JP3215831B2 - 緩衝機構付きキャスタ - Google Patents

緩衝機構付きキャスタ

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JP3215831B2
JP3215831B2 JP30992797A JP30992797A JP3215831B2 JP 3215831 B2 JP3215831 B2 JP 3215831B2 JP 30992797 A JP30992797 A JP 30992797A JP 30992797 A JP30992797 A JP 30992797A JP 3215831 B2 JP3215831 B2 JP 3215831B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、簡単な構造で衝
撃を吸収することができるようにした緩衝機構付きキャ
スタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、キャスタ走行時に車輪に加わる衝
撃を緩衝するための緩衝構造として、例えば、取付部に
対して車輪と共に支持ヨークを揺動させて衝撃を吸収さ
せる構造があるが、この場合、形状の大型化が避けられ
ず、また構造が複雑となってコストアップとなる等の問
題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記問題点
を解決するために創案されたものであって、その主たる
課題は、簡単な構造で車軸を揺動させることによって衝
撃を緩衝することができる緩衝機構付きキャスタを提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、請求項1の発明では、取付部に旋回自在に設
けられた支持ヨークに左右一対の車輪を取付けてなり、
前記支持ヨークの左右の側壁部に前後方向に水平に延び
る長孔を対向して一対に設け、該長孔に摺動子を前後方
向に水平に摺動自在に設け、該一対の摺動子間に車輪を
軸支する車軸を取付けると共に、上記摺動子を長孔の前
方側へ付勢する付勢手段を設けてなり、前記車軸と各車
輪の間にカラーを介設してなり、該カラーの外端に鍔状
の係止片が設けられており、前記摺動子の内壁面で上記
係止片に対応する個所に上記係止片を拘束してカラーを
固定する係止受部が形成されてなる、という技術的手段
を講じている。
【0005】また、請求項2の発明では、請求項1の構
成において、付勢手段が、長孔の前後方向の後端で摺動
子との間に介設されたコイルバネからなっており、長孔
の後端にコイルバネの一端を係止する受部が形成されて
なる、という技術的手段を講じている。
【0006】請求項3の発明では、請求項1または2の
構成において、支持ヨークの側壁部にカバーが装着され
て、長孔および摺動子が覆われてなる、という技術的手
段を講じている。
【0007】更に、請求項4の発明では、請求項1の構
成において、車軸に2つの車輪が軸支されており、該一
対の車輪が前から見て上側が広がり下側が狭まると共
に、直進時に前方となる側が狭まり後方となる側が広が
るように傾斜した姿勢となって回転しうる、という技術
的手段を講じている。
【0008】
【発明の実施の態様】以下に、この発明の緩衝機構付き
キャスタの好適実施例について図面を参照しながら説明
する。図1および図2に示すキャスタ1は単輪キャスタ
からなるものであって、取付部2に旋回自在に設けられ
た支持ヨーク3の左右の側壁部30に摺動子33が前後
に摺動可能に取り付けられており、上記一対の摺動子3
3は車輪5を軸支する車軸4の両端に固定された構成か
らなっている。
【0009】取付部2は、取付軸2aとこれに固定され
た基盤部2bとからなっており、基盤部2bから垂下す
る軸部2cを小径としており、この軸部2cに支持ヨーク
3の基台部3aがスラスト軸受されており、これにより
支持ヨーク3は、取付軸2に対して旋回動自在となる公
知構成からなっている。
【0010】次に、支持ヨーク3は、略チャンネル状か
らなっており、天頂部に形成された基台部3aから後方
へ延びる頂壁部3bと、基台部3a乃至頂壁部3bの左
右端で垂下する一対の側壁部30、30とを有してい
る。図5から図8に示すように、この側壁部30には、
中途位置に前後方向に水平に延びる略長方形状の長孔3
1が穿設されている。
【0011】この長孔31には摺動子33が前後に摺動
可能に嵌合している。摺動子33は、長孔31の縦の長
さにほぼ等しく横の長さより短く設定されており、その
外周部33aの断面が前記長孔31の周縁部31aの断
面に対応するよう外側が広がり内側が狭まるような段部
に形成されている。従って、摺動子33は長孔31に嵌
合されても内側へ脱落することなく、前後方向に水平に
摺動することができる。
【0012】また、長孔31と摺動子33の間には、付
勢手段の一例として示すコイルスプリングSが介設され
ている。ここで付勢手段は、コイルスプリングに代え
て、板バネや合成ゴムその他の公知の付勢手段を用いる
ことができる。そして、長孔31の周壁部31aの後方
の辺には、コイルスプリングSの後端側を嵌め込む上下
一対の溝部の間に形成されてコイルスプリングの後端を
嵌合する後方受部31bが形成されている。
【0013】一方、摺動子33の後方の辺には、コイル
スプリングSの前端側を嵌め込む上下一対の溝部の間に
形成されてコイルスプリングの前端を嵌合する前方受部
33bが形成されている。そして、前方受部33bと後
方受部31bとの間にコイルスプリングSが装着され
て、摺動子33を常時、長孔31の前方側(図1の図中
右側)へ付勢している。
【0014】上記左右の摺動子33、33間には車軸4
となる固定ピンが水平に横架し、両端で固定されてお
り、この車軸4にはカラー7を介して車輪5が軸支され
ている。ここでカラー7はストレートな筒体からなって
いる。また、車軸4は一対の摺動子33、33を貫通し
ており、ピン頭部が一方の摺動子33の外側で衝合し、
先端は他方の摺動子33の外側でカシメられた図示例構
成からなっている。
【0015】そして、前記コイルスプリングSの付勢に
より摺動子33は長孔31の前端に衝合する位置に保持
されており、その位置が車輪5の正常位置となる。この
状態で、キャスタ1が直進すると、図1で示すように取
付部の旋回軸より車軸が後方となる姿勢で走行する。そ
して、車輪5に外的衝撃力が加わると、車輪5は摺動子
33と共に後方へ変位し、前記コイルスプリングSで後
方向に作用する力を緩衝することができる。
【0016】また、支持ヨーク3は、その側壁部30
に、小径で球面状に膨出し、前記長孔31および摺動子
33を覆うカバー35を外側から取り付けることが好ま
しい。このカバー35は、例えば側壁部30に螺合や係
止により着脱可能に取着されるが、一体に固着してもよ
い。
【0017】本実施例では、単輪の構成を例示したが、
この発明では2つの車輪を設けた双輪であってもよい。
また、摺動子33の内壁部に車軸4を受ける軸受部を設
けるものでもよい。そこで、双輪キャスタの場合の異な
る実施例を図3および図4を基に説明する。なお、図5
以降の図面の構造は前記実施例と同様であるので、その
説明を省略する。
【0018】この実施例では上述の車輪の緩衝構造と共
に、双輪にキャンバー構造が採られている。なお、その
他の第1実施例の図5から図8に示される構造は共通す
るので説明を省略する。即ち、図示例の場合、車輪構造
において、車軸4には左右からカラー7、8が外嵌さ
れ、このカラー7、8間および各カラー7、8に軸支さ
れた車輪5,6間にはそれらの姿勢を維持するためのス
ペーサ11が車軸4に装着されている。
【0019】このスペーサ11は、中央に孔を有する円
盤状からなっており、中央にボス部が形成され外周には
リム部が形成されている。そして、ボス部が上記カラー
7、8の間に嵌め込まれ、リム部が車輪5、6の段差部
間に嵌め込まれて、それぞれ位置決めしている。
【0020】カラー7、8は、その外周壁が、中央へ向
かって漸次上向きとなるように車軸4に対して偏心する
ように形成されている。そして、カラー7、8は、その
外端に鍔状の係止片7a、8aが突設されている。この
係止片7a、8aは、上部が矩形で下部が半円形状から
なっている。
【0021】一方、前記支持ヨーク3の側壁の内面に
は、前記長孔31と連なる位置に係止片7a、8aを挿
入するためのガイド溝34が形成されている。また、同
様に摺動子33の内壁面には前記ガイド溝34に連通す
ると共に係止片7a、8aを嵌合係止する係止受部39
が形成されている。
【0022】即ち、このガイド溝34は、支持ヨークの
左右の側壁部30、30のそれぞれの下端から長孔31
まで延びる溝からなっており、その溝幅が上記係止片7
a、8aを上下に摺動可能な長さに設定されている。ま
た、係止受部39は、上記ガイド溝34の延長上に中途
位置まで延びている。更に、係止受部39は上部が横倒
コ字状となり前記係止片7a、8aの上端が略隙間無く
嵌合し拘束される形状となっている。
【0023】従って、キャスタの組立に際して、カラー
7、8は車輪5、6およびスペーサ11と共に支持ヨー
ク3内へ嵌挿されるが、その際にカラー7、8の係止片
7a、8aはガイド溝34を通って摺動子33の係止受
部39迄挿入され、摺動子33に係止される。そして、
一方の摺動子33の外側から車軸4が他方の摺動子33
まで嵌挿されて前述のように両端で固定される。
【0024】即ち、このガイド溝34は、支持ヨークの
左右の側壁部30、30のそれぞれの下端から長孔31
まで延びる溝からなっており、その溝幅が上記係止片7
a、8aを上下に摺動可能な長さに設定されている。ま
た、係止受部39は、上記ガイド溝34の延長上に中途
位置まで延びている。更に、係止受部39は上部が横倒
コ字状となり前記係止片7a、8aの上端が略隙間無く
嵌合し拘束される形状となっている。従って、カラー
7、8は係止片7a,8aが支持ヨークの側壁部3c,
3cに拘束されて位置決めされるので、外側から車軸4
を嵌挿することができる。
【0025】なお、このカラーの摺動子への取付構造は
前記実施例の単輪の場合も同様である。即ち、図に示す
ように1つのカラー7の両端に鍔状の係止片7a、8a
を設け、支持ヨークの左右の側壁部30、30にガイド
溝34を設け、摺動子33には係止受部39が設けられ
るので、上記説明を援用する。
【0026】このように取付けられたカラー7,8は、
第2実施例の場合は、外周壁となる車輪5、6との摺動
面が車軸の軸線(水平線)に対して車軸中央へ向かって
漸次上向きとなるように偏心して形成される。一方、車
輪5、6は中央のボス部分の孔部が水平に設定されてい
る。従って、一対の車輪5、6がキャスタの前から見て
上側の間隔(D)が広がり下側の間隔(d)が狭まる
(D>d)ように傾斜する。
【0027】更に、一対の車輪5、6は前後方向におい
ても車輪の間隔を異にする。即ち、一対の車輪5,6が
直進走行時に前方となる側の間隔(e)が狭まり後方と
なる側の間隔(E)が広がる(E>e)ように傾斜した
姿勢となって回転しうるように設定されている。本実施
例で車輪5、6は、このようなポジティブキャンバーの
姿勢となって、その姿勢のまま回転することができるよ
うになっている。
【0028】この場合、前記カラー7、8は、その外周
壁が、中央へ向かって漸次上向きになると共に、中央へ
向かって漸次後方へ傾斜するように車軸に対して偏心し
て形成されている。従って、一対の車輪5、6は、正面
から見て上側および後側が広がり、下側および前側が狭
まるように傾斜した姿勢に保持され、その姿勢を保持し
たまま回転する。これにより一層に直進性の向上を図る
ことができる。
【0029】更に、本実施例では、一例として制動装置
が設けられている。即ち、支持ヨーク3の側壁部30の
上方には制動解除方向に付勢されたバネ材からなる制動
板12が中途位置でピンP1により枢支されている。こ
の制動板12は一端に旋回ロック用の爪部13が形成さ
れており、他端には車輪のトラッド面に押圧されるシュ
ー部14が形成されている。そして支持ヨーク3の頂壁
部3aには操作レバー15が枢着されている。
【0030】そこで、操作レバー15を押し込むと、変
位したカム面で上記シュー部14側の制動板12を押し
下げてシュー部14を車輪に強く押し付けて車輪の回転
を制動する。一方、上記制動板12の爪部13側は押し
上げられて取付軸2の小径軸部2aの下端に固着された
皿状部材2bの下端面に環状に形成された凹凸状の歯部
に係止し、支持ヨーク3側が取付軸2側に拘束されるの
で、旋回がロックされる。
【0031】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明の緩衝機構付
きキャスタによれば、前後方向に水平に移動する摺動子
に車軸を取り付けることにより、車輪に加わる外的衝撃
力で後方へかかる力を付勢手段で受けて緩衝することが
でき、簡単で、大型化する必要がない構造で、キャスタ
の走行に際しての緩衝吸収の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る緩衝機構付きキャスタの実施例の
横断面図である。
【図2】同縦断面図である。
【図3】異なる実施例の横断面図である。
【図4】同縦断面図である。
【図5】本発明に係る緩衝機構付きキャスタの実施例で
あって(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】制動状態を示す側面図である。
【図7】車軸を偏心させた実施例を示す側面図である。
【図8】カバーを取り付けた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…双輪キャスタ 2…取付軸 3…支持ヨーク 4…車軸 5、6…車輪 7、8…カラー 7a,8a…係止片 30…側壁部 31…長孔 33…摺動子 34…ガイド溝 39…係止受部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取付部に旋回自在に設けられた支持ヨー
    クに左右一対の車輪を取付けてなり、前記支持ヨークの
    左右の側壁部に前後方向に水平に延びる長孔を対向して
    一対に設け、該長孔に摺動子を前後方向に水平に摺動自
    在に設け、該一対の摺動子間に車輪を軸支する車軸を取
    付けると共に、上記摺動子を長孔の前方側へ付勢する付
    勢手段を設けてなり、 前記車軸と各車輪の間にカラーを介設してなり、該カラ
    ーの外端に鍔状の係止片が設けられており、前記摺動子
    の内壁面で上記係止片に対応する個所に上記係止片を拘
    束してカラーを固定する係止受部が形成されてなること
    を特徴とする緩衝機構付きキャスタ。
  2. 【請求項2】 付勢手段が、長孔の前後方向の後端で摺
    動子との間に介設されたコイルバネからなっており、長
    孔の後端にコイルバネの一端を係止する受部が形成され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝機構付き
    キャスタ。
  3. 【請求項3】 支持ヨークの側壁部にカバーが装着され
    て、長孔および摺動子が覆われてなることを特徴とする
    請求項1または2に記載のいずれかの緩衝機構付きキャ
    スタ。
  4. 【請求項4】 一対の車輪が前から見て上側が広がり下
    側が狭まると共に、直進時に前方となる側が狭まり後方
    となる側が広がるように傾斜した姿勢となって回転しう
    ることを特徴とする請求項1に記載の緩衝機構付きキャ
    スタ。
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