JP3213562U - 前輪浮き上がり防止機構 - Google Patents

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和夫 奥本
和夫 奥本
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Abstract

【課題】レッカー車における牽引荷重による前輪浮き上がり作用を減殺できる前輪浮き上がり防止機構を提供する。【解決手段】リフトの垂直フレーム20上部から前方斜め上方に延びる、逆「く」の字形の傾斜アーム40を設け、この傾斜アーム40と荷台フレーム3からの駆動シリンダ50と直角をなして連結し、荷台フレーム3の最後尾に取り付けられるアンダーリフト10の水平牽引アーム30にかかる車両牽引時のレッカー車1にかかる荷重W1を逆「く」の字形の傾斜アーム40を介して駆動シリンダ50で受けるようにした。【選択図】図1

Description

この考案は、荷台フレームの最後尾に取り付けられるアンダーリフトでの車両牽引時のレッカー車にかかる荷重W1を受ける前輪浮き上がり防止機構に関するものである。
一般に、レッカー車には、運転席のある荷台フレームの前方に水平旋回可能なブームが、荷台フレームの最後尾に折り畳み式アンダーリフトが設けられ、このアンダーリフトはL字形をなし、水平方向後方に延びる水平牽引アームが車輪載置台として取り付けられている。事故車、故障車あるいは違法に駐車している車両等の被牽引車を牽引する際、被牽引車の前輪又は後輪をアンダーリフトの後方に延びる牽引アームの車輪載置台に載せ、上記アンダーリフトを上動させて車輪載置台を地面から浮き上がらせた状態で被牽引車を牽引するようになっている。
また、レッカー車には、ドーリと称する補助台車が常備されており、被牽引車が四輪駆動車や車輪が回転不能な事故車である場合には、被牽引車の前輪(又は後輪)を上述の如く車輪載置台に載せるとともに、被牽引車の後輪(又は前輪)を補助台車に載せ、アンダーリフトを上動させて上記車輪載置台を地面から浮き上がらせた状態で被牽引車を牽引するようになっている(特許文献1)。
ところで、上述の如く被牽引車の車輪を載せた車輪載置台をアンダーリフトで地面から浮き上がらせると、被牽引車の荷重W1がレッカー車の車体後部に作用する。被牽引車が比較的軽量でその荷重がアンダーリフトの持上げ能力の範囲内にある普通車の場合には、レッカー車の車体後部に作用する被牽引車の荷重はさほど大きくないため、レッカー車の前輪が浮き上がることはなく牽引に支障を来すことはないが、被牽引車がトラック等のように重たくてその荷重がアンダーリフトの持上げ能力の範囲を超えている大型車の場合には、レッカー車の車体後部に作用する被牽引車の荷重は非常に大きくなるため、レッカー車の前輪が浮き上がって前輪操舵がきかなくなり牽引できない事態が起きる。
また、それ程までではないにしても、レッカー車の前輪が浮き上がり気味になるので走行安定性が悪くなり、この状態で運転すると非常に危険である。因みに、法規制では、レッカー車の前輪の負荷率が20%以下になると牽引不可能とされている。このような場合には、大型レッカー車を利用し、運転席後方の荷台フレーム3に重しを置くなどの工夫が取られる。特に、日本などの道路事情が厳しい状況では荷台フレームを極力短くして大型レッカー車の運転能力を向上しようとすると、前輪への荷重がかかりやすく、バランスを採るための重しの重量がレッカー車の運転能力を減殺するという悪循環を招来している。
そこで、本考案者らはL字形アンダーリフトの支持軸からほぼ垂直上方に伸びる垂直フレームの上端から前方に突出する作用アームから傾斜して延びる駆動シリンダで、リフトの水平牽引アームを水平に伸長し、その先端に牽引車両Mの荷重W1をかけた時、後方2輪の後段車輪を支点としてかかる荷重W1の少なくとも一部を後方2軸の前段または後輪車輪を支点とする荷重Wに移行させるように構成されたリフト付レッカー車が提案される(特許文献2)。
しかしながら、大型レッカー車である場合は、荷台フレームが長いので上記構成は採用しやすいものの、小型レッカー車においては無理がある。そこで、大型車両はもちろん、小型車両においても、上記構成を採用して車両牽引時の荷重バランスの取りやすいL字形アンダーリフトのレッカー車の前輪浮き上がり防止機構の提供が望まれる。
そこで本考案者は後方の荷台にL字形折り畳み式アンダーリフトを備える場合、垂直フレームの上端から前方に突出する作用アームから後方車輪より前方の荷台フレーム3に連結される駆動シリンダを設け、上記水平牽引アームを水平に伸長し、その先端に牽引車両Mの荷重W1をかけた時、支持軸を支点とする垂直フレームの右回り回転モーメントM1に対し荷台フレームの前方に伸びる駆動シリンダで上記垂直フレームの左回りの回転モーメントM2を付与する構造を提案した(特許文献3)。
実開昭61−87139号公報 実用登録第3195494号公報 実用登録第3200821号公報
しかしながら、支持軸を支点にする垂直フレームの右回り回転モーメントM1に対し荷台フレームの前方に伸びる駆動シリンダで上記垂直フレームの左回りの回転モーメントM2を付与する場合、後方車輪に荷重を分散させると、荷台前方の浮き上がりが抑制されるが、後方車輪に荷重を分散させつつ、支持軸を支点にする垂直フレームの右回り回転モーメントM1と上記垂直フレームの左回りの回転モーメントM2とを拮抗させるには構造上困難が伴うという問題があった。そこで、本考案は垂直フレームの右回り回転モーメントM1と拮抗させる上記垂直フレームの左回りの回転モーメントM2をよりコンパクトな構造で、かつ容易に付与できる構造を提供することを課題とする。
本考案者は、鋭意研究の結果、荷台後方にL字形折り畳み式アンダーリフト10を備える場合、車両牽引時のレッカー車による荷重W1を垂直フレーム20の上部から前方斜め上方に延びる傾斜アーム40と該傾斜アーム先端に荷台フレーム3に前方に連結される駆動シリンダ50とを直角またはその近傍の角度θをなして連結し、車両牽引時のレッカー車による荷重W1による垂直フレームの右回りモーメントM1とバランスする左回りモーメントM2を前記傾斜アームと駆動シリンダにより形成する構造を有することを特徴とする前輪浮き上がり防止機構を提供する。
本考案においては、垂直フレーム20の上部から前方斜め上方に延びる傾斜アーム40と該傾斜アーム先端に荷台フレーム3に前方に連結される駆動シリンダ50とを直角またはその近傍の角度θをなして連結するので、駆動シリンダで効率よく左回りモーメントM2を付与することができる。したがって、前方運転席荷重W3と相まって、後方2輪の後段車輪を支点としてかかる水平牽引アームにかかる荷重W1の少なくとも一部を後輪車輪を支点とする荷重W2に移行させ、リフト付レッカー車の前輪浮き上がり防止機構をコンパクトな構造で、かつ容易に付与できる構造を提供する。上記前方斜め上方に延びる傾斜アーム40は上記連結角度を確保できるように逆「く」の字形とするのがよい。
本考案のアンダーリフトを取り付けたレッカー車の全体構造を示す側面図である。 本考案の前輪浮き上がり防止機構の作用説明図である。 本考案の前輪浮き上がり防止機構の収納状態を示す側面図である。
以下、この考案の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1はこの考案の一実施形態に係るレッカー車1を示し、そのうち図2はその作用機構説明図である。図中、2はレッカー車1の運転席で荷台フレーム(シャーシ)3の前方にあり、このシャーシ3上面中程には、L型のウインチブーム(図示せず)が設けられ、牽引作業時には、上記ウインチブームにより牽引姿勢を取らせることもできる。上記ウインチブームの基端寄りにはウインチ(図示せず)が設置される場合もある。被牽引車Mの車輪が破損してアンダーリフト10によって牽引作業が不可能な場合に、上記フックを被牽引車Tの掛合部に引っ掛けて被牽引車Mを吊り上げることもできる。
図1において、運転台2の下方の荷台フレーム3の前方に前方車輪4が取り付けられる一方、荷台フレーム3の後方に後方車輪5、または後方2軸車輪5−1、5−2を備える。このレッカー車1において、その後方車輪5の後方近傍に荷台フレーム3の長手方向に対し荷台フレーム巾方向に延びる支持軸11を支点にするL字形折り畳み式アンダーリフト10が取り付けられる。このL字形アンダーリフト10は荷台フレーム3に対し幅方向に伸びる支持軸11に枢支され、ほぼ垂直上方に伸びる一対の垂直フレーム20が設けられ、該垂直フレーム20の下部には垂直フレーム20の垂直方向に対し後方に直角方向に、L字形脚部をなすように水平牽引アーム30が伸びる。該アームは水平方向後方に3段階に伸長可能であるアーム31、32および33を備え(図1参照)、牽引車両の重量に応じて牽引アームの長さを調節可能となっている。この水平牽引アーム30は牽引しないときは垂直フレーム20側にV字状に折り返し起立可能な折り畳み式となっている(図3参照)。
上記垂直フレームの前部には前方斜め上方に伸びる一対の傾斜アーム40が水平線に対し45度をなして伸び、逆「く」の字形をなしている。
この傾斜アーム40には駆動シリンダ50の一端51が連結され、そこから胴部53は前方下方に水平に対し角度θ(ここではほぼ45度)傾斜して延び、他端52が後方車輪5−2より前方の荷台フレーム3に連結金具54を介して連結される。傾斜アーム40は支持軸11を支点として垂直アーム20前方に引っ張ると引っ張り力Fが連結金具54に作用し、駆動シリンダ50の荷台フレーム2の上方に引き上げる作用力を働かせ、荷台側重心荷重W3と牽引荷重W1とをバランスさせ、バランス荷重W2が後方車輪5−2を支点として働くようになっている。これにより、後方車輪5−2を支点とする垂直フレーム20、傾斜アーム40の右回りモーメントM1に左回りモーメントM2が拮抗し、前輪4にかかる引き上げ力に前輪荷重W3が優るように設計される。
本考案においては、支持軸11は一対の脚部により支持され、荷台フレーム3に固設する。上記垂直フレーム20、傾斜アーム40が水平牽引アーム30を介して牽引荷重W1を受ける。すなわち、牽引アーム30を水平に伸長し、その先端に牽引車両Mの荷重W1をかけた時、支持軸11を支点とする垂直フレーム、傾斜アーム40の右回り回転モーメントM1が作用する。他方、荷台フレーム3の前方に伸びる駆動シリンダ50で上記垂直フレーム20、傾斜アーム40の左回りの回転モーメントM2を付与し、荷台フレーム3側の重心W3とバランスさせると、バランス荷重W2が荷台フレーム3を介して後方車輪5−2に作用し、後方車輪5−2を支点とするバランスを新たに発生させることになる。
したがって、図2に示すように、牽引アーム30の支持軸11を支点とする右回りモーメントM1と垂直フレーム20の駆動シリンダ50による左回りモーメントM2の拮抗により、前輪4に荷重W3に抗して浮き上がらせる力を抑制させるが、本考案においては、図2に示すように、垂直フレーム20、傾斜アーム40の駆動シリンダ50による左回りモーメントM2とこれに拮抗し、牽引アーム30の右回りモーメントM1のバランス荷重を新たに後方車輪5−2を支点として作用するため、前輪4に荷重W3に抗してそれを浮き上がらせる力は相殺されることになる。しかも、後方車輪5−2に荷重がかかるので、駆動力は向上し、牽引車両の荷重W1が同じであっても前輪4の浮き上げ力は減殺される結果、操舵性に影響を与えないことになる。さらに、この荷重機構作用において、本考案では傾斜アーム40の上端に対し、駆動シリンダ50が直角θをなして連結するため、駆動シリンダの引っ張り力が分散せず、直接作用することになる。すなわち、傾斜アーム40は支持軸11からアーム長L2でもって引っ張り力Fを作用させて左回りモーメントM2を形成するのに対し、水平牽引アーム30の先端に係る荷重W1による支持軸11からアーム長L2で右回りモーメントM1を形成するので、、駆動シリンダの引っ張り力が分散せず、上記左回りモーメントM2と右回りモーメントM1とを拮抗させることができる。したがって、リフト付レッカー車の前輪浮き上がり防止機構をコンパクトな構造で、かつ容易に付与できる構造とすることができる。
3 荷台フレーム
4 前輪
5−1,5−2 後方車輪
10 アンダーリフト
11 支持軸
20 垂直フレーム
30 水平牽引アーム
40 傾斜アーム
50 駆動シリンダ
θ 駆動シリンダの傾斜角度
W1 牽引荷重
W2 後方車両荷重
W3 前輪荷重

Claims (2)

  1. 支持軸11からほぼ垂直上方に伸びる垂直フレーム20と、該垂直フレーム20の下部から、水平方向後方に延びる一方、垂直フレーム20側にV字状に折り返し起立可能な水平牽引アーム30とからなる、レッカー車の荷台後方にL字形折り畳み式アンダーリフト10を備え、該アンダーリフト10にかかる牽引車両荷重W1を荷台フレーム3の前方車輪4にかかる荷重W3とバランスさせるレッカー車において、前記垂直フレーム20の上部から前方斜め上方に延びる傾斜アーム40を設ける一方、該傾斜アーム40先端に荷台フレーム3に前方に連結される駆動シリンダ50を直角またはその近傍の角度θをなして連結し、前記水平牽引アーム30にかかる車両牽引時のレッカー車にかかる荷重W1により生まれる垂直フレーム20の右回りモーメントM1に対し、駆動シリンダ50の駆動力を傾斜アーム40を介して垂直フレーム20に最大限度で作用させ、左回りモーメントM2を形成する機構を設け、荷台後輪5−1又は5−2に荷重W2をかけることを特徴とする前輪浮き上がり防止機構。
  2. 前記水平牽引アーム30にかかる車両牽引時のレッカー車にかかる荷重W1より生まれる垂直フレーム20の右回りモーメントM1に対して左回りモーメントM2を形成する機構が上記垂直フレーム20の前方斜め上方に延びる逆「く」の字形傾斜アーム40を備え、駆動シリンダ50先端と傾斜アーム40先端とを直角またはその近傍の角度θをなして連結する請求項1記載の前輪浮き上がり防止機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021054157A (ja) * 2019-09-27 2021-04-08 株式会社ロードサービス トレーラ車のアンダーリフト構造
JP2022099568A (ja) * 2020-12-23 2022-07-05 株式会社ロードサービス アンダーリフトの荷重変換機構

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