JP3226390U - 運動靴のベロ構造 - Google Patents

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伊藤 秀樹
秀樹 伊藤
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フェアストーン株式会社
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Abstract

【課題】靴紐を備え面ファスナー付のベルトで締着するタイプの運動靴において、ベロが靴内に落ちにくく、着用時に履き口が広がり、しかも靴内にベロを巻き込まない運動靴のベロ構造に関する。【解決手段】甲被に先端が縫着されたベロ3の長手方向の略中央部に、ベロの両側を内側に向けて切り込んだ抉り部を対向して形成したことを特徴とする。抉り部はV字形状であり、張り出し部31を伴う。また、抉り部の下方にベロを横断する芯地線を縫製し、ベロを前方に倒れるようにし履き口を広げ履き易い運動靴とした。【選択図】図1

Description

本考案はベロが靴内に落ちにくく、着用時に靴内に巻き込んで前にずれない運動靴のベロ構造に関する。
一般に、運動靴では甲部を開口させるように左右の甲被を配し、靴紐で締付けて足にフィットさせる構造である。そして、甲の開口部には甲被の内側にその周縁を接触させるようにしたベロ(舌片)を靴紐の下側になるように設け、土や砂などの侵入を防ぐとともに靴と足との緊締を保持している。
通常のベロは、甲開口部より靴の前方の甲被にその先端部を縫着したものであるため、着用時にベロがずれて靴内に巻き込んでしまう欠点がある。そこで、ベロの巻き込みを防ぐために後端を引っ張って前にずれないようにしている。また、靴を脱いだ時にはベロが甲開口部内に落込んでしまい、靴を履くときにベロを持ち上げ、足の挿入に支障のないようにしている。
そこで、ベロがずれ込まないようにベロの中央部に靴紐通しを設けて、この靴紐通しに靴紐を通すことでベロの前移動を防止したものは従来から存在する。また、特許文献1のように、ベロがベロ本体と紐通し部からなり、紐通し部が帯体の両端をベロ本体に繋げて2つの紐穴の間を横切るようにしたもの、特許文献2のようにベロと甲バンドを縫着或いは連結して甲バンドの開閉によりベロが連動するようにしたもの、特許文献3のようにテープ状のベロつまみ部材をベロの上端部と甲被にわたって接合したものがある。いずれも足の甲の緊締を十分に得ると共に靴の着脱を容易にしてベロの巻き込みを防ぐものである。
特開2003−47504号公報 特開2005−46520号公報 実用新案登録第3107555号公報
靴紐のタイプの靴も面ファスナーを用いる靴も一般的には甲上部の靴紐若しくはファスナーで覆われる部分の下には舌片と呼ばれるベロが装着されている、これは、着用時の足の装着感を考慮したものである。しかし、この構造の場合、着用時にベロをつかむ、引っ張るなどの操作をしないとベロが靴の内部に落ち込み、着用時に引っ掛かりベロが巻き込まれた靴内部の前方へ滑り込んでしまうなど、着用時に違和感をもたらす。とりわけ、高齢者や障害者、引っ越し作業などに従事する作業者や妊婦などにとっては、ベロの操作をしながら靴の脱着は煩わしいものに感じられる。又、靴の着用に慣れていない子供など靴の乱暴な着用によってベロを踏んで履いたりベロのずれを無視したりし、足の障害を招くことも考えられる。
本考案はこのような課題を考慮してなされたものであり、着用が簡易で巻き込みがなく、且つ靴と足の緊締を図り得て、外観上も特殊な外観にならない運動靴のベロ構造を提案するものである。
上記目的を達成するため、請求項1記載の運動靴のベロは、甲被に縫着されたベロの略中央部にベロの両側を内側に向けて切り込んだ抉り部を、対向して形成したことを特徴とする。
請求項2記載の運動靴のベロは、抉り部はV字状に形成され、張り出し部を有することを特徴とする。
請求項3の運動靴のベロは、抉り部の下方にベロを横断する芯地線を縫製したことを特徴とする。
本考案によれば、中央部に抉り部を形成されたベロが着脱時に持ち上げられると、抉り部が開口部の甲被の外縁に係合して保持され、ベロが靴内部に落ち込むのを阻止する。また、靴を着用するときにはベロが立ち上がっているため、履き口が広がり履き易くなると共に、ベロの巻き込みを防止することができる。
本考案の実施例である靴紐を有し、面ファスナー付ベルトを備えた運動靴の斜視図である。 ベロ単体の正面図である。 ベロが履き口の甲被の外縁に乗り上がってベロが立ち上がっている状態を示す説明図である。 ベロが芯地線で前に折れ履き口を広げている状態の斜視図である。 履き口となる開口部を広げた状態の説明図である。
以下、本考案を図示する実施形態により具体的に説明する。
図1は、履き口2にベロ3を装着した本考案の靴紐付きの運動靴で、面ファスナー4a、4b付のベルト4で緊締するタイプの運動靴1を示す。運動靴1には靴紐5の下に、足の甲を保護し靴紐を結んだ時の足との密着を図り、砂や土などが侵入しないようベロと呼ばれる舌片が介在され、その先端は靴の甲被6の前部に縫着されて後部は履き口2に臨んでいる。
運動靴1の甲開口部となる履き口2の前方に舌片状のベロ3が介在され、その先端部3aは甲被6内部にて縫着され前方で固定されている。図2はこのベロ単体の正面図で、一般にベロ3は縫着される先端部3aに対し開放端となる後部3bは漸次幅広に形成されており、ベロ3の摘みとなると共に履き口2を覆うようになっている。該ベロ3は長さ方向の略中央部3cに、両側から内側に向けてV字状の切れ込みによる抉り部30が対向して形成されている。ベロ3には抉り部30により切り欠かれた上部にえら状の張出し部31が形成され、履き口2の甲開口部の甲被6の対向する開口外縁7に該張出し部31が乗り上げてベロ3が立ち上がった状態を保持している(図3)。
また、図3に示すように抉り部30の近傍下方に芯地線32がベロ3を横断して設けられている。この芯地線32はミシン糸の縫製により柔軟なベロ3を横断して形成される。ベロ3はこの芯地線32により芯が入って腰が付けられ、該芯地線32を境に前方に折れて履き口2が広がり着用しやすくなると共にベロ3を巻き込むことを防ぐ効果がある(図4)。
尚、履き口2を広げた図5に示すタイプの靴にあっては、ベロ3と靴の甲被6の内側若しくは外側の片側一か所をスポット的な縫製8で固定することで着用者の足の幅などによる開口部2が広がった場合、ベロ3の巻き込みを一定程度防ぐことができる。
図5には履き口2となる開口部を広げたタイプの運動靴の主要部を示しており、広げられた甲被6の外縁は符号70で示している。通常の開口部は靴内側のラインと靴外側のラインが甲前面から履き口2部分まで鎖線で示すU字状の略平行な外縁7になっている。
次に本考案の作用を説明する。
運動靴1の着用に当たり、履き口2となる甲開口部に足を入れるとき、一般にはベロ3を持ち上げ靴内に巻き込まないようにしている。本考案ではベロ3は上に持ち上げることで、中央部3cに両側から切り込まれて形成されたV字状の抉り部30が、甲被6の対向する開口外縁7に乗り上げ、抉り部30により形成された張り出し部31で開口外縁7を把持してベロ3が立った状態を保持する。ベロ3が立った状態を維持することで履き口2は広がり、履きやすくなると共にそのまま足を入れた場合でもベロ3の巻き込みを防ぐことになる。
また、靴を脱いだ時、ベロ3をして芯地線32を境に前方に倒すことによりベロ3は図4のように前倒れし、履き口2となる開口部を広げることになる。芯地線32はベロ3を横断して抉り部30の下方にミシン糸により縫着されている為、柔軟なベロ3に横方向に芯が入って腰ができ、ベロの前倒しを促す効果がある。
図5には履き口2を広げた形態の運動靴の開口部を示すが、上記と同様にベロ3の抉り部30が広げられた開口外縁70に乗り上がり、張出し部31が該開口外縁70を把持してベロ3が立ち上がった状態を保持することに代りはない。
上述のように、本考案ではベロの中央部近傍に両側からV字状の抉り部30を形成したため、靴を脱いだ時はベロが持ち上げられ、左右の抉り部30が甲開口部となる履き口2の甲被の対向する開口外縁7に係合し、張り出し部31が跨って立ち上がった状態を保持し、着用時にはベロが甲開口部で立ち上がっているため、履き口に足を入れた時にベロの巻き込みを防止する。同時に、ベロが立ち上がることで履き口となる甲開口部が拡大し、足の挿入が楽になる。従って、着用時の動作に支障のある高齢者や障害者、或いは靴の脱ぎ履きを頻繁にせざるを得ない作業者、妊婦や子連れの女性など靴の脱ぎ履きに手間をかけたくない人や子供用の運動靴として至便である。
1 運動靴
2 履き口
3 ベロ
3a 先端部
3b 後部
3c 中央部
30 抉り部
31 張出し部
32 芯地線
4 面ファスナー付ベルト
5 靴紐
6 甲被
7、70 開口外縁

Claims (3)

  1. 甲被にその先端が縫着されたベロの長手方向の略中央部に、該ベロの両側を内側に向けて切り込んだ抉り部を対向して形成したことを特徴とする運動靴のベロ構造。
  2. 前記抉り部はV字状に形成され、張り出し部を有することを特徴とする請求項1に記載の運動靴のベロ構造。
  3. 前記ベロの抉り部の下方に、ベロを横断する芯地線を縫製したことを特徴とする請求項1に記載の運動靴のベロ構造。
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