JP3216404B2 - 伸線強化高強度鋼線用線材の製造方法 - Google Patents

伸線強化高強度鋼線用線材の製造方法

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JP3216404B2 JP06256894A JP6256894A JP3216404B2 JP 3216404 B2 JP3216404 B2 JP 3216404B2 JP 06256894 A JP06256894 A JP 06256894A JP 6256894 A JP6256894 A JP 6256894A JP 3216404 B2 JP3216404 B2 JP 3216404B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伸線強化線材(ワイヤ
ー)製造用の素線となる鋼線材の製造方法に関し、特に
高強度で、かつ延性に優れた伸線強化型線材を製造する
ための素線となる加工性に優れた鋼線材の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、最終的に直径0.2mm 前後まで伸線
して得られる製品ワイヤーの強度は、320kgf/mm2前後
で、この場合、素線から製品に至る最終加工は、伸線加
工度lnε≒3.2 前後での冷間伸線がなされている。そし
て、例えば、直径5.5mm クラスの素材鋼線材から素線を
経て、直径0.2mm 前後の最終製品ワイヤーを製造する際
には、所定の素線強度を得るために、LP(鉛パテンテ
ィング)熱処理と加工を何回か繰り返して行う必要があ
る。
【0003】図6は上記の従来の製造工程を示すフロー
図である。この工程によれば、中間のLPにおいて約 9
00℃に加熱後 600℃前後の鉛浴に浸漬し、引張強さが12
5kgf/mm2の素線を得、さらに前記の伸線加工度で伸線し
て引張強さが320kgf/mm2前後の強度を有する最終製品ワ
イヤーを得ることができる。
【0004】しかし、この製造工程と条件においては、
伸線加工度をさらに上げて最終製品で引張強さが320kgf
/mm2以上の強度を得ようとしても、延性低下のため不可
能である。
【0005】図7は、この場合の伸線加工度ln( A0/A
n ) と引張強さ、RA(絞り)との関係の例を示す図で
ある。ここで、A0 :素線の断面積、An :nパス後の
断面積、ε=A0/An である。図示するように、伸線製
品ワイヤーの強度は素線の高炭素線材を伸線していく過
程で徐々に高められていくが、従来の共析鋼化学組成を
有する直径1〜2mmの素線をパテンティング処理して伸
線する場合、上述のとおりlnε≒3.2 程度の伸線加工度
で、最終製品の到達引張強さは320kgf/mm2前後が限界で
あることがわかる。
【0006】特公昭57−19168 号公報には、C: 0.4〜
0.9 %の鋼線材をAc3点以上に加熱してオーステナイト
にした後、未変態オーステナイトの状態で450 ℃以下、
Ms点以上の温度域に急冷し、10〜40%の減面加工を加
えた後、恒温変態熱処理をして微細なフェライト・セメ
ンタイト組織を得る強靱性鋼線の製造方法が示されてい
る。しかしこの方法には、 450℃以下、Ms 点以上の温
度域で10〜40%の塑性加工を行うと遊離フェライトが生
成し、その後の伸線過程で断線などの原因となるという
問題がある。
【0007】本発明者らは、特開平3−240919号公報に
おいて、C: 0.7〜0.9 %を含有する鋼線材をAc3点以
上のオーステナイト域に加熱してから、パーライト変態
開始温度を切らない範囲の冷却速度でAe1点以下500 ℃
以上の温度域に冷却して得た過冷オーステナイトを有す
る線材を、加工減面率20%以上で加工した後、変態させ
て伸線用の鋼線材(素線)を得る方法を示した。
【0008】上記の特開平3−240919号公報に示される
方法は、加工熱処理で結晶粒 (パーライトブロック) を
微細化 (5μm 前後) し、パーライトラメラ間隔を粗め
に調整( 0.15μm )して、引張強さが115kgf/mm2クラス
の伸線用素線を得るものである。これを最終的に伸線加
工度lnε=4.9 近くまで伸線することで、410kgf/mm2
度の引張強さを有する製品ワイヤーを得ることができ
る。
【0009】しかし、この方法では加工温度が低く、オ
ーステナイトの回復、再結晶が起こりにくいため、オー
ステナイト中に過剰な加工組織が残り、その後のパーラ
イトの分解過程において遊離フェライトを発生させる原
因となっている。この遊離フェライトは最終伸線過程で
の延性低下や加工硬化不足の原因となり、高強度化を阻
害する要因である。
【0010】このような理由から、最終パテンティング
後の引張強さが115kgf/mm2クラスの素線を伸線加工度ln
ε=4.9 近くまで伸線しても、引張強さが高々410kgf/m
m2クラスの製品鋼線材しか得られない。さらに、このよ
うな高伸線加工度が内部欠陥の原因ともなって製品伸線
材の延性が低くなる上に、疲労強度も劣化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決するためになされたものであり、本発明の目的は、
420kgf/mm2を超える強度レベルと絞り値40〜60%および
捻回値30回以上の性能を有する最終製品を得ることがで
きる伸線強化高強度鋼線用線材(素線)の製造方法を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の線材
の製造方法にある。
【0013】重量%で、C: 0.6〜1.1 %、Si: 0.2〜
0.6 %およびMn: 0.3〜0.8 %を含有し、不純物として
Pは 0.010%以下、Sは 0.010%以下、O(酸素)は
0.003%以下およびNは 0.004%以下である
鋼線材を、Ac3点またはAcm点以上のオーステナイト域
に加熱した後、 850℃〜650 ℃の温度域で全加工度40%
以上を2回以上に分けて加工し、その1回の加工度はそ
れぞれ15〜30%の範囲とし、かつ加工と加工の間には1
〜5秒の間隔を置き、次いで 650℃未満 550℃以上の温
度域に連続冷却してパーライト変態させることを特徴と
する伸線強化高強度鋼線用線材の製造方法。
【0014】
【作用】
〔I〕素材鋼線材の化学組成 まず、本発明方法の対象となる素材鋼線材の組成を前記
のように限定した理由について述べる。以下、%は重量
%を意味する。
【0015】C: 0.6〜1.1 % Cは素材鋼線材の強度を確保するのに必要な元素である
ほか、その含有量は、後述する条件で加工熱処理を行っ
た場合の遊離フェライトの生成挙動に影響を与える。C
含有量が0.6 %未満では目標とする410kgf/mm2以上の製
品強度が得られない上に、遊離フェライトが生成しやす
くなるため、0.6 %以上とした。一方、1.1 %を超える
と、C以外の元素含有量を本発明で定める範囲内におさ
めても、初析セメンタイトの析出が避けられない。よっ
て、C含有量の範囲は 0.6〜1.1%とした。
【0016】Si: 0.2〜0.6 % Siも鋼線材の強度を確保するのに必要な元素であるほ
か、脱酸剤として必要な元素である。Si含有量が0.2 %
未満では強度が確保できない上に、脱酸効果が不十分と
なる。一方、0.6 %を超えると伸線性が阻害され、目標
とする強度も得られない。よって、Si含有量の範囲は
0.2〜0.6 %とした。
【0017】Mn: 0.3〜0.8 % Mnは鋼線材の強度を確保するのに必要な元素である。Mn
含有量が0.3 %を下回ると、目標とする強度が確保でき
ない。一方、0.8 %を超えるとパーライトの延性が低下
する。よって、Mn含有量の範囲は 0.3〜0.8 %とした。
【0018】P: 0.010%以下 Pはフェライト中に固溶して延性を劣化させ、伸線性を
阻害するため 0.010%以下とした。
【0019】S: 0.010%以下 Sは鋼線材中に介在物として存在し、伸線性を阻害する
ため 0.010%以下とした。
【0020】O(酸素): 0.003%以下 Oは鋼線材中の酸化物系介在物の原因となり、伸線性を
阻害するため 0.003%以下とした。
【0021】N: 0.004%以下 Nはフェライト中に固溶して伸線工程における歪時効の
原因となり、延性を劣化させるため 0.004%以下とし
た。
【0022】本発明方法の対象となる素材鋼線材は上記
成分に限定するものではなく、次に示す目的と範囲で、
B、Nb、Cr、V、Ni、Moおよび希土類元素(以下、RE
Mという)などを含有させることができる。
【0023】B:Bはパーライト中のセメンタイトの成
長を促進し、線材の延性を向上させる。
【0024】この効果は 0.002%未満では得られない。
一方、0.005 %を超えると、温熱間域でのオーステナイ
ト加工において内部割れが生じやすくなる。よって、B
含有量の範囲は 0.002〜0.005 %とするのが好ましい。
【0025】Nb:Nbは変態前のオーステナイトの結晶粒
を微細化する効果を有する。Nb含有量が0.002 %未満で
はその効果が表れない。しかし、0.010 %を超えると温
熱間域でのオーステナイト加工において、NbC が優先析
出し、伸線性を劣化させる。よって、Nb含有量の範囲は
0.002〜0.010 %とするのが好ましい。
【0026】Cr:Crは素材鋼線材の強度を向上させるの
に有効な元素である。Cr含有量が0.1 %を下回ると強度
が得られず、また、1.0 %を超えるとパーライト中のセ
メンタイト板が十分成長せず、延性が劣化する。これら
の理由からCr含有量の範囲は 0.1〜1.0 %とするのが好
ましい。
【0027】V、Ni、Mo:V、Ni、Moはいずれも素材鋼
線材の強度を向上させる元素である。
【0028】Vは0.01%以上含有させることにより、そ
の効果が認められる。しかし、V含有量が0.30%を超え
るとかえって延性が低下する。このため、V含有量の範
囲は0.01%以上0.30%以下に限定するのが好ましい。
【0029】Niは0.05%以上含有させることにより、素
材鋼線材 (共析組織) の強度を向上させるほか、伸線に
おける加工硬化率を向上させる。しかし、Ni含有量が1.
0 %を超えると延性が低下する。このため、Ni含有量の
範囲は0.05%以上1.0 %以下に限定するのが好ましい。
【0030】Moも0.01%以上含有させることにより、素
材鋼線材 (共析組織) の強度を向上させる。しかし、Mo
含有量が0.20%を超えると、かえって延性が低下するほ
か、変態に長時間を要し工業的に熱処理を行うことが難
しくなる。このため、Mo含有量の範囲は0.01%以上0.20
%以下に限定するのが好ましい。
【0031】本発明方法の対象となる素材鋼線材では、
REMの1種以上を各々0.01〜0.10%の範囲で含有させ
ることができる。
【0032】本発明で定める条件でオーステナイトを加
工することによって、結晶粒微細化とこれに伴う延性向
上の効果が得られるが、REM含有量を0.01%以上とす
ることで、より延性が改善される。一方、REM含有量
が0.10%を超えると逆に延性が劣化する。よって、RE
M含有量の範囲は、1種もしくは2種以上で、1種毎に
0.01%以上0.10%以下に限定するのが好ましい。
【0033】〔II〕製造工程および条件 次に、製造工程とその条件を前記のように限定した理由
について、作用効果とともに説明する。
【0034】(a)素材鋼線材の加熱温度 本発明方法に供する素材鋼線材は、転炉溶製、連続鋳
造、熱間圧延の各工程を経て製造されるもので、通常は
およそ直径5.5mm の太さのものである。この素材鋼線材
をAc3点またはAcm点以上のオーステナイト域に加熱す
る。
【0035】加熱温度をAc3点またはAcm点以上の範囲
としたのは、その後の加工熱処理に先行してオーステナ
イト中に炭化物を完全固溶させるためである。
【0036】(b)加工条件 上記の加熱後、 850℃〜650 ℃の温度域で全加工度40%
以上を2回以上に分けて加工する。このとき分割したそ
れぞれの1回の加工度はいずれも15〜30%の範囲とし、
かつ加工と加工の間には1〜5秒の間隔を置く。
【0037】まず、オーステナイト組織の素材鋼線材の
加工温度を 850℃以下 650℃以上の温度域としたは、次
の理由による。
【0038】850℃を超えると加工中の動的再結晶や加
工直後の再結晶のためγ粒がかえって粗大化し、その
後、変態によって得られる材料の延性が劣化する。この
理由で加工温度は850℃以下とした。一方、650℃を下回
ると回復、再結晶が起こりにくく、変態前に過剰な転位
が導入されるため、その他の条件が本発明の範囲にあっ
ても遊離フェライトや初析セメンタイトといった第2相
が生成する。この理由で加工温度は650℃以上とした。
【0039】次に、全加工度40%以上を2回以上に分け
て1回の加工度が15〜30%の範囲とし、しかも加工と加
工の間に1秒以上5秒以下の間隔を開けて加工を行うと
した理由を図1〜図4に基づいて説明する。
【0040】図1は、オーステナイトの全加工度と生成
する遊離フェライトの体積率の関係を一段加工と二段ま
たは二段以上の多段加工の場合で比較して示す図であ
る。図1から、二段または二段以上の多段加工の方が、
一段加工より遊離フェライトの体積率が飛躍的に少ない
ことがわかる。このように、加工段数を二段以上にする
ことで遊離フェライトの量を1%以下の低いレベルに抑
えることができる。
【0041】遊離フェライトの量を1%以下に抑えると
伸線加工性が飛躍的に向上し、オースフォームパテンテ
ィング材本来のlnε≧ 4.0〜4.5 の加工が可能となる。
【0042】図2は、オーステナイト全加工度とパーラ
イトブロックサイズの関係を一段加工と二段または二段
以上の多段加工の場合で比較して示す図である。図2か
ら、全加工度が40%以上でパーライトブロックサイズが
5μm以下に微細化され、しかも二段または二段以上の
多段加工の方が一段加工より、より微細化されることが
わかる。
【0043】パーライトブロックサイズの微細化を5μ
m以下とすれば、遊離フェライトの量を1%以下に抑え
る場合と同じく、伸線加工性が飛躍的に向上し、オース
フォームパテンティング材本来のlnε≧ 4.0〜4.5 の加
工が可能となる。
【0044】このような理由から、オーステナイトの全
加工度を40%以上とし、加工の回数を2回以上とした。
望ましいオーステナイトの全加工度の上限は約75%、望
ましい多段加工回数は4回である。
【0045】図3は、1回当たりのオーステナイトの加
工度とパーライトブロックサイズ、遊離フェライトの体
積率との関係を示す図である。図3から、1回当たりの
オーステナイトの加工度が15%未満では、パーライトブ
ロックサイズが5μm以下にならないことがわかる。ま
た、30%を超えると遊離フェライトの量が1%を超える
ことがわかる。
【0046】このような理由から、1回当たりのオース
テナイトの加工度を15%以上30%以下とした。
【0047】図4は、オーステナイトの加工と加工の間
の保持時間とパーライトブロックサイズ、遊離フェライ
トの体積率との関係を示す図である。図4から、加工間
の保持時間が1秒未満では、遊離フェライトの体積率が
1%を超えることがわかる。
【0048】また、5秒を超えるとパーライトブロック
サイズが5μmを超えて粗大化することがわかる。
【0049】このような理由から、オーステナイトの加
工と加工の間の保持時間を1秒以上5秒以下とした。
【0050】(c)冷却条件 次に、上記条件での加工終了後、 650℃未満 550℃以上
の温度域に連続冷却し、パーライト変態させる。これは
次の理由による。
【0051】すなわち、冷却終了温度が 650℃以上で
は、後述するパーライトラメラ間隔が粗くなりすぎて目
標とする強度が得られない。一方、 550℃未満ではベイ
ナイトなどの低温生成物が混入して伸線性が阻害され目
標とする強度が得られない。よって、加工終了後の冷却
温度範囲は 650℃未満 550℃以上とした。
【0052】上記の工程と条件で製造された伸線強化高
強度鋼線用線材は、遊離フェライトの体積率が小さくな
っていることに加えて、パーライトブロックサイズも小
さくなっているので、極めて優れた伸線性を備えたもの
となる。さらに、この線材ではパーライトの配向率も約
75%以上となっており、これも伸線加工性の改善に寄与
している。
【0053】図5は、上記の本発明の方法を実施するた
めの加工熱処理装置の例を示す概略図である。
【0054】図5(a) は、ピンチロール2、インダクシ
ョンヒーター3に代表される急速加熱装置、水冷装置4
に代表される冷却装置、塑性加工機としてマイクロミル
5に代表される連続圧延機および出側のピンチロール2
から構成されている装置である。この装置では、塑性加
工後連続冷却する手段は空冷である。図中、符号1はペ
イオフリール、符号8は巻取装置、符号9は線材を示
す。
【0055】急速加熱装置には通電加熱方式を、冷却装
置には空冷方式を、それぞれ用いることもできる。水冷
装置4では、例えば浸漬タイプのものが用いられ、水
冷、空冷のいずれの方式の場合にも、組織の制御を行う
ためにヒートパターンを可変とし、また後続の圧延機と
の間で可動としたタイプのものであることが望ましい。
【0056】上記のインダクションヒーター3のような
急速加熱装置で所定温度に加熱した線材を、上記のよう
な冷却装置で所定の温度に冷却し、次いでマイクロミル
5などの連続圧延機で所定の条件で塑性加工を施す。例
えばその場合、マイクロミル5の各圧延スタンド毎に調
整弁で冷却水の流量を制御し、圧延による線材の昇温と
冷却が釣り合うようにすることで、加工温度一定の条件
にして加工を行うこともできる。
【0057】塑性加工後、空冷により所定の温度域に連
続冷却してパーライト変態させる。
【0058】図5(b) は、塑性加工後連続冷却する手段
として、マイクロミル5と出側のピンチロール2の間に
鉛パテンティング用の鉛バス6を設ける例である。図5
(c)は、上記の鉛バス6に代えて、Si、Alなどの酸化物
を用いる流動層7を設ける例である。
【0059】
【実施例】表1〜表3に示す No.1〜48の鋼を150kg 真
空溶解炉で溶解し、鍛造、圧延により直径5.5mm の素材
鋼線材とした後、図5(b) に示す加工熱処理装置によ
り、表4、表5に示す条件で処理を行い、直径3.5mm の
素線とした。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】得られた素線(すなわち中間線材としての
加工熱処理材)の特性値と組織を、表6〜表8に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
【表8】
【0069】これらの加工熱処理材素線を用いて、酸
洗、潤滑、冷間伸線加工を行い、得られた最終製品ワイ
ヤーについて、引張試験、捻回試験、疲労試験などによ
る評価を行った。その伸線加工度と評価試験結果を表6
〜表8に併記して示す。
【0070】なお、表中の「パーライト配向率」とは、
線材の長手方向に対し45°以内のラメラー成長方向をも
っているパーライトブロックの占める面積率をいう。
【0071】全ての条件が本発明で定める範囲内にある
本発明例では、素線の強度は130kgf/mm2以上、製品の強
度は420kgf/mm2以上と、いずれも目標とする値を超え、
製品では捻回、疲労特性でも良好な値が得られているこ
とがわかる。
【0072】次に、鋼種 No.3と図5(b) に示す加工熱
処理装置を用いて、加工熱処理条件を表9の実験 No.49
〜65に示す範囲で変化させて得られた素線の特性値を比
較した。その結果を表10に示す。
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】実験 No.49〜53は加工温度の、実験 No.54
〜56は全加工度の、実験 No.57、58は加工段数の、実験
No.59〜61は1回当たりの加工度の、また、実験 No.62
〜65は加工間の保持時間の、それぞれ影響を調査したも
のである。
【0076】これらの素線を用いて、その後、酸洗、潤
滑、伸線を行い、得られた最終製品ワイヤーについて、
引張試験、捻回試験、疲労試験などによる評価を行っ
た。その伸線加工度と評価試験結果を表10に併記して示
す。
【0077】全ての条件が本発明で定める範囲内にある
本発明例では、いずれも強度をはじめ、良好な機械的特
性値が得られていることがわかる。このように、本発明
の方法により、高強度線材を製造するのに好適な高炭素
鋼線材(素線、中間線材)を連続的に製造することがで
きる。
【0078】
【発明の効果】本発明の方法による伸線強化高強度鋼線
用線材(素線、中間線材)は、強度が130kgf/mm2以上で
ある。これを用いて最終伸線すれば、伸線加工度lnε≧
4.27の高加工度域で、420kgf/mm2を超える強度レベルと
ともに、絞り値が40〜60%、捻回値が30回以上の高い延
性を有する高強度鋼線材製品が得られる。合金元素含有
量を適正に選択すれば、 430〜470kgf/mm2の強度レベル
を有する製品も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊離フェライトの体積率に及ぼすオーステナイ
ト全加工度および加工段数の影響を示す図である。
【図2】パーライトブロックサイズに及ぼすオーステナ
イト全加工度および加工段数の影響を示す図である。
【図3】パーライトブロックサイズ、遊離フェライト体
積率に及ぼす1回当りのオーステナイトの加工度の影響
を示す図である。
【図4】パーライトブロックサイズ、遊離フェライト体
積率に及ぼす加工間の保持時間の影響を示す図である。
【図5】本発明の方法を実施する装置の例を示す概略図
である。
【図6】従来の製造プロセスの例を示すフロー図であ
る。
【図7】従来技術の場合の、強度と絞りに及ぼす伸線加
工度の影響を示す図である。
【符号の説明】
1:ペイオフリール、2:ピンチロール、3:インダク
ションヒーター、4:水冷装置、 5:マイクロミ
ル、6:鉛バス、7:流動層、 8:巻取装置、
9:線材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.6〜1.1 %、Si: 0.2〜
    0.6 %およびMn: 0.3〜0.8 %を含有し、不純物として
    Pは 0.010%以下、Sは 0.010%以下、O(酸素)は
    0.003%以下およびNは 0.004%以下である鋼線材を、
    Ac3点またはAcm点以上のオーステナイト域に加熱した
    後、 850℃〜650 ℃の温度域で全加工度40%以上を2回
    以上に分けて加工し、その1回の加工度はそれぞれ15〜
    30%の範囲とし、かつ加工と加工の間には1〜5秒の間
    隔を置き、次いで 650℃未満 550℃以上の温度域に連続
    冷却してパーライト変態させることを特徴とする伸線強
    化高強度鋼線用線材の製造方法。
JP06256894A 1994-03-31 1994-03-31 伸線強化高強度鋼線用線材の製造方法 Expired - Fee Related JP3216404B2 (ja)

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