JP3217955B2 - 電子放出素子製造用金属組成物並びにそれを用いた電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子製造用金属組成物並びにそれを用いた電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製造方法

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JP3217955B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子放出素子製造用の金
属組成物に関し、更に詳しくは、該金属組成物を用いた
電子放出素子、電子源、表示素子及び画像形成装置の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷陰極電子源として表面伝導型電子放出
素子(以下SCE素子と略す)が知られている。SCE
素子は基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行
に電流を流すことにより、電子放出が起こる現象を利用
するものである。この表面伝導型電子放出素子としては
前記エリンソン等によるSnO2 薄膜を用いたもの
[M.I.Elinson,Radio Eng.El
ectron Pys.,10,(1965)]のほ
か、Au薄膜を用いたもの[G.Dittmer.“T
hin Solid Films”,9,317(19
72)]、In23 /SnO2 薄膜を用いたもの
[M.Hartwell and C.G. Fons
tad:”IEEE Trans.ED Con
f.”,519(1975)]、カーボン薄膜を用いた
もの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁
(1983)]等が報告されている。これらのSCE素
子の典型的な素子構成として前述のM.ハートウェルの
素子構成を図1により説明する。同図において1は絶縁
性基板である。4は電子放出部を含む薄膜で、後述の通
電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部5
を形成したものである。また図中の素子の長さLは約
0.5mm〜1mm、素子の幅W’は約0.1mmであ
る。
【0003】従来、これらのSCE素子においては、電
子放出を行う前に電子放出部形成用薄膜を予めフォーミ
ングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を形成す
るのが一般的であった。即ち、フォーミングとは前記電
子放出部形成用薄膜の両端に電極2、3を用いて電圧を
印加通電し、電子放出部形成用薄膜を局所的に破壊、変
形もしくは変質させることにより、電気的に高抵抗な状
態の電子放出部5を形成することである。なお、フォー
ミングにより電子放出部形成用薄膜の一部に亀裂が発生
しその亀裂付近から電子放出が行われ電子放出部5とな
る場合もある。前記のフォーミング処理をしたSCE素
子は、上述の電子放出部を含む薄膜4に電圧を印加して
素子表面に電流を流すことにより、上述の電子放出部5
より電子を放出するものである。
【0004】電子放出部を含む薄膜は絶縁性基板上に導
電性材料が堆積された導電性薄膜からなるものであっ
て、絶縁性基板上に導電性材料を蒸着、スパッタリング
等の堆積技術で直接形成することが知られている。また
別に有機金属組成物の溶液を塗布乾燥し加熱焼成により
有機成分を熱分解除去して金属もしくは金属酸化物とし
て形成することができる。後者の方法は素子の形成に真
空装置を必要としないため、大面積の基板上に素子を形
成する場合などに有利な工程である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにいったん
金属組成物溶液を基板に塗布し、更にこれを加熱焼成し
て導電性薄膜を形成するために用いられる金属組成物溶
液は、基板上の所定の位置に所定のパターン状に塗布さ
れて塗膜を形成できることが望ましい。しかしながら発
明者らの知見によれば、金属組成物溶液を基板に塗布し
た場合には必ずしも基板上に所定パターンの塗膜が得ら
れないあるいは塗膜の厚さが均一とならない場合がある
ことが判明した。
【0006】基板にパターン状に塗布した際に所定パタ
ーンの塗膜が得られなかった種々の液状組成物について
検討したところ、主に2つの現象のいずれかが起こるこ
とで所望のパターンの形成に失敗することが判明した。
その現象とは第1には基板が塗布された液を撥いてしま
い連続した塗膜が残らずに塗布された液が液滴となって
しまうことである。また第2の現象は逆に液が基板によ
く濡れ過ぎてしまい、塗布した液が所定の範囲の外まで
広がってしまうことである。これは塗布した液の基板へ
の濡れの程度で決まるものであることは容易に推察され
る。したがって塗布する液状組成物の基板に対する接触
角を検討するならば、基板に対して塗布するに適当な接
触角を有する液状組成物を見いだすことは可能と予測さ
れる。しかしながら、さらに詳細に検討したところ、液
状組成物の基板に対する接触角を一定の範囲に選んで
も、必ずしも良好な塗膜パターンを得られないことが判
明した。
【0007】さらに、電子放出素子を作成する基板は素
子に電流を供給するための電極や配線が存在するため必
ずしも均一な表面とは限らない。素子電極をすでに形成
済みの絶縁性基板に後から電子放出部形成用薄膜を作成
する目的で金属組成物を塗布する場合には、前記金属組
成物は金属面と絶縁性基板面の両方に適度に濡れること
が必要である。しかしながら金属の表面と絶縁性基板の
表面とでは性質が著しく異なるので、両方に同等かつ適
度に濡れる液状組成物は簡単には得られない。
【0008】本発明の目的は、基板に塗布すると均一な
厚さの塗膜が得られ、また基板表面の材質にあまり影響
されることなくパターン状に塗布すると所定パターンの
塗膜が得られる電子放出素子製造用の金属組成物溶液を
提供することにある。
【0009】本発明の目的はまた、電子放出部形成用薄
膜の製造工程において所定形状で均質な導電性薄膜を形
成し、特性の安定した電子放出素子、表示素子、画像形
成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、水溶性の金属化合物
と部分エステル化ポリビニルアルコールとを含有する
(エーテル、アセチレンアルコールまたはアセチレング
リコールを含む場合を除く)ことを特徴とする電子放出
素子製造用の金属組成物を用いることにより、上記従来
技術の課題を解決することが出来ることを見出し本発明
に至った。
【0011】また、本発明は、電子放出素子、電子源、
表示素子および画像形成装置の製造方法をも包含する。
【0012】本発明の電子放出素子の製造方法は、対向
する電極間に電子放出部を有する電子放出素子で、電子
放出材料を含む金属組成物を基板に付与する工程と前記
の金属組成物を付与された基板を加熱焼成する工程とを
経て電子放出部を形成する電子放出素子の製造におい
て、前記金属組成物を本発明の金属組成物を用いたこと
を特徴とするものである。
【0013】本発明の電子源の製造方法は、電子放出素
子と該素子への電圧印加手段を具備する電子源の製造方
法であって、該電子放出素子を本発明の前記電子放出素
子の製造方法で製造したことを特徴とするものである。
【0014】本発明の表示素子の製造方法は、電子放出
素子と該素子への電圧印加手段を具備する電子源と、該
素子から放出される電子を受けて発光する発光体とを具
備する表示素子の製造方法であって、該電子放出素子を
本発明の前記電子放出素子の製造方法で製造したことを
特徴とするものである。
【0015】本発明の画像形成装置の製造方法は、電子
放出素子と該素子への電圧印加手段を具備する電子源
と、該素子から放出される電子を受けて発光する発光体
と、外部信号に基づいてを該素子へ印加する電圧を制御
する駆動回路とを具備する画像形成装置の製造方法であ
って、該電子放出素子を本発明の前記電子放出素子の製
造方法で製造したことを特徴とするものである。
【0016】以下、本発明の電子放出素子製造用の金属
組成物について詳しく説明する。
【0017】上述のように本発明は電子放出素子製造用
の金属組成物として、水溶性金属化合物と部分エステル
化ポリビニルアルコールを含有する液体であることを特
徴とする金属組成物を提供するものである。
【0018】また本発明は電子放出素子の製造方法とし
て、電子放出材料を含む金属組成物を基板に付与する工
程と前記の金属組成物を付与された基板を加熱焼成する
工程とを経て電子放出部を形成する表面伝導型電子放出
素子の製造方法において、前記の金属組成物が水を主成
分とし、金属化合物と部分エステル化ポリビニルアルコ
ールを含有する液体であることを特徴とする電子放出素
子の製造方法を提案するものである。
【0019】本発明で用いられる前記の金属化合物は水
溶性の金属化合物であって、金属のハロゲン化合物、硝
酸化合物、亜硝酸化合物、アミン錯体、有機アンミン錯
体等の金属塩あるいは金属錯体であって、特に有機金属
化合物が焼成の容易さから適当である。前記の有機金属
化合物の例としては金属の有機酸塩を挙げることがで
き、その有機酸としては具体例をあげるならば蟻酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸等の炭素数1ないし4のカルボキシル基を
有する酸のいずれかをあげることができる。特には酢
酸、プロピオン酸が好適に用いられる。炭素数5以上の
酸の金属塩では水への溶解度が低くなり、電子放出素子
の製造方法において基板に付与する溶液における金属の
含有量が低くなるため使用しがたくなる。
【0020】前記金属組成物の金属濃度範囲は、用いる
金属化合物の種類によって最適な範囲が多少異なるが、
重量で0.1%以上、2%以下の範囲が適当である。金
属濃度が低すぎる場合、基板に所望の量の金属を付与す
るために多量の前記溶液の付与が必要になる。また、前
記溶液を液滴として付与する場合には、液滴付与に要す
る時間が長くなるのみならず、基板上に無用に大きな液
溜りを生じてしまい所望の位置のみに金属を付与する目
的が達成できなくなる。逆に前記溶液の金属濃度が高す
ぎると、基板に付与された液が後の工程で乾燥あるいは
焼成される際に著しく不均一化し、その結果として電子
放出部の導電膜が不均一になり電子放出素子の特性を悪
化させる。
【0021】本発明で用いられる前記の有機金属化合物
の金属元素としては、白金、パラジウム、ルテニウム等
の白金族元素、金、銀、銅、クロム、タンタル、鉄、タ
ングステン、鉛、亜鉛、スズ等を用いることができる。
【0022】特に水に対する溶解性が良好で溶液が長期
にわたり保存可能な安定性を有し、基板に溶液を塗布し
乾燥した場合に塗膜内に結晶生成等の不均一化が起こり
がたく、焼成の容易な有機金属化合物として、上記金属
化合物にヒドロキシアルキルアミンを含有した有機金属
化合物が、好ましく用いられる。例として、金属のエタ
ノールアミン・カルボン酸錯体をあげることができる。
具体的には、エタノールアミンと酢酸基とパラジウムと
からなる有機金属化合物が良好に用いられる。本発明で
用いられる、電子放出部導電膜の形成のために基板に付
与される前記の金属組成物液体は、水を主成分とし上述
の金属化合物と部分エステル化ポリビニルアルコールと
を含有する液体である。
【0023】前記の部分エステル化ポリビニルアルコー
ルとは、ビニルアルコール単位とビニルエステル単位と
を含んでなる高分子である。例えば通常に入手可能な
「完全」加水分解ポリビニルアルコールを各種のアシル
化剤、すなわち無水酢酸等のカルボン酸無水物や塩化ア
セチル等のハロゲン化アシルにより部分的にエステル化
して得られる高分子は部分エステル化ポリビニルアルコ
ールである。また通常のポリビニルアルコールの製造工
程すなわちポリ酢酸ビニルの加水分解によるポリビニル
アルコールの製造において、ポリ酢酸ビニルの加水分解
を反応途中で停止し完全に加水分解せずに得られるいわ
ゆる部分加水分解ポリビニルアルコールもまた部分エス
テル化ポリビニルアルコールにあたる。入手の容易性と
コストの面からは、この部分加水分解ポリビニルアルコ
ールが本発明に用いられる部分エステル化ポリビニルア
ルコールとして最も有用である。
【0024】前記エステルを形成するアシル基としては
上ですでに明らかにしたアセチル基のほか、プロピオニ
ル基、ブチロイル基、ステアロイル基等の脂肪族カルボ
ン酸由来のアシル基が利用可能である。これらアシル基
は炭素原子数2以上であることが必要である。いっぽう
本発明に利用できるアシル基の炭素原子数の上限につい
ては明確な限界がみいだされず、少なくとも実験的には
炭素数18のアシル基は有効であることが判明してい
る。
【0025】前記の部分エステル化ポリビニルアルコー
ルのエステル化の程度は重要である。例えば通常入手で
きるいわゆる「完全」加水分解ポリビニルアルコールす
なわちアセチル基が99%程度除去されたポリ酢酸ビニ
ル加水分解物は本発明で用いる金属組成物において、塗
膜安定化効果がほとんど認められない。また逆に、ポリ
酢酸ビニルそのもののように完全にエステル化されたポ
リビニルアルコールでは水への溶解性が低いために本発
明で用いる金属組成物に含有させることが困難である。
実際に本発明において使用可能な部分エステル化ポリビ
ニルアルコールのエステル化率は5モル%以上25モル
%以下の範囲であり、特に8モル%以上22モル%以下
の範囲において最も有効である。なおここで言うエステ
ル化率とは、高分子の全ビニルアルコール繰り返し単位
数に対する結合したアシル基の数の割合のことで、これ
は元素分析や赤外吸収分析などの手段で定量することが
できる。
【0026】前記の部分エステル化ポリビニルアルコー
ルの重合度は400以上2000以下を用いるべきであ
る。この範囲以下においては金属組成物の塗膜が安定に
形成され難い。またこの範囲以上においては金属組成物
の溶液粘度が高くなり、塗布工程において使用に問題を
生じたり塗膜が厚くなる傾向がある。適当な厚さの電子
放出部導電膜の形成には重合度450以上1200以下
の部分エステル化ポリビニルアルコールの使用が最も良
好である。
【0027】本発明で用いる前記金属組成物における前
記の部分エステル化ポリビニルアルコールの濃度は0.
01%以上0.5%以下が適当である。この濃度範囲未
満においては前記高分子の添加の効果が充分認められな
い。この濃度範囲より高濃度の場合は金属組成物の粘度
の上昇により塗布工程に問題が生じたり、加熱焼成の際
に高分子成分の分解消失が完全に進まず電子放出部に有
機成分が残留する結果になる場合がある。
【0028】本発明で用いる前記金属組成物は、水溶性
多価アルコールを含むことが望ましい。ここで言う多価
アルコールとは分子内に複数のアルコール性水酸基を有
する化合物のことである。特に炭素数2ないし4の常温
において液体の多価アルコール、具体的にはエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオール、2
−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ジエ
チレングリコール、グリセリン、1,2,4−ブタント
リオール等が本発明の金属組成物への添加に有用であ
る。
【0029】前記の多価アルコールは本発明で用いる前
記金属組成物に5%以下、特に0.2%から3%の範囲
で含有させることが望ましい。これより高濃度では基板
に塗布した金属組成物の乾燥が遅くなり好ましくない。
【0030】また本発明で用いる前記金属組成物は、水
溶性一価アルコールを含むことが望ましい。用いること
のできる水溶性一価アルコールは炭素原子数1ないし4
の常温で液体の水溶性一価アルコールで、具体的として
はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プ
ロパノール、2−ブタノール等をあげることができる。
【0031】前記の水溶性一価アルコールは前記の金属
組成物に対して40重量%以下となるように加えられる
べきで、これ以上の添加は前記の水溶性有機金属化合物
の溶解性を低下せしめたり、基板に部分的に塗布した場
合に基板上で塗膜が広がってしまい所望の領域に限って
塗膜を形成することが困難になる場合がある。前記の金
属組成物を基板に部分的に塗布する場合には特に好まし
くは前記の水溶性一価アルコールを5重量%から35重
量%の範囲とすべきである。
【0032】前記の金属組成物を絶縁性基板上に塗布し
て塗膜とした後、後述するように乾燥加熱焼成すること
により有機成分が分解消失して導電性薄膜が基板上に形
成される。前記の塗布手段としてはディッピング、スピ
ン塗布、スプレー塗布等の従来公知の液体塗布手段を用
いることができる。特に前述した水を主成分とし金属化
合物と部分エステル化ポリビニルアルコールを含有する
液体である金属組成物を用いるならば塗布する基板の材
質や塗布手段にほとんど依存することなく容易に均質な
塗膜を形成することができ、均質な導電性薄膜とするこ
とができる。
【0033】通常、電子放出素子を作成する目的におい
て前記の導電性薄膜は基板上の所定の位置に所定の形状
として形成する必要がある。そのような導電性薄膜の部
分的形成の方法としては、導電性薄膜をいったん基板上
に形成した後に不要部分を除去することにより所定位置
にのみ導電性薄膜を残す方法あるいは、前記の金属組成
物塗膜をいったん基板上に形成した後に不要な塗膜部分
を除去してから加熱焼成して所定位置にのみ導電性薄膜
を形成する方法あるいは、基板上の所定の位置のみに前
記の金属組成物を塗布して加熱焼成することにより所定
位置にのみ導電性薄膜を形成する方法を用いることがで
きる。
【0034】前記の基板上の所定位置のみに金属組成物
を塗布する工程は、マスクを介してディッピング、スピ
ン塗布、スプレー塗布等の従来公知の液体塗布手段を用
いて行う工程であってもよいが、マスクを用いることな
く基板上の所定の位置にのみ前記金属組成物の液滴を付
与する工程であってもよい。
【0035】上記の金属組成物液滴を基板に付与する手
段は、液滴を形成し付与することが可能ならば任意の方
法でよいが、特に微小な液滴を効率良く適度な精度で発
生付与でき制御性も良好なインクジェット方式が便利で
ある。インクジェット方式にはピエゾ素子等のメカニカ
ルな衝撃により液滴を発生付与するものや、微小ヒータ
ー等で液を加熱し突沸により液滴を発生付与するバブル
ジェット方式などがあるが、いずれの方式でも十ナノグ
ラム程度から数十マイクログラム程度までの微小液滴を
再現性良く発生し基板に付与することができる。
【0036】前記液滴付与工程においては基板上の同一
位置に液滴を必ずしも一回付与するのみに限る必要はな
く、液滴を複数回付与して所望量の金属組成物を基板上
に与えてもよい。液滴を基板上に独立した状態に付与す
るならば一般には基板上に円形かそれに近い形状の小塗
膜となる。しかし基板上の付与位置を前記の円形の直径
より小さい距離だけ離れた位置にずらして複数の液滴を
付与することにより、連続した任意の形状の大きな塗膜
を形成することが可能である。
【0037】上記手段で基板に付与された金属組成物は
乾燥、焼成工程を経て導電性無機微粒子膜とすることに
より、基板上に電子放出のための無機微粒子膜を形成す
る。なおここで述べる微粒子膜とは複数の微粒子が集合
した膜であり、微視的に微粒子が個々に分散配置した状
態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは重なり合っ
た状態(島状も含む)の膜をさす。また微粒子膜の粒径
とは、前記状態で粒子形状が認識可能な微粒子について
の径を意味する。
【0038】乾燥工程は通常用いられる自然乾燥、送風
乾燥、熱乾燥等を用いればよい。前記の液体付与された
基板を例えば70℃から130℃の電気乾燥器に30秒
から2分程度入れることにより乾燥することができる。
焼成工程は通常用いられる加熱手段を用いればよい。焼
成の温度は有機金属化合物が分解して無機微粒子が生成
するに充分な温度とすべきであるが、通常は150℃以
上、500℃以下とする。焼成は還元性気体雰囲気、酸
化性気体雰囲気、不活性気体雰囲気あるいは真空のいず
れも利用し得る。還元性あるいは真空の条件下では有機
金属化合物の熱分解により金属微粒子が生成することが
多い。いっぽう酸化性の条件下では金属酸化物の微粒子
が生成することが多い。しかし焼成雰囲気と生成微粒子
の酸化状態は単純に前記のように定まるものでない。例
えば酸化性気体雰囲気下での焼成工程であっても有機金
属化合物が分解して最初に生成するものは金属微粒子で
あって、さらに焼成を続けることにより前記の金属が酸
化されて金属酸化物の微粒子が生成するという場合もあ
る。生成したものが金属であれ、金属酸化物であれ、導
電性を有する微粒子膜を形成しているならば本発明の電
子放出素子に利用することができる。焼成装置の簡略化
や製造コストの低減の観点からは空気雰囲気下で行なう
焼成工程が優れている。最適な焼成時間は用いる有機金
属化合物の種類、焼成雰囲気や焼成温度により変わるも
のであるが、通常は2分ないし40分程度である。焼成
温度は一定でもよいが、所定のプログラムにしたがって
変化させてもよい。前記の乾燥工程と焼成工程とは必ず
しも区別された別工程として行なう必要はなく、連続し
て同時に行なってもかまわない。製造方法の説明 以下に本発明に従う表面伝導型電子放出素子の製造につ
いて説明する。なお、ここでは平面構造の電子放出素子
について述べるが、本発明の製造方法はこの平面型電子
放出素子の製造に限られるものではない。
【0039】図1は、それぞれ、本発明に好適な基本的
な表面伝導型電子放出素子の構成を示す模式的平面図お
よび断面図である。図1を用いて、本発明に好適な電子
放出素子の基本的な構成を説明する。
【0040】図1において1は基板、2と3は素子電
極、4は導電性薄膜、5は電子放出部である。基板1と
しては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少した
ガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等により
形成したSiO2 を積層したガラス基板等およびアルミ
ナ等のセラミックス等が、用いられる。
【0041】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的導体材料が、用いられ、例えば、Ni,Cr,A
u,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等の金属
あるいは合金および、Pd,Ag,Au,RuO2 ,P
d−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構
成される印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電
体およびポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選
択される。
【0042】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜4の形状等は、応用される形態等によって、設計さ
れる。
【0043】素子電極間隔Lは、好ましくは、数百Åよ
り数百μmであり、より好ましくは、素子電極間に印加
する電圧等により、数μmより数十μmである。
【0044】素子電極長さWは、好ましくは、電極の抵
抗値、電子放出特性により、数μmより数百μm、また
素子電極2,3の膜厚dは、数百Åより数μmである。
【0045】なお、図1の構成だけでなく、基板1上
に、導電性薄膜4、対向する素子電極2,3の電極順に
積層構成してもよい。
【0046】導電性薄膜4は、良好な電子放出特性を得
るためには、微粒子で構成された微粒子膜が、特に好ま
しく、その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバレ
ージ、素子電極2,3間の抵抗値および後述する通電フ
ォーミング条件等によって、適宜設定され、好ましく
は、数Åより数千Åで、特に好ましくは10Åより50
0Åであり、その抵抗値は103より107オーム/□の
シート抵抗値を示す。
【0047】また、導電性薄膜4を構成する材料の具体
例を挙げるならば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,T
i,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,
Pb等の金属、PdO,SnO2 ,In23 ,Pb
O,Sb23 等の酸化物、等があげられる。
【0048】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜
をさしており、微粒子の粒径は、数Åより数千Å、好ま
しくは、10Åより200Åである。
【0049】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂であり、導電性薄膜4の膜厚、膜
質、材料および後述する通電フォーミング等の製法に依
存して形成される。前記の亀裂部は数Åより数百Åの粒
径の導電性微粒子を有することもある。この導電性微粒
子は、導電性薄膜4を構成する材料の元素の一部、ある
いは全てと同様のものである。また、電子放出部5およ
びその近傍の導電性薄膜4には、炭素および炭素化合物
を有することもある。
【0050】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法が考えられるが、その一例を図2に
示す。以下、順をおって製造方法の説明を図1および図
2に基づいて説明する。なお、図1と同一の符号のもの
は、同一である。
【0051】1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤に
より十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等により素
子電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術により
該基板1上に素子電極2,3を形成する(図2
(a))。
【0052】2)素子電極2,3を設けた基板1上に、
前記の本発明の電子放出素子製造用金属組成物を塗布し
て塗膜を形成する。塗布の手段としてはスピン塗布、デ
ィッピング、スプレー塗布等の通常の液体塗布手段を用
いることができる。また別の塗布手段としてピエゾ方式
や加熱発泡(バブルジェット)方式等のインクジェット
に代表される液滴付与手段を用いることもできる(図2
(b))。この後、前記の塗膜を加熱焼成して有機成分
を分解させて導電性薄膜4を得る(図2(c))。導電
性薄膜4を所望の平面形状とするためには前記の塗膜の
加熱焼成前あるいは後にリフトオフ、エッチングレーザ
ートリミング等のパターニング処理を行い不要部分を除
去すればよい。適当な液滴付与手段を用いた場合には所
望の導電性薄膜のパターン形状の塗膜を形成可能であ
り、この場合には前記のパターニング処理を省略するこ
とができる。
【0053】前記の液滴付与手段とは、液体を1μm以
上1000μm以下の大きさの小滴とし、これを一滴も
しくは複数滴用いて被塗布面に塗布を行う手段である。
またインクジェットとは、前記の液体小滴を形成したう
え被塗布面に向けて射出して主に液体小滴の慣性により
前記の液体小滴を被塗布面に移行させる液滴付与手段で
ある。通常前記のインクジェットは被塗布面上の所望の
位置に液体小滴を移行させる目的で、液滴射出部と被塗
布面との相対位置を変化させる手段や、前記の慣性によ
り移行中の液体小滴に対して静電気等の非接触による外
力を作用させて液体小滴の飛行方向を調整する手段を併
用する場合が多い。
【0054】前記のピエゾ方式とはインクジェットの一
方式であって、液体小滴の形成と射出に、圧電体に電圧
を印加した際の変形力を利用する方式である。また前記
のバブルジェット方式とはインクジェットの一方式であ
って、液体小滴の形成と射出に、液体を小空間で加熱し
た際の突沸の力を利用する方式である。
【0055】上記のように塗布を行った有機金属薄膜を
加熱焼成すると、通常有機成分は1000℃以下、ほと
んどの場合300℃前後で分解して金属、金属酸化物な
どの無機化合物、あるいはそれらの表面に炭素数の小さ
な簡単な有機物が吸着した組成物に変化する。本発明の
金属組成物の特徴は部分エステル化ポリビニルアルコー
ルを含有することである。ポリビニルアルコールは単独
では空気中で加熱した場合に200℃程度で分解が始ま
り、約500℃で有機成分が観測されなくなる。しかし
金属化合物と混合した状態で加熱を行うと約300℃ま
でに有機成分が観測されなくなる場合が多かった。これ
は金属化合物、あるいはそれらの加熱焼成によって生じ
た金属や金属酸化物がポリビニルアルコールの熱分解を
促進しているものと考えられる。上述のようなことから
前記の基板加熱焼成温度はほとんどの金属組成物の場合
に、200℃から500℃であり、低温熱分解で目的と
する導電性薄膜4を得ることができた。
【0056】通常前記のようにして形成された導電性薄
膜は、微視的には金属組成物に含まれていた金属原子が
数個から数千個凝集した微粒子が多数集合した形態を有
する。
【0057】3)つづいて、フォーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極2、3間に不図示の電源を
用いて、適当な真空度のもとで通電を行うと、導電性薄
膜4の部位に、構造の変化した電子放出部5が形成され
る(図2(d))。通電フォーミングによれば導電性薄
膜4を局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化
した部位が形成される。該部位が電子放出部5を構成す
る。通電フォーミングの電圧波形の例を図3に示す。
【0058】電圧波形は、パルス波形が好ましい。これ
にはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加
する図3(a)に示した手法とパルス波高値を増加させ
ながら電圧パルスを印加する図3(b)に示した手法が
ある。
【0059】図3(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1μ秒〜
10m秒、T2は、10μ秒〜100m秒の範囲で設定
される。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク
電圧)は、表面伝導型電子放出素形態に応じて適宜選択
される。このような条件のもと、例えば、数秒から数十
分間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定される
ものではなく、矩形波など所望の波形を採用することが
できる。
【0060】図3(b)におけるT1及びT2は、図3
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度ずつ、増加させることができる。
【0061】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性薄膜2を局所的に破壊、変形しない
程度の電圧を印加し、電流を測定して検知することがで
きる。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる素子
電流を測定し、抵抗値を求めて、1Mオーム以上の抵抗
を示した時、通電フォーミングを終了させる。
【0062】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If、放出電流Ieが、
著しく変化する工程である。
【0063】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことで行うことができる。この雰囲
気は例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを用い
て真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する有機
ガスを利用して形成することができる他、イオンポンプ
などにより一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質
のガスを導入することによっても得られる。このときの
好ましい有機物質のガス圧は、前述の応用の形態、真空
容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため場
合に応じ適宜設定される。適当な有機物質としては、ア
ルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香
族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン
類、アミン類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の
有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メタン、
エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水
素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表
される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノー
ル、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エ
チルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等
が使用できる。この処理により、雰囲気中に存在する有
機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆積
し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するよ
うになる。
【0064】活性化工程の終了判定は素子電流Ifと放
出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なお、パルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0065】炭素及び炭素化合物とは、グラファイト
(いわゆるHOPG,PG,GCを包含する、HOPG
はほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が
200Å程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶
粒が20Å程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくな
ったものを指す)、非晶質カーボン(アモルファスカー
ボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの
微結晶の混合物を指す)であり、その膜厚は、500Å
以下の範囲とするのが好ましい。
【0066】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことが出来る。
【0067】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプを用い、これから発生するオイル成分に由来す
る有機ガスを用いた場合は、この成分の分圧を極力低く
抑える必要がある。真空容器内の有機成分の分圧は、上
記の炭素及び炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分圧で
1×10-8torr以下が好ましく、さらには1×10
-10 torr以下が特に好ましい。さらに真空容器内を
排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器
内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気し
やすくするのが好ましい。このときの加熱条件は80〜
200℃で5時間以上が望ましいが、特にこの条件に限
るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素
子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条件により行
う。真空容器内の圧力は極力低くすることが必要で、1
〜3×10-7torr以下が好ましく、さらに1×10
-8torr以下が特に好ましい。
【0068】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することが出来る。
【0069】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制でき、
結果として素子電流If、放出電流Ieが、安定する。
【0070】上述した工程を経て得られた本発明を適用
可能な電子放出素子の基本特性について図4、図5を参
照しながら説明する。
【0071】図4は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図4においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。図4において、45は真空容器であり、46は
排気ポンプである。真空容器45内には電子放出素子が
配されている。即ち、1は電子放出素子を構成する基体
であり、2及び3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電
子放出部である。41は、電子放出素子に素子電圧Vf
を印加するための電源、40は素子電極2・3間の導電
性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流
計、44は素子の電子放出部より放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極である。43はアノー
ド電極44に電圧を印加するための高圧電源、42は素
子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定す
るための電流計である。一例として、アノード電極の電
圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード電極と電子
放出素子との距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定
を行うことができる。
【0072】真空容器45内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気中での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ46は、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系と更に、イオンポンプ
等からなる超高真空装置系とにより構成されている。こ
こに示した電子源基板を配した真空処理装置の全体は、
不図示のヒーターにより200℃まで加熱できる。従っ
て、この真空処理装置を用いると、前述の通電フォーミ
ング以降の工程も行うことができる。
【0073】図5の実線は図4に示した真空処理装置を
用いて測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電
圧Vfの関係を模式的に示した図である。図5において
は、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さい
ので、任意単位で示している。尚、縦、横軸ともリニア
スケールである。
【0074】図5からも明らかなように、本発明を適用
可能な表面伝導型電子放出素子は、放出電流Ieに関し
て対する三つの特徴的特性を有する。
【0075】即ち、(i)本素子はある電圧(しきい値
電圧と呼ぶ、図5中のVth)以上の素子電圧を印加す
ると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧V
th以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。つ
まり、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vth
を持った非線形素子である。
【0076】(ii)放出電流Ieが素子電圧Vfに単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制
御できる。
【0077】(iii)アノード電極44に捕捉される
放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。
すなわち、アノード電極44に捕捉される電荷量は、素
子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0078】以上の説明により理解されるように、本発
明を適用可能な表面伝導型電子放出素子は、入力信号に
応じて、電子放出特性を容易に制御できることになる。
この性質を利用すると複数の電子放出素子を配して構成
した電子源、画像形成装置等、多方面への応用が可能と
なる。
【0079】図5においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(以下、「MI特性」とい
う。)例を実線に示した。素子電流Ifが素子電圧Vf
に対して電圧制御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特
性」という。)を示す場合もある(破線により図示)。
また、これら特性は、前述の工程を制御することで制御
できる。本発明を適用可能な電子放出素子の応用例につ
いて以下に述べる。本発明を適用可能な表面伝導型電子
放出素子の複数個を基板上に配列し、例えば電子源ある
いは、画像形成装置が構成できる。
【0080】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。
【0081】一例として、並列に配置した多数の電子放
出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を多数
個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直行する方向(列
方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制御電
極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子からの電
子を制御駆動するはしご状配置のものがある。これとは
別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数
配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極の一
方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された
複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線に共
通に接続するものが挙げられる。このようなものは所謂
単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配置に
ついて以下に詳述する。
【0082】本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子については、前述したとおり(i)ないし(iii)
の特性がある。即ち、表面伝導型電子放出素子からの放
出電子は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間
に印加するパルス状電圧の波高値と巾で制御できる。一
方、しきい値電圧以下では、殆ど放出されない。この特
性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合におい
ても、個々の素子に、パルス状電圧を適宜印加すれば、
入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して
電子放出量を制御できる。
【0083】以下この原理に基づき、本発明を適用可能
な電子放出素子を複数配して得られる電子源基板につい
て、図6を用いて説明する。図6において、61は電子
源基板、62はX方向配線、63はY方向配線である。
64は表面伝導型電子放出素子、65は結線である。
【0084】m本のX方向配線62はDx1,Dx2,
・・・Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ
法等を用いて形成された導電性金属等で構成することが
できる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設定される。Y
方向配線63はDy1,Dy2,・・・Dynのn本の
配線よりなり、X方向配線62と同様に形成される。こ
れらm本のX方向配線62とn本のY方向配線63との
間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を
電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0085】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線62を形成した基板61の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線62とY方向配線63の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
62とY方向配線63は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0086】表面伝導型放出素子64を構成する一対の
電極(不図示)は、m本のX方向配線62とn本のY方
向配線63と、導電性金属等からなる結線65によって
電気的に接続されている。
【0087】配線62と配線63を構成する材料、結線
65を構成する材料、および一対の素子電極を構成する
材料はその構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0088】X方向配線62には、X方向に配列した表
面伝導型放出素子64の行を選択するための走査信号を
印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一
方、Y方向配線63には、Y方向に配列した表面伝導型
放出素子64の各列を入力信号に応じて、変調するため
の不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放出
素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走
査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0089】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0090】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図7と図8及び
図9を用いて説明する。図7は、画像形成装置の表示パ
ネルの一例を示す模式図であり、図8は、図7の画像形
成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図9はNT
SC方式のテレビ信号に応じて表示を行うための駆動回
路の一例を示すブロック図である。
【0091】図7において、61は電子放出素子を複数
配した電子源基板、71は電子源基板61を固定したリ
アプレート、76はガラス基板73の内面に蛍光膜74
とメタルバック75等が形成されたフェースプレートで
ある。72は支持枠であり該支持枠72には、リアプレ
ート71、フェースプレート76がフリットガラス等を
用いて接続されている。78は外囲器であり、例えば大
気中あるいは、窒素中で、400〜500℃の温度範囲
で10分以上焼成することで、封着して構成される。
【0092】64は図1における電子放出部に相当す
る。62、63は表面伝導型電子放出素子の一対の素子
電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0093】外囲器78は上述の如く、フェースプレー
ト76、支持枠72、リアプレート71で構成される。
リアプレート71は主に基板61の強度を補強する目的
で設けられるため、基板61自体で十分な強度を持つ場
合は別体のリアプレート71は不要とすることができ
る。即ち、基板61に直接支持枠72を封着し、フェー
スプレート76、支持枠72及び基板61で外囲器78
を構成しても良い。一方、フェースプレート76、リア
プレート71間に、スペーサーとよばれる不図示の支持
体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を
もつ外囲器78の構成することもできる。
【0094】図8は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜74は、モノクロームの場合は蛍光体のみから構成す
ることができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配
列によりブラックストライプあるいはブラックマトリク
スなどと呼ばれる黒色導電材81と蛍光体82とから構
成することができる。ブラックストライプ、ブラックマ
トリクスを設ける目的は、カラー表示の場合、必要とな
る三原色蛍光体の各蛍光体82間の塗り分け部を黒くす
ることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜74に
おける外光反射によるコントラストの低下を抑制するこ
とにある。ブラックストライプの材料としては、通常用
いられている黒鉛を主成分とする材料の他、導電性があ
り、光の透過及び反射が少ない材料を用いることができ
る。
【0095】ガラス基板73に蛍光体を塗布する方法は
モノクローム、カラーによらず、沈殿法、印刷法等が採
用できる。蛍光膜74の内面側には通常メタルバック7
5が設けられる。メタルバックを設ける目的は、蛍光体
の発光のうち内面側への光をフェースプレート76側へ
鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子ビ
ーム加速電圧を印加するための電極として作用させるこ
と、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージ
から蛍光体を保護すること等である。メタルバックは、
蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通
常、「フィルミング」と呼ばれる)を行い、その後A1
を真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0096】フェースプレート76には、更に蛍光膜7
4の導電性を高めるため、蛍光膜74の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0097】前述の封着を行う際には、カラーの場合は
各色蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、
十分な位置合わせが不可欠となる。
【0098】図9に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。
【0099】外囲器78は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の
排気管を通じて排気し、10-7torr程度の真空度の
有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成され
る。外囲器78の封止後の真空度を維持するために、ゲ
ッター処理をおこなうこともできる。これは、外囲器7
8の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるい
は高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器78内の所
定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸
着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主
成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×
10-5ないしは1×10-7torrの真空度を維持する
ものである。ここで、表面伝導型電子放出素子のフォー
ミング処理以降の工程は、適宜設定できる。
【0100】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図9を用いて説明する。図9において、91
は画像表示パネル、92は走査回路、93は制御回路、
94はシフトレジスタである。95はラインメモリ、9
6は同期信号分離回路、97は変調信号発生器、Vxお
よびVaは直流電圧源である。
【0101】表示パネル91は、端子Dox1ないしD
oxm、端子Doy1ないしDoyn、及び高圧端子H
vを介して外部の電気回路と接続している。端子Dox
1ないしDoxmには、表示パネル内に設けられている
電子源、即ち、M行N列の行列状にマトリクス配線され
た表面伝導型電子放出素子群を一行(N素子)ずつ順次
駆動する為の走査信号が印加される。
【0102】端子Dy1ないしDynには、前記走査信
号により選択された一行の表面伝導型電子放出素子の各
素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印加さ
れる。高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば
10kVの直流電圧が供給されるが、これは表面伝導型
電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体を励起
するのに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧であ
る。
【0103】走査回路92について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1ないしSmで模式的に示している)ある。各ス
イッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは
0V(グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示
パネル91の端子Dx1ないしDxmと電気的に接続さ
れる。S1ないしSmの各スイッチング素子は、制御回
路93が出力する制御信号Tscanに基づいて動作す
るものであり、例えばFETのようなスイッチング素子
を組み合わせる事により構成する事ができる。
【0104】直流電圧源Vxは、本例の場合には表面伝
導型電子放出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基
づき、走査されていない素子に印加される駆動電圧が電
子放出しきい値電圧以下となるような一定電圧を出力す
るよう設定されている。
【0105】制御回路93は、外部より入力する画像信
号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動作を
整合させる機能を有する。制御回路93は、同期信号分
離回路96より送られる同期信号Tsyncに基づい
て、各部に対してTscanおよびTsftおよびTm
ryの各制御信号を発生する。
【0106】同期信号分離回路96は、外部から入力さ
れるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分
離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路96により分離された同期信号は、垂直同期信
号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上、
Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分
離された画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号と表
した。該DATA信号はシフトレジスタ94に入力され
る。
【0107】シフトレジスタ94は、時系列的にシリア
ルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路93より送られる制御信号Tsftに基づいて動作
する(すなわち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
94のシフトクロックであると言うこともできる)。シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放出
素子N素子分の駆動データに相当)のデータは、Id1
ないしIdnのN個の並列信号として前記シフトレジス
タ94より出力される。
【0108】ラインメモリ95は、画像1ライン分のデ
ータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、
制御回路93より送られる制御信号Tmryに従って適
宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶された内
容は、I’d1ないしI’dnとして出力され、変調信
号発生器97に入力される。
【0109】変調信号発生器97は、前記画像データ
I’d1ないしI’dnの各々に応じて、表面電動型電
子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号源であ
り、その出力信号は、端子Doy1ないしDoynを通
じて表示パネル91内の表面伝導型電子放出素子に印加
される。
【0110】前述したように、本発明を適用可能な電子
放出素子は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有し
ている。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vth
があり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放出
が生じる。電子放出しきい値以上の電圧に対しては、素
子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化する。こ
のことから、本素子にパルス状の電圧を印加する場合、
例えば電子放出しきい値以下の電圧を印加しても電子放
出は生じないが、電子放出しきい値の電圧を印加する場
合には電子ビームが出力される。その際、パルスの波高
値Vmを変化させることにより出力電子ビームの強度を
制御する事が可能である。また、パルスの幅Pwを変化
させる事により出力される電子ビームの電荷の総量を制
御する事が可能である。
【0111】従って、入力信号に応じて、電子放出素子
を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調
方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器97として、一定長さの電圧パルス
を発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高
値を変調するような電圧変調方式の回路を用いることが
できる。
【0112】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器97として、一定の波高値の電圧パルス
を発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの
幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いるこ
とができる。
【0113】シフトレジスタ94やラインメモリ95
は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもので
も採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記
憶が所定の速度で行われれば良いからである。
【0114】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路96の出力信号DATAをデジタル信号化す
る必要があるが、これは96の出力部にA/D変換器を
設ければ良い。これに関連してラインメモリ95の出力
信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号
発生器97に用いられる回路が若干異なったものとな
る。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式の場合、
変調信号発生器97には、例えばD/A変換回路を用
い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パルス幅変
調方式の場合、変調信号発生器97には、例えば、高速
の発振器および発振器の出力する波数を計数する計数器
(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値
を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた回路を
用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調
された変調信号を表面電動型電子放出素子の駆動電圧に
まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0115】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器97には、例えばオペアンプなどを
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の
場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採
用でき、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧まで電圧増幅するための増幅器を付加することもでき
る。
【0116】このような構成をとり得る本発明を適用可
能な画像表示装置においては、各電子放出素子に、容器
外端子Dox1ないしDoxm、Doy1ないしDoy
nを介して電圧を印加することにより、電子放出が生ず
る。高圧端子Hvを介して、メタルバック75、あるい
は透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビームを加
速する。加速された電子は、蛍光膜74に衝突し、発光
が生じて画像が形成される。
【0117】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明を適用可能な画像形成装置の一例であり、本発明の技
術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号に
ついては、NTSC方式をあげたが、入力信号はこれに
限られるものではなく、PAL、SECAM方式などの
他、これよりも、多数の走査線からなるTV信号(例え
ば、MUSE方式をはじめとする高品位TV)方式をも
採用できる。
【0118】次に、はしご型配置の電子源及び画像形成
装置について図10、図11を用いて説明する。
【0119】図10は、はしご型配置の電子源の一例を
示す模式図である。図10において、100は電子源基
板、101は電子放出素子である。102、Dx1〜D
x10は、電子放出素子101を接続するための共通配
線である。電子放出素子101は、基板100上に、X
方向に並列に複数個配されている(これを素子行と呼
ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源を構成して
いる。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加すること
で、各素子行を独立に駆動させることができる。即ち、
電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出しきい
値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行には、
電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行間の
共通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2、Dx3を同
一配線とすることもできる。
【0120】図11は、はしご型配置の電子源を備えた
画像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図で
ある。110はグリッド電極、111は電子が通過する
ための空孔、112はDox1,Dox2...Dox
mよりなる容器外端子である。113はグリッド電極1
10と接続されたG1、G2...Gnからなる容器外
端子、114は各素子行間の共通配線を同一配線とした
電子源基板である。図11においては、図7、10に示
した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一
の符号を付している。ここに示した画像形成装置と図7
に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大きな
違いは、電子源基板100とフェースプレート76の間
にグリッド電極110を備えているか否かである。
【0121】図11においては、基板100とフェース
プレート76の間には、グリッド電極110が設けられ
ている。グリッド電極110は、表面伝導型放出素子か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
はしご型配置の素子行と直交して設けられたストライプ
状の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応
して1個ずつ円形の開口111が設けられている。グリ
ッドの形状や設置位置は図11に示したものに限定され
るものではない。例えば、開口としてメッシュ状に多数
の通過口を設けることもでき、グリッドを表面伝導型放
出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0122】容器外端子112およびグリッド容器外端
子113は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0123】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0124】発明の画像形成装置は、テレビジョン放送
の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等の
表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光プ
リンターとしての画像形成装置等としても用いることも
できる。
【0125】
【作用】本発明の電子放出素子製造用金属組成物は、基
板上に塗布した場合に均一な塗膜を形成することができ
る金属組成物である。その第一の作用は基板表面の材質
が一様でなくとも、均一に基板を濡らして塗膜を形成す
ることにあらわれる。
【0126】解決しようとする課題の説明において述べ
たように本発明は、基板表面の材質に依存することなく
適度な濡れを生じる液状組成物を提供するものである。
基板に少量塗布した液状の金属組成物は、塗布後ただち
に揮発成分である溶媒が乾燥しはじめることにより、溶
解分散していた不揮発成分の濃度が上昇する。通常この
濃度上昇は、成分間の相互作用を増すので液体組成物全
体の粘度を高めるだけでなく、液体組成物の表面張力に
も大きな変化をもたらすと考えられる。すなわち、塗布
前の比較的に溶媒が多量に含まれていた金属組成物では
表面張力が主に溶媒組成に支配されるが、塗布後の溶媒
成分の減少に従って不揮発成分の濃度が上昇してこれが
表面張力を支配するようになる。
【0127】固体表面が液体に濡れる現象は固体および
液体の表面エネルギー(すなわち表面張力)に依存する
のであるから、塗布膜形成において金属組成物が撥かれ
もせず広がり過ぎることもなく安定な塗膜を形成するた
めには、乾燥が進んで不揮発成分が高濃度となった金属
組成物の表面エネルギーが適当な大きさであることが重
要である。しかし電子放出素子の製造などにおいては基
板表面の材質や状態が(従って表面エネルギーも)一定
であるとは限らない。すなわち上述の乾燥が進んだ金属
組成物の表面エネルギーとして至適な範囲を具体的にあ
げることはできないだけでなく、そもそも複数の材質や
状態の異なる領域の共存する基板表面においていずれの
領域をも適度に濡らす液体の表面エネルギー値というも
のは一般に存在しないと結論できることは明らかであ
る。
【0128】ところが実際には部分エステル化したポリ
ビニルアルコールを前記の金属組成物に溶解して用いる
ことにより、基板の表面にあまり依存することなく良好
な塗膜を形成する液体を調製することができた。完全に
エステル化したポリビニルアルコールやほとんどエステ
ル化されていないポリビニルアルコールでは塗膜形成に
効果がなく部分エステル化ポリビニルアルコールが有効
である。ビニルアルコール部分にビニルエステル部分が
共存することが必要である事実から、この効果は親水性
であるビニルアルコール部分と疎水性であるビニルエス
テル部分とからなる両親媒性高分子の界面活性作用に由
来すると考えられる。すなわち、塗布された基板表面の
性質に応じて両親媒性高分子が固体−液体界面に介在し
て、基板面の材料にあまり依存することなく塗膜が安定
に基板表面に形成されることを助けるものと考えられ
る。
【0129】前記の塗膜安定化効果は、単なる界面活性
剤による塗布液の表面張力の低減とは異なるものであ
る。たとえばポリエチレングリコールエーテル系のよう
な非イオン界面活性剤等の一般的な界面活性剤を用いる
と、塗布液の表面張力を顕著に低下させることが可能で
あるが、前記と同様な塗膜の安定化効果は得られない。
こうした実験事実から、この部分エステル化ポリビニル
アルコールの安定化効果は単純な界面活性作用とは異な
る特殊なものであると結論できる。部分エステル化ポリ
ビニルアルコールであってもその平均重合度が300程
度まで小さくなると前記の安定化効果があまり見られな
くなることから、この効果を発揮するためには界面活性
物質が長い分子であることが必要と考えられる。一般の
界面活性剤や重合度が低い部分エステル化ポリビニルア
ルコールはおそらく塗布後の乾燥過程における粘度の上
昇が少なく塗膜が乾燥中に壊れたり不均一になったりす
る。いっぽう両親媒性を持ちかつ濃縮時に充分な粘度を
塗布液に与える長い分子が乾燥過程を通して塗膜を安定
するのである。
【0130】また、一般に高分子材料の溶液は大きな粘
度を示し特に溶液が乾燥して高濃度になったときに著し
く高い粘度を示す。そして乾燥が進んで見掛け上ほとん
ど固体膜となった状態でも曲げや引っ張りの歪みに耐え
る強さを有する。従って部分エステル化ポリビニルアル
コールを含有する本発明の電子放出素子製造用金属組成
物は、乾燥過程で安定な塗膜を形成し、乾燥中に塗膜が
分裂したりひび割れたりすることが妨げられ、均一な塗
膜を形成できる。こうした塗膜を加熱焼成することによ
り均一な導電性薄膜を得ることができ、特性の安定な電
子放出素子の製造に利用することができる。
【0131】さらに多価アルコールを加えた本発明の電
子放出素子製造用金属組成物は、基板に塗布され形成さ
れた塗膜の膜厚分布を一様にする効果を示す。この効果
発現の機作については明らかでないが、実験的には多価
アルコールを電子放出素子製造用金属組成物重量に対し
て少量を加えると塗膜の辺縁部から中央部にかけての膜
厚の分布を制御して均一化することができる。
【0132】前記の膜厚分布を支配する要因が明確でな
いが、高沸点で吸湿性を有する多価アルコールが効果を
有することから、塗膜の乾燥速度が膜厚分布に影響を与
えていることが考えられる。すなわち、塗膜が乾燥する
と蒸発の遅い多価アルコールの濃度が相対的に上昇し、
塗膜を形成した液体の表面張力や粘度を調節する効果を
有すると思われる。また多価アルコールはポリビニルア
ルコールと相互作用し高分子膜を軟化させる効果もある
ので、乾燥が進んだ塗膜の内部に生じる歪みを低減する
ことが考えられる。
【0133】さらに水溶性一価アルコールを加えた本発
明の電子放出素子製造用金属組成物は、基板に接した直
後の基板濡れが良好である。これは主に水溶性一価アル
コールの添加により組成物の表面張力が低下することに
よるものと思われる。この水溶性一価アルコールの効果
は特にインクジェット方式を用いて基板上に所望のパタ
ーン状に金属組成物を塗布する場合に重要である。イン
クジェット方式のように液体小滴を噴射する手段を用い
て任意のパターンに液体を塗布するためには、基板に射
出された液滴が所望の位置に着弾してその着弾位置をほ
ぼ中心とする液溜りを形成することと、互いに充分近く
に着弾した液滴はそれぞれの中心位置をあまり変えるこ
となく融合してひとつの大きな液溜りとなることが必要
である。すなわち、基板上に同時にあるいは時間的に前
後して複数の液滴が付与された場合に、それぞれの液滴
が基板上の位置に関しては互いに影響されることなく基
板に着弾して広がるとともに、隣接して着弾した液滴と
は基板上で融合した液溜りを形成することが必要であ
る。こうした性質は水溶性一価アルコールを5ないし3
5重量%したときに得られている。水溶性一価アルコー
ルの添加は電子放出素子製造用金属組成物の表面張力を
低下させる効果を有し、液滴が基板面へ着弾した時にす
ばやく基板を濡らして広がるために役立つと考えられ
る。
【0134】界面活性作用は前記の部分エステル化ポリ
ビニルアルコールにもあるが、実際には水溶性一価アル
コールを併用したほうが充分な効果が得られる。おそら
く、部分エステル化ポリビニルアルコールのような大き
な分子による界面活性作用は、液と基板との界面におい
て高分子鎖が回転し再配置して界面エネルギーを低下さ
せるというメカニズムのために効果の発揮には時間がか
かり、液滴の着弾の瞬間に直ちに有効にはなりがたいと
思われる。いっぽう水溶性一価アルコールではそうした
時間を要しないので、液滴が基板面に着弾して直ちに界
面活性作用を発揮し、液溜りが着弾位置を中心に充分に
広がることに大きな効果を及ぼすと考えられる。
【0135】
【実施例】以下に本発明を実施例および図面により、具
体的に説明する。
【0136】実施例1 本実施例の電子放出素子として図1(a)、(b)に示
すタイプの電子放出素子を作成した。図1(a)は本素
子の平面図を、図1(b)は断面図を示している。ま
た、図1(a)、(b)中の1は絶縁性基板、2および
3は素子に電圧を印加するための素子電極、4は電子放
出部を含む薄膜、5は電子放出部を示す。なお、図中の
Lは素子電極2と素子電極3の素子電極間隔、Wは素子
電極の幅、dは素子電極の厚さ、W’は素子の幅を表し
ている。
【0137】図2を用いて、本実施例の電子放出素子の
作成方法を述べる。
【0138】絶縁性基板1として石英基板を用い、これ
を有機溶剤により充分に洗浄後、該基板1面上に、白金
からなる素子電極2,3を形成した(図2(a))。こ
の時、素子電極間隔Lは10μmとし、素子電極の幅W
1を500μm、その厚さdを1000Åとした。次に
前記の素子電極2、3の対向ギャップ部分を中心とする
幅W12が320μm、長さL12が160μmの矩形
の外側にCr膜を厚さ1000Å形成した(図12)。
【0139】テトラモノエタノールアンミンパラジウム
酢酸(Pd(HNC OH)(CHCO
O))を3.2g、86%鹸化ポリビニルアルコール
(重合度500)を0.05g、イソプロピルアルコー
ルを25gとり、水を加えて全量を100gとし、パラ
ジウム化合物溶液とした。
【0140】このパラジウム化合物溶液を1000rp
m、60秒の条件でスピン塗布して前記素子電極2、3
を形成した絶縁性基板1上に製膜した。これを大気雰囲
気350℃のオーブン中で15分加熱して前記金属化合
物を基板上で分解堆積させたところ、酸化パラジウム微
粒子(本実施例の場合は平均粒径:85Å)からなる微
粒子膜が生成した。次に前記のCr膜上に生成した酸化
パラジウム微粒子膜をCr膜とともに酸エッチャントに
より除去し、矩形に残った酸化パラジウム微粒子膜を電
子放出部形成用薄膜4とした(図2(c))。
【0141】次に、図2(c)に示すように、電子放出
部5を素子電極2および3の間に電圧を印加し、電子放
出部形成用薄膜4を通電処理(フォーミング処理)する
ことにより作成した。フォーミング処理の電圧波形を図
3(a)に示す。
【0142】図3中、T1およびT2は電圧波形のパル
ス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ
秒、T2を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォーミ
ング時のピーク電圧)は5Vとし、フォーミング処理は
約1×10−6torrの真空雰囲気下で60秒間行っ
た。
【0143】このように作成された電子放出部5は、パ
ラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状
態となり、その微粒子の平均粒径は30Åであった。
【0144】以上のようにして作成された素子につい
て、その電子放出特性の測定を行った。図4に測定評価
装置の概略構成図を示す。
【0145】図4においても、1は絶縁性基板、2およ
び3は素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、5は電子
放出部を示し、41は素子に電圧を印加するための電
源、40は素子電極Ifを測定するための電流計、44
は素子より発生する放出電流Ieを測定するためのアノ
ード電極、43はアノード電極44に電圧を印加するた
めの高圧電源、42は放出電流を測定するための電流計
である。電子放出素子の上記素子電流If、放出電流I
eの測定にあたっては、素子電極2,3に電源41と電
流計40とを接続し、該電子放出素子の上方に電源43
と電流計42とを接続したアノード電極44を配置して
いる。また、本電子放出素子およびアノード電極44は
真空装置内に設置されており、その真空装置には不図示
の排気ポンプおよび真空計等の真空装置に必要な機器が
具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行
えるようになっている。なお本実施例では、アノード電
極と電子放出素子間の距離を4mm、アノード電極の電
位を1kV、電子放出特性測定時の真空装置内の真空度
を1×10−6torrとした。
【0146】以上のような測定評価装置を用いて、本電
子放出素子の電極2および3の間に素子電圧を印加し、
その時に流れる素子電流Ifおよび放出電流Ieを測定
したところ、図5に示したような電流−電圧特性が得ら
れた。本素子では、素子電圧7.4V程度から急激に放
出電流Ieが増加し、素子電圧16Vでは素子電流If
が2.4mA、放出電流Ieが1.0μAとなり、電子
放出効率η=Ie/If(%)は0.042%であっ
た。
【0147】アノード電極44の替わりに、前述した蛍
光膜とメタルバックを有するフェースプレートを真空装
置内に配置した。こうして電子源からの電子放出を試み
たところ蛍光膜の一部が発光し、素子電流Ieに応じて
発光の強さが変化した。こうして本素子が発光表示素子
として機能することがわかった。
【0148】以上説明した実施例中、電子放出部を形成
する際に、素子の電極間に三角波パルスを印加してフォ
ーミング処理を行っているが、素子の電極間に印加する
波形は三角波に限定することはなく、矩形波など所望の
波形を用いても良く、その波高値およびパルス幅・パル
ス間隔等についても上述の値に限ることなく、電子放出
部が良好に形成されれば所望の値を選択することができ
る。
【0149】実施例2−8 表1に従う組成の金属化合物溶液を調製し、実施例1の
パラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例1と同
様の処理を行い電子放出素子を作成した。いずれの溶液
も基板面に容易に塗布することができた。素子の作成
後、素子電圧14〜18Vにおいて電子放出現象が確認
された。
【0150】
【表1】 比較例1−6 表2に従う組成の金属化合物溶液を調整し、実施例1の
パラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例1と同
様の基板に塗布を試みた。スピン塗布条件を400〜2
000rpm、20〜300秒の範囲で検討したが、い
ずれの場合も良好な塗膜を得るに至らなかった。塗膜を
顕微鏡観察すると、金属電極上に膜が安定に形成できて
おらず、特に金属電極と石英基板の境界付近において金
属電極側の塗膜が失われている傾向が見られた。電子放
出素子の作成には不適当な膜であった。
【0151】
【表2】 実施例9−13 表3に従う組成の金属化合物溶液を調製し、実施例1の
パラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例1と同
様の表面に素子電極対を形成した石英基板に塗布した。
この基板を大気下で15分間440度熱処理を行い、金
属化合物を熱分解して導電性薄膜を形成した。次にYA
Gレーザーの第2高調波(532nm)を用い、ランプ
電流:27A、Q−スイッチ周波数:10kHz、加工
速度:10mm/secの条件で図13に示すパターン
描画を行い、描画部分の導電膜を除去した。さらに実施
例1と同様のフォーミングおよび活性化工程を経て電子
放出素子を作成した。素子電圧13〜18Vにおいてい
ずれも電子放出現象が確認された。
【0152】
【表3】 実施例14−15 表4に従う組成の金属化合物溶液を調製し、実施例9−
13の金属化合物溶液のかわりに用いて、実施例1と同
様の表面に素子電極対を形成した石英基板に塗布した。
この基板を大気下で15分間440度熱処理を行い、金
属化合物を熱分解して導電性薄膜を形成した。次に実施
例9−13と同様にしてレーザー加工を行った。この後
基板を1×10−6torrの真空下で30分間320
度に加熱した。さらに実施例1と同様のフォーミングお
よび活性化工程を経て電子放出素子を作成した。素子電
圧13〜18Vにおいていずれも電子放出現象が確認さ
れた。
【0153】
【表4】 実施例16−26 表5に従う組成の金属化合物溶液を調製し、実施例1の
パラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例1と同
様の表面に素子電極対を形成した石英基板に塗布した。
いずれの溶液も基板面に容易に塗布することができた。
この基板を2%の水素を含むヘリウム雰囲気下で20分
間400度の熱処理を行い、金属化合物を熱分解して導
電性薄膜を形成した。次にYAGレーザーの第2高調波
(532nm)を用い、ランプ電流:27A、Q−スイ
ッチ周波数:10kHz、加工速度:10mm/sec
の条件で図13に示すパターン描画を行い、描画部分の
導電膜を除去した。さらに実施例1と同様のフォーミン
グおよび活性化工程を経て電子放出素子を作成した。素
子電圧13〜18Vにおいていずれも電子放出現象が確
認された。
【0154】
【表5】 実施例27 絶縁性基板1として石英基板を用い、これを有機溶剤に
より充分に洗浄後、該基板1面上に、Ptからなる素子
電極2,3を形成した。素子電極間隔Lは20μmと
し、素子電極の幅Wを500μm、その厚さdを100
0Åとした。
【0155】テトラモノエタノールアンミンパラジウム
酢酸(Pd(H NCOH) (CH
COO) )を0.6g、86%鹸化ポリビニルアル
コール(平均重合度500)を0.05g、イソプロピ
ルアルコールを25g、エチレングリコール1gをと
り、水を加えて全量を100gとし、パラジウム化合物
溶液とした。このパラジウム化合物溶液をポアサイズ
0.25μmメンブレンフィルターでろ過し、キヤノン
(株)のバブルジェットプリンタヘッドBC−01に充
填し、所定のヘッド内ヒータに外部より20Vの直流電
圧を7μ秒印加して、前記の石英基板の素子電極2、3
のギャップ部分にパラジウム化合物溶液を吐出した。ヘ
ッドと基板の位置を保持したままさらに5回吐出を繰り
返した。液滴はほぼ円形でその直径は約110μmとな
った(図14(a))。
【0156】この基板を350℃で12分加熱して前記
のパラジウム化合物を熱分解したところ、酸化パラジウ
ムが生成した。前記素子電極2、3間の電気抵抗は11
kΩとなった。
【0157】さらに実施例1と同様にして所定の通電フ
ォーミング、活性化処理を行ない、電子放出素子として
の評価を行なった。素子電圧16Vで電子放出効率は
0.046%であった。
【0158】実施例28−35 表6に従う組成の金属化合物溶液を調整し、実施例27
のパラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例27
と同様の処理を行ない電子放出素子を作成した。素子電
圧16Vにおいて電子放出現象が確認できた。
【0159】
【表6】 実施例36−40 表7に従う組成の金属化合物溶液を調整し、実施例27
のパラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例27
と同様にしてバブルジェット方式により素子電極のギャ
ップ部分に金属化合物溶液を吐出した。この基板を2%
の水素を含むヘリウム雰囲気下で20分間400度の熱
処理を行い、金属化合物を熱分解して導電性薄膜を形成
した。さらに実施例1と同様のフォーミングおよび活性
化工程を経て電子放出素子を作成した。素子電圧16V
において電子放出現象が確認できた。
【0160】
【表7】 実施例41 実施例27と同様にして素子電極2,3を形成して石英
基板を作成した。実施例27に用いたパラジウム化合物
溶液をキヤノン(株)のバブルジェットプリンタヘッド
BC−01に充填し、所定のヘッド内ヒータに外部より
20Vの直流電圧を7μ秒印加して、前記の石英基板の
素子電極2、3のギャップ部分にパラジウム化合物溶液
を6回吐出した。この後ただちに基板をギャップ方向に
70μm移動して再び前記のヘッドによりパラジウム化
合物溶液を6回吐出した(図14(b))。
【0161】この基板を350℃で12分加熱して前記
のパラジウム化合物を熱分解したところ、酸化パラジウ
ムが生成した。前記素子電極2,3間の電気抵抗は7k
Ωとなった。
【0162】さらに実施例1と同様にして所定の通電フ
ォーミング、活性化処理を行ない、電子放出素子として
の評価を行なった。素子電圧16Vで電子放出効率は
0.044%であった。
【0163】実施例42−49 実施例28から35に用いた前記表6に従う組成の金属
化合物溶液を実施例41のパラジウム化合物溶液のかわ
りに用いて、実施例41と同様の処理を行い電子放出素
子を作成した。素子電圧16Vで電子放出現象が確認で
きた。
【0164】実施例50 絶縁性基板1として石英基板を用い、これを有機溶剤に
より充分に洗浄後、該基板1面上に、Ptからなる素子
電極2,3を形成した。素子電極間隔Lは30μmと
し、素子電極の幅Wを500μm、その厚さdを100
0Åとした。
【0165】実施例27に用いたパラジウム化合物溶液
をポアサイズ0.25μmメンブレンフィルターでろ過
し、キヤノン(株)のバブルジェットプリンタヘッドB
C−01に充填した。前記ヘッドを前記の基板の素子電
極ギャップ方向と吐出孔列を一致させ基板面上1.6m
mの高さに保持されるように平面移動ステージに固定し
た。前記の移動ステージにより前記のヘッドを素子電極
ギャップと垂直方向に280mm/secの速度で移動
しながらヘッド内の所定の隣接する5つのヒータに外部
より7μ秒20Vの直流電圧印加を180μsec間隔
で3回行った。こうして合計15の液滴からなる矩形パ
ターンを前記の基板の電極ギャップを中心として形成し
た(図14(c))。
【0166】この基板を350℃で12分加熱して前記
のパラジウム化合物を熱分解したところ、矩形パターン
状部分に均一な酸化パラジウムが生成した。前記素子電
極2、3間の電気抵抗は3kΩとなった。
【0167】さらに実施例1と同様にして所定の通電フ
ォーミング、活性化処理を行ない、電子放出素子として
の評価を行なった。素子電圧14Vで電子放出効率は
0.04%であった。
【0168】実施例51−56 表8に従う組成の金属化合物溶液を実施例50のパラジ
ウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例50と同様の
処理を行い電子放出素子を作成した。素子電圧16Vに
おいて電子放出現象が確認できた。
【0169】
【表8】 比較例7 ポリビニルアルコールを用いないこと以外は実施例50
と全く同様にして金属化合物溶液を調整し素子電極基板
上に矩形状に吐出した。この基板を実施例50と同様に
熱処理したところ、導電性薄膜が前記の矩形内の中央部
分に多く存在し周辺部分には不均一に散在していること
が光学顕微鏡により観察され、電子放出素子としては不
適当なものだった。
【0170】比較例8 86%鹸化ポリビニルアルコール(平均重合度300)
を実施例50のポリビニルアルコールのかわりに用いて
金属化合物溶液を調整し素子電極基板上に矩形状に吐出
した。この基板を実施例50と同様に熱処理したとこ
ろ、導電性薄膜が前記の矩形内の中央部分に多く存在し
周辺部分には不均一に散在していることが光学顕微鏡に
より観察され、電子放出素子としては不適当なものだっ
た。
【0171】比較例9 98.5%鹸化ポリビニルアルコール(平均重合度50
0)を実施例50のポリビニルアルコールのかわりに用
いて金属化合物溶液を調整し、実施例50と同様にして
素子電極基板上に矩形状に吐出した。前記の矩形状の液
体が基板上で乾燥するとしだいに液の存在部分が収縮
し、直径およそ70μmの円形状となった。この基板を
実施例50と同様に熱処理したところ、前記の円形部分
に中央の厚い導電膜が形成され、その周囲には導電膜が
ほとんど存在しなかった。フォーミングを試みたところ
大電流を必要とし、素子化しても電子放出はほとんど観
測できなかった。
【0172】比較例10 86%鹸化ポリビニルアルコール(平均重合度240
0)を実施例50のポリビニルアルコールのかわりに用
いて金属化合物溶液を調整し実施例50と同様に素子電
極基板上に吐出した。この溶液は再現良く吐出すること
ができず、ノズルによってはときおり液滴の吐出に失敗
する。あるいは全く吐出が起こらないものがみられた。
従って、金属化合物溶液により目的とする矩形パターン
を再現良く形成することが困難だった。
【0173】比較例11 86%鹸化ポリビニルアルコール(平均重合度500)
を0.05gでなく0.7g用いて、それ以外について
は実施例50に準じて金属化合物溶液を調整し、この液
を実施例50と同様にしてBC−01ヘッドに充填し
た。充填直後にこのヘッドに所定電圧を加えると液滴の
吐出が見られたが、約3秒吐出せずに放置すると所定電
圧を加えても吐出が起こらなくなった。ヘッドの吐出面
を濡れた濾紙で拭うと、その直後は再び液滴の吐出が可
能になったが、数秒以内にはまた吐出できなくなった。
このように上記の金属化合物溶液はバブルジェット方式
での吐出により基板上に塗布する溶液としては不適当だ
った。
【0174】実施例57−59 表9従う組成の金属化合物溶液を調製し、実施例50の
パラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例50と
同様にしてバブルジェット方式により素子電極のギャッ
プ部分を中心として金属化合物溶液を矩形状に吐出し
た。この基板を2%の水素を含むヘリウム雰囲気下で2
0分間400度の熱処理を行い、金属化合物を熱分解し
て導電性薄膜を形成した。さらに実施例1と同様のフォ
ーミングおよび活性化工程を経て電子放出素子を作成し
た。素子電圧16Vにおいて電子放出現象が確認でき
た。
【0175】
【表9】 実施例60 ジメチルホルムアミド80mlに完全鹸化ポリビニルア
ルコール(99%鹸化、平均重合度500)1gを加え
て湿気を断って撹拌し、トリエチルアミンを加えて氷冷
した。この混合物に塩化アセチル1.8gを滴下し冷却
しながら2時間撹拌した。反応混合物を水350mlに
あけて、脱塩用イオン交換樹脂150gを投入撹拌し、
樹脂をろ過して液体部分を得た。この液体にさらに脱塩
用イオン交換樹脂100gを投入撹拌し、樹脂をろ過し
て得た液をゆっくり減圧濃縮し、水を加えて約30ml
としてから凍結真空乾燥を行った。0.8gのポリマー
が得られ、CHN元素分析の結果から、ポリビニルアル
コールのアセチル化率は8.2%と推定された。
【0176】このポリマーを0.05g、テトラモノエ
タノールアミンパラジウム酢酸(Pd(H NC
OH) (CH COO) )を0.6
g、イソプロピルアルコールを25g、エチレングリコ
ール1gをとり、水を加えて全量を100gとし、パラ
ジウム化合物溶液とした。この溶液を実施例50のパラ
ジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施例50と同様
の処理を行い電子放出素子を作成した。素子電圧16V
において電子放出現象が確認できた。
【0177】実施例61−67、比較例12−14 実施例60に準じる方法により表10に従うポリビニル
アルコールエステルの合成を行った。それぞれ得られた
ポリマーを用いて実施例60と同様にして電子放出素子
を作成した。表中には用いたエステル化剤とその量、元
素分析にもとずくエステル化率推定値、得られた素子の
導電性薄膜部分の良否の評価を合わせて示す。なお評価
の記号は◎:良、○:可、×:不可とする。
【0178】
【表10】 実施例68−74、比較例15−17 実施例50に用いたパラジウム化合物溶液のエチレング
リコール(1g)のかわりに以下の表11に示す多価ア
ルコールを同表に示す重量だけ用いて溶液とした。なお
用いた多価アルコール量が1gと異なる場合は全量が1
00gとなるように水の量を増減した。この溶液を実施
例50のパラジウム化合物溶液のかわりに用いて、実施
例50と同様の処理を行い電子放出素子を作成した。表
中には得られた素子の導電性薄膜部分の良否の評価を合
わせて示す。なお評価の記号は◎:良、○:可、×:不
可とする。
【0179】
【表11】 表11において評価が不可であるものは、電極基板上に
矩形に塗布したパラジウム化合物が、乾燥/焼成工程に
おいて中央に円形に凝集してしまい導電性薄膜が矩形と
ならないかまたは矩形とはなるものの中央部分が周辺部
に比べて明らかに厚くなったものである。
【0180】実施例75 16行16列の256個の素子電極とマトリクス状配線
とを形成した基板(図6)の各対向電極に対してそれぞ
れ実施例27と同様にして有機金属化合物溶液液滴をバ
ブルジェット方式のインクジェット装置により付与し、
焼成したのち、フォーミング処理を行ない電子源基板と
した。
【0181】この電子源基板にリアプレート71、支持
枠72、フェースプレート76を接続し、真空封止して
図7の概念図に従う画像形成装置を作成した。端子Do
x1ないしDox16と端子Doy1ないしDoy16
を通じて各素子に時分割で所定電圧を印加し端子Hvを
通じてメタルバックに高電圧を印加することによって、
任意のマトリクス画像パターンを表示することができ
た。
【0182】
【発明の効果】以上に説明したように本発明の電子放出
素子製造用金属組成物は、基板上に塗布した際に基板濡
れが良好で塗膜の厚さが均一となる金属組成物である。
この金属組成物を加熱焼成することにより、厚さの均一
な導電性薄膜を形成することができ、特に表面伝導型電
子放出素子の電子放出部形成用薄膜の製造工程に有効で
ある。
【0183】また本発明の電子放出素子製造用金属組成
物は、基板上にパターン状に塗布した際に所定パターン
の塗膜が得られる。この金属組成物を加熱焼成すること
により、所定のパターンで厚さの均一な導電性薄膜を形
成することができる。従って表面伝導型電子放出素子の
電子放出部形成用薄膜の製造工程を簡略化し、また電子
放出部形成用金属材料の使用料を減ずることができる。
【0184】また本発明の電子放出素子製造用金属組成
物を用いた電子放出素子の製造方法によるならば任意の
形状と大きさを有した電子放出部を簡便に作成可能であ
り、自由な電子放出素子の設計ができる。
【0185】前記の電子放出素子製造用金属組成物を用
いた電子放出素子は電子放出部形成用薄膜が均質である
ため特性的に安定したものが低コストで得られる。
【0186】前記の電子放出素子を用いた表示素子は特
性的に安定したものが低コストで得られる。
【0187】前記の表示素子は特性的に安定しているた
め、これを複数個を並べた画像表示装置は特性が安定し
輝度むらの少ない高品位の画像表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本的な表面電動型電子放出素子の
構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【図2】 本発明の表面電動型電子放出素子の製造工程
の説明図である。
【図3】 本発明の好適な通電フォーミングの電圧波形
の例である。
【図4】 電子放出特性を測定するための測定評価装置
の概略構成図である。
【図5】 本発明に好適な表面電動型電子放出素子の放
出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の
典型的な例である。
【図6】 単純マトリクス配置の電子源である。
【図7】 画像形成装置の表示パネルの概略構成図であ
る。
【図8】 蛍光膜の一例である。
【図9】 画像形成装置をNTSC方式のテレビ信号に
応じて表示を行う例の駆動回路のブロック図である。
【図10】 梯子配置の電子源の一例である。
【図11】 画像形成装置の表示パネルの概略構成図で
ある。
【図12】 薄膜パターニングのためのマスクの説明図
である。
【図13】 レーザー描画パターンを示す説明図であ
る。
【図14】 液滴吐出パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1:基板、2,3:素子電極、4:導電性薄膜、5:電
子放出部、7:マスク、8:レーザートリミングライ
ン、21:液滴付与手段、22:液滴、23:液溜り、
40:素子電極2,3間の導電性薄膜4を流れる素子電
流Ifを測定するための電流計、41:電子放出素子に
素子電圧Vfを印加するための電源、42:素子の電子
放出部より放出される放出電流Ieを測定するための電
流計、43:アノード電極44に電圧を印加するための
高圧電源、44:素子の電子放出部より放出される放出
電流Ieを補足するためのアノード電極、45:真空装
置、46:排気ポンプ、61:電子源基板、62:X方
向配線、63:Y方向配線、64:表面伝導型電子放出
素子、65:結線、71:リアプレート、72:支持
枠、73:ガラス基板、74:蛍光膜、75:メタルバ
ック、76:フェースプレート、77:高圧端子、7
8:外囲器、81:黒色導電材、82:蛍光体、91:
表示パネル、92:走査回路、93:制御回路、94:
シフトレジスタ、95:ラインメモリ、96:同期信号
分離回路、97:変調信号発生器、VxおよびVa:直
流電圧源、100:電子源基板、101:電子放出素
子、102:Dx1〜Dx10は、前記電子放出素子を
配線するための共通配線、110:グリッド電極、11
1:電子が通過するための空孔、112:Dox1,D
ox2,...Doxmよりなる容器外端子、113:
グリッド電極110と接続されたG1、G2、...G
nからなる容器外端子、114:電子源基板。

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性の金属化合物と部分エステル化ポ
    リビニルアルコールとを含有する(エーテル、アセチレ
    ンアルコールまたはアセチレングリコールを含む場合を
    除く)ことを特徴とする電子放出素子製造用の金属組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記金属化合物が無機金属化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の電子放出素子製造用の
    金属組成物。
  3. 【請求項3】 前記金属化合物が有機金属化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の電子放出素子製造用の
    金属組成物。
  4. 【請求項4】 前記金属が白金族元素であることを特徴
    とする請求項2または3記載の電子放出素子製造用の金
    属組成物。
  5. 【請求項5】 前記有機金属化合物中の有機基が、有機
    酸基であることを特徴とする請求項3記載の電子放出素
    子製造用の金属組成物。
  6. 【請求項6】 前記有機金属化合物が、有機酸基とヒド
    ロキシアルキルアミンとを含有することを特徴とする請
    求項5記載の電子放出素子製造用の金属組成物。
  7. 【請求項7】 前記有機金属化合物がパラジウムと酢酸
    基とエタノールアミンとを含有することを特徴とする請
    求項6記載の電子放出素子製造用の金属組成物。
  8. 【請求項8】 前記金属組成物の金属含有量が0.1重
    量%から2重量%の範囲であることを特徴とする請求項
    1ないし7記載の電子放出素子製造用金属組成物。
  9. 【請求項9】 前記部分エステル化ポリビニルアルコー
    ルの濃度が0.01重量%から0.5重量%の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1ないし8記載の電子放出素
    子製造用金属組成物。
  10. 【請求項10】 前記部分エステル化ポリビニルアルコ
    ールのエステル化率が5から25モル%の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし9項記載の電子放出素子
    製造用の金属組成物。
  11. 【請求項11】 前記部分エステル化ポリビニルアルコ
    ールの平均重合度が450から1200の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし10記載の電子放出素子
    製造用の金属組成物。
  12. 【請求項12】 前記金属組成物が水溶性多価アルコー
    ルをさらに含有することを特徴とする請求項1ないし1
    1記載の電子放出素子製造用の金属組成物。
  13. 【請求項13】 前記多価アルコールが炭素数2ないし
    4の常温で液体の多価アルコールであることを特徴とす
    る請求項12記載の電子放出素子製造用の金属組成物。
  14. 【請求項14】 前記多価アルコールがエチレングリコ
    ールまたはプロピレングリコールまたはグリセリンであ
    ることを特徴とする請求項13記載の電子放出素子製造
    用金属組成物。
  15. 【請求項15】 前記金属組成物の多価アルコール含有
    量が0.2重量%以上、3重量%以下の範囲であること
    を特徴とする請求項12ないし14記載の電子放出素子
    製造用金属組成物。
  16. 【請求項16】 前記金属組成物が一価アルコールをさ
    らに含有することを特徴とする請求項1ないし15記載
    の電子放出素子製造用金属組成物。
  17. 【請求項17】 前記一価アルコールが炭素数1ないし
    4の常温で液体の一価アルコールであることを特徴とす
    る請求項16記載の電子放出素子製造用金属組成物。
  18. 【請求項18】 前記一価アルコールがメタノール、エ
    タノール、1−プロパノール、2−プロパノールまたは
    2−ブタノールであることを特徴とする請求項17記載
    の電子放出素子製造用金属組成物。
  19. 【請求項19】 前記金属組成物の一価アルコール含有
    量が5重量%以上、35重量%以下の範囲であることを
    特徴とする請求項16ないし18記載の電子放出素子製
    造用金属組成物。
  20. 【請求項20】 前記の金属がパラジウム、ルテニウ
    ム、金、銀、銅、クロム、タンタル、鉄、タングステ
    ン、鉛、亜鉛、スズのいずれかであることを特徴とする
    請求項1ないし6または8ないし19記載の電子放出素
    子製造用の金属組成物。
  21. 【請求項21】 対向する電極間に電子放出部を有する
    電子放出素子で、電子放出材料を含む金属組成物を基板
    に付与する工程と前記の金属組成物を付与された基板を
    加熱焼成する工程とを経て電子放出部を形成する電子放
    出素子の製造において、前記金属組成物が請求項1〜2
    0に記載の金属組成物であることを特徴とする電子放出
    素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記電子放出素子が表面伝導型である
    ことを特徴とする請求項21記載の電子放出素子の製造
    方法。
  23. 【請求項23】 前記金属組成物を基板に付与する工程
    が、液滴状の金属組成物を基板に付与する工程であるこ
    とを特徴とする請求項21または22に記載の電子放出
    素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記液滴を基板に付与する工程におい
    て、前記基板上の所定位置に対して複数の液滴を付与す
    ることを特徴とする請求項23に記載の電子放出素子の
    製造方法。
  25. 【請求項25】 前記の基板に液滴を付与する工程にお
    いて、複数の液滴を基板へ近接して付与することによ
    り、独立して付与された液滴によるよりも広い連続した
    領域にわたり前記の金属組成物を付与することを特徴と
    する請求項23または24記載の電子放出素子製造方
    法。
  26. 【請求項26】 前記の液滴付与手段がインクジェット
    方式であることを特徴とする請求項23ないし25記載
    の電子放出素子製造方法。
  27. 【請求項27】 前記のインクジェット方式がバブルジ
    ェット方式であることを特徴とする請求項26記載の電
    子放出素子製造方法。
  28. 【請求項28】 電子放出素子と該素子への電圧印加手
    段を具備する電子源の製造方法であって、該電子放出素
    子を請求項21ないし27のいずれかに記載の方法で製
    造したことを特徴とする電子源の製造方法。
  29. 【請求項29】 電子放出素子と該素子への電圧印加手
    段を具備する電子源と、該素子から放出される電子を受
    けて発光する発光体とを具備する表示素子の製造方法で
    あって、該電子放出素子を請求項21ないし27のいず
    れかに記載の方法で製造したことを特徴とする表示素子
    の製造方法。
  30. 【請求項30】 電子放出素子と該素子への電圧印加手
    段を具備する電子源と、該素子から放出される電子を受
    けて発光する発光体と、外部信号に基づいて該素子へ印
    加する電圧を制御する駆動回路とを具備する画像形成装
    置の製造方法であって、該電子放出素子を請求項21な
    いし27のいずれかに記載の方法で製造したことを特徴
    とする画像形成装置の製造方法。
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