JP3217328U - 樹脂成形用型 - Google Patents

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政幸 酒井
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Abstract

【課題】シボ加工による凹凸を有する樹脂成形用型に対しても、比較的容易に樹脂成形品の製品面において艶を生じさせ、高い光沢により質感を向上させた樹脂成形品を得ることが可能な樹脂成形用型を提供する。
【解決手段】樹脂成形用型10は、樹脂成形品を成形するための樹脂成形用型である。この樹脂成形用型10は、成形型12と、成形型12の型面の表面に形成される鏡面コート層16とを含む。鏡面コート層16は、熱伝導率が、0.10W/m・K以上0.99W/m・K以下の熱硬化型樹脂により形成される。鏡面コート層16の厚みは、1.0μm以上30μm以下である。鏡面コート層16の表面は略平面である平面維持部18を有する。
【選択図】図2

Description

本考案は、樹脂成形用型に関し、特に、樹脂成形品の製品面の光沢が高く、高級感を有する樹脂成形品を成形するための樹脂成形用型に関する。
従来、たとえば、自動車の内装部品としての樹脂成形品、特に、窓回りに配置されるインストルメント・パネルやガーニッシュ等には、高級感が求められる。このような樹脂成形品は、シボ加工と呼ばれる表面加工を成形型に施し、該成形型を用いて成形される。これにより、樹脂成形品の表面には、シボと呼ばれる微小な凹凸模様が設けられる。
このようなシボを施す目的は、樹脂成形品の表面に微妙な陰影あるいは適度な光沢や手触りを付与し、意匠的に高級感を持たせることである。一方、シボには、プラスチックの射出成形に特有な製品表面に発生するウエルドラインやムラ等の外観不良を目立ちにくくしたり、製品表面の傷つきを防止あるいは目立たなくしたりするといった、実用的な目的も有する。
ここで、たとえば、特許文献1に記載されるようなシボ製品成形用金型が開示されている。金型面に複雑な凹凸、いわゆる梨地シボを有するシボ製品の射出成型用金型のシボの形成において、凹凸を有しない平滑な金型表面にエッチング処理して形成される凹凸を、後述のブラスト処理でブラスト投射材が入り込みやすい凹凸間隔0.3〜0.5mmとし、凹凸の十点平均粗さ(Rz)を20〜40μmの範囲に調整し、次に、前記の凹凸表面に加えるブラスト処理を、ビーズ状のブラスト投射材で、粒径100〜200メッシュ、ブラスト時の圧縮空気圧力を0.2〜0.4MPaとしてシボ凹凸の表面に残るエッチングによる腐食ムラや腐食によるアンダーカットをならし、更に仕上げとして、前記ビーズ状のブラスト投射材によるブラスト処理時以下かつ0.2MPa以上の圧縮空気圧力で、前記シボ凹凸間隔に十分入り込みかつブラスト投射材の打痕跡が細かく、粗くなりすぎないように選定した粒径100〜200メッシュのビーズ状のブラスト投射処理を加えて、シボ凹凸の凹部内奥に残る微細な凹凸の残りまでを潰すと共に、ビーズ状のブラスト投射材自体の打痕のかえりを潰して、滑らかなビーズ状のブラスト投射材打痕後のみのシボ凹凸表面とすることで、高い光沢と高級感、ウエルドラインやムラ等の外観不良を目立ちにくく、耐傷性にも優れたシボ製品を成形可能とするシボ製品成形用金型が開示されている。
特開平11−320627号公報
しかしながら、上述したように、特許文献1に記載されるような成形用金型の表面に対するシボ加工のための凹凸間隔の調整を必要とし、さらに、成型用金型の表面に対するシボ加工後に対して、複数のブラスト処理を必要とすることから多くの工程を要する。また、このような多くの工程をシボ加工面全体に対して均一に処理することは困難であると考えられる。
それゆえに、この考案の主たる目的は、シボ加工による凹凸を有する樹脂成形用型に対しても、比較的容易に樹脂成形品の製品面において艶を生じさせ、高い光沢により質感を向上させた樹脂成形品を得ることが可能な樹脂成形用型を提供することである。
この考案に係る樹脂成形用型は、樹脂成形品を成形するための樹脂成形用型であって、樹脂成形用型は、成形型と、成形型の型面の表面に形成される鏡面コート層とを含み、鏡面コート層は、熱伝導率が、0.10W/m・K以上0.99W/m・K以下の熱硬化型樹脂により形成され、鏡面コート層の厚みは、1.0μm以上30μm以下であり、鏡面コート層の表面は波打ちによる乱れが抑制されて略平面に形成された平面維持部を有することを特徴とする、樹脂成形用型である。
また、この考案に係る樹脂成形用型では、鏡面コートの厚みが、20μm以下であることが好ましい。
この考案に係る樹脂成形用型によれば、鏡面コート層の表面には略平面に形成された平面維持部を有し、その鏡面コート層の厚みが1.0μm以上30μm以下であるので、樹脂成形用型から樹脂成形品を抜く際に、樹脂成形品に対して、引き抜き方向に対する成形型の内側面における出っ張りに起因する傷(かじり)や、シボを有する樹脂成形品の硬化時に生ずる樹脂収縮に起因する引っ張りあるいは擦れによる傷が生ずるのを回避することができる。
また、鏡面コート層の厚みが、1.0μm以上30μm以下であるので、鏡面コート層を形成する際に用いられる混合溶液に含まれる溶剤分が揮発する際に生ずる鏡面コート層の表面における波打ちによる乱れを抑制することができる。
さらに、鏡面コート層の厚みが、1.0μm以上30μm以下であるので、鏡面コート層16を形成するために、シボ加工による凹凸が形成された成形型12の型面12aに混合溶液を塗工した際の液だれを回避することができる。
また、さらに、この鏡面コート層の厚みは、1.0μm以上30μm以下であるので、より数多くの樹脂成形品の射出成形に耐えることができる。
以上より、樹脂成形用型の鏡面コート層の平面維持部は、安定した平面状態を確保することができることから、この樹脂成形用型を用いて射出成形すると、樹脂成形品の製品面における外観不良の発生を抑えることができ、高い光沢により質感を向上させた樹脂成形品を得ることができる。
さらに、鏡面コート層の厚みが20μm以下であると、鏡面コート層を形成する際に用いられる混合溶液に含まれる溶剤分が揮発する際に生ずる鏡面コート層の平面維持部における波打ちによる乱れを、より抑制することができる。
この考案によれば、シボ加工による凹凸を有する樹脂成形用型に対しても、比較的容易に樹脂成形品の製品面において艶を生じさせ、高い光沢により質感を向上させた樹脂成形品を得ることが可能な樹脂成形用型を提供することができる。
この考案の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の考案を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
この考案の樹脂成形用型の一例を示す断面図解図である。 図1に示す樹脂成形用型の鏡面コート層の部分を拡大した拡大断面図である。 この考案に係る樹脂成形用型を用いて射出成形された樹脂成形品を抜いた状態を示す断面図解図である。 実験に用いた樹脂成形品のテスト板の外観を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図を示す。
1.樹脂成形用型
図1は、この考案の樹脂成形用型の一例を示す断面図解図であり、図2は、図1に示す樹脂成形用型の鏡面コート層の部分を拡大した拡大断面図である。図3は、この考案に係る樹脂成形用型を用いて射出成形された樹脂成形品を抜いた状態を示す断面図解図である。
樹脂成形用型10は、成形型12を含む。
成形型12は、少なくとも150℃に加熱可能な素材が使用可能であり、たとえば、鉄鋼材料、アルミニウム、ZASなどの金属材料や合成樹脂材料を用いて形成される。成形型12の型面12aは、たとえば、エッチングによりシボ加工が施され、その結果、シボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとが形成されている。このシボ加工によるシボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとの最大高さTは、10μm以上であることが好ましい。10μm未満であると、後述する鏡面コート層16によりシボ成形用凹部14bの部分が埋められてしまうからである。
また、成形型12には射出成形のための抜き勾配が設けられている。この抜き勾配は、シボ加工によるシボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとの最大高さTとの関係で規定されており、たとえば、シボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとの最大高さTが10μmの場合、約1度で設定される。
シボ加工は、皮シボ、幾何学シボ、梨地シボ等の凹凸形状模様を施す加工である。シボは、皮シボ模様、肌理模様や木目模様、梨地模様、葉脈模様、鱗模様、大理石模様、ヘアライン、幾何学模様、研磨模様、塗装模様などが含まれる。
なお、このシボ加工は、エッチング以外の方法により凹凸状の模様が施されてもよく、たとえば、彫刻や機械加工または研磨目により施されてもよい。
また、シボ加工は、成形型12の型面12aにおいて部分的に凹凸状の模様を施すようにしてよい。この場合は、シボ加工が施されていない成形型12の型面12aは、鏡面となる。
さらに、シボ加工は、成形型12の型面12aの全面に施されていなくてもよい。この場合は、シボ加工が施されていない成形型12の型面12aの全面が鏡面となる。
樹脂成形用型10は、成形型12の型面12aの全面に形成される、鏡面コート層16を含む。なお、鏡面コート層16は、成形型12の型面12aの一部にのみ形成されていてもよい。そして、鏡面コート層16の表面には、略平面に形成された平面維持部18を有する。
鏡面コート層16は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む。鏡面コート層16は、1.0μm以上30μm以下の範囲の厚みとなるように形成される。また、鏡面コート層16の厚みは、20μm以下が好ましい。20μmを超えると、鏡面コート層16の表面の波打ちが生じ、30μmを超えると、さらに鏡面コート層16の表面の波打ちが顕著に現れることから、樹脂成形品の製造面に質感の高い艶を生じさせることが困難となるからである。また、鏡面コート層16の厚みは、少なくとも、シボ加工によるシボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとの最大高さTよりも小さい。鏡面コート層16の厚みがシボ加工によるシボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとの最大高さTより大きいと、シボ加工による凹凸が埋まってしまうため、樹脂成形品にシボ加工を施せなくなるためである。このような鏡面コート層16は、コア型およびキャビティ型の両方に形成されてもよいし、キャビティ型にのみ鏡面コート層16を形成してもよい。
なお、鏡面コート層16の厚みは、たとえば、電磁・渦電流式膜厚計(サンコウ電子社製,型番:SWT−9100)によって計測することができる。
鏡面コート層16に用いられる熱硬化性樹脂としては、耐熱性、離形性、成形型12の型面12aとの接着性、耐摩耗性等が要求される。耐熱性としては、100℃未満の温度で溶融しないものが望ましく、熱硬化性樹脂の硬化温度が、成形型12の耐熱温度に合わせて設定される。たとえば、アルミニウムやZASなどの融点の低い材料で形成された成形型12に鏡面コート層16を形成する場合には、型材料の耐熱温度に合わせて、100℃以上150℃以下の温度範囲で硬化する熱硬化性樹脂が用いられる。耐摩耗性としては、射出成形時の樹脂の溶融物の流れに対し、耐性が充分にあるものが望ましい。たとえば、合成樹脂による成形、たとえば、射出成形に際し、1000ショット以上の成形に耐え得るものが望ましい。樹脂成形品の成形にあたっては、同一の成形型12で数多くの樹脂成形品を成形するためである。上述したように、この鏡面コート層16の厚みは、1.0μm以上30μm以下、好ましくは、20μm以下であるので、より数多くの樹脂成形品の成形に耐えることができる。
また、上述したような鏡面コート層16対する要求を満たすために、鏡面コート層16に用いられる熱硬化性樹脂は、断熱性が高い材料が用いられる。たとえば、鏡面コート層16に用いられる熱硬化性樹脂としては、熱伝導率が、0.10W/m・K以上0.99W/m・K以下の熱硬化型樹脂が用いられる。
鏡面コート層16に用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム系樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、セルロース、ポリスチレン樹脂等が用いられ、単体および共重合体のいずれも用いることができる。
2.樹脂成形用型の製造方法
次に、本考案にかかる樹脂成形用型の製造方法について説明する。
まず、シボ加工が施された成形型12が準備される。このシボ加工により、成形型12の型面12aには、シボ成形用凸部14aとシボ成形用凹部14bとが形成されている。
成形型12の母材は、少なくとも150℃に加熱可能な素材が使用可能であり、たとえば、鉄鋼材料、アルミニウム、ZASなどの金属材料や合成樹脂材料を用いることができる。
また、成形型12の型面12aには、必要に応じて、皮シボ、幾何学シボ、梨地シボ等の凹凸形状模様のシボ加工が施される。シボ模様は、皮シボ模様、肌理模様や木目模様、梨地模様、葉脈模様、鱗模様、大理石模様、ヘアライン、幾何学模様、研磨模様、塗装模様などから選択される。一方、成形型12の型面12aには、シボ加工を施さない場合もあり得る。
そして、後の工程において鏡面コート層16を形成するために、成形型12の型面12aが脱脂・洗浄される。
次に、鏡面コート層16が成形型12の型面12aに形成される。
まず、鏡面コート層16を形成するために、熱硬化性樹脂が準備される。そして、準備された熱硬化性樹脂を溶剤に分散した混合溶液が準備される。
鏡面コート層16の形成に用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム系樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、セルロース、ポリスチレン樹脂等が用いられ、単体および共重合体のいずれも用いることができる。
鏡面コート層16の形成に用いられる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸n−ブチル、n−ブチルアルコール、メチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることができる。なお、鏡面コート層16を形成するために用いられる混合溶液において、溶剤の希釈率は、5%以上20%以下である。
続いて、鏡面コート層16を形成するために、準備された混合物は、1.0μm以上30μm以下の厚みで形成されるように、たとえば、吹き付け法により、成形型12の型面12aに塗工される。なお、鏡面コート層16が、好ましくは20μm以下の厚みとなるように、塗工される。
鏡面コート層16を形成するための混合溶液の吹き付け条件としては、たとえば、塗布圧力(空気圧)が0.25MPa、スプレーガンの口径が0.8mm、塗布距離が15cm以上40cm以下の範囲である。そして、コーティングするための成形型12の型面12aに対してできるだけ鉛直から吹き付けるようにする。鏡面コート層16が、成形型12の型面12aに均一にコーティングされるように形成させるためである。塗布する場所は、たとえば、塗装ルームである。
なお、また、鏡面コート層16の形成を、成形型12の型面12aの全体面でなく、部分的に鏡面コート層16を形成してもよい。
その後、混合溶液が塗工された成形型12を、焼成温度を100℃以上150℃以下とし、2時間以上5時間以下で焼成することにより、成形型12の型面12aに鏡面コート層16が形成されて、樹脂成形用型10が得られる。
3.樹脂成形品
この樹脂成形用型10を用いて、加熱溶融された熱可塑性樹脂で射出成形を行う。本樹脂成形用型10を用いて成形される熱可塑性樹脂の材料は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合合成樹脂であるABS樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)等を用いることができる。また、樹脂成形品の厚みは、特に制限はなく、任意の厚みに成形することができる。
この樹脂成形用型10を用いて成形された図3の樹脂成形品100の製造面110は、十分な艶を有し、高い光沢を有する。
図1の樹脂成形用型10によれば、鏡面コート層16の厚みが1.0μm以上30μm以下であるので、樹脂成形用型10から樹脂成形品100を抜く際に、樹脂成形品100に対して、引き抜き方向に対する成形型の内側面における出っ張りに起因する傷(かじり)や、シボを有する樹脂成形品100の硬化時に生ずる樹脂収縮に起因する引っ張りあるいは擦れによる傷が生ずるのを回避することができる。
また、鏡面コート層16の厚みが、1.0μm以上30μm以下であるので、鏡面コート層16を形成する際に、溶剤分が揮発する際に生ずる平面維持部18の波打ちによる乱れを抑制することができる。
さらに、鏡面コート層16の厚みが、1.0μm以上30μm以下であるので、鏡面コート層16を形成するために、シボ加工による凹凸が形成された成形型12の型面12aに混合溶液を塗工した際の液だれを回避することができる。
また、さらに、この鏡面コート層16の厚みは、1.0μm以上30μm以下であるので、より数多くの樹脂成形品の射出成形に耐えることができる。
したがって、樹脂成形用型10の鏡面コート層16の平面維持部18は、安定した平面状態を確保することができることから、この樹脂成形用型10を用いて樹脂成形品100を射出成形すると、樹脂成形品100の製品面における外観不良の発生を抑えることができ、高い光沢により質感を向上させた樹脂成形品を得ることができる。
さらに、鏡面コート層16の厚みが、20μm以下であると、鏡面コート層16を形成する際に用いられる混合溶液に含まれる溶剤分が揮発する際に生ずる平面維持部18の波打ちによる乱れを、より抑制することができる。
(実験例)
実施例として成形型12に鏡面コート層16を形成した樹脂成形用型のテスト板と比較例として成形型に鏡面コート層を形成しない樹脂成形用型のテスト板とを準備し、それぞれの樹脂成形用型のテスト板を評価する実験を行った。評価は、樹脂成形用型のテスト板の型面のグロス値を計測することにより行った。
1.樹脂成形用型
(実施例)
実施例1ないし実施例3の成形型のテスト板の母材は、すべて機械構造用炭素鋼(S50C)とした。また、実施例1ないし実施例3の樹脂成形用型のテスト板の大きさは、縦100mm、横150mm、厚さ10mmである。
また、実施例1ないし実施例3では、従来の方法により、シボ加工を施した。なお、実施例1ないし実施例3において、このシボ加工によるシボ成形用凸部とシボ成形用凹部との最大高さTは、10μm程度とした。そして、実施例1ないし実施例3の成形型のテスト板における型面には、鏡面コート層を形成した。これらの鏡面コート層に含有される樹脂は、アクリル樹脂とした。実施例1ないし実施例3では、鏡面コート層の厚みを変化させた。
実施例1ないし実施例3において、鏡面コート層を形成するための混合溶液の吹き付け条件は次の通りとした。
・塗布圧力(空気圧):0.25MPa
・スプレーガンの口径:0.8mm
・塗布距離:30mm以上40mm以下
・塗布向き:成形型の型面に対してできるだけ鉛直
・塗布場所:塗装ルーム
・塗布厚み:表1を参照
(比較例)
比較例1の成形型のテスト板は、実施例1の成形型に施されたシボ加工と同じ、サンドブラストおよびガラスビーズによる表面加工を含む一連のシボ加工が施されており、かつ、鏡面コート層が形成されていないテスト板である。また、比較例1の成形型の母材も、すべて機械構造用炭素鋼(S50C)とした。比較例1のテスト板の大きさも、実施例1ないし実施例3のテスト板の大きさと同一とした。
(計測方法)
成形型12のテスト板の型面12aのグロス値(Gs(60°)の光沢度)は、コニカミノルタ社製光沢計(商品名:UNI GLOSS GM−60)を用いて計測した。Gs(60°)は、測定角60度の鏡面光沢(度)を意味する。
鏡面光沢度は、JIS Z8741−1997「鏡面光沢度−測定方法」に規定された測定方法に準じて、下記の方法で測定した。すなわち、前記規格に準拠する鏡面光沢度測定装置を用いて入射角=60°の条件で、表面の反射率を測定した。次に、この測定値を、基準面の光沢度を100としたときの百分率数に換算して鏡面光沢度として表わした。基準面としては、前記規格に規定された、屈折率が可視波長範囲全域にわたって一定値1.567である黒色ガラス基準面を用い、入射角=60°のときは、鏡面反射率10%を光沢度100と規定した。測定を行うと前記の換算を自動的に行って、鏡面光沢度を出力する機能を有する鏡面光沢測定装置であるコニカミノルタ社製光沢計(商品名:UNI GLOSS GM−60)を用いて、入射角=60°の条件で、テスト板表面各部をN=5で測定し、その平均値を各テスト板表面の鏡面光沢度とした。なお、グロス値(光沢度)が高いほど、艶が出た状態であることを意味している。
表1は、実施例1ないし実施例3および比較例1の評価結果を示す。
Figure 0003217328
成形型のシボ加工された型面におけるグロス値の平均値に着目すると、実施例1ないし実施例3では、15.4から59.4の範囲であり、比較例1では、2.1であることから、鏡面コート層を成形型の型面に形成することで、艶が大きく向上することが確認された。また、実施例1ないし実施例3の成形型における鏡面コート層の平面維持部を確認したところ、波打ちによる乱れは確認されなかった。
10 樹脂成形用型
12 成形型
12a 型面
14a シボ成形用凸部
14b シボ成形用凹部
16 鏡面コート層
18 平面維持部
100 樹脂成形品
110 製造面
T シボ成形用凸部とシボ成形用凹部との最大高さ

Claims (2)

  1. 樹脂成形品を成形するための樹脂成形用型であって、
    前記樹脂成形用型は、
    成形型と、前記成形型の型面の表面に形成される鏡面コート層とを含み、
    前記鏡面コート層は、熱伝導率が、0.10W/m・K以上0.99W/m・K以下の熱硬化型樹脂により形成され、
    前記鏡面コート層の厚みは、1.0μm以上30μm以下であり、前記鏡面コート層の表面は波打ちによる乱れが抑制されて略平面に形成された平面維持部を有することを特徴とする、樹脂成形用型。
  2. 前記鏡面コート層の厚みは、20μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂成形用型。
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