JP3219686B2 - 耐水素脆性および疲労特性に優れたばね鋼、当該ばね鋼の製造方法および当該ばね鋼を用いたばね - Google Patents

耐水素脆性および疲労特性に優れたばね鋼、当該ばね鋼の製造方法および当該ばね鋼を用いたばね

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の内燃機
関の弁ばねや懸架ばね、スタビライザー、トーションバ
ー等の素材として有用なばね鋼に関し、特に、重要なば
ね特性とされる耐水素脆性と疲労特性に優れたばね鋼、
その製造方法および当該ばね鋼を用いて製造したばねに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ばね鋼の化学成分はJIS G3565
〜G3567,G4801等に規定されており、それら
の規定にしたがって製造された熱間圧延線材(以下、
「圧延材」という)を引き抜き加工した後、ばね状に加
熱成形してから焼入れ焼戻し処理(熱間ばね成形)した
り、あるいは所定の線径まで伸線加工しオイルテンパー
処理した後にばね加工(冷間ばね成形)する方法などに
より、各種のばねが製造されている。また近年における
ばねに対する要求特性は一段と厳しくなってきており、
こうした状況の下で、各種の合金鋼に熱処理を施したも
のも多く利用されている。
【0003】一方、たとえば自動車等に用いられるばね
においては、排ガスや燃費低減のための軽量化対策の一
環としてばねの高強度化が指向されており、そのために
は焼入れ焼戻し後に1800MPa以上を示す様な高強
度のばね用鋼が要望されている。ところが、一般的にば
ねの強度が高くなるにつれて欠陥感受性が高まる傾向に
あり、特に腐食環境下で使用されるばねにおいては腐食
反応により水素が発生するため、早期欠損を起こす可能
性がある。つまり、高強度化に伴って、耐水素脆化特性
が劣化する。
【0004】この問題の改善策として、従来より、種々
の合金元素を多量に添加する方法が採用されてきたが、
この方法ではばね鋼がコスト高になるという経済上の問
題がある。
【0005】一方、合金元素を多量に添加することなく
水素脆性を抑える方法として、結晶粒を微細化する方法
や微細析出物を析出させることが効果的であると考えら
れており、例えばTiやNbなどの炭窒化物形成元素を
添加する方法が採用されてきた。しかし、炭窒化物形成
元素を添加する場合には、当該元素の添加によって巨大
な介在物が出現し、ばねの重要特性のひとつである疲労
耐久性を劣化させる傾向があったため、現状ではかかる
方法を積極的に用いることに関しては懸念される状況に
ある。このように、合金元素の添加のみによって、耐水
素脆化を向上させるのみならず、疲労耐久性をも向上さ
せることは困難であった。
【0006】そこで、従来では、Mnを主成分とする硫
化物、もしくはそれをベースとした複合介在物を低減さ
せることで、単に耐水素脆化を向上させるのみならず、
疲労耐久性を同時に向上させる試みがなされていた。な
お、説明の便宜から以下においては、Mnを主成分とす
る硫化物もしくはそれをベースとした複合介在物を、
「MnS系介在物」と称する。
【0007】上記のようにMnS系介在物を低減させる
のは、MnS系介在物が割れの起点および伝播経路にな
るという機械的理由の他、MnS量が多くなるにしたが
って上記腐食反応に随伴発生する水素の量が増大し、耐
水素脆性に対して悪影響を与えるという化学的理由に基
づくものである。その具体的手段としては、従来ではS
量の低減によってMnS系介在物を低減するという方法
が採用されてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、S量を
従来以上に低減させるためには、製鋼工程において特殊
な処理を追加する必要があり、コストの増大を招くとい
う経済上の問題がある。また、低S量のばね鋼について
の耐水素脆化特性および疲労耐久性を調べると、平均値
としてはこれらの特性は向上しているが、個々に見ると
それらの特性にばらつきが生じており、十分でかつ確実
な耐水素脆化特性および疲労耐久性が得られていないと
いうのが実情である。そこで、必然的に従来より提供さ
れている汎用のばね素材に制限され、軽量ながら疲労強
度の優れたばねを提供することが困難であった。
【0009】この発明は、上記のような問題に鑑みてな
されたものであり、高強度化と高応力化を増進しつつ耐
水素脆性が高められるのみならず、更には疲労耐久性が
改善されたばね鋼およびばね、また当該ばね鋼を安価に
製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるばね鋼
は、上記目的を達成するため、C :0.25〜0.7
0%、Si:1.0〜2.1%、Mn:0.05〜0.
49%、Cr:0.05〜2.0%、S :0.02%
以下、N :10〜200ppm、を含有するととも
に、Ti:0.001〜0.2%、Cu:0.05〜
0.5%、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:
0.001〜0.10%、よりなる群から選択される少
なくとも1種の元素を含有し、残部鉄および不可避的不
純物からなる。そして、下記被顕面内に存在するMnを
主成分とする硫化物もしくはそれをベースとする複合化
合物を制御するところに特徴を有している。
【0011】具体的には、Mnを主成分とする硫化物も
しくはそれをベースとする複合化合物であって長径8μ
m以上のものが20個以下となるようにしている(後述
するMnS系介在物のサイズの制御)。なお、被顕面と
は、表面から0.3mm以上の深さで、かつ中心部を含
まない領域から設定される20mm2 の広さの断面を意
味する。
【0012】また、下式(2) の関係を満足するようにし
ている(後述するMnS系介在物の体積率の制御)。 Vf /[S] ≦2 …(2) Vf :被顕面内に存在するMnを主成分とする硫化物も
しくはそれをベースとする複合化合物の体積率(%)、 [S] :Sの質量%、 ただし、被顕面とは、表面から0.3mm以上の深さ
で、かつ中心部を含まない領域から設定される20mm
2 の広さの断面を意味する。
【0013】また、上記本発明のばね鋼に、さらに他の
元素として、 Ni:0.05〜4.0% Mo:0.05〜3.0% Nb:0.001〜0.2% V :0.01〜0.5% Al:0.005〜0.1%よりなる群から選択される
少なくとも1種の元素をさらに含有するのが好ましい。
【0014】また、本発明にかかるばね鋼の製造方法
は、上記各成分組成を満足する溶鋼を用いて20℃/m
in以上の平均凝固速度で鋳造し、得られた鋳造物を圧
延または伸線することを要旨とする。さらに、本発明に
かかるばねは、上記ばね鋼から製造されることを要旨と
する。
【0015】
【発明の実施の形態】ばね鋼においては、高強度化に伴
う耐水素脆性および疲労耐久性の劣化を抑えるために、
S量を低減させることでMnS系介在物を低減させる方
法が提案されているが、上記において指摘したように、
S量の低減化処理によるコストアップや耐水素脆化特性
などの改善効果におけるばらつきを招くという問題を有
していた。そこで、ばらつきの原因およびその解決手段
を研究したところ、同一のS量であってもMnS系介在
物を制御することでばね鋼の耐水素脆性および疲労耐久
性を向上させ得ることを知った。しかも、MnS系介在
物の制御によりばね鋼の耐水素脆性および疲労耐久性の
向上を図った場合には、S量の低減による向上を図った
場合に問題となった特性のばらつきを抑制することがで
きる。
【0016】ここで、MnS系介在物の制御としては、
(1) MnS系介在物のサイズの制御と、(2) MnS系介
在物の体積率の制御とがある。以下、それぞれの制御に
ついて順番に説明する。
【0017】(1) MnS系介在物のサイズの制御 MnS系介在物が大きいと、耐水素脆化特性を低下させ
る。その理由は次のように考えられる。ばね鋼におい
て、MnS系介在物はマトリックス中に散在しており、
MnS系介在物中の主要成分であるMnSあるいはMn
S周囲のマトリックスが優先的に腐食されて水素を発生
する。したがって、MnS系介在物が大きくなればなる
ほど、その腐食反応に伴って発生する水素量も多くな
る。また、MnS系介在物中のMnSあるいはMnS周
囲のマトリックスの腐食により局所的なピットが形成さ
れるが、MnS系介在物が大きければ、そのピットも大
きくなり、割れ感受性が高まるとともに、MnS系介在
物を起点とした割れの発生や伝播も容易となる。このた
め、大型のMnS系介在物が存在すると、耐水素脆化特
性が低下してしまう。逆に、MnS系介在物を小型化す
ると、上記のような問題が抑制され、耐水素脆性を向上
させることができる。また、MnS系介在物のサイズを
小さくすることは、疲労耐久性の向上にも有効である。
【0018】現在確認しているところでは、図1に示す
被顕面(斜線部分)1内に存在するMnS系介在物のう
ち長径8μm以上のMnS系介在物が20個以下となる
ように制御することで、耐水素脆性および疲労耐久性を
効果的に改善することができる。なお、この明細書で
は、被顕面1を、熱間圧延線材、オイルテンパー線ある
いはばね素線などのばね鋼2の縦断面3における表面4
から0.3mm以上の深さdで、かつ中心部(中心線5
の近傍)を含まない領域から設定される20mm 2 の広
さの断面をいう。また、「MnS系介在物」とは、上記
において定義したように、Mnを主成分とする硫化物も
しくはそれをベースとした複合介在物を意味するが、こ
れらの意味をさらに詳しく説明する。「Mnを主成分と
する硫化物」とは、(Mn+Fe+M)Sとして一般的
に記述できる硫化物(但し、Mは、CaやZr等の金
属)であって、しかも括弧内で表示された金属成分のう
ち原子パーセント(at% )で約半分以上(好ましくは5
0%以上)がMnである硫化物を意味する。また、「そ
れをベースとした複合介在物」とは、「Mnを主成分と
する硫化物」に少量の酸化物や他の硫化物が混在する介
在物を意味する。
【0019】ところで、電子プローブX線マイクロアナ
ライザ(EPMA)によって小さな介在物の組成を測定
する場合には、当該組成を正確に測定することが困難な
ことがあり、この場合には次のようにして判断すればよ
い。すなわち、上記の測定手法で、マトリックス中のF
eの影響によって実際よりも多量のFeを含んだ組成と
して誤測定されるケースが多いが、介在物の主成分がF
eであるという測定結果が出たとしても、MnとSとの
モル比が1に近ければ、介在物の色や形態も参考とし
て、総合的にMnS系介在物として判定する方が実際に
即しており、このように判定する方が望ましい。
【0020】また、より精度良くMnS系介在物のサイ
ズを求めるためには、複数の被顕面1を調べて各被顕面
1における大型のMnS系介在物(長径8μm以上のも
の)の個数を求めた後、それらの平均を求めればよい。
【0021】(2) MnS系介在物の体積率の制御 次に、MnS系介在物の体積率の制御によるばね鋼の耐
水素脆性および疲労耐久性の向上について説明する。上
記(1) で説明したように、ばね鋼においてマトリックス
中に散在するMnS系介在物中の主要成分であるMnS
あるいはMnS周囲のマトリックスが優先的に腐食され
ると、水素が発生する。したがって、ばね鋼中に占める
MnS系介在物の体積率が大きくなると、発生する水素
量も多くなり、水素脆化が促進される。また、当該Mn
SあるいはMnS周囲のマトリックスの腐食により形成
されるピットにより割れ感受性が高まるとともに、Mn
S系介在物を起点とした割れの発生や伝播も容易となる
ため、MnS系介在物の体積率の増加に伴って、耐水素
脆化特性が低下してしまう。逆に、MnS系介在物の体
積率を低減すると、上記のような問題が抑制され、耐水
素脆性を向上させることができるとともに、疲労耐久性
の向上にも有効である。
【0022】現在確認しているところでは、図1の被顕
面(斜線部分)1内に存在するMnS系介在物の体積率
(%)をVf とし、Sの質量%を[S] としたとき、次式 Vf /[S] ≦2 …(3) が満足されるように制御することで、耐水素脆性および
疲労耐久性を効果的に改善することができる。より好ま
しくは次式 Vf /[S] ≦1 …(4) が満足されるように制御する。なお、ここでは、倍率5
00倍の光学顕微鏡で観察し、図1に示す被顕面(斜線
部分)1内に存在するMnS系介在物の面積総和を求め
た後、その面積総和と被顕面1の面積とから、体積率V
f を求めている。なお、ここで用いた用語、つまり「被
顕面」、「MnS系介在物」、「Mnを主成分とする硫
化物」および「それをベースとした複合介在物」の定義
については、上記(1) での説明と同一である。
【0023】ところで、上記のように倍率500倍の光
学顕微鏡で観察する場合、小型のMnS系介在物につい
ては観察不能あるいは観察困難であり、それら小型のM
nS系介在物が体積率測定に合算されないことがあるの
で、この観点からいえば観察倍率を増加させるのが望ま
しい。しかしながら、上記(1) で詳細に説明したよう
に、大型のMnS系介在物は耐水素脆化特性に対して重
大な影響を及ぼすが、MnS系介在物を小型化すると、
耐水素脆化特性への影響を軽減することができ、本発明
のように倍率500倍の光学顕微鏡で観察できない程度
の大きさのMnS系介在物が存在しても、実際上耐水素
脆化特性に対して大きな影響を及ぼさない。このため、
観察倍率を500倍以上に上げる必要性は乏しく、50
0倍程度の倍率で十分な精度が得られる。
【0024】なお、より精度良くMnS系介在物の体積
率を測定するためには、上記(1) の場合と同様に、複数
の被顕面1を調べて各被顕面1におけるMnS系介在物
の体積率を求めた後、それらの平均を求めればよい。
【0025】次に、大型のMnS系介在物の個数や、M
nS系介在物の体積率を制御する方法について説明す
る。かかる主な方法としては、次に説明する3つの方法
がある。
【0026】Mn量を低減するとともに、Ti,C
u,Ca,Zrのうち少なくとも1種以上の元素を添加
することで、液相より晶出する大型のMnS系介在物を
低減させることができる。つまり、上記元素の添加によ
り、Sの全てを大型のMnS系介在物としてではなく、
他の金属、例えばTi,Cu,Ca,Zrなどとの小型
の硫化物として固定することができ、その結果、耐水素
脆性および疲労特性におけるMnS系介在物の悪影響を
抑制することができる。なお、上記他の元素は、MnS
を主とした硫化物に固溶する場合も、MnSを小型化し
て悪影響を低減する働きがある。
【0027】このようにMn量を低減すると、上記効果
に加えて次のような効果も得られる。まず第1に、従来
から行われているように、Ni,Cr,Cu等の合金元
素を添加して耐食性の改善を図ろうとすると、焼入れ性
が増大し、圧延材において過冷組織が出現し、焼鈍等の
工程を付加する必要が生じて製造コストが増大するとい
う問題があったが、Mn量の低減により圧延時の過冷組
織の出現を防止することができ、上記問題を解消するこ
とができる。また、Mn量の低減は、水素脆化に悪影響
を及ぼすPの粒界偏析を減少させる方向に働くため、上
記した大型MnS系介在物の抑制による効果と相まって
耐水素脆性の向上において大きな相乗効果が見込まれ
る。
【0028】Zr,Caのような硫化物形態を制御す
る成分元素を添加する。この場合、上記の効果に加え
て、硫化物を球状化させ、耐水素脆性および疲労特性を
向上させることができる。
【0029】凝固速度とMnS系介在物の大きさや体
積率との間には密接な関連性がある。すなわち、凝固速
度を遅くするとMnS系介在物が大型化し、他方凝固速
度を速くするとMnS系介在物の大型化および体積率の
上昇を抑えることができる。その理由は以下の通りであ
る。
【0030】凝固速度が遅いとMnS系介在物が大きく
晶出するから、MnS系介在物の大型化および体積率の
上昇を招き、この大型のMnS系介在物は、その後の圧
延などの加工工程でも小さく分断することが難しい。し
たがって、これを避けるためには、比較的速い凝固速度
で鋳造する必要がある。平均20℃/min以下の比較
的遅い凝固速度で鋳造した場合には、次に詳述するよう
にばね鋼の各成分を調整しても熱間圧延線材または冷間
伸線材の被顕面1(図1)における長径8μm以上のM
nS系介在物の個数を20以下に制御すること、あるい
は上記(3) 式を満足することは、困難となる。したがっ
て、平均20℃/min以上の凝固速度でばね鋼を製造
するのが好ましい。また、より好ましいの平均凝固速度
は30℃/min以上である。なお、その後の圧延や伸
線は、通常の方法でよい。
【0031】このようにばね鋼の製造時における凝固速
度について詳しく検討した結果、耐水素脆性や疲労特性
の向上の観点から平均20℃/min以上の凝固速度で
ばね鋼を製造するのが好ましいことを明らかにしたが、
従来、これらに関しては全く検討されていなかった。
【0032】なお、大型のMnS系介在物の個数を制御
する方法として上記3種類を挙げたが、これらの方法を
単独で用いてもよいし、あるいは組み合わせてもよい。
【0033】以上のように、この実施の形態(MnS系
介在物の制御)によれば、被顕面1内に存在する長径8
μm以上のMnS系介在物の個数を20個以下に制御す
る、あるいは上記(3) 式を満足するように制御するよう
にしているので、MnS系介在物あるいはMnS周囲の
マトリックスの腐食により発生する水素量を抑制するこ
とができ、大型ピットの発生を抑えて耐水素脆性を向上
させることができる。また、MnS系介在物の大きさ、
あるいは体積率を小さくすることで、疲労耐久性を向上
させることができる。次に、本発明で用いるばね鋼の化
学成分を定めた理由を説明する。
【0034】C:0.25〜0.70% Cは鋼中に必須的に含まれてくる元素であり、焼入れ焼
戻し強度(硬さ)を確保するために必要な元素である。
C含有量が0.25%未満では、焼入れ焼戻し強度(硬
さ)が不足する。一方、0.70%を超えて含有する
と、焼入れ焼戻し後の靭性および延性が劣化するのみな
らず、耐食性にも悪影響が現れる。ばね鋼としての強度
を考慮すると0.35%以上が望ましい。また、ばね鋼
としての靭性を考慮すると0.45%以下が望ましい。
【0035】Si:1.0〜2.1% Siは固溶強化および生成錆緻密化元素として必要であ
り、1.0%未満ではこの様な効果が不十分となる。し
かし、2.1%を越えて含有すると、圧延材や焼入れ加
熱時に炭化物の溶込みが不十分となり、均一にオーステ
ナイト化させるためにより高温の加熱が必要となって、
表面の脱炭が過度に進行し、ばねの疲労特性が悪くな
る。ばね素材としての強度と硬さおよび脱炭抑制という
観点から、Siのより好ましい範囲の下限は1.4%で
あり、一方上限は1.8%である。
【0036】Mn:0.05〜0.49% Mnは焼入れ性向上元素として0.05%以上は必要で
ある。しかし、0.49%を越えて含有すると、圧延時
に過冷組織が出現しやすくなる。このように過冷組織が
存在すると、過冷組織を消失させるために焼鈍などの工
程を付加する必要が生じ、製造コストの上昇を招いてし
まう。さらに、粒界へのPの偏析が助長されると同時
に、Sが大型のMnSとして晶出しやすくなり、耐水素
脆性が劣化する。Mnのより好ましい含有量の上限は
0.35%である。
【0037】Cr:0.05〜2.0% Crは脱炭防止に効果があり、また生成錆を緻密化して
耐食性を改善する元素である。さらに、Crは焼入れ性
向上にも有効である。こうした効果は0.05%以上の
含有で有効に発揮されるが、2.0%を越えて含有する
と、圧延材に過冷組織が出現しやすくなり、Mnの場合
と同様に、製造コスト上昇につながってしまう。Crの
より好ましい範囲の下限は0.5%であり、一方上限は
1.4%である。
【0038】S:0.02%以下(好ましくは0.01
%以下) Sは、MnSを形成し、腐食の起点となり水素発生を促
すだけでなく、割れの起点や伝播経路となり、耐水素脆
性および疲労耐久性を劣化させる。従って、0.02%
以下に抑える必要がある。Sのより好ましい範囲は0.
01%以下である。
【0039】N:10〜200ppm Nは、Ti,V,Alと窒化物を形成して結晶粒微細化
効果を発揮するが、その効果を有効に発揮させるために
は、少なくとも10ppm必要である。しかしながら、
200ppmを越えて含有すると、炭・窒化物系介在物
の大きさおよび個数が増大し、疲労寿命が急激に低下す
るので、Nは200ppm以下に、好ましくは100p
pmに、さらに好ましくは70ppm以下に抑えるべき
である。
【0040】Ti:0.001〜0.2% Tiは、炭窒化物形成元素であり、超微細な炭窒化物を
ばね鋼中の結晶粒内および粒界に多量に析出し、水素脆
性の原因となる水素をトラップして耐水素脆性を格段に
向上させる。また、Tiは、Sと結合して小型の硫化物
あるいはTiを主成分とする硫化物(Ti+Fe+M)
Sを形成することで、大型で有害なMnSの生成を抑え
て耐水素脆性を向上させる。さらに、炭窒化物の析出に
よって結晶粒微細化を図ることができ、素材靭性の向
上、ばねの耐へたり性を改善することができる。このよ
うな効果を有効に発揮させるためには、0.001%以
上の含有が必要であり、0.005%以上の含有がより
好ましい。しかし、Tiを0.2%以上含有すると凝固
過程での粗大析出物の生成あるいはその個数の増大生じ
て、疲労強度などの種々のばね特性が劣化してしまう。
そのため、Tiは0.2%以下に抑えるべきである。
【0041】Cu:0.05〜0.5% Cuは、Tiと同様に、小型の硫化物あるいはCuSを
主成分とする硫化物(Cu+Fe+M)Sを形成するこ
とにより、大型で有害なMnS系介在物の発生を抑制
し、その結果として耐水素脆性を向上させる。さらに、
Cuは電気化学的にFeより貴な元素であり、生成錆を
緻密化して耐食性を高める作用がある。こうした作用は
Cuの0.05%以上の含有で発揮されるが、0.5%
を越えて含有させてもそれ以上の効果は得られず、むし
ろ熱間圧延時に素材の脆化を引き起こすおそれがある。
Cuのより好ましい範囲の下限は0.05%であり、一
方上限は0.3%である。
【0042】Ca:0.0002〜0.01% Caは、Sと結合して小型のCaSを形成するので、腐
食の起点、あるいは、割れの起点や伝播経路となる大型
MnS系介在物の数を減少させる。この結果、ばね鋼の
耐水素脆性が向上する。このような効果を発揮するため
には、Caを0.0002%以上添加する必要がある
が、0.01%以上のCaの含有は、酸化物系介在物の
大型化を引き起こし、耐疲労強度のみならず耐水素脆化
特性もかえって劣化させる。Caのより好ましい範囲の
下限は0.0007%であり、一方上限は0.003%
である。
【0043】Zr:0.001〜0.10% Zrは、Sと結合して小型のZrSあるいはZrSを主
成分とする硫化物(Zr+Fe+M)Sとして固定し、
耐水素脆性を向上させる。さらに、Zrは硫化物の球状
化に対して有効な元素であり、硫化物の球状化によって
耐疲労特性を向上させる。それらの効果を有効に発揮さ
せるためには、最低0.001%以上のZrの添加が必
要であるが、多量に含有してもそれらの効果は飽和する
だけであり、経済的効果を考慮してZrの範囲の上限を
0.10%とした。Zrのより好ましい含有量の下限は
0.002%であり、一方上限は0.02%である。
【0044】Ni:0.05〜4.0% Niは焼き入れ焼戻し後の素材靭性および耐食性を向上
させる作用があり、さらにばね特性として重要なへたり
特性を大幅に改善する作用があるが、これらの作用を有
効に発揮させるためには少なくとも0.05%以上添加
しなければならない。しかし、Niを4.0%を越えて
含有すると、焼入れ性が増大し、圧延後に過冷組織が出
やすくなり、過冷組織を消失させるための焼鈍などの追
加工程が必要となってばね鋼の製造コスト上昇を招く。
Niのより好ましい含有量の下限は0.1%であり、一
方上限は1.0%である。
【0045】Mo:0.05〜3.0% Moは、焼入れ性を向上させるとともに、腐食溶解時に
モリブデン酸イオンを形成して耐食性を高める元素であ
る。また、粒界強度を高めて耐水素脆性を改善する効果
も有している。これらの効果を有効に発揮させるために
は、Moを0.05%以上含有する必要があるが、3.
0%以上添加しても、その効果は飽和するので、3.0
%を越えたMoの添加は経済的に全く無駄である。Mo
のより好ましい範囲の下限は、0.1%であり、一方上
限は1.0%である。
【0046】Nb:0.001〜0.2% Nbは炭窒化物形成元素であり、超微細な炭窒化物をば
ね鋼中の結晶粒内および粒界に多量に析出させる。この
炭窒化物は水素脆性に有害な水素をトラップする働きを
有しており、耐水素脆性を格段に向上させる。さらに、
炭窒化物の析出によって結晶粒微細化が図れ、素材靭性
の向上およびばねの耐へたり性を改善することができ
る。このような効果を有効に発揮させるためには、0.
001%以上のNbの添加が必要であり、より好ましく
は0.005%以上添加すべきである。しかし、Nbを
0.2%以上添加すると、凝固過程で粗大な析出物が生
成、し、あるいは析出物の個数が増大し、疲労強度など
の種々のばね特性が劣化する。Nbのより好ましい範囲
の上限は0.1%である。
【0047】V:0.01〜0.5% Vは、結晶粒度を微細化して耐力比を高め、また耐へた
り性を改善する効果を有している。この効果を有効に発
揮させるには、0.01%以上のVの添加が必要であ
る。しかし、0.5%を越えて含有すると、Vの炭窒化
物の粗大化が起こり、疲労耐久性が低下する。
【0048】Al:0.001〜0.1% Alは結晶粒度を微細化して耐力比を向上させ、耐へた
り性を向上させる効果を有している。その効果の発揮に
は、0.01%以上のAlの添加が必要である。しか
し、0.1%を越えて含有させても、それ以上の効果は
得られず、むしろアルミナ等の酸化物系介在物が多く生
成し、かつ粗大化してかえって疲労耐久性を劣化させ
る。Alのより好ましい範囲の上限は0.05%であ
る。
【0049】なお、上記ばね鋼から最終製品であるばね
を製造すると、上記ばね鋼の優れた特性が生かされ、高
い疲労強度を有するばねが得られる。しかも、上記のよ
うに、当該ばね鋼では従来とほぼ同一のS量であるた
め、S量を低減するために必要な特殊処理が不要であ
り、低コストで製造することができる。したがって、そ
のばね鋼を用いて製造されるばねのコストを必然的に抑
えることができる。
【0050】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0051】実施例1 表1に示す成分の鋼を真空実験炉で溶製した後、35℃
/minの平均凝固速度で鋳造した。そして、直径14
mmの線材に圧延し、さらに機械加工により試験片を作
製した後、それらの試験片に対して焼入れ焼戻し処理を
行った。なお、焼戻し処理は、350℃〜450℃×1
時間の範囲で硬さHRCが53〜55となるように調整
した。
【0052】
【表1】
【0053】腐食疲労試験は、35℃の5%NaCl水
溶液を試験片に滴下する方式で行い、応力784MP
a、回転速度100rpmで行った。水素脆化割れ試験
は、陰極チャージによる4点曲げで、0.5mol/l
−H 2 SO4 と0.01mol/l−KSCN(チオシ
アン酸カリウム)とを混合した溶液中に試験片を浸漬
し、ポテンショスタットを用いて−700mV vsS
CEの電圧をかけて行った。応力は、曲げ応力で140
0MPaとした。大気中回転曲げ疲労試験は、試験片に
ショットピーニングを施した後に実施した。
【0054】大型のMnS系介在物の個数およびMnS
系介在物の体積率の測定には、光学顕微鏡を使用した。
観察した介在物がMnS系である確認にはEPMAを使
用した。すなわち、倍率500倍の光学顕微鏡で観察し
て試験片の被顕面1(図1)、つまり縦断面3(中心線
5を通る)の表面4から深さ0.3mmよりも内部にお
いて被顕面積(長辺/短辺>1、表層から深さ0.3m
mの部分に長辺が接する)20mm2 内に存在する長径
8μm以上の大型MnS系介在物の数を測定するととも
に、同被顕面1内のMnS系介在物の体積率を測定し
た。また、表1に本発明および比較例の鋼材組成を、ま
た表2に試験結果を示す。
【0055】
【表2】
【0056】なお、表2において、「MnS系介在物個
数」の欄は被顕面1内に存在する長径8μm以上のMn
S系介在物の個数を示すとともに、「MnS系介在物V
f (% )/S(mass% )」の欄は同被顕面1内のMnS
系介在物の体積率とSの質量%との比を示している。表
1および表2から次のように考察することができる。
【0057】本発明の規定要件をすべて満足するNo.
1〜17の実施例は、耐水素脆性、腐食疲労寿命、疲労
特性のいずれにおいても良好な結果が得られている。
【0058】また、No.18の比較例ではC量が不足
し、要求硬さが得られず、ばね鋼として条件を満足して
いない。一方、C量を過剰に含むNo.19の比較例で
は、表1の「焼鈍要否」の欄を参照することから明らか
なように伸線前に焼鈍が必要となってコストアップを招
くという問題を有しているのみならず、表2の「耐水素
脆性」の欄を参照することから明らかなように耐水素脆
性が実施例のNo.1〜17に比べて著しく低下してい
る。No.20の比較例ではSi量が不足しており、要
求硬さが得られず、ばね鋼として条件を満足していな
い。
【0059】No.21の比較例ではMn量が過剰とな
っており、伸線前に焼鈍が必要でコストアップの問題を
有している。また、耐水素脆性についても、実施例のN
o.1〜17に比べて著しく低下している。No.22
の比較例はCr未添加であるため、耐水素脆性と腐食疲
労強度が実施例のNo.1〜17に比べて著しく低下し
ている。
【0060】No.23の比較例は多量のSを含有して
おり、多量の大型MnS系介在物が観察される。このた
め、No.23の比較例では、耐水素脆性の平均値では
実施例に対してほとんど劣化していないが、「耐水素脆
性 最低(sec )」の欄の試験結果が「耐水素脆性 平
均(sec )」の欄の試験結果よりも大幅に低くなってい
ることから明らかなように耐水素脆性のばらつきが大き
く、当該特性に劣る試験片が存在することがわかった。
【0061】No.24の比較例は多量のNを含有して
おり、その結果、実効Ti量が減少し、多量の大型Mn
S系介在物が観察された。このため、耐水素脆性、腐食
疲労寿命および疲労強度がともに実施例のNo.1〜1
7に比べて大幅に低下している。No.25の比較例で
は、Ti,Cu,Ca,Zrのいずれも添加しておらず
であり、耐水素脆性が実施例のNo.1〜17に比べて
大幅に劣化している。
【0062】No.26の比較例は、成分的には本特許
の成分範囲内であるが、成分のバランスが悪く、表2の
「MnS系介在物個数」の欄から明らかなように大型の
MnS系介在物の個数が多く、また同表の「MnS系介
在物Vf (% )/S(mass%)」の欄から明らかなよう
にMnS系介在物の体積率が大きくなっており、比較例
のNo.23と同様に、耐水素脆性の平均値では実施例
のNo.1〜17に比べてあまり劣化していないが、ば
らつきが大きく、当該特性に劣る試験片が存在すること
がわかる。
【0063】実施例2 次に、凝固速度の影響を検証した。ここでは、表1のN
o.7の実施例と同一成分を有する試験片を、真空溶解
炉で溶製し、10℃/minの平均凝固速度で鋳造した
後、上記実施例1と同様にして、試験片を作製した。そ
して、実施例1と同様の試験を行った。表3は、その試
験結果を示す。
【0064】
【表3】
【0065】同表から明らかなように、実施例のNo.
7よりも遅い凝固速度で作製した比較例のNo.27は
大型のMnS系介在物を数多く有することとなり、耐水
素脆性、特にばらつきが劣化していることがわかる。
【0066】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、大型
のMnS系介在物の個数、あるいはMnS系介在物の体
積率を制御することにより、ばね鋼の耐水素脆性および
疲労耐久性を向上させるとともに、S量の低減による改
善を図った場合に問題となった耐水素脆性のばらつきを
抑制することができ、高強度化と高応力化を増進しつつ
耐水素脆性を高め、更には疲労耐久性の改善されたばね
鋼、およびばね、また当該ばね鋼を安価で製造する製造
方法を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ばね鋼の縦断面を示す図である。
【符号の説明】
1 被顕面 2 ばね鋼 3 縦断面 4 (ばね鋼の)表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茨木 信彦 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神 戸製鋼所 神戸製鉄所内 (72)発明者 岩田 多加志 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式 会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 中山 武典 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式 会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−227748(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 8/06 C21D 9/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C :0.25〜0.70%(質量%を意
    味する、以下同じ)、 Si:1.0〜2.1%、 Mn:0.05〜0.49%、 Cr:0.05〜2.0%、 S :0.02%以下、 N :10〜200ppm、を含有するとともに、 Ti:0.001〜0.2%、 Cu:0.05〜0.5%、 Ca:0.0002〜0.01%、 Zr:0.001〜0.10%、よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種の元素を含有し、残部鉄および不可
    避的不純物からなり、 下記被顕面内に存在するMnを主成分とする硫化物もし
    くはそれをベースとする複合化合物であって長径8μm
    以上のものが20個以下であることを特徴とする耐水素
    脆性および疲労特性に優れたばね鋼。 被顕面:表面から0.3mm以上の深さで、かつ中心部
    を含まない領域から設定される20mm2 の広さの断
    面。
  2. 【請求項2】C :0.25〜0.70%、 Si:1.0〜2.1%、 Mn:0.05〜0.49%、 Cr:0.05〜2.0%、 S :0.02%以下、 N :10〜200ppm、を含有するとともに、 Ti:0.001〜0.2%、 Cu:0.05〜0.5%、 Ca:0.0002〜0.01%、 Zr:0.001〜0.10%、よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種の元素を含有し、残部鉄および不可
    避的不純物からなり、 下式(1) の関係を満足することを特徴とする耐水素脆性
    および疲労特性に優れたばね鋼。 Vf /[S] ≦2 …(1) Vf :被顕面内に存在するMnを主成分とする硫化物も
    しくはそれをベースとする複合化合物の体積率(%)、 [S] :Sの質量%、 ただし、被顕面とは、表面から0.3mm以上の深さ
    で、かつ中心部を含まない領域から設定される20mm
    2 の広さの断面を意味する。
  3. 【請求項3】 さらに、他の元素として、 Ni:0.05〜4.0% Mo:0.05〜3.0% Nb:0.001〜0.2% V :0.01〜0.5% Al:0.005〜0.1%よりなる群から選択される
    少なくとも1種の元素を含有する請求項1または2に記
    載のばね鋼。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のばね鋼
    を製造する方法であって、 鋳造時の平均凝固速度を、20℃/min以上とし、 得られた鋳造物を圧延または伸線することを特徴とする
    ばね鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載のばね鋼
    から製造されるばね。
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