JP2827909B2 - チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材 - Google Patents
チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材Info
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Description
(以下、WCで示す)基超硬合金で構成されたチップ材
を、これの液相焼結と同時に低合金鋼製タペット本体
に、強固な接合強度で接合してなる内燃機関タペット部
材に関するものである。
リンエンジンなどの内燃機関のタペット部材として、例
えば特開昭62−182406号公報に記載され、かつ
図1に概略縦断面図で例示されるように、通常冷間鍛造
で成形加工され、かつ炭素鋼や合金鋼などで構成された
タペット本体1のカム当接面側の頂面1aに、金属の炭
化物、窒化物、およびほう化物のうちの1種以上とNi
またはNi合金で構成されたチップ材2を、これの液相
焼結と同時に接合してなるタペット部材が知られてい
る。
の高出力化および高性能化はめざましく、これに伴な
い、これの構造部材であるタペット部材はより一段と苛
酷な条件下での使用を余儀なくされる傾向にあるが、上
記の従来タペット部材においては、タペット本体とチッ
プ材との接合強度が十分でないために、苛酷な使用条件
下では、これら両者間に剥離が発生し易く、信頼性の点
で問題がある。
上述のような観点から、上記の従来タペット部材に着目
し、これを構成するチップ材のタペット本体への接合強
度の向上をはかるべく研究を行なった結果、タペット本
体を、重量%で(以下、%は重量%を示す)、C:0.
13〜0.5%、 Si:0.15〜0.35%、M
n:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5%、
を含有し、さらに必要に応じて、Ni:0.4〜4.5
%、 Mo:0.15〜0.7%、のうちの1種また
は2種、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる
組成を有する低合金鋼に特定すると共に、これのカム当
接面側の頂面に、焼結と同時に接合されるチップ材の焼
結前の圧粉体の配合組成を、Co:25〜30%、
P:0.1〜1%、炭化クロム(以下、Cr3 C2
で示す):0.5〜10%、必要に応じてFe:0.1
〜3%、WC:残り、からなるものに特定すると、チッ
プ材の焼結時に、タペット本体のSiとチップ材を構成
するPの相互作用でタペット本体へのチップ材のぬれ性
が著しく向上するようになると共に、チップ材の結合相
を構成するCo中に固溶したCr3 C2の作用でチップ
材のタペット本体への密着性が著しく向上し、この結果
焼結後のチップ材は、タペット本体にきわめて強固に接
合するようになり、かつ実質的にWC基超硬合金で構成
されるようになることから、すぐれた耐摩耗性も具備す
るという研究結果を得たのである。
なされたものであって、C:0.13〜0.5%、
Si:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜1.2
%、 Cr:0.4〜3.5%、を含有し、さらに必
要に応じて、Ni:0.4〜4.5%、 Mo:0.
15〜0.7%、のうちの1種または2種、を含有し、
残りがFeと不可避不純物からなる組成を有する低合金
鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面に、チップ材と
して、Co:25〜35%、 P:0.1〜1
%、Cr3 C2 :0.5〜10%、必要に応じてFe:
0.1〜3%、WC:残り、からなる配合組成の圧粉体
を液相焼結接合してなる、チップ材が高い接合強度を有
する内燃機関タペット部材に特徴を有するものである。
て、タペット本体の成分組成およびチップ材の配合組成
を上記の通りに限定した理由を説明する。 A.タペット本体の成分組成 (a) C C成分には、素地に固溶して強度を向上させる作用があ
るが、その含有量が0.13%未満では所望の強度向上
効果が得られず、一方その含有量が0.5%を越えると
靭性が低下するようになることから、その含有量を0.
13〜0.5%と定めた。なお、望ましくは0.2〜
0.4%の含有がよい。
の共存作用でチップ材とのぬれ性を向上させ、もってチ
ップ材のタペット本体への密着性を向上させる作用があ
るが、その含有量が0.15%未満では前記作用に所望
の効果が得られず、一方その含有量が0.35%を越え
ると強度が低下するようになることから、その含有量を
0.15〜0.35%と定めた。望ましくは0.2〜
0.3%の含有がよい。
あるが、その含有量が0.3%未満では所望の靭性向上
効果が得られず、一方その含有量が1.2%を越えると
強度が急激に低下するようになることから、その含有量
を0.3〜1.2%と定めた。望ましくは0.7〜1%
の含有がよい。
があるが、その含有量が0.4%未満では所望の耐熱性
向上効果が得られず、一方その含有量が3.5%を越え
ると靭性が低下するようになることから、その含有量を
0.4〜3.5%と定めた。望ましくは1〜3%の含有
がよい。
せる作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
含有量が、それぞれNi:0.4%未満およびMo:
0.15%未満では所望の強度向上効果が得られず、一
方その含有量がNi:4.5%およびMo:0.7%を
越えると靭性が低下するようになることから、その含有
量をNi:0.4〜4.5%、Mo:0.15〜0.7
%と定めた。なお、望ましくはNi:2〜3%、Mo:
0.3〜0.5%の含有がよい。
せる作用があるが、その割合が、25%未満では前記作
用に所望の効果が得られず、一方その割合が35%を越
えると硬さが急激に低下し、耐摩耗性の低下が避けられ
ないことから、その割合を25〜35%と定めた。な
お、望ましくは28〜32%の割合がよい。
しめると共に、タペット本体のSiとの共存作用でチッ
プ材のタペット本体へのぬれ性を向上させる作用がある
が、その割合が0.1%未満では前記作用に所望の効果
が得られず、一方その割合が1%を越えると脆化現象が
現われるようになることから、その割合を0.1〜1%
と定めた。なお、望ましくは0.3〜0.7%の割合が
よい。
Siおよびチップ材のPによるぬれ性向上効果と相まっ
て、チップ材のタペット本体への密着性を著しく向上さ
せる作用があるが、その割合が0.5%未満では前記作
用に所望の効果が得られず、一方その割合が10%を越
えると強度が低下するようになることから、その割合を
0.5〜10%と定めた。望ましくは4〜8%の割合が
よい。
せる作用があるので、必要に応じて含有されるが、その
割合が0.1%未満では所望の硬さ向上効果が得られ
ず、その割合が3%を越える強度が低下するようになる
ことから、その割合を0.1〜3%と定めた。望ましく
は0.3〜1%の割合がよい。
より具体的に説明する。まず、いずれも冷間鍛造加工に
より図1に示される形状および外径:31mm×長さ:5
1mmの寸法を有し、かつそれぞれ表1に示される成分組
成の低合金鋼で構成されたタペット本体A〜Pを用意
し、またチップ材を形成するために、原料粉末として、
いずれも粒度が100メッシュ以下のWC粉末、Cr3
C2 粉末、Co−P合金(P:35%含有)粉末、Fe
−P合金(P:25%含有)粉末、Fe粉末、Co粉
末、および黒鉛粉末を用い、これら原料粉末を表2に示
される配合組成に配合し、混合した後、5ton /cm2 の
圧力で直径:31mmφ×厚さ:3mmの寸法をもった圧粉
体a〜qをプレス成形し、これらの圧粉体a〜qを、そ
れぞれ表3に示される組合せでタペット本体A〜Pのカ
ム当接面側の頂面上に図示の通り載置し、この状態で、
真空中、1200〜1300℃の範囲内の所定の温度に
60分間保持の条件で前記圧粉体を焼結してチップ材と
すると共に、これをタペット本体に接合することにより
本発明タペット部材1〜15および比較タペット部材1
〜5をそれぞれ製造した。
ト本体とチップ材の接合強度に影響を及ぼす成分、すな
わちペレット本体のSi並びにチップ材のPおよびCr
3 C2 のうちのいずれかの含有割合が、この発明の範囲
から低い方に外れたものである。
部材について、チップ材のビッカース硬さを測定すると
共に、これを6気筒12バルブ、8200cc、210馬
力のディーゼルエンジンに組込み、回転数:3000r.
p.m.、運転時間:200時間の高速回転条件で実機試験
を行ない、チップ材のカム摺動面における最大摩耗深さ
を測定すると共に、タペット本体へのチップ材の接合強
度を評価する目的で、これら両者の接合面を外周にそっ
て観察し、剥離が原因の割れ発生数を測定した。さらに
接合強度を評価する目的で、前記接合面の剪断強度も測
定した。これらの測定結果を表3に示した。
ペット部材1〜15は、いずれも高速運転にもかかわら
ず、チップ材のタペット本体からの剥離現象の発生な
く、すぐれた耐摩耗性を示すのに対して、比較タペット
部材1〜5に見られるように、タペット本体とチップ材
の接合に大きな影響を及ぼすタペット本体のSi並びに
チップ材のPおよびCr3 C2 のうちのいずれかの含有
割合でもこの発明の範囲から低い方に外れると、これら
に強固な接合強度を確保することができないことが明ら
かである。上述のように、この発明のタペット部材は、
これを構成するチップ材がタペット本体のカム当接面側
の頂面に著しく強固に接合しているので、内燃機関の高
速化および高性能化に十分満足に対応でき、長期に亘っ
てすぐれた性能を発揮するのである。
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.3
5%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
を有する低合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面
に、チップ材として、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1%、 炭化クロム:0.5〜10%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の圧粉体を
液相焼結接合してなる、チップ材が高い接合強度を有す
る内燃機関タペット部材。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.3
5%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、さらに、 Ni:0.4〜4.5%、 Mo:0.15〜0.7
%、のうちの1種または2種、を含有し、残りがFeと
不可避不純物からなる組成を有する低合金鋼製タペット
本体のカム当接面側の頂面に、チップ材として、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1%、 炭化クロム:0.5〜10%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の圧粉体を
液相焼結接合してなる、チップ材が高い接合強度を有す
る内燃機関タペット部材。 - 【請求項3】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.3
5%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
を有する低合金鋼製タペット本体のカム当接面側の頂面
に、チップ材として、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1%、 炭化クロム:0.5〜10%、Fe:0.1〜3%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の圧粉体を
液相焼結接合してなる、チップ材が高い接合強度を有す
る内燃機関タペット部材。 - 【請求項4】 重量%で、 C:0.13〜0.5%、 Si:0.15〜0.3
5%、 Mn:0.3〜1.2%、 Cr:0.4〜3.5
%、を含有し、さらに、 Ni:0.4〜4.5%、 Mo:0.15〜0.7
%、のうちの1種または2種、を含有し、残りがFeと
不可避不純物からなる組成を有する低合金鋼製タペット
本体のカム当接面側の頂面に、チップ材として、 Co:25〜35%、 P:0.1〜1%、 炭化クロム:0.5〜10%、Fe:0.1〜3%、 炭化タングステン:残り、からなる配合組成の圧粉体を
液相焼結接合してなる、チップ材が高い接合強度を有す
る内燃機関タペット部材。
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JP16318794A JP2827909B2 (ja) | 1994-06-22 | 1994-06-22 | チップ材が高い接合強度を有する内燃機関タペット部材 |
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JPH084506A JPH084506A (ja) | 1996-01-09 |
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KR100372785B1 (ko) * | 2000-10-20 | 2003-02-25 | 유영남 | 용접 및 내마모성이 우수한 태핏용 초경합금 |
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1994
- 1994-06-22 JP JP16318794A patent/JP2827909B2/ja not_active Expired - Fee Related
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