JP3222909B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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JP3222909B2
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由紀雄 井手
眞人 針谷
喜之 影山
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は情報記録媒体、特に相変
化型情報記録媒体であって、光ビームを照射することに
より記録層材料に相変化を生じさせ、情報の記録、再生
を行い、かつ書換えが可能である情報記録媒体に関する
ものであり、光メモリー関連機器に応用される。
【0002】
【従来の技術】電磁波、特にレーザービームの照射によ
る情報の記録、再生及び消去可能な光メモリーの一つと
して、結晶−非晶質相間あるいは結晶−結晶相間の転移
を利用する、いわゆる相変化型記録媒体が良く知られて
いる。特に光磁気メモリーでは困難な単一ビームによる
オーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系もよ
り単純であることなどから最近その研究開発が活発にな
っている。その代表的な材料例として、UPS3,53
0,441に開示されているようにGe−Te,Ge−
Te−Sn,Ge−Te−S,Ge−Se−S,Ge−
Se−Sb,Ge−As−Se,In−Te,Se−T
e,Se−Asなどのいわゆるカルコゲン系合金材料が
あげられる。また安定性、高速結晶化などの向上を目的
にGe−Te系にAu(特開昭61−219692)、
Sn及びAu(特開昭61−270190)、Pd(特
開昭62−19490)等を添加した材料の提案や、記
録/消去の繰返し性能向上を目的にGe−Te−Se−
Sbの組成比を特定した材料(特開昭62−7343
8)の提案などもなされている。しかしながら、そのい
ずれもが相変化型書換え可能光メモリー媒体として要求
される諸特性のすべてを満足しうるものとはいえない。
特に記録感度、消去感度の向上、オーバーライト時の消
しのこりによる消去比低下の防止、並びに記録部、未記
録部の長寿命化が解決すべき最重要課題となっている。
【0003】また特開昭63−251290では、結晶
状態が実質的に三元以上の多元化合物単相からなる記録
層を具備した光記録媒体が提案されている。ここで実質
的に三元以上の多元化合物単相とは三元以上の化学量論
組成をもった化合物(例えばIn3SbTe2)を記録層
中に90原子%以上含むものとされている。このような
記録層を用いることにより記録、消去特性の向上が図れ
るとしている。しかしながら消去比が低い、記録、消去
に要するレーザーパワーがいまだ十分に低減されていな
い等の欠点を有している。これらの事情から消去比が高
く、高感度の記録、消去に適する記録材料の開発が望ま
れていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術に比較して消去比の飛躍的向上を達成する情報記録媒
体を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以上の
ような事情に対するものであり、消去比が高く、高速記
録消去時においても低パワーで記録−消去の繰返しが可
能な情報記録媒体を提供するものである。
【0006】そこで本発明者等は改善に鋭意研究を重ね
た結果、前述目的に合致する記録材料を見出した。即ち
本発明は基板上に設けられた記録層中に、主成分として
下記一般式で表わされる物質を有することを特徴とする
ものである。
【0007】AgαInβSeγSbδ ただし、 3 ≦ α ≦19 (at.%) 4 ≦ β ≦20 (at.%) 8 ≦ γ ≦38 (at.%) 23≦ δ ≦85 (at.%) α+β+γ+δ=1 ここでα、β、γ、δは記録膜中に含まれる各元素の平
均組成を表す。これらの値は、例えばオージェ電子分光
法、X線光電子分光法、2次イオン質量分析、ラザフォ
ード後方散乱分析等で測定される量である。また、製膜
過程中で自然に混入するO、N、Cなどの微量成分が膜
中に存在しても記録材としての性能に影響はない。好適
には6≦α≦16、6≦β≦18、15≦γ≦38、3
0≦δ≦70の範囲がよい。Agが3%より少くなると
消去比が低くなり、19%より多くなると、保存性が悪
化する。Inが4%より少なくなると感度が低下し、2
0%より多くなるとやはり保存安定性が悪化する。Se
が3%より少なくなるとC/Nが低下し、38%より多
くなると耐環境性が劣化する。Sbが23%より少なく
なると感度、消去比が低下し、85%より多くなるとC
/Nの低下をまねく。以下本発明を添付図面に基づき説
明する。図1は、本発明の構成例を示すものである。基
板(1)上に耐熱性保護層(2)、記録層(3)、耐熱
性保護層(4)、反射層(5)が設けられている。耐熱
性保護層は必ずしも記録層の両側に設ける必要はなく、
耐熱性保護層(2)のみ、あるいは耐熱性保護層(4)
のみの構造でもよい、基板がポリカーボネート樹脂のよ
うに耐熱性が低い材料の場合には耐熱性保護層(2)を
設けることが望ましい。
【0008】本発明の記録層は各種気相成長法、例えば
真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光
CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法
等によって形成できる。気相成長法以外にゾルゲル法の
ような湿式プロセスも適用可能である。原材料の調整は
各々4元素を目的の組成に混合してもよいし、又2元以
上の化合物の組み合わせを目的の組成に合わせて混合し
てもよい。記録層の膜厚としては200〜10000
Å、好適には500〜3000Åとするのが良い。20
0Åより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層として
の役割を果たさなくなる。また10000Åより厚いと
高速で均一な相変化が起こりにくくなる。基板の材料は
通常ガラス、セラミックス、あるいは樹脂であり、樹脂
基板が成形性、コスト等の点で好適である。樹脂の代表
例としてはポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチ
レン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン
樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウ
レタン樹脂等があげられるが、加工性、光学特性等の点
でポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
また基板の形状としてはディスク状、カード状あるいは
シート状であってもよい。耐熱性保護層の材料として
は、SiO,SiO2,ZnO,SnO2,Al23,T
iO2,In23,MgO,ZrO2等の金属酸化物、S
34,AlN,TiN,BN,ZrNなどの窒化物、
ZnS,In23,TaS4等の硫化物、SiC,Ta
C,B4C,WC,TiC,ZrCなどの炭化物やダイ
ヤモンド状カーボンあるいはそれらの混合物があげられ
る。これらの材料は単体で保護層とすることもできる
が、お互いの混合物としてもよい。また、必要に応じて
不純物を含んでいてもよい。
【0009】但し耐熱保護層の融点は記録層の融点より
も高いことが必要である。このような耐熱性保護層は各
種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、
プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング
法、電子ビーム蒸着法等によって形成できる。耐熱性保
護層の膜厚としては200〜5000Å、好適には50
0〜3000Åとするのが良い。200Åより薄くなる
と耐熱性保護層としての機能を果たさなくなり、逆に5
00Åよりも厚くなると、感度の低下を来したり、界面
剥離を生じやすくなる。また必要に応じて保護層を多層
化することもできる。
【0010】反射層としてはAl,Auなどの金属材
料、またはそれらの合金などを用いることができるが、
必ずしも必要ではない。このような反射層は各種気相成
長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ
CVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子
ビーム蒸着法等によって形成できる。
【0011】記録、再生及び消去に用いる電磁波として
はレーザー光、電子線、X線、紫外線、可視光線、赤外
線、マイクロ波等、種々のものが採用可能であるが、ド
ライブに取り付ける際、小型でコンパクトな半導体レー
ザーが最適である。
【0012】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。但し、これらの実施例は本発明をなんら制限する
ものではない。
【0013】実施例1 ピッチ1.6μm、深さ700Åの溝付き、厚さ1.2
mm、直径86mmφのポリカーボネートディスク基板
上に、rfスパッタリング法により耐熱保護層、記録
層、耐熱保護層、反射層を順次積層し、評価用光ディス
クを作製した。基板上に設ける記録材料としてAg10
10Se20Sb60を用い、膜厚は1000Åとした。膜
中に含まれる元素の組成比はオージェ電子分光方法を用
いて求めた。反射層はAlを用い、膜厚500Åとし
た。耐熱保護層はSi34を用い膜厚は基板側2000
Å、反射層側1000Åとした。
【0014】光ディスクの評価は830nmの半導体レ
ーザー光をNA=0.5のレンズを通して媒体面で1μ
mφのスポット径にしぼり込み基板側から照射すること
により行った。
【0015】製膜後の記録膜は非晶質である。測定に際
し最初に媒体面で9mWのDC光でディスク全面を十分
に結晶化させ、それを初期(未記録)状態とした。この
時のディスクの線速度は7m/secとした。
【0016】記録条件は、線速度7m/secにおいて
は周波数4MHzとした。この条件のもとではマーク長
は0.88μmで一定である。記録レーザーパワー(P
w)は4mWから19mWまで変化させた。消去レーザ
ーパワー(Pe)は初期化に要するパワーと同じく9m
Wとした。読み取りパワー(Pr)は1mWとした。図
2に初期化後のディスクに記録したマークのC/N(キ
ャリア対ノズル比)値及びDC光による消去後の消去比
と、記録レーザーパワー(Pw)との関係を示す。図
中、●は記録時のC/N値を示し、矢印の長さはDC光
消去により消去されたC/Nを示す。この図からわかる
ようにAg10In10Se20Sb60を用いたディスクでは
非常に高い消去比が得られ、C/Nを100%消去でき
る記録パワー領域がある。
【0017】実施例2 記録層としてAg15In18Se37Sb30を用いたディス
クを作製した。ディスク層構成、記録条件は実施例1と
同様である。製膜後の記録膜はやはり非晶質である。初
期化に要したパワー11mWである。図3に初期化後の
ディスクに記録したマークのC/N(キャリア対ノイズ
比)値及びDC光による消去後の消去比と、記録レーザ
ーパワー(Pw)との関係を示す。この図からわかるよ
うに、Ag15In18Se37Sb30を記録層として用いた
ディスクも記録されたC/Nの100%消去が可能であ
る。
【0018】比較例 比較例として、記録層としてAg24In25Se41Sb10
を用いたディスクを作製した。ディスク層構成、記録条
件は実施例1、2と同様である。製膜後の記録膜はやは
り非晶質である。測定は線速度7m/secで行なっ
た。初期化に要したDC光パワーはどちらの線速度にお
いても13mWであった。図4に初期化後のディスクに
記載したマークのC/N(キャリア対ノイズ比)値及び
DC光による消去後の消去比と、記録レーザーパワー
(Pw)との関係を示す。これらの図からわかるよう
に、Ag24In25Se41Sb10記録層を用いたディスク
では、実施例1,2のような100%消去は非常に困難
であり、記録感度も劣っている。
【0019】
【発明の効果】基板上に設けられた記録層中に、主成分
として下記一般式 AgαInβSeγSbδ ただし、 3 ≦ α ≦19 (at.%) 4 ≦ β ≦20 (at.%) 8 ≦ γ ≦38 (at.%) 23≦ δ ≦85 (at.%) α+β+γ+δ=100 で表わされる物質を有することにより、消去率の飛躍的
向上(100%消去)が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】情報記録媒体の構成例の説明図。
【図2】初期化後のディスクに記録したマークのC/N
値及びDC光による消去後の消去比と、記録レーザーパ
ワー(Pw)との関係を示す図(実施例1)。
【図3】同(実施例2)。
【図4】同(比較例)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 影山 喜之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平3−9880(JP,A) 特開 昭62−181189(JP,A) 特開 昭63−261552(JP,A) 特開 昭63−304439(JP,A) 特開 平3−197173(JP,A) 特開 平5−58048(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設けられた記録層中に、主成分
    として下記一般式で表わされる物質を有することを特徴
    とする情報記録媒体。 AgαInβSeγSbδ ただし、 3 ≦ α ≦19 (at.%) 4 ≦ β ≦20 (at.%) 8 ≦ γ ≦38 (at.%) 23≦ δ ≦85 (at.%) α+β+γ+δ=100
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