JP3230137B2 - チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材 - Google Patents
チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、炭化タングステ
ン(以下、WCで示す)基超硬合金で構成されたチップ
材を低合金鋼製タペット本体に、強固な接合強度拡散で
接合してなる内燃機関タペット部材に関するものであ
る。
ン(以下、WCで示す)基超硬合金で構成されたチップ
材を低合金鋼製タペット本体に、強固な接合強度拡散で
接合してなる内燃機関タペット部材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、ディーゼルエンジンやガ
ソリンエンジンなどの内燃機関のタペット部材として、
例えば特開昭62−182406号公報に記載され、か
つ図1に概略縦断面図で例示されるように、通常冷間鍛
造で成形加工され、かつ炭素鋼や合金鋼などで構成され
たタペット本体1のカム当接面側の頂面1aに、金属の
炭化物、窒化物、およびほう化物のうちの1種以上とN
iまたはNi合金で構成されたチップ材2を、これの液
相焼結と同時に接合してなるタペット部材が知られてい
る。
ソリンエンジンなどの内燃機関のタペット部材として、
例えば特開昭62−182406号公報に記載され、か
つ図1に概略縦断面図で例示されるように、通常冷間鍛
造で成形加工され、かつ炭素鋼や合金鋼などで構成され
たタペット本体1のカム当接面側の頂面1aに、金属の
炭化物、窒化物、およびほう化物のうちの1種以上とN
iまたはNi合金で構成されたチップ材2を、これの液
相焼結と同時に接合してなるタペット部材が知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の内燃機関
の高出力化および高性能化はめざましく、これに伴な
い、これの構造部材であるタペット部材はより一段と苛
酷な条件下での使用を余儀なくされる傾向にあるが、上
記の従来タペット部材においては、タペット本体とチッ
プ材との接合強度が十分でないために、苛酷な使用条件
下では、これら両者間に剥離が発生し易く、信頼性の点
で問題がある。
の高出力化および高性能化はめざましく、これに伴な
い、これの構造部材であるタペット部材はより一段と苛
酷な条件下での使用を余儀なくされる傾向にあるが、上
記の従来タペット部材においては、タペット本体とチッ
プ材との接合強度が十分でないために、苛酷な使用条件
下では、これら両者間に剥離が発生し易く、信頼性の点
で問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、タペット部材を構成するチップ
材のタペット本体への接合強度の向上をはかるべく研究
を行なった結果、タペット本体を、重量%で(以下、%
は重量%を示す)、 C:0.13〜0.5%、
Si:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜1.2
%、 Cr:0.4〜3.5%、を含有し、さらに
必要に応じて、Ni:0.4〜4.5%、 Mo:
0.15〜0.7%、のうちの1種または2種、を含有
し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する低
合金鋼に特定すると共に、これのカム当接面側の頂面
に、Co:25〜35%、 P:0.1〜1
%、炭化クロム(以下、Cr3 C2 で示す):0.5〜
10%、Nb,V,Ti,Mo、およびTaの炭化物
(以下、それぞれNbC,VC,TiC,Mo2 C、お
よびTaCで示し、これらを総称して金属炭化物とい
う)のうちの1種以上:0.1〜7%、必要に応じてF
e:0.1〜3%、WC:残り、からなる配合組成の焼
結体からなるWC基超硬合金製チップ材を拡散接合する
と、この結果のタペット部材においては、タペット本体
のSiとチップ材を構成するPの相互作用で拡散接合時
におけるタペット本体へのチップ材のぬれ性が著しく向
上するようになると共に、チップ材の結合相を構成する
Co中に固溶したCr3 C2 の作用でチップ材のタペッ
ト本体への密着性が著しく向上し、この密着性向上効果
は金属炭化物の共存によって一段と促進されるようにな
り、チップ材は、タペット本体にきわめて強固に接合す
るようになり、かつWC基超硬合金が硬質であることか
ら、すぐれた耐摩耗性も具備するようになるという研究
結果を得たのである。
上述のような観点から、タペット部材を構成するチップ
材のタペット本体への接合強度の向上をはかるべく研究
を行なった結果、タペット本体を、重量%で(以下、%
は重量%を示す)、 C:0.13〜0.5%、
Si:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜1.2
%、 Cr:0.4〜3.5%、を含有し、さらに
必要に応じて、Ni:0.4〜4.5%、 Mo:
0.15〜0.7%、のうちの1種または2種、を含有
し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する低
合金鋼に特定すると共に、これのカム当接面側の頂面
に、Co:25〜35%、 P:0.1〜1
%、炭化クロム(以下、Cr3 C2 で示す):0.5〜
10%、Nb,V,Ti,Mo、およびTaの炭化物
(以下、それぞれNbC,VC,TiC,Mo2 C、お
よびTaCで示し、これらを総称して金属炭化物とい
う)のうちの1種以上:0.1〜7%、必要に応じてF
e:0.1〜3%、WC:残り、からなる配合組成の焼
結体からなるWC基超硬合金製チップ材を拡散接合する
と、この結果のタペット部材においては、タペット本体
のSiとチップ材を構成するPの相互作用で拡散接合時
におけるタペット本体へのチップ材のぬれ性が著しく向
上するようになると共に、チップ材の結合相を構成する
Co中に固溶したCr3 C2 の作用でチップ材のタペッ
ト本体への密着性が著しく向上し、この密着性向上効果
は金属炭化物の共存によって一段と促進されるようにな
り、チップ材は、タペット本体にきわめて強固に接合す
るようになり、かつWC基超硬合金が硬質であることか
ら、すぐれた耐摩耗性も具備するようになるという研究
結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、C:0.13〜0.5%、
Si:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜1.2
%、 Cr:0.4〜3.5%、を含有し、さらに
必要に応じて、Ni:0.4〜4.5%、 Mo:
0.15〜0.7%、のうちの1種または2種、を含有
し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する低
合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面に、Co:
25〜35%、 P:0.1〜1%、Cr3 C
2 :0.5〜10%、金属炭化物のうちの1種または2
種以上:0.1〜7%、必要に応じてFe:0.1〜3
%、WC:残り、からなる配合組成の焼結体からなるW
C基超硬合金製チップ材を拡散接合してなる、チップ材
が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材に特徴を
有するものである。
なされたものであって、C:0.13〜0.5%、
Si:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜1.2
%、 Cr:0.4〜3.5%、を含有し、さらに
必要に応じて、Ni:0.4〜4.5%、 Mo:
0.15〜0.7%、のうちの1種または2種、を含有
し、残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する低
合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面に、Co:
25〜35%、 P:0.1〜1%、Cr3 C
2 :0.5〜10%、金属炭化物のうちの1種または2
種以上:0.1〜7%、必要に応じてFe:0.1〜3
%、WC:残り、からなる配合組成の焼結体からなるW
C基超硬合金製チップ材を拡散接合してなる、チップ材
が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材に特徴を
有するものである。
【0006】つぎに、この発明のタペット部材におい
て、タペット本体の成分組成およびチップ材の配合組成
を上記の通りに限定した理由を説明する。 A.タペット本体の成分組成 (a) C C成分には、素地に固溶して強度を向上させる作用があ
るが、その含有量が0.13%未満では所望の強度向上
効果が得られず、一方その含有量が0.5%を越えると
靭性が低下するようになることから、その含有量を0.
13〜0.5%と定めた。なお、望ましくは0.2〜
0.4%の含有がよい。
て、タペット本体の成分組成およびチップ材の配合組成
を上記の通りに限定した理由を説明する。 A.タペット本体の成分組成 (a) C C成分には、素地に固溶して強度を向上させる作用があ
るが、その含有量が0.13%未満では所望の強度向上
効果が得られず、一方その含有量が0.5%を越えると
靭性が低下するようになることから、その含有量を0.
13〜0.5%と定めた。なお、望ましくは0.2〜
0.4%の含有がよい。
【0007】(b) Si Si成分には、拡散接合時に、チップ材中のPとの共存
作用でチップ材とのぬれ性を向上させ、もってチップ材
のタペット本体への密着性を向上させる作用があるが、
その含有量が0.15%未満では前記作用に所望の効果
が得られず、一方その含有量が0.35%を越えると強
度が低下するようになることから、その含有量を0.1
5〜0.35%と定めた。望ましくは0.2〜0.3%
の含有がよい。
作用でチップ材とのぬれ性を向上させ、もってチップ材
のタペット本体への密着性を向上させる作用があるが、
その含有量が0.15%未満では前記作用に所望の効果
が得られず、一方その含有量が0.35%を越えると強
度が低下するようになることから、その含有量を0.1
5〜0.35%と定めた。望ましくは0.2〜0.3%
の含有がよい。
【0008】(c) Mn Mn成分には、素地に固溶して靭性を向上させる作用が
あるが、その含有量が0.3%未満では所望の靭性向上
効果が得られず、一方その含有量が1.2%を越えると
強度が急激に低下するようになることから、その含有量
を0.3〜1.2%と定めた。望ましくは0.7〜1%
の含有がよい。
あるが、その含有量が0.3%未満では所望の靭性向上
効果が得られず、一方その含有量が1.2%を越えると
強度が急激に低下するようになることから、その含有量
を0.3〜1.2%と定めた。望ましくは0.7〜1%
の含有がよい。
【0009】(d) Cr Cr成分には、素地に固溶して耐熱性を向上させる作用
があるが、その含有量が0.4%未満では所望の耐熱性
向上効果が得られず、一方その含有量が3.5%を越え
ると靭性が低下するようになることから、その含有量を
0.4〜3.5%と定めた。なお、望ましくは1〜3%
の含有がよい。
があるが、その含有量が0.4%未満では所望の耐熱性
向上効果が得られず、一方その含有量が3.5%を越え
ると靭性が低下するようになることから、その含有量を
0.4〜3.5%と定めた。なお、望ましくは1〜3%
の含有がよい。
【0010】(e) NiおよびMo これらの成分には、素地に固溶して強度を一段と向上さ
せる作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
含有量が、それぞれNi:0.4%未満およびMo:
0.15%未満では所望の強度向上効果が得られず、一
方その含有量がNi:4.5%およびMo:0.7%を
越えると靭性が低下するようになることから、その含有
量をNi:0.4〜4.5%、Mo:0.15〜0.7
%と定めた。なお、望ましくはNi:2〜3%、Mo:
0.3〜0.5%の含有がよい。
せる作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
含有量が、それぞれNi:0.4%未満およびMo:
0.15%未満では所望の強度向上効果が得られず、一
方その含有量がNi:4.5%およびMo:0.7%を
越えると靭性が低下するようになることから、その含有
量をNi:0.4〜4.5%、Mo:0.15〜0.7
%と定めた。なお、望ましくはNi:2〜3%、Mo:
0.3〜0.5%の含有がよい。
【0011】B.チップ材の配合組成 (a) Co Co成分には結合相を形成して強度およぴ靭性を向上さ
せる作用があるが、その割合が25%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その割合が35%を越え
ると硬さが急激に低下し、耐摩耗性の低下が避けられな
いことから、その割合を25〜35%と定めた。なお、
望ましくは28〜32%の割合がよい。
せる作用があるが、その割合が25%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その割合が35%を越え
ると硬さが急激に低下し、耐摩耗性の低下が避けられな
いことから、その割合を25〜35%と定めた。なお、
望ましくは28〜32%の割合がよい。
【0012】(b) P P成分には、焼結性を向上せしめて液相焼結を可能なら
しめると共に、タペット本体のSiとの共存作用で拡散
接合時におけるチップ材のタペット本体へのぬれ性を向
上させる作用があるが、その割合が0.1%未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その割合が1%を
越えると脆化現象が現われるようになることから、その
割合を0.1〜1%と定めた。なお、望ましくは0.3
〜0.7%の割合がよい。
しめると共に、タペット本体のSiとの共存作用で拡散
接合時におけるチップ材のタペット本体へのぬれ性を向
上させる作用があるが、その割合が0.1%未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その割合が1%を
越えると脆化現象が現われるようになることから、その
割合を0.1〜1%と定めた。なお、望ましくは0.3
〜0.7%の割合がよい。
【0013】(c) Cr3 C2 Cr3 C2 成分には、結合相に固溶し、拡散接合時にお
けるタペット本体のSiおよびチップ材のPによるぬれ
性向上効果と相まって、チップ材のタペット本体への密
着性を著しく向上させる作用があるが、その割合が0.
5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方そ
の割合が10%を越えると強度が低下するようになるこ
とから、その割合を0.5〜10%と定めた。望ましく
は4〜8%の割合がよい。
けるタペット本体のSiおよびチップ材のPによるぬれ
性向上効果と相まって、チップ材のタペット本体への密
着性を著しく向上させる作用があるが、その割合が0.
5%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方そ
の割合が10%を越えると強度が低下するようになるこ
とから、その割合を0.5〜10%と定めた。望ましく
は4〜8%の割合がよい。
【0014】(d) 金属炭化物 金属炭化物には、Cr3 C2 による上記作用を一段と向
上させる作用があるが、その割合が0.1%未満では所
望の向上効果が得られず、一方その割合が7%を越える
と強度が低下するようになることから、その割合を0.
1〜7%と定めた。なお、望ましくは0.5〜3%の割
合がよい。
上させる作用があるが、その割合が0.1%未満では所
望の向上効果が得られず、一方その割合が7%を越える
と強度が低下するようになることから、その割合を0.
1〜7%と定めた。なお、望ましくは0.5〜3%の割
合がよい。
【0015】(e) Fe Fe成分には、結合相に固溶して、これの硬さを向上さ
せる作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
割合が0.1%未満では所望の硬さ向上効果が得られ
ず、その割合が3%を越えると強度が低下するようにな
ることから、その割合を0.1〜3%と定めた。望まし
くは0.3〜1%の割合がよい。
せる作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
割合が0.1%未満では所望の硬さ向上効果が得られ
ず、その割合が3%を越えると強度が低下するようにな
ることから、その割合を0.1〜3%と定めた。望まし
くは0.3〜1%の割合がよい。
【0016】また、この発明のタペット部材は、一般
に、上記の低合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂
面に、上記のWC基超硬合金製チップ材を載置した状態
で、これに真空中または還元性雰囲気中、あるいは非酸
化性雰囲気中、1200〜1300℃の温度に30〜1
20分間保持後冷却の条件で拡散接合処理を施し、つい
で通常の滲炭ガス雰囲気中、850〜900℃の温度に
150〜200分間保持後、油温:120〜140℃の
油中に浸漬の油焼入れと、大気中、150〜200℃の
温度に100〜150分間保持の焼戻しの熱処理を施す
ことによって製造される。
に、上記の低合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂
面に、上記のWC基超硬合金製チップ材を載置した状態
で、これに真空中または還元性雰囲気中、あるいは非酸
化性雰囲気中、1200〜1300℃の温度に30〜1
20分間保持後冷却の条件で拡散接合処理を施し、つい
で通常の滲炭ガス雰囲気中、850〜900℃の温度に
150〜200分間保持後、油温:120〜140℃の
油中に浸漬の油焼入れと、大気中、150〜200℃の
温度に100〜150分間保持の焼戻しの熱処理を施す
ことによって製造される。
【0017】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明のタペット部材
を実施例により具体的に説明する。まず、いずれも冷間
鍛造加工により図1に示される形状および外径:31mm
×長さ:51mmの寸法を有し、かつそれぞれ表1に示さ
れる成分組成の低合金鋼で構成されたタペット本体A〜
Pを用意した。またチップ材を形成するために、原料粉
末として、いずれも粒度が100メッシュ以下のWC粉
末、Cr3 C2 粉末、各種金属炭化物粉末、Co−P合
金(P:35%含有)粉末、Fe−P合金(P:25%
含有)粉末、Fe粉末、Co粉末、および黒鉛粉末を用
い、これら原料粉末を表2に示される配合組成に配合
し、混合した後、5ton /cm2 の圧力で直径:31mmφ
×厚さ:3mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形し、こ
れらの圧粉体を、1×10-2torrの真空中、1200〜
1300℃の範囲内の所定の温度に60分間保持の条件
で焼結して、いずれも95%以上の理論密度比を有する
焼結体からなるWC基超硬合金で構成されたチップ材a
〜qをそれぞれ製造した。ついで、これらのチップ材a
〜qをそれぞれ表3に示される組合せでタペット本体A
〜Pのカム当接面側の頂面上に図示の通りに載置し、こ
の状態で、1×10-2torrの真空中、温度:1250℃
に80分間保持後、窒素ガス吹付けによる強制冷却の拡
散接合処理を行ない、ついで通常の滲炭ガス雰囲気中、
温度:880℃に180分保持後、油温:130℃の油
中に浸漬の油焼入れと、大気中、温度:180℃に12
0分保持の焼戻しの熱処理を施すことにより本発明タペ
ット部材1〜15および比較タペット部材1〜5をそれ
ぞれ製造した。
を実施例により具体的に説明する。まず、いずれも冷間
鍛造加工により図1に示される形状および外径:31mm
×長さ:51mmの寸法を有し、かつそれぞれ表1に示さ
れる成分組成の低合金鋼で構成されたタペット本体A〜
Pを用意した。またチップ材を形成するために、原料粉
末として、いずれも粒度が100メッシュ以下のWC粉
末、Cr3 C2 粉末、各種金属炭化物粉末、Co−P合
金(P:35%含有)粉末、Fe−P合金(P:25%
含有)粉末、Fe粉末、Co粉末、および黒鉛粉末を用
い、これら原料粉末を表2に示される配合組成に配合
し、混合した後、5ton /cm2 の圧力で直径:31mmφ
×厚さ:3mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形し、こ
れらの圧粉体を、1×10-2torrの真空中、1200〜
1300℃の範囲内の所定の温度に60分間保持の条件
で焼結して、いずれも95%以上の理論密度比を有する
焼結体からなるWC基超硬合金で構成されたチップ材a
〜qをそれぞれ製造した。ついで、これらのチップ材a
〜qをそれぞれ表3に示される組合せでタペット本体A
〜Pのカム当接面側の頂面上に図示の通りに載置し、こ
の状態で、1×10-2torrの真空中、温度:1250℃
に80分間保持後、窒素ガス吹付けによる強制冷却の拡
散接合処理を行ない、ついで通常の滲炭ガス雰囲気中、
温度:880℃に180分保持後、油温:130℃の油
中に浸漬の油焼入れと、大気中、温度:180℃に12
0分保持の焼戻しの熱処理を施すことにより本発明タペ
ット部材1〜15および比較タペット部材1〜5をそれ
ぞれ製造した。
【0018】なお、比較タペット部材1〜5は、タペッ
ト本体とチップ材の接合強度に影響を及ぼす成分、すな
わちタペット本体のSi並びにチップ材のPおよび(C
r3C2 +金属炭化物)のうちのいずれかの含有割合
が、この発明の範囲から低い方に外れたものである。
ト本体とチップ材の接合強度に影響を及ぼす成分、すな
わちタペット本体のSi並びにチップ材のPおよび(C
r3C2 +金属炭化物)のうちのいずれかの含有割合
が、この発明の範囲から低い方に外れたものである。
【0019】つぎに、この結果得られた各種のタペット
部材について、チップ材のビッカース硬さを測定すると
共に、これを6気筒12バルブ、8200cc、210馬
力のディーゼルエンジンに組込み、回転数:3000r.
p.m.、運転時間:200時間の高速回転条件で実機試験
を行ない、チップ材のカム摺動面における最大摩耗深さ
を測定すると共に、タペット本体へのチップ材の接合強
度を評価する目的で、これら両者の接合面を外周にそっ
て観察し、剥離が原因の割れ発生数を測定した。さらに
接合強度を評価する目的で、前記接合面の剪断強度も測
定した。これらの測定結果を表3に示した。
部材について、チップ材のビッカース硬さを測定すると
共に、これを6気筒12バルブ、8200cc、210馬
力のディーゼルエンジンに組込み、回転数:3000r.
p.m.、運転時間:200時間の高速回転条件で実機試験
を行ない、チップ材のカム摺動面における最大摩耗深さ
を測定すると共に、タペット本体へのチップ材の接合強
度を評価する目的で、これら両者の接合面を外周にそっ
て観察し、剥離が原因の割れ発生数を測定した。さらに
接合強度を評価する目的で、前記接合面の剪断強度も測
定した。これらの測定結果を表3に示した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【発明の効果】表1〜3に示される結果から、本発明タ
ペット部材1〜15は、いずれも高速運転にもかかわら
ず、チップ材のタペット本体からの剥離現象の発生な
く、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、比較タペット
部材1〜5に見られるように、タペット本体とチップ材
の接合に大きな影響を及ぼすタペット本体のSi並びに
チップ材のPおよび(Cr3 C2 +金属炭化物)のいず
れかの含有割合がこの発明の範囲から低い方に外れる
と、これらに強固な接合強度を確保することができない
ことが明らかである。上述のように、この発明のタペッ
ト部材は、これを構成するチップ材がタペット本体のカ
ム当接面側の頂面に著しく強固に接合しているので、内
燃機関の高速化および高性能化に十分満足に対応でき、
長期に亘ってすぐれた性能を発揮するのである。
ペット部材1〜15は、いずれも高速運転にもかかわら
ず、チップ材のタペット本体からの剥離現象の発生な
く、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、比較タペット
部材1〜5に見られるように、タペット本体とチップ材
の接合に大きな影響を及ぼすタペット本体のSi並びに
チップ材のPおよび(Cr3 C2 +金属炭化物)のいず
れかの含有割合がこの発明の範囲から低い方に外れる
と、これらに強固な接合強度を確保することができない
ことが明らかである。上述のように、この発明のタペッ
ト部材は、これを構成するチップ材がタペット本体のカ
ム当接面側の頂面に著しく強固に接合しているので、内
燃機関の高速化および高性能化に十分満足に対応でき、
長期に亘ってすぐれた性能を発揮するのである。
【図1】内燃機関のタペット部材を例示する概略縦断面
図である。
図である。
1 タペット本体、 1a タペット本体のカム当接面側の頂面、 2 チップ材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/52 C22C 38/52 F01L 1/14 F01L 1/14 B F // B23K 103:18 B23K 103:18 (56)参考文献 特開 平6−200715(JP,A) 特開 平4−132806(JP,A) 特開 平3−294452(JP,A) 特開 昭60−63349(JP,A) 特開 昭59−9148(JP,A) 特開 昭53−80319(JP,A) 特開 昭60−39149(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/00 - 20/227 F01L 1/14
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.
35%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
を有する低合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面
に、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1% 炭化クロム:0.5〜10%、 Nb,V,Ti,Mo、およびTaの炭化物のうちの1
種または2種以上:0.1〜7%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の焼結体か
らなる炭化タングステン基超硬合金製チップ材を拡散接
合してなる、チップ材が高い接合強度を有する内燃機関
タペット部材。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.
35%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、さらに、 Ni:0.4〜4.5%、 Mo:0.15〜0.
7%、のうちの1種または2種、を含有し、残りがFe
と不可避不純物からなる組成を有する低合金鋼製タペッ
ト本体のカム当接面側の頂面に、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1% 炭化クロム:0.5〜10%、 Nb,V,Ti,Mo、およびTaの炭化物のうちの1
種または2種以上:0.1〜7%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の焼結体か
らなる炭化タングステン基超硬合金製チップ材を拡散接
合してなる、チップ材が高い接合強度を有する内燃機関
タペット部材。 - 【請求項3】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.
35%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
を有する低合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面
に、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1% 炭化クロム:0.5〜10%、 Nb,V,Ti,Mo、およびTaの炭化物のうちの1
種または2種以上:0.1〜7%、 Fe:0.1〜3%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の焼結体か
らなる炭化タングステン基超硬合金製チップ材を拡散接
合してなる、チップ材が高い接合強度を有する内燃機関
タペット部材。 - 【請求項4】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.
35%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、さらに、 Ni:0.4〜4.5%、 Mo:0.15〜0.
7%、のうちの1種または2種、を含有し、残りがFe
と不可避不純物からなる組成を有する低合金鋼製タペッ
ト本体のカム当接面側の頂面に、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1% 炭化クロム:0.5〜10%、 Nb,V,Ti,Mo、およびTaの炭化物のうちの1
種または2種以上:0.1〜7%、 Fe:0.1〜3%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の焼結体か
らなる炭化タングステン基超硬合金製チップ材を拡散接
合してなる、チップ材が高い接合強度を有する内燃機関
タペット部材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22252595A JP3230137B2 (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP22252595A JP3230137B2 (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0949404A JPH0949404A (ja) | 1997-02-18 |
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JP (1) | JP3230137B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110468343A (zh) * | 2019-09-20 | 2019-11-19 | 广东省材料与加工研究所 | TiC析出增强高锰钢基复合材料及其制备工艺 |
-
1995
- 1995-08-08 JP JP22252595A patent/JP3230137B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110468343A (zh) * | 2019-09-20 | 2019-11-19 | 广东省材料与加工研究所 | TiC析出增强高锰钢基复合材料及其制备工艺 |
CN110468343B (zh) * | 2019-09-20 | 2020-12-08 | 广东省材料与加工研究所 | TiC析出增强高锰钢基复合材料及其制备工艺 |
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JPH0949404A (ja) | 1997-02-18 |
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