JP3230032B2 - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

トナー及び画像形成方法

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JP3230032B2 JP17768594A JP17768594A JP3230032B2 JP 3230032 B2 JP3230032 B2 JP 3230032B2 JP 17768594 A JP17768594 A JP 17768594A JP 17768594 A JP17768594 A JP 17768594A JP 3230032 B2 JP3230032 B2 JP 3230032B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法,静電記録
法,磁気記録法に用いられるトナー及び画像形成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真法としては米国特許第
2,297,691号明細書、特公昭42−23910
号公報及び特公昭43−24748号公報等に記載され
ている如く多数の方法が知られているが、一般には光導
電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的
潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、
必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、
加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気などにより定着し
複写物を得るものであり、そして感光体上に転写せず残
ったトナーは種々の方法でクリーニングされ、上述の工
程が繰り返される。従って、離型性,潤滑性,転写性の
優れたトナーが必要となる。
【0003】また、電子写真技術を用いたプリンタや複
写機において、感光体(静電荷像保持体)表面を一様に
帯電する手段として或いは感光体表面上のトナー像を転
写する手段として、コロナ放電器が一般に広く用いられ
てきたが、感光体表面に直接帯電部材を、直接或いは記
録材を介して接触或いは押圧しながら外部から電圧を印
加して直接帯電・転写する方法が研究開発され、実用化
されつつある。
【0004】例えば、特開昭63−149669号公報
や特開平2−123385号公報が提案されている。こ
れらは、接触帯電方法や接触転写方法に関するものであ
るが、静電荷像保持体に導電性弾性ローラーを当接し、
該導電性ローラーに電圧を印加しながら該静電荷像保持
体を一様に帯電し、次いで露光・現像工程によってトナ
ー像を得た後、該静電荷像保持体に、電圧を印加した別
の導電性弾性ローラーを押圧しながらその間に転写材を
通過させ、該静電荷像保持体上のトナー画像を転写材に
転写した後、定着工程を経て複写画像を得ている。
【0005】このような装置は、従来から広く実用され
ているコロナ放電を利用した転写手段に比して、転写ロ
ーラーの潜像担持体への圧接力を調整することによって
転写材の潜像担持体への吸着領域を拡大することができ
る。さらに転写材を転写部位において積極的に押圧支持
するので、転写材搬送手段による同期不良や転写材に存
在するループ及びカールによる転写ずれを生ずるおそれ
が少なく、画像形成装置の小型化にともなう転写材搬送
路の短縮化、潜像担持体の小径化の要請にも対応しやす
い。
【0006】反面、当接により転写を行う装置において
は、当接部位より転写電流が供給されるため、ある程度
の圧力を転写装置に加圧する必要がある。当接圧が加え
られた場合、潜像担持体上のトナー像にも圧力が加わり
凝集が起る傾向がある。
【0007】さらに潜像担持体表面が樹脂で構成されて
いる場合には、トナー凝集物と潜像担持体との間でも密
着が発生し、転写材への移行が阻害され、極端な場合、
密着が強固な部分が全く転写せずトナー画像が欠損する
現象が起りやすい。
【0008】この現象は0.1〜2mmのライン部にお
いて特に顕著になる。これはライン部ではエッジ現像と
なっており、トナーが多くのり、加工による凝集が起り
やすく、転写による欠損が起りやすいことによる。この
時、形成されるトナー画像は輪郭部のみ画像が形成され
た複写物となり、「転写中抜け」とよばれる。図11に
転写中抜けの例を示す。
【0009】「転写中抜け」は100g/cm2以上の
厚紙、平滑度の高いOHP用フィルム、両面コピー時の
2面目の複写時等で特に顕著になる。厚紙及びOHP用
フィルムでは転写材の厚みが厚いために、転写電界に効
果が少ないこと及び加圧が強くなり中抜けしやすくなる
事が考えられる。
【0010】両面コピー時の2面目の複写時では1面目
の定着画像形成時に定着器を通過すると、2面目の転写
に際しトナーと転写材との密着を妨げるため、中抜けが
起りやすくなると考えられる。
【0011】以上より、当接部材による転写装置の場
合、小型化,低電力等の多数の利点がある反面、転写材
に対する条件が厳しくなる。このため、トナーの離型
性,潤滑性,転写性の重要性は、増々大きくなってきて
いる。
【0012】その為に、特公昭57−13868号公
報,特開昭54−48245号公報,特開昭59−19
7048号公報,特開平2−3073号公報,特開平3
−63660号公報,米国特許第4,517,272号
等にシリコーン化合物を含有させる方法が開示されてい
る。また、特開昭49−42354号公報,特公昭58
−27503号公報,特開平2−3073号公報に無機
微粉体に吸着させてトナー中に添加させる方法が開示さ
れている。
【0013】また、特開昭59−200251号公報,
特開昭58−80650号公報,特開昭61−2798
65号公報,特開平1−100561号公報,特開平1
−105958号公報,特開平2−126265号公
報,特開平2−287367号公報,特開平3−437
48号公報,特開平4−274445号公報,特開平3
−53260号公報等にシリコーン化合物で処理された
粒子をトナー中に添加させることが開示されている。
【0014】しかしながら、シリコーン化合物に代表さ
れる液体潤滑剤は一般にトナーの帯電性に影響を与え、
その帯電性を不安定なものにしやすい。特に、低湿環境
において、その影響が過大に現らわれ、カブリの発生が
顕著になりやすい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の問題点を解決したトナー及び画像形成方法を提供する
ことにある。
【0016】本発明の目的は、現像性にすぐれ、特に低
湿環境においても、帯電性にすぐれカブリの無い画像の
得られるトナー及び画像形成方法を提供することにあ
る。
【0017】本発明は、少なくとも結着樹脂、液体潤滑
剤を有する潤滑粒子及び荷電制御剤を含有するトナー粒
子を含むトナーであって、該液体潤滑剤が、ジメチルシ
リコーン、フッ素変性シリコーン及びフッ化炭化水素か
らなるグループより選ばれる潤滑剤であって、かつ、該
荷電制御剤が、4級アンモニウム塩であることを特徴と
するトナーに関する。
【0018】さらに、本発明は、静電潜像保持体上の電
荷により形成された潜像をトナーにより顕像化させる画
像形成方法において、静電潜像保持体に圧接する部材が
帯電工程,転写工程,クリーニング工程の少なくとも一
つの工程にあり、トナーとして、上記トナーを用いるこ
とを特徴とする画像形成方法に関する。
【0019】本発明の構成に関し以下に詳細に説明す
る。
【0020】本発明のトナーは、液体潤滑剤を含有する
ため、高い離型性,潤滑性,転写性を有する。
【0021】本発明のトナーに用いる液体潤滑剤として
は、動物油,植物油,石油系潤滑油,合成潤滑油などが
用いられ、その安定性から合成潤滑油が好ましく用いら
れる。
【0022】合成潤滑油としては、ジメチルシリコー
ン、メチルフェニルシリコーン、各種変性シリコーンな
どのシリコーン;ペンタエリスリトールエステル、トリ
メチルロールプパンエステルなどのポリオールエステ
ル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
(α−オレフィン)などのポリオレフィン;ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリグ
リコール;テトラデシルシリケート、テトラオクチルシ
リケートなどのケイ酸エステル;ジ−2−エチルヘキシ
ルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアジペートなど
のジエステル;トリクレシルホスフェート、プロピルフ
ェニルホスフェートなどのリン酸エステル;ポリクロロ
トリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレンなどのフッ
化炭化水素;ポリフェニルエーテル、アルキルナフテ
ン、アルキル芳香族などがある。中でも熱安定性,酸化
安定性から、シリコーン,フッ化炭化水素が好ましい。
【0023】上記シリコーンとしては、アミノ変性、エ
ポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メ
タクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種
官能基変性などの反応性シリコーン;ポリエーテル変
性、メチルスチリル変性、アルキル変性、脂肪酸変性、
アルコキシ変性、フッ素変性などの非反応性シリコー
ン;ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、
メチルハイドロジエンシリコーンなどのストレートシリ
コーンが用いられる。
【0024】本発明においては、トナー表面に存在する
ことにより、その効果を発揮するので、硬化型のシリコ
ーンはその性質上、効果は薄れる。また、反応性シリコ
ーンや極性基をもつシリコーンは、結着樹脂への相溶性
がでる等して、その程度によってはトナー表面への移行
が少なくなり効果が劣る場合がある。また、非反応性シ
リコーンでも側鎖によってはトナーに用いる結着樹脂と
の相溶性が発現し、トナー表面への移行が少なくなり効
果が劣る場合もある。
【0025】従って、ジメチルシリコーン,フッ素変性
シリコーン,フッ化炭化水素が、反応性,極性が少なく
吸着も強固でなく、結着樹脂への相溶性もないので好ま
しく用いられる。
【0026】本発明に用いられる液体潤滑剤は、25℃
における粘度が10〜400,000cStであること
が好ましく、更には20〜200,000cStである
ことが好ましく、特には50〜100,000cStで
あることが好ましい。10cSt未満の場合には、低分
子量成分が多くなるためトナーに対し可塑的に働く場合
があり、耐ブロッキング性が悪化したり、経時による現
像性の悪化などが生じることがある。また、400,0
00cStを超える場合には、トナー中での移行が不均
一になったり、潤滑粒子中の液体潤滑剤の含有が不均一
になるなどしてトナー粒子一つ一つに均一な離型性,潤
滑性,帯電性が得られなくなり、現像性,転写性,耐汚
染性などに耐久劣化を引き起こすことがある。
【0027】液体潤滑剤の粘度測定は、ビスコテスター
VT500(ハーケ社製)を用いて行なう。
【0028】いくつかあるVT500用粘度センサーの
一つを選び(任意)、そのセンサー用の測定セルに測定
試料を入れて測定する。装置上に表示された粘度(pa
s)は、cStに換算する。
【0029】また、本発明において液体潤滑剤は、担体
に担持,吸着,造粒,凝集,含浸,内包させた状態でト
ナー中に添加,含有させることが好ましい。これによ
り、トナー粒子表面に液体潤滑剤を均一かつ適量存在さ
せることができ、トナーの離型性,潤滑性を安定化する
ことができる。
【0030】液体潤滑剤を担持,吸着,造粒,凝集,含
浸,内包させる担体としては、無機化合物の微粉体また
は有機化合物の微粉体が使用される。有機化合物として
は、スチレン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、シ
リコーンゴム、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂粒
子脂肪族系化合物等が挙げられる。これらの微粒子を液
体潤滑剤により造粒,凝集させたものを潤滑粒子として
用いる。
【0031】無機化合物としては、SiO2、GeO2
TiO2、SnO2、Al23、B23、P25、AS2
3などの酸化物;ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ゲ
ルマン酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミ
ノホウ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、タングステン酸
塩、モリブデン酸塩、テルル酸塩などの金属酸化物塩;
及びこれらの複合化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素、ア
モルファスカーボン;等が挙げられる。これらは単独あ
るいは混合して用いる。
【0032】無機化合物微粉体としては、乾式法及び湿
式法で製造した無機化合物微粉体が使用できる。
【0033】ここで言う乾式法とは、ハロゲン化合物の
蒸気相酸化により生成する無機化合物微粉体の製造法で
ある。例えばハロゲン化物ガスの酸素・水素中における
熱分解酸化反応を利用する方法で、基礎となる反応式は
次の様なものである。
【0034】 MXn+1/2nH2+1/4O2→MO2+nHC1
【0035】この式において、例えばMは金属、半金属
元素、Xはハロゲン元素、nは整数を表わす反応式であ
る。具体的には、AlCl3、TiCl4、GeCl4
SiCl4、POCl3、BBr3を用いればそれぞれA
23、TiO2、GeO2、SiO2、P25、B23
が得られる。
【0036】この時、ハロゲン化物を混合して用いれば
複合化合物が得られる。
【0037】他には、熱CVD、プラズマCVDなどの
製造法を応用して、乾式による微粉体を得ることができ
る。中でもSiO2、Al23、TiO2などが好ましく
用いられる。
【0038】一方、本発明に用いられる無機化合物微粉
体を湿式法で製造する方法は、従来公知である種々の方
法が適用できる。例えば、ケイ酸ナトリウムの酸による
分解、一般反応式で下記に示す。
【0039】Na2O・XSiO2+HCl+H2O→S
iO2・nH2O+NaCl
【0040】また、ケイ酸ナトリウムのアンモニア塩類
またはアルカリ塩類による分解、ケイ酸ナトリウムより
アルカリ土類金属ケイ酸塩を生成せしめた後、酸で分解
しケイ酸とする方法、ケイ酸ナトリウム溶液をイオン交
換樹脂によりケイ酸とする方法、天然ケイ酸またはケイ
酸塩を利用する方法などがある。
【0041】その他には、金属アルコキシドの加水分解
による方法がある。この一般反応式を下記に示す。
【0042】 M(OR)n+1/2nH2O→MO2+nROH
【0043】この式において、例えばMは金属、半金属
元素、Rはアルキル基、nは整数を表わす反応式であ
る。またこの時、2種以上の金属アルコキシドを用いれ
ば複合物が得られる。
【0044】これらの中でも適度な電気抵抗を有する点
で、無機化合物が、その中でも金属酸化物が好ましい。
特に、Si、Al、Tiの酸化物、複酸化物が好まし
い。また表面をカップリング剤等によりあらかじめ疎水
化したものを用いてもよい。
【0045】しかしながら、液体潤滑剤の中にはトナー
粒子表面を覆うと帯電過剰となり易くなるものがある
が、疎水化していないものを担体として用いると電荷の
リーワを行うことができ、現像剤の帯電を安定化でき良
好な現像性を維持できるようになる。従って、表面処理
を行っていない担体を用いることも好ましい形態の一つ
である。
【0046】微粒子の粒径としては、好ましくは0.0
01〜20μm、さらに好ましくは0.005〜10μ
mであるのが良い。
【0047】BET比表面積としては、好ましくは5〜
500m2/g、より好ましくは10〜400m2/g、
さらに好ましくは20〜350m2/gが良い。5 2
g未満では、本発明の液体潤滑剤を好適な粒径の潤滑粒
子として保持することが困難となりやすい。
【0048】潤滑粒子における液体潤滑剤の量は、10
〜90重量%、好ましくは20〜85重量%、さらに好
ましくは40〜80重量%の場合に所期の効果が得られ
る。液体潤滑剤の量が10重量%未満の場合、トナーに
良好な潤滑性,離型性が与えられない一方、その為に潤
滑粒子を多量に含有させると現像性,定着性の低下を引
き起こす。90重量%を超える場合には、含有量が均一
な潤滑粒子が得られなかったり、トナー中に液体潤滑剤
を均一に分散しにくくなってしまう。
【0049】従来よりSiO2,Al23,TiO2にシ
リコーン等を吸着させる方法が提案されているが、これ
らの方法は吸着が強すぎ液体潤滑剤がトナー表面に現わ
れにくく、トナーに十分な潤滑性,離型性を与えること
ができなく、本発明の必要とする潤滑粒子とはならな
い。本発明は液体潤滑剤を保持しつつ遊離を行える様に
その潤滑粒子の粒径が0.5μm以上であることが好ま
しく、さらには1μm以上であることが好ましく、更に
は3μm以上であることが好ましく、特にその体積基準
分布による主成分が、得られるトナーの粒径よりも大き
いことも好ましい。
【0050】これらの潤滑粒子は液体潤滑剤を多量に含
まれていて、もろいのでトナー製造中にその一部はくず
れトナー粒子に均一に分散するとともに液体潤滑剤を遊
離し、トナー粒子に潤滑性,離型性を与えることができ
る。
【0051】その一方で潤滑粒子は液体潤滑剤の保持能
力を維持した状態でトナー中にその由来物として存在す
るので、トナー中でのその粒径等は限定されない。
【0052】従って、液体潤滑剤を過度にトナー粒子表
面に移行させることもなく、流動性,現像性の劣化も生
じない。
【0053】一方、トナー粒子表面から脱離しても補充
することも可能であるのでトナーの離型性,潤滑性を維
持することができる。
【0054】これらの潤滑粒子は混合機中で液体潤滑剤
あるいは任意の溶媒で希釈した溶液等の液滴に微粒子を
吸収させるという方法を用いて造粒することができ、溶
媒は造粒後揮発させればよく、その後粉砕してもよい。
【0055】あるいは混練機等を用いて微粒子に液体潤
滑剤あるいはその希釈物を滴下して混練し、必要に応じ
てその後粉砕して造粒することができ、溶媒は造粒後揮
発させる方法が用いられる。
【0056】以上のような潤滑粒子は結着樹脂100重
量部に対し、0.1〜20重量部含有することを特徴と
する。0.1重量部未満では潤滑,離型効果が得られ
ず、20重量部を超える場合は、定着,摩擦帯電を阻害
しやすくなるので好ましくない。
【0057】本発明における潤滑粒子は、多孔質粉体に
液体潤滑剤を含浸,内包させたものを用いることができ
る。
【0058】本発明において用いられる多孔質粉体とし
ては、ゼオライトに代表されるモレキュラーシーブ、ベ
ントナイト等の粘土鉱物、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、樹脂ジェル等がある。多孔質粉体でも樹
脂ジェルのごとき、トナー製造時の混練工程でその粒子
が崩壊するものはその粒径が限定されない。
【0059】しかしながら、崩壊困難な多孔質粉体の粒
径としては、1次粒径で15μm以下が好ましい。15
μmを超えるとトナー中への分散が不均一になる恐れが
ある。
【0060】また、液体潤滑剤を含浸する前の多孔質粉
体の窒素比表面積は、10〜50m2/gであるものも
好ましい。10m2/g未満では通常の多孔性でない粒
子と変らず、多量に液体潤滑剤を保持することができ
ず、50m2/gを超えると細孔径が細かく、細孔内に
液体潤滑剤が十分に含浸できなくなる。
【0061】多孔質粉体に液体潤滑剤を含浸させる方法
としては、多孔質粉体を減圧処理し、これを液体潤滑剤
に浸すという方法で製造できる。
【0062】液体潤滑剤を含浸させた多孔質粉体は結着
樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲で
混合するのが望ましい。0.1重量部未満では、潤滑
性,離型性改善に効果がなく、20重量部を超えると現
像剤の帯電,定着を妨げるので好ましくない。
【0063】他にも液体潤滑剤を内包するカプセル型潤
滑粒子や、内部に液体潤滑剤を分散,内包,膨潤,含浸
した樹脂粒子なども利用できる。
【0064】本発明のトナー粒子は実質的に不定形であ
ることが好ましい。例えば、トナー粒子が球形もしくは
それに準ずる形状であると、潤滑性に優れているために
滑り過ぎることがあり、クリーナー部で十分にクリーニ
ングされずにすり抜け等が発生することがある。しかし
ながら、トナー粒子が不定形であると、適度な摩擦が得
られるので離型性を損なわず十分なクリーニングを行う
ことができる。
【0065】本発明では液体潤滑剤を潤滑粒子としてト
ナー中に分散させることが好ましいが、潤滑粒子やその
崩壊物はトナー中に均一に分散するので、それに伴い液
体潤滑剤もトナー粒子一つ一つに均一に分散させること
ができる。
【0066】従来より、シリコーン等をトナー中に均一
に分散させるため各種担体に吸着させて用いることがあ
り、単に直接にシリコーン等を添加する方法より均一分
散性に優れている。
【0067】しかしながら、この方法においては、単に
分散性を向上させるのが目的ではなく、担体より遊離し
てその離型,潤滑効果を有効に発揮しなければならない
のと共に、ある程度の保持を要し、過度の遊離や製造途
中での遊離を防止する必要がある。
【0068】そのために本発明においては、潤滑粒子を
用いることが好ましく、液体潤滑剤を各種担体に担持さ
せた潤滑粒子が用いられる。
【0069】着色剤や磁性粉が、トナー粒子表面あるい
は表面近傍にも存在することで、トナー粒子表面の液体
潤滑剤量を適度に調整することもできる。
【0070】また、液体潤滑剤は潤滑粒子の担体より遊
離し、トナー粒子表面に移行してゆくが、担体の保持力
が強ければ液体潤滑剤は遊離が少なく、トナー粒子表面
への移行は少なくなり、トナー粒子の離型性,潤滑性は
得られない。逆に、担体の保持力が弱ければ液体潤滑剤
はトナー粒子表面への移行が多くなり、摩擦帯電性に異
常をきたし、帯電過剰となったり、帯電阻害を受け、現
像性の低下を引き起こす。また著しく流動性が悪くな
り、現像スリーブへの供給不良をきたし、濃度ムラを生
じる。また、トナー粒子表面から脱離してしまうと、離
型,潤滑効果は失なわれてしまう。
【0071】本発明においては、潤滑粒子の保持力が適
度であるために液体潤滑剤の遊離も生じるが過度に生じ
ることもない。また、トナー粒子表面から液体潤滑剤が
脱離しても徐々に補給されてくるので、トナーの離型,
潤滑効果は持続される。また、トナー粒子表面あるいは
表面近傍にも着色剤,磁性粉が存在するため、トナー粒
子表面に移行した液体潤滑剤を再吸着することもでき、
過度のしみ出しを防止することができ、現像性に悪影響
を及ぼすことがない。更に、トナー粒子表面から液体潤
滑剤が脱離しても、トナー粒子表面への移行も速やかに
行なわれ、離型,潤滑効果も一様に持続される。
【0072】従って、着色剤,磁性粉がトナー粒子表面
あるいは表面近傍にも存在することは、液体潤滑剤をト
ナー粒子表面に適量保持するのに重要である。すなわ
ち、余分な液体潤滑剤は吸着するが脱離等により失なわ
れた分はすみやかに補給され、機能を補助することがで
きる。
【0073】以上のことからも本発明のトナーは、ある
程度時間を経ることでその離型性,潤滑性は平衡に達
し、その効果は最大となる。従って、製造後、保存期間
を経ることで効果は向上するが担体の吸着と平衡状態に
なるので、過剰に液体潤滑剤がトナー粒子表面に出てく
ることはなく、その保存性,耐久性に影響を与えること
はない。
【0074】一方、30〜45℃の熱履歴を与えること
でその期間を早め、安定した状態で最大の効果を発揮で
きる現像剤となるので好ましい。また、熱履歴によって
も平衡状態に達するので一定の効果を保ち、弊害を出す
ことはない。熱履歴を加えるのはトナー粒子造粒後であ
ればいつでもよく、粉砕法の場合は粉砕後ということに
なる。
【0075】液体潤滑剤量としては、結着樹脂100重
量部に対し0.1〜7重量部となる様に潤滑粒子を添加
することが好ましく、液体潤滑剤量として更に好ましく
は0.2〜5重量部であり、特に好ましくは0.3〜3
重量部であり、更には0.3〜2重量部であることが好
ましい。
【0076】無機化合物のうち、先にあげたもの以外
で、磁性粉も好ましく担体として用いることができる。
【0077】磁性粉としては、マグネタイト、ヘマタイ
ト、フェライトの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのよ
うな金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバル
ト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、
ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マン
ガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのよ
うな金属の合金及びその混合物が用いられ、磁性酸化鉄
の表面あるいは内部にSi,Al,Mg等の金属イオン
の酸化物、含水酸化物、水酸化物等の化合物を含むもの
が好ましく用いられる。特にケイ素元素を含有する磁性
酸化鉄が好ましく、その含有率が磁性粉を基準として
0.1〜3重量%であることが好ましい。更に好ましく
は0.2〜2重量%であり、特に好ましくは0.25〜
1.0重量%である。
【0078】本発明の磁性酸化鉄中のケイ素元素量は、
蛍光X線分析装置SYSTEM3080(理学電機工業
(株)製)を使用し、JIS K0119「けい光X線
分析通則」に従って、蛍光X線分析を行うことにより測
定した。
【0079】けい素元素を含有する磁性酸化鉄は、液体
潤滑剤を吸着をするものの、強固ではないため余分な液
体潤滑剤を表面に保持しておくことが可能である。ま
た、適度な遊離,保持によりトナー粒子表面に均一に存
在する様になり、効果的な離型性,潤滑性を長期にわた
り維持することができ、劣化することもなく、連続使用
に伴う耐久性にも優れている。
【0080】製造中に遊離しきってしまうと、トナー粒
子一つ一つに均一に液体潤滑剤成分を含有させることが
できなくなってしまう。また適度な吸着保持がないと、
トナー粒子表面に液体潤滑剤が多量に存在する様にな
り、現像性,摩擦帯電性に悪影響を及ぼし、画像濃度
薄,かぶり,帯電過剰による画像濃度低下等を引き起こ
したり、耐久による現像性の低下を生じる。
【0081】またケイ素を含有する磁性酸化鉄は粒度分
布がそろっているので、トナー粒子それぞれに含まれる
磁性粉の表面積が均一になり、トナー粒子中に含有され
る液体潤滑剤の含有量もより均一になる。
【0082】ケイ素含有量が0.1重量%未満では、ケ
イ素元素の効果が現われず、3重量%を超える場合には
高湿下における現像性の低下、たとえば画像濃度低下な
どを生じることがある。
【0083】磁性粉の形状としては、6面体,8面体,
10面体,12面体,14面体などの多面体、針状,鱗
片状,球形,不定形のものなどが用いられる。中でも多
面体のものが好ましく用いられ、特に6面体,8面体の
ものが好ましい。
【0084】すなわち、本発明に用いられる磁性粉は表
面に液体潤滑剤を担持しているため、結着樹脂に対して
相溶性がないばかりか離型性がでてしまうため表面の磁
性粉粒子が脱離しやすくなってしまう。しかしながら、
多面体形状をしている磁性粉の場合は、その形状から物
理的に脱離を防ぐことができる。
【0085】一方、球形を呈している場合には、脱離す
る場合がでてくる。この様な場合、現像剤を補給して長
期にわたり使用する現像器の場合には少しずつ脱離した
磁性粉が現像スリーブ上に付着して摩擦帯電付与能力が
低下し、現像性が低下する様になる。しかしながら、球
形を呈する磁性酸化鉄であっても、ケイ素を含有する様
になると合成条件により表面に凹凸ができたり、角がで
きたりして不定形状に近くなり、脱離防止に効果を発揮
する様になる。その効果は、ケイ素含有量が0.2重量
%以上から現われ始める。
【0086】磁性粉の窒素ガス吸着法によるBET比表
面積としては、1m2/g〜40m2/g、さらには2m
2/g〜30m2/gのものが好ましく、さらには、3m
2/g〜20m2/gのものが好ましい。
【0087】磁性粉の飽和磁化としては、10Kエルス
テッドの磁場で、5emu/g〜200emu/g、さ
らには10emu/g〜150emu/gの範囲のもの
が好ましい。
【0088】磁性粉の残留磁化としては、10Kエルス
テッドの磁場で、1emu/g〜100emu/g、さ
らには1emu/g〜70emu/gが好ましい。
【0089】磁性粉の平均粒子径としては、0.05〜
1.0μm、さらに好ましくは0.1〜0.6μm、さ
らに好ましくは0.1〜0.4μmのものが良い。
【0090】磁性粉をトナー中に含有させる量として
は、結着樹脂100重量部に対し10〜200重量部、
好ましくは20〜170重量部、特に好ましくは30〜
150重量部である。
【0091】磁性粉の形状は、透過型電子顕微鏡及び走
査型電子顕微鏡により観察したものである。
【0092】磁性粉の磁気特性は、「振動試料型磁力計
VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を用いて外
部磁場10Kエルステッドの下で測定した値である。
【0093】比表面積に関しては、BET法に従って、
比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社
製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多
点法を用いて比表面積を算出する。無機微粉体もこの方
法を用いて測定する。
【0094】本発明のトナーは、荷電制御剤として4級
アンモニウム塩を含有するため、トナー中に液体潤滑剤
が存在しても、低湿環境においてトナーの帯電が安定し
ており、カブリの発生がない。これは、4級アンモニウ
ム塩と液体潤滑剤の相互作用により、低湿環境におい
て、トナーの帯電が不安定になるのを防止するためと考
えている。他の種類の一般的な荷電制御剤では、この様
な効果はあらわれない。
【0095】4級アンモニウム塩としては、下記一般式
で表わされる。
【0096】
【化1】
【0097】R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子,
アルキル基,アルケニル基,未置換あるいは置換芳香族
基等を表わし、A-はカウンターのアニオンを表わす。
【0098】R1〜R4のうち、1つ以上の基が、炭素数
6個以上さらには、10以上さらには、12個以上から
構成されるアルキル基またはアルケニル基、未置換ある
いは置換芳香族基であるものが特に好ましい。
【0099】またA-:カウンターのアニオンとして
は、Cl-,Br-,I-等のハロゲンイオン;Cl
3 -,ClO4 -,IO3 - ,IO4 -等のハロゲン酸イオ
ン;
【0100】
【化2】
【0101】CH 3SO4 -等のスルフォン酸系イオン,
硫酸系イオン;BF 4 -,PF6 -;Mo724 6-,H212
42 10-,PW1240 3-等のモリブデン酸,タングステ
ン酸イオン;モリブデン原子あるいはタングステン原子
を含むヘテロポリ酸イオン等を挙げることができる。
【0102】これらの中でも、カウンターのアニオンの
一部またはすべてが、モリブデン酸イオン,タングステ
ン酸イオン,モリブデン原子あるいはタングステン原子
を含むヘテロポリ酸イオンのいずれかであるものが、本
発明のトナーにおいて、低湿環境でのカブリの低減の効
果が顕著である。
【0103】それらの例として、先のもの以外に、以下
のものが挙げられる。
【0104】MoO4 2-,Mo826 4-,PMo
1240 3-,BMo1240 5-;WO4 2-,H2124 5-
SiW1240 4-,FeW1240 5-
【0105】4級アンモニウム塩のトナーへの含有量と
しては、結着樹脂100重量部に対して、3重量部以
下、さらには2重量部以下、さらには1.5重量部以下
が好ましく、低湿環境におけるカブリの抑制に効果的で
ある。含有量が0.1重量部を下回ると十分な効果を得
にくい。
【0106】本発明でトナーの結着樹脂としては、下記
の結着樹脂の使用が可能である。
【0107】例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロル
スチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびそ
の置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共
重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン
−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重
合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチ
ルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−イン
デン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニ
ル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹
脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エ
ポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テ
ルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが
使用できる。好ましい結着物質としては、スチレン系共
重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0108】スチレン系共重合体のスチレンモノマーに
対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−
2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリ
ル、メタクリルニトリル、アクリルアミドなどのような
二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;
例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メ
チル、マレイン酸ジメチルなどのような二重結合を有す
るジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、
酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエステ
ル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのよ
うなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケト
ン、ビニルヘキシルケトンなどのようなビニルケトン
類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテ
ル、ビニルイソブチルエーテルなどのようなビニルエー
テル類;等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用い
られる。
【0109】スチレン系重合体またはスチレン系共重合
体は架橋されていてもよくまた混合樹脂でもかまわな
い。
【0110】結着樹脂の架橋剤としては、主として2個
以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよ
い。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンな
どのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなど
のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジ
ビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィ
ド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3
個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合
物として用いられる。
【0111】塊状重合法では、高温で重合させて停止反
応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることも
できるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。
溶液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利
用して、また開始剤量や反応温度を調節することで低分
子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、本発
明で用いる樹脂組成物の中で低分子量体を得る時には好
ましい。
【0112】溶液重合で用いる溶媒としては、キシレ
ン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピル
アルコール、ベンゼン等が用いられる。スチレンモノマ
ー混合物の場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ま
しい。重合生成するポリマーによって適宜選択される。
【0113】反応温度としては、使用する溶媒、開始
剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜23
0℃で行なうのが良い。溶液重合においては溶媒100
重量部に対してモノマー30重量部〜400重量部で行
なうのが好ましい。
【0114】更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を
混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合でき
る。
【0115】また、高分子量成分やゲル成分を得る重合
法としては、乳化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0116】このうち、乳化重合法は、水にほとんど不
溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水
相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行
なう方法である。この方法では反応熱の調節が容易であ
り、重合の行なわれる相(重合体と単量体からなる油
相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、そ
の結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。
さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重
合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造におい
て、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容
易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の
製造方法として他の方法に比較して有利である。
【0117】しかし、添加した乳化剤のため生成重合体
が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操
作が必要であるので懸濁重合が簡便な方法である。
【0118】懸濁重合においては、水系溶媒100重量
部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは1
0〜90重量部)で行なうのが良い。使用可能な分散剤
としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコー
ル部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、水系
溶媒に対するモノマー量等で適当量があるが、一般に水
系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用い
られる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用
する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべ
きである。また開始剤種類としては、水に不溶或は難溶
のものであれば用いることが可能である。
【0119】使用する開始剤としては、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレ
ート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパ
ーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t
−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’
−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビ
ス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサ
ン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリ
レート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタ
ン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、
ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−
ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ
ル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサ
クシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタ
レート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフ
タレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパー
オキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリ
メチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)ト
リアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラ
ン等が挙げられ、これらが単独あるいは併用して使用で
きる。
【0120】その使用量はモノマー100重量部に対
し、0.05重量部以上(好ましくは0.1〜15重量
部)の濃度で用いられる。
【0121】本発明に用いられるポリエステル樹脂の組
成は以下の通りである。
【0122】2価のアルコール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また
(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0123】
【化3】
【0124】(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基
であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、
x+yの平均値は0〜10である。)
【0125】また(B)式で示されるジオール類;
【0126】
【化4】
【0127】(式中、R’は−CH2CH2−又は
【0128】
【化5】 であり、x’,y’は0以上の整数であり、かつ、x’
+y’の平均値は0〜10である。)が挙げられる。
【0129】2価の酸成分としては、例えばフタル酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベン
ゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエス
テル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級
アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデ
シルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアル
キルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステ
ル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸
などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アル
キルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙
げられる。
【0130】また、架橋成分としても働く3価以上のア
ルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ま
しい。
【0131】3価以上の多価アルコール成分としては、
例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロ
ール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、
1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタン
トリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオ
ール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,
3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0132】また、本発明における3価以上の多価カル
ボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリ
ット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,
2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタ
レントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカル
ボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,
5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル
−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テト
ラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−
オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及び
これらの無水物、低級アルキルエステル;次式
【0133】
【化6】
【0134】(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以
上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレ
ン基)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの
無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及
びその誘導体が挙げられる。
【0135】本発明に用いられるアルコール成分として
は40〜60mol%、好ましくは45〜55mol
%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは5
5〜45mol%であることが好ましい。
【0136】また3価以上の多価の成分は、全成分中の
5〜60mol%であることが好ましい。
【0137】現像性,定着性,耐久性,クリーニング性
の点からスチレン−不飽和カルボン酸誘導体共重合体、
ポリエステル樹脂、及びこれらのブロック共重合体、グ
ラフト化物、更にはスチレン系共重合体とポリエステル
樹脂の混合物が好ましい。
【0138】また、GPCにより測定される分子量分布
で105以上の領域にピークを有することが好ましく、
更に3×103〜5×104の領域にもピークを有するこ
とが定着性、耐久性の点で好ましい。
【0139】このような樹脂成分は、たとえば以下に示
すような方法を用いて得ることができる。
【0140】溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重
合、ブロック共重合、グラフト化などを応用し、分子量
3×103〜5×104の領域にメインピークを有する重
合体(L)と、105以上の領域にメインピークを有す
る重合体あるいはゲル成分を含有する重合体(H)を形
成する。これらの成分を溶融混練時にブレンドすること
によって得ることができる。ゲル成分は溶融混練時に一
部あるいは全部切断することができ、THF可溶分とな
って105以上の領域の成分としてGPCで測定される
ようになる。
【0141】特に好ましい方法としては、重合体(L)
または重合体(H)を溶液重合で形成し、重合終了時
に、他方を溶媒中でブレンドする方法、一方の重合体存
在下で他方の重合体を重合する方法、重合体(H)を懸
濁重合で形成し、この重合体存在下で重合体(L)を溶
液重合で重合して得る方法や溶液重合終了時に溶媒中で
重合体(H)をブレンドする方法、重合体(L)存在下
で、重合体(H)を懸濁重合で重合し得る方法などがあ
る。これらの方法を用いることにより、低分子量分と高
分子量分が均一に混合した重合体が得られる。
【0142】更に、これらの樹脂は液体潤滑剤と相溶性
が小さいので、液体潤滑剤がトナー粒子表面に移行しや
すく、トナーに効果的な離型,潤滑性を付与できる。
【0143】圧力定着方式に供せられるトナー用の結着
樹脂としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプ
ロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸エステル共重合体、高級脂肪酸、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは、単独
でまたは混合して用いることができる。
【0144】一方、加熱定着用トナーの場合は、結着樹
脂としてスチレン系共重合体を使用する時には、液体潤
滑剤の効果を十分に発揮させるとともに可塑作用による
弊害である耐ブロッキング性,現像性の悪化を防ぐため
に、以下のようなトナーが好ましい。
【0145】即ち、本発明のトナーは、吸熱ピークのオ
ンセット温度が50℃以上である固体ワックスを含有す
ることにより、トナーのすべり性を更に向上することが
できる。
【0146】更に本発明で固体ワックスは、示差走査熱
量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の吸
熱ピークで、ピークのオンセット温度が50℃以上であ
ることを特徴としている。50℃未満の場合には熱履歴
工程中にブロッキングしてしまうことがある。オンセッ
ト温度は50〜120℃の範囲内にあることが特に好ま
しく、更に好ましくは60〜110℃である。更に、最
大吸熱ピークのピークトップ温度が130℃以下である
ことも好ましく、70〜130℃の範囲内にあることが
特に好ましい。更に好ましくは85〜120℃である。
昇温時には、ワックスに熱を与えた時の変化を見ること
ができワックスの転移、融解に伴う吸熱ピークが観測さ
れる。ピークのオンセット温度が50〜120℃の範囲
内にあることにより特に好ましく現像性、耐ブロッキン
グ性、低温定着性を満足することができる。ピークのオ
ンセット温度が50℃未満の場合には、ワックスの変化
温度が低過ぎ、液体潤滑剤の作用も働き耐ブロッキング
性が劣ったり、昇温時の現像性に劣るトナーになり易く
なる。120℃を超える場合には、ワックスの変化温度
が高過ぎ、十分な定着性を得られにくくなる傾向にあ
る。130℃以下に、好ましくは70〜130℃の範囲
内に、特に好ましくは85〜120℃の範囲内に最大吸
熱ピークが存在することにより、特に良好な定着性、耐
オフセット性を満足できる。70℃未満に最大のピーク
のピーク温度が存在する場合には、ワックスの融解温度
が低過ぎ十分な耐高温オフセット性が得られず、130
℃を超える領域に最大ピークのピーク温度が存在する場
合には、ワックスの融解温度が高過ぎ十分な耐低温オフ
セット性、低温定着性が得られにくくなる傾向にある。
すなわちこの領域に最大ピークのピーク温度が存在する
ことで、耐オフセット性と定着性のバランスを取り易く
なる。
【0147】更に、耐高温オフセット性を向上させるた
めには、吸熱ピークの終点のオンセット温度が80℃以
上であることが好ましく、更には80〜140℃が好ま
しく、更には90〜130℃であり、100〜130℃
であることが特に好ましい。
【0148】更に、終点のオンセット温度とオンセット
温度との差が70〜5℃、好ましくは60〜10℃、更
に好ましくは50〜10℃であることが良い。
【0149】このようにすることで、低温定着性、耐オ
フセット性、耐ブロッキング性、現像性などの液体潤滑
剤と併用する際のバランスを取り易くなる。例えば、温
度範囲がこれより広い範囲に及ぶ場合には、低温定着
性、耐オフセット性が得られても耐ブロッキング性が劣
るようなことが生じる。
【0150】本発明の液体潤滑剤は定着時にも離型効果
を発揮するが、特に加熱定着トナーの場合は、定着時の
定着部材からの離型性の向上、定着性の向上の点から、
次のようなワックス類をトナー中に含有させることが好
ましい。
【0151】パラフィンワックス及びその誘導体、モン
タンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワ
ックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワック
ス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘
導体、カルナバワックス及びその誘導体などで、誘導体
には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合
物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪
酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ひまし油及びそ
の誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワ
ックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0152】中でも好ましく用いられるワックスは、オ
レフィンを高圧下でラジカル重合あるいはチーグラー触
媒を用いて重合した低分子量のポリオレフィン及びこの
時の副生成物、高分子量のポリオレフィンを熱分解して
得られる低分子量のポリオレフィン、一酸化炭素、水素
からなる合成ガスから触媒を用いて得られる炭化水素の
蒸留残分、あるいはこれらを水素添加して得られる合成
炭化水素などから得られるワックスが用いられ、酸化防
止剤が添加されていてもよい。あるいは、直鎖状のアル
コール、酸アミド、エステルあるいは、モンタン系誘導
体である。また、脂肪酸等の不純物を予め除去してある
ものも好ましい。
【0153】特に好ましいものは、チーグラー触媒でエ
チレンなどのオレフィンを重合したもの及びこの時の副
生成物、フィッシャトロプシュワックスなどの炭素数が
数千、特には千ぐらいまでの炭化水素を母体とするもの
が良い。また、炭素数が数百、特には百ぐらいまでの末
端に水酸基をもつ長鎖アルキルアルコールも好ましい。
【0154】これらのワックスから、プレス発汗法、溶
剤法、真空蒸留、超臨界ガス抽出法、分別結晶化(例え
ば、融液晶析及び結晶ろ別)等を利用して、ワックスを
分子量により分別したワックスも本発明に好ましく用い
られる。また分別後に、酸化やブロック共重合、グラフ
ト変性を行なってもよい。例えば、これらの方法で、低
分子量分を除去したもの、低分子量分を抽出したもの、
更にこれらから低分子量分を除去したものなどの任意の
分子量分布を持つものである。
【0155】本発明のトナーにおいては、これらのワッ
クスの含有量は、結着樹脂100重量部に対し、0.2
〜20重量部で用いられ、0.5〜10重量部で用いる
のが効果的である。更に、数種のワックス類を併用して
も構わない。
【0156】本発明においてDSC測定では、結着樹
脂,ワックスの熱のやり取りを測定しその挙動を観測す
るので、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示
差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パー
キンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
【0157】測定方法は、ASTM D3418−82
に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回
昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/m
inで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用い
る。ガラス転移点の定義は次のように定める。
【0158】・ガラス転移点(Tg) 昇温時のDSC曲線において比熱変化の現われる前後の
ベースラインの中間点を結ぶ線とDSC曲線の交点の温
度。
【0159】着色剤としても必要に応じて従来より知ら
れている無機・有機の染料・顔料が使用可能であり、例
えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレ
ンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ロ
ーダムンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロ
シアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これ
らは通常、結着樹脂100重量部に対し0.5〜20重
量部使用される。
【0160】本発明に係るトナーを製造するにあたって
は、上述した様なトナー構成材料をボールミルやヘンシ
ェルミキサー、その他の混合機により充分混合した後、
熱ロールニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を
用いて良く混練し、混練物を冷却固化後、機械的な粉
砕、粉砕物の分級によってトナーを得る方法が好まし
い。
【0161】特に、液体潤滑剤を担体に保持した状態で
添加する方法が好ましい。構成材料を混合する際に、液
体潤滑剤は、担体とともに他の構成材料と均一に分散
し、さらに、混練中に「液体潤滑剤と担体」からなる粒
子のその一部が崩壊しながら、その崩壊物を結着樹脂中
に均一に分散させることができる。
【0162】他には、結着樹脂の溶液中に構成材料を分
散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法;
結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳
化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法に
よるトナーの製造法がある。またコア材及びシェル材か
ら成るマイクロカプセルトナーがある。
【0163】有機処理せしめた無機微粉体をヘンシェル
ミキサー等の混合機により、トナーと充分混合すること
が好ましい。
【0164】有機処理した無機微粉体は、離型効果が大
きく、液体潤滑剤を含有するトナーとともに用いること
で現像剤の潤滑性,離型性は格段に向上する。また、ト
ナー粒子表面の液体潤滑剤を吸着してしまうこともな
い。
【0165】また表面に液体潤滑剤を有するトナーは静
電凝集しやすいが、有機処理した無機微粉体により現像
剤に流動性を付与できるだけでなく、帯電もさらに安定
化することができる。
【0166】例えば、有機処理せしめる母体としては、
湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ;ア
ルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウ
ム等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化
物;及び窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム等の窒化物など
の無機微粉体などが用いられる。
【0167】有機処理せしめた無機微粉体は、トナー1
00重量部に対して0.01〜8重量部、好ましくは
0.1〜4重量部使用するのが良い。
【0168】母体となる無機微粉の中でも好ましいもの
は金属ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微
粉体であり、いわゆる乾式法によるもので、従来公知の
技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケ
イ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用す
るもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0169】 SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0170】また、この製造工程において、例えば塩化
アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物
をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリ
カと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であ
り、それらも包含する。
【0171】一方、湿式法で製造する方法は、従来公知
である種々の方法が適用できる。例えば、ケイ酸ナトリ
ウムの酸による分解、一般反応式で示せば、
【0172】Na2O・XSiO2+HCl+H2O→S
iO2・nH2O+NaCl
【0173】その他、ケイ酸ナトリウムのアンモニアは
塩類またはアルカリ塩類による分解、ケイ酸ナトリウム
よりアルカリ土類金属ケイ酸塩を生成せしめた後、酸で
分解しケイ酸とする方法、天然ケイ酸またはケイ酸塩を
利用する方法などがある。
【0174】それらの重量平均径は、1次粒子の平均で
0.001〜2.0μmの範囲であることが望ましく、
特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲の無機
粉体を使用するのが良い。
【0175】さらには、生成された無機微粉体に有機処
理した処理無機微粉体を用いることがより好ましい。こ
の有機処理方法としては、無機微粉体と反応あるいは物
理吸着する有機金属化合物で化学的に処理することによ
って付与される。好ましい方法としては、金属ハロゲン
化合物の蒸気相酸化により生成された無機微粉体を有機
ケイ素化合物、チタンカップリング剤で処理する。
【0176】有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチルジ
シラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラ
ン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシ
ラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチ
ルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、
α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチル
トリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラ
ン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリ
ルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビ
ニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニル
テトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラ
メチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシ
ロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個
宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロ
キサン等がある。
【0177】また、未処理のシリカ微粉体を窒素含有の
シランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。
【0178】そのような処理剤の例としては、アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキ
シシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラ
ン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプ
ロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルア
ミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプ
ロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピル
トリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキ
シシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラ
ン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリ
メトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメ
トキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメト
キシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシ
リル−γ−プロピルモルホリン、トリメトキシシリル−
γ−プロピルイミダゾール等がある。
【0179】これらの処理剤は1種あるいは2種以上の
混合物あるいは併用や多重処理して用いられる。
【0180】有機処理は現像剤への離型性付与の点か
ら、シリコーンオイル処理したものが好ましい。
【0181】シリコーンオイルとしては、一般に次の式
により示されるものである。
【0182】
【化7】
【0183】[式中、Rはアルキル基(例えばメチル
基)、アリール基を示し、nは整数を示す。]
【0184】好ましいシリコーンオイルとしては、25
℃における粘度がおよそ0.5〜10,000cSt、
好ましくは1〜1,000cStのものが用いられ、例
えばメチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチル
シリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、
クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性
シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリ
オキシアルキレン変性シリコーンオイルなどが好まし
い。
【0185】また、側鎖に窒素原子を有するシリコーン
オイルを用いてもよい。そのようなシリコーンオイルと
しては、少なくとも下記式で表わされる部分構造を具備
するシリコーンオイルが使用できる。
【0186】
【化8】
【0187】(式中、R1は水素、アルキル基、アリー
ル基またはアルコキシ基を示し、R2はアルキレン基ま
たはフェニレン基を示し、R3及びR4は水素、アルキル
基、またはアリール基を示し、R5は含窒素複素環基を
示す)
【0188】尚、上記アルキル基、アリール基、アルキ
レン基、フェニレン基は窒素原子を有するオルガノ基を
有していても良いし、また帯電性を損ねない範囲で、ハ
ロゲン等の置換基を有していても良い。
【0189】これらのシリコーンオイルは1種あるいは
2種以上の混合物あるいは併用や多重処理して用いられ
る。また、シランカップリング剤による処理と併用して
もかまわない。
【0190】これらの無機微粉体はBET比表面積が2
0m2/g以上が好ましく、より好ましくは30m2/g
〜400m2/gであり、更に好ましくは40m2/g〜
300m2/gである。
【0191】また、現像性、耐久性を向上させるために
次の無機粉体を添加することも好ましい。マグネシウ
ム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジ
ルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、
アンチモンなどの金属酸化物;チタン酸カルシウム、チ
タン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムなどの複
合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸アルミニウム等の金属塩;カオリンなどの粘土鉱物;
アパタイトなどリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素
などのケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイト
などの炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸
化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタ
ン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムなどが好ま
しい。
【0192】同様の目的で、以下の有機粒子や複合粒子
を添加することも好ましい。ポリアミド樹脂粒子、シリ
コーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、ウレタン粒子、
メラミン−ホルムアルデヒド粒子、アクリル樹脂粒子な
どの樹脂粒子;ゴム、ワックス、脂肪酸系化合物、樹脂
等と金属、金属酸化物、塩、カーボンブラック等の無機
粒子とからなる複合粒子が挙げられる。
【0193】更に次のような滑剤粉末を添加することも
できる。テフロン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素
樹脂;フッ化カーボンなどのフッ素化合物;ステアリン
酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステル等の
脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸およびアミノ
酸誘導体が挙げられる。
【0194】本発明の現像剤は、キャリアと併用して二
成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に
用いる場合のキャリアとしては、従来知られているもの
がすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化また
は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロ
ム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物など
の平均粒径20〜300μmの粒子が使用される。
【0195】またそれらキャリア粒子の表面に、スチレ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素
系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着または被覆さ
せたもの等が好ましく使用される。
【0196】本発明のトナーに用いられる画像形成方法
について説明する。現像工程は、従来より公知の磁性一
成分現像方法、非磁性一成分現像方法、トナーとキャリ
アから成る現像剤を用いる二成分現像方法が用いられ
る。
【0197】本発明に用いられる現像工程について磁性
一成分現像方法から詳しく説明する。
【0198】図1において、現像スリーブ22の略右半
周面はトナー容器21内のトナー溜りに常時接触してい
て、その現像スリーブ面近傍のトナーが現像スリーブ面
にスリーブ内の磁気発生手段23の磁力で及び/又は静
電気力により付着保持される。現像スリーブ22が回転
駆動されるとそのスリーブ面の磁性トナー層がドクター
ブレード24の位置を通過する過程で各部略均一厚さの
薄層磁性トナーT1として整層化される。磁性トナーの
帯電は主として現像スリーブ22の回転に伴なうスリー
ブ面とその近傍のトナー溜りの磁性トナーとの摩擦接触
によりなされ、現像スリーブ22上の上記磁性トナー薄
層面は現像スリーブの回転に伴ない潜像保持体1側へ回
転し、潜像保持体1と現像スリーブ22の最接近部であ
る現像領域部Aを通過する。この通過過程で現像スリー
ブ22面側の磁性トナー薄層の磁性トナーが潜像保持体
1と現像スリーブ22間に印加した直流と交流電圧によ
る直流と交流電界により飛翔し、現像領域部Aの潜像保
持体1面と、現像スリーブ22面との間(間隙α)を往
復運動する。最終的には現像スリーブ22側の磁性トナ
ーが潜像保持体1面の表面に潜像の電位パターンに応じ
て選択的に移行付着してトナー像T2が順次に形成され
る。
【0199】現像領域部Aを通過して、磁性トナーが選
択的に消費された現像スリーブ面はホッパ21のトナー
溜りへ再回転することにより磁性トナーの再供給を受
け、現像領域部Aへ現像スリーブ22の磁性トナー薄層
1面が移送され、繰り返し現像工程が行われる。
【0200】本発明に用いられるドクターブレードは、
スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレー
ド、磁性ブレード(例えば、図1に示される24)、或
いはスリーブ表面に弾性力で当接する弾性ブレードいず
れにしても使用可能であるが、本発明には弾性ブレード
をもちいた現像方法にも好ましく用いられる。
【0201】弾性ブレードとしては、シリコーンゴム、
ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレン
テレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼
の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体
であっても使用できる。好ましくは、ゴム弾性体が良
い。
【0202】また、弾性ブレードの材質は、トナー担持
体上のトナーの帯電に大きく関与する。そのため、弾性
体中に、有機物、無機物を添加しても良く、溶融混合さ
せても良いし、分散させても良い。例えば、金属酸化
物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、
無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などがある。更に、
ゴム、合成樹脂、金属弾性体に、トナーの帯電性をコン
トロールする目的で、樹脂、ゴム、金属酸化物、金属な
どの物質をスリーブ当接部分に当たるようにつけたもの
を用いても良い。弾性体、トナー担持体に耐久性が要求
される場合には、金属弾性体に樹脂、ゴムをスリーブ当
接部に当たるように貼り合わせるものが好ましい。この
ような樹脂,ゴムとしては、ウレタンゴム、ウレタン樹
脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、ポリエステル樹
脂、フッ素系樹脂(例えば、テフロン樹脂)、ポリイミ
ド樹脂や負極性に帯電し易いものが好ましい。これらの
中でもシリコーンゴム,シリコーン樹脂等のシリコーン
化合物が、本発明に於いては特に好ましい。スリーブ当
接部分が樹脂、ゴム等の成型体の場合はトナーの帯電性
を調整するためにその中に、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化
物、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電
制御剤等を含有させることも好ましい。
【0203】弾性ブレード上辺部側である基部は現像剤
容器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性に抗
して現像スリーブの順方向或いは逆方向にたわめ状態に
してブレード内面側(逆方向の場合には外面側)をスリ
ーブ表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。画像形
成装置の例を図2〜5に示す。この様な装置によると、
環境の変動に対してもより安定に薄く、緻密なトナー層
が得られる。その理由は必ずしも明確ではないが、通常
用いられる金属製のブレードをスリーブからある間隙を
隔てて取り付けた装置と比較してトナー粒子が弾性ブレ
ードによってスリーブ表面と強制的に摩擦されるためト
ナーの環境変化による挙動の変化に関係なく常に同じ状
態で帯電が行われるためと推測される。
【0204】本発明の現像剤は、滑り性に優れるので弾
性ブレードやスリーブの摩耗を軽減することができ、均
一摩擦帯電を長期間にわたり維持できる。
【0205】ブレードとスリーブとの当接圧力は、スリ
ーブ母線方向の線圧として、1g/cm以上、好ましく
は3〜250g/cm、更に好ましくは5〜120g/
cmが有効である。当接圧力が1g/cmより小さい場
合、トナーの均一塗布が困難となり、トナーの帯電量分
布がブロードになりカブリや飛散の原因となる。また当
接圧力が250g/cmを超えると、現像剤に大きな圧
力がかかり、現像剤が劣化するため、現像剤の凝集が発
生するなど好ましくない。また現像剤担持体を駆動させ
るために大きなトルクを要するため好ましくない。
【0206】潜像保持体とトナー担持体との間隙αは、
例えば50〜500μmに設定され、ドクターブレード
として、磁性ブレードを用いる場合には、磁性ブレード
とトナー担持体との間隙は、50〜400μmに設定さ
れることが好ましい。
【0207】トナー担持体上の磁性トナー層の層厚は、
潜像保持体とトナー担持体との間隙αよりも薄いことが
最も好ましいが、場合により磁性トナー層を構成する磁
性トナーの多数の穂のうち、一部は潜像保持体に接する
程度に磁性トナー層の層厚を規制してもよい。
【0208】またスリーブは、潜像保持体に対し、10
0〜200%の周速で回転される。交番バイアス電圧
は、ピークトゥーピークで0.1kV以上、好ましくは
0.2〜3.0kV、更に好ましくは0.3〜2.0k
Vで用いるのが良い。交番バイアス周波数は、1.0〜
5.0kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、更に
好ましくは1.5〜3.0kHzで用いられる。交番バ
イアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波
等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の異
なる非対称交流バイアスも利用できる。また直流バイア
スを重畳するのも好ましい。
【0209】本発明において、スリーブは、金属,セラ
ミックスなどの材質のものが用いられるが、アルミニウ
ム,SUSなどが、トナーへの帯電性から好ましい。ス
リーブは引き抜きあるいは切削したままでも用いられる
ことができるが、トナーの搬送性、摩擦帯電付与性を制
御するため、研磨したり、周方向あるいは長手方向に粗
しを入れたり、ブラスト処理を施したり、コーティング
などが行われる。本発明においては、ブラスト処理を施
すことも良く、定形粒子、不定形粒子がブラスト剤とし
て用いられ、各々単独及び併用されて用いられ、重ね打
ちしたものも利用できる。特に不定形粒子でブラスト処
理を施したものが好ましい。不定形粒子としては任意の
砥粒を使用することができる。
【0210】次に本発明の現像剤を使用して非磁性一成
分現像を行なう場合の現像方法の一例を説明するが、必
ずしもこれに限定されるものではない。図6に、潜像保
持体上に形成された静電像を現像する装置を示す。60
1は潜像保持体であり、潜像形成は図示しない電子写真
プロセス手段又は静電記録手段により成される。602
は現像スリーブであり、アルミニウムあるいはステンレ
ス等からなる非磁性スリーブからなる。
【0211】現像スリーブはアルミニウム、ステンレス
の粗管をそのまま用いてもよいが、好ましくはその表面
をガラスビーズ等を吹きつけて均一に荒したものや、鏡
面処理したもの、あるいは樹脂等でコートしたものがよ
く、磁性一成分現像方法に使用されるものに準ずる。
【0212】現像剤606はホッパー603に貯蔵され
ており、供給ローラー604によって現像剤担持体上へ
供給される。供給ローラーはポリウレタンフォーム等の
発泡材より成っており、現像剤担持体に対して、順また
は逆方向に0でない相対速度をもって回転し、現像剤供
給とともに、現像剤担持体上の現像後の現像剤(未現像
現像剤)のはぎ取りも行っている。現像担持体上に供給
された現像剤は現像剤塗布ブレード605によって均一
かつ薄層に塗布される。
【0213】なお、本発明で提案した、ブレードにより
現像スリーブ上にトナーを薄層コートする系において
は、充分な画像濃度を得るために、現像スリーブ上のト
ナー層の厚さを現像スリーブと潜像保持体との対向空隙
長よりも小さくし、この空隙に交番電場を印加すること
が好ましい。すなわち、図6に示すバイアス電源607
により、現像スリーブ602と潜像保持体601間に交
番電場又は交番電場に直流電場を重畳した現像バイアス
を印加することにより、現像スリーブ上から潜像保持体
上へのトナーの移動を容易にし、さらに良質の画像を得
ることができる。これらの条件も磁性一成分現像方法に
準ずる。
【0214】次に本発明の現像剤を使用しての二成分現
像方法について図7を用いて説明する。
【0215】潜像保持体701は静電記録用絶縁ドラム
あるいはα−Se,CdS,ZnO2,OPC,α−S
iの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感
光ベルトである。潜像保持体701は図示しない駆動装
置によって矢印a方向に回転される。722は潜像保持
体701に近接もしくは接触されている現像スリーブで
あり、例えばアルミニウム、SUS316等の非磁性材
料で構成されている。現像スリーブ722は現像容器7
36の左下方壁に容器長手方向に形成した横長開口に右
略半周面を容器736内へ突入させ、左略半周面を容器
外へ露出させて回転自在に軸受けさせて横設してあり、
矢印b方向に回転駆動される。
【0216】723は現像スリーブ722内に挿入し図
示の位置姿勢に位置決め保持した固定磁界発生手段とし
ての固定の永久磁石(マグネット)であり、現像スリー
ブ722が回転駆動されてもこの磁石723は図示の位
置・姿勢にそのまま固定保持される。この磁石723は
N極の磁極723a,S極の磁極723b,N極の磁極
723c,S極の磁極723dの4磁極を有する。磁石
723は永久磁石に代えて電磁石を配設してもよい。
【0217】724は現像スリーブ722を配設した現
像剤供給器開口の上縁側に、基部を容器側壁に固定し、
先端側は開口上縁位置よりも容器736の内側へ突出さ
せて開口上縁長手に沿って配設した現像剤規制部材とし
ての非磁性ブレードで、例えばSUS316を横断面路
くの字形に曲げ加工したものである。
【0218】726は非磁性ブレード724の下面側に
上面を接触させ前端面を現像剤案内面731とした磁性
粒子限定部材である。非磁性ブレード724及び磁性粒
子限定部材726などによって構成される部分が規制部
である。
【0219】727は磁性粒子であり抵抗値が107Ω
cm以上、好ましくは108Ωcm以上、さらに好まし
くは109〜1012Ωcmのフェライト粒子(最大磁化
55〜75emu/g)へ樹脂コーティングしたものが
用いられ得る。737はトナーである。740は現像容
器736下部部分に溜るトナーを封止するシール部材で
弾性を有しスリーブ722の回転方向に向って曲がって
おり、スリーブ722表面側を弾性的に押圧している。
このシール部材740は、現像剤の容器内部側への進入
を許可するように、スリーブとの接触域でスリーブ回転
方向下流側に端部を有している。
【0220】730は現像工程で発生した浮遊現像剤を
現像剤と同極性の電圧を印加して感光体側に付着させ、
飛散を防止する飛散防止電極板である。
【0221】760はトナー濃度検出センサー(不図
示)によって得られる出力に応じて作動するトナー補給
ローラーである。センサーとしては、現像剤の体積検知
方式、圧電素子、インダクタンス変化検知素子、交番バ
イアスを利用したアンテナ方式、光学濃度を検知する方
式を利用することができる。該ローラーの回転停止によ
って非磁性トナー737の補給を行う。トナー737が
補給されたフレッシュ現像剤はスクリュー761によっ
て搬送されながら混合・攪拌される。従ってこの搬送中
において補給されたトナーにトリボ付与が行われる。7
63はしきり板で現像器の長手方向両端部において切り
欠かれておりこの部分でスクリュー761によって搬送
されたフレッシュ現像剤がスクリュー762へ受け渡さ
れる。
【0222】S磁極723dは搬送極である。現像後の
回収現像剤を容器内に回収し、さらに容器内の現像剤を
規制部まで搬送する。
【0223】723d付近では、スリーブに近接して設
けたスクリュー762によって搬送されてきたフレッシ
ュ現像剤と現像後の回収現像剤とを交換する。
【0224】764は搬送スクリューで現像スリーブ軸
方向の現像剤の量を均一化する。
【0225】非磁性ブレード724の端部と現像スリー
ブ722面との前記距離d2は100〜900μm、好
ましくは150〜800μmである。この距離が100
μmより小さいと後述する磁性粒子がこの間に詰まり現
像剤層にムラを生じやすいと共に良好な現像を行うのに
必要な現像剤を塗布することが出来ず濃度の薄いムラの
多い現像画像しか得られない欠点がある。d2は現像剤
中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆる
ブレードづまり)を防止するためには400μm以上が
好ましい。900μmより大きいと現像スリーブ722
上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規
制が行えず、潜像担持体への磁性粒子付着が多くなると
共に後述する現像剤の循環、現像剤限定部材726によ
る現像規制が弱まりトナーのトリボが不足しカブリしや
すくなる欠点がある。
【0226】この磁性粒子層は、スリーブ722が矢印
b方向に回転駆動されても磁気力,重力に基づく拘束力
とスリーブ722の移動方向への搬送力との釣合によっ
てスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。も
ちろん重力の影響により落下するものもある。
【0227】従って磁極723a,723dの配設位置
と磁性粒子727の流動性及び磁気特性を適宜選択する
事により磁気粒子層はスリーブに近い程磁極723a方
向に搬送し移動層を形成する。この磁性粒子の移動によ
りスリーブ722の回転に伴なって現像領域へ搬送され
現像に供される。
【0228】またスリーブは、潜像保持体に対し、10
0〜300%の周速で回転される。交番バイアス電圧
は、ピークトゥーピークで0.1kV以上、好ましくは
0.2〜4.0kV、更に好ましくは0.3〜3.0k
Vで用いるのが良い。交番バイアス周波数は、1.0〜
10.0kHz、好ましくは1.0〜6.0kHz、更
に好ましくは1.5〜3.0kHzで用いられる。交番
バイアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角
波等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の
異なる非対称交流バイアスも利用できる。また直流バイ
アスを重畳するのも好ましい。
【0229】潜像保持体としては、アモルファスシリコ
ン感光体、有機系感光体が好ましく用いられる。
【0230】有機感光体としては、感光層が電荷発生物
質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、
いわゆる、単一層型でもよく、電荷輸送層と電荷発生層
を成分とする機能分離型感光体であっても良い。導電性
基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層され
ている構造の積層型感光体は好ましい例の一つである。
【0231】すなわち、本発明の現像剤は、潜像保持体
の表面が樹脂の如き有機化合物である有機感光体に対
し、特に有効である。
【0232】有機化合物が表面層を形成している場合、
トナー中に含まれる結着樹脂と接着しやすく、特に同質
の材料を用いた場合、トナーと感光体表面の接点におい
ては化学的な結合が生じやすく、離型性が低下する問題
点を有しているからである。その結果、転写性,クリー
ニング性が劣化したり、融着,フィルミングを発生しや
すくなる。
【0233】クリーニング方式としては、ブレードクリ
ーニングが好ましい。ブレードクリーニングはウレタン
ゴム、シリコーンゴム、弾性を有する樹脂をブレードと
して、あるいは金属等のブレードの先端にチップ状の樹
脂を保持させたものを、感光体の移動方向に対して順方
向または逆方向に当接あるいは圧接させたものとして知
られている。好ましくは、ブレードを感光体の移動方向
に対して逆方向に圧接させるのがよい。この時、感光体
に対するブレードに当接圧は、線圧で5g/cm以上が
好ましく、より好ましくは、10〜50g/cmであ
る。更に、ブレードクリーニング法にマグブラシクリー
ニング法、ファーブラシクリーニング法、ローラークリ
ーニング法等を組み合わせても良い。
【0234】本発明のトナーは適度な摩擦が得られる上
に離型性,潤滑性に優れているので、ブレードクリーニ
ングによって良好なクリーニング性を示すばかりか、感
光体にブレードを当接させても傷が付きにくく削れにく
い。一方で融着やフィルミング等も発生しにくい。
【0235】本発明のトナーを用いる帯電、転写工程で
は、コロナ帯電器を用いる潜像保持体とは非接触である
方式とローラー等を用いる接触型の方式がありいずれの
ものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低
オゾン発生化のために接触方式のものが好ましく用いら
れる。本発明のトナーは、これらの中でも接触方式のも
ので特に効果が顕著である。
【0236】更に、該接触帯電・転写方式を有する画像
形成方法の一例について、図8の概略構成図を基に説明
する。
【0237】801は回転ドラム型の静電潜像保持体
(以下、感光体と記す)であり、該感光体801はアル
ミニウム等の導電性基層801bと、その外面に形成し
た光導電層802aとを基本構成層とするものであり、
図面上時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で
回転される。
【0238】802は帯電ローラーであり、中心の芯金
802bとその外周を形成した導電性弾性層とを基本構
成とするものである。帯電ローラー802は、感光体8
01面に押圧力をもって圧接され、感光体801の回転
に伴い従動回転する。803は帯電ローラー802に電
圧を印加するための帯電バイアス電流V2であり、帯電
ローラー802にバイアスが印加されることで感光体8
01の表面が所定の極性・電位に帯電される。次いで画
像露光804によって静電荷像が形成され、現像手段8
05によりトナー画像として順次可視化されていく。
【0239】現像手段805を構成する現像スリーブに
は、バイアス印加手段813よりバイアスV1が印加さ
れる。現像により潜像保持体上に形成されたトナー像は
当接転写手段806により転写材808に静電転写さ
れ、転写材上のトナー像は、加熱加圧手段811により
加熱加圧定着される。
【0240】当接転写手段806には転写バイアスV3
が印加されている。
【0241】この様な接触帯電・転写方式を有する画像
形成装置では、コロナ帯電及びコロナ転写と比べて、比
較的低電圧のバイアスで感光体の均一な帯電と十分な転
写が可能となるため、放電器自体の小型化、オゾン等の
コロナ放電生成物の抑制の点で優れている。
【0242】この他の手段としては、帯電ブレードを用
いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これら
の接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾン
の発生が低減するといった効果がある反面、部材が直接
感光体に接触するがゆえにトナー融着という弊害が生じ
やすいので、具体的な接触帯電手段として本発明に最適
である。本発明は、適用される接触帯電手段がどんな方
法で、どんな作用効果を有するかといったことを限定す
るものではなく、部材を直接感光体に接触させて帯電さ
せる方法であればすべて本発明に適用可能である。
【0243】帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセ
ス条件としては、ローラーの当接圧が5〜500g/c
mで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時に
は、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50
〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであ
り、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±
5kVである。
【0244】帯電ローラー及び帯電ブレードの材質とし
ては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を
もうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹
脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポ
リ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0245】図8においては、806は転写ローラーで
あり、中心の芯金806bとその外周を形成した導電性
弾性層806aとを基本構成とするものである。転写ロ
ーラー806は、感光体801面に押圧力をもって圧接
され、感光体801の周速度と等速度或は周速度に差を
つけて回転させる。転写材808は感光体801と転写
ローラー806との間に搬送されると同時に、転写ロー
ラー806にトナーと逆極性のバイアスを転写バイアス
電流807から印加することによって感光体801上の
トナー画像が転写材808の表面側に転写される。
【0246】本発明に適用可能な転写用回転体の材質と
しては、帯電ローラーと同様のものも用いることがで
き、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラーの
当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧が±0.2〜
±10kVである。
【0247】次いで転写材808は、ハロゲンヒータを
内蔵させた加熱ローラー811aとこれと押圧力をもっ
て圧接された弾性体の加圧ローラー811bとを基本構
成とする定着器811へ搬送され、811aと811b
間を通過することによってトナー像が定着される。ま
た、フィルムを介してヒータにより定着する方法を用い
てもよい。また、圧力定着に用いる現像剤を用いて圧力
定着してもよい。トナー画像転写後の感光体801面で
は転写残りトナー等の付着汚染物質を、感光体801に
カウンター方向に圧接した弾性クリーニングブレードを
具備したクリーニング装置で清浄面化され、更に除電露
光装置810により除電されて、繰り返して作像され
る。
【0248】接触型の転写装置としては、図9に見られ
るような転写ローラー或いは図10に見られるような転
写ベルトあるいは転写ドラム等が挙げられる。
【0249】図9は、典型的なこの種の画像形成装置の
要部の概略側面図であって、図示の装置は、紙面に垂直
方向にのび、矢印A方向に回転する円筒状の潜像保持体
(以下感光体という)901、これに当接する導電性転
写ローラー902が配設してある。
【0250】転写ローラー902は、芯金902aと導
電性弾性層902bからなり、導電性弾性層902bは
カーボン等の導電材を分散させたウレタン、エチレン−
プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体
積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体でつくられて
いる。芯金902aには定電圧電源908によりバイア
スが印加されている。バイアス条件としては、±0.2
〜±10kVが好ましい。
【0251】図10は本発明を転写ベルトに適用したも
のである。転写ベルト1009は導電ローラー1010
により支持駆動される。転写装置の加圧は通常、芯金1
002a若しくは1010の芯金の端部軸受を加圧する
事により行なわれる。
【0252】また、帯電器の感光体への当接圧力として
は、線圧として1g/cm以上(好ましくは1〜300
g/cm、特に好ましくは3〜100g/cm)に設定
するのが好ましい。
【0253】線圧については、次式で算定する。 (線圧)[g/cm]=(転写部材に加えられる総圧)
[g]÷(当接されている長さ)[cm]
【0254】当接圧が1g/cm未満であると転写部材
の搬送ブレ、転写電流不足による転写不良が起り好まし
くない。本発明のトナーは、転写ローラーが感光体と等
速度で回転する系において特に転写性,転写中抜けにお
いて効果が顕著である。
【0255】帯電ローラー、帯電ブレードを用いる際、
本発明のトナーは離型性、潤滑性に富み、これらの部材
を汚染することがなく帯電ムラによる異常画像を生ずる
こともない。付着しても脱離しやすいので感光体を傷付
けたり、必要以上に削ることもない。
【0256】また感光体からの離型性に優れているので
転写性に優れ、転写効率を向上させることができるとと
もに転写中抜けという現象も防止できる。特に転写ロー
ラー,転写ベルト,転写ドラム等の接触転写系において
特にその効果は著しい。
【0257】更にその転写性が優れているので転写電
流,転写電圧を小さくしても良好な転写性が得られるの
で、感光体のダメージも小さく高寿命化が可能である。
【0258】また、トナーから液体潤滑剤が感光体,帯
電部材にその一部が移行し、感光体自体の離型性を向上
し、更にその転写性やクリーニング性を向上することが
できる。また帯電部材の離型性も向上し、汚染もしにく
くなる。
【0259】また本発明では、トナー粒子が接触帯電部
材表面、接触転写部材表面及び感光体表面に直接に付着
させづらくすると共に該トナー粒子のそれらの表面に対
する離型性を向上させてトナーの固着自体を防止し、更
に、トナー粒子が接触帯電部材表面、接触転写部材表面
及び感光体表面に付着しても、トナー粒子の潤滑性,離
型性によってトナー付着位置が該接触帯電部材、接触転
写部材及び感光体内又はその間で常に移動し、同じ位置
にとどまることがないためにトナー粒子が固着するまで
に至らず、さらに、該接触帯電部材及び接触転写部材に
クリーニング部材を当接した場合、その離型性によって
接触帯電部材表面、接触転写部材表面に付着したトナー
粒子のクリーニング性が十分に向上される。
【0260】更に液体潤滑剤がクリーニング部材にも若
干移行し、クリーニング部材のクリーニング性を更に向
上させることができる。
【0261】本発明の現像剤は、加熱定着の場合、接触
加熱定着手段により、普通紙またはオーバーヘッドプロ
ジェクター(OHP)用透明シートのごとき転写材へ加
熱定着される。
【0262】接触加熱定着手段としては、加熱加圧ロー
ル定着装置、または、固定支持された加熱体と、該加熱
体に対向圧接し、かつフィルムを介して該転写材を該加
熱体に密着させる加圧部材とにより、トナーを加熱定着
する定着手段が挙げられる。
【0263】
【実施例】以下、具体的実施例によって本発明を説明す
るが、本発明はなんらこれらに限定されるものではな
い。
【0264】潤滑粒子の製造例 表1に示したような担持粉体100重量部をヘンシェル
ミキサー中で撹拌し、そこへ表1に示したようなの液体
潤滑剤をn−ヘキサンに希釈したものを滴下する。滴下
終了後、高速で撹拌し、減圧しながらn−ヘキサンを除
去する。その後必要に応じてハンマミル等で粉砕しても
よい。表1に本発明に係る潤滑粒子の処方を記す。
【0265】
【表1】 実施例1 スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 100重量部 マグネタイト(形状:八面体) 80重量部 炭化水素ワックス 3重量部 下記構造の4級アンモニウム塩(4級アンモニウム塩1) 0.5重量部
【0266】
【化9】 潤滑粒子1 2.0重量部
【0267】上記材料を予備混合した後、130℃に設
定した2軸混練押し出し機によって溶融混練を行った。
混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた粉砕
機によって微粉砕し、更に風力分級機を用いて分級し、
重量平均粒径:8.3μmの分級粉(磁性トナー)を得
た。上記分級品(磁性トナー)100重量部に対し、ア
ミノ変性シリコーンオイル処理乾式シリカ微粉体0.8
重量部を外添して、トナー1とした。
【0268】実施例2〜8,比較例1 実施例1の4級アンモニウム塩1のかわりに、表2のも
のを用いる以外は、実施例1と同様にしてトナーを得
た。
【0269】
【表2】
【0270】・4級アンモニウム塩2
【0271】
【化10】
【0272】・4級アンモニウム塩3
【0273】
【化11】
【0274】・4級アンモニウム塩4
【0275】
【化12】
【0276】・4級アンモニウム塩5
【0277】
【化13】
【0278】・4級アンモニウム塩6
【0279】
【化14】
【0280】実施例9〜13,比較例2〜3 実施例1の潤滑粒子1のかわりに、表3に示すものを用
いる以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0281】
【表3】
【0282】実施例14,15 実施例1のマグネタイトのかわりに、下記の様にして製
造した「液体潤滑剤担持磁性粉」を用い、潤滑粒子を用
いない以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
【0283】・液体潤滑剤担持磁性粉の製造例 マグネタイト(八面体)粒子粉末10kgに対し、表4
に示した様な液体潤滑剤をシンプソン・ミックスマーラ
ー(MPUV−2松本鋳造社製)に投入し、30分間作
動させ、マグネタイト粒子の粒子表面に液体潤滑剤を担
持させた。更にハンマーミルによりほぐし処理を加え
た。
【0284】
【表4】
【0285】〈画像性の評価〉市販の電子写真複写機N
P−2020(キヤノン製)の転写帯電器を転写ローラ
ーに改造したものを用いた。転写ローラーとしては、導
電性カーボンとEPDM樹脂から成る導電性弾性層を有
する外径16mmのものを用い、この転写ローラーを感
光体表面に30g/cmの当接圧で当接させ、感光体の
周速と等速で回転するように設定した。バイアス条件と
して−3.8kVの直流電圧をかけ、−50μAの電流
値に設定した。
【0286】また、現像器のドクターブレードをシリコ
ーンゴムをステンレスに貼り付けた弾性チップブレード
に、現像剤担持体(スリーブ)として表面をアランダム
#400のブラスト処理で粗面化したものに改造した複
写機を評価機とした。
【0287】上記の複写機に、各トナーを適用し、温度
20℃,湿度5%の環境で5,000枚の連続複写テス
トを行い、画像濃度,カブリの評価を行った。
【0288】また、転写材として厚紙(200g/m2
紙)及びOHPフィルムシートを用いてライン部,文字
部の中抜けを評価した。厚紙は両面複写し2面目を評価
対象とした。結果を表5に示す。
【0289】
【表5】
【0290】 評価基準 (かぶり) ◎ : 目視ではかぶりは認められない ○ : 注視しなければかぶりは認められない ○△: かぶりはあるが実用上問題無 △ : かぶりが目立つ (転写中抜け) ○ : ほとんど中抜けは見られない △ : 中抜けしている部分もあるが実用上問題なし × : はっきりと中抜けが認識できる
【0291】実施例16,17 トナー規制部材を図3にある様にステンレス板金上にウ
レタンゴムを付けたものを用いる以外は、実施例1と同
様の現像装置No.2を用いた(実施例16)。
【0292】トナー規制部材を磁性ブレードにして、現
像スリーブ表面との間隙を200μmにする以外は、実
施例1と同様の現像装置No.3を用いた(実施例1
7)。
【0293】それぞれ、実施例1と同じトナーを用いて
評価を行い、結果を表6に示した。
【0294】
【表6】
【0295】
【発明の効果】本発明のトナーは、現像性に優れ、特に
低湿環境においても帯電性に優れ、転写中抜け,カブリ
等が発生しない、原稿に忠実な画像が長期間にわたり得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性一成分現像方法に用いられる画像
形成装置及び現像工程を示す概略図を示す図である。
【図2】本発明に用いられる弾性ブレードを用いた現像
装置の概略図を示す図である。
【図3】本発明に用いられる弾性ブレードを用いた現像
装置の概略図を示す図である。
【図4】本発明に用いられる弾性ブレードを用いた現像
装置の概略図を示す図である。
【図5】本発明に用いられる弾性ブレードを用いた現像
装置の概略図を示す図である。
【図6】本発明の非磁性一成分現像方法に用いられる画
像形成装置及び現像工程を示す概略図を示す図である。
【図7】本発明の二成分現像方法に用いられる画像形成
装置及び現像工程を示す概略図を示す図である。
【図8】本発明の画像形成方法を説明するための概略図
を示す図である。
【図9】転写工程を説明するための概略図を示す図であ
る。
【図10】転写工程を説明するための概略図を示す図で
ある。
【図11】転写中抜けの例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 潜像保持体(感光ドラム) 2 現像装置 21 ホッパ 22 トナー担持体(現像スリーブ) 23 磁気発生手段 24 ドクターブレード 27 かくはん部材 A 現像領域 α ドラムとスリーブの間隙 T トナー T1 トナー薄層 T2 トナー像 So、S1 バイアス印加手段 201、301、401、501 潜像保持体 202、302、402、502 トナー担持体 203、303、403、503 ドクターブレード 601 潜像保持体 602 現像スリーブ 603 ホッパー 604 供給ローラー 605 現像剤塗布ブレード 606 現像剤 607 バイアス電源 701 潜像保持体 722 現像スリーブ 723 磁気発生手段 724 非磁性ブレード 726 磁性粒子限定部材 727 磁性粒子 730 飛散防止部材 737 現像剤 740 シール部材 761 スクリュ 762 スクリュ 763 しきり板 764 搬送スクリュ 801 潜像保持体 801a 光導電層 801b 導電性基層 802 帯電ローラー 802a 導電性弾性層 802b 芯金 803 帯電バイアス電源 804 画像露光 806 転写ローラー 806a 導電性弾性層 806b 芯金 807 転写バイアス電源 808 転写材 809 クリーニング装置 1010 導電ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−289665(JP,A) 特開 昭63−282750(JP,A) 特開 平2−235067(JP,A) 特開 昭59−200251(JP,A) 特開 昭54−54039(JP,A) 特開 平5−341580(JP,A) 特開 平5−289403(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08 - 9/097

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂、液体潤滑剤を有す
    る潤滑粒子及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を含む
    トナーであって、 該液体潤滑剤が、ジメチルシリコーン、フッ素変性シリ
    コーン及びフッ化炭化水素からなるグループより選ばれ
    る潤滑剤であって、 かつ、該荷電制御剤が、 4級アンモニウム塩であること
    を特徴とするトナー。
  2. 【請求項2】 該液体潤滑剤の25℃における粘度が1
    0〜400,000cStであることを特徴とする請求
    項1に記載のトナー。
  3. 【請求項3】 該潤滑粒子が、液体潤滑剤を10〜90
    重量%含有していることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のトナー。
  4. 【請求項4】 該4級アンモニウム塩が、結着樹脂10
    0重量部に対して0.1〜1.5重量部含有しているこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナ
    ー。
  5. 【請求項5】 該4級アンモニウム塩のカウンターアニ
    オンの一部またはすべてが、モリブデン酸イオン,タン
    グステン酸イオン,モリブデン原子あるいはタングステ
    ン原子を含むヘテロポリ酸イオンのいずれかであること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナ
    ー。
  6. 【請求項6】 該潤滑粒子が、結着樹脂100重量部に
    対し、0.1〜20重量部含有されることを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 【請求項7】 静電潜像保持体上の電荷により形成され
    た潜像をトナーにより顕像化させる画像形成方法におい
    て、 静電潜像保持体に圧接する部材が帯電工程,転写工
    程,クリーニング工程の少なくとも一つの工程にあり、 トナーとして、少なくとも結着樹脂、液体潤滑剤を有す
    る潤滑粒子及び荷電制御剤を含有するトナー粒子を含む
    トナーであって、 該液体潤滑剤が、ジメチルシリコーン、フッ素変性シリ
    コーン及びフッ化炭化水素からなるグループより選ばれ
    る潤滑剤であって、 かつ、該荷電制御剤が 4級アンモニウム塩であるトナー
    を用いることを特徴とする画像形成方法。
  8. 【請求項8】 該トナーとして、該液体潤滑剤の25℃
    における粘度が10〜400,000cStであるトナ
    ーを用いることを特徴とする請求項に記載の画像形成
    方法。
  9. 【請求項9】 該トナーとして、該潤滑粒子が、液体潤
    滑剤を10〜90重量%含有しているトナーを用いるこ
    とを特徴とする請求項又はに記載の画像形成方法。
  10. 【請求項10】 該トナーとして、該4級アンモニウム
    塩が結着樹脂100重量部に対して、0.1〜1.5重
    量部含有しているトナーを用いることを特徴とする請求
    7乃至9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 【請求項11】 該トナーとして、該4級アンモニウム
    塩のカウンターアニオンの一部またはすべてが、モリブ
    デン酸イオン,タングステン酸イオン,モリブデン原子
    あるいはタングステン原子を含むヘテロポリ酸イオンの
    いずれかであるトナーを用いることを特徴とする請求項
    乃至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 【請求項12】 該潤滑粒子が、結着樹脂100重量部
    に対し、0.1〜20重量部含有されることを特徴とす
    る請求項7乃至11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 【請求項13】 現像器のトナー規制部材が現像スリー
    ブ表面に当接している現像装置を用いることを特徴とす
    る請求項乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 【請求項14】 該トナー規制部材の現像スリーブ当接
    部の表面がシリコーンであることを特徴とする請求項
    に記載の画像形成方法。
  15. 【請求項15】 該現像スリーブの表面が不定形粒子に
    よりブラスト処理された現像装置を用いることを特徴と
    する請求項乃至14のいずれかに記載の画像形成方
    法。
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