磁性層を成膜して種々の磁気記
録媒体を製造した。これらについて垂直磁気異方性磁界
Hkと酸素分圧との関係を調べた。その結果を図9に示
す。
【0050】実施例6 中間層をAuに代える以外は実施例5を繰り返すことに
より磁気記録媒体を製造し、実施例5と同様に垂直磁気
異方性磁界Hkと酸素分圧との関係を調べた。その結果
を図9に示す。なお、Au中間層の配向度Δθ50
6.8〜8.0(deg.)であった。また、積分強度
比I311/I222は0.04〜0.07であった。
【0051】実施例7 中間層をPdに代える以外は実施例5を繰り返すことに
より磁気記録媒体を製造し、実施例5と同様に垂直磁気
異方性磁界Hkと酸素分圧との関係を調べた。その結果
を図9に示す。なお、Pd中間層の配向度Δθ50
8.0〜9.0(deg.)であった。また、積分強度
比I311/I222は0.3〜0.5であった。
【0052】実施例8 中間層をAgに代える以外は実施例5を繰り返すことに
より磁気記録媒体を製造し、実施例5と同様に垂直磁気
異方性磁界Hkと酸素分圧との関係を調べた。その結果
を図9に示す。なお、Pd中間層の配向度Δθ50
8.0〜9.0(deg.)であった。また、積分強度
比I311/I222は0.1〜0.35であった。
【0053】比較例1 中間層を設けない以外は実施例5を繰り返すことによ
り、非磁性支持体上に直接、磁性層が積層された磁気記
録媒体を製造し、実施例5と同様に垂直磁気異方性磁界
Hkと酸素分圧との関係を調べた。結果を図9に示す。
なお、図9において、実線aは実施例5〜8の結果であ
り、点線bは比較例1の結果である。
【0054】図9から明らかなように、測定した全酸素
分圧範囲(0〜0.07Pa)において、実施例5〜8
の磁性層の垂直異方性磁界Hkは、比較例1の磁性層の
垂直異方性磁界Hkに比べて大きいことが分かる。
【0055】ところで実施例5〜8で得られる磁性層の
飽和磁束密度Bsは約1〜1.2T程度であり、良好な
垂直磁化膜を得るための前述した式(1) (10/4π)×Hk≧Bs (1) に、この飽和磁束密度Bsの数値(1〜1.2T)を代
入すると、実用上必要な垂直異方性磁界Hkは約800
kA/m以上となる。また、このような垂直磁化膜を得
るための酸素分圧の範囲は、比較例1では0.035P
a近傍に限られるのに対し、実施例5及び6、即ちPt
及びAu中間層を有する磁気記録媒体の場合には、酸素
分圧が約0.02Pa〜0.06Paの範囲、そして実
施例7及び8、即ちPd及びAg中間層を有する磁気記
録媒体の場合には、酸素分圧が約0.03Pa〜0.0
5Paの範囲となる。従って、実施例によれば成膜時の
酸素分圧条件を緩和可能であることが分かる。
【0056】実施例9 スライドカラス基板よりなる非磁性支持体上に、マグネ
トロン型スパッタリング装置によってAu中間層、磁性
層を順次積層し、図1に示すような磁気記録媒体を製造
した。更に、磁性層の表面にスパッタ法によりカーボン
保護膜を10nm成膜した。このときの中間層と磁性層
との成膜条件は、バックグラウンド真空度を5×10
−5Paとし、磁性層の膜厚を200nmとする以外
は、中間層については実施例6の成膜条件と同様であ
り、磁性層については実施例1の成膜条件と同様であ
る。
【0057】実施例10 スライドカラス基板よりなる非磁性支持体上に、マグネ
トロン型スパッタリング装置によってAu中間層、軟磁
性層、磁性層、カーボン保護膜を順次積層し、図2に示
すような磁気記録媒体を製造した。このときの中間層と
磁性層との成膜条件は実施例9と同様であり、軟磁性層
の成膜条件は実施例9の中間層の成膜条件の中でターゲ
ットとしてAuに代えてFe96Si(原子%)組成
の合金を用い、その膜厚を15nmとする以外は中間層
の成膜条件と同様である。
【0058】実施例9及び10で得られた磁気記録媒体
について、それらの記録密度特性の測定結果を図10に
示し、垂直磁化曲線の測定結果をそれぞれ図11
(a)、(b)に示す。
【0059】図10から明らかなように、実施例9の磁
気記録媒体は実用上十分な磁気記録の出力特性を有して
いるが、軟磁性層を更に設けた実施例10の記録媒体は
長波長領域(例えば12μm)から短波長領域(例えば
0.25μm)において実施例9の磁気記録媒体にくら
べ数dBの磁気記録の出力の向上が実現できた。
【0060】また、図11から明らかなように、この発
明の磁気記録媒体は高い角型性が保持されていることが
分かる。
【0061】また、実施例9及び10の磁気記録媒体の
オーバーライト特性について、記録波長6μmで記録
し、その後に記録波長1μmで上書きした場合に、記録
波長6μmでの記録情報の減少量で評価した。この結果
を表1に示す。この場合、数値が小さくなる程オーバー
ライト特性が向上する。
【0062】
【表1】 オーバーライト特性 [記録波長1μm/6μm](dB) 実施例 9 −28.6 実施例10 −44.0 表1から明らかなように、実施例9の磁気記録媒体のオ
ーバーライト特性は実用上十分なものであるが、軟磁性
層を更に設けた実施例10の記録媒体は、実施例9の磁
気磁気記録媒体に比べ15.4dBものオーバーライト
特性の向上が観察された。
【0063】更に、実施例9及び、実施例10の軟磁性
層、磁性層のX線回折強度[cps]と配向度Δθ50
とを表2に示す。この場合、X線回折強度の数値が大き
い程、結晶性は良好となる。
【0064】
【表2】 磁性膜(002)ピーク 軟磁性層(110)ピーク 回折強度 Δθ50 回折強度 Δθ50 [cps] [deg.] [cps] [deg.] 実施例 9 123k 4.8 −−− −−− 実施例10 96k 6.3 8.1k 3.7 表2から明らかなように、実施例9及び10の磁気記録
媒体の磁性膜の結晶性と配向性は実用上十分なものであ
った。参考のため、軟磁性層としてNb11ZrTa
アモルファス合金層を用いる以外は実施例10を繰り
返すことにより磁気記録媒体を製造し、得られた磁気記
録媒体に対して実施例9及び実施例10と同様に軟磁性
層、磁性層のX線回折強度と配向度Δθ50を測定し
た。その結果、実施例9及び実施例10に比べると磁性
層の結晶性、配向性とも低下していた。
【0065】実施例11 スライドガラス基板よりなる非磁性支持体上に、マグネ
トロン型スパッタリング装置によってTi下地層、Ni
CuTa中間層を順次積層した。このときの下地層及び
中間層の成膜条件は次の通りである。
【0066】 バックグラウンド真空度: 1.3×10−4Pa 非磁性支持体温度 : 室温 スパッタ投入電力 : DC300W 中間層 導入ガス : Arガス 全ガス流量 : 100SCCM 膜厚 : 200nm ターゲット : Ni45Cu50Ta
(原子%)組成の合金(直径10cm×厚さ4mm) 下地層 導入ガス : Arガス 全ガス流量 : 100SCCM ターゲット : Ti 上記の条件下で下地層の厚さを変化させてX線回折像を
とり、このときの面心立方晶構造のNiCuTa中間層
の(111)ピーク強度と(111)ピークのロッキン
グカーブにより求めた配向度Δθ50のTi下地層厚依
存性を調べた。この結果を図12及び図13に示す。
【0067】実施例12 実施例11において中間層にCuを使用する以外は、実
施例11を繰り返し同様に下地層の厚さを変化させてX
線回折像をとり、このときのCu中間層の(111)ピ
ーク強度と(111)ピークの配向度Δθ50のTi下
地層厚依存性を調べた。この結果を図12及び図13に
示す。
【0068】実施例13 実施例11において中間層にNiを使用する以外は、実
施例11を繰り返し同様に下地層の厚さを変化させてX
線回折像をとり、このときのNi中間層の(111)ピ
ーク強度と(111)ピークの配向度Δθ50のTi下
地層厚依存性を調べた。この結果を図12及び図13に
示す。
【0069】実施例14 実施例11において中間層にAlを使用する以外は、実
施例11を繰り返し同様に下地層の厚さを変化させてX
線回折像をとり、このときのAl中間層の(111)ピ
ーク強度と(111)ピークの配向度Δθ50のTi下
地層厚依存性を調べた。この結果を図12及び図13に
示す。
【0070】実施例15 実施例11において中間層にCu80Al20(原子
%)を使用する以外は、実施例11を繰り返し同様に下
地層の厚さを変化させてX線回折像をとり、このときの
CuAl中間層の(111)ピーク強度と(111)ピ
ークの配向度Δθ50のTi下地層厚依存性を調べた。
この結果を図12及び図13に示す。
【0071】図12から、実施例11〜15における面
心立方晶構造を有する中間層と非磁性支持体との間に5
nm厚以上のTi下地層を積層することにより、下地層
が存在しない場合に比べ、各中間層の回折ピーク強度は
10倍以上になり、中間層の結晶性が大きく改善された
ことが分かる。また、図13からは、5nm厚以上のT
i下地層を積層することにより配向度Δθ50が大きく
減少し、その配向性が大きく改善されたことが分かる。
【0072】表3にX線回折像において観察できる各ピ
ークのピーク強度を、下地層が積層されていない場合と
5nm厚のTi下地層が積層されている場合とについて
それぞれ示す。
【0073】
【表3】 Ti下地層の有無による各中間層の X線回折ピーク強度の変化(単位は任意強度) Ti下地層 中間層 ピーク 無 有(5nm厚) Cu (111) 18025 164582 (200) 2525 〜0 (311) 372 〜0 (222) 647 7353 Ni (111) 7832 97890 (200) 722 304 (220) 221 213 (311) 196 170 (222) 274 3038 NiCuTa (111) 7656 130682 (200) 531 〜0 (311) 201 〜0 (222) 291 4455 Al (111) 4505 82082 (200) 387 〜0 (311) 280 〜0 (222) 264 4000 CuAl (111) 6241 22312 (222) 372 903 この表3に示した結果から、Ti下地層を積層しておく
ことにより中間層の(111)及び(222)ピーク強
度は大きく増加し、一方、その他のピークのピーク強度
は減少することが分かる。この結果は、Ti下地層の存
在により中間層が強く(111)配向し、結晶性も大き
く改善されたことを示している。
【0074】以上、図12、図13及び表3から、Ti
下地層を中間層と非磁性支持体との間に積層することに
より、その中間層が前述の好ましい垂直磁化膜を実現す
るための条件である式(2)及び(3)を満たし、従っ
て、好ましい垂直磁化膜を実現できることが分かる。
【0075】実施例16 スライドガラス基板よりなる非磁性支持体上に、マグネ
トロン型スパッタリング装置によってTi下地層、Ni
CuTa中間層、磁性層を順次積層し図2に示すような
磁気記録媒体を製造した。このときの下地層、中間層及
び磁性層の成膜条件は次の通りである。
【0076】 バックグラウンド真空度: 1.3×10−4Pa 非磁性支持体温度 : 室温 スパッタ投入電力 : DC300W 磁性層 スパッタガス全圧 : 2.0Pa ガス組成 : Ar及び酸素 全ガス流量 : 50SCCM ターゲット : Co68Pt23(原
子%)組成の合金(直径10cm×厚さ4mm) 膜厚 : 100nm 中間層 導入ガス : Arガス 全ガス流量 : 100SCCM 膜厚 : 200nm ターゲット : Ni45Cu50Ta
(原子%)組成の合金(直径10cm×厚さ4mm) 下地層導入ガス : Arガス 全ガス流量 : 100SCCM 膜厚 : 5nm ターゲット : Ti 上記の条件下で、磁性層を成膜する際の酸素分圧を変化
させ種々の磁気記録媒体を製造し、これらについて垂直
異方性磁界Hkと垂直保磁力Hcvを求め、それらと酸
素分圧POとの関係を求めた。この結果を図14及び
図15に示す。
【0077】実施例17 実施例16において中間層及び下地層のかわりに100
nm厚のPt層を使用する以外は、実施例16を繰り返
すことにより磁気記録媒体を製造し、実施例16と同様
に垂直異方性磁界Hkと垂直保磁力Hcvと酸素分圧P
との関係を調べた。この結果を図14及び図15に
示す。なお、このPt層の積層条件は、単層の中間層を
用いた場合に最も優れた垂直磁気特性が得られる条件で
ある。
【0078】これら実施例16及び実施例17のNiC
uTa層及びPt層の結晶性と配向性をX線回折法によ
り調べたところ、Pt層の(111)ピークの配向度Δ
θ は7.0〜8.0(deg.)、ピーク強度の積
分強度比I311/I222は0.02〜0.04であ
った。一方、NiCuTa層の(111)ピークの配向
度Δθ50は4.5〜6.1(deg.)、ピーク強度
の積分強度比I311/I222は0.01以下であっ
た。これらの結果は、いずれも前述の好ましい垂直磁化
膜を実現するための中間層の条件である式(2)及び
(3)を満たしており、従って、これらの結果は、Ti
下地層を積層することによりNiCuTa層が強く(1
11)配向し、そのためその結晶性や配向性が改善され
たことを示している。
【0079】ところで、実施例16で得られる磁性層の
飽和磁束密度Bsは約1〜1.2T程度であり、良好な
垂直磁化膜を得るための前述した式(1) (10 /4π)×Hk≧Bs (1) に、この飽和磁束密度Bsの数値(1〜1.2T)を代
入すると、実用上必要な垂直異方性磁界Hkは約800
kA/m以上となるが、図14から明らかなように、実
施例16及び実施例17の磁気記録媒体の垂直異方性磁
界Hkがこの数値以上となる酸素分圧力の範囲は同程度
であり酸素依存性や垂直異方性磁界Hkの大きさにつ
いても実施例16と実施例17とは同程度である。ま
た、図15から明らかなように、実施例16の磁気記録
媒体の垂直保磁力Hcvについては、Pt中間層を用い
た実施例17の磁気記録媒体より大きな値が得られてい
る。従って、実施例17のようにPt中間層を形成する
と良好な磁性特性を実現できるが、実施例16のように
Pt中間層よりも安価に形成できるNiCuTa中間層
を形成した場合でも、非磁性支持体を中間層との間に下
地層を形成することにより、Pt中間層を形成した場合
と同等叉はそれ以上の垂直磁気特性が実現できることが
分かった。
【0080】実施例18 実施例16において磁性層成膜時の酸素分圧PO
0.047Paとし、磁性層と中間層との間に20nm
厚のFe96Si(原子%)軟磁性層を使用した磁気
記録媒体を製造し、垂直異方性磁界Hkと垂直保磁力H
cvを求めた。その結果、本実施例の垂直異方性磁界H
kは960kA/mであり、垂直保磁力Hcvは182
kA/mであった。この値は、前述した実用上必要な垂
直異方性磁界Hkの値(約800kA/m以上)より十
分に大きく、従って本実施例で得られた磁気記録媒体は
良好な垂直磁気特性を有するものであった。
【0081】実施例19 実施例16において中間層に500nm厚のFe15
80Ta(原子%)層を使用する以外は、実施例1
6を繰り返すことにより磁気記録媒体を製造し、垂直保
磁力Hcvと酸素分圧POとの関係を調べた。
【0082】図1に実施例18と実施例17との垂直
保磁力Hcvの酸素分圧PO依存性を示す。FeNi
Ta中間層とTi下地層との組み合わせた実施例18の
場合には、Pt中間層を用いた場合の実施例17の場合
に比べ、保磁力の最大値が得られる酸素分圧POがよ
り酸素濃度の高い方へずれているが、最大値そのものの
値や酸素分圧PO依存性の傾向はほぼ同様である。
【0083】図1にFeNiTa中間層とTi下地層
を用いた場合の垂直磁化曲線を示す。図1から明らか
なように、この磁気記録媒体は高い角型性が保持されて
いることが分かる。
【0084】また、実施例19におけるFeNiTa中
間層のI311/I222は0.3〜0.5、(11
1)ピークの配向度Δθ50は3.8〜5.5(de
g.)であった。これらの値は、いずれも前述の好まし
い垂直磁化膜の得られる中間層の条件である式(2)及
び(3)を満たしており、従って、Ti下地層を積層す
ることによりFeNiTa中間層を強く(111)配向
させることができ、その結晶性や配向性を改善させるこ
とができた。そのため下地層がない場合のPt中間層と
同等程度の垂直磁気特性を実現することができた。
【0085】実施例20 実施例16において中間層に5nm厚のFe60Co
40(原子%)層を使用し、磁性層成膜時の酸素分圧P
を0.047Paとして磁気記録媒体を製造し、垂
直異方性磁界Hkと垂直保磁力Hcvを求めた。その結
果は、垂直異方性磁界Hkが1150kA/mであり、
垂直保磁力Hcvが175kA/mであった。この値は
前述した実用上必要な垂直異方性磁界Hkの値(約80
0kA/m以上)より十分に大きく、良好な垂直磁気特
性を示していた。
【0086】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体によれば、望まし
い磁気特性、特に高い垂直異方性磁界を有する磁性薄膜
を得るための成膜時の酸素分圧の条件を緩和することが
できる。また、高い再現性で且つ高い歩留まりで磁気記
録媒体を製造することができる。更に、軟磁性層を磁性
層と中間層との間に設けることにより、磁気記録媒体の
磁気記録の出力とオーバーライト特性とを向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非磁性支持体上に中間層を介して磁性層が設け
られた磁気記録媒体の断面図である。
【図2】本発明の基本的態様の磁気記録媒体の断面図で
ある。
【図3】図1の磁気記録媒体の別の態様の例の断面図で
ある。
【図4】本発明の別の態様の磁気記録媒体の断面図であ
る。
【図5】気記録媒体の中間層の配向度Δθ50と垂直
異方性磁界Hkとの関係を示す図である。
【図6】気記録媒体の中間層の積分強度比I311
222と垂直異方性磁界Hkとの関係を示す図であ
る。
【図7】Au中間層のX線回折像の一例を示す図であ
る。
【図8】気記録媒体の磁性層のPCoピークのピーク
強度と、中間層の積分強度比I311/I222との関
係を示す図である。
【図9】磁気記録媒体における、全酸素分圧範囲(0〜
0.07Pa)と垂直異方性磁界Hkとの関係を示す図
である。
【図10】磁気記録媒体の磁気記録の出力を示す磁気記
録の出力特性図である。
【図11】磁気記録媒体における磁性膜の垂直磁化曲線
図である。
【図12】中間層の(111)ピーク強度とTi下地層
厚との関係を示す図である。
【図13】中間層の配向度Δθ 50 とTi下地層厚との
関係を示す図である。
【図14】磁性層成膜時の酸素分圧と磁性層の垂直異方
性磁界との関係を示す図である。
【図15】磁性層成膜時の酸素分圧と磁性層の垂直保磁
力との関係を示す図である。
【図16】磁性層成膜時の酸素分圧と磁性層の垂直保磁
力との関係を示す図である。
【図17】本発明の磁気記録媒体の垂直磁化曲線図の一
例である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体 2 中間層 3 磁性層 4 下地層 5 軟磁性層 6 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 和彦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (72)発明者 阿蘇 興一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−74012(JP,A) 特開 昭59−157829(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/82

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、CoPtBO系合金
    からなる磁性層が形成されている磁気記録媒体におい
    て、非磁性支持体と磁性層との間に面心立方晶構造の中
    間層が設けられており、且つ該非磁性支持体と該中間層
    との間にTi下地層が更に形成されている磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 面心立方晶構造を有する該中間層のX線
    回折像の(111)ピークのロッキングカーブにより求
    めた配向度Δθ50が、以下の式 Δθ50≦10(deg.) で表される請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 面心立方晶構造を有する該中間層のX線
    回折像の(311)ピークと(222)ピークとの積分
    強度比I311/I222が以下式 I311/I222≦0.8 で表される請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 該中間層がAl、Ni、Cu、Pd、A
    、Pt、Au、Fe及びCoの少なくとも1種を含有
    する請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 該磁性層と該中間層との間に、更に体心
    立方晶構造の軟磁性層としてFeSi膜が形成されてい
    る請求項1記載の磁気記録媒体。
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