JP3224165U - 基材に対する距離が可変のインクジェット印刷ヘッド - Google Patents

Abstract

【課題】インクジェット印刷機において、印刷プロセスを制御する装置を提供する。【解決手段】インクジェット印刷ヘッド４と印刷が行われるべき基材１０００との間の距離ａが調整可能である、インクジェット印刷ヘッド４と、不良シートセンサ１４と、機械制御装置１５と、印刷ジョブを受信する装置と、を備える、インクジェット印刷機１００における印刷プロセスを制御する装置において、機械制御装置１５は、受信された印刷ジョブに基づいて、印刷プロセス前にまたは印刷プロセス中に、印刷が行われるべき基材１０００に対するインクジェット印刷ヘッド４の距離ａと、不良シートセンサ１４の作動閾値とを適合させる。【選択図】図１

Description

本考案は、インクジェット印刷機において印刷プロセスを制御する装置であって、少なくとも１つのインクジェット印刷ヘッドであって、インクジェット印刷ヘッドと印刷が行われるべき基材との間の距離が調整可能である、インクジェット印刷ヘッドと、不良シートセンサと、機械制御装置と、印刷ジョブを受信する装置と、を備える、インクジェット印刷機において印刷プロセスを制御する装置に関する。

公開された文献である独国特許出願公開第１０２０１７２１１５３３号明細書（DE 10 2017 211 533 A1）において、冒頭で述べたような印刷プロセスを制御する装置を有するインクジェット印刷機が知られている。このインクジェット印刷機は、高さ位置調整可能な印刷ヘッドを有し、印刷ヘッドによって、印刷プロセス中に印刷ヘッドと印刷が行われるべき基材との間の距離を調整することができる。さらに、印刷基材が角の立上がりまたは波打ちを有するとき、高さ位置調整可能な印刷ヘッドを、所定の駆動装置および機構を介して、インクジェット印刷機の制御装置によって自動で持ち上げることができる。インクジェット印刷ヘッドの位置が変化されないと、立ち上がる角または波打ちによって、基材とインクジェット印刷ヘッドとの間に接触が生じることになる。このような接触は、どのような状況においても回避しなければならない。というのも、印刷ノズルの周囲において、インクジェット印刷ヘッドの外側部分は、接触に対して極めて敏感であるからである。このような接触によって、インクジェット印刷ヘッドが破損してしまう可能性がある。印刷基材の波打ちまたは立上がり部分を検出するために、公開された文献である独国特許出願公開第１０２０１７２１１５３３号明細書（DE 10 2017 211 533 A1）において、いわゆる不良シートセンサが設けられている。不良シートセンサは、被印刷物の立上がる縁または波打ちを検出し、ひいてはインクジェット印刷ヘッドと印刷基材との予期される衝突を予測することができる。このような衝突が起こりそうになると、不良シートセンサの情報に基づいて、駆動装置が制御される。駆動装置は、衝突が回避されるまでインクジェット印刷ヘッドを上昇させる。これによって、破損リスクを伴う被印刷物に印刷が行われず、この被印刷物は、印刷が行われずに印刷機の外へ排出されるようになる。したがって、このような被印刷物は損紙となり、損紙は、他方、生産性の観点で最小限に減らされるべきである。つまり、不良シートセンサは、本来インクジェット印刷ヘッドにおいて破損リスクを伴う印刷シートだけを選り分けてよく、実際には印刷プロセスにとってまだ許容される被印刷物を選り分けてはならない。

さらに、公開された文献である欧州特許出願公開第０９８３８６２号明細書（EP 0 983 862 A2）は、印刷ヘッドを有するインクジェット印刷機を開示しており、このインクジェット印刷機では、インクジェット印刷ヘッドと印刷基材との間の距離が、印刷基材の特性に基づいて自動で制御される。そのために、インクジェット印刷ヘッドは、懸架装置とともに、わずかな回転運動によって高さ位置調整することができる。このような装置によって、インクジェット印刷ヘッドと基材との間の正確な距離を調整するときに様々な厚さの印刷基材を考慮することができる。不良シートセンサが存在しないので、被印刷物の波打ちまたは立上がる縁を検出することができない。

さらに、公開された文献である欧州特許出願公開第２８７１０５９号明細書（EP 2 871 059 A1）は、トレー上のそれぞれ大きく異なる様々な印刷対象に印刷を行うことができるインクジェット印刷機を開示している。ここでもインクジェット印刷ヘッドと印刷対象との間の距離は、印刷プロセスを介して制御される。そのために、センサが、印刷対象の厚さを考慮し、そうして高さ位置調整に利用可能である少なくとも１つのパラメータを検出する。ただしこの場合、インクジェット印刷ヘッドは高さ位置調整されず、トレーが上下に移動する。ここでも、問題のある印刷シートを識別することができる不良シートセンサが存在しない。

このような従来技術から出発して、本考案の課題は、一方では、それぞれ異なる印刷ジョブの加工を様々な印刷基材でも可能にし、他方では、このようなそれぞれ異なる印刷ジョブにおいてできるだけ少量の損紙しか生じない、つまり既存の不良シートセンサが、破損リスクを伴う被印刷物を検出するために不必要に作動させられないようにする、少なくとも１つのインクジェット印刷ヘッドを有するインクジェット印刷機において印刷プロセスを制御する装置を提供することである。

この課題は、本考案によれば、請求項１によって解決される。本考案の有利な形態は、従属請求項および図面から明らかである。

本考案によれば、インクジェット印刷機の機械制御装置は、受信された印刷ジョブに基づいて、印刷プロセス前にまたは印刷プロセス中に、印刷が行われるべき基材に対するインクジェット印刷ヘッドの距離と、不良シートセンサの作動閾値とを適合させることが想定されている。このようにすると、特に様々な印刷基材を用いた、それぞれ異なる印刷ジョブをできるだけわずかな損紙で処理することができる。というのも、それぞれ異なる印刷ジョブの性質を考慮することによって、不良シートセンサの作動閾値をその都度の印刷ジョブに自動的に適合させることができるからである。このことは、たとえば同一の印刷基材を用いて加工されるときには印刷ジョブの前で行われ、またたとえば様々な印刷基材を含む印刷ジョブ中にも行われ得る。印刷ジョブの特性は、たとえば印刷基材の性質、使用されるインクや所望される印刷品質である。すなわち、印刷品質に対する要求が高いほど、印刷プロセス中のインクジェット印刷ヘッドと基材の間の距離がより小さくなければならない。しかし、より小さな距離によって、不良シートセンサがより頻繁に作動するようになる。というのも、印刷基材における小さな波打ちまたは立上がる縁ですらインクジェット印刷ヘッドの損傷リスクが生じ得るので、不良シートセンサがより頻繁に応答するからである。

本考案の第１の形態では、インクジェット印刷ヘッドが、駆動装置によって高さ位置調整可能であり、駆動装置は、機械制御装置に接続されていることが想定されている。機械制御装置に接続された、インクジェット印刷ヘッドの高さ位置を調整する駆動装置によって、インクジェット印刷ヘッドは、迅速にかつ自動的に、印刷プロセス前にも印刷プロセス中にも、印刷ジョブの特性に適合させ、そうして印刷基材とインクジェット印刷ヘッドとの間の最適な距離を機械制御装置によって調整することができる。

本考案のさらなる形態では、印刷ジョブが、インクジェット印刷ヘッドと印刷基材との間の様々な距離を有する複数のクラスに分けられ、これらのクラスは、機械制御装置内に記憶されていることが想定されている。この場合、これらのクラスは、様々な印刷品質に対応付けることができる。ゆえに、たとえば高い印刷品質に対して６５０μｍの距離を設定し、不良シートセンサに対して４００μｍの作動閾値を設定することが可能である。平均的な印刷品質に対する第２のクラスでは、距離は、８５０μｍであり、不良シートセンサに対する作動閾値は、６００μｍである。要求の低い印刷品質に対して、第３のクラスでは、１０００μｍの距離を設定し、かつ不良シートセンサに対して８００μｍの作動閾値を設定することができる。ここでは距離、作動閾値およびクラスの数は、例示的なものでしかなく、最終的なものではないと解される。距離の増加の他に、不良シートセンサを作動させるための閾値を増加させることが可能であることが重要である。これによって、損紙が大幅に低減される。

さらに好適には、印刷ジョブを受信する装置は、オペレータによる入力装置、特にタッチスクリーンを含むことが想定されている。本考案のこの形態では、オペレータは、特定のクラスを選択する、または特定の特性、所望の印刷品質および印刷基材もしくは使用されるインクの特性を、タッチスクリーンなどの入力装置を介して機械制御装置に入力することができる。この場合、機械制御装置は、印刷基材とインクジェット印刷ヘッドとの間の対応する距離を調整し、それに応じて不良シートセンサの作動閾値を適合させる。代替的にまたは付加的に、印刷ジョブを受信する装置は、印刷ジョブのデータ伝送のためのプリプレスに関するインタフェースを含むことが想定されてよい。この場合、印刷ジョブの特性は、オペレータが入力することなく、完全に自動的にプリプレスに関するかつ／またはＭＩＳシステムに関するインタフェースを介してインクジェット印刷機の機械制御装置内へ伝送することが可能であるので、機械制御装置は、印刷ジョブのデータから、自動的にインクジェット印刷ヘッドと印刷基材との間の距離に関する適切な調整を計算するとともに不良シートセンサに対する作動閾値を計算することが可能である。所望される場合、そのように計算された調整を、確認のために画面上でオペレータに表示し、オペレータによる確認が行われた後に機械制御装置において用いることができる。

本考案のさらなる形態では、機械制御装置が、不良シートの発生を把握し、機械制御装置内に格納された閾値の超過が生じると、画面上に、インクジェット印刷ヘッドと基材との間の距離の増加を提案する通知が表示されることが想定されている。本考案のこの好適な形態では、機械は、インクジェット印刷ヘッドの破損リスクを生じさせ得る不良シートの発生頻度から、インクジェット印刷ヘッドと印刷基材との間の距離を学習して、これに付属する作動閾値を最適化する。これによって、インクジェット印刷ヘッドと基材との間の距離は、プリンタが要求する印刷品質の範囲内で増加させることができ、ひいては損紙の発生を減らすことができる。機械制御装置内に格納された特定の頻度閾値から、機械制御装置は、画面上の相応の表示によって、インクジェット印刷ヘッドと印刷基材との間の最適化された距離を提案する。ここでも、オペレータによる確認が実現されてよく、これによって、最適化された距離は、まずオペレータによる確認が行われてから調整される。しかも、改善された距離の自動調整を行ってもよい。

本考案の特に有利な形態では、印刷プロセス前のまたは印刷プロセス中のインクジェット印刷ヘッドと基材との間の距離および不良シートセンサの作動閾値は、印刷基材の特性に基づくことが想定されている。基材の厚さおよび曲げ剛性などの印刷基材の特性は、インクジェット印刷ヘッドの破損リスクに極めて大きな影響を与える。ゆえに、より厚い印刷基材では、印刷胴とインクジェット印刷ヘッドの間の距離は、相応に基材の厚さに適合させなければならない。他方、インクジェット印刷ヘッドと印刷基材との間の距離は、できるだけ小さくすることが可能である。というのも、基材がより厚いほど波打ちおよび縁が立上がる傾向がより小さく、ひいてはインクジェット印刷ヘッドの損傷リスクがよりわずかであるからである。これに応じて、不良シートセンサの作動閾値を適合させなければならず、これによって、印刷が行われていない被印刷物を排出することによる不必要な損紙が回避される。

以下、本考案を、図面に基づいて詳説する。

不良シートセンサと高さ位置調整可能なインクジェット印刷ヘッドとを有するインクジェット印刷機を示す。

図面は、デジタル印刷機として構成された枚葉印刷機１００を示している。各々のシート１０００は、フィーダ１から到来して、搬送方向Ｔに、印刷ユニット２を通ってデリバリ３へと搬送される。その際、各々のシート１０００の搬送は、主に複数の胴、つまり渡し胴５と印刷胴１０とを用いて行われる。印刷胴１０の上方には、印刷胴１０に対して距離ａを置いて、電気的に高さ位置調整可能な複数のインクジェット印刷ヘッド４が配置されており、インクジェット印刷ヘッド４は、わずかな距離ａを置いて印刷胴１０の傍を通過するシート１０００に印刷を行う。印刷胴１０は、ジェッティング胴とも称される。

図示の実施の形態では、印刷胴１０は、３つのシート保持領域１１を有し、これらのシート保持領域１１は、それぞれ溝１２によって相互に分けられている。シート１０００は、グリッパ１３を用いて、シート保持領域１１上に保持される。溝１２には、測定ゲージ１８，１９が設けられている。

印刷機１００を制御するために、ユーザインタフェースとメモリとを有する機械制御装置１５が設けられており、機械制御装置１５は、高さ位置調整可能なインクジェット印刷ヘッド４の制御をも行う。搬送方向Ｔに見てインクジェット印刷ヘッド４の上流側にセンサ系１４が配置されており、センサ系１４は、シート１０００および測定ゲージ１８，１９の継続的な監視に用いられ、不良シートセンサとも称される。そのために、センサ系１４は、シート走行路に配置されていて、他方、機械制御装置１５と接続されている。シート走行、特に被印刷物の厚さｄを、つまりシート１０００がどの程度シート保持領域１１から上に位置するかを監視することができる。そうして折り目、ドッグイヤー、または折り畳まれた、波打ちした、不完全なもしくは不良に保持されたシート１０００を認識することができる。センサ系１４は、データ伝送技術的に、機械制御装置１５と接続されており、機械制御装置１５は、センサ制御装置をも含む。シート後縁に欠陥が存在する場合でも、たとえば機械１００を停止することによって、インクジェット印刷ヘッド４を持ち上げることによって、またはエラーを含むシート１０００（図示せず）を排出することによって、シート１０００とインクジェット印刷ヘッド４との衝突を依然として回避することができるように、センサ系１４は、十分な程度インクジェット印刷ヘッド４より上流側に配置しなければならない。ジェッティング胴１０の下流側に、排出ドラム２５が位置し、排出ドラム２５を用いて、欠陥シート、たとえば不完全に印刷が行われたシート１０００を排出することができる。

機械制御装置１５は、タッチスクリーンまたはプリプレスのインタフェースを介して、枚葉印刷機１００において印刷されるべき印刷ジョブのデータを受信する。その際、機械制御装置１５は、印刷品質、印刷基材の性質、およびその他の性質に関して印刷ジョブを分析して、シート１０００とインクジェット印刷ヘッド４との間の適切な距離を計算することができる。さらに、機械制御装置１５は、印刷ジョブの性質に基づいて、センサ系１４の作動閾値を計算する。その際、特に被印刷物の厚さおよび剛性が考慮される。というのも、これらの性質が、主に、シート１０００の波打ちおよび縁または角が立上がる可能性を表しているからである。さらに、機械制御装置１５に、印刷ジョブを分類することができる複数のクラスが格納されてよい。したがって、要求の高い印刷ジョブは、インクジェット印刷ヘッド４とシート１０００との間の距離が比較的小さく、これに相応するセンサ系１４の低い作動閾値を有するクラスに分類される。平均的な印刷品質のクラスでは、より大きな距離およびこれに相応するセンサ系１４のより大きな作動閾値が用いられる。品質要求が低い印刷ジョブでは、距離および作動閾値をさらに増加させることができるので、不良シート、つまり問題のあるシート１０００による損紙をさらに減らすことができる。本考案に係る装置は、原則として、インクジェット印刷ヘッド４と印刷シート１０００との間の距離を、インクジェット印刷ヘッド４または印刷胴１０のいずれかの高さ調整によって実現することが可能であって、不良シートセンサを有するあらゆるインクジェット印刷機で使用することができる。

１ フィーダ
２ 印刷ユニット
３ デリバリ
４ インクジェット印刷ヘッド
５ 渡し胴
１０ 印刷胴（ジェッティング胴）
１１ シート保持領域またはシート支持面
１２ 溝
１３ グリッパ
１４ センサ系
１５ センサ制御装置を有する機械制御装置
１８ 測定ゲージ（ＡＳ）
１９ 測定ゲージ（ＢＳ）
２５ 排出ドラム
１００ 枚葉印刷機
１０００ シート
ａ 距離
Ｔ 搬送方向

Claims (7)

1. インクジェット印刷機（１００）において印刷プロセスを制御する装置であって、
   少なくとも１つのインクジェット印刷ヘッド（４）であって、該インクジェット印刷ヘッド（４）と印刷が行われるべき基材（１０００）との間の距離（ａ）が調整可能である、インクジェット印刷ヘッド（４）と、
   不良シートセンサ（１４）と、
   機械制御装置（１５）と、
   印刷ジョブを受信する装置と、
   を備える、インクジェット印刷機（１００）において印刷プロセスを制御する装置において、
   前記機械制御装置（１５）は、受信された印刷ジョブに基づいて、印刷プロセス前にまたは印刷プロセス中に、印刷が行われるべき前記基材（１０００）に対する前記インクジェット印刷ヘッド（４）の前記距離（ａ）と、前記不良シートセンサ（１４）の作動閾値とを適合させることを特徴とする、インクジェット印刷機（１００）において印刷プロセスを制御する装置。
2. 前記インクジェット印刷ヘッド（４）は、駆動装置によって高さ位置調整可能であり、前記駆動装置は、前記機械制御装置（１５）に接続されていることを特徴とする、請求項１記載の装置。
3. 前記印刷ジョブは、前記インクジェット印刷ヘッド（４）と前記印刷基材（１０００）との間の様々な距離（ａ）を有する複数のクラスに分けられ、該クラスは、前記機械制御装置（１５）内に記憶されていることを特徴とする、請求項１または２記載の装置。
4. 前記印刷ジョブを受信する装置は、オペレータによる入力装置、特にタッチスクリーンを含むことを特徴とする、請求項１から３までのいずれか１項記載の装置。
5. 前記印刷ジョブを受信する装置は、前記印刷ジョブのデータ伝送のためのプリプレスに関するインタフェースを含むことを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項記載の装置。
6. 前記機械制御装置（１５）は、不良シートの発生を把握し、前記機械制御装置（１５）内に格納された閾値の超過が生じると、画面上に、前記インクジェット印刷ヘッド（４）と前記基材（１０００）との間の前記距離（ａ）の増加を提案する通知を表示することを特徴とする、請求項１から５までのいずれか１項記載の装置。
7. 印刷プロセス前のまたは印刷プロセス中の前記インクジェット印刷ヘッド（４）と前記基材（１０００）間の前記距離（ａ）および前記不良シートセンサ（１４）の前記作動閾値は、前記印刷基材（１０００）の性質に基づくことを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項記載の装置。