JP3211353B2 - プラスチックフィルム用被覆剤 - Google Patents

プラスチックフィルム用被覆剤

Info

Publication number
JP3211353B2
JP3211353B2 JP08777892A JP8777892A JP3211353B2 JP 3211353 B2 JP3211353 B2 JP 3211353B2 JP 08777892 A JP08777892 A JP 08777892A JP 8777892 A JP8777892 A JP 8777892A JP 3211353 B2 JP3211353 B2 JP 3211353B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
meth
parts
component
vinyl monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08777892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05214289A (ja
Inventor
哲也 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arakawa Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arakawa Chemical Industries Ltd filed Critical Arakawa Chemical Industries Ltd
Priority to JP08777892A priority Critical patent/JP3211353B2/ja
Publication of JPH05214289A publication Critical patent/JPH05214289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3211353B2 publication Critical patent/JP3211353B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックフィルム
用被覆剤に関する。詳しくは、(メタ)アクリル酸エス
テルを主たる構成成分とするミクロゲルからなり、ポリ
エステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピ
レンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィ
ルム等の各種プラスチックフィルムに対して、優れた密
着性、耐水性、耐ブロッキング性等の諸特性を有し、し
かも主成分である高分子化合物そのものが有機溶剤に対
して安定であるプラスチックフィルム用被覆剤に関す
る。(以下、プラスチックフィルムとしてポリエステル
フィルムを代表して説明する。)
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムに代表されるプラ
スチックフィルムは、印刷インキ、塗料、接着剤、コー
ティング剤、バインダー等の各種被覆剤を塗布してなる
磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、グラフィック
アーツ材料、各種写真材料等の基材フィルムとして広く
使用されている。
【0003】従来より、こうしたポリエステルフィルム
の被覆剤としては、溶剤系の高分子化合物が主に使用さ
れていたが、近年の環境問題等からの要請により水溶性
あるいは水分散性の高分子化合物へと移行しつつある。
たとえば、かかる水溶性あるいは水分散性の高分子化合
物としてはポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アク
リル系樹脂等が使用されている。
【0004】しかし、アクリル系樹脂等は、ポリエステ
ルフィルムへの密着性が悪いため、予めポリエステルフ
ィルム表面をコロナ放電処理したり、プライマー処理し
て表面加工を施さねばならず、アクリル系樹脂等を直接
ポリエステルフィルムへ適用することはできない。ま
た、ポリエステル樹脂等は密着性は良好であるが耐水性
や耐ブロッキング性に問題があり、耐水化剤等の添加剤
の使用が必須とされている。その他の前記水溶性あるい
は水分散性の高分子化合物においても密着性、耐水性、
耐ブロッキング性の全ての性能を満足するものは未だ得
られていない現状である。
【0005】また、前記高分子化合物をインキ用バイン
ダー等として使用する場合には、前記高分子化合物の溶
解度やレオロジー特性を改良するために被覆剤の調製に
際し、水と相溶性のある有機補助溶剤を添加することが
ある。しかし、該有機補助溶剤を多く添加すると、前記
水溶性あるいは水分散性の高分子化合物の粘度が高くな
りすぎるといった問題も生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、各種プラス
チックフィルム、特にポリエステルフィルムに対して、
優れた密着性、耐水性、耐ブロッキング性等の諸特性を
有し、しかも主成分である高分子化合物そのものが有機
溶剤に対して安定であるプラスチックフィルム用被覆剤
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決しようと、新規なプラスチックフィルム用被覆剤を
見出すべく鋭意検討を重ねた結果、特定組成からなるア
クリル系のミクロゲルが、各種プラスチックフィルムに
対して優れた密着性、耐水性、耐ブロッキング性等の諸
特性を有し、しかも有機溶剤に対しても安定であること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、(A)(メタ)アク
リル酸アルキルエステル100重量部、および(B)前
記(A)成分と共重合可能なビニルモノマー0〜100
重量部からなるビニルモノマーを乳化重合させるにあた
り、乳化剤として分子中に(メタ)アクリロイル基を2
個以上有する反応性乳化剤を用いて反応させて得られる
ミクロゲルを主成分として含有してなるプラスチックフ
ィルム用被覆剤;(A)(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル100重量部、(B)前記(A)成分と共重合可
能なビニルモノマー0〜100重量部、および(C)架
橋性ビニルモノマーからなるビニルモノマーを乳化重合
させるにあたり、乳化剤として分子中に(メタ)アクリ
ロイル基を1個以上有する反応性乳化剤を用いて反応さ
せて得られるミクロゲルを主成分として含有してなるプ
ラスチックフィルム用被覆剤に関する。
【0009】本発明の被覆剤の主成分であるミクロゲル
の製造には、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルの使用が必須とされる。ここに(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルとしては、アルキルの炭素数が1〜18
のものがよい。たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プ
ロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso
−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ステアリル等があげられ、これらの
1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用でき
る。
【0010】また、前記(A)(メタ)アクリル酸アル
キルエステルの他に、(B)前記(A)成分と共重合可
能なビニルモノマーを使用することができる。かかるビ
ニルモノマーとしてはアニオン性ビニルモノマー、カチ
オン性ビニルモノマーおよび(A)成分以外のノニオン
性ビニルモノマーから選ばれる少なくとも1種を必要に
応じて適宜に選択して使用できる。
【0011】ここにアニオン性ビニルモノマーとして
は、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸
等のモノカルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マール酸、イタコン酸、ムコン酸等のジカルボン酸、ビ
ニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホ
スフェート等のリン酸系ビニルモノマー、およびこれら
各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等がその代表例
としてあげられる。
【0012】また、カチオン性ビニルモノマーとして
は、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプ
ロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基を有
するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸等
の無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ
基含有ビニルモノマ−とメチルクロライド、ベンジルク
ロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどの四
級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩
を含有するビニルモノマー等がその代表例としてあげら
れる。
【0013】また、(A)成分以外のノニオン性ビニル
モノマーとしては、(A)成分を除くアニオン性ビニル
モノマーのアルキルエステル、(メタ)アクリルアミ
ド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、メチルビニル
エーテルや、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基
含有(メタ)アクリル酸エステル類、グリシジル(メ
タ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルア
ミド、ウレタンアクリレート類、ジフェニル−2(メ
タ)アクリロイルオキシホスフェート等のリン酸エステ
ル系ビニルモノマー等がその代表例としてあげられる。
【0014】前記(B)成分のなかでも、本発明では、
得られるミクロゲルに反応性が付与されることから、カ
ルボン酸類、スルホン酸類等のアニオン性ビニルモノマ
ー、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル類、グリシジル(メタ)アクリ
レート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ウレ
タンアクリレート類等の反応性ビニルモノマーや、得ら
れるミクロゲルのプラスチックフィルムに対する密着性
をさらに向上できることからリン酸基含有ビニルモノマ
ーを使用するのが好ましい。なお、本発明で言うリン酸
基とはリン酸系ビニルモノマーのように水酸基を有する
もの、リン酸エステル系ビニルモノマーのように水酸基
がエステル結合しているもののいずれも含む。
【0015】さらに本発明では、(A)成分、(B)成
分に加え、(C)架橋性ビニルモノマーを使用すること
ができる。たとえば、2官能性ビニルモノマーとして
は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)ア
クリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレン
ビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリル
アミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等
のジビニルエステル類、アリルメタクリレート、ジアリ
ルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフ
タレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン
等があげられる。また、3官能性モノマーとしては、
1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリ
アジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミ
ン、トリアリルトリメリテート、N,N−ジアリルアク
リルアミド等があげられ、4官能性ビニルモノマーとし
ては、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テ
トラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テト
ラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミ
ン塩、テトラアリルオキシエタン等があげられる。
【0016】前記(A)成分および(B)成分の使用量
は、(A)成分100重量部に対し(B)成分0〜10
0重量部、好ましくは1〜50重量部である。(B)成
分が100重量部を越える場合は重合途中で凝集が起こ
ったり、得られるミクロゲルを含む水溶液が高粘度化し
たり、また安定性が不良となり好ましくない。また、通
常、(B)成分の中の1〜100重量部程度、好ましく
は1〜50重量部は前記反応性ビニルモノマーであるの
がよい。また、リン酸基含有ビニルモノマーを使用する
場合、その使用量は(B)成分の中の通常1〜50重量
部程度、好ましくは1〜30重量部であるのがよく、反
応性ビニルモノマー等と併用して使用する場合には
(B)成分の使用量を越えない範囲内で適宜に決定すれ
ばよい。また(C)成分を使用する場合、その使用量
は、前記(A)成分および(B)成分の合計100重量
部に対して5重量部以下、好ましくは0.1〜5重量部
である。(C)成分が5重量部を越えると凝集が起こっ
たり、高濃度のミクロゲルを得るのが困難になるため好
ましくない。
【0017】本発明のミクロゲルを製造するにあたり、
前記ビニルモノマーが(A)成分および(B)成分の場
合には、分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有
する反応性乳化剤の存在下に乳化重合させることを必須
とする。
【0018】本発明で使用する前記分子中に(メタ)ア
クリロイル基を有する反応性乳化剤としては、具体的に
(メタ)アクリロイル基を分子中に少なくとも2つ有
するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハ
ク酸エステル塩、(メタ)アクリロイル基を分子中に少
なくとも2つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルの硫酸エステル塩、(メタ)アクリロイル基を分子中
に少なくとも2つ有するポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、(メタ)
アクリロイル基を分子中に少なくとも2つ有するポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル
塩や、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化
剤、オリゴエステル(メタ)アクリレートのリン酸エス
テルもしくはそのアルカリ塩、親水性アルキレンオキサ
イド基を有するポリアルキレングリコール誘導体のオリ
ゴエステルポリ(メタ)アクリレート等の各種のものが
あげられる。これらの市販品としては、(商品名KAY
AMER PM−2、日本化薬(株)製)、(商品名ニ
ューフロンティアA−229E、第一工業製薬(株)
製)、(商品名ニューフロンティアN−250Z、第一
工業製薬(株)製)等がその代表例としてあげられる。
これらのなかでも親水性基としては得られるミクロゲ
ルのプラスチックフィルムに対する密着性をさらに向上
できることからリン酸基を有するものがよい。
【0019】また、前記分子中に(メタ)アクリロイル
を2個以上有する反応性乳化剤は(メタ)アクリロイ
ル基を1個有する反応性乳化剤を含む混合物であっても
よい。ただし、(メタ)アクリロイル基を1個有する反
応性乳化剤は、反応性乳化剤中の60重量%以下とする
のがよい。60重量%を越える場合には十分な三次元架
橋構造を有するミクロゲルが得られず、有機溶剤に対す
る安定性が悪くなるため好ましくない。(メタ)アクリ
ロイル基を1個有する反応性乳化剤としては、(商品名
KAYAMER PM−1、日本化薬(株)製)、(商
品名ニューフロンティアN−117E、第一工業製薬
(株)製等の市販品がその代表例としてあげられる。こ
れら(メタ)アクリロイル基を1個有する反応性乳化剤
の親水性基としてはリン酸エステル基を有するものがよ
い。
【0020】また、本発明のミクロゲルを製造するにあ
たり、前記ビニルモノマーが(A)成分、(B)成分お
よび(C)成分の場合には、分子中に炭素−炭素二重結
合を1個以上有する反応性乳化剤の存在下に乳化重合さ
せることを必須とする。かかる、反応性乳化剤としては
前記の炭素−炭素二重結合を2個以上有する反応性乳化
剤および炭素−炭素二重結合を1個有する反応性乳化剤
と同様のものがあげられる。
【0021】また、前記反応性乳化剤は、ミクロゲルの
性能に悪影響を与えない程度で公知のアニオン性乳化
剤、ノニオン性乳化剤と組み合わせて使用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、長鎖α−オレフィンスルホ
ン酸ナトリウム、アルキルジフェニルオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル硫酸エステル塩等があげられ、
ノニオン性乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブ
ロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル等があげられる。
【0022】前記反応性乳化剤の使用量は前記(A)成
分および(B)成分、または(C)成分を使用する場合
にはそれらの合計100重量部に対し、1〜20重量
部、好ましくは3〜10重量部とするのがよい。1重量
部に満たない場合は重合中に凝集物が発生したり、架橋
密度が小さくなり十分なゲル構造を形成することできな
くなり、20重量部を越える場合は重合安定性が悪くな
り重合の経過と共に凝集粒子が生成してしまうため好ま
しくない。
【0023】次に、前記反応性乳化剤を用いたミクロゲ
ルの製造法について説明する。ミクロゲルの製造は公知
の乳化重合方法により行えばよく、たとえば、所定の反
応容器に前記反応性乳化剤および水を仕込み、これに前
記ビニルモノマーを加えて乳化した後、ラジカル重合開
始剤を加え、撹拌下、加温する方法によればよい。な
お、前記ビニルモノマーの滴下方法は一括滴下、分割滴
下のいずれの方法でもよい。また、反応系の固形分濃度
は20〜50重量%、好ましくは30〜45重量%であ
り、高濃度のミクロゲルを含有する分散液が得られる。
pHは3〜9の範囲とするのがよい。反応温度は、重合
触媒を活性化させる温度範囲であればよく通常は40〜
90℃程度、好ましくは50〜80℃、反応時間は通常
30分〜2時間程度がよい。
【0024】前記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水
素、水性のアゾ系開始剤等の水溶性のラジカル重合開始
剤、または前記過硫酸塩等と亜硫酸水素ナトリウム、チ
オ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせた形のレド
ックス系重合開始剤等があげられる。本発明では特にレ
ドックス系重合開始剤を使用するのがよい。通常、前記
開始剤の使用量は前記ビニルモノマーに対して0.05
〜5重量%程度、好ましくは0.1〜3重量%とするの
がよい。
【0025】また、反応に際してはミクロゲルを透明性
のある超微粒子とするために、重合促進剤として遷移金
属イオンを添加するのがよい。遷移金属イオンとして
は、銅イオン等があげられ、反応系中の濃度の通常1.
0×10-8〜1.0×10-3モル/リットル程度、好ま
しくは1.0×10-7〜1.0×10-5モル/リットル
となるように使用する。1.0×10-8モル/リットル
未満では超微粒子のポリマーが得られにくく、1.0×
10-3モル/リットルを越える場合には微粒子の数が多
くなり凝集粒子が生成してしまったり、粒子内の架橋が
抑制されるため好ましくない。
【0026】かくして得られたミクロゲルの粒子径は、
通常100nm以下の超微粒子であり、有機溶剤に対し
て不溶である。また通常、濃度20〜50重量%の高濃
度の分散液として得られ、通常、40%濃度で100〜
500cps(25℃)程度であり、有機溶剤を加えて
も増粘することなく安定である。
【0027】また、本発明のミクロゲルは、分子中に反
応性乳化剤を取り組んだ3次元網状構造を有しており、
従来公知の乳化剤を使用して得られる高分子化合物とは
全く異なった構造を有する。すなわち、分子中に取り組
まれた反応性乳化剤が、プラスチックフィルムへの密着
性に大きく寄与していると考えられる。特に、前記
(B)成分としてリン酸基含有ビニルモノマーを使用し
たり、反応性乳化剤としてリン酸基を有するものを使用
して分子内にリン酸基が導入されたミクロゲルは密着性
に優れている。
【0028】こうしたミクロゲルを含む分散液を各種プ
ラスチックフィルムの被覆剤として使用するにあたり、
その使用方法は特に限定されず公知の手段を採用すれば
よい。たとえば、該分散液は、そのまま被覆剤として各
種プラスチックフィルムに塗布して使用してもよく、ま
た磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、グラフィッ
クアーツ材料、各種写真材料等の各種用途に適するよう
に各種の顔料、可塑剤、ワックス、界面活性剤、ブロッ
キング防止剤等の添加剤や、低級アルコール、セロソル
ブ等のアルコール類、スチレン−無水マレイン酸系等の
水溶性樹脂等を適宜に選択して配合し、印刷インキ、塗
料、接着剤、コーティング剤、バインダー等として各種
プラスチックフィルムに塗布にして各種用途に供しても
よい。
【0029】
【発明の効果】本発明のミクロゲルを主成分としてなる
被覆剤は、各種プラスチックフィルムに対して、優れた
密着性を示す。特に、ポリエステルフィルムについては
コロナ放電処理やプライマー処理等を施すことなく使用
できる。また、耐ブロッキング性、耐水性に優れるため
各種プラスチックフィルムの被覆剤として広い用途に使
用できる。また、被覆剤の主成分であるミクロゲルは三
次元架橋構造を有するため有機溶剤に不溶であり、しか
もミクロゲルを含む分散液は濃度20〜50重量%の高
濃度で得られ、有機溶剤を加えても増粘することなく安
定である。
【0030】
【実施例】以下に、実施例および比較例をあげて、本発
明をさらに具体的に説明する。尚、各例中の%は、特に
断らない限り重量基準である。
【0031】実施例1 窒素ガス導入管、温度調節用サーミスター、還流冷却
器、モノマー滴下ロート及び撹拌装置を備えた1000
ミリリットルの五つ口セパラブルフラスコにイオン交換
水100g、濃度5×10-5モル/リットルの硫酸銅水
溶液200g及び、酸性リン酸メタクリル酸エステル系
の反応性乳化剤(商品名ニューフロンティアA−229
E、第一工業製薬(株)製)20gを仕込み、さらに2
5%濃度のアンモニア水1.5gを加えてpHを3.5
に調節し溶解した。ついでアクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸メチル及びアクリル酸2−ヒドロキシエチルからな
る混合モノマー(重量混合比は順に6:3:1)40g
を加えて、一定速度(250±10rpm)で乳化し
た。窒素気流下で昇温を行い50℃で過硫酸カリウムお
よびチオ硫酸ナトリウムの等モル量からなるレドックス
系開始剤(系中濃度6.0×10-3モル/リットル)を
添加し重合を開始させた。ついで前記混合モノマー26
0gを連続的に滴下しながら重合を行った。重合熱によ
る発熱はモノマーの滴下速度の調節と送風冷却によりコ
ントロールし、重合温度が80℃を越えないよう40分
反応後、黄赤色の透明性のある超微粒子を含む分散液を
得た。不揮発分42.8%、pH3.2、粘度230c
ps、平均粒子径は51.3nm(Photal社製の
LPA−3000/3100を用いて測定)であった。
【0032】実施例2 実施例1において、混合モノマーを、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸グリシジル
(重量混合比は順に6.0:3.5:0.5)に代えた
他は実施例1と同様に行い、黄赤色の透明性のある超微
粒子を含む分散液を得た。不揮発分42.6%、pH
3.3、粘度180cps、平均粒子径は49.6nm
であった。
【0033】実施例3 実施例1において、反応性乳化剤の使用量を10gに代
えた他は実施例1と同様に行い、黄赤色の透明性のある
超微粒子を含む分散液を得た。不揮発分41.8%、p
H3.2、粘度300cps、平均粒子径は54.1n
mであった。
【0034】実施例4 実施例1において、反応性乳化剤を(商品名エレミノー
ルJS−2、三洋化成(株)製、スルホコハク酸系の反
応性乳化剤)/(商品名ニューフロンティアA−229
E、第一工業製薬(株)製、酸性リン酸メタクリル酸エ
ステル系の反応性乳化剤)=1/1(重量比)20gに
代え、ジビニルベンゼンをモノマー混合物に対して1重
量%添加した他は実施例1と同様に行い、黄赤色の透明
性のある超微粒子を含む分散液を得た。不揮発分42.
5%、pH3.2、粘度270cps、平均粒子径は5
9.4nmであった。
【0035】実施例5 実施例1において、混合モノマーを、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸(重量混合比
は順に6.0:3.5:0.5)に代えた他は実施例1
と同様に行い、黄赤色の透明性のある超微粒子を含む分
散液を得た。不揮発分42.7%、pH3.0、粘度2
85cps、平均粒子径は49.6nmであった。
【0036】
【0037】比較例1 実施例1において、反応性乳化剤の代わりに、リン酸系
の乳化剤(商品名H−3051、第一工業製薬(株)
製)を用いた他は実施例1と同様に行い分散液を得た。
不揮発分42.5%、pH3.2、粘度500cps、
平均粒子径は69.3nmであった。
【0038】比較例2 実施例1において、反応性乳化剤の代わりに、リン酸系
の乳化剤(商品名H−3051、第一工業製薬(株)
製)を用い、ジビニルベンゼンをモノマー混合物に対し
て1%添加した他は実施例1と同様に行い分散液を得
た。不揮発分30%、pH3.2、粘度150cps、
平均粒子径は61.2nmであった。
【0039】比較例3 実施例1において、実施例1の反応性乳化剤の代わり
に、(商品名エレミノールJS−2、三洋化成(株)
製、スルホコハク酸系の反応性乳化剤)/(商品名ネオ
コールP、第一工業製薬(株)製、アニオン性界面活性
剤)=1/1(重量比)を用いた他は実施例1と同様に
行い分散液を得た。不揮発分42.6%、pH6.2、
粘度320cps、平均粒子径は110.2nmであっ
た。
【0040】(ミクロゲルの物性) 1.フィルム溶解性 実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた分散液をテフ
ロングラス上に塗布し自然通風下、室温で乾燥させてフ
ィルムを作成し、アセトンとベンゼンにそれぞれ1昼夜
浸漬し、フィルムの溶解性を調べた。結果を表1に示
す。
【0041】2.分散液の有機溶剤対する安定性 実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた分散液3gを
アセトン15g中へ加え、その時の粘度変化を調べた。
結果を表1に示す。
【0042】(ポリエステルフィルム用被覆剤としての
性能試験)実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた分
散液、並びに市販の水溶性ポリエステルを以下の条件で
表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工
して試料を作成し、以下の試験に供した。結果を表1に
示す。塗布量:5g/m2(固形分)、乾燥:温風で乾
燥表面が40℃となるように30秒間。
【0043】3.密着性 セロテープにて剥離試験を行い、そのハガレ程度により
判定した。○−−−−−−まったく剥れない。×−−−
−−−剥れる。
【0044】4.耐ブロッキング性 指触により判定した。○−−−−−−ベトツキがない。
×−−−−−−ベトツキがある。
【0045】5.耐水性 温度40℃、相対湿度80%の恒温室に、1昼夜放置後
セロテープにて剥離試験を行い、そのハガレ程度により
判定した。○−−−−−−まったく剥れない。×−−−
−−−剥れる。
【0046】
【表1】

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(メタ)アクリル酸アルキルエス
    テル100重量部、および(B)前記(A)成分と共重
    合可能なビニルモノマー0〜100重量部からなるビニ
    ルモノマーを乳化重合させるにあたり、乳化剤として分
    子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する反応性
    乳化剤を用いて反応させて得られるミクロゲルを主成分
    として含有してなるプラスチックフィルム用被覆剤。
  2. 【請求項2】 前記(B)成分として、反応性ビニルモ
    ノマーを1〜100重量部使用してなる請求項1記載の
    プラスチックフィルム用被覆剤。
  3. 【請求項3】 前記反応性乳化剤の使用量が(A)成分
    および(B)成分の合計100重量部に対し1〜20重
    量部である請求項1または2記載のプラスチックフィル
    ム用被覆剤。
  4. 【請求項4】 (A)(メタ)アクリル酸アルキルエス
    テル100重量部、(B)前記(A)成分と共重合可能
    なビニルモノマー0〜100重量部、および(C)架橋
    性ビニルモノマーからなるビニルモノマーを乳化重合さ
    せるにあたり、乳化剤として分子中に(メタ)アクリロ
    イル基を1個以上有する反応性乳化剤を用いて反応させ
    て得られるミクロゲルを主成分として含有してなるプラ
    スチックフィルム用被覆剤。
  5. 【請求項5】 前記(B)成分として、反応性ビニルモ
    ノマーを1〜100重量部使用してなる請求項記載の
    プラスチックフィルム用被覆剤。
  6. 【請求項6】 前記(C)成分の使用量が前記(A)成
    分および(B)成分の合計100重量部に対し5重量部
    以下である請求項4または5記載のプラスチックフィル
    ム用被覆剤。
  7. 【請求項7】 前記反応性乳化剤の使用量が前記(A)
    成分、(B)成分および(C)成分の合計100重量部
    に対し1〜20重量部である請求項4、5または6記載
    のプラスチックフィルム用被覆剤。
JP08777892A 1991-12-10 1992-03-10 プラスチックフィルム用被覆剤 Expired - Fee Related JP3211353B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08777892A JP3211353B2 (ja) 1991-12-10 1992-03-10 プラスチックフィルム用被覆剤

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-351062 1991-12-10
JP35106291 1991-12-10
JP08777892A JP3211353B2 (ja) 1991-12-10 1992-03-10 プラスチックフィルム用被覆剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05214289A JPH05214289A (ja) 1993-08-24
JP3211353B2 true JP3211353B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=26429033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08777892A Expired - Fee Related JP3211353B2 (ja) 1991-12-10 1992-03-10 プラスチックフィルム用被覆剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3211353B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9506495D0 (en) * 1995-03-30 1995-05-17 Smith & Nephew Surfactants
CN103785467B (zh) * 2014-01-26 2016-02-17 绍兴文理学院 一种具有纳米多孔结构的Pd催化剂的制备方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05214289A (ja) 1993-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2543503B2 (ja) 分岐構造を有する共重合体を分散安定剤として用いた乳化重合法
WO1997020004A1 (fr) Composition de resine solidifiable pour peintures a l'eau
JP2006117812A (ja) 無機板用水分散性樹脂組成物
JPH0524163B2 (ja)
JP3162367B2 (ja) 保護コロイド系再分散性アクリル樹脂エマルジョン粉末およびその製造方法
JP2007091997A (ja) 一液型水性コーティング剤、その製造方法および塗装物
EP0628613B1 (en) Aqueous coating composition
JP3211353B2 (ja) プラスチックフィルム用被覆剤
JP2003020409A (ja) 感温性樹脂組成物
JP5881496B2 (ja) 剥離基材用下塗り剤
JPS62119271A (ja) 塩基性複合樹脂粒子、その製法ならびに塗料用樹脂組成物
JP3174199B2 (ja) 低粘度エポキシ樹脂組成物及びその製造方法
JP3620031B2 (ja) 剥離紙用アンダーコート剤
JP3216274B2 (ja) 新規な水性樹脂の製造方法
JP4273658B2 (ja) 水分散体の製造方法およびその水分散体
JP3676572B2 (ja) 塩化ビニリデン系エマルジョン及び下塗り用水性樹脂組成物
JP4019683B2 (ja) 樹脂組成物
JP2004099823A (ja) 水性被覆組成物
JPH11181210A (ja) 安定化された水性硬化性組成物
JPH09157495A (ja) 活性エネルギー線硬化性エマルジョンおよびその製造方法
JPH03152168A (ja) 水性樹脂分散液
JP2009008902A (ja) 光学フィルム用プラスチックフィルムの表面コーティング剤、及びそれを用いた光学フィルム
JPS6150482B2 (ja)
JPH08291282A (ja) 帯電防止剤
JPH0365395B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees