JP3210974B2 - トンネル用セグメント - Google Patents

トンネル用セグメント

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JP3210974B2 JP14290396A JP14290396A JP3210974B2 JP 3210974 B2 JP3210974 B2 JP 3210974B2 JP 14290396 A JP14290396 A JP 14290396A JP 14290396 A JP14290396 A JP 14290396A JP 3210974 B2 JP3210974 B2 JP 3210974B2
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博英 橋本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、トンネル用セグ
メントに関し、特に、内圧に対抗するプレストレス力を
導入するトンネル用セグメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】シールドトンネルは、道路,地下鉄など
の交通施設の建設や、電気,ガス,上下水道などのライ
フライン施設の建設など多種,多様の用途に用いられて
おり、シールド掘削機で掘削されたトンネル内壁面に
は、通常、セグメントと呼ばれる鉄筋コンクリート製の
部材を円筒状に組み立てて、周囲の土,水圧などの外力
に対抗させている。ところで、このようなシールドトン
ネルの用途においては、周囲の土,水圧や上載荷重など
の外圧が作用するだけでなく、例えば、導水路や水道な
どのように、内部を流通する流体の内圧が加わる形式の
ものがある。
【0003】このような内圧対応型のシールドトンネル
においては、外圧に対しては、一次覆工セグメントで対
抗させるとともに、内圧に対しては、現場打ち鉄筋コン
クリート構造などの二次覆工で対抗させるようにしてい
た。しかしながら、このような従来の内圧対応型のシー
ルドトンネルには、以下に説明する技術的な課題が指摘
されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、二次覆工に
内圧応力を負担させる場合には、覆工部分の部材厚みが
二次覆工の分だけ厚くなるので、これに伴って、掘削断
面積が大きくなり、掘削排土量が増加して、工期が長く
なるとともに、コストも高くなる。このような問題に対
して、例えば、特開平7−18984号公報には、円筒
状ないしは環状に組立られるセグメント間にプレストレ
ス力を導入して、内圧に対抗させるシールドトンネルが
提案されている。
【0005】この公報に開示されているシールドトンネ
ルによると、プレストレス力で内圧に対抗させるので、
二次覆工に応力を負担させる場合のように、掘削断面積
の増加などの問題はないが、以下に説明する別の問題が
あった。すなわち、この公報に提案されているシールド
トンネルでは、セグメントの中間部に固定されたプレス
トレス鋼材の両端側を、これに隣接するセグメント側か
ら緊張することでプレストレス力を導入するので、緊張
作業を複数回行わなければならず、作業能率が悪く、か
つ、煩雑なものとなっていた。また、この緊張作業は、
トンネルの上部側でも行う必要があって、特に、この部
分での緊張作業は、面倒なものとなっていた。
【0006】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的とするところは、緊
張作業を1個所で行うことにより、作業能率を向上させ
ることができるトンネル用セグメントを提供することに
ある。また、別の目的として、トンネルの下方部分で緊
張作業を行うことができるトンネル用セグメントを提供
することにある。
【0007】
【課題を解決すための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数個がトンネル周方向に位置する端部
同士を相互に連結して、掘削されたトンネル内壁面に沿
って筒状に組付けられるトンネル用セグメントにおい
て、前記セグメントは、内圧に対抗するプレストレス力
が導入されるものであって、前記トンネル周方向に沿っ
た円弧曲板状に形成された本体と、この本体の円弧面に
沿って配置され、かつ、トンネル周方向に隣接配置され
る他のセグメントとの間で相互に連通するように埋設さ
れた中空筒状のシース管とを有する複数個の第1セグメ
ントと、前記シース管を介して、複数本が平行になるよ
うに周回配置されたプレストレス鋼材の緊張装置が設置
される1個の第2セグメントとを備え、前記第2セグメ
ントは、前記第1セグメント間に設置される平板状の基
板と、この基板の周方向の両端に配置され、前記第1セ
グメントと連結される一対のエンドプレートと、このエ
ンドプレートと少なくとも一方が離接自在に設置され、
前記プレストレス鋼材の両端部が、一方を貫通して他方
に固設され、前記緊張装置により相互に離間する方向に
移動させられる一対の定着固定板と、前記定着固定板を
前記緊張装置で相互に離間する方向に移動させた状態
で、前記定着固定板間に嵌着されるスペーサとで構成し
た。このように構成されたトンネル用セグメントによれ
ば、セグメントは、複数個がトンネル周方向に位置する
端部同士を相互に連結して、掘削されたトンネル内壁面
に沿って筒状に設置されるので、これにより外部からの
圧力に対抗することができるとともに、セグメントに導
入されたプレストレス力で内部の圧力に対抗することが
できる。この場合、プレストレス力を導入するプレスト
レス鋼材は、第1セグメントに設けられたシース管を介
して、周回状に設置されるので、第2セグメントに設置
される緊張装置により1個所で緊張することができる
し、また、緊張装置も1つで複数本を同時に緊張するこ
とができる。また、前記第2セグメントは、前記トンネ
ルの下方側のインバート部に配置することができる。こ
の構成を採用すると、トンネルの下方部分でのみ緊張作
業を行える
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1か
ら図3は、本発明にかかるトンネル用セグメントの一実
施例を示している。同図に示す実施例では、円形断面の
トンネルに本発明を適用した場合を示しており、シール
ド掘削機(図示省略)で掘削されたトンネル内壁面10
の内側に本発明のセグメント12が順次円筒状に設置さ
れる。
【0009】セグメント12は、5個の第1セグメント
141 〜145 と、1個の第2セグメント16とから構
成されている。第1セグメント141 〜145 は、鉄筋
コンクリート製のものであって、トンネルの上部側(ク
ラウン部)と側面側(サイド部)とに、トンネル周方向
に位置する端部同士を相互に連結して設置され、トンネ
ル周方向に沿った円弧曲板状に形成された本体14a
と、本体14aの円弧面に沿って埋設されたシース管1
4bとを備えている。
【0010】シース管14bは、中空筒状のものであっ
て、この実施例では、図2にその一部を示すように、本
体14aの軸方向(トンネル軸方向に同じ)に所定の間
隔をおいて、2本が平行になるように配置され、各シー
ス管14bは、本体14aの周方向の両端面に開口して
いる。各第1セグメント141 〜145 に埋設されたシ
ース管14bは、第1セグメント141 〜145 を組付
けたときに、周方向に隣接される他のセグメントとの間
で相互に連通可能に配設されている。
【0011】また、本体14aの周方向の端縁には、図
2,3にその一部を示すように、連結用のプレート14
cと、この連結用のプレート14cの背面側に凹設され
たボルト挿入用の孔部14dとが設けられている。第2
セグメント16は、この実施例では、トンネルの下部側
(インバート部)に設置される。図2,3に第2セグメ
ント16の詳細を示している。同図に示す第2セグメン
ト16は、第1セグメント141 ,145 との間に配設
される方形平板状の基板16aと、この基板16aの周
方向(第1セグメント141 〜14 5 との連結方向)端
縁に対向するように立設固定された一対のエンドプレー
ト16b,cと、基板16a上にあって、エンドプレー
ト16b,cと離間,近接自在に設けられた一対の定着
固定板16d,eとを有している。
【0012】基板16aは、トンネル軸方向で第1セグ
メント141 〜145 と同じ幅を有していて、この方向
の端縁には、トンネルの掘削に伴って、同方向に設置さ
れる別の第2セグメントとの間での連結を可能にする一
対の接合プレート16f,gが立設されている。そし
て、この接合プレート16f,gの上端には、内方に延
びるガイドプレート16h,iが、基板16aの上面か
ら定着固定板16d,eの高さに対応した距離だけ離間
させて固設されている。
【0013】一対のエンドプレート16b,cは、この
実施例では、第1セグメント141,145 のトンネル
周方向の端面と密接するように、それぞれ内方側に傾斜
して取り付けられており、各第1セグメント141 ,1
5 に埋設されているシース管14bの開口と一致する
個所にプレストレス鋼材20の挿通用透孔16jが穿設
されているとともに、一対の定着固定板16d,eにも
これと同様な透孔16kが位置対応して穿設されてい
る。
【0014】一対の定着固定板16d,eは、そのトン
ネル軸方向の両端側が、ガイドプレート16h,iと基
板16aとの間に挿入されていて、エンドプレート16
b,cと離間,近接自在に保持されている。また、この
一対の定着固定板16d,eには、図2,3に示すよう
に、第1セグメント141 〜145 のシース管14b内
に挿通されたプレストレス鋼材20、具体的には、鋼撚
線などの両端部が、それぞれ一方の定着固定板16d,
eの透孔16k内に挿通することによりこれを貫通し
て、他方の定着固定板16d,eの外側の端面に係止金
具22により係止される。そして、この状態で、定着固
定板16d,e間に緊張装置24(例えば、油圧ジャッ
キ)を挿入設置して、定着固定板16d,eを相互に離
間する方向に移動させることで、プレストレス鋼材20
に緊張力を導入する。
【0015】緊張装置24の作動により所定の緊張力が
プレストレス鋼材20に導入されると、一対の定着固定
板16d,e間にスペーサ16lを嵌着して、プレスト
レス鋼材20に導入された緊張力を維持させて、緊張装
置24を撤去する。なお、この場合、緊張装置24によ
る緊張力の導入作業を容易にするために、定着固定板1
6d,eと基板16aとの摺接面に、例えば、テフロン
などの滑り易い部材を介装することがのぞましい。
【0016】また、一対の定着固定板16d,eは、必
ずしも両方を離接自在に配置する必要はなく、いずれか
一方を固定しても前記と同じ方法により、プレストレス
鋼材20に緊張力を導入することができる
【0017】次に、上記構成のセグメント12の組立方
法について説明する。セグメント12を組立る際には、
例えば、第2セグメント16が掘削されたトンネル内壁
面10のインバート部に設置され、この第2セグメント
16のトンネル周方向の両端部側に第1セグメント14
1 ,145 を連結設置し、次いで、第1セグメント14
1 の周方向の端部側に第1セグメント142 が同様に連
結設置されるとともに、第1セグメント145 の周方向
の端部側に第1セグメント144 が同様に連結設置され
る。
【0018】そして、最後にクラウン部に第1セグメン
ト143 が設置され、これによりトンネル内壁面10の
周方向において環状に閉塞した円筒状のセグメント12
が組付けられ、この組付け状態においては、第1セグメ
ント141 〜145 にそれぞれ埋設されたシース管14
bは、端部同士で相互に連通した状態になる。セグメン
ト12の組付けが終了すると、シース管14b内にプレ
ストレス鋼材20が挿入される。
【0019】プレストレス鋼材20の挿入は、一方の第
1セグメント141 ないしは145のトンネル周方向の
端部から行われ、他方の第1セグメント145 ないしは
14 1 から引き出される。この挿入作業を容易にするた
めには、例えば、グリスなどの粘稠な物質を塗布すれば
よい。第1セグメント141 〜145 内を周回するよう
にしてシース管14b内に挿通されたプレストレス鋼材
20の両端部は、図2,3に示すように、それぞれ一方
の定着固定板16d,eの透孔16k内に挿通すること
によりこれを貫通させ、他方の定着固定板16d,eの
外側の端面に係止金具22により係止される。
【0020】そして、この状態で、定着固定板16d,
e間に緊張装置24(例えば、油圧ジャッ キ)を挿入設
置して、定着固定板16d,eを相互に離間する方向に
移動させることで、プレストレス鋼材20に緊張力を導
入する。緊張装置24の作動により所定の緊張力がプレ
ストレス鋼材20に導入されると、一対の定着固定板1
6d,e間にスペーサ16lを嵌着して、プレストレス
鋼材20に導入された緊張力を維持させて、緊張装置2
4を撤去する。
【0021】緊張装置24を撤去すると、第2セグメン
ト16内にコンクリートを打設して、これを第1セグメ
ント141 ,145 と一体化させることで、1リング分
のセグメント12の組立が終了し、この後は、トンネル
内壁面10の掘削に伴って、順次同じ工程を繰り返すこ
とにより、所定長さのトンネルが構築される。なお、こ
の場合のコンクリートの打設は、図3に仮想線で示すよ
うに、インバート部の床面まで行われる。
【0022】さて、以上のように構成されたトンネル用
セグメントによれば、セグメント12は、複数個の第1
セグメント141 〜145 および第2セグメント16が
周方向の端部同士を相互に連結して、掘削されたトンネ
ル内壁面10に沿って筒状に設置されるので、これによ
り外部からの圧力に対抗することができるとともに、第
1セグメント141 〜145 内に導入されたプレストレ
ス力で内部の圧力に対抗することができる。
【0023】つまり、本実施例のセグメント12は、一
次および二次覆工の機能を備えているので、従来の二次
覆工を施す場合のように、部材厚みの増大化を招くこと
がない。従って、掘削断が大きくならず、掘削土量も少
なくなって、工期の短縮,低コスト化が達成される。こ
の場合、プレストレス力を導入するプレストレス鋼材2
0は、第1セグメント141 〜145 に設けられたシー
ス管14bを介して、周回状に設置されるので、第2セ
グメント16に設置される緊張装置24により1個所で
緊張することができる。このため、緊張作業が簡単にな
る。また、第2セグメント16は、トンネルの下方側の
インバート部に配置しているので、トンネルの下方部分
でのみ緊張作業をすればよく、さらに一層緊張作業が容
易に行える。
【0024】さらに、本実施例の場合には、第2セグメ
ント16は、第1セグメント141,145 間に設置さ
れる平板状の基板16aと、この基板16aの周方向の
両端に配置され、第1セグメント141 ,145 と連結
される一対のエンドプレート16b,cと、このエンド
プレート16b,cと離接自在に設置され、プレストレ
ス鋼材20の両端部が、一方を貫通して他方に固設さ
れ、緊張装置24により相互に離間する方向に移動させ
られる一対の定着固定板16d,eと、定着固定板16
d,eを緊張装置24で相互に離間する方向に移動させ
た状態で、定着固定板16d,e間に嵌着されるスペー
サ16lとで構成されているので、1つの緊張装置24
で複数のプレストレス鋼材20に同時に緊張力を導入す
ることができる。
【0025】なお、上記実施例では、第2セグメント1
6をトンネルのインバート部に設置した場合を例示した
が、本発明の実施は、これに限定されることはなく、た
とえば、サイド部やクラウン部に配置してもよい。
【0026】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかるトンネル用セグメントによれば、掘削断
面の増大化が回避されるので、掘削土量も少なくなり、
工期の短縮化と低コスト化が達成される。また、緊張作
業が1個所で行えるので、作業も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトンネル用セグメントを組付け
た状態の断面説明図である。
【図2】図1の要部拡大平面図である。
【図3】図2の断面図である。
【符号の説明】
10 トンネル内壁面 12 セグメント 141 〜145 第1セグメント 14a 本体 14b シース管 16 第2セグメント 16a 基板 16b,c エンドプレート 16d,e 定着固定板 20 プレストレス鋼材 22 係止金具 24 緊張装置
フロントページの続き (72)発明者 松原 健太 東京都千代田区神田司町2−3 株式会 社大林組東京本社内 (72)発明者 橋本 博英 東京都中央区八重洲2丁目6番21号 石 川島建材工業株式会社内 (72)発明者 岡山 奨 東京都中央区八重洲2丁目6番21号 石 川島建材工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−26896(JP,A) 実開 昭57−137698(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/04 E21D 11/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個がトンネル周方向に位置する端部
    同士を相互に連結して、掘削されたトンネル内壁面に沿
    って筒状に組付けられるトンネル用セグメントにおい
    て、 前記セグメントは、内圧に対抗するプレストレス力が導
    入されるものであって、 前記トンネル周方向に沿った円弧曲板状に形成された本
    体と、この本体の円弧面に沿って配置され、かつ、トン
    ネル周方向に隣接配置される他のセグメントとの間で相
    互に連通するように埋設された中空筒状のシース管とを
    有する複数個の第1セグメントと、 前記シース管を介して、複数本が平行になるように周回
    配置されたプレストレス鋼材の緊張装置が設置される1
    個の第2セグメントとを備え、 前記第2セグメントは、前記第1セグメント間に設置さ
    れる平板状の基板と、この基板の周方向の両端に配置さ
    れ、前記第1セグメントと連結される一対のエンドプレ
    ートと、このエンドプレートと少なくとも一方が離接自
    在に設置され、前記プレストレス鋼材の両端部が、一方
    を貫通して他方に固設され、前記緊張装置により相互に
    離間する方向に移動させられる一対の定着固定板と、前
    記定着固定板を前記緊張装置で相互に離間する方向に移
    動させた状態で、前記定着固定板間に嵌着されるスペー
    サとを有する ことを特徴とするトンネル用セグメント。
  2. 【請求項2】 前記第2セグメントは、前記トンネルの
    下方側のインバート部に配置されることを特徴とする請
    求項1記載のトンネル用セグメント。
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