JP3220235B2 - 紙幣識別装置 - Google Patents

紙幣識別装置

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JP3220235B2
JP3220235B2 JP18157492A JP18157492A JP3220235B2 JP 3220235 B2 JP3220235 B2 JP 3220235B2 JP 18157492 A JP18157492 A JP 18157492A JP 18157492 A JP18157492 A JP 18157492A JP 3220235 B2 JP3220235 B2 JP 3220235B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙幣識別装置の改良に
関し、特に、紙幣の識別情報収集後の不正な抜き取り操
作による真券信号の出力の防止、および、真券信号出力
後の不正な抜き取り操作の防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙幣識別装置の紙幣搬送路は所定の間隙
を持って相対向する2枚の搬送プレートによって構成さ
れ、この紙幣搬送路中に、ベルトやローラ等で構成され
る紙幣搬送手段および紙幣を識別するため情報検出手段
である磁気ヘッドや光学センサが配備され、紙幣識別装
置に挿入された紙幣を紙幣搬送手段で搬送する過程で磁
気ヘッドや光学センサ等を介して紙幣から識別情報を収
集し、この識別情報に基いて紙幣の真偽や種別を判定す
るようになっている。しかし、往々にして糸やテープ等
を紙幣に取り付け、識別情報の収集が完了した段階、即
ち、一般的にいって紙幣の真偽判定および判定信号の出
力が完了した段階で糸やテープにより紙幣を引き戻す操
作が行われることがあり、自動販売機による売買行為や
ゲーム装置の使用等を許可する真券信号が紙幣識別装置
から出力されているにも関わらず、真券信号の出力動機
となった紙幣が利用者によって引き戻されてしまうとい
う問題が生じていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するため、紙幣搬送路を閉鎖するシャッタ部材を磁気ヘ
ッドや光学センサ等の情報検出手段よりも奥に配備し、
紙幣がシャッタ部材を通過した時点で紙幣搬送路を閉鎖
してから判定信号の出力を行うようにした紙幣識別装置
が特開昭54−130096号,実公昭55−3342
1号,実公昭48−4956号等で提案されている。ま
た、紙幣搬送路を閉鎖するシャッタ部材を磁気ヘッドや
光学センサ等の情報検出手段よりも手前に配備し、挿入
紙幣を紙幣搬送路内部に完全に取り込んだ状態で抜き取
りを禁止して識別情報の収集および判定信号の出力を行
うようにした紙幣識別装置が実開昭63−16363
号,特開昭51−32694号等で提案されているが、
いずれのものも、シャッタ部材による閉鎖機能が不十分
であり、薄いビニールシート等を紙幣に貼着して抜き取
り操作を行ったりすると、一旦シャッタ部材により紙幣
搬送路が閉鎖されて判定信号が出力されてからでも、シ
ャッタ部材を強制的に開いて紙幣を抜き取ることが可能
な場合もあった。また、紙幣の連続挿入による誤動防止
と紙やテープ等による不正な紙幣引き戻し操作の防止の
ために、紙幣の挿入を検出してシャッタを開き、その後
シャッタを閉じてシャッタの自重でシャッタ部材を紙幣
面に当接させ、紙幣の通過によりシャッタ部材で搬送路
を閉鎖し、確実に1枚の紙幣を取り込むものが実公昭5
8−47489号で知られている。しかし、正常な紙幣
連続挿入と紙幣引き戻しの不正操作を区別して検出する
ことは難しかった。そこで、前述のような問題を完全に
解消するためには、紙幣搬送路がシャッタ部材によって
閉鎖されているか否かだけでなく、不正な抜き取り操作
が実際に行われているか否かを直接的な方法で検出する
ための手段が望まれる。本発明の目的は、これら従来技
術の欠点を解消し、不正な抜き取り操作を適確に検出し
て真券信号の出力を防止すると共に、真券信号の出力動
機となった紙幣を紙幣識別装置内に取り込んだ後は、該
紙幣の抜き取りを確実に禁止することのできる紙幣識別
装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明による紙幣識別装
置は、紙幣挿入センサとシャッタ部材との間に紙幣を検
知するための搬送位置検出センサを配備し、紙幣搬送手
段で搬送される紙幣の通過により前記搬送位置検出セン
サが非検知状態となってから前記シャッタ部材により紙
幣搬送路が閉鎖されるまでの間に搬送位置検出センサお
よび紙幣挿入センサがこの順で紙幣を検知した場合にお
いてのみ、紙幣の真偽や種別の判定結果に関わりなく紙
幣判定信号の出力を禁止することを特徴とする構成によ
り、不正な抜き取り操作を適確に検出して真券信号の出
力を防止するようにした。更に、紙幣搬送路を貫通して
紙幣搬送路を閉鎖するシャッタ部材の先端部の一側に鋭
利な楔型の突出片を設け、この突出片を紙幣の挿入方向
に向けて配備した構成により、紙幣識別装置内に取り込
んだ紙幣の抜き取りを確実に禁止するようにした。
【0005】
【作用】第1および第2の搬送プレートからなる紙幣搬
送路に紙幣を挿入すると、紙幣挿入センサが紙幣の挿入
を検知して紙幣搬送手段を駆動すると共に、シャッタ部
材が付勢力に抗して紙幣搬送路から退避し、挿入方向に
沿って紙幣の搬送が開始される。情報検出手段は紙幣の
搬送過程で紙幣識別のための情報を検出する。シャッタ
部材が退避してから所定時間が経過するとシャッタ部材
が微小な付勢力によって復帰しようとするが、シャッタ
部材の復帰動作が紙幣搬送路内の搬送紙幣によって妨げ
られているためシャッタ部材が紙幣搬送路を貫通するこ
とはなく、シャッタ部材が紙幣に載置された状態で紙幣
の搬送が継続される。そして、紙幣搬送手段によって搬
送される紙幣が紙幣挿入センサおよび搬送位置検出セン
サの配設位置を通過すると、紙幣挿入センサおよび搬送
位置検出センサが順次非検知状態となる。搬送位置検出
センサが非検知状態となってからシャッタ部材により紙
幣搬送路が閉鎖されるまでの間に、搬送位置検出センサ
および紙幣挿入センサがこの順で紙幣を検知すると不正
な抜き取り操作が行われたものと見做され、紙幣判定信
号の出力が禁止される。一方、紙幣挿入センサおよび搬
送位置検出センサがこの順で紙幣を検知した場合には紙
幣の追加挿入が行われたものと見做され、また、どちら
のセンサも検知状態とならなかった場合には正常な搬送
が行われたものと見做され、紙幣判定信号の出力が許容
される。
【0006】紙幣がシャッタ部材の配設位置を通過して
回収されると搬送紙幣による妨げがなくなり、シャッタ
部材が紙幣搬送路を貫通して紙幣搬送路を閉鎖する。ま
た、紙幣判定信号の出力が禁止されていなければ、この
段階で紙幣判定信号が出力される。紙幣識別装置内に取
り込まれた紙幣をテープ貼り等の手段で抜き取ろうとす
ると、付勢されたシャッタ部材の先端の一側に設けられ
た突出片がテープに突き刺さり、そのままテープに潜り
込むようにしてテープを切り裂いてゆくため、テープの
張力によるシャッタ部材の退避動作が防止される。紙幣
の端部がシャッタ部材の配設位置にまで引き戻される
と、突出片の基部が紙幣を押さえるようにしてテープ貼
り等による紙幣の抜き取りを防止する。
【0007】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は一実施例の紙幣識別装置1を正置して外観
を示す図で、図1(a)は平面図,図1(b)は正面
図,図1(c)は右側面図,図1(d)は背面図,図1
(e)は左側面図である。また、図2および図3は紙幣
識別装置1の内部構造を示す断面図で、図2は図1
(c)に対応する縦断面図,図3は図1(b)に対応す
る縦断面図である。
【0008】紙幣識別装置1の外装は、図1(a)〜図
1(e)に示されるように、その前面を構成するフロン
トマスク2と両側を構成する右サイドプレート3および
左サイドプレート4、並びに、その上面の一部を構成す
るブラケット部材5と下面を構成するボトムプレート
6、および、その背面を構成するバックプレート7、更
に、装置本体の上部に揺動自在に装着された揺動ユニッ
ト8のカバー部材であるアッパープレート9によって構
成され、左サイドプレート4には、該装置の各部を駆動
制御するマイクロプロセッサを始めとする各種の電気部
品を内蔵したコントロールボックス10が複数のネジ1
1により固定されている。コントロールボックス10の
背面に位置する切欠部24は、コントロールボックス1
0内に設けられた制御基板からの接続コードを外側に取
出すためのコード通し穴である。
【0009】フロントマスク2は射出成形等により一体
成形された合成樹脂部材であって、その外周部には、図
1(b)に示されるように、U字型の切欠部12を四隅
に備えたフランジ部13が設けられている。金属板によ
って形成されたブラケット部材5の前縁部5aおよびボ
トムプレート6の前縁部6aは、図1(c)および図2
に示されるように各々外側に向けて略直角に屈曲され、
前縁部5aおよび前縁部6aの両側にタッピングされた
雌ネジ15および16を介して、フランジ部13の前面
から通されたネジ17および18によりフロントマスク
2に固着され、更に、金属板によって形成された右サイ
ドプレート3および左サイドプレート4の各々が、図1
(c)および図3に示されるようにブラケット部材5の
両側およびボトムプレート6の両側に屈曲して設けられ
た舌片5bおよび6bから通されたネジ19および20
によりブラケット部材5およびボトムプレート6に固着
されて、これらの外装部材が一体に組立てられている。
【0010】ブラケット部材5の前縁部5aおよびボト
ムプレート6の前縁部6aは図1(d)および図3に示
されるようにフランジ部13の上下部と略同等の形状に
形成され、フランジ部13と同様のU字型の切欠部21
を備える。また、紙幣識別装置1の背面部を覆うバック
プレート7は、略直角に屈曲されて該装置1の両側の一
部を覆う屈曲部7aを右サイドプレート3および左サイ
ドプレート4の内側に位置させ、図1(c)に示される
ように右サイドプレート3および左サイドプレート4の
外側から通された各々のネジ22により右サイドプレー
ト3および左サイドプレート4に固着されている。
【0011】自動販売機やゲーム装置等に紙幣識別装置
1を取付ける際には、これらの装置のパネルに穿設され
た矩形穴に該識別装置1のフロントマスク2を内嵌し、
フロントマスク2のフランジ部13、並びに、これに重
合するブラケット部材5の前縁部5aおよびボトムプレ
ート6の前縁部6aに設けられたU字型の切欠部にボル
トを通してフロントマスク2およびブラケット部材5と
ボトムプレート6を自動販売機やゲーム装置等のパネル
に固定する。
【0012】また、図1(b)および図1(c)に示さ
れるように、フロントマスク2の前面には紙幣挿入口2
3を備えたベセル14が手前に突出して一体に設けられ
ており、この紙幣挿入口23を介して各種の紙幣が紙幣
識別装置1内に挿入されるようになっている。
【0013】次に、主に図2および図3を参照して紙幣
識別装置1の内部構造について説明する。
【0014】まず、ベゼル14の一部を構成する下側ベ
ゼル14bには図1(b)および図2に示されるような
嵌合部材25がその上面を全体的に被覆するようにして
内嵌され、更に、嵌合部材25の背面両側には発光ダイ
オード26が挿入されている。嵌合部材25は有色半透
明の合成樹脂材料からなり、その上面が上側ベゼル14
aの面に対して一定の角度を成す斜面によって形成され
ているが、発光ダイオード26の挿入位置に対応する部
分だけは、図1(b)および図2に示されるような階段
状の凹部27として形成され、フロントマスク2の手前
に向けて十分な量の光が発散されるようになっている。
図2に示されるように、発光ダイオード26はランプソ
ケット28およびランプ基板29を介してフロントマス
ク2の本体内側に固着され、また、フロントマスク2の
本体下部には、降雨等で侵入した雨水等を排出するため
のドレイン30が穿設されている。上側ベゼル14aの
内面および嵌合部材25の斜面、並びに、上側ベゼル1
4aの位置に対応してフロントマスク2の本体内側に幅
方向に一定の間隔で立設されたリブ32は、挿入された
紙幣を後述の紙幣搬送路31に案内するためのガイド部
材を構成している。
【0015】紙幣搬送路31は、図2に示されるよう
に、揺動ユニット8の一部を構成する第1の搬送プレー
ト33と、右サイドプレート3および左サイドプレート
4の間に固設された第2の搬送プレート34によって構
成され、第1の搬送プレート33はその両側から手前に
向けて延出するアーム35および該アーム先端の枢着軸
36を介して右サイドプレート3および左サイドプレー
ト4の間に揺動自在に枢着されている。
【0016】第2の搬送プレート34におけるフロント
マスク2寄りの下面両側には従動側タイミングプーリ3
7が回動自在にして設けられる一方、該プレート34に
おけるバックプレート7寄りの下面両側には駆動側タイ
ミングプーリ38が設けられ、従動側タイミングプーリ
37と駆動側タイミングプーリ38との間には紙幣搬送
手段を構成するタイミングベルト39が巻回されてい
る。第2の搬送プレート34には図2および図3に示さ
れるように各プーリ37および38の配設位置に対応し
て紙幣搬送方向の貫通溝40が穿設され、プーリ37お
よび38に巻回されたタイミングベルト39が第2の搬
送プレート34の裏側から紙幣搬送路31内に僅かに突
出して紙幣搬送路31内の紙幣と接触するようになって
いる。タイミングベルト39を巻回した駆動側タイミン
グプーリ38は、ギァケース48内に配備した各種の動
力伝達手段を介してDCモータM1により回転駆動され
る。
【0017】図5(a)および図5(b)は駆動側タイ
ミングプーリ38を回転駆動する動力伝達機構を取出し
て構成を詳細に示す部分断面図であり、図5(a)はギ
ァケース48やDCモータM1を図3の方向から見た時
の部分断面図、また、図5(b)はギァケース48やD
CモータM1を図2の方向から見た時の部分断面図であ
る。図5(a)および図5(b)に示されるように、各
種の動力伝達手段を内蔵したギァケース48は、第2の
搬送プレート34の裏側にブラケット49を介して固着
され、更に、ギァケース48の内部に回転軸を突入させ
たDCモータM1がギァケース48の下側に装着されて
いる。ギァケース48の内部に突入した回転軸にはピニ
オンギァ50が固着され、ピニオンギァ50には、ギァ
ケース48内に回動自在に軸支して設けられた段付き平
歯車51の大径ギァ51aが噛合している。段付き平歯
車51は大径ギァ51aおよび小径ギァ51bを一体に
備えた平歯車である。段付き平歯車51の小径ギァ51
bはギァケース48内に回動自在に軸支して設けられた
別の平歯車52に噛合しており、更に、平歯車52と同
軸上に、該平歯車52と一体的に回転するウォームギァ
53が設けられている。また、ギァケース48には駆動
側タイミングプーリ38を両端に固着した駆動軸55が
回動自在かつ摺動不能に挿通されており、該駆動軸55
の略中央部に固着されたウォームホイール54が前述の
ウォームギァ53に噛合している。
【0018】そして、駆動軸55の一端に固着された駆
動側タイミングプーリ38の外側には、更に、大径の平
歯車56が固着され、駆動側タイミングプーリ38と一
体的に回転するようになっている。また、ブラケット4
9の屈曲部49aには、小径歯車59を同軸上に一体成
形した穿孔ディスク58を回動自在に軸支するシャフト
57が立設され、該シャフト57によって回動自在に軸
支された穿孔ディスク58に配備した小径歯車59が前
述の平歯車56に噛合している。穿孔ディスク58には
図5(b)に示されるような多数のスリット60が所定
のピッチで周方向に離間して設けられ、更に、穿孔ディ
スク58を挟持するようにして配備された発光素子およ
び光電変換器等で構成される回転検出器61がブラケッ
ト49と一体的に固設されている。
【0019】従って、DCモータM1を駆動してピニオ
ンギァ50を回転すれば、ピニオンギァ50の回転が段
付き平歯車51の大径ギァ51aと小径ギァ51bおよ
び平歯車52を介してウォームギァ53に伝達され、更
に、ウォームギァ53の回転がウォームホイール54に
伝達されて駆動軸55を回転し、駆動軸両端の駆動側タ
イミングプーリ38が回転して、従動側タイミングプー
リ37と駆動側タイミングプーリ38との間に巻回され
たタイミングベルト39が無限軌道を描いて回転駆動さ
れる。このとき駆動側タイミングプーリ38と一体的に
回転する平歯車56の回転が小径歯車59を介して穿孔
ディスク58に伝達され、該穿孔ディスク58が駆動側
タイミングプーリ38と一定の回転速度比を成して回転
するため、駆動側タイミングプーリ38が所定量回転す
る毎に回転検出器61から回転位置検出信号が出力され
ることとなる。
【0020】また、図2に示されるように、第2の搬送
プレート34における従動側タイミングプーリ37と駆
動側タイミングプーリ38との間には、2つのピンチロ
ーラ41が紙幣搬送路31の幅方向に一定の間隔をおい
て並列的に設けられている。ピンチローラ41は、図3
に示されるように、第2の搬送プレート34の裏面に突
設された摺嵌スリーブ45の内側に摺動自在に内嵌され
たブラケット部材44に対して回動自在に取付けられた
もので、摺嵌スリーブ45との間に一定の間隙を持って
第2の搬送プレート34の裏側に固設されたプレート4
6とブラケット部材44との間に嵌挿されたスプリング
43により、ブラケット部材44を介し、常に、該ピン
チローラ41をプレート34の上面に突出させる方向に
付勢されている。また、ブラケット部材44の配設位置
に対応するプレート34上の位置には矩形状の貫通口4
2が穿設され、スプリング43で付勢されたピンチロー
ラ41を紙幣搬送路31内に突出させる一方、貫通口4
2の外周部でブラケット部材44の突出を押さえること
によりピンチローラ41の突出量を一定範囲内に規制し
ている。ブラケット部材44の下面にはスプリング43
を外装して位置ズレを防止するサポータ47が一体的に
固着されており、該サポータ47はプレート46を貫通
してブラケット部材44と一体的に上下動する。
【0021】符号62は電源トランス、符号64はこの
電源トランス62をボトムプレート6上に固定するため
のブラケット、符号63は電源トランス62から供給さ
れる電源をDCモータM1等を始めとする各種の駆動源
や検出器等に分配するための電源基板であるが、これら
のものに関しては構成および機能とも周知であるから説
明を省略する。ブラケット64および電源基板63はネ
ジ65および絶縁スペーサ66を介して内側からボトム
プレート6に固着されている。
【0022】揺動ユニット8の外装は、図6(a)およ
び図6(b)に示されるように合成樹脂材料からなる皿
型形状のケーシング67によって構成され、前述した第
1の搬送プレート33は該ケーシング67の底面部によ
って形成されている。図6(a)および図6(b)では
揺動ユニット8の外装を構成するケーシング67の外観
および第1の搬送プレート33と第2の搬送プレート3
4の相対位置関係について簡単に説明した平面図および
右側面図であって、他の部分に関しては詳細な表示を省
略している。
【0023】ケーシング67の底面部によって形成され
た第1の搬送プレート33に配備された各種の部材を図
2および図3を参照して紙幣の挿入方向に沿って説明す
ると、フロントマスク2寄りの上面両側、即ち、紙幣搬
送路31の入り口近傍の両側には、まず、紙幣挿入セン
サとなる光学センサの一部を構成する光電変換器68が
紙幣搬送路31の幅方向に一定の間隔をおいて並列的に
設けられ、次いで、第2の搬送プレート34における従
動側タイミングプーリ37の配設位置に対応して2つの
ガイドローラ69が回動自在に軸支して並列的に設けら
れている。ガイドローラ69は第2の搬送プレート34
に配備されたピンチローラ41と略同等の構成を有する
もので、ピンチローラ41と同様に紙幣搬送路31内に
突出する方向に向けて付勢されており、従動側タイミン
グプーリ37に巻回されたタイミングベルト39との間
で紙幣を押圧挟持するようになっている。
【0024】次いで、第2の搬送プレート34における
ピンチローラ41の配設位置に対応して第1の搬送プレ
ート33に2つの磁気ヘッド70が並列して設けられ、
ピンチローラ41の押圧力で圧接されつつ紙幣の挿入方
向に搬送される紙幣から真偽および種別判定のための情
報を読込むようになっている。また、図2および図3で
は特に図示しないが、この位置には、情報検出手段を構
成する2つの磁気ヘッド70に並列して更にその外側
に、搬送位置検出センサとなる光学センサの一部を構成
する2つの光電変換器71が紙幣搬送路31の幅方向に
一定の間隔をおいて並列的に設けられている。そして、
図2および図3では図示しないが、紙幣挿入センサの一
部を構成する2つの光電変換器68および搬送位置検出
センサの一部を構成する2つの光電変換器71の配設位
置に対応して、第2の搬送プレート34の側には各々2
組の発光素子72および73が設けられている。
【0025】次いで、磁気ヘッド70の配設位置を紙幣
の挿入方向に沿って僅かに下った位置には、可動鉄芯を
突出させる自動復帰バネを備え、かつ、磁励時に可動鉄
芯を縮退させる自動復帰型のプル型ソレノイド74が、
ブラケット77を介し、可動鉄芯を下に向けてケーシン
グ67に固設されている。プル型ソレノイド74の可動
鉄芯の先端には、二股の先端部75aを有するプレス成
形のシャッタ部材75が固着され、プル型ソレノイド7
4の非磁励時には、シャッタ部材75の先端部75aが
第1の搬送プレート33に穿設されたスリット76を介
して紙幣搬送路31内に突入し、更に、第2の搬送プレ
ート34に穿設された図示しないスリットを貫通して第
2の搬送プレート34の下面に突出できるようになって
いる。また、プル型ソレノイド74を装着したブラケッ
ト77には一対の光電変換器と発光素子で構成されたシ
ャッタセンサ78が固設され、シャッタ部材75と一体
にプレス成形された遮光板75bを挟持するようにして
光電変換器と発光素子が配設され、シャッタ部材75の
先端部75aが第1の搬送プレート33および第2の搬
送プレート34のスリットを共に貫通している場合にお
いてのみ遮光板75bが光電変換器と発光素子との間を
離脱し、また、シャッタ部材75の先端部75aが第1
の搬送プレート33と第2の搬送プレート34との間の
間隙に位置する場合、および、該先端部75aが第1の
搬送プレート33のスリット76よりも上方に退避した
場合には、遮光板75bが光電変換器と発光素子との間
に位置する。
【0026】従って、プル型ソレノイド74を磁励して
シャッタ部材75の先端部75aを第1の搬送プレート
33のスリット76よりも上方に完全に退避させた場
合、および、この状態からプル型ソレノイド74の磁励
を解除して先端部75aを第2の搬送プレート34のス
リットに突入させようとしたときに先端部75aの下降
が紙幣等の障害物で妨げられた場合にはシャッタセンサ
78が遮光板75bを検出するが、シャッタ部材75の
先端部75aが紙幣搬送路31を貫通して第2の搬送プ
レート34のスリットよりも下側に突出した場合にはシ
ャッタセンサ78が遮光板75bを検出することはな
い。
【0027】図8はプル型ソレノイド74の可動鉄芯の
先端に固着されたシャッタ部材75の形状を示す図で、
図8(a)は平面図,図8(b)は右側面図,図8
(c)は正面図である。但し、ここでいう平面図,右側
面図,正面図の関係は図8に含まれる各図の位置関係の
みを示すものであって、図1〜図7に示す各図との対応
関係を表すものではない。シャッタ部材75は金属板か
らなるプレス成形部品であって、プル型ソレノイド74
の可動鉄芯にリベットまたは鑞付け等の手段で固着され
るベースプレート75cを有し、ベースプレート75c
の両側には略直角に屈曲して形成された前述の二股の先
端部75aが設けられている。また、ベースプレート7
5cの他側には舌片状に延出するエクステンションアー
ム75dが設けられ、エクステンションアーム75dの
先端が二股の先端部75aと逆方向に屈曲されて前述の
遮光板75bを形成している。先端部75aの中央部両
側には図8(d)に示されるような丸み付けを施された
切欠部79aおよび79bが設けられると共に、切欠部
79aおよび79bよりも先端寄りの両側には、丸み付
けされた突出片80aと鋭利な楔型に形成された突出片
80bとが設けられ、更に、先端部75aの最先端部に
は鈍角の楔型に形成された突出片80cが設けられてい
る。図8に二点鎖線で示す形状はプル型ソレノイド74
の可動鉄芯の先端を表すものであり、シャッタ部材75
は突出片80bを紙幣の挿入方向(図2の右方向)に向
け、かつ、遮光板75bを上(シャッタセンサ78があ
る方向)に向けて、ベースプレート75cの略中央部を
可動鉄芯の先端に固着されている。
【0028】次いで、プル型ソレノイド74の配設位置
を紙幣の挿入方向に沿って僅かに下った位置には、第2
の搬送プレート34における駆動側タイミングプーリ3
8の配設位置に対応して2つのガイドローラ81が第1
の搬送プレート33に回動自在に軸支して並列的に設け
られている。ガイドローラ81は前述のガイドローラ6
9と同様の構成を有するもので、駆動側タイミングプー
リ38に巻回されたタイミングベルト39との間で紙幣
を押圧挟持するようになっている。
【0029】第1の搬送プレート33および第2の搬送
プレート34に配備された各種の部材のうち、発光素子
72および光電変換器68によって構成される紙幣挿入
センサと磁気ヘッド70、並びに、発光素子73および
光電変換器71によって構成される搬送位置検出センサ
は紙幣識別のための情報検出手段である。紙幣挿入セン
サおよび搬送位置検出センサは紙幣挿入の有無および現
時点での紙幣の位置を検出するセンサであり、かつ、光
電変換器の受光状態により紙幣の光透過率を検出して紙
幣識別のためのデータを収集する情報検出手段である。
ケーシング67の底面部で形成された第1の搬送プレー
ト33および第2の搬送プレート34に配備された各種
センサ等の対応関係を図4に示す。図4(a)は第1の
搬送プレート33を概略で示す平面図、図4(b)は図
4(a)に対応する正面図である。但し、図4(b)は
第1の搬送プレート33および第2の搬送プレート34
を図1(e)の方向性に対応して示す概略図、また、図
4(a)は図4(b)に対応する平面図であって、図4
における紙幣の挿入方向は右から左へと向かう向きであ
って、図2の場合とでは見掛け上逆である。
【0030】そして、光電変換器68および71や磁気
ヘッド70並びにプル型ソレノイド74等を内蔵したケ
ーシング67の上面には前述のアッパープレート9が装
着されて内部の電気部品等を保護し、これらの各部材に
よって一体的に構成された揺動ユニット8が枢着軸36
を中心に揺動して、第1の搬送プレート33を第2の搬
送プレート34に接離させる。揺動ユニット8を開放揺
動方向に揺動して第1の搬送プレート33を第2の搬送
プレート34から離間させて紙幣搬送路を開放したとき
の状態、および、揺動ユニット8を閉鎖揺動方向に揺動
して第1の搬送プレート33と第2の搬送プレート34
から成る紙幣搬送路31を形成させたときの状態を共に
図6(b)に示す。第1の搬送プレート33と第2の搬
送プレート34により紙幣搬送路31を形成させた状態
では、前述のガイドローラ69および81がプーリ37
および38に巻回されたタイミングベルト39に圧接さ
れ、また、ピンチローラ41が磁気ヘッド70に圧接さ
れて、第1の搬送プレート33と第2の搬送プレート3
4との間に一定の間隙が形成される。
【0031】また、揺動ユニット8の外装を構成するケ
ーシング67の揺動側端部には、図6(a)および図6
(b)に示されるように、紙幣搬送路の開閉操作を行っ
たり、第1の搬送プレート33と第2の搬送プレート3
4とで形成された紙幣搬送路31を維持したりするため
のプレート開放レバー82が設けられている。
【0032】プレート開放レバー82は弾性および靭性
に富んだ合成樹脂材料より成る一体成形品であって、そ
の下端に係止爪83を備えると共に上端には操作突起8
4を備えている。図7(a)はプレート開放レバー82
の周辺を拡大して要部のみを示す側面図、図7(b)は
プレート開放レバー82のみを取出して示す背面図であ
り、プレート開放レバー82は、矩形の板状体からなる
プレート部85と、該プレート部85の両側から下方に
向けて延出するエクステンションアーム86、および、
プレート部85の長手方向に沿って形成され該プレート
部85の略中央部より円弧を描いて上後方に突出する操
作突起84、並びに、プレート部85の前面に一定の間
隔をおいて長手方向に併設された2つの軸受け片87に
よって構成され、エクステンションアーム86の最先端
部の前面にはテーパ状のガイド面88を有する係止爪8
3が設けられ、また、プレート部85におけるエクステ
ンションアーム86の立上り部分には、丸み付けされた
切欠部89が割れ防止のための逃がしとして形成されて
いる。
【0033】プレート開放レバー82は、図6(a)に
示されるように、ケーシング67の揺動側端部から僅か
に内側にオフセットして固設されたシャフト90に軸受
け片87を環装させ、両側のエクステンションアーム8
6でケーシング67の両側を跨ぐようにしてケーシング
67の揺動側端部に回動自在に装着され、シャフト90
に環装された捩りコイルバネ91の付勢力により、第1
の搬送プレート33を備えたケーシング67自体の閉鎖
揺動方向と同方向、即ち、図6(b)および図7(a)
におけるクロックワイズ方向に揺動付勢されている。プ
レート開放レバー82におけるクロックワイズ方向の揺
動限度は、プレート部85の下縁92とケーシング67
における揺動側端部の上縁93との干渉により、図7
(a)に示される限界に規制される。また、右サイドプ
レート3および左サイドプレート4の各々の内側には、
第1の搬送プレート33と第2の搬送プレート34との
間に一定の間隙を形成してケーシング67を閉じたとき
にプレート開放レバー82の係止爪83に係合する図7
(a)に示されるような略矩形状の係止片94が固設さ
れている。
【0034】枢着軸36を中心として揺動ユニット8を
図6(b)におけるクロックワイズ方向の揺動限度にま
で揺動させて紙幣搬送路31を形成させた状態では、プ
レート開放レバー82の係止爪83が右サイドプレート
3および左サイドプレート4側の係止片94に対して図
7(a)に示されるような状態で係合しており、ケーシ
ング67の底面部、即ち、第1の搬送プレート33の浮
き上がりが防止されている。この状態で、第1の搬送プ
レート33側のガイドローラ69および81が第2の搬
送プレート34側のタイミングベルト39にスプリング
付勢されて圧接される一方、第2の搬送プレート34側
のピンチローラ41が第1の搬送プレート33側の磁気
ヘッド70に圧接され、紙幣の挿入や自動搬送および識
別情報の読取り処理等が可能となる。即ち、紙幣識別装
置1の通常の使用状態である。
【0035】また、紙幣詰まりの解消や各種センサおよ
び磁気ヘッド70等の清掃のために紙幣搬送路31を開
放する場合には、プレート開放レバー82の操作突起8
4に指を当て、これを引き上げるようにして図6(b)
および図7(a)におけるアンクロックワイズ方向に揺
動させる。引上げ開始直後の段階ではプレート開放レバ
ー82の係止爪83が右サイドプレート3および左サイ
ドプレート4側の係止片94に係合しているので揺動ユ
ニット8が直ちに揺動を開始することはなく、この引上
げ力が、プレート開放レバー82に対し軸受け片87を
中心とするアンクロックワイズ方向の回転モーメントを
生じさせる。これは、プレート開放レバー82の操作突
起84がレバー82の揺動中心となる軸受け片87より
も後方、即ち、図7(a)において右側に位置するから
である。そして、軸受け片87を中心とするアンクロッ
クワイズ方向の回転モーメントによってプレート開放レ
バー82がアンクロックワイズ方向に揺動すると、レバ
ー82先端の係止爪83が係止片94から離脱して揺動
ユニット8の固定状態が解除され、プレート開放レバー
82に対する引上げ力が、枢着軸36を中心とするアン
クロックワイズ方向の回転モーメントとして揺動ユニッ
ト8にそのまま作用し、揺動ユニット8を図6(b)お
よび図7(a)におけるアンクロックワイズ方向に揺動
させてケーシング67の底部に形成された第1の搬送プ
レート33を第2の搬送プレート34から離間させ、紙
幣搬送路31を開放する。
【0036】このように、プレート開放レバー82に作
用する引上げ力は、軸受け片87を中心にプレート開放
レバー82をアンクロックワイズ方向に揺動して係止爪
83を係止片94から離脱させる方向、および、枢着軸
36を中心としてケーシング67をアンクロックワイズ
方向に揺動して紙幣搬送路31を開放する方向に同時に
作用するので、操作突起84の単純な引上げ操作によっ
て第1の搬送プレート33の固定解除および開放を同時
にしかも極めて簡単なワッタッチ操作で行うことができ
る。以上の説明から明らかなように、ケーシング67の
揺動中心である枢着軸36よりも外側、即ち、図6
(b)における右側にプレート開放レバー82の揺動中
心が位置し、かつ、プレート開放レバー82を外側に揺
動して係止爪83と係止片94との係合を解除する構成
にあっては、操作突起84の配設位置はプレート開放レ
バー82の揺動中心よりも外側、即ち、図6(b)にお
ける右側にあればどこでも良く、特にその配設位置を問
うものではない。
【0037】そして、紙幣搬送路31が開放された状態
から揺動ユニット8を下に押し付けるようにして該揺動
ユニット8を揺動閉鎖方向、即ち、図6(b)における
アンクロックワイズ方向に揺動してゆけば、まず、ケー
シング67における揺動側端部の上縁93に当接して揺
動限度を規制されているプレート開放レバー82のテー
パ状のガイド面88が係止片94の上端部に接触する。
そして、揺動ユニット8を揺動閉鎖方向に向けて更に揺
動してゆくとガイド面88が係止片94によって徐々に
押圧され、プレート開放レバー82がアンクロックワイ
ズ方向に揺動して爪83が係止片94の側部に乗り上げ
る。そして、遂には係止爪83が係止片94の側部を乗
り越え、捩りコイルバネ91の力でクロックワイズ方向
に揺動付勢されている爪83が自動的に係止片94下部
の嵌合凹部へと突入してケーシング67が第2の搬送プ
レート34に固定され、ケーシング67の底面部によっ
て構成された第1の搬送プレート33とサイドプレート
3,4側に固設された第2の搬送プレート34との間に
紙幣搬送路31が形成される。従って、紙幣搬送路31
を形成する際の閉鎖操作も完全なワンタッチで行うこと
できる。
【0038】揺動ユニット8の本体を押圧して閉鎖操作
を行う場合について説明したが、プレート開放レバー8
2の操作突起84を下に向けて押圧することによっても
前記と同様の閉鎖操作を行うことができる。この場合、
操作突起84に作用する押圧力によって、係止爪83が
係止片94に出会う際に生じるべきプレート開放レバー
82のアンクロックワイズ方向への揺動動作が妨げられ
るが、その替わり、弾性および靭性に富んだエクステン
ションアーム86が後方に反り返るように弾性変形し
て、係止爪83の退避動作および係止片94の嵌合凹部
への再突入動作を実現する。
【0039】図10は紙幣識別装置1を駆動する制御手
段の概略を示すブロック図であり、紙幣のインクに含ま
れた磁性材を検知して識別データを収集する情報検出手
段である磁気ヘッド70、並びに、紙幣の光透過率を検
知して識別データを収集する情報検出手段である紙幣挿
入センサ68(光電変換器)および搬送位置検出センサ
71(光電変換器)の各々は、夫々の磁気増幅回路95
およびセンサ増幅回路96,97を介してコントロール
ボックス10内のマイクロプロセッサ(以下、単にCP
Uという)に接続され、磁気ヘッド70や紙幣挿入セン
サ68および搬送位置検出センサ71で検出された識別
データがCPUの処理でコントロールボックス10内の
RAM101に収集されるようになっている。但し、紙
幣の現在位置を検出する場合にはセンサ増幅回路96,
97からの出力がON/OFF検出のための規定値を下
回っているか否かに基いて紙幣の有無を検出するもので
あり、この場合、紙幣挿入センサ68および搬送位置検
出センサ71はダークON型の光学検出手段として作用
することとなる。紙幣搬送手段を構成するタイミングベ
ルト39の回転状態を検出する回転検出センサ61、お
よび、シャッタ部材75の突出または退避状態を検出す
るシャッタセンサ78からの検出出力がCPUに接続さ
れ、また、該CPUからの指令によりモータ駆動回路9
8およびソレノイド駆動回路99を介して、タイミング
ベルト39を搬送駆動するモータM1およびシャッタ部
材75を開閉駆動するプル型ソレノイド74が駆動制御
されるようになっている。ROM100は紙幣識別装置
1の各部を駆動制御するための制御プログラムを格納し
た不揮発性のメモリである。
【0040】図11〜図14はROM100に格納され
た制御プログラムの概略を示すフローチャートである。
また、図15〜図17の各々は正常な紙幣搬送が行われ
た時、不正な抜き取り操作が行われた時、および、紙幣
の追加挿入が行われた時の各センサの検出状態やDCモ
ータM1の動作状態を示すタイミングチャートである。
以下、これらのフローチャートやタイミングチャートを
参照して本実施例における紙幣識別装置1の処理動作に
ついて説明する。なお、ステップS1〜ステップS10
の処理は主に電源投入時の異常検出に関わる処理と紙幣
の挿入を待つ待機処理に関するものであり、ステップT
1〜ステップT10の処理は挿入紙幣の取り込みと識別
判定等に関する処理である。また、ステップU1〜ステ
ップU12の処理は主に挿入紙幣の抜き取り検出に関す
る処理、ステップV1〜V14の処理は偽貨および追加
挿入紙幣の返却に関する処理と、電源投入時の異常検出
に対応した障害復旧等に関する処理である。
【0041】まず、紙幣識別装置1に電源を投入する
と、電源の投入を検出したCPUはRAM101内の特
定ビットに電源ONフラグをセットする(ステップS
1)。次いで、CPUはシャッタセンサ78がONとな
っているか否か、即ち、シャッタ部材75が紙幣搬送路
31から退避しているか否かを判別するが(ステップS
2)、シャッタセンサ78がOFFとなっていれば、更
に、紙幣搬送路31の入り口に設けられた紙幣挿入セン
サ68もしくは紙幣挿入センサ68とシャッタ部材75
との間に設けられた搬送位置検出センサ71がONとな
っているか否かを判別する(ステップS3)。通常、電
源投入直後の段階では紙幣搬送路31内に紙幣は存在せ
ず、また、プル型ソレノイド74も非磁励状態にあり、
電源投入と同時に紙幣が挿入されることもないので、ス
テップS2およびステップS3の判別結果は共に偽とな
る。この段階でステップS2またはステップS3の判別
結果が真となった場合は、前回に電源を落とした時点で
生じていた紙幣詰まりが解消されていなかったり、シャ
ッタセンサ78や紙幣挿入センサ68もしくは搬送位置
検出センサ71自体に異常が生じていることを意味する
ので、CPUは一旦ステップV1の処理に移行し、障害
復旧の処理を開始することになる。
【0042】ステップV1に移行したCPU1は、ま
ず、DCモータM1に停止指令を出力するが、これは偽
貨および追加挿入紙幣の返却のためにタイミングベルト
39の搬送を一時停止するための処理であって、DCモ
ータM1の駆動が開始されていない段階、即ち、ステッ
プS2またはステップS3の判別処理から移行してステ
ップV1の処理を実行する場合においては実質的な意味
をもたない。障害復旧の処理を開始したCPUは、次い
で、DCモータM1に逆転指令を出力してタイミングベ
ルト39の逆転駆動を開始し(ステップV2)、プル型
ソレノイド74を磁励してシャッタ部材74を紙幣搬送
路31から退避させ(ステップV3)、所定の作動時間
(実施例では4秒)をタイマにセットして計時を開始し
た後(ステップV4)、該タイマの作動時間が経過する
までの間(ステップV11)、搬送位置検出センサ71
がOFFとなっているか否か(ステップV5)、シャッ
タセンサ78がOFFとなっているか否か(ステップV
6)、および、紙幣挿入センサ68がOFFとなってい
るか否か(ステップV7)をループ処理の周期毎に検出
する。この間に、タイミングベルト39の逆転駆動によ
り搬送位置検出センサ71がONとなった場合には、紙
幣詰まりしていた紙幣が逆搬送されて搬送位置検出セン
サ71の配設位置にまで到達したことを意味し(ステッ
プV5)、このままプル型ソレノイド74の磁励を解除
してシャッタ部材75を落としても該シャッタ部材75
が紙幣の逆搬送に障害を与えることはないので、搬送位
置検出センサ71がONとなった時点でプル型ソレノイ
ド74の磁励を解除する(ステップV10)。
【0043】そして、タイミングベルト39の逆転駆動
を開始してからタイマの作動時間が経過するまでの間に
搬送位置検出センサ71とシャッタセンサ78および紙
幣挿入センサ68が全てOFFとなった場合、即ち、ス
テップV5〜ステップV7までの判別結果が全て偽とな
った場合には、タイミングベルト39の逆転駆動により
詰まっていた紙幣が自動的に排出されて異常が復旧され
たことを意味するので、CPUはDCモータM1に停止
指令を出力してタイミングベルト39の逆転駆動を停止
し(ステップV8)、プル型ソレノイド74の磁励を解
除した後(ステップV9)、電源ONフラグがセットさ
れているか否か、即ち、前述のステップV1〜ステップ
V11に至る処理が電源投入直後の障害復旧のために行
われたものであるか否かを判別する(ステップV1
4)。この場合、ステップV1〜ステップV11に至る
処理はステップS2もしくはステップS3の判別結果に
基いて行われた電源投入直後の障害復旧に関わる処理で
あって、ステップS1の処理により電源ONフラグがセ
ットされたままの状態が保持されているので、ステップ
V14の判別結果は真となり、CPUは、更に、ステッ
プS4に移行して異常検出のための処理を継続して行う
こととなる。
【0044】一方、タイミングベルト39の逆転駆動を
開始してからタイマの作動時間が経過するまでの間に搬
送位置検出センサ71とシャッタセンサ78および紙幣
挿入センサ68が全てOFFにならなかった場合、即
ち、ステップV11の判別結果が真となった場合には、
ステップS2またはステップS3で検出された異常が単
純な紙幣詰まりであってもこれを自動復旧できないか、
または、搬送位置検出センサ71,シャッタセンサ7
8,紙幣挿入センサ68のうち少なくとも1つのセンサ
に異常が生じているものと認められるので、CPUはD
CモータM1に停止指令を出力してタイミングベルト3
9の逆転駆動を停止し(ステップV12)、障害復旧作
業を放棄してステップV13の判別処理に移行する。こ
の場合、1つ以上のセンサが常にONの状態となってい
るので、CPUはステップV13の判別処理を繰り返し
実行して作業者による障害復旧作業、つまり、詰まった
紙幣の排除やセンサの修理等を待つこととなる。作業者
による障害復旧作業で異常が解消されれば、CPUは前
述と同様にしてステップV14の判別処理を実施した
後、ステップS4に移行して異常検出のための処理を継
続して行うこととなる。
【0045】ステップS2およびステップS3の判別結
果が共に偽であって紙幣詰まりやセンサの異常が検出さ
れなかった場合、および、何等かの異常があってもこれ
を自己の復旧機能もしくは作業者による障害復旧作業に
よって復旧された場合には、CPUは次の異常検出処理
として、回転検出器61からの出力でカウントアップさ
れるクロックカウンタの値をリセットしてDCモータM
1を所定時間だけ駆動し、所定時間経過後にクロックカ
ウンタの値を読込んで一時記憶する(ステップS4)。
そして、このカウント値が予め設定された許容値の範囲
内にあるか否か、即ち、紙幣搬送手段を構成するタイミ
ングベルト39の回転が適切な回転速度に維持されてい
るか否かを判別するが(ステップS5)、カウント値が
許容値の範囲から逸脱していれば搬送速度が不適当であ
って何等かの異常があるものと判定し、異常検出のアラ
ーム等を出力した後DCモータM1を停止して全ての処
理を中断する(エラー)。また、所定時間内におけるカ
ウント値が許容値の範囲内にあれば適切な紙幣搬送速度
が保証されているものと見做し、電源ONフラグをリセ
ットして異常検出処理の終了を記憶し(ステップS
6)、発光ダイオード26を点灯して利用者による紙幣
の挿入を待つ待機状態に入る(ステップS7〜ステップ
S10)。
【0046】紙幣の挿入を待つ待機状態に入ったCPU
は、まず、搬送位置検出センサ71がONとなっている
か否かを判別し(ステップS7)、搬送位置検出センサ
71がONとなっていなければ、更に、シャッタセンサ
78がONとなっているか否かを判別する(ステップS
8)。そして、シャッタセンサ78もONとなっていな
ければ、次いで、1回の紙幣挿入に基く各種の売買行為
等が完了するまでの間に自動販売機やゲーム装置の側か
らCPUに入力される受入禁止信号の有無を検出するこ
ととなる(ステップS9)。搬送位置検出センサ71の
ON/OFF状態を検出するステップS7の処理とシャ
ッタセンサ78のON/OFF状態を検出するステップ
S8の処理は、この場合、電源投入後の定常運転中に生
じるセンサ異常の有無を検出するための処理であり、ス
テップS7もしくはステップS8の判別結果が真となっ
た場合には、実際に紙幣が挿入されていないにも関わら
ずこれらのセンサが異常反応を示したものと見做され、
電源投入時の異常検出の場合と同様、CPUは図14に
示されるような障害復旧の処理を実行するが、この場合
の異常発生は電源投入直後のものではなく、電源ONフ
ラグはステップS6の処理で既にリセットされているの
で、作業者による障害復旧作業によって障害が復旧され
た後のステップV14の判別結果は偽となり、タイミン
グベルト39の回転速度の適不適を判定するためのステ
ップS4およびステップS5の処理は省略され、CPU
は、ステップV14の判別処理終了後ステップS7の処
理に移行して、直ちに、紙幣の挿入を待つ待機状態に復
帰することとなる。タイミングベルト39の回転速度に
異常をきたすような故障は滅多にないので、このような
異常を検出するための処理は電源投入時に1度行えば事
足りるわけである。
【0047】また、ステップS9の判別結果が真となっ
た場合、即ち、前回に挿入された紙幣に基く売買行為等
が完了していない場合には、紙幣挿入センサ68による
新規紙幣の挿入に関する検出処理を非実行として、前述
の待機処理でステップS7〜ステップS9の判別処理の
みを繰り返し実行する。
【0048】そして、搬送位置検出センサ71とシャッ
タセンサ78に共に異常がなく、かつ、前回の売買行為
等が完了している場合においては、ステップS7〜ステ
ップS9の判別結果が全て偽となるので、CPUはステ
ップS7〜ステップS10の判別処理を繰り返し実行
し、このループ処理の周期毎に、紙幣挿入センサ68が
ONとなっているか否か、即ち、新たな紙幣が挿入され
たか否かを検出することとなる(ステップS10)。
【0049】CPUがステップS7〜ステップS10の
判別処理を繰り返し実行する間に利用者が紙幣識別装置
1に紙幣を挿入すると、CPUはステップS10の判別
処理で紙幣の挿入を検出し、DCモータM1を正転駆動
してタイミングベルト39による紙幣の自動搬送を開始
する(ステップT1,図15〜図17における“A”の
タイミング)。次いで、CPUは、搬送位置検出センサ
71がONとなっているか否か、即ち、タイミングベル
ト39とガイドローラ69で押圧挟持されて正方向に搬
送される紙幣の先端が搬送位置検出センサ71の配設位
置にまで到達しているか否かを判別するが(ステップT
2)、紙幣の先端が搬送位置検出センサ71の配設位置
にまで到達していなければ、CPUはこのままステップ
T2の判別処理を繰り返し実行して待機する。そして、
紙幣の先端が搬送位置検出センサ71の配設位置にまで
到達して搬送位置検出センサ71がONとなると、CP
UはステップT2の判別処理でこれを検出し、自動復帰
バネで付勢されたプル型ソレノイド74を磁励してシャ
ッタ部材75を紙幣搬送路31から退避させ(ステップ
T3)、所定の作動時間(実施例では200ミリ秒)を
タイマにセットして計時を開始した後(ステップT
4)、情報検出手段としての磁気ヘッド70からの磁気
データおよび紙幣挿入センサ68と搬送位置検出センサ
71からの光透過率データの読込みを開始する(ステッ
プT5,図15〜図17における“B”のタイミン
グ)。従って、紙幣の先端が搬送位置検出センサ71の
配設位置にまで到達した時点でシャッタ部材75の退避
運動が直ちに開始されることとなるが、シャッタ部材7
5が閉鎖位置から退避位置にまで移動するためには一定
の時間が必要とされるので、プル型ソレノイド74に磁
励信号を出力してからシャッタセンサ78がONとなっ
てシャッタ部材75の退避完了を検出するまでには一定
の遅れを生じる(図15〜図17における“C”のタイ
ミング)。
【0050】データの読込みを開始したCPUは、次い
で、タイマの作動時間が経過したか否かを判別するが
(ステップT6)、タイマの作動時間が経過していなけ
れば再びステップT5の処理に復帰し、以下、タイマの
作動時間が経過するまでの間、ステップT5およびステ
ップT6の処理を繰り返し実行して、磁気ヘッド70か
らの磁気データおよび紙幣挿入センサ68と搬送位置検
出センサ71からの光透過率データの読込みとRAM1
01への格納処理を継続して実行する。DCモータM1
の正転駆動によりタイミングベルト39で搬送される紙
幣はこの間に徐々に移動し、その先端がシャッタ部材7
5の配設位置に到達することとなる。
【0051】そして、タイマの作動時間が経過するとC
PUはステップT6の判別処理でこれを検出し、プル型
ソレノイド74の磁励を解除する(ステップT7)。磁
励を解除されたプル型ソレノイド74に装着されたシャ
ッタ部材75は自動復帰バネの復元力と可動鉄芯の自重
で付勢されて紙幣搬送路31内に突出するが、この時点
では既に紙幣の先端がシャッタ部材75の配設位置に到
達しており、紙幣搬送路31内に突出したシャッタ部材
75の最先端部に形成された突出片80cが紙幣の上面
に載置された状態となって該シャッタ部材75を支える
ので、シャッタ部材75が紙幣搬送路31を貫通して閉
鎖することはない。従って、紙幣はシャッタ部材75の
突出片80cで上面を擦られるようにしてそのまま搬送
され、また、シャッタ部材75が閉鎖位置に復帰するこ
ともないからシャッタセンサ78のON状態もそのまま
保持される。プル型ソレノイド74の磁励を解除したC
PUは、次いで、搬送位置検出センサ71がOFFとな
ったか否か、即ち、挿入紙幣の後端が情報検出手段とし
ての磁気ヘッド70の配設位置を通過したか否かを判別
するが(ステップT8)、搬送位置検出センサ71がO
Nであって挿入紙幣の通過が検出されていなければ再び
ステップT5の処理に復帰し、以下、挿入紙幣の通過が
検出されるまでの間、ステップT5〜ステップT8の処
理を繰り返し実行して、磁気ヘッド70からの磁気デー
タおよび紙幣挿入センサ68と搬送位置検出センサ71
からの光透過率データの読込みとRAM101への格納
処理を継続して実行する。
【0052】なお、この段階ではステップT6の判別結
果が常時真であり、かつ、プル型ソレノイド74の磁励
も既に解除されているので、ステップT6およびステッ
プT7の処理は実質的な意味をもたない。DCモータM
1の正転駆動によりタイミングベルト39で搬送される
紙幣はこの間に徐々に移動し、その後端が紙幣挿入セン
サ68の配設位置を通過して紙幣挿入センサ68がOF
Fとなる(図15〜図17における“D”のタイミン
グ)。
【0053】そして、挿入紙幣の後端が情報検出手段と
しての磁気ヘッド70の配設位置を通過するとCPUは
ステップT8の判別処理でこれを検出し、データの読込
みと格納処理を完了してDCモータM1の駆動を止め、
タイミングベルト39による紙幣の搬送を一時停止する
と共に(ステップT9)、RAM101に格納した挿入
紙幣の識別データと比較対象となるROM100の正規
データとを比較して挿入紙幣の真偽および種別を判定
し、その判定結果をRAM101に一時記憶する(ステ
ップT10,図15〜図17における“E”のタイミン
グ)。挿入紙幣の識別データと比較対象となるROM1
00の正規データとが一致した場合、即ち、今回挿入さ
れた紙幣が正貨であった場合には、CPUは判定結果の
出力を保留したままDCモータM1の正転駆動を開始し
てタイミングベルト39による紙幣の正搬送を再開する
こととなる(ステップU1,図15〜図17における
“F”のタイミング)。
【0054】DCモータM1の正転駆動を開始したCP
Uは、次いで、シャッタセンサ78がONとなっている
か否か、つまり、タイミングベルト39によって正搬送
される紙幣上にシャッタ部材75が載置された状態にな
っているか否かを判別する(ステップU2)。紙幣の正
搬送を再開した直後の現段階では、通常、挿入紙幣の後
端は磁気ヘッド70の配設位置近傍に位置するので、シ
ャッタ部材75が紙幣上に載置された状態となってお
り、ステップU2の判別結果は真となる筈である。しか
し、図15〜図17における“E”のタイミングと
“F”のタイミングとの間の時間区分で糸吊りやテープ
貼り等による紙幣の抜き取りが行われた場合、即ち、識
別判定の完了からDCモータM1の正転駆動開始までの
間に糸吊りやテープ貼り等による紙幣の抜き取り操作が
行われた場合にはステップU2の判別結果が偽となる場
合もある。この場合、CPUは、真偽判定の実行直後に
挿入紙幣が抜き取られたものと見做し、判定結果の出力
を保留したままステップV1の処理へと移行して返却処
理を開始することとなる。
【0055】返却処理が開始された場合、CPUは、ま
ず、DCモータM1に停止指令を出力してタイミングベ
ルト39の正転を中止し(ステップV1)、更に、DC
モータM1に逆転指令を出力してタイミングベルト39
の逆転駆動を開始し(ステップV2)、プル型ソレノイ
ド74を磁励してシャッタ部材75を紙幣搬送路31か
ら退避させ(ステップV3)、所定の作動時間をタイマ
にセットして計時を開始した後(ステップV4)、該タ
イマの作動時間が経過するまでの間(ステップV1
1)、搬送位置検出センサ71がOFFとなっているか
否か(ステップV5)、シャッタセンサ78がOFFと
なっているか否か(ステップV6)、および、紙幣挿入
センサ68がOFFとなっているか否か(ステップV
7)をループ処理の周期毎に検出する。この間に、タイ
ミングベルト39の逆転駆動により搬送位置検出センサ
71がONとなった場合には(ステップV5)、不正な
抜き取り操作の過程にある紙幣が逆搬送されて搬送位置
検出センサ71の配設位置にまで到達したことを意味
し、このままプル型ソレノイド74の磁励を解除してシ
ャッタ部材75を落としても該シャッタ部材75が紙幣
の逆搬送に障害を与えることはないので、搬送位置検出
センサ71がONとなった時点でプル型ソレノイド74
の磁励を解除する(ステップV10)。
【0056】そして、タイミングベルト39の逆転駆動
を開始してからタイマの作動時間が経過するまでの間に
搬送位置検出センサ71とシャッタセンサ78および紙
幣挿入センサ68が全てOFFとなった場合、即ち、ス
テップV5〜ステップV7までの判別結果が全て偽とな
った場合には、不正な抜き取り操作の過程にある紙幣が
タイミングベルト39の逆転駆動で逆搬送されて利用者
に回収されたか、または、不正な抜き取り操作の過程に
ある紙幣が糸吊りやテープ貼り等による不正手段によっ
て利用者に回収されて紙幣搬送路31から取り除かれた
ことを意味するので、CPUはDCモータM1に停止指
令を出力してタイミングベルト39の逆転駆動を停止し
(ステップV8)、プル型ソレノイド74の磁励を解除
した後(ステップV9)、電源ONフラグがセットされ
ているか否かを判別する(ステップV14)。この場
合、電源ONフラグはリセットされているので、CPU
はこのままステップS7の処理に復帰して、以下、ステ
ップS7〜ステップS10の判別処理を繰り返し実行
し、再び、紙幣の挿入を待つ待機状態に入る。また、タ
イミングベルト39の逆転駆動を開始してからタイマの
作動時間が経過するまでの間に搬送位置検出センサ71
とシャッタセンサ78および紙幣挿入センサ68が全て
OFFにならなかった場合、即ち、ステップV11の判
別結果が真となった場合には、糸吊りやテープ貼り等に
よる不正手段によって利用者に回収されつつあった紙幣
が紙幣搬送路31内で詰まったために、タイミングベル
ト39の逆転駆動による強制返却も不正手段を用いた抜
き取り操作も不能となったものと見做し、CPUはDC
モータM1に停止指令を出力してタイミングベルト39
の逆転駆動を停止し(ステップV12)、強制返却を放
棄してステップV13の判別処理に移行する。この場
合、紙幣搬送路31から排出不能となった紙幣によって
いずれかのセンサが常にONの状態となるので、CPU
はステップV13の判別処理のみを繰り返し実行して、
作業者による障害復旧作業を待機する。
【0057】以上に述べたように、識別判定の完了から
タイミングベルト39の正転再開までの間に糸吊りやテ
ープ貼り等による紙幣の抜き取りが行われた場合、即
ち、図15〜図17における“E”のタイミングと
“F”のタイミングとの間の時間区分で糸吊りやテープ
貼り等による紙幣の抜き取りが検出された場合には、挿
入紙幣が正貨であっても真偽判定の出力は禁止され、紙
幣識別装置1は、抜き取りの対象とされた紙幣を返却し
てから初期の待機状態に復帰するか、または、不正操作
による紙幣の詰まりを検出して障害復旧の作業を待つ待
機状態に入ることとなる。
【0058】一方、ステップU2の判別結果が真となっ
た場合、即ち、識別判定の完了からタイミングベルト3
9の正転再開までの間に糸吊りやテープ貼り等による紙
幣の抜き取りが検出されなかった場合、CPUは、次い
で、不正操作記憶フラグFがセットされているか否かを
判別し(ステップU3)、該フラグFがセットされてい
なければ、更に、紙幣挿入センサ68がONとなってい
るか否かを判別することとなる(ステップU10)。図
15〜図17に示すタイミングチャートから明らかなよ
うに、ステップU1の処理でタイミングベルト39の正
転を再開した直後の段階、即ち、“F”のタイミングの
近傍においては、識別判定の完了からタイミングベルト
39の正転再開までの間に糸吊りやテープ貼り等による
紙幣の抜き取りが行われず、かつ、新規紙幣の再挿入が
実行されない限り、紙幣挿入センサ68はOFF状態を
保持するから、通常、ステップU10の判別結果は偽と
なる。そこで、CPUは搬送位置検出センサ71がON
となっているか否かを判別するが(ステップU11)、
この段階においてDCモータM1はタイミングベルト3
9を正転させる方向に回転しているので、糸吊りやテー
プ貼り等による紙幣の抜き取りが行われない限り搬送位
置検出センサ71もOFF状態を維持し、通常、ステッ
プU11の判別結果も偽であって、CPUは、更に、シ
ャッタセンサ78がOFFとなっているか否かを判別す
ることとなる(ステップU5)。ステップU1の処理で
タイミングべルト39の正転駆動を再開した直後に挿入
紙幣の後端がシャッタ部材75の配設位置を通過するこ
とはないから、ステップU5の判別結果は真である。従
って、以下、CPUは、ステップU3,ステップU1
0,ステップU11およびステップU5で構成されるル
ープ状の判別処理を繰り返し実行することとなる。
【0059】ステップU3,ステップU10,ステップ
U11およびステップU5で構成されるループ状の判別
処理を繰り返し実行する間にシャッタセンサ78がOF
Fとなった場合には(ステップU5)、糸吊りやテープ
貼り等による紙幣の抜き取りが行われずに挿入紙幣の後
端がシャッタ部材75の配設位置を通過し、かつ、該シ
ャッタ部材75が紙幣搬送路31を貫通して閉鎖したこ
とを意味するので、CPUはステップU5の判別処理終
了後、回転検出器61からの出力でカウントアップされ
るクロックカウンタの値をリセットし(ステップU
6)、RAM101に一時記憶しておいた紙幣の真偽判
定の結果と種別を自動販売機やゲーム装置等に出力する
(ステップU7,図15における“G”のタイミン
グ)。次いで、CPUはクロックカウンタの現在値を読
込み、この値がROM100の設定値に達しているか否
かを判別するが(ステップU8)、達していなければ、
以下、ステップU8の処理においてクロックカウンタの
現在値の読込みと比較処理を繰り返し実行してそのまま
待機する。ここで云う設定値とは、正搬送される挿入紙
幣の後端がシャッタ部材75の配設位置を通過してから
該紙幣が紙幣識別装置1のスタッカ(図示せず)に収め
られるまでに回転検出器61から出力されるパルス数の
値であり、その値はROM100に予め書込まれてい
る。即ち、ステップU8の判別処理はシャッタ部材75
の配設位置を通過した紙幣がスタッカに収められたこと
を確認するためのオープンループ制御であり、CPU
は、クロックカウンタの現在値がROM100の設定値
に達した時点でDCモータM1の駆動を止めてタイミン
グベルト39による紙幣の正搬送を停止することとなる
(ステップU9,図15における“H”のタイミン
グ)。このようにして正貨紙幣の正常な取り込み動作が
行われた場合、不正操作記憶フラグFがセットされてい
ればCPUはこれをリセットし、ステップS7に移行し
て再び初期の待機状態へと復帰し、新たな紙幣の挿入を
待つ待機状態に入る。
【0060】一方、ステップU3,ステップU10,ス
テップU11およびステップU5で構成されるループ状
の判別処理を繰り返し実行する間に搬送位置検出センサ
71がONとなった場合には(ステップU11)、タイ
ミングベルト39を正転させているにも関わらず紙幣が
逆行している状態、即ち、搬送位置検出センサ71の近
傍でシャッタ部材75寄りに位置していた挿入紙幣の後
端が少なくとも搬送位置検出センサ71の配設位置にま
で糸吊りやテープ貼り等の不正手段で引き戻されたこと
を意味するので、CPUはこれを抜き取り操作の発生と
見做して不正操作記憶フラグFをセットすることとなる
(ステップU12,図16における“J”のタイミン
グ)。不正操作記憶フラグFがセットされる結果、以
下、ステップU3,ステップU10,ステップU11お
よびステップU5で構成されるループ状の判別処理の代
わりに、ステップU3,ステップU4およびステップU
5で構成されるループ状の判別処理が繰り返し実行され
ることとなる。
【0061】そして、ステップU3,ステップU4およ
びステップU5で構成されるループ状の判別処理を繰り
返し実行する間にステップU4の判別処理で紙幣挿入セ
ンサ68がONとなった場合、即ち、挿入紙幣の後端が
紙幣搬送路31の入り口よりも手前側にまで引き戻され
て利用者による不正な抜き取り操作が最後まで遂行され
た場合には、CPUは不正操作記憶フラグFをリセット
した後、ステップU2の判別処理で不正操作を検出した
場合と同様、判定結果の出力を保留したままステップV
1の処理へと移行して返却処理を開始することとなる。
【0062】このように、紙幣の取り込み操作が開始さ
れて搬送位置検出センサ71が一旦OFFした後、搬送
位置検出センサ71および紙幣挿入センサ68がこの順
でONした場合には(図16における“E”,“J”,
“K”のタイミング)、挿入紙幣が正貨であっても真偽
判定の出力は禁止される。図14に示す返却処理に関し
ては既に説明したが、この場合、挿入紙幣の後端が紙幣
搬送路31の入り口よりも手前側にまで引き戻されてい
るので利用者による不正な抜き取り操作が完全に成功す
る確率は非常に高く、よって、紙幣搬送路31内に詰ま
りが生じてCPUがステップV13の異常ループに入る
こともまずない。従って、返却処理終了後、CPUはそ
のままステップS7の処理に復帰して、以下、ステップ
S7〜ステップS10の判別処理を繰り返し実行し、再
び、紙幣の挿入を待つ待機状態に入ることとなる。
【0063】また、不正操作記憶フラグFがセットされ
てステップU3,ステップU4およびステップU5で構
成されるループ状の判別処理が開始された後であって
も、挿入紙幣の後端が紙幣搬送路31の入り口よりも手
前側にまで引き戻されて利用者による不正な抜き取り操
作が完了するまでの間、即ち、紙幣挿入センサ68がO
Nとなるまでの間は、不正抜き取り操作のための手段と
して用いられている糸やテープ等が切れたり剥がれたり
して紙幣の正常な取り込み操作が可能となる場合もあ
る。ステップU3,ステップU4およびステップU5で
構成されるループ状の判別処理が繰り返し実行される間
に糸やテープ等が切れたり剥がれたりした場合は、これ
らの不正手段から解放された紙幣がタイミングベルト3
9の正転搬送によってシャッタ部材75の配設位置を越
えて取り込まれるので、ステップU5の判別結果が偽と
なり、正常な搬送が初めから行われた場合と同様、前述
のステップU6〜ステップU9の処理が実施され、保留
されていた判定結果が出力された後、紙幣識別装置1の
スタッカに紙幣が収められ、CPUは、不正操作記憶フ
ラグFをリセットしてからステップS7に移行し、再び
初期の待機状態へと復帰して新たな紙幣の挿入を待つ待
機状態に入る。
【0064】これに対し、ステップU3,ステップU1
0,ステップU11およびステップU5で構成されるル
ープ状の判別処理を繰り返し実行する間に紙幣挿入セン
サ68がONとなった場合は、不正な抜き取り操作が行
われていないにも関わらず紙幣挿入センサ68が紙幣を
検知したこと、即ち、利用者による紙幣の追加挿入が行
われたことを意味する。つまり、追加挿入紙幣が新たに
挿入された場合には、この追加挿入紙幣が正転するタイ
ミングベルト39によって紙幣の挿入方向に搬送される
ので、図17における“K”,“J”のタイミングで紙
幣挿入センサ68および搬送位置検出センサ71が順次
ONすることとなり、図16に示されるような不正な抜
き取り操作の場合と区別することができる。
【0065】そこで、ステップU3,ステップU10,
ステップU11およびステップU5で構成されるループ
状の判別処理を繰り返し実行する間に紙幣挿入センサ6
8がONとなった場合、CPUはステップU3,ステッ
プU10およびステップU5で構成されるループ状の判
別処理を繰り返し実行してステップU5の判別処理で第
1枚目の紙幣がシャッタ部材75の配設位置を通過した
ことが検知されるまで待機し(この間、ステップU11
の判別処理は非実行とされるので、第2枚目の紙幣の先
端が搬送位置検出センサ71の配設位置に到達しても不
正操作記憶フラグFはセットされない)、更に、正常な
搬送動作の場合と同様にして前述のステップU6〜ステ
ップU9の処理を実施して第1枚目の挿入紙幣に関する
判定結果を出力し(図17における“G”のタイミン
グ)、この紙幣をスタッカに取り込んでから再びステッ
プS7の処理に復帰することとなる。この場合、追加挿
入された第2枚目の紙幣が紙幣搬送路31内に存在する
ので、搬送位置検出センサ71および紙幣挿入センサ6
8が共にON状態を保持しており、ステップS7の判別
結果が真となる。そこで、CPUはステップV1に移行
し、図14に示されるような処理を追加挿入紙幣の返却
処理として実施することとなる。
【0066】この場合、ステップV1に移行したCPU
は、まず、DCモータM1に停止指令を出力してタイミ
ングベルト39の正転を中止し、更に、DCモータM1
に逆転指令を出力してタイミングベルト39による追加
挿入紙幣の逆搬送を開始し(ステップV2,図17にお
ける“L”のタイミング)、プル型ソレノイド74を磁
励してシャッタ部材75を紙幣搬送路31から退避さ
せ、追加挿入された第2枚目の紙幣にシャッタ部材75
が干渉して該追加挿入紙幣の逆搬送が妨げられるのを防
止し(ステップV3)、以下、前述した返却のための処
理と同様にしてステップV11までの処理(ステップV
11までの処理を漏れなく実行するという意味ではな
い)を実施した後、追加挿入紙幣が正常に返却されれ
ば、更にステップV12,ステップV13およびステッ
プV14の処理を実行して紙幣の挿入を待つ初期の待機
状態に復帰する一方、追加挿入紙幣が詰まってしまった
ような場合には、ステップV13の判別処理のみを繰り
返し実行して作業者による障害復旧作業を待機すること
となる。
【0067】以上に述べたように、本実施例の紙幣識別
装置1によれば、挿入紙幣に対する識別判定の完了(図
15における“E”のタイミング)からタイミングベル
ト39の正転再開(図15における“F”のタイミン
グ)までの間に生じる不正な抜き取り操作、および、タ
イミングベルト39の正転再開(図15における“F”
のタイミング)から紙幣の取り込み完了(図15におけ
る“G”のタイミング)までの間に生じる不正な抜き取
り操作の全てを検出して判定信号の出力を禁止すること
ができる。また、紙幣の挿入開始から識別判定完了まで
の間(図15における“E”のタイミングよりも前)に
不正な抜き取り操作が行われた場合には、挿入紙幣の識
別データとROM100の正規データとの比較結果が不
一致となるので判定信号は出力されない。
【0068】更に、本実施例の紙幣識別装置1によれ
ば、挿入紙幣の後端がシャッタ部材75の配設位置を通
過して正規の判定信号を出力した後(図15における
“G”のタイミングよりも後)に糸吊り等による不正な
引き戻し操作を開始して紙幣を抜き取ることも非常に困
難である。挿入紙幣の後端がシャッタ部材75の配設位
置を通過してシャッタ部材75が紙幣搬送路31を貫通
した状態で糸吊りによる引き戻し操作を開始して紙幣を
無理に逆行させると、紙幣の後端がシャッタ部材75の
配設位置にまで逆行した時点で該紙幣の後端がシャッタ
部材75の切欠部79bによって上下から挟持されるよ
うにして喰え込まれ、紙幣はシャッタ部材75を越えて
逆行することができない。そして、無理に糸を引けば、
糸または紙幣の一部が切れ、紙幣の主要部はタイミング
ベルト39でそのまま搬送されてスタッカに取り込まれ
ることとなる。
【0069】また、本実施例の紙幣識別装置1によれ
ば、紙幣搬送路を単純形状のシャッタ部材で貫通して閉
鎖することにより紙幣の抜き取り操作を禁止するように
した従来型の紙幣識別装置においては可能であった判定
信号出力後の薄いビニールシート等を用いたテープ貼り
による紙幣の抜き取り操作をも防止することができる。
図9(a)は挿入紙幣の後端がシャッタ部材75の配設
位置を通過し、該シャッタ部材75が薄いビニールシー
ト等を撓ませて紙幣搬送路31を貫通して閉鎖した状態
を図4(b)の向きに対応して示す側断面図である。こ
の状態でビニールシート等(以下、テープという)の引
き戻し操作を開始して紙幣を無理に逆行させようとする
と、まず、第2の搬送プレート34に穿設されたスリッ
トに潜り込んで撓んだテープの部分に引き戻し操作によ
る張力が作用してこの部分を平らに引き伸ばそうとする
ため、シャッタ部材75の先端部には該シャッタ部材7
5を持ち上げて退避させようとする力が作用するが、シ
ャッタ部材75には楔型の突出片80bが紙幣の挿入方
向(図9の左方向)に向けて配備されているため、この
突出片80bの鋭い先端が図9(b)に示されるように
してテープに引掛かることになる。(従来型の紙幣識別
装置ではシャッタ部材の先端に単純な丸み付けのみを施
していたため、テープの撓み部分を平らに引き伸ばそう
とする力によってシャッタ部材が持ち上げられてしま
い、紙幣を抜き取られる場合があった。)そして、テー
プを更に強く引いて引き戻し操作を行おうとすると、突
出片80bは図9(c)に示されるようにしてテープを
突き刺して貫通し、このままテープを引き戻して行く
と、突出片80bによって順次テープが引き裂かれ、テ
ープには紙幣の挿入方向に沿った大きな裂け目が生じる
ことになる。そして、この裂け目が先端部75aの幅を
越えると、テープの撓みを解消しようとする力によって
僅かに持ち上げられていたシャッタ部材75の先端部7
5a全体が図9(d)に示されるようにしてテープを突
き抜け、可動鉄芯の自重と自動復帰バネの付勢力により
シャッタ部材75が再び完全な閉鎖位置に復帰する。更
にテープを引き戻したとしても、シャッタ部材75の切
欠部79bによってテープが切り裂かれて裂け目が増大
するだけのことで、シャッタ部材75を持ち上げて退避
させようとする力が作用することは2度とない。そし
て、紙幣の後端がシャッタ部材75の配設位置にまで逆
行すると、該紙幣の後端がシャッタ部材75の切欠部7
9bによって上下から挟持されるようにして喰え込ま
れ、紙幣はシャッタ部材75を越えて逆行することがで
きず、無理にテープを引けば、テープまたは紙幣の一部
が切れ、紙幣の主要部はタイミングベルト39でそのま
ま搬送されてスタッカに取り込まれることとなる。
【0070】なお、紙幣の後端をシャッタ部材75の配
設位置にまで逆行させた時点で利用者が抜き取り操作を
放棄すれば、シャッタ部材75が完全な閉鎖位置にある
状態で紙幣およびテープが正方向に搬送されるので、切
欠部79aによりテープが逆方向に引き裂かれ、また、
シャッタ部材75の先端部75a全体がテープを突き抜
ける前に抜き取り操作が放棄されれば、裂け目を生じて
いないテープ部分が丸みを帯びた突出片80aでガイド
されて第2の搬送プレート34のスリットに潜り込んだ
状態のまま正方向に搬送されるので、テープの裂け目が
これ以上に大きくなることはない。
【0071】
【発明の効果】本発明の紙幣識別装置は紙幣の挿入方向
に沿って紙幣挿入センサと搬送位置検出センサおよびシ
ャッタ部材を配備し、これらのセンサの作動状態に基い
て紙幣の搬送状態を検出するようにしたので、不正な抜
き取り操作の発生と紙幣の追加挿入とを適確に区別し、
不正な抜き取り操作が発生した場合にだけ判定信号の出
力を禁止することができ、しかも、紙幣搬送路を貫通し
て閉鎖するシャッタ部材の一側には鋭利な突出片が設け
られているので、一旦シャッタ部材を越えて取り込まれ
た紙幣が糸吊りやテープ貼り等の不正手段で抜き取られ
ることも確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の紙幣識別装置を外観で示す
図である。
【図2】同実施例における紙幣識別装置の内部構造を示
す断面図である。
【図3】同実施例における紙幣識別装置の内部構造を示
す断面図である。
【図4】同実施例における紙幣識別装置に配備した各種
センサ等の配設位置を概略で示す図である。
【図5】同実施例における紙幣識別装置の動力伝達機構
を取出して詳細に示す部分断面図である。
【図6】同実施例における紙幣識別装置の揺動ユニット
の概略を示す図である。
【図7】同実施例における紙幣識別装置の揺動ユニット
に配備したプレート開放レバーおよびその周辺を概略で
示す図である。
【図8】同実施例における紙幣識別装置の揺動ユニット
に配備したシャッタ部材の形状を示す図である。
【図9】同実施例における紙幣識別装置に糸吊りやテー
プ貼り等の不正操作を施したときの現象を示す作用原理
図である。
【図10】同実施例における紙幣識別装置の制御手段の
概略を示すブロック図である。
【図11】同実施例における紙幣識別装置の制御プログ
ラムの概要を示すフローチャートである。
【図12】同実施例における紙幣識別装置の制御プログ
ラムの概要を示すフローチャートの続きである。
【図13】同実施例における紙幣識別装置の制御プログ
ラムの概要を示すフローチャートの続きである。
【図14】同実施例における紙幣識別装置の制御プログ
ラムの概要を示すフローチャートの続きである。
【図15】同実施例における紙幣識別装置で正常な紙幣
搬送が行われたときの状態を示すタイミングチャートで
ある。
【図16】同実施例における紙幣識別装置で紙幣の抜き
取り操作が行われたときの状態を示すタイミングチャー
トである。
【図17】同実施例における紙幣識別装置で紙幣の追加
挿入が行われたときの状態を示すタイミングチャートで
ある。
【符号の説明】
1 紙幣識別装置 10 コントロールボックス 31 紙幣搬送路 33 第1の搬送プレート 34 第2の搬送プレート 39 タイミングベルト(紙幣搬送手段) 61 回転検出器 68 光電変換器(紙幣挿入センサ,情報検出手段) 70 磁気ヘッド(情報検出手段) 71 光電変換器(搬送位置検出センサ,情報検出手
段) 74 プル型ソレノイド 75 シャッタ部材 75a シャッタ部材の先端部 76 スリット 78 シャッタセンサ 80b 突出片 100 ROM 101 RAM M1 DCモータ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G07D 7/00 - 7/20 G07F 7/00 - 7/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隙を持って相対向する第1およ
    び第2の搬送プレートの間に挿入紙幣を搬送する紙幣搬
    送手段を設けて紙幣搬送路を構成し、紙幣の挿入方向に
    沿って、紙幣を検知するための紙幣挿入センサと、紙幣
    識別のための情報検出手段と、紙幣の通過を検知して紙
    幣搬送路を閉鎖するシャッタ部材とを配備し、該シャッ
    タ部材が紙幣搬送路を閉鎖した時点で紙幣判定信号を出
    力するようにした紙幣識別装置において、前記紙幣挿入
    センサとシャッタ部材との間に紙幣を検知するための搬
    送位置検出センサを配備し、紙幣搬送手段で搬送される
    紙幣の通過により前記搬送位置検出センサが非検知状態
    となってから前記シャッタ部材により紙幣搬送路が閉鎖
    されるまでの間に搬送位置検出センサおよび紙幣挿入セ
    ンサがこの順で紙幣を検知した場合においてのみ、紙幣
    の真偽や種別の判定結果に関わりなく前記紙幣判定信号
    の出力を禁止するようにしたことを特徴とする紙幣識別
    装置。
  2. 【請求項2】 前記シャッタ部材は、微小な力で付勢さ
    れた可動部材からなり、紙幣挿入センサもしくは搬送位
    置検出センサが紙幣を検知すると前記付勢力に抗して紙
    幣搬送路から退避し、所定時間経過後に復帰して紙幣搬
    送手段で搬送される紙幣上に載置されると共に、該紙幣
    の通過により紙幣搬送路を貫通して紙幣の通過を検知す
    るものである請求項1記載の紙幣識別装置。
  3. 【請求項3】 前記シャッタ部材は先端部の一側に鋭利
    な楔型の突出片を備えた可動部材からなり、該突出片を
    紙幣の挿入方向に向けて配備したものである請求項2記
    載の紙幣識別装置。
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