JP3229519B2 - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

電動式パワーステアリング装置

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JP3229519B2
JP3229519B2 JP14215795A JP14215795A JP3229519B2 JP 3229519 B2 JP3229519 B2 JP 3229519B2 JP 14215795 A JP14215795 A JP 14215795A JP 14215795 A JP14215795 A JP 14215795A JP 3229519 B2 JP3229519 B2 JP 3229519B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電動式パワーステア
リング装置に関し、特に、電動機の動力をステアリング
系に作用させて操舵力の軽減を図る電動式パワーステア
リング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電動機の動力をステアリング系
に作用させて操舵力の軽減を図る電動式パワーステアリ
ング装置においては、ステアリング操舵トルク検出手段
を備え、このステアリング操舵トルク検出手段により運
転者のステアリング操舵トルクを検出すると共に、同時
に車速検出手段により車速を監視することによって、こ
れらの検出信号に基づき所定補助トルクを発生させるよ
うに電動機への駆動電流を制御し、運転者の操舵力の軽
減を図っている。
【0003】ところで、電動機からステアリング系への
動力の伝達には一般に歯車機構等の減速装置を設けるこ
とにより、トルク駆動力を得ている。従って高速走行時
に操舵状態から突然手放しを行なった場合や路面反力等
の外力によってステアリング軸が電動機を回転させる場
合には、電動機の回転速度は増大し、大きな慣性モーメ
ントを生じるために、ハンドルのふらつきを生じ、走行
安定性を損なう恐れがある。そこで、従来、例えば特公
平6−62092号公報あるいは特公平6−67738
号公報等に示されているように、電動機が非駆動のとき
ハンドル手放し状態を監視し、手放し戻り条件が成立を
検出すれば、電動機の電機子端子間を短絡させることに
よって電動機に発電制動を行わせ、ハンドル戻り時の収
斂性を向上させる方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来法の場合、手放しハンドル戻り条件を検出し電動機
に発電制動をかけることにより、ハンドル戻り時の収斂
性を向上させることができるが、他方では制動動作中に
切り返しの操舵を行った場合、操舵開始時に微妙な引っ
かかり感を伴うというフィーリングの悪化が伴うという
問題点があった。すなわち、ハンドル中立付近での直進
安定性を向上させるために、操舵トルクが所定値以下の
時は電動機を駆動せずアシストトルクを発生させないと
いうトルクの不感帯を設けるため、モータが発電制動状
態にあるときに運転者が切り返しの操舵を行うと、不感
帯内ではステアリング系の反力および慣性に加えてモー
タの回転慣性、さらにモータの発電制動力にも逆らえる
大きさの転舵トルクを運転者に要求する。そのため、瞬
間的な引っかかり感を生じてしまうという問題点をがあ
った。
【0005】また、電動機の発電制動を行うことによっ
て収斂性を改善させることができるが、この発電制動制
御を行なうためには、電動機の電機子端子を短絡させる
必要がある。発電制動制御を実現する回路構成を簡素に
実現するには、駆動回路を構成しているFETのHブリ
ッジ回路の上側(電源側)のFET2個または下側(グ
ランド側)のFETの2個のどちらかをオンさせる手法
によって、新たな短絡回路を追加することなく実現でき
る。しかしながら、このような従来法の場合、発電制動
を行ったとき電機子端子の電位は電源電圧またはGND
レベルにほぼ固定されてしまう。従って、制動制御を行
っている間は回路や配線に異常がなくても電動機端子電
圧が電源電圧またはGND電圧と同じになり、電機子端
子を監視しフェールを検出している場合電動機とコント
ローラ間の配線の天絡、地絡あるいはオープンモードの
故障、さらにドライブ回路の故障を監視して確実なフェ
ール検出を行うことが困難となるという問題点があっ
た。また、電動機端子が電源電圧またはGND電位と接
続されることにより、配線等の短絡時に大電流が流れ、
ハンドルが自転したり、電動機駆動回路を焼損する等の
危険な故障モードを防止できないという問題点があっ
た。
【0006】この発明は、このような問題点を解消する
ためになされたもので、ハンドル手放し戻り時に制動制
御を行っている状態から転舵を行う際の操舵フィールン
グの改善および制動制御と電動機駆動回路各部の故障検
出の両立によるフェールセーフ性能の改善等を図ること
ができる電動式パワーステアリング装置を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る電
動式パワーステアリング装置は、電動機の発電電圧を監
視する発電電圧監視手段と、操舵トルクを検出する操舵
トルク検出手段と、この操舵トルク検出手段の出力を微
分する微分手段と、発電電圧監視手段で検出された電動
機の発電電圧、操舵トルク検出手段および微分手段の出
力に基づいて、少なくともハンドルの手放し戻り条件が
成立すれば、電動機を発電制動させる制動制御手段と、
操舵トルク検出手段の出力と微分手段の出力の加算出力
に基づいて電動機の出力トルクを制御し、この電動機の
慣性を補償する微分制御手段とを備え、制動制御手段が
発電制動を実行中においても操舵トルクの検出値の微分
による電動機制御条件が成立した場合には、発電制動を
中止し微分制御を優先させるようにしたものである。
【0008】請求項2の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手
段と、この操舵トルク検出手段の出力を微分する微分手
段と、操舵トルク検出手段および微分手段の出力に基づ
いて、少なくともハンドルの手放し戻り条件が成立すれ
ば、電動機を発電制動させる制動制御手段と、操舵トル
ク検出手段の出力と微分手段の出力の加算出力に基づい
て電動機の出力トルクを制御し、この電動機の慣性を補
償する微分制御手段と、非駆動時の電動機回転方向およ
びステアリング軸回転方向の少なくとも一方の回転方向
と回転速度を検出する回転検出手段とを備え、運転者が
操舵を開始したときの操舵トルク方向が直前までの回転
検出手段で検出された回転方向と不一致のときには電動
機またはステアリング軸の回転速度に応じて補正された
電動機駆動補償電流を出力するようにしたものである。
【0009】
【0010】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、電動機の発電電圧を監視する発電電圧監
視手段と、この発電電圧監視手段で検出された電動機の
非駆動時の発電電圧に基づいてハンドルの手放し戻り条
件を検出したときには、電動機を発電制動させる制動制
御手段と、電動機が非駆動である時にこの電動機および
その駆動回路間の配線のオープン、天絡、地絡あるいは
駆動回路の故障について検出を行うフェールセーフ手段
とを備え、電動機の制動制御とフェール検出を交互に行
うようにしたものである。
【0011】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、請求項の発明において、手放し戻り状
態を検出し、制動制御開始後に電動機の発電電圧が第1
のしきい値電圧を連続して第1の規定時間持続すると制
動制御をストップし、さらに第2のしきい値電圧を第2
の規定時間持続するとフェールと判定するものである。
【0012】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、請求項の発明において、手放し戻り条
件とする電動機の発電電圧のしきい値を時間と共に変更
し、規定時間以上上記手放し戻り条件が持続しないよう
にするものである。
【0013】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、請求項の発明において、電動機の発電
電圧が第1のしきい値以上で手放し戻り条件であること
を検出して電動機の制動を開始し、制動中の電動機の端
子電圧の変化率が第2のしきい値以下であれば制動制御
を中止するものである。
【0014】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、請求項の発明において、電動機駆動回
路へ供給される電源電圧を監視する電源電圧監視手段を
備え、発電制動を行っているときと発電制動を停止した
ときの電動機駆動回路への供給電源電圧の差が所定しき
い値以上であれば制動制御を中止するものである。
【0015】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、請求項の発明において、電動機の両端
子間の電圧差を監視する電動機端子電圧差監視手段を備
え、発電制動を行っているときに電動機の両端子間の電
圧差があるしきい値以上となれば、制動制御を中止する
ものである。
【0016】請求項の発明に係る電動式パワーステア
リング装置は、請求項の発明において、電動機駆動回
路と電動機を駆動する電源供給回路間を流れる短絡電流
を検出する電流検出手段を備え、手放し戻り条件が成立
し、制動制御を行っているときに電流検出手段によって
電流を検出すれば故障と判定し、制動制御を中止するも
のである。
【0017】請求項10の発明に係る電動式パワーステ
アリング装置は、請求項の発明において、制動制御手
段は、少なくともハンドル手放し戻り条件を検出したと
きには電動機駆動用Hブリッジ回路の上側2個または下
側2個のどちらかのFETをオンさせることで電動機に
発電制動をかけ、電流検出手段は電動機電流制御のため
の電流値検出と制動制御中における短絡電流検出を一つ
の電流検出手段で行い、Hブリッジ回路の上側2個また
は下側2個で動作する制動制御用FETが制動制御を動
作している時に、電動機駆動回路の短絡故障が発生すれ
ば上記制動制御用FETを流れる短絡電流を検出するも
のである。
【0018】
【作用】請求項1の発明においては、電動機が発電制動
状態にあるときにステアリングの回転方向に逆らって切
り返しの操舵を行っても、電動機の制動力を即座に停止
し、さらに慣性感を打ち消す効果を奏するので、手放し
収斂性の向上を実現しつつ、パワーステアリング装置本
来の軽快感を損なわれることがない。
【0019】請求項2の発明においては、ステアリング
軸及び電動機がハンドル戻りや路面反力等の外力で回転
させられ、大きな慣性モーメントを有する状態から、運
転者がハンドル回転方向と逆向きに転舵操作を行ったと
き、電動機等ステアリング系の有する回転数に応じた慣
性モーメントに打ち勝つ補償トルクを瞬時に発生させる
ことによって、切り返し時の慣性感を打ち消し、軽快な
ハンドル操作を実現できる。
【0020】
【0021】請求項の発明においては、電動機の制動
制御と、電動機端子電圧の監視を一定時間毎に交互に行
うことにより、制動制御動作と、電動機の配線のオープ
ン、天絡、地絡および駆動回路の故障に関するフェール
検出動作の両立を確実に行うことができ、以て、収斂性
の向上と電動機ハーネスの天絡・地絡等に対するフェー
ルセーフ動作による安全性の確保が両立できる。
【0022】請求項の発明においては、電動機の制動
制御と、電動機端子電圧の監視を交互に行うことによ
り、電動機端子電圧が第1のしきい値電圧を連続して第
1の規定時間持続すると制動制御をストップし、さらに
第2のしきい値電圧を第2の規定時間持続するとフェー
ルと判定するので、電動機駆動回路系が短絡故障したと
き、制動制御されることで回路の焼損等が発生するとい
った二次故障を防止できる。
【0023】請求項の発明においては、手放し戻り条
件とする電動機端子電圧のしきい値を時間と共に変更
し、規定時間以上手放し戻り条件が持続しないようにす
るので、電機子の回転による発電電圧でしきい値を超え
ている場合には制動制御によって発電電圧が低下し、正
常な制動が行える一方、電動機駆動回路の故障あるいは
配線の地絡等により端子電圧がしきい値を超えている場
合は制動制御を停止し、フェール検出に制御を移行する
ことができ、以て、制動制御動作とフェール検出動作の
両立を確実に行うことができる。
【0024】請求項の発明においては、電動機端子電
圧が第1のしきい値電圧以上で手放し戻り条件であるこ
とを検出して電動機の制動を開始し、制動中の端子電圧
の時間変化率が第2のしきい値以下であればブレーキ制
御を中止するので、電機子の回転による発電電圧でしき
い値を超えている場合には制動制御によって発電電圧が
低下し、時間変化率はあるしきい値以上となって制動制
御にはいるため正常な制動が行える一方、電動機駆動回
路の故障あるいは配線の地絡等により端子電圧がしきい
値を超えている場合は端子電圧の変動がなく、時間変化
率は0となるため制動制御を停止し、フェール検出に制
御を移行することができ、以て、制動制御動作とフェー
ル検出動作の両立を確実に行うことができる。
【0025】請求項の発明においては、ハンドル戻り
条件が成立し発電制動を行っているときと発電制動停止
時の供給電源電圧の差が所定しきい値以上であればブレ
ーキ制御を中止するので、制動制御動作中に電動機駆動
回路の故障あるいは配線の地絡故障が発生しても故障に
よって流れる大電流を監視回路によって検出でき、以
て、回路の焼損を防止し、制動制御動作中のハンドル自
転等の危険な挙動を防止ですることができる。
【0026】請求項の発明においては、ハンドル戻り
条件が成立し発電制動を行っているときに電動機の二端
子の監視電圧の差があるしきい値以上となれば異常とし
フェール判定とすることによって制動動作中の電動機の
端子間電圧が制動動作による正しい値かあるいは回路の
値絡故障等による異常値かを判定できるので、制動制御
動作中に電動機駆動回路の故障あるいは配線の地絡故障
が発生しても故障によって流れる大電流を監視回路によ
って検出でき、以て、回路の焼損を防止し、制動制御動
作中のハンドル自転等の危険な挙動を防止することがで
きる。
【0027】請求項の発明においては、制動制御中に
おいても制動制御手段内部若しくは電動機の配線で発生
した短絡故障で流れる短絡電流値を電流検出回路によっ
て検出することができるので、その際は制動制御を中止
することによってシステムの保護ができる。
【0028】請求項10の発明においては、電動機電流
制御のために電流フィードバック信号として用いる電流
値検出と制動制御中における短絡電流検出を一つの電流
検出手段で行い、新たなハードウェアの追加を要するこ
となく、システムの保護が簡素かつ容易に実現できる。
【0029】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図を参照して説
明する。 実施例1.図1はこの発明の実施例1を示す構成図であ
る。図において、1は電動機、2は電動機1を駆動する
ための電源、3a〜3dは電動機1を駆動するための例
えばHブリッジ接続されたFETであって、FET3b
と3dを動作させたとき電動機1を右側に駆動し、逆に
FET3aと3cを動作させたとき電動機1を左側に駆
動できる。4a〜4dは各々FET3a〜3dを駆動す
るためのドライブ回路であって、マイコン11のポート
Pa、Pb、Pc、Pdからの駆動方向指示およびパル
ス幅変調信号(PWM信号)出力ポートPWMからの指
示値によってそれぞれANDゲート5a〜5dを動作さ
せ、電動機1に対する左右の駆動方向及び出力電流値の
指令を得ている。6は電動機1を流れる電流を検出する
ためのシャント抵抗器、7はマイコン11にシャント抵
抗器6で得られた電動機1の電流検出値を入力するため
の電流検出回路である。
【0030】8は電動機1の発電電圧を監視する電動機
発電電圧監視手段であって、ハンドル手放し戻り時の電
動機1の発電電圧の監視、並びに電動機1の非駆動時の
FET等からなる電動機駆動回路と配線のオープン、天
絡、地絡によって生ずる電動機端子の一端とグランド間
の電圧(以下、端子電圧という)の異常を監視する。9
は運転者の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段、
10は操舵トルク検出手段9の検出値を微分する操舵ト
ルク検出値微分手段である。なお、図1では、操舵トル
ク検出値微分手段10を独立した1つのブロックで表示
しているが、マイコン11内で操舵トルク検出手段9の
検出信号をソフトウエアで処理することによっても実現
可能であることは明かである。12はダイオード、13
および14は抵抗器であって、ダイオード12のアノー
ドはマイコン11のA/D変換器(図示せず)の例えば
5Vの電源電圧AVddが基準電圧として供給される電源
端子18に接続されている。抵抗器13及び14の値を
選ぶことにより、電動機1の非駆動かつ回転停止時の両
端子電圧をほぼAVdd/2の値となるように設定する。
ここで、コントローラ11、ドライブ回路4a〜4dお
よびFET3a〜3d等は制動制御手段を構成し、ま
た、コントローラ11は微分制御手段も兼ねる。
【0031】次にマイコン11におけるメインプログラ
ムについて図2を用いて説明する。アシスト制御は、周
期的な割り込み1の駆動によって高速に処理される。先
ず、操舵トルク検出手段9によって得られた運転者の操
舵トルクを取り込む(ステップS1)。また、操舵トル
ク検出手段9の出力に基づいて操舵トルク検出値微分手
段10により微分された操舵トルク微分値を取り込む
(ステップS2)。ステップS3ではステップS1及び
S2で得られた操舵トルク検出値及び操舵トルク微分値
に基づいて電動機駆動演算を行い、電動機駆動指示値す
なわち電動機駆動目標電流Irおよび微分電流Idを決
定する。
【0032】次に、ステップS4によってハンドル手放
し戻り条件が成立しているかどうかを操舵トルク検出値
TRQと電動機端子電圧(後述のステップS15で取り
込まれて図示しないメモリに記憶されている)によって
チェックし、不成立であればステップS5のアシスト制
御に進み、逆に成立しているときは、ステップS6にお
いて微分電流Idが0か否かをチェックする。その結
果、微分電流Idが0でなければすなわちトルクの変動
が検出されたときには、制動制御を行わず、ステップS
7において微分電流Idを電動機駆動目標電流Irと
し、ステップ8bにおいて制動制御許可フラグをクリア
し、ステップS5においてアシスト制御を行う。一方微
分電流Idが検出されないときはステップS8aにおい
て制動制御許可フラグをセットする。
【0033】次にステップS3における電動機駆動演算
について図4を用いて詳細に説明する。操舵トルク検出
手段9で検出した操舵トルク検出値TRQから、操舵方
向(右左)と操舵トルク検出値に従って電動機駆動電流
Itの大きさと駆動方向を求める。電動機駆動電流It
は操舵トルク検出値TRQの絶対値があるしきい値トル
クTMINよりも小さい場合は電動機駆動電流Itの値
を0とする不感帯を設けることによって、高速走行時の
直進安定性に寄与している。操舵トルク検出値微分手段
10で得られた操舵トルク微分値TRQDに対してその
向きと大きさに対応した微分電流Idを求める。微分電
流Idは、電動機駆動電流Itに加算され、両者の和が
電動機駆動指示値、つまり電動機駆動目標電流Irとな
る。
【0034】また、ステップ4における手放し戻り条件
成立チェックについて図5を用いて詳細に説明する。ス
テップS18において、運転者の操舵力に応じて検出さ
れた操舵トルク検出値TRQの絶対値が図4に示された
あるしきい値トルクTMIN以上であれば、電動機1は
アシスト状態であるので手放し戻り条件不成立に分岐す
る。一方、操舵トルク検出値TRQの絶対値よりも小さ
いとき、すなわちトルクの負感帯にあるときはステップ
S19およびS20の判定を行う。この時電動機1はア
シスト力を発生していないので、電動機端子電圧監視値
としての電動機端子電圧Vmが所定のしきい値V1より
大ならば右回転、所定のしきい値V2よりも小ならば左
回転の手放し戻り状態と判定し、手放しハンドル戻り成
立に分岐する。この判定に用いた電動機端子電圧Vmは
図3の制動制御内のステップS15で得る。
【0035】また、ステップS5におけるアシスト制御
は、図7に示す制御ブロック、図8に示すフローチャー
トに基づいて行われる。なお、図7において、MDMは
マイコン11,ドライブ回路4a〜4dおよびFET3
a〜3d等のからなる電動機駆動手段、MCDMはシャ
ント抵抗器6,電流検出回路7およびマイコン11等か
らなる電動機電流検出手段である。すなわち、電動機駆
動指示値Irに対してステップS21において電動機電
流検出手段MCDMにより検出した実際の電動機駆動電
流Isをフィードバックし、ステップ22において両者
の偏差によってPWMデューティεIを求めて電動機駆
動手段MDMに供給し、ステップS23における駆動方
向に従ってFETに対するマイコン11のポートPa,
Pc,Pb,Pdを左右で切り替え、電動機電流をPW
M出力する。つまり、左方向に駆動する場合はステップ
S24においてFET3a,3cをオフし、FET3
b,3dに対して電動機電流をPWM出力し、右方向に
駆動する場合はステップS25においてFET3b,3
dをオフし、FET3a,3cに対して電動機電流をP
WM出力し,電動機1に対して電動機電流を流さない場
合はステップS65においてFET3a〜3dの全てを
オフし、PWMデューティεIを0とする。
【0036】一方、制動制御とフェール検出について図
1の回路及び図3のプログラムを用いて説明する。制御
周期は例えばメインプログラムの数倍の周期で同期して
起動する。ステップS9で制動制御カウンタ(図示せ
ず)BRKCの値をチェックし、0の時はステップS1
2へ進み、それ以外ではステップS10へ進む。ステッ
プS10では制動制御許可フラグをチェックし、その結
果に従って、制動制御許可フラグがセットされていれば
制動制御をONし(ステップS11)、制動制御許可フ
ラグがセットされてなければ制動制御をOFFする(ス
テップS72)。
【0037】制動制御は、図1のFET3a、3bをオ
ンし3c及び3dをオフする方法、若しくは3a、3b
をオフし、3c、3dをオンする方法のいずれかによっ
て実現できる。例えば、FET3a、3bをオンする制
動制御において、電動機1がステアリング反力等の外力
で右回転したときは電動機1の発電電流は電動機→FE
T3bのフライホイールダイオード→FET3a→電動
機の経路で短絡された閉回路を流れる。逆に左回転の時
は電動機→FET3aのフライホイールダイオード→F
ET3b→電動機の経路で発電電流が流れる。FET3
c、FET3dをオンする制動制御においても前述のF
ET3a、3bの制動制御と同様に発電電流を流しうる
ことは明らかである。
【0038】一方、カウンタBRKCが0でステップ1
2に進むと、カウンタBRKCは3にリセットされる。
ステップS13で電動機駆動目標電流Irをチェック
し、非駆動であればステップS14でFETをオフす
る。この時、図1のFET3a、3b、3c、3dはす
べてオフとなり、電動機発電電圧監視手段8には電動機
端子電圧が電動機回転速度と図4の如き関係で入力され
る。従って、この電圧をステップS15で監視すること
によって手放しハンドル戻り状態を判定できる。このよ
うに図2および図3の制動制御方法によれば、例えば制
動制御が3回続いた後には必ず1回の端子電圧監視処理
を設け、各々の動作を同期して行っているので、電動機
端子電圧の監視が正確に行える。
【0039】ステップS16では電動機端子電圧のフェ
ール判定を行う。この際のプログラムは図8に示す。電
動機端子電圧Vmが所定時間以上連続して図9のしきい
値V3を超えるか(S26,S27,S30)、もしく
はしきい値V4に満たないときは(S26,S27,S
28,S30)電動機1の発電による端子電圧の変動で
はなく、電動機駆動回路系の故障による電圧と考えられ
るのでフェールとする(S31)。そして、電動機端子
電圧VmがしきいV3とV4の間であれば、フェール判
定タイマー(図示せず)を初期化する。次いで、図3の
ステップS17で制動制御カウンタの値を更新する。
【0040】このように、本実施例では、手放しハンド
ル戻り条件を検出し、制動制御動作実行中でも一定周期
で電動機端子電圧を監視し、最適な制動制御を行うと共
に配線の短絡等の故障検出も正確に行うことができる。
従ってハンドル戻り時の収斂性の改善とフェールセーフ
動作の両立が可能となる。さらに手放しハンドル戻り状
態から運転者が転舵したことを検出すれば、操舵トルク
が不感帯であっても制動制御を中止し、微分電流を電動
機に与えることによって電動機およびステアリング軸等
の慣性を打ち消し、軽快な操舵フィーリングが得られ
る。
【0041】実施例2.次にこの発明の実施例2につい
て説明する。本実施例における回路構成は、実施例1に
おける図1と同様の回路構成が用いられ、そのメインプ
ログラムは図10、制動制御とフェール検出のプログラ
ムは図11にそれぞれ示すようなフローチャートが用い
られる。先ず、図10のメインプログラムについて実施
例1の図2のメインプログラムとの相違点である、ステ
ップS32およびS40の回転補償について説明し、続
いて、図11の制動制御とフェール検出を行うプログラ
ムを説明する。回転補償は手放し戻り状態から転舵する
ときの、電動機およびステアリング軸の回転慣性を打ち
消すために、電動機1の端子電圧から手放し戻り時の電
動機回転数を推定し、図12のプログラムにより補償電
流を図13のテーブルから求めて動作する。図10のス
テップS4にて手放し戻り条件が成立し、かつトルク変
動が検出されたときに実質的に回転補償のロジックであ
るステップS32が起動される。
【0042】このステップS32では、図12に示すよ
うに、ステップS37で手放し戻り状態から転舵する直
前の電動機端子電圧Vmを取り込み、この電動機端子電
圧Vmから電動機回転数を推定し、電動機およびステア
リングトルクの回転慣性に見合った回転補償電流Icを
ステップS38で決定する。次いで、ステップS39に
て微分電流Idと回転補償電流Icの和を求め、電動機
駆動目標電流Irとする。この電動機駆動目標電流Ir
を手放し戻り状態から転舵するときの電動機およびステ
アリング慣性の補償電流として、図10のステップS3
2で与え、切り返し操舵時の電動機およびステアリング
軸の慣性感を打ち消し、軽快なハンドルフィーリングを
得る。なお、回転補償をより効果的に行うために、回転
補償電流Icをタイマーにより暫減させる制御を追加し
ても良い。具体的には例えば図10に示すようにステッ
プS4とステップS8bの間にステップS40を挿入
し、回転補償電流Icの値を暫減しつつ電動機駆動目標
電流Irに加算する。
【0043】次に制動制御を図1の回路および図11の
プログラムを用いて説明する。制動制御は図11の割り
込み2で起動する。ステップS9で制動制御カウンタB
RKC(図示せず)の値をチェックし、0の時はステッ
プS12へ進み、カウンタBRKCを3にリセットす
る。次いで、ステップS13で電動機駆動目標電流Ir
をチェックし、電動機駆動目標電流Irが0ならば、つ
まり、非駆動であればステップS14でFETを全てオ
フし、それ以外の時はステップS17へ進む。ステップ
S9で制動制御カウンタBRKCが0以外の時はステッ
プS10へ進む。ステップS10では制動制御許可フラ
グをチェックし、クリアされていればステップS33に
進み、制動制御タイマ(図示せず)を初期化する。さら
に、ステップS72で制動制御をオフし、ステップS1
7で制動制御カウンタBRKCの値を1減じてリターン
する。
【0044】一方、ステップS10でフラグがセットさ
れていれば、ステップS34で制動制御タイマの状態を
判定する。制動制御タイマがタイムアップしていなけれ
ばステップS35で制動制御タイマの値を1減じ、ステ
ップS11の制動制御を行う。この制動制御は、実施例
1と同様に、図1のFET3a、3bをオンし3c及び
3dをオフする方法、若しくは3a、3bをオフし、3
c、3dをオンする方法のいずれかによって行う。制動
制御を実行すると、ステップ17に進む。制動制御が開
始されているときは、ステップS34で制動制御タイマ
がタイムアップすればステップS14に移り制動制御は
中止する。この時は図1のFET3a、3b,3c,3
dをすべてオフとするので電動機端子電圧Vmを読み込
めば、回路正常時の電動機回転数の推定と、短絡故障の
検出が可能となる。ステップS15で電動機端子電圧V
mを読み込む。ステップS16ではフェール判定を行
う。
【0045】フェール検出のプログラムは、実施例1と
同様に図9で可能である。図14に示すように、図11
のステップS33、S34、S35で用いている制動制
御タイマの設定時間をt1(例えば500ms)、図8
のフェール判定タイマの設定時間をt2(例えば4se
c)に設定する。電動機1を非駆動で、電動機端子電圧
が第1のしきい値(右回転の場合V1、左回転の場合V
2)を超えた状態が成立すれば手放しハンドル戻りと判
定し、制動制御を開始するが、制動制御中に電動機配線
の地絡故障などで端子電圧がハンドル静止状態の電圧A
Vdd/2に復帰しないときは第1の規定時間すなわち
設定時間t1で制動動作を停止し、フェール検出に制御
を移す。
【0046】このように、本実施例では、手放しハンド
ル戻り状態から切りかえす時の電動機やステアリング軸
系の回転慣性を補償し、操舵時の慣性感を無くする効果
が得られると同時に、コントローラ内部回路や電動機の
配線の短絡故障時の過電流が流れる故障に対しても、過
電流の流れる時間を制限でき、安全性を向上できる。従
って、制動制御動作とフェールセーフ動作が両立でき
る。
【0047】実施例3.次にこの発明の実施例3につい
て説明する。本実施例における回路構成は、実施例1に
おける図1と同様の回路構成を用い、そのメインプログ
ラムも実施例1の図2と同様のものを用いるので、その
説明を省略する。手放し戻り条件と制動制御の方法につ
いて、図15に示す手放し戻り条件判定のフローチャー
ト、図16に示す制動制御のフローチャート、図17に
示す手放し戻りしきい値変更のフローチャートおよび図
18に示す動作説明図を参照して説明する。本実施例で
は、上述した図1のメインプログラムの手放し戻り条件
判定を、図5のV1、V2の一定の端子電圧しきい値で
判定する方法に代えて図17に示すように時間と共に変
化するしきい値v1、v2を用いる方法とする。
【0048】図16に示すように制動制御が割り込み2
によって起動する。ステップS9で制動制御カウンタB
RKCの値をチェックし、0の時はステップS12へ進
み、それ以外ではステップS10へ進む。制動制御カウ
ンタBRKCが0でステップ12に進むと、制動制御カ
ウンタBRKCは3にリセットされる。ステップS13
で電動機駆動目標電流Irをチェックし、非駆動であれ
ばステップS43の手放し戻りしきい値変更サブルーチ
ンをコールする。このしきい値変更サブルーチンは、例
えば、図17に示すように実現できる。しきい値電圧v
1は右回転制動制御しきい値を示し、しきい値電圧v2
は左回転制動制御しきい値を示す。これらの値をステッ
プS44、S45において一定時間毎にv1は所定量a
増加、v2は所定量a減少させる。しきい値を変化させ
たとき、ステップS46、S47、S48およびS49
において、電動機端子電圧の上限値例えばAVdd、下
限値例えば0でクリップさせる。また、クリップさせた
ときは制動制御許可フラグをクリアする。
【0049】その後、図16のステップS14で制動制
御をオフし、ステップS15で電動機端子電圧Vmを読
み込み、ステップS16でフェール判定を行う。これら
は、実施例1の制御方法と同様である。ステップS10
では制動制御許可フラグをチェックし、その結果、フラ
グがセットされていれば制動制御をONする(ステップ
S11)。なお、制動制御方法は実施例1と同様である
ので説明は省略する。もし、ステップS10で制動制御
許可フラグがクリアされていれば、ステップS42にお
いて手放し戻りしきい値を初期化し、v1にV1(右回
転制動制御開始しきい値電圧)を、v2にV2(左回転制
動制御開始しきい値電圧)をそれぞれセットし、ステッ
プS72で制動制御をオフする。メインプログラムでは
手放し戻り条件判定を図15のプログラムで行うので、
制動制御を開始すると時間と共に手放し戻り判定しきい
値すなわち制動制御しきい値v1及びv2は電動機回転
が高回転数に相当した値に変化する。なお、図18で
は、しきい値の時間変化率は一定としているが、制動制
御特性を改善するために時間と共にしきい値変化率を暫
増させても良い。
【0050】このように、本実施例では、電動機の制動
制御が正常に行われているときは制動と共に電動機の回
転数が低下するので発電電圧は低下し、しきい値電圧と
の交点で制動制御が中止される。かくして、右左回転制
御しきい値変化時間Tf後に制動制御を中止しても、電
動機端子電圧Vmの値が駆動回路天絡故障しきい値電圧
V3以上もしくは駆動回路地絡故障しきい値電圧V4以
下であることをステップS16のフェール判定で検出す
れば、電動機駆動回路の天絡もしくは地絡等の故障とし
てフェール処理を移行できる。従って、電動機駆動回路
の故障によって電動機端子電圧の異常が生じている場合
は、図18に示すハンドル戻り条件しきい値変化時間す
なわち右左回転制御しきい値変化時間Tfで制動制御が
中止される。よって、正常動作中はハンドルの手放し戻
りを検知し、制動制御を行うので収斂性が改善されると
共に制動制御中に天絡や地絡故障が起こった場合にもT
fなる一定時間経過後は短絡過電流が流れることを防止
でき、安全性を向上できると同時にフェール検出が確実
に行えることがわかる。
【0051】実施例4.次にこの発明の実施例4につい
て説明する。本実施例における回路構成は、実施例1に
おける図1と同様の回路構成を用いれ、その制動制御の
プログラムも実施例1の図3と同様のものを用いるの
で、その説明を省略する。本実施例では、メインプログ
ラムは、図2のステップS4における手放し戻り条件の
み変更したので、その部分について、図19、図20お
よび図21を参照して説明する。これらの図に示すよう
に、電動機端子電圧Vmが第1のしきい値電圧(右回転
の場合V1、左回転の場合V2)以上で手放し戻り条件
であることを検出して手放し戻り条件の判定を開始し、
制動中の端子電圧の変化率が第2のしきい値(図20の
Vmpk−DVMINの特性の勾配における所定の傾き
値)以下であれば手放し戻り条件の成立を中止するもの
とした。
【0052】割り込み1によって図19のハンドル手放
し戻り条件判定が起動される。ステップS18で操舵ト
ルク検出値TRQの絶対値がTMINよりも小さいと
き、すなわちトルクの不感帯にあるときはステップS5
0で制動中止フラグをチェックし、クリアされていれば
ステップS51で制動制御許可フラグをチェックする。
電動機1がハンドル手放しにより回転を始めるまではこ
の制動制御許可フラグはクリアされているので、ステッ
プS19に進む。ステップS19およびS20において
電動機端子電圧Vmがしきい値電圧V1を超えていれば
手放し戻り条件は成立したものと判定され、図2のメイ
ンルーチンで制動制御許可フラグがセットされ(ステッ
プS8a)、図3の制動制御が実行される。運転者がハ
ンドルを手放し、制動制御が行われている状態で,再び
図19の手放し戻り条件判定が起動されると、ステップ
S51で制動制御許可フラグがセットされているため、
ステップS52の電動機端子電圧Vm変動判定に進む。
ステップS52では、電動機端子電圧Vmのピーク値V
mpkを検出し、電動機端子電圧Vmのピーク値Vmpkを検
出した時間から一定時間後の電動機端子電圧Vmの変動
を監視する。
【0053】このステップS52における電動機端子電
圧Vm変動判定のルーチンを図21に示す。先ず、ステ
ップS56〜S58では、電動機端子電圧Vmをチェッ
クし、電動機端子電圧VmがAVdd以上の場合、すな
わち右回転の場合はステップS57において、また、電
動機端子電圧VmがAVdd未満の場合、すなわち左回
転の場合にはステップS58において、それぞれ現在の
電動機端子電圧Vmと電動機端子電圧ピーク値Vmpkと
に基づいて、実質的にその差である電動機端子電圧変動
値DVを算出し、この電動機端子電圧変動値DVの極性
をステップS59にてチェックする。電動機端子電圧変
動値DVが正の時は電動機端子電圧に比例する電動機回
転数が増加していると推定し、電動機回転数のピーク値
を検出するためステップS60に進み、電動機端子電圧
変動値DVが負の時は電動機回転数が減少または電動機
端子電圧が異常と判定してステップS62に進む。ステ
ップS60に進んだときは、電動機端子電圧ピーク値V
mpkを更新し、ステップS61で電圧変動監視タイマー
TDVM(図示せず)をリセットして図19のステップ
S19に進む。
【0054】一方、ステップS62に進むと、電圧変動
監視タイマーTDVM(図示せず)を動作させタイムア
ップするまでは(ステップS62,S63)、図19の
ステップS19の変動有りに進むが、ステップS63で
タイムアップしたときに電動機端子電圧変動値DVの絶
対値が所定のしきい値すなわち電動機端子電圧変動しき
い値DVMIN以内であれば電動機端子電圧Vmの変動
が無いため異常と判断して(ステップS64)、図19
のステップS53に進み、制動中止フラグをセットす
る。制動中止フラグがセットされると、他の手放し戻り
条件が満たされても制動制御は行わず、フェール判定の
みが行われる。また、制動中止フラグのクリアと電動機
端子電圧ピーク値Vmpkの初期化は電動機駆動目標電流
Irが0でない時(アシスト有り)に実行する(ステッ
プS54,S55)。
【0055】このように、本実施例では、制動制御が正
常に行われ、電動機発電電圧が電動機回転数の低下と共
に小さくなる場合は、図20に示すように正常に制動制
御が行われるが、制動制御中に電動機駆動回路の故障や
配線の短絡などの異常が発生し、電動機端子電圧Vmが
継続して制動制御しきい値V3またはV4以上となった
場合でも、所定時間経過時の電圧変動をチェックするこ
とによって電動機端子電圧異常の判定ができるので、制
動制御時の電動機駆動回路の故障や天絡、地絡故障によ
る電動機端子電圧異常が判定できる。従って制動制御に
よるハンドル戻り時の収斂性の向上と、安全性の確保が
両立できるという効果が得られる。
【0056】実施例5.図22はこの発明の実施例5を
示す構成図である。図において、図1と対応する部分に
は同一符号を付し、その詳細説明を省略する。本実施例
は、図1の構成に加えて電動機駆動回路としてのFET
3a〜3dへの電源供給電圧の監視を行う電源電圧監視
手段15を備えている。また、11Aは本実施例による
マイコンである。本実施例では、電動機駆動回路への電
源供給電圧を監視することによって、制動制御中に過大
な短絡電流が電源2から流れ、供給電圧の変動を検出す
れば制動制御を中止し、フェールセーフ動作に移行する
構成としている。
【0057】図23は電源電圧監視手段15の具体的回
路構成の一例を示すもので、図において、ZD1はツェ
ナーダイオードである。このツェナーダイオードZD1
のカソードはライン16を介して電源2と電動機駆動回
路の接続点に接続され、そのアノードは分圧抵抗器R1
およびR2を介して接地される。そして、分圧抵抗器R1
およびR2の接続点が抵抗器R3を介してライン17によ
りマイコン11AのA/D5ポートに接続される。C1
は抵抗器R3の一端(マイコン11A側)とグランド間
に接続されたフィルタコンデンサ、D1およびD2はそれ
ぞれ電源端子18と抵抗器R3の一端および抵抗器R3
グランド間に接続された保護ダイオードである。ここで
は、一例として、電源電圧AVddが5V、ツェナーダイ
オードZD1のツェナー電圧が9V、そしてR1およびR
2の抵抗値がそれぞれ2kΩ,24kΩとされている。
【0058】次に動作について説明する。なお、本実施
例における制動制御のプログラムは図25である。ま
た、メインプログラムは図2でステップS4の手放しハ
ンドル戻り条件判定を図26に示すようなフローチャー
トとしたほかは実施例1と実質的に同じであるから、こ
こでは、変更点を説明する。いま、図25における割り
込み2によって制動制御が起動され、制動制御の条件が
成立しているときは、ステップS11でFET3aと3
bがONし、電動機1の端子間は短絡され発電制動が実
行される。同時にこの時電動機1の電機子端子対はFE
T3aと3bを介して電源2と導通する。ステップS6
6でこの時の電動機駆動回路に供給されている電圧VB
を測定し、VBONとしてメモリ(図示せず)に記憶す
る。回路の動作が正常であれば、電動機駆動回路に電源
2から電力は供給されず、電動機駆動回路供給電圧VB
は通常の正常値が測定される。
【0059】一方、電動機駆動回路に地絡故障が起こっ
たときは電源2から短絡電流が流れるので、電源回路の
インピーダンスによって電圧降下が検出される。このた
めの電源電圧監視手段15は例えば上述した図23のよ
うに構成すればよく、そのときのマイコン11Aのポー
トA/D5での監視結果は図24の縦軸となる。すなわ
ち、電動機駆動回路供給電圧VBが9Vに達するまで
は、ツェナーダイオードZD1がオフ状態にあるので、
マイコン11AのポートA/D5に供給される電源電圧
AVddは0Vであるが、電動機駆動回路供給電圧VB
が9Vに達すると、ツェナーダイオードZD1がオンし
て、分圧抵抗器R1、R2の接続点に現れる電圧が、抵抗
器R3およびコンデンサC1の時定数に応じて電動機駆動
回路供給電圧VBの上昇と共に規定の電圧5Vまで上昇
し、電源電圧AVddとしてマイコン11AのポートA
/D5に供給される。
【0060】一方、図25のステップS14で制動制御
を解除し、FET3a、3b、3cおよび3dが全てO
FFの時、ステップS67で電動機駆動回路供給電圧V
Bを測定すれば、前記の地絡故障の場合にも短絡電流が
流れなくなり、電動機駆動回路供給電圧VBは正常値に
復帰する。従って,ステップS68で制動制御でFET
3a,3bをONしているときと、FETが全てOFF
の時の供給電圧の差をステップS68で監視することに
よって、地絡故障の検出ができる。ステップS68での
監視電圧の差が所定しきい値Vbth以上であれば、ステ
ップS69で制動中止フラグをセットする。図2の割り
込み1で起動するメインルーチンにおいて、図26の手
放し戻り条件判定が起動され、ステップS71で制動中
止フラグがセットされていれば、手放し戻り不成立に分
岐するため制動制御は実行されない。
【0061】このように、本実施例では、簡単なハード
ウエア構成とソフトウエアを用いて、制動制御中に電動
機駆動回路に短絡電流が流れたとき、故障を検出し制動
制御を中止することができ、電動機駆動回路や配線の加
熱損傷を防止でき、ハンドル戻り時の制動制御による収
斂性の向上と回路の保護を両立できるという優れた効果
を奏する。
【0062】実施例6.図27はこの発明の実施例6を
示す構成図である。図において、図1と対応する部分に
は同一符号を付し、その詳細説明を省略する。本実施例
は、図1の構成に加えて電動機端子の両端の端子電圧を
監視する電動機端子電圧差監視手段19を備え、制動制
御中の電動機駆動回路の短絡故障によって発生する異常
な電動機電機子端子間電圧差、つまり、電動機端子電圧
差を検出する構成としている。また、11Bは本実施例
によるマイコンである。
【0063】図29は電動機端子電圧差監視手段19の
具体的回路構成の一例を示すもので、図において、19
aは電動機1の両端に接続され、電動機端子電圧差を整
流する端子電圧差整流回路、19bは端子電圧差整流回
路19aの出力側に設けられ、前段の差動増幅回路を保
護するための保護回路、19cは保護回路19bの出力
側に設けられ、入力された整流出力を増幅する差動増幅
回路、19dは差動増幅回路19cの出力側に設けら
れ、前段のマイコン11Aを保護するための保護回路で
ある。
【0064】端子電圧差整流回路19aはブリッジ接続
されたダイオードD10〜D13からなり、保護回路19b
は端子電圧差整流回路19aの正の出力側に一端が接続
された抵抗器R11と、この抵抗器R11の他端と端子電圧
差整流回路19aの負の出力側に並列接続されたツェナ
ーダイオードZD10,コンデンサC10および抵抗器11
からなる。また、差動増幅回路19cは演算増幅器IC
1と、この演算増幅器IC1の非反転入力端子と抵抗器
R10の他端に接続された抵抗器R12と、演算増幅器IC1
の反転入力端子と端子電圧差整流回路19aの負の出力
側に接続された抵抗器R13と、演算増幅器IC1の非反
転入力端子とグランド間に接続された抵抗器R14と、演
算増幅器IC1の反転入力端子とその出力端子間に接続
された抵抗器R15とからなる。さらに、保護回路19d
は演算増幅器IC1の出力端子とマイコン11Bのポー
トA/Dポート間に接続された抵抗器R16と、抵抗器R
16の他端(ポートA/D側)とグランド間に接続された
コンデンサC11と、抵抗器R16の他端と電源端子18お
よびグランド間にそれぞれ接続されたダイオードD14
よびD15とらなる。
【0065】次に動作について説明する。なお、本実施
例における制動制御のプログラムは図28である。ま
た、メインプログラムは図2、ステップS4の手放しハ
ンドル戻り条件判定のプログラムは上述の図26を用い
ており、これは実施例5と同じであるから変更点の図2
8の制動制御について説明する。いま、図28の割り込
み2によって制動制御が起動され、制動制御の条件が成
立しているときは、ステップS11で図27のFET3
aと3bがONし、電動機1の電動機端子間は短絡され
発電制動が実行される。同時にこの時電動機1の電機子
端子対はFET3aと3bを介して電源2と導通してお
り、この状態では電動機端子間はほぼ短絡状態のため端
子電圧差は小さい。
【0066】ところが、制動制御が実行されているとき
に、電動機駆動回路の故障または配線の地絡故障が発生
し短絡電流が流れると、電動機1にも短絡電流が流れ、
電動機1の端子間に大きな電圧差が発生する。そこで、
ステップS73で制動制御オンの時の図29のような構
成の電動機端子電圧差監視手段19の出力に基づいて電
動機端子両端の電圧差Vmmを測定し、ステップS74
でその値がしきい値Vmthを超えていないかどうかをチ
ェックする。もし、しきい値を超えていればステップS
75に進み、制動中止フラグをセットする。
【0067】さらに、ステップS76でFETを全てオ
フし、制動制御を中止する。制動中止フラグがセットさ
れれば、その後は割り込み1のメイン処理ルーチンで起
動する図26の手放し戻り条件は常にステップS71で
不成立となり、制動制御許可フラグがクリアされるので
以後はフェール検出のみが行われる。電動機端子電圧差
Vmmの検出は図28のソフトウエアでは割り込み2の
制動制御ルーチン内で行われているので、電動機端子電
圧差Vmmがしきい値Vmthを超えれば即座に制動制御
を中止することによって、回路の焼損を防止でき安全な
システム構成とすることができる。
【0068】このように、本実施例では、簡単なハード
ウエア構成とソフトウエアを用いて、制動制御中に電動
機駆動回路に短絡電流が流れたとき、故障を検出し制動
制御を中止することができ、電動機駆動回路や配線の加
熱損傷を防止でき、ハンドル戻り時の制動制御による収
斂性の向上と回路の保護を両立できるという優れた効果
を奏する。
【0069】実施例7.図30はこの発明の実施例7を
示す構成図である。図において、図1と対応する部分に
は同一符号を付し、その詳細説明を省略する。本実施例
は、電動機駆動回路の電流検出用のシャント抵抗器6を
電動機駆動回路のプラス電源側に配置しており、電流検
出回路7によって駆動電流はシャント抵抗器6の両端の
検出電圧を電流検出回路7内の差動増幅器(図示せず)
で増幅して検出するものとする。手放し戻り条件が成立
し制動制御を行っているとき、電動機駆動回路あるいは
電動機1への配線で地絡故障が発生し短絡電流が流れる
と、この電流は電流検出回路7で検出できるので、さら
に制動制御を中止しフェールセーフ制御に移行するよう
なソフトウェア/ハードウェア構成としている。
【0070】次に動作について説明する。なお、本実施
例におけるメインプログラムは図2、ステップS4の手
放しハンドル戻り判定条件は図26を用いており、これ
は実施例5および実施例6と同じであるので、その変更
点の図31の制動制御について説明する。割り込み2に
よって図31の制動制御が起動され、制動制御の条件が
成立しているときは、ステップS11でFET3aと3
bがONし、電動機1の端子間は短絡され発電制動が実
行される。同時にこの時電動機1の電機子端子対はFE
T3aと3bを介して電源2と導通している。このよう
に、制動制御が働いているときに、電動機駆動回路の故
障または配線の地絡故障が発生し短絡電流が流れると、
その電流はシャント抵抗器6によって故障による短絡電
流として検出できる。
【0071】この値を電流検出回路7でマイコン11に
取り込み、ステップS77で短絡電流ISTを測定し、ス
テップS78で短絡電流ISTの有無を監視する。もし、
短絡電流ISTが流れていればステップS75に進み、制
動中止フラグをセットする。さらに、ステップS76で
FETを全てオフし、制動制御を中止する。制動中止フ
ラグがセットされれば、その後は図2の割り込み1の処
理ルーチンで起動する図26の手放し戻り条件は常にス
テップS71で不成立となり、制動制御許可フラグがク
リアされるので以後はフェール検出のみが行われる。こ
の電動機駆動回路の短絡電流の検出は、図31のソフト
ウエアでは割り込み2によって周期的に行われているの
で、短絡電流が検出されれば、即座に制動制御を中止す
ることによって、回路の焼損を防止でき安全なシステム
構成とすることができる。
【0072】このように、本実施例では、簡単なハード
ウエア構成とソフトウエアを用いて、制動制御中に電動
機駆動回路に短絡電流が流れたとき、故障を検出し制動
制御を中止することができ、電動機駆動回路や配線の加
熱損傷を防止でき、ハンドル戻り時の制動制御による収
斂性の向上と回路の保護を両立できるという優れた効果
を奏する。
【0073】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、電動機の発電
電圧を監視する発電電圧監視手段と、操舵トルクを検出
する操舵トルク検出手段と、この操舵トルク検出手段の
出力を微分する微分手段と、発電電圧監視手段で検出さ
れた電動機の発電電圧、操舵トルク検出手段および微分
手段の出力に基づいて、少なくともハンドルの手放し戻
り条件が成立すれば、電動機を発電制動させる制動制御
手段と、操舵トルク検出手段の出力と微分手段の出力の
加算出力に基づいて電動機の出力トルクを制御し、この
電動機の慣性を補償する微分制御手段とを備え、制動制
御手段が発電制動を実行中においても操舵トルクの検出
値の微分による電動機制御条件が成立した場合には、発
電制動を中止し微分制御を優先させるようにしたので、
手放しハンドル戻り状態を検出し制動制御を行っている
時に運転者が切り替えしを行うことによって発生する操
舵トルクの微分値を検出したときには、即座に制動制御
を中止し、操舵トルクが電動機アシスト制御の不感帯内
であっても微分電流を流すことによって、切り換えし時
のハンドルの引っかかり感を無くし、さらに電動機やス
テアリング軸などの慣性感を打ち消すことが出来、軽快
な操舵フィーリングが得られ、また、検出が容易で、構
成の簡略化を図ることができるという効果がある。
【0074】請求項2の発明によれば、操舵トルクを検
出する操舵トルク検出手段と、この操舵トルク検出手段
の出力を微分する微分手段と、操舵トルク検出手段およ
び微分手段の出力に基づいて、少なくともハンドルの手
放し戻り条件が成立すれば、電動機を発電制動させる制
動制御手段と、操舵トルク検出手段の出力と微分手段の
出力の加算出力に基づいて電動機の出力トルクを制御
し、この電動機の慣性を補償する微分制御手段と、非駆
動時の電動機回転方向およびステアリング軸回転方向の
少なくとも一方の回転方向と回転速度を検出する回転検
出手段とを備え、運転者が操舵を開始したときの操舵ト
ルク方向が直前までの回転検出手段で検出された回転方
向と不一致のときには電動機またはステアリング軸の回
転速度に応じて補正された電動機駆動補償電流を出力す
るようにしたので、手放しハンドル戻り状態を検出し制
動制御を行っているときに運転者が切り換えしを行う
と、切り換えし直前の電動機回転速度に基づいて回転慣
性電流を補償し、電動機やステアリング軸等の慣性を打
ち消しを行うことができ、以て、ハンドル戻りに起因し
た転舵時の引っかかり感や慣性感を打ち消すことがで
き、手放し戻り状態から転舵したときのステアリング慣
性感がよくなるという効果がある。
【0075】
【0076】請求項の発明によれば、電動機の発電電
圧を監視する発電電圧監視手段と、この発電電圧監視手
段で検出された電動機の非駆動時の発電電圧に基づいて
ハンドルの手放し戻り条件を検出したときには、電動機
を発電制動させる制動制御手段と、電動機が非駆動であ
る時にこの電動機およびその駆動回路間の配線のオープ
ン、天絡、地絡あるいは駆動回路の故障について検出を
行うフェールセーフ手段とを備え、電動機の制動制御と
フェール検出を交互に行うようにしたので、制動制御と
発電電圧の監視を交互に同期して行うことによって制動
制御とフェール検出を両立でき、ハンドル戻り時の収斂
性の向上と電動機およびその駆動回路間の配線のオープ
ン、天絡、地絡および駆動回路の故障に関するフェール
検出の両立が可能となるという効果がある。
【0077】請求項の発明によれば、請求項の発明
において、手放し戻り状態を検出し、制動制御開始後に
電動機の発電電圧が第1のしきい値電圧を連続して第1
の規定時間持続すると制動制御をストップし、さらに第
2のしきい値電圧を第2の規定時間持続するとフェール
と判定するので、電動機駆動回路の故障時にも制動制御
手段や電動機を短絡異常電流の流れる時間を制限でき、
フェールセーフ動作の安全性を増すことができるという
効果がある。
【0078】請求項の発明によれば、請求項の発明
において、手放し戻り条件とする電動機の発電電圧のし
きい値を時間と共に変更し、規定時間以上上記手放し戻
り条件が持続しないようにするので、規定時間以上手放
し戻り条件が持続せず、制動制御の行われる時間が制限
され、以て、電動機駆動回路や配線の短絡故障が発生し
た場合にも制動制御手段や電動機に異常電流が流れる時
間を制限でき、フェールセーフ動作の安全性を増すこと
ができるという効果がある。
【0079】請求項の発明によれば、請求項の発明
において、電動機の発電電圧が第1のしきい値以上で手
放し戻り条件であることを検出して電動機の制動を開始
し、制動中の電動機の端子電圧の変化率が第2のしきい
値以下であれば制動制御を中止するので、制動制御が正
常に動作すれば電動機の回転による発電電圧はやがて0
に収束し、制動制御は必要十分な時間継続する一方、電
動機駆動回路の故障あるいは配線の短絡などによって電
動機の端子電圧が異常な値を保持し続けたときには端子
電圧の時間変化が無いためハンドル手放しではなく回路
の故障と判定でき、制動制御を中止し、フェールセーフ
動作に移行でき、以て、制動制御手段や電動機に短絡電
流の流れる時間を制限できフェールセーフの安全性を増
すことができるという効果がある。
【0080】請求項の発明によれば、請求項の発明
において、電動機駆動回路へ供給される電源電圧を監視
する電源電圧監視手段を備え、発電制動を行っていると
きと発電制動を停止したときの電動機駆動回路への供給
電源電圧の差が所定しきい値以上であれば制動制御を中
止するので、制動制御を行っているときに電動機駆動回
路の故障や配線の短絡などによって大電流が流れると、
電動機駆動回路の電源電圧が低下することを監視し、あ
るしきい値以上の電圧の変動を検出すると制動制御を中
止し、以て、電動機の自転の防止が可能となる他、制動
制御手段や配線の焼損を防止でき、システムの安全性を
確保できるという効果がある。
【0081】請求項の発明によれば、請求項の発明
において、電動機の両端子間の電圧差を監視する電動機
端子電圧差監視手段を備え、発電制動を行っているとき
に電動機の両端子間の電圧差があるしきい値以上となれ
ば、制動制御を中止するので、電動機の両端子間の電圧
差を監視し、発電制動を行っているときに電動機の両端
子間の電圧差があるしきい値以上となれば、制動制御を
中止するため、制動制御を行うことによって電動機端子
間が短絡されているときの電動機端子間の電圧の差を監
視し、電動機駆動回路の故障や配線の短絡などの原因で
大きな短絡電流が流れたときに発生する電動機の両端子
間の電位差を検出でき、以て、端子間電位差があるしき
い値以上のとき制動制御を中止することによって、電動
機を流れる短絡電流によるハンドルの自転を防止できる
ほか、短絡電流による制動制御手段や配線の焼損も防止
でき安全性を高めることができるという効果がある。
【0082】請求項の発明によれば、請求項の発明
において、電動機駆動回路と電動機を駆動する電源供給
回路間を流れる短絡電流を検出する電流検出手段を備
え、手放し戻り条件が成立し、制動制御を行っていると
きに電流検出手段によって電流を検出すれば故障と判定
し、制動制御を中止するので、制動制御を行なっている
ときに電動機駆動回路の故障や配線の短絡などによって
異常な短絡電流が流れた場合には、電流検出手段によっ
てその異常電流を検出でき、短絡電流が検出されれば制
動制御を中止することができ、以て、電動機を流れる短
絡電流によるハンドルの自転や制動制御手段や配線の焼
損を防止でき、安全性を高めることができるという効果
がある。
【0083】請求項10の発明によれば、請求項の発
明において、制動制御手段は、少なくともハンドル手放
し戻り条件を検出したときには電動機駆動用Hブリッジ
回路の上側2個または下側2個のどちらかのFETをオ
ンさせることで電動機に発電制動をかけ、電流検出手段
は電動機電流制御のための電流値検出と制動制御中にお
ける短絡電流検出を一つの電流検出手段で行い、上記H
ブリッジ回路の上側2個または下側2個で動作する制動
制御用FETが制動制御を動作している時に、電動機駆
動回路の短絡故障が発生すれば上記制動制御用FETを
流れる短絡電流を検出するので、新たなハードウェアの
追加を要することなく、Hブリッジの上側2個で動作す
る制動制御用FETとGND間を流れる短絡電流を検出
することができ、電動機駆動回路の短絡故障時に制動制
御用FETを流れる異常な短絡電流を検出した場合には
制動制御を中止することができる装置を簡素かつ容易に
実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例を示す構成図である。
【図2】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例におけるメインプログラムを示すフローチャ
ートである。
【図3】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例における制動制御プログラムを示すフローチ
ャートである。
【図4】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例における電動機駆動演算ステップS3の演算
内容を示す図である。
【図5】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例の手放し戻り条件を与えるフローチャートで
ある。
【図6】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例におけるアシスト制御を示すステップS5の
演算内容を示す図である。
【図7】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例におけるアシスト制御を示すステップS5の
フローチャートである。
【図8】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例におけるフェール判定を示すステップS16
のフローチャートである。
【図9】 この発明に係る電動パワーステアリング装置
の一実施例における発電電圧監視手段8の出力電圧を示
す特性図である。
【図10】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例のメインプログラムを示すフローチャー
トである。
【図11】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の制動制御を示すフローチャートであ
る。
【図12】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の回転補償を示すフローチャートであ
る。
【図13】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の回転補償の補償電流を求める補償電流
のマップを示す図である。
【図14】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の制動制御の動作時の特性を示す図であ
る。
【図15】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の手放しハンドル戻り条件ステップS4
を示すフローチャートである。
【図16】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の制動制御を示すフローチャートであ
る。
【図17】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の手放しハンドル戻り条件ステップS4
を示すフローチャートである。
【図18】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の制動制御の動作特性を示す図である。
【図19】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の手放しハンドル戻り条件を示すフロー
チャートである。
【図20】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の手放しハンドル戻り検出条件、制動条
件を示す図である。
【図21】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の端子電圧変動検出を示すフローチャー
トである。
【図22】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例を示す構成図である。
【図23】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の電源電圧監視手段の一例を示す構成図
である。
【図24】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の電源電圧監視手段 を用いた時の特性
図である。
【図25】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の制動制御を表すフローチャートであ
る。
【図26】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の手放しハンドル戻り判定を示すフロー
チャートである。
【図27】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例を示す構成図である。
【図28】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例を示すフローチャートである。
【図29】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の電動機端子電圧差監視手段の一例を示
す構成図である。
【図30】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例を示す構成図である。
【図31】 この発明に係る電動パワーステアリング装
置の他の実施例の制動制御を示すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 電動機、2 電源(バッテリー)、3a,3b,3
c,3d FET、4a,4b,4c,4d ドライブ
回路、5a,5b,5c,5d ANDゲート、6 シ
ャント抵抗器、7 電流検出回路、8 電動機発電電圧
監視手段、9操舵トルク検出手段、10 操舵トルク検
出値微分手段、11,11A,11Bマイコン、12
ダイオード、13,14 抵抗器、15 電源電圧監視
手段、19 電動機端子電圧差監視手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 俊一 姫路市千代田町840番地 三菱電機株式 会社 姫路製作所内 (72)発明者 三浦 和宣 姫路市千代田町888番地 三菱電機コン トロールソフトウエア株式会社 姫路事 業所内 (56)参考文献 特開 昭63−145172(JP,A) 特開 昭62−241766(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/04 B62D 6/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機の動力をステアリング系に作用さ
    せて操舵力の軽減を図る電動式パワーステアリング装置
    において、上記電動機の発電電圧を監視する発電電圧監視手段と、 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、 該操舵トルク検出手段の出力を微分する微分手段と、上記発電電圧監視手段で検出された電動機の発電電圧、
    上記操舵トルク検出手段および上記微分手段の出力に基
    づいて、少なくともハンドルの手放し戻り条件が成立す
    れば、上記電動機を発電制動させる制動制御手段と、 上記操舵トルク検出手段の出力と上記微分手段の出力の
    加算出力に基づいて上記電動機の出力トルクを制御し、
    該電動機の慣性を補償する微分制御手段とを備え、上記
    制動制御手段が発電制動を実行中においても上記操舵ト
    ルクの検出値の微分による電動機制御条件が成立した場
    合には、発電制動を中止し微分制御を優先させるように
    したことを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 電動機の動力をステアリング系に作用さ
    せて操舵力の軽減を図る電動式パワーステアリング装置
    において、 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、 該操舵トルク検出手段の出力を微分する微分手段と、 上記操舵トルク検出手段および上記微分手段の出力に基
    づいて、少なくともハンドルの手放し戻り条件が成立す
    れば、上記電動機を発電制動させる制動制御手段と、 上記操舵トルク検出手段の出力と上記微分手段の出力の
    加算出力に基づいて上記電動機の出力トルクを制御し、
    該電動機の慣性を補償する微分制御手段と、 非駆動時の電動機回転方向およびステアリング軸回転方
    向の少なくとも一方の回転方向と回転速度を検出する回
    転検出手段とを備え、運転者が操舵を開始したときの操
    舵トルク方向が直前までの上記回転検出手段で検出され
    回転方向と不一致のときには上記電動機または上記ス
    テアリング軸の回転速度に応じて補正された電動機駆動
    補償電流を出力するようにしたことを特徴とする電動式
    パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 電動機の動力をステアリング系に作用さ
    せて操舵力の軽減を図る電動式パワーステアリング装置
    において、 上記電動機の発電電圧を監視する発電電圧監視手段と、 該発電電圧監視手段で検出された上記電動機の非駆動時
    の発電電圧に基づいてハンドルの手放し戻り条件を検出
    したときには、上記電動機を発電制動させる制動制御手
    段と、 上記電動機が非駆動である時に該電動機およびその駆動
    回路間の配線のオープン、天絡、地絡あるいは上記駆動
    回路の故障について検出を行うフェールセーフ手段とを
    備え、上記電動機の制動制御とフェール検出を交互に行
    うようにしたことを特徴とする電動式パワーステアリン
    グ装置。
  4. 【請求項4】 手放し戻り状態を検出し、制動制御開始
    後に電動機の発電電圧が第1のしきい値電圧を連続して
    第1の規定時間持続すると制動制御をストップし、さら
    に第2のしきい値電圧を第2の規定時間持続するとフェ
    ールと判定する請求項記載の電動式パワーステアリン
    グ装置。
  5. 【請求項5】 手放し戻り条件とする電動機の発電電圧
    のしきい値を時間と共に変更し、規定時間以上上記手放
    し戻り条件が持続しないようにする請求項記載の電動
    式パワーステアリング装置。
  6. 【請求項6】 電動機の発電電圧が第1のしきい値以上
    で手放し戻り条件であることを検出して上記電動機の制
    動を開始し、制動中の該電動機の端子電圧の変化率が第
    2のしきい値以下であれば制動制御を中止する請求項
    記載の電動式パワーステアリング装置。
  7. 【請求項7】 電動機駆動回路へ供給される電源電圧を
    監視する電源電圧監視手段を備え、発電制動を行ってい
    るときと発電制動を停止したときの上記電動機駆動回路
    への供給電源電圧の差が所定しきい値以上であれば制動
    制御を中止する請求項記載の電動式パワーステアリン
    グ装置。
  8. 【請求項8】 電動機の両端子間の電圧差を監視する電
    動機端子電圧差監視手段を備え、発電制動を行っている
    ときに上記電動機の両端子間の電圧差があるしきい値以
    上となれば、制動制御を中止する請求項記載の電動式
    パワーステアリング装置。
  9. 【請求項9】 電動機駆動回路と電動機を駆動する電源
    供給回路間を流れる短絡電流を検出する電流検出手段を
    備え、手放し戻り条件が成立し、制動制御を行っている
    ときに上記電流検出手段によって電流を検出すれば故障
    と判定し、制動制御を中止する請求項記載の電動式パ
    ワーステアリング装置。
  10. 【請求項10】 制動制御手段は、少なくともハンドル
    手放し戻り条件を検出したときには電動機駆動用Hブリ
    ッジ回路の上側2個または下側2個のどちらかのFET
    をオンさせることで電動機に発電制動をかけ、 電流検出手段は電動機電流制御のための電流値検出と制
    動制御中における短絡電流検出を一つの電流検出手段で
    行い、上記Hブリッジ回路の上側2個または下側2個で
    動作する制動制御用FETが制動制御を動作している時
    に、電動機駆動回路の短絡故障が発生すれば上記制動制
    御用FETを流れる短絡電流を検出する請求項記載の
    電動式パワーステアリング装置。
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