JP3223179B2 - 海藻灰系抗フケ菌剤 - Google Patents

海藻灰系抗フケ菌剤

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株式会社 多田フィロソフィ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海藻灰を有効成分
とする抗菌剤に関する。更に詳しくは、本発明は、ワカ
メなどの海藻灰及び/又はその抽出液を利用した無機系
の抗フケ菌剤であって、化学合成品にみられるような副
作用がなく、天然物由来の安価で安全性の高い無機系抗
フケ菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、植物由来の人間にとって
有用な種々のミネラル塩を含有する植物ミネラル塩に関
して、永年、研究開発をつづけている。前記した植物ミ
ネラル塩の研究開発は、常に摂取量が不足しているカル
シウム、マグネシウムなどの微量元素を無理なく補給
し、高齢化社会に望まれる健康増進を図る観点から重要
である。
【0003】本発明者らは、既に、海藻類の灰化物の抽
出液から調製した食塩代替物としての植物ミネラル塩
(特願平10−195120号)、あるいは海藻灰の抽
出液に強い抗菌作用があることを利用した日持向上剤
(特願平10−308623号)、などについて提案し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、本発
明者らは、海藻灰の有効利用技術として、その優れた抗
菌作用に注目して日持向上剤を提案した。その後、本発
明者らは、前記海藻灰の抗菌作用に注目し、細菌の中で
もより高等な部類に属するフケ原因菌(Malasezia furf
un)への応用について検討を進めている。
【0005】海藻灰の抗菌作用に注目し、これをフケ原
因菌(Malasezia furfun)へ適用してみようとする動機
は、今日、フケ原因菌に対する合成系の抗フケ菌剤は知
られているものの、抗生物質や化学医薬品の示す副作用
への不信感があることから、天然物由来の安全性の高い
ものが強く求められていることにあった。
【0006】また、いうまでもないことであるが、その
動機の1つは、常に若々しくありたいと思うのは万国共
通であり、若者にみられる脱毛や高齢化社会を迎えての
老人の脱毛に対する解決策が強く求められていることに
あった。
【0007】前記脱毛の防止(抑制)における抗フケ菌
剤の役割について、本発明者らは、次のように考えてい
る。脱毛の機構、原因は不明な点が多いため対応の困難
な分野である。しかしながら、髪の毛根部を刺激した
り、血流量を増加、活性化したり、毛母細胞の増殖を促
したり、更に毛根部に皮脂やフケが詰まり毛根部を窒息
状態に至らしめないようにすること、などが脱毛の防止
(抑制)にとって重要なことである。そして、このよう
な点に配慮して抗フケ菌剤を開発すべきである。
【0008】本発明者は、前記したように海藻灰が抗菌
性であること、かつ、有用な微量元素を多く含有してい
ることから、脱毛の抑制・防止の観点から抗フケ菌剤と
して有力候補になるものとして鋭意、検討を進めた。そ
の結果、海藻灰、中でもワカメ(Undaria pinnatifid
a) などの褐藻類の灰化物、またはその抽出液に抗フケ
菌作用に強い活性があることを見い出した。
【0009】本発明は前記知見をベースにするものであ
る。本発明により、合成品や抗生物質ではなく、副作用
や毒性が低く、かつ安価で高性能の天然物由来の抗フケ
菌剤が提供される。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、海藻原料、例えばワカメ(Undaria pinnatifid
a)、コンブ(Laminaria japonica)、ホンダワラ(Sar
gassum eneve)などの主として褐藻類を灰化することに
よりえら得れる海藻灰、あるいは、その抽出液を有効成
分とする抗フケ菌剤に関する。
【0011】以下、本発明の技術的構成について詳しく
説明する。
【0012】本発明において、抗フケ菌剤の原料となる
ものは海藻類である。前記原料となる海藻類としては、
ワカメ(Undaria pinnatifida)、コンブ(Laminaria j
aponica)、ホンダワラ(Sargassum everve)、アラメ
(Eiseni bicylis)、モズク(Mesogloea decipiens、L
essonia nigrescens、Macrocystis pyrifera)、ひじき
(Hizikia fusiforme)、ツノマタ(Chordrus ocellatu
s)、アスコフィルム(Ascophyllum nodosum)、キリン
サイ(Eucheuma muricatum)、レッソニア(Lessonia n
igrescens)などがある。
【0013】本発明の抗フケ菌剤の原料において、紅藻
類や褐藻類などの海藻類において、特に好ましいものは
ワカメなどの褐藻類である。
【0014】本発明の抗フケ菌剤は、前記した灰分含有
量の高い海藻類、特にワカメなどの褐藻類を灰化して得
た灰化物をそのまま、あるいは所望の抽出用溶媒で抽出
処理した抽出液を有効成分として調製される。
【0015】前記した原料海藻類の灰化条件(焼成温
度、焼成時間)及び抽出条件は、適宜に設定すればよ
い。灰化条件としては、例えば200〜1000℃、2
〜4時間の条件が良好である。また、抽出条件とは、例
えば海水または水から成る抽出溶剤を用い、pH8〜1
4の条件下で、室温〜40℃で抽出処理すればよい。
【0016】本発明者らは、ワカメなど海藻類の灰化物
を海水または水により抽出し、抽出液より食塩代替物の
植物ミネラルを製造する方法において、抽出残渣(抽出
された後に残る残渣)の有効活用についても検討をすす
めている。これは、抽出残渣の収量が、海藻灰の約80
%を占めることから、残渣の有効活用が重要な課題であ
るためである。本発明者らは、前記抽出残渣の有効活用
の研究において、抽出残渣を200〜1000℃で焼成
処理したところ、理由が不明であるが約900℃で処理
したものに強い抗菌作用があることをつきとめ、これを
抗カビなどの抗菌剤に利用することを検討している。
【0017】本発明の抗フケ菌剤においても、前記した
焼成条件、即ち200〜1000℃、特に約900℃で
の焼成条件が有効である。
【0018】本発明の抗フケ菌剤は、一般の化粧品やシ
ャンプー、石鹸、浴用剤などの添加成分として有用であ
る。本発明の抗フケ菌剤の前記各種製品への添加量は、
海藻灰の形態のものであれば1〜2重量%を添加すれば
よく、また、海藻灰の抽出液(抽出エキス)の形態のも
のであれば、灰から乾燥物として10〜20%が抽出さ
れるので0.1〜0.2重量%を添加すればよい。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。なお、本発明は実施例のものに限定されないこと
はいうまでもないことである。
【0020】<原料の灰化処理>原料としてワカメ、コ
ンブ、及びホンダワラを用いた。これら原料を水洗し、
乾燥機で水分含有量3〜5%まで乾燥し、粗切後、灰化
機(ヤマト科学社製、FP32型)で、600℃、2時
間、灰化処理した。
【0021】<抗フケ菌剤の調製>灰化した海藻灰を、
121℃、15分間、高圧蒸気滅菌して抗フケ剤を調製
した。
【0022】<抗フケ菌剤の性能試験>前記抗フケ菌剤
(滅菌した海藻灰)を、1mlの液体培地に5mg、1
0mg、20mg、40mg、100mgを添加して試
験した。 (1).前記液体培地は、ペプトン0.5%、酵母エキス
0.3%、麦芽0.3%、ブドウ糖1.0%、及びオリ
ーブ油1.0%が添加されたものであり、pH6.0に
調整されたものである。 (2).フケ菌は、凍結保存菌株を約30℃の微温場で融解
したものであり、これを前記液体培地に静過培養した。 (3).抗フケ菌剤の性能評価は、106 個の菌数を測定
し、完全に発育が阻止された最低濃度をもって判定し
た。 なお、判定にあたり、肉眼により混濁または沈殿のある
場合は無効とし、透明の場合は有効とした。結果を、下
記の表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】<マウスによる急性毒性試験>マウスを用
いて本発明の抗フケ菌剤の急性毒性試験を行った。マウ
スとしてdd−y型の雄性、体重20gのものを選択
し、一群8匹とした。次に、マウスに対して抗フケ菌剤
(海藻灰)を物理的に経口投与可能な用量である200
0mg/kgを1回投与し、その後、エサ、水とも自由
に与え、一週間の期間中の生死によりLD50を求めた。
一週間の観察期間中、死亡するものは一例もなく、水の
みを投与した対照群と同様にエサ、水とも摂取した。こ
のことから、本発明の抗フケ菌剤は、毒性が極めて低い
ものであることがわかる。
【0025】
【発明の効果】本発明はワカメなどの海藻類の灰化物及
び/又はその抽出液を利用した抗フケ菌剤に関する。化
学合成品や抗生物質でなく、副作用や毒性の低く、かつ
安価で高性能の天然物由来の抗フケ菌剤が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/80 A61K 7/075 A61K 7/50 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海藻灰及び/又はその抽出液を有効成分
    とする抗フケ菌剤。
  2. 【請求項2】 海藻灰の原料が、褐薬類である請求項1
    に記載の抗フケ菌剤。
  3. 【請求項3】 褐薬類が、ワカメ(Undaria pinnatifid
    a)、コンブ(Laminaria japonica)、及び、ホンダワ
    ラ(Sargassum enerve)から選ばれた少なくとも1種で
    ある請求項2に記載の抗フケ菌剤。
  4. 【請求項4】 海藻灰が、海藻原料を200℃〜100
    0℃で灰化して得られるものである請求項1に記載の抗
    フケ菌剤。
  5. 【請求項5】 海藻灰の抽出液が、海水または水から成
    る抽出用溶媒で抽出して得られるものである請求項1に
    記載の抗フケ菌剤。
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