JP3224619B2 - オフライン圧延ロール研削装置 - Google Patents

オフライン圧延ロール研削装置

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JP3224619B2
JP3224619B2 JP01397093A JP1397093A JP3224619B2 JP 3224619 B2 JP3224619 B2 JP 3224619B2 JP 01397093 A JP01397093 A JP 01397093A JP 1397093 A JP1397093 A JP 1397093A JP 3224619 B2 JP3224619 B2 JP 3224619B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特に板用圧延機で使用す
る圧延ロールのオフライン圧延ロール研削装置に係わ
り、特に圧延ロールの中でも特に硬質材であるハイス系
圧延ロールを超硬度砥粒で作られた砥石を用いてオフラ
インで研削する圧延ロール研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に板圧延機の圧延ロールは、圧延部
分のみが摩耗し非圧延部分との段差が生じてしまう。こ
れを平坦にするため、オフラインのロールショップに設
置した圧延ロール研削装置を用いて研削を行う。従来の
圧延ロール研削装置は、図5及び図6に示すように円筒
型の形状をした砥石(以下、円筒型砥石という)を高速
で回転しながら研削を行う。
【0003】円筒型砥石は一般に酸化アルミニウム(A
2 3 )又は炭化珪素(SiC)系の砥粒で作られて
いる。しかし、ハイス系圧延ロールのように圧延ロール
の硬度が高くなるに従い、従来の砥粒では研削能率、研
削比とも大きく低下し、ロールショップの生産性が大き
く低下する原因となっている。
【0004】近年、これらの砥石より砥粒硬度が2から
3倍有り、50倍から100倍の高能率で研削ができ、
かつドレッシングピッチが従来の砥石に比較し1000
倍も伸ばすことのできる立方晶窒化ほう素(一般的にC
BNと呼ばれている。以下CBNと記載する。)砥粒又
はダイアモンド砥粒で作られた砥石を一般研削に用いる
ようになった。
【0005】圧延ロールの研削装置にもCBN砥粒又は
ダイアモンド砥粒を用いる試みがあり、特開平4−20
1171号公報には圧延ロール研削装置の円筒型砥石に
CBN砥粒を用いることが提案されている。また、この
従来技術では、円筒型砥石の表面層をCBN砥粒で作
り、CBN砥粒と台金との間にリング状の弾性層を一体
に形成している。弾性層は熱硬化性フェノールレジンに
より作られる。
【0006】一方、圧延ロールを圧延機に取付けた状態
で研削を行うオンラインの圧延ロール研削装置では、例
えば実開昭58−28706号公報や実開昭62−95
867号公報に記載のように、カップ型の砥石を用いる
ことが提案されている。また、これら従来技術では、カ
ップ型砥石の振動を吸収するため、砥石を回転軸に対し
軸方向に摺動可能に取付け、砥石の背面を直接又は可動
ボスを介して弾性体で軸方向に支持し、圧延ロールの振
動に追従するようにしている。また、実開昭58−28
706号公報ではCBN砥粒を用い
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には次のような問題がある。特開平4−2011
71号公報に記載の従来技術では、従来一般的な円筒型
砥石を用いている。しかし、円筒型砥石をCBN砥粒や
ダイアモンド砥粒のような硬い砥粒を用いると、研削時
に圧延ロールにビビリマークやスクラッチ傷が発生し、
表面品質の高い研削を行うことができない。
【0008】すなわち、円筒型砥石は円筒形状をした圧
延ロールに対し同じ円筒形状で接触するため接触面積が
小さく、かつ圧延ロールの軸芯と砥石回転軸とが一直線
状にあるため、ロール研削装置の微小な摺動部の隙間等
によりガタが生じ砥石が振れると、砥石と圧延ロール間
の接触線圧が大きく変化する。また円筒型砥石では、接
触面積拡大の目的から700mm程度の大直径の砥石を
用いているが、砥石重量が重くなるので、ガタによる砥
石の振れが増大して接触線圧の変化が大きくなる。この
ような接触線圧変化の大きな円筒型砥石にCBN砥粒や
ダイアモンド砥粒のような硬い砥粒を用い、従来と同じ
装置で研削を行うと、接触線圧の変化が許容範囲を越
え、圧延ロール表面にビビリマークが発生したり、砥粒
を脱落させその砥粒が圧延ロール表面にスクラッチ傷を
残したりする。
【0009】特開平4−201171号公報では、その
砥石の振れを吸収し接触線圧の変化を小さくするため、
CBN砥粒と台金との間にリング状の弾性層を一体に形
成している。しかし、円筒型砥石では、圧延ロールの軸
芯と砥石回転軸とが一直線状にあるため適切なバネ定数
を持つ弾性部材を設けることが難しい。例えばこの従来
技術ではCBN砥粒と台金との間に設けられた弾性層
は、砥石回転軸の回転力を外周の砥粒に伝達するための
強度を必要とする。このため、弾性層は熱硬化性フェノ
ールレジンにより作られる。この場合、弾性層のバネ定
数は高く、砥石の振動を十分に吸収することができない
ので、ビビリマーク及びスクラッチ傷の発生を十分に防
止できず、CBN砥粒で作った高能率砥石を用いて表面
品質の高い研削を行うことが難しい。また、円筒型砥石
を用いる場合は、上記のように砥石重量が大きくなるこ
とから、砥石が高価になるばかりでなく、砥石の粒度を
荒、中、仕上げの順で変えるときの砥石の交換作業に多
大の労力を要するという問題もある。
【0010】実開昭62−95867号公報に記載の従
来技術では、従来一般的な砥粒を用いているため、ハイ
ス系圧延ロールのような硬度の高いロールに対しては、
研削能率、研削比とも大きく低下し、ロールショップの
生産性が低下する。
【0011】実開昭58−28706号公報に記載の従
来技術ではCBN砥粒を用いているので、そのCBN砥
粒の特性を生かせれば高硬度のロールを高い研削能率と
高い研削比で研削できる。しかし、この従来技術では弾
性体により前後するCBN砥粒を含めた可動部の重量が
大きいのでCBN砥粒の特性を十分に生かすことができ
ない。
【0012】すなわち、この従来技術においては、弾性
体により前後する可動部は砥石、可動ボス、シール部品
等からなり、この可動部の重量は、砥石径を250mm
とすると少なくとも5Kg以上となる。また、ロールと
砥石の接触力変化許容値を2Kgとし、振幅を15μm
mと考えれば、弾性体のばね定数は130Kg/mmに
しなければならない。この条件で弾性体の固有振動数
は、
【0013】
【数1】
【0014】Fn:弾性体の固有振動数 K:弾性体のバネ定数 m:弾性体を含む砥石可動部質量 より80c/sとなる。この低い固有振動数では機械の
持つ振動により砥石を含めた可動部及び弾性体が共振
し、ロール表面にビビリマークや研削ムラ等を生じさせ
る。
【0015】また、実開昭62−95867号公報、実
開昭58−28706号公報等に記載の従来技術では、
オンライン研削装置固有の問題である圧延ロールの振動
に対応するため、カップ型砥石を軸方向に移動自在とし
砥石の背面を弾性体で支持しているが、ロール研削中砥
石の周囲には冷却水や切削屑等が飛散しており、これら
が砥石と砥石回転軸との間の摺動隙間に入り込んで砥石
のスムーズな移動が阻害され、長時間安定して弾性体の
機能を果たすことが難しい。
【0016】本発明の目的は、ドレシングピッチの長い
CBN砥粒やダイアモンド砥粒で作られた砥石を用い
て、ビビリマークやスクラッチ傷を生じさせずに長時間
安定して、硬質圧延ロールを高能率で研削することがで
きるオフライン圧延ロール研削装置を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、圧延ロールを回転させる主軸台、該圧延
ロールを支える芯押し台及び前記圧延ロールを研削する
砥石台からなるオフライン圧延ロール研削装置におい
て、前記砥石台は、前記圧延ロールを研削する円盤状の
回転砥石と、前記回転砥石を先端に取付けた砥石回転軸
と、この砥石回転軸を介して前記回転砥石に回転力を与
え回転砥石を積極駆動する砥石駆動モータと、前記砥石
回転軸を前記圧延ロール方向に送り込む砥石送り手段と
を有し、前記砥石回転軸は、前記砥石送り手段による送
り込みにより前記回転砥石の外周平面部分の一部を圧延
ロールに押し付け回転砥石が片持ち梁的に撓むように、
前記圧延ロールの軸芯に対してほぼ直交しかつその軸芯
から上下方向にずれて配置され、前記回転砥石は、立方
晶窒化ほう素砥粒又はダイアモンド砥粒にて作られた砥
粒部と、この砥粒部を支持する弾性体機能を有する回転
円盤とで構成されている。前記砥石回転軸は、圧延ロー
ルの軸芯に対してほぼ直交しかつその軸芯から上下方向
にずれて配置する代わりに、圧延ロールの軸芯に交差し
かつその軸芯に対して傾けて配置してもよい。
【0018】上記オフライン圧延ロール研削装置は、好
ましくは、前記回転円盤の撓み量を測定する手段と、前
記撓み量の測定値から前記砥石送り手段の送り量を制御
する手段とを備える。
【0019】また好ましくは、上記圧延ロール研削装置
は、前記砥石回転軸に作用するスラスト力を測定する手
段と、前記スラスト力の測定値から前記砥石送り手段の
送り量を制御する手段とを備える。
【0020】
【作用】以上の本発明においては、ハイス系材質で製造
された圧延ロールを砥粒硬度が高いCBN砥粒やダイア
モンド砥粒を用い高能率で研削することを可能とするた
めに、砥石回転軸に平面型円盤をした回転砥石を取付け
ている。しかも、砥石回転軸は、圧延ロールの軸芯に対
してほぼ直交しかつその軸芯から上下方向にずれて配置
するか、圧延ロールの軸芯に交差しかつその軸芯に対し
て傾けて配置されている。このため、回転砥石が砥石送
り手段により圧延ロール方向に送られるとき、回転砥石
の外周平面部分の一部が圧延ロールに押し付けられるの
で、回転砥石の側面は円筒形状をした圧延ロールに対し
無限円弧を有する円筒型砥石が接触したのと同じ関係と
なり、接触線圧の変化を小さくできる。
【0021】また、回転砥石の砥粒部を支える回転円盤
は弾性体機能があるので、回転砥石が圧延ロールに押付
けられた状態で接触線圧が大きくなった時、片持ち梁の
ように瞬時に回転円盤が撓む。この時、回転円盤に取り
付けられた砥粒部も一緒に撓むので、圧延ロールと砥石
間に生ずる衝撃エネルギーを瞬時に吸収し、接触線圧を
砥石の持つ許容接触線圧内にコントロールすることがで
きる。
【0022】また、ロール振動に追従する回転砥石部の
可動部は薄板円盤と砥粒部の一部分のみなので、その重
量は軽くなり、回転砥石部を含む弾性体の固有振動数は
高い固有振動数が得られる。このように回転砥石部の固
有振動数を高くできることから、回転砥石部の共振を防
止できる。
【0023】また、弾性体機能がある回転円盤は、砥粒
部の一部を圧延ロールに押し付け、回転円盤を片持ち梁
のように撓ませることで弾性体機能を発揮させるので、
摺動部は存在せず、長時間安定して弾性体として作用す
ることができる。
【0024】以上のように、本発明の平面型円盤をした
回転砥石はハイス系圧延ロールをCBN砥粒又はダイア
モンド砥粒で研削するのに最適であり、弾性体機能があ
る回転円盤で砥粒部を支持し回転砥石と圧延ロール間の
振動エネルギーを瞬時に吸収することにより、ビビリマ
ークやスクラッチ傷を生じさせずに長時間安定して、硬
質圧延ロールを高能率で研削することができる。
【0025】本発明の圧延ロール研削装置では、砥粒部
を弾性体機能を有する回転円盤で支えているので、圧延
ロールと回転砥石間の接触力により回転砥石の撓み量が
変化し、砥石送り手段の移動と砥石の位置は一致しなく
なる。このため、研削時ロール径の寸法精度を出すため
には、圧延ロールと回転砥石間の接触力によって撓んだ
量を常に測定し砥石送り手段の移動量を補正しなければ
ならない。
【0026】また本発明では、回転円盤の撓み量の測定
値から砥石送り手段の送り量を制御することにより、砥
石送り手段の位置を補正し、正確な寸法精度に圧延ロー
ルを仕上ることができる。
【0027】なお、回転円盤の撓み量を測定する方法は
圧延ロールと砥石間の接触力をロードセルにて測定し、
回転円盤のバネ定数から撓み量を測定してもよく、これ
によっても同様の作用が得られる。
【0028】さらに本発明では、砥石回転軸に作用する
スラスト力の測定値から砥石送り手段の送り量を制御す
ることにより、単位時間当たりの研削量を変えることが
できる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図5により
説明する。図1〜図4において、本実施例に関わるオフ
ライン圧延ロール研削装置は圧延ロール2を研削する砥
石台1と、圧延ロール2を一定の回転数で回転させる主
軸台3と、主軸台3の反対側にあり圧延ロール2のセン
ターを支える芯押し台4と、砥石台1、主軸台3及び芯
押し台4を乗せるベース5と、主軸台3の圧延ロール2
を回転させる力を出す駆動モータ6とで構成されてい
る。
【0030】砥石台1は、圧延ロール2を研削する平面
型円盤をした回転砥石11、圧延ロール2の軸芯に対し
てほぼ直交するように配置され、先端に回転砥石11を
取付け回転砥石11に回転力を伝える砥石回転軸15、
砥石回転軸15のスラスト方向の力を受けるスラストベ
アリング12、砥石回転軸15の回転方向の力を支える
ラジアルベアリング14、スラストベアリング12とラ
ジアルベアリング14との間に配置され、砥石回転軸1
5のスラスト方向の力を測定するロードセル13、回転
砥石11の反ロール側に取付けられ、回転砥石11の撓
み量を測定する変位計16、回転砥石11に回転力を伝
える砥石駆動モータ17、これら砥石駆動機構を納める
砥石駆動フレーム21、砥石駆動フレーム21全体を前
後方向に微小に移動させるボールスクリュウ18、ボー
ルスクリュウ18を回転させ回転砥石11を圧延ロール
2方向へ送りこむ砥石送りモータ19、砥石駆動フレー
ム21及び砥石送りモータ19を載せるトラバース台2
3、砥石駆動フレーム21がトラバース台23上を前後
にスムーズに動くためのスライドベアリング20より構
成されている。トラバース台23はベース5上に圧延ロ
ール2の軸方向に移動可能に載っており、図示しない砥
石トラバースモータによりベース5上を圧延ロールの軸
方向に移動する。
【0031】砥石回転軸15は、図4に示すように、回
転砥石11の外周平面部分の一部が圧延ロールに接触す
るように、圧延ロール2の軸芯と少しずれてオフセット
配置されている。このため、砥石送りモータ19及びボ
ールスクリュー18で回転砥石11を圧延ロール方向に
送り込むと、回転砥石のその外周平面部分の一部が圧延
ロール2に押し付けられる。なお、砥石回転軸15を圧
延ロール2の軸芯に対してオフセット配置する代わり
に、図5に示すように、砥石回転軸15を圧延ロール2
の軸芯に対して少し傾けて配置してもよい。
【0032】回転砥石11は、立方晶窒化ほう素すなわ
ちCBN砥粒又はダイアモンド砥粒で作られた砥石部1
1aと、砥石部11aを支える弾性体機能を有する回転
円板11bで構成されている。砥石部11aは回転砥石
11の上記外周平面部分に位置している。
【0033】また、図5に示すように、砥石回転軸15
のスラスト力を測定するロードセル13及び/または回
転砥石11の撓み量を測定する変位計16で測定した回
転砥石11と圧延ロール2間の接触力データと回転砥石
11の撓みデータから砥石送りモータ19の回転数を制
御する制御装置22を設けている。
【0034】次に、本実施例の圧延ロール研削装置の動
作について述べる。圧延ロール2を圧延ロール研削装置
に載せて主軸台4及び芯押し台4で圧延ロール両端を支
え、ロール駆動モータ6によりある一定の速度で圧延ロ
ール2を回転させる。また、図示しないトラバースモー
タによりベース上で砥石台1を圧延ロール2の軸方向の
端部から端部まで移動させる。
【0035】砥石送りモータ19を回転させ、圧延ロー
ル2の方向へ砥石駆動フレーム21全体を送り込み、回
転砥石11の外周平面部分に位置する砥粒部11aの一
部を圧延ロール2に押し付ける。これにより、回転砥石
1の回転円盤11bは一定量撓み、この状態で回転しな
がら圧延ロール2の研削を行う。
【0036】圧延ロール2は、耐摩耗性を向上させるた
めにハイス系材質で製造された圧延ロールが多く使用さ
れるようになっていきている。この場合、従来の砥石で
は、砥粒の硬度が低いのでハイス系材質で製造された圧
延ロールでは滑ってしまい、研削量が十分に得られな
い。砥粒硬度が高いCBN砥粒やダイアモンド砥粒を用
いた砥石は研削性は良いが、従来の円筒型砥石は、圧延
ロール研削装置の微小なガタで回転砥石又は圧延ロール
の回転に少しでも振れが発生すると圧延ロールと砥石間
の接触線圧が大きく変化する。この接触線圧の変化があ
る範囲を越えると、圧延ロール2にビビリマークが発生
したり、砥粒を脱落させその砥粒が圧延ロール2の表面
にスクラッチ傷を残したりする。
【0037】本実施例では、ハイス系材質で製造された
圧延ロールを砥粒硬度が高いCBN砥粒やダイアモンド
砥粒を用い高能率で研削することを可能とするために、
圧延ロール2と砥石回転軸15を平行にせず、圧延ロー
ル2の軸芯に対して砥石回転軸15をほぼ直角になるよ
う配置し、砥石回転軸15に平面型円盤をした回転砥石
11を取付けている。しかも、回転砥石11は外周平面
部分の一部(砥粒部11aの一部)が圧延ロール2に接
触するように、圧延ロール2の軸芯と少しずれてオフセ
ット配置されている。このため、回転砥石11の側面は
円筒形状をした圧延ロールに対し無限円弧を有する円筒
型砥石が接触したのと同じ関係となる。円筒型と無限円
弧の接触は円筒型同士よりも接触線圧の変化を小さくで
きるので、回転砥石11が比較的小さな径でも、無限円
弧を有する円筒型砥石と同じような研削を行うことがで
きる。すなわち、本実施例の回転砥石11は従来の円筒
型砥石に比べて小型であり、かつ接触線圧の変化が小さ
い。
【0038】また、本実施例では、砥粒部11aを支え
る回転円盤11bには弾性体機能があるので、接触線圧
が大きくなった時、図4に示すように片持ち梁的に瞬時
に回転円盤11bが撓み、この時、回転円盤11bに取
り付けられた砥粒部11aも一緒に撓む。このため、圧
延ロール2と砥石11間に生ずる衝撃エネルギーを瞬時
に吸収し、接触線圧を砥石11の持つ許容接触線圧内に
コントロールすることができる。
【0039】また、ロール振動に追従する回転砥石部の
可動部は薄板円盤と砥粒部の一部分のみなので、その重
量は、回転砥石径を250mmとすると130g程度と
なる。弾性体のバネ定数は、先に述べたように、ロール
と砥石の接触力変化の許容値と振幅より130Kg/m
mに仮定すれば、回転砥石部の固有振動数は先の(1)
式より500c/sとなり、高い固有振動数が得られ
る。このように回転砥石部の固有振動数を高くできるこ
とから、回転砥石部の共振を防止できる。
【0040】さらに、本実施例では、弾性体機能がある
回転円盤11bは、砥粒部11aの一部を圧延ロール2
に押し付け、回転円盤11bを片持ち梁的に撓ませるこ
とで弾性体機能を発揮させるので、摺動部は存在せず、
長時間安定して弾性体として作用することができる。
【0041】以上のように、本実施例の平面型円盤をし
た回転砥石11はハイス系圧延ロールをCBN砥粒又は
ダイアモンド砥粒で研削するのに最適であり、弾性体機
能がある回転円盤11bで砥粒部11aを支持し、共振
を起こすことなく回転砥石11と圧延ロール2間の振動
エネルギーを瞬時に吸収することにより、ビビリマーク
やスクラッチ傷を生じさせずに長時間安定して、硬質圧
延ロールを高能率で研削することができる。
【0042】また、本実施例では、回転砥石11を圧延
ロールに押し付けるための砥石駆動フレーム21の送り
を精密なボールスクリュー18で与えるので、砥石回転
軸15方向のガタも非常に少ない。このように本実施例
では、砥石送り機構の構造面からも接触線圧の変化が小
さくなり、ビビリマークやスクラッチ傷が発生しにく
い。
【0043】さらに、ガタの多くなった既存の圧延ロー
ル研削装置を本実施例の研削装置に改造することも容易
である。この場合、回転円盤11bの弾性体のバネ定数
は、ロール研削装置の有するガタの大小により変える必
要がある。もしガタの少ない研削装置であれば、バネ定
数の大きな、撓み量の少ない砥石11で容易に上記に述
べたロール表面傷を発生させずに研削できる。もしガタ
の多い研削装置であれば、ガタによる砥石11と圧延ロ
ール2間の接触線圧が変化を容易に吸収できるよう、回
転円盤11bの弾性体のバネ定数を小さくし、撓み量の
多きな砥石11を用いることによりロール表面傷を発生
させずに研削できる。
【0044】このようにCBNまたはダイアモンド砥粒
を用いた砥石11の回転円盤11bのバネ定数をその機
械の有する剛性から選択することにより、既存の圧延ロ
ール研削装置を高硬質なハイス系圧延ロールを高能率で
かつ表面品質の良い研削が可能な圧延ロール研削装置に
容易に変更することができる。
【0045】また、本実施例の回転砥石11は上記のよ
うに小型であるので、消耗品である回転砥石を安価に製
造できると共に、重量が軽いので、砥石の粒度を荒、
中、仕上げの順で変えるときの砥石の交換作業も容易と
なり、生産性も大幅に向上する。
【0046】次に、単位時間当たりの研削量を得るため
の制御と圧延ロール2を目的のロール径に仕上げるため
の制御について説明する。単位時間当りの研削量を変え
るためには、回転砥石11と圧延ロール2間の接触線圧
を変える必要がある。このためロードセル13を取付
け、砥石回転軸15のスラスト力を連続的に測定する。
図5に示すように、ロードセル13により測定されたデ
ータは制御装置22に送られ、接触線圧が目標値となる
ように制御装置22で砥石送りモータ19の回転数を制
御し、単位時間当たりの研削量を変える。ロードセル1
3の代わりに砥石駆動モータ17の負荷を測定し、その
負荷が目標値となるように制御することで、単位時間当
りの研削量を変えてもよい。
【0047】圧延ロール研削にはロール表面の粗度を改
善する作業、一定の圧延ロールプロフィールを作る作業
以外に目的のロール径に仕上る作業がある。
【0048】本実施例の圧延ロール研削装置では、砥粒
部11aを弾性体機能を有する回転円盤11bで支えて
いるので、圧延ロールと回転砥石間の接触力により回転
砥石11の撓み量が変化する。一般の剛体砥石を使用す
るロールグラインダーの場合、砥石送り装置の移動と砥
石の位置は一致する。しかし、弾性体機能を有する回転
円盤11bを用いる本実施例の回転砥石11では、研削
時、ロール径の寸法精度を出すためには、圧延ロールと
回転砥石間の接触力によって撓んだ量を常に測定して砥
石送り装置の移動量を補正し、目的の寸法まで研削した
ことを確認しなければならない。
【0049】このため、回転砥石11の反ロール側に変
位センサー16を取付け、回転砥石11の撓み量を連続
的に測定する。図5に示すように、変位センサー16に
より測定されたデータは制御装置22に送られ、砥石送
りモータ19の位置を補正して回転砥石11の正しい位
置を求め、正確な寸法精度に圧延ロール2を仕上る。
【0050】変位センサー16を用いずロードセル13
を用いて回転砥石11の撓み量を求め、砥石送りモータ
19の位置を補正してもよい。すなわち、ロードセル1
3で回転砥石11と圧延ロール2間の接触力(スラスト
力)を測定し、回転砥石11のバネ定数とスラスト力か
ら回転砥石11の撓み量を求め、上記と同じように補正
する。
【0051】なお、以上の実施例では、圧延ロール2を
研削する砥石として平面型円盤をした回転砥石を説明し
たが、カップ型砥石であっても、そのカップ部に弾性体
機能を与えバネ定数を適切に設定すれば、同様の効果が
得られる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、CBN砥粒又はダイア
モンド砥粒で作られた高硬度砥石で圧延ロールを高能率
で長時間安定して、ビビリマークやスクラッチ傷を発生
させず表面品質の高い研削を行うことができ、特にハイ
ス系材質で作られた圧延ロールを高能率研削するのに適
している。
【0053】また、ガタの多くなった既存の圧延ロール
研削装置でも適当なバネ定数を持った弾性体機能を有す
る砥石を用いることにより、CBN砥粒又はダイアモン
ド砥粒で作られた回転砥石を有する圧延ロール研削装置
に容易に変更することができる。
【0054】また、回転砥石が小型で安価に製造できる
と共に、回転砥石の重量が軽いので砥石の交換作業も容
易となり、生産性が大幅に向上する。
【0055】また、本発明によれば、回転円盤の撓み量
を測定し、正確な寸法精度に圧延ロールを仕上ることが
できる。
【0056】さらに、本発明によれば、砥石回転軸に作
用するスラスト力を測定値し、単位時間当たりの研削量
を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による圧延ロール研削装置の
砥石台の部分断面図である。
【図2】図1に示す砥石台を備えた圧延ロール研削装置
全体の正面図である。
【図3】図2に示す圧園ロール研削装置の側面図であ
る。
【図4】回転円盤の弾性体機能を説明する図である。
【図5】ロードセル及び変位計と制御装置を示す図であ
る。
【図6】従来の円筒型砥石を有する圧延ロール研削装置
の正面図である。
【図7】図6に示す従来の圧延ロール研削装置の側面図
である。
【符号の説明】
1 砥石台 2 圧延ロール 3 主軸台 4 芯押し台 11 回転砥石 11a 砥粒部 11b 回転円盤 15 砥石回転軸 13 ロードセル 17 砥石駆動モータ 16 変位計 18 ボール式スクリュー 19 砥石送りモータ(砥石送り手段) 22 制御装置
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24B 5/37 B21B 28/02 B24B 47/20 B24B 49/16 B24D 7/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧延ロールを回転させる主軸台、該圧延ロ
    ールを支える芯押し台及び前記圧延ロールを研削する砥
    石台からなるオフライン圧延ロール研削装置において、 前記砥石台は、前記圧延ロールを研削する円盤状の回転
    砥石と、前記回転砥石を先端に取付けた砥石回転軸と、
    この砥石回転軸を介して前記回転砥石に回転力を与え回
    転砥石を積極駆動する砥石駆動モータと、前記砥石回転
    軸を前記圧延ロール方向に送り込む砥石送り手段とを有
    し、前記砥石回転軸は、前記砥石送り手段による送り込
    みにより前記回転砥石の外周平面部分の一部を圧延ロー
    ルに押し付け回転砥石が片持ち梁的に撓むように、前記
    圧延ロールの軸芯に対してほぼ直交しかつその軸芯から
    上下方向にずれて配置され、前記回転砥石は、立方晶窒
    化ほう素砥粒又はダイアモンド砥粒にて作られた砥粒部
    と、この砥粒部を支持する弾性体機能を有する回転円盤
    とで構成されていることを特徴とするオフライン圧延ロ
    ール研削装置。
  2. 【請求項2】圧延ロールを回転させる主軸台、該圧延ロ
    ールを支える芯押し台及び前記圧延ロールを研削する砥
    石台からなるオフライン圧延ロール研削装置において、 前記砥石台は、前記圧延ロールを研削する円盤状の回転
    砥石と、前記回転砥石を先端に取付けた砥石回転軸と、
    この砥石回転軸を介して前記回転砥石に回転力を与え回
    転砥石を積極駆動する砥石駆動モータと、前記砥石回転
    軸を前記圧延ロール方向に送り込む砥石送り手段とを有
    し、前記砥石回転軸は、前記砥石送り手段による送り込
    みにより前記回転砥石の外周平面部分の一部を圧延ロー
    ルに押し付け回転砥石が片持ち梁的に撓むように、前記
    圧延ロールの軸芯に交差しかつその軸芯に対して傾けて
    配置され、前記回転砥石は、立方晶窒化ほう素砥粒又は
    ダイアモンド砥粒にて作られた砥粒部と、この砥粒部を
    支持する弾性体機能を有する回転円盤とで構成されてい
    ることを特徴とするオフライン圧延ロール研削装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のオフライン圧延ロ
    ール研削装置において、前記回転円盤の撓み量を測定す
    る手段と、前記撓み量の測定値から前記砥石送り手段の
    送り量を制御する手段とを備えることを特徴とするオフ
    ライン圧延ロール研削装置。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載のオフライン圧延ロ
    ール研削装置において、前記砥石回転軸に作用するスラ
    スト力を測定する手段と、前記スラスト力の測定値から
    前記砥石送り手段の送り量を制御する手段とを備えるこ
    とを特徴とするオフライン圧延ロール研削装置。
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