JP3228993B2 - 基板加熱機能を有する成膜装置 - Google Patents

基板加熱機能を有する成膜装置

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JP3228993B2 JP06059792A JP6059792A JP3228993B2 JP 3228993 B2 JP3228993 B2 JP 3228993B2 JP 06059792 A JP06059792 A JP 06059792A JP 6059792 A JP6059792 A JP 6059792A JP 3228993 B2 JP3228993 B2 JP 3228993B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に基板の温度を一定
に保つことによって、良質の膜を再現性良く形成するこ
とが出来る基板熱処理機能を有する成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】基板上に薄膜を形成する成膜装置は、真
空蒸着装置やスパッタ装置をはじめさまざまな装置が開
発されている。
【0003】スパッタ装置は、種々の材料の薄膜化手段
の一つとして、各方面でニーズが高まっている。スパッ
タリング法は、10 1〜10 4Torr程度の真空中で
アルゴン等のガスを放電させて、この時に生じたイオン
でターゲットをスパッタリングして、スパッタ粒子をタ
ーゲットに対面した位置に置いた基板面上に堆積させて
薄膜を形成する方法である。用途に応じて様々なタイプ
のスパッタ方法および装置が考案され、実用化されてい
る。
【0004】近年、成膜を使用の対象となるデバイスの
著しい高機能化に伴って、膜質への要求は増々厳しくな
っている。これにともない、従来の基板の仕込み、ある
いは取出しのために、その都度成膜室を大気に開放して
いたバッチ式の成膜装置にかわって、インライン式の成
膜装置が量産用装置として使用されることが多くなって
きた。インライン式の成膜装置は、基板の仕込みあるい
は取出し専用の部屋やその他加熱、エッチング等のそれ
ぞれの部屋を設けて、これを仕切弁で仕切って、仕込
室、取出室以外は通常大気に開放することなく、基板を
連続的に処理するものである。
【0005】インライン式の成膜装置は、各種の処理を
各部ごとに専用化させているために基板を連続的に処理
出来てスループットが向上するだけでなく、成膜室を常
に真空に保つことが出来て、良好な真空が得やすく、膜
質の安定化につながる。しかし、逆にインライン式装置
では、基板を通常基板ホルダと呼ばれる治具に保持し
て、これを搬送させながら処理を行なうために、成膜室
に固定して成膜を行なうバッチ式の装置に比べて、基板
の温度制御等が難しい。
【0006】従来の、インライン式の成膜装置におい
て、基板の加熱は、成膜室側に固定したシースヒータや
ランプヒータからの輻射で加熱する方法が一般的であ
る。温度制御は、ヒータの近傍に固定した熱電対等によ
るモニタ温度で、ヒータそのものを制御している場合が
ほとんどである。また、赤外線温度計等の非接触な方法
により、基板表面の温度を測定してヒータを制御してい
る場合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の成膜室に固定し
たヒータからの輻射による間接的な加熱を、ヒータの近
傍に固定した熱電対等によるモニタ温度で制御する方法
は、ヒータ自体の温度がばらついたり、ヒータの表面状
態の変化による輻射効率の差により、基板温度のばらつ
きが生じるという問題があった。
【0008】また、輻射による間接的な加熱を、成膜室
内の基板温度を赤外線温度計等によって直接測定する方
法も、プラズマの発光による影響や、基板の輻射率のば
らつきにより、精度良く測定することは出来ない。
【0009】多くの場合、基板を加熱して成膜するプロ
セスでは、膜質は基板温度に大きく影響されるために、
上記の様な基板温度のばらつきは、膜質のばらつきとな
り、製品の歩留り低下の原因となっていた。特に磁性膜
等の薄膜は、基板の温度が非常に敏感にその膜特性に影
響するために問題となっていた。
【0010】本発明は、インライン式の成膜装置に適用
可能な、基板を直接加熱することのできる基板加熱機能
を有する成膜装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明によれば、真空容器と、前記真空容器中に配置
された、基板を保持する基板ホルダと、成膜源を保持す
る成膜源ホルダとを有する成膜装置において、前記基板
ホルダは、通電によって発熱する材料で構成されている
ことを特徴とする基板熱処理機能を有する成膜装置が提
供される。
【0012】前記材料は、温度によって電気抵抗値が変
化し、前記電気抵抗値は極値を有するものを用いること
ができる。
【0013】前記基板ホルダを搬送するための搬送手段
と、前記搬送手段で搬送される基板に接触することによ
り、前記基板ホルダに通電する給電用電極を有すること
が可能である。
【0014】
【作用】基板ホルダ等の基板保持用の治具は、従来、ア
ウトガス等の問題からSUS304等の金属で作られて
いた。しかし、基板そのものが、チタン酸バリウム等の
セラミックスである場合には、基板ホルダも上記セラミ
ックスで形成しても特に問題はない。
【0015】ところで、温度によって電気抵抗値が変化
するチタン酸バリウム等のセラミックスは、PTCサー
ミスタと呼ばれている。つまり該セラミックスにある一
定以上の電圧を印加しておくと、これに電流が流れてセ
ラミックス自身が発熱して温度が上昇する。しかし、該
セラミックスの組成によって決まる温度で、該セラミッ
クスの電気抵抗が急激に大きくなって、電流を流さなく
なる。従って、発熱量も低下する。そこで温度が少しで
も下がると再び電気抵抗は小さくなり電流が流れて発熱
する。つまり、上記の動作の繰り返しにより、該セラミ
ックスは自然にある一定温度に保持される。
【0016】例えば、基板自体がチタン酸バリウム等の
温度によって電気抵抗値が変化するセラミックス基板で
ある場合には、基板自身に電流を流すことによって基板
自身を正確にある一定温度に保つことが出来る。
【0017】本発明の成膜装置では、基板ホルダの少な
くとも一部分を温度によって電気抵抗値が変化するセラ
ミックスとして、このセラミックスに、電極から電流を
流す。これにより、基板ホルダの温度を一定に保ち、基
板ホルダからの伝導熱によって基板を加熱する。
【0018】少なくとも基板ホルダの一部分がセラミッ
クスであるので、電極はこのセラミックスのいずれかの
部分に電気的に接触すれば良い。従って、従来の基板中
の電熱線に配線を接続し、配線を引き回すことと比較
し、前記セラミックスには容易に電流を供給することが
できる。従って、インライン式の成膜装置においても、
基板ホルダからに伝導熱により直接基板を加熱すること
が可能になる。この直接的な加熱は、従来の真空室側に
固定したヒータからの輻射による加熱方式にくらべては
るかに精度良く基板の温度を一定に保つことが出来る。
【0019】例えば、基板ホルダを搬送するための搬送
手段をさらに備えた成膜装置においては、前記電極を前
記搬送手段に備えらることによって、セラミックスに電
流を供給することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の一実施例のインライン式スパ
ッタ装置の成膜室の構造を図1を用いて説明する。
【0021】成膜室1には、ターゲット電極5が絶縁部
材6を介して固定されている。ターゲット電極5の周辺
は、アースシールド7によっておおわれている。ターゲ
ット電極5上には、ターゲット30が保持されている。
ターゲット電極5には図示していないスパッタ電源によ
り、スパッタ電圧が印加される。
【0022】また、成膜室1内には、基板ホルダ2に保
持された基板3を、ターゲット30とに平行に、かつ搬
送可能に保持する8組の搬送用ローラ4が配置されてい
る。基板ホルダ2は、基板3の周縁部を支持して、基板
3の成膜面を下方に向けて保持する。基板ホルダ2と基
板3は、チタン酸バリウムによって構成されている。搬
送用ローラ4は、一定間隔に成膜室1の壁面部を貫いて
配置された8組のローラ駆動軸10の一端に固定されて
いる。ローラ駆動軸10の他端は、図示しないモーター
の回転軸に連結され、モータの回転駆動を、搬送用ロー
ラ4に伝達する。
【0023】また、搬送用ローラ4はローラ駆動軸10
と電気的に接続している。ローラ駆動軸10は、電源1
2に接続されている。ローラ駆動軸10は、成膜室1の
壁面と、絶縁部材11により、電気的に絶縁されてい
る。基板ホルダ2はローラ駆動軸10及びローラ4の回
転により搬送される。
【0024】基板3を保持している基板ホルダ2は、基
板ホルダ2の搬送用ローラ4の回転により支切弁8によ
って成膜室1と支切られた真空室9aから搬入される。
そして、基板ホルダ2に、ローラ駆動軸10とローラ4
を介して、加熱用電源12より、電流を流す。基板ホル
ダ2および基板3は、チタン酸バリウムで形成されてい
るので、基板ホルダ2とともに、基板3にも電流が流れ
る。
【0025】基板ホルダ2および基板3は、電流が流れ
ることによって発熱し、温度が上昇するとともに、その
PTCサーミスタ特性によりある温度になると急激に抵
抗が増大する。サーミス特性を図5に示す。ある温度に
なると、抵抗の増大により電流が流れにくくなることに
よって発熱しなくなり、これにより、ある一定温度以上
に昇温することを防止される。又、少しでも温度が低下
すると、抵抗が減少するために再び電流が流れて、ある
一定温度に戻す働きをする。これにより、加熱用電源1
2に、ある程度以上の電圧を印加しておくことによっ
て、特に温度制御をしなくても自然に基板ホルダー2お
よび基板3を一定温度に保つことが出来る。
【0026】基板3は、ターゲット30の上方まで搬送
されたときに、ローラ4を停止させ、基板3の温度を一
定に保ちながら、ターゲット30をスパッタリングし
て、基板3に成膜を行う。成膜後再び搬送用ローラ4に
より、次の真空室9bに搬出される。
【0027】本実施例のスパッタ装置は、間接的な基板
加熱方法に比べて、はるかに精度良く基板3の温度を制
御することが出来る。前述のPTCサーミスタ特性を示
す基板および基板ホルダの温度は、チタン酸バリウムの
組成や、形状を変えることによって変えることが出来
る。したがって、量産用装置の場合、あらかじめ、必要
なプロセス温度によって基板ホルダを選定しておくこと
によって、任意の温度に基板3を加熱することができ
る。従って、基板ホルダ3を組成を変えた複数種類用意
することによって、一つの成膜室1で、基板加熱温度の
ことなる成膜を、同時搬送して、行うことが可能であ
る。
【0028】本実施例のセラミックス製の基板ホルダ
は、それ自体が発熱体であり、基板加熱ヒータ機能付き
基板ホルダと言える。しかも該ヒータは、特に温度制御
をしなくても、温度を判断し、更に一定になるように働
くため、自己診断・自己制御機能付ヒータと言える。
【0029】図2に本発明による他の実施例を示す。図
2において、基板ホルダ2は、搬送用ローラ4と接する
部分に、絶縁部材20を備えている。これにより、基板
ホルダ2は、成膜室1及びこれと電気的に同電位になる
搬送用ローラ4と絶縁されている。基板ホルダ2は、成
膜室1の壁面部を貫いて配置された電流導入端子21と
接触し、加熱用電源12により電流が流される。成膜室
1と電流導入端子21とは、絶縁物22により絶縁され
ている。電流導入端子21の先端はバネ構造になってお
り、基板ホルダ2が搬送されてくると同時に基板ホルダ
2に接触するようになっている。
【0030】他の構成および効果は、上述の実施例と同
様であるので説明を省略する。
【0031】本構造にすることにより、電流導入するた
めの電極となる端子21と搬送のためのローラ4とを分
離することが出来るために、それぞれの構造を単純化す
ることが出来る。これにより、装置のメンテナンス性が
向上する。
【0032】図3に本発明によるさらに他の実施例の基
板ホルダを示す。基板ホルダ2は、上述の実施例と同様
に、基板の成膜面を下方に露出させて保持するサセプタ
構造を有する。また、保持された基板3の成膜面と反対
側を、基板ホルダ2と同一の材質の基板押さえ治具31
により押さえられる。基板ホルダ2および基板押さえ治
具31の材質は、チタン酸バリウムである。
【0033】これにより、基板ホルダ2に電流を流して
加熱すると同時に、この基板押さえ治具31にも電流を
流して加熱することにより、基板3の温度をより正確に
一定に保つことが出来る。この構成の基板ホルダ2は、
基板3を周縁部のホルダ2と、さらに背面部の押さえ治
具31からの熱伝導によって加熱することができるの
で、サーミスタ特性を有さない基板3を用いる場合に
も、基板3を効果的に精度よく加熱することができる。
【0034】また、同時にこの基板押さえ治具31によ
り、基板3と基板ホルダ2との電気的接続を充分にとる
ことが出来るので、サーミスタ特性を有する基板3を用
いた場合にも、より基板温度の安定化を図ることが出来
る。
【0035】このように本実施例によれば、従来、イン
ライン式スパッタ装置の様に、基板が搬送されていくた
めに、基板の加熱方法が制約されて、基板の温度を一定
に保つことが難しかったのに比べて、基板あるいは基板
ホルダ自身を発熱体として加熱して、基板温度を安定に
一定温度に保つことが出来る。これにより、(1)膜の特
性が大幅に向上、安定化する。
【0036】(2)歩留りが上り、装置の信頼性が大幅に
向上する。
【0037】さらに、被加熱体自身の自己診断・制御機
能を利用しているために、加熱制御機能が不要となり、
(3)装置構成の単純化,低コスト化を図ることが出来
る。
【0038】(4)温度特性のことなる複数の基板ホルダ
を予め用意することにより、ことなる温度に加熱する基
板を、一つのラインで一度に流して成膜処理することが
できる。
【0039】本実施例では、チタン酸バリウムにより、
基板ホルダ2を構成したが、この材料に限定されるもの
ではなく、温度によって電気抵抗の変化する他の材料で
構成することもできる。
【0040】また、図1、図2に示した成膜室において
は、基板3がターゲット30の上方に到達するまでに、
加熱するプリベークを行なう効果がある。また、成膜後
の搬送を行なうローラ4の間隔を次第に広くすることに
より、徐冷を行なうこともできる。
【0041】また、図2の装置において、基板3を複数
のチタン酸バリウム層とチタン酸バリウム層間に挟まれ
た絶縁体の多層構造とし、電極22がチタン酸バリウム
層のどの層に電流を流すかを選択すること構造にするこ
とにより、基板3の加熱温度を制御することもできる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、インライン式の成膜装
置に適用可能な、基板を直接加熱することのできる基板
加熱機能を有する成膜装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のインライン式スパッタ装置
の断面図。
【図2】本発明の別の実施例のインライン式スパッタ装
置の断面図。
【図3】本発明によるさらに別の実施例の基板ホルダの
断面図。
【図4】PTCサーミスタの温度と抵抗の特性を示すグ
ラフ。
【符号の説明】
1…成膜室、2…基板ホルダ、3…基板、4…搬送用ロ
ーラ、5…ターゲット電極、8…支切弁、11、22…
絶縁部材、12…加熱用電源、30…ターゲット、31
…基板押さえ治具。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実公 昭45−22342(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/56 H01L 21/205 H01L 21/22 - 21/26 H01L 21/31 H01L 21/324 H01L 21/68 H05B 1/00 - 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空容器と、前記真空容器中に配置され
    た、基板を保持する基板ホルダと、成膜源を保持する成
    膜源ホルダとを有する成膜装置において、 前記基板ホルダは、通電によって発熱する材料で構成さ
    れ、 前記材料は、温度によって電気抵抗値が変化し、前記電
    気抵抗値は極値を有すること を特徴とする基板熱処理機
    能を有する成膜装置。
  2. 【請求項2】真空容器と、前記真空容器中に配置され
    た、基板を保持する基板ホルダと、成膜源を保持する成
    膜源ホルダとを有する成膜装置において、 前記基板ホルダは、通電によって発熱する材料で構成さ
    れ、 前記基板ホルダを搬送するための搬送手段と、前記搬送
    手段で搬送される基板に接触することにより、前記基板
    ホルダに通電する給電用電極とを有すること を特徴とす
    る基板熱処理機能を有する成膜装置。
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