JP3205925B2 - コントローラ - Google Patents

コントローラ

Info

Publication number
JP3205925B2
JP3205925B2 JP32006195A JP32006195A JP3205925B2 JP 3205925 B2 JP3205925 B2 JP 3205925B2 JP 32006195 A JP32006195 A JP 32006195A JP 32006195 A JP32006195 A JP 32006195A JP 3205925 B2 JP3205925 B2 JP 3205925B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
peak
unit
model
internal model
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP32006195A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09160604A (ja
Inventor
雅人 田中
裕之 三渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Azbil Corp
Original Assignee
Azbil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Azbil Corp filed Critical Azbil Corp
Priority to JP32006195A priority Critical patent/JP3205925B2/ja
Publication of JPH09160604A publication Critical patent/JPH09160604A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3205925B2 publication Critical patent/JP3205925B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IMC(Internal
Model Control)構造の制御アルゴリズムを用いたコン
トローラに関し、特に制御中に振動が発生したときに、
この振動を自動的に抑制して良好な制御を行うことがで
きるコントローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より制御対象プロセスを数式表現し
た内部モデルを組み込んで制御を行うIMC構造の制御
アルゴリズムを用いたコントローラが提案されており、
このIMCコントローラを用いれば制御対象プロセスに
大きなむだ時間が存在しても対応が可能という優れた利
点がある。
【0003】図16は従来のIMCコントローラを用い
た制御系のブロック線図である。33は目標値から後述
するフィードバック量を減算する第1の減算処理部、3
2は第1の減算処理部33の出力の変化が急激に伝わら
ないようにするためのフィルタ部、34はフィルタ部3
2の出力に基づいてこのコントローラの出力である操作
量を演算する操作部、36は制御対象プロセスを数式で
近似したものであって制御結果である制御量に相当する
モデル出力値を出力する内部モデル、38は制御量から
モデル出力値を減算してフィードバック量を出力する第
2の減算処理部、30は制御対象プロセスである。
【0004】また、F、Gc、Gm、Gpはそれぞれフ
ィルタ部32、操作部34、内部モデル36、制御対象
プロセス30の伝達関数、rは目標値、uは操作量、y
は制御量、ymはモデル出力値、eはフィードバック量
である。
【0005】次に、このようなIMCコントローラの動
作を説明する。最初に、第1の減算処理部33にて目標
値rからフィードバック量eが減算され、操作部34に
てフィルタ部32の出力から操作量uが演算されて制御
対象プロセス30及び内部モデル36へ出力される。そ
して、第2の減算処理部38にてプロセス30の制御量
yから内部モデル36からのモデル出力値ymが減算さ
れ、この結果がフィードバック量eとして第1の減算処
理部33へフィードバックされるフィードバック制御系
が構成されている。
【0006】このようなIMCコントローラの内部モデ
ル36は、制御対象プロセス30を同定した結果に基づ
いて、内部モデル36の伝達関数とプロセス30の伝達
関数(近似式)が一致するようにパラメータが設定され
る。内部モデル36が設定されると、即応性と安定性の
バランスを考慮してフィルタ部32の時定数を設定し、
その設定に固定された線形制御が行われる。ところで、
制御対象プロセス30の同定に誤差があって内部モデル
36のパラメータ設定が不適切な場合、あるいはプロセ
ス30の特性が変動する場合には、制御量に振動が発生
することがある。制御を実行中に振動が発生した場合に
は、いったん制御を中断してフィルタ時定数若しくは内
部モデルパラメータを再調整してから、再び制御をやり
直す必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来のI
MCコントローラでは、制御中に振動が発生したときに
振動を自動的に抑制する手段がなく、フィルタ時定数若
しくは内部モデルパラメータを再調整しないと、振動が
発生したままとなってしまうという問題点があった。ま
た、このような調整を行うことは、IMCに関する専門
的知識のない一般利用者にとって困難であり、IMCに
関する知識を有する専門家にとっても、調整のための具
体的な指標がないので、容易に再調整することができな
いという問題点があった。本発明は、上記課題を解決す
るためになされたもので、制御中に振動が発生したとき
に、この振動を自動的に抑制して良好な制御を行うこと
ができるIMC構造のコントローラを提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、目標値からフ
ィードバック量を減算する第1の減算処理部と、第1の
減算処理部の出力を伝達関数が時間遅れの特性で出力す
る目標値・外乱フィルタ部、内部モデルパラメータに基
づき目標値・外乱フィルタ部の出力から操作量を演算す
る操作部からなる操作量演算部と、内部モデルパラメー
タを記憶する内部モデル記憶部と、内部モデルパラメー
タに基づき操作量からモデル出力値を演算する内部モデ
ル出力演算部と、制御量からモデル出力値を減算してフ
ィードバック量を出力する第2の減算処理部と、モデル
出力値の極大値又は極小値を検出してピークモデル出力
値とするモデル出力値ピーク検出部と、制御量の極大値
又は極小値を検出してピーク制御量とする制御量ピーク
検出部と、ピーク制御量に基づいて制御量の振動状態を
判定し、振動が発生していると判断すると修正指示信号
を出力する状態判定部と、修正指示信号が出力される
と、ピーク制御量、ピークモデル出力値に基づく制御量
の振幅とモデル出力値の振幅から内部モデルの修正パラ
メータを算出して、内部モデル記憶部に記憶されたパラ
メータをこの修正パラメータに変更させる内部モデルパ
ラメータ修正部とを有するものである。このような構成
により、制御中に振動が発生すると状態判定部から修正
指示信号が出力される。そして、内部モデルパラメータ
修正部にてピーク制御量、ピークモデル出力値に基づく
制御量の振幅とモデル出力値の振幅から内部モデルの修
正パラメータが算出され、内部モデル記憶部に出力され
ることにより、内部モデルパラメータが修正される。
【0009】また、上記内部モデルの修正パラメータは
モデルゲインである。これにより、内部モデル記憶部に
記憶された内部モデルパラメータ中のモデルゲインが修
正される。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施の形態
を示すIMC構造のコントローラのブロック図、図2は
このコントローラを用いた制御系のブロック線図、図3
はこのコントローラの動作を説明するためのフローチャ
ート図である。図1において、1はオペレータによって
設定された目標値rをコントローラに入力するための目
標値入力部、3は目標値rからフィードバック量e2を
減算する第1の減算処理部、4は後述する内部モデル記
憶部のパラメータに基づいて第1の減算処理部3の出力
e1から操作量uを演算する操作量演算部、5は操作量
演算部4から出力された操作量uを図1では図示しない
制御対象プロセスへ出力する信号出力部である。
【0011】また、6aはコントローラの内部モデルパ
ラメータを記憶する内部モデル記憶部、6bは内部モデ
ル記憶部6aのパラメータに基づいて内部モデルとして
の演算を行いモデル出力値ymを出力する内部モデル出
力演算部、7はプロセスからの制御量yをコントローラ
に入力するための制御量入力部、8は制御量入力部7か
ら出力された制御量yから内部モデル出力演算部6bか
ら出力されたモデル出力値ymを減算してフィードバッ
ク量e2を出力する第2の減算処理部である。
【0012】また、9はモデル出力値ymの極大値又は
極小値を検出して、これをピークモデル出力値とするモ
デル出力値ピーク検出部、10は制御量yの極大値又は
極小値を検出して、これをピーク制御量とする制御量ピ
ーク検出部、11は検出されたピーク制御量に基づいて
制御量yの振動状態を判定し、振動が発生していると判
断すると修正指示信号を出力する状態判定部である。1
2は内部モデルパラメータ修正部であり、修正指示信号
が出力されると、ピーク制御量、ピークモデル出力値に
基づく制御量yの振幅とモデル出力値ymの振幅から内
部モデルの修正パラメータを算出して、内部モデル記憶
部6aに記憶されたパラメータをこの修正パラメータに
変更させる。
【0013】図2において、4aは操作量演算部4の内
部にあって、第1の減算処理部3の出力e1を伝達関数
が1次遅れの特性で出力する目標値・外乱フィルタ部、
4bは同じくその内部にあって目標値・外乱フィルタ部
4aの出力から操作量uを演算する操作部、6は内部モ
デル記憶部6a及び内部モデル出力演算部6bからなる
内部モデル、Fは目標値・外乱フィルタ部4aの伝達関
数である。
【0014】なお、図2は図1の第1の減算処理部3、
操作量演算部4、内部モデル記憶部6a、内部モデル出
力演算部6b、及び第2の減算処理部8からなるコント
ローラの基本構成に、制御対象プロセス30を含めて制
御系として書き直したものである。
【0015】次に、このようなコントローラの動作を説
明する。図3に示す動作は、全て1制御周期ごとに行わ
れるものである。目標値rは、このコントローラのオペ
レータによって設定され、目標値入力部1を介して第1
の減算処理部3に入力される(図3ステップ100)。
【0016】第1の減算処理部3は、目標値rから第2
の減算処理部8から出力されるフィードバック量e2を
減算して、出力値e1を次式のように演算する(ステッ
プ101)。 e1=r−e2 ・・・(1)
【0017】操作量演算部4内の目標値・外乱フィルタ
部4aは、第1の減算処理部3の出力e1をその時定数
をT2とする次式のような伝達関数Fの特性で出力す
る。 F=1/(1+T2×s) ・・・(2) そして、時定数T2は後述する内部モデル6の時定数T
mに応じて次式のように設定されるようになっている。 T2=α×Tm ・・・(3) αは比例定数であり、例えばα=0.12である。
【0018】また、同じく操作量演算部4内の操作部4
bは、目標値・外乱フィルタ部4aの出力から操作量u
を演算するが、その伝達関数Gcは内部モデル記憶部6
aから出力された内部モデル6のゲイン及び時定数によ
り次式となり、むだ時間Lmの要素を除いた内部モデル
6の伝達関数Gmの逆数となっている。 Gc=(1+Tm×s)/Km ・・・(4) ここで、Km、Tmはそれぞれ内部モデル6のゲイン、
時定数である。
【0019】よって、操作量演算部4は、第1の減算処
理部3の出力e1から操作量uを次式のように演算し、
これを信号出力部5を介して制御対象プロセス30(実
際にはバルブ等の装置)へ出力し、また内部モデル出力
演算部6bへ出力する(ステップ102)。 u=F×Gc×e1 =[(1+Tm×s)/{Km×(1+T2×s)}]×e1 ・・(5)
【0020】次に、制御対象プロセス30は、1次遅れ
とむだ時間の要素を有するものとしてその伝達関数Gp
を次式のような近似伝達関数で表現できる。 Gp=Kp×exp(−Lp×s)/(1+Tp×s) ・・・(6) ここで、Kp、Lp、Tpはそれぞれプロセス30のゲ
イン、むだ時間、時定数である。
【0021】そして、内部モデル6は、プロセス30を
モデル同定した結果得られた上記のようなパラメータK
p、Tp、Lpをそれぞれ内部モデルのゲインKm、時
定数Tm、むだ時間Lmとして用い、プロセス30を式
(6)と同様の近似式によって表現したものとなる。
【0022】すなわち、内部モデル出力演算部6bは、
内部モデル記憶部6aに記憶されたゲインKm、時定数
Tm、及びむだ時間Lmに基づき操作量uからモデル出
力値ymを次式のように演算する(ステップ103)。 ym=Gm×u={Km×exp(−Lm×s)/(1+Tm×s)}×u ・・・(7)
【0023】次いで、制御量入力部7には、制御対象プ
ロセス30(実際には制御量yを検出するセンサ)から
制御量yが入力される(ステップ104)。そして、第
2の減算処理部8は、制御量yから内部モデル出力演算
部6bからのモデル出力値ymを減算して、フィードバ
ック量e2を次式のように演算する(ステップ10
5)。 e2=y−ym ・・・(8)
【0024】以上のようなステップ100〜105の動
作をオペレータ等の指令によってコントローラが停止す
るまで、1制御周期ごとに繰り返す。これが、このIM
C構造のコントローラの基本構成であるフィードバック
制御系としての動作である。
【0025】次に、状態判定部11は、このような制御
系において、制御が整定しているかどうかを以下のよう
に判定する(ステップ106)。図4はこの状態判定部
11のステップ106の動作を詳細に説明するためのフ
ローチャート図である。まず、状態判定部11は、目標
値rと制御量yに基づき次式によって制御が整定しつつ
あるかどうかを判定する(ステップ200)。 |r−y|<δ ・・・(9)
【0026】ここで、δは整定判定基準値であり、通常
の制御中の変化量(目標値rと制御量yの偏差)より小
さく、かつ整定状態で維持されるべき最大の偏差の指標
であって、本実施の形態では制御量フルレンジの1%に
設定されている。そして、式(9)が成立しない場合
は、制御が整定状態に向かっていないと判断し、整定継
続時間TEから制御周期dTを減算する(ステップ20
1)。ただし、整定継続時間TEの初期値は0なので、
このような減算が行われるのは、TE>0のときであ
る。
【0027】続いて、状態判定部11は、次式によって
制御が整定しているかどうかを判定する(ステップ20
2)。 TE>T1 ・・・(10) T1は整定判定のしきい値となる整定判定基準時間であ
り、本実施の形態では1.5×Tmである。ここでは整
定状態に向かっていないので、式(10)が不成立とな
って判定Noとなり、状態判定部11の動作が終了して
次のモデル出力値ピーク検出部9の動作(図3ステップ
107)に移る。
【0028】一方、ステップ200において式(9)が
成立する場合は、制御が整定状態に向かっていると判断
して、整定継続時間TEに制御周期dTを加算する(ス
テップ203)。制御が整定状態に向かっている場合、
ステップ200、203、202の動作が1制御周期ご
とに繰り返される。このとき、初めはステップ202に
おける判定がNoとなるが、制御が整定しつつあること
から式(9)が1制御周期ごとに連続して成立し、ステ
ップ203によって整定継続時間TEが次第に増加す
る。
【0029】これにより、やがて式(10)が成立す
る。こうして、ステップ202において、判定Yesと
なり整定状態になったと判断すると、状態判定部11
は、整定時変数処理を以下のように行う(ステップ20
4)。つまり、状態判定部11は、整定継続時間TEを
0に初期化し、後述する制御量ピーク検出部10に記憶
されている第1ピーク制御量y1をYSとし、同じく第
2ピーク制御量y2を−YSとし、第3ピーク制御量y
3を0とする。ここで、定数YSとしては、通常有り得
ない値が設定され、本実施の形態では制御量フルレンジ
の10倍の値が設定されている。
【0030】また、後述するモデル出力値ピーク検出部
9に記憶されている第1ピークモデル出力値ym1をY
MSとし、同じく第2ピークモデル出力値ym2を−Y
MSとし、第3ピークモデル出力値ym3をYMSとす
る。本実施の形態では、YMSもYSと同じ値とする。
以上のような整定時変数処理を行う理由については後述
する。こうして、状態判定部11のステップ106の動
作が終了する。
【0031】次に、モデル出力値ピーク検出部9は、内
部モデル出力演算部6bから出力されたモデル出力値y
mの極大値又は極小値を検出する(ステップ107)。
図5はこのモデル出力値ピーク検出部9の動作を詳細に
説明するためのフローチャート図、図6はモデル出力値
ymの振動状態を示す図である。
【0032】まず、モデル出力値ピーク検出部9は、モ
デル出力値ymの変化率を次式のように算出する(ステ
ップ300)。 dym(k)=ym(k)−ym(k−dT) ・・・(11) ここで、dym(k)は現時刻kにおけるモデル出力値
の変化率、ym(k)は現時刻kにおけるモデル出力
値、ym(k−dT)は現時刻から1制御周期dT前の
モデル出力値である。
【0033】続いて、モデル出力値ピーク検出部9は、
モデル出力値ymに極大値又は極小値が現れたかどうか
を次式によって判定する(ステップ301)。 dym(k)×dym(k−dT)<0 ・・・(12) ここで、dym(k−dT)は現時刻kから1制御周期
dT前のモデル出力値変化率である。式(12)は、現
在の変化率dym(k)と1制御周期前の変化率dym
(k−dT)との積が負、すなわちこれらの正負が逆転
したらモデル出力値ymに極大値又は極小値が現れたと
判断するものである。
【0034】ステップ301において、式(12)が成
立せず極大値又は極小値が検出されない場合は、現在記
憶している第1ピークモデル出力値ym1、第2ピーク
モデル出力値ym2、第3ピークモデル出力値ym3を
そのまま内部モデルパラメータ修正部12に出力する
(ステップ302)。なお、これらの初期値は、上述し
た整定時変数処理において設定される値と同じである。
【0035】以上のようなステップ300〜302の動
作を1制御周期ごとに繰り返し、図6(a)の時刻k1
になると、式(12)が成立してステップ301の判定
がYesとなるので、モデル出力値ymに最初の極大値
又は極小値が現れたと判断する(以下、モデル出力値第
1ピークという)。そして、モデル出力値ピーク検出部
9は、ym3=ym(k1−dT)、つまり第3ピーク
モデル出力値ym3を現時刻k1から1制御周期前のモ
デル出力値とする(ステップ303)。
【0036】最後に、ym1〜ym3を内部モデルパラ
メータ修正部12に出力する(ステップ302)。な
お、第1ピークモデル出力値ym1、第2ピークモデル
出力値ym2の値は変更されていないので、初期値のま
まである。こうして、モデル出力値第1ピークが検出さ
れたことになる。
【0037】次に、時刻k1を過ぎると、再びステップ
300〜302の動作が1制御周期ごとに繰り返され
る。そして、図6(b)の時刻k2になると、式(1
2)が成立してステップ301の判定がYesとなるの
で、第1ピーク後のモデル出力値ymに次の極大値又は
極小値が現れたと判断する(以下、モデル出力値第2ピ
ークという)。
【0038】そして、モデル出力値ピーク検出部9は、
ym2=ym3、ym3=ym(k2−dT)、つまり
現在のym3の値を第2ピークモデル出力値ym2に代
入して、現時刻k2から1制御周期前のモデル出力値を
新しいym3とする(ステップ303)。最後に、ym
1〜ym3を出力する(ステップ302)。なお、第1
ピークモデル出力値ym1の値は変更されていないの
で、初期値のままである。こうして、モデル出力値第2
ピークが検出されたことになる。
【0039】時刻k2を過ぎると、再びステップ300
〜302の動作が1制御周期ごとに繰り返される。図6
(c)の時刻k3になると、式(12)が成立してステ
ップ301の判定がYesとなるので、第2ピーク後の
モデル出力値ymに次の極大値又は極小値が現れたと判
断する(以下、モデル出力値第3ピークという)。
【0040】そして、モデル出力値ピーク検出部9は、
ym1=ym2、ym2=ym3、ym3=ym(k3
−dT)、つまり現在のym2の値をym1に代入する
と共に現在のym3の値をym2に代入し、現時刻k3
から1制御周期前のモデル出力値を新しいym3とする
(ステップ303)。最後に、ym1〜ym3を出力す
る(ステップ302)。こうして、モデル出力値第3ピ
ークが検出されたことになる。
【0041】次に、制御量ピーク検出部10は、制御量
入力部7から出力された制御量yの極大値又は極小値を
検出する(ステップ108)。図7はこの制御量ピーク
検出部10の動作を詳細に説明するためのフローチャー
ト図、図8は制御量yの振動状態を示す図である。
【0042】まず、制御量ピーク検出部10は、目標値
rと制御量yとの差である偏差を次式のように算出する
(ステップ400)。 e(t)=r−y(t) ・・・(13) ここで、e(t)は現時刻tにおける偏差、y(t)は
現時刻tにおける制御量である。
【0043】続いて、偏差e(t)に基づいて制御量y
を監視し、制御量yが目標値rを横切ったかどうかを次
式によって調べる(ステップ401)。 e(t)×e(t−dT)<0 ・・・(14) ここで、e(t−dT)は現時刻tから1制御周期前の
偏差である。式(14)は、現在の偏差e(t)と1制
御周期前の偏差e(t−dT)の正負が逆転したら制御
量yが目標値rを横切ったと判断するものである。
【0044】ステップ401において、式(14)が成
立せず制御量yが目標値rを横切っていないと判断され
る場合は、ステップ402に進む。ステップ402にお
いて、制御量ピーク検出部10は、次式が成立するかど
うかを判定する。 |e(t)|>|y3| ・・・(15) よって、式(15)が成立しない場合には、ステップ4
02の判定がNoとなる。
【0045】判定Noの場合は、現在記憶している第1
ピーク制御量y1、第2ピーク制御量y2、第3ピーク
制御量y3をそのまま出力する(ステップ403)。な
お、これらの初期値は、整定時変数処理において設定さ
れた値と同じである。以上のようなステップ400〜4
03の動作を1制御周期ごとに繰り返し、図8(a)の
時刻t1になると、式(14)が成立してステップ40
1の判定がYesとなるので、制御量yが目標値rを横
切ったと判断する。
【0046】そして、制御量ピーク検出部10は、y3
=e(t1)、つまり第3ピーク制御量y3を現時刻t
1の偏差とする(ステップ404)。次いで、ステップ
402では、式(15)の判定を行い、式(15)が成
立して判定Yesとなれば、第3ピーク制御量y3を現
時刻の偏差に更新する(ステップ405)。最後に、y
1〜y3を出力する(ステップ403)。なお、y1、
y2の値は変更されていないので、初期値のままであ
る。
【0047】制御量yが目標値rを横切った後で、現時
刻の偏差の絶対値|e(t)|が現在の第3ピーク制御
量の絶対値|y3|より大きい限り、ステップ400〜
402、405、403の動作が1制御周期ごとに繰り
返され、y3が偏差e(t)に更新される。こうして、
時刻t2における偏差e(t2)がy3となり、制御量
第1ピークが検出されたことになる。
【0048】時刻t2を過ぎると、再びステップ400
〜403の動作が1制御周期ごとに繰り返される。そし
て、図8(b)の時刻t3になると、式(14)が成立
してステップ401の判定がYesとなるので、制御量
第1ピークの後で制御量yが目標値rを横切ったと判断
する。そして、制御量ピーク検出部10は、y2=y
3、y3=e(t3)、つまり現在のy3の値を第2ピ
ーク制御量y2に代入して、現時刻t3の偏差を新しい
y3とする(ステップ404)。
【0049】次いで、ステップ402では、式(15)
の判定を行い、式(15)が成立して判定Yesとなれ
ば、第3ピーク制御量y3を現時刻の偏差に更新する。
つまり、上記と同様に現時刻の偏差の絶対値|e(t)
|が現在の第3ピーク制御量の絶対値|y3|より大き
い限り、ステップ405にてy3が偏差e(t)に更新
される。これにより、時刻t4における偏差e(t4)
がy3となり、制御量第2ピークが検出されたことにな
る。なお、第1ピーク制御量y1の値は変更されていな
いので、初期値のままである。
【0050】時刻t4を過ぎると、再びステップ400
〜403の動作が1制御周期ごとに繰り返される。そし
て、図8(c)の時刻t5になると、式(14)が成立
してステップ401の判定がYesとなるので、制御量
第2ピークの後で制御量yが目標値rを横切ったと判断
する。そして、制御量ピーク検出部10は、y1=y
2、y2=y3、y3=e(t5)、つまり現在のy2
の値をy1に代入すると共に現在のy3の値をy2に代
入して、現時刻t5の偏差を新しいy3とする(ステッ
プ404)。
【0051】次いで、ステップ402では、式(15)
の判定を行い、式(15)が成立して判定Yesとなれ
ば、第3ピーク制御量y3を現時刻の偏差に更新する。
すなわち、上記と同様に現時刻の偏差の絶対値|e
(t)|が現在の第3ピーク制御量の絶対値|y3|よ
り大きい限り、ステップ405にてy3が偏差e(t)
に更新される。こうして、時刻t6における偏差e(t
6)がy3となり、制御量第3ピークが検出されたこと
になる。
【0052】次に、状態判定部11は、制御量ピーク検
出部10から1制御周期ごとに出力される第1ピーク制
御量y1、第2ピーク制御量y2、第3ピーク制御量y
3に基づき、制御量yの振動状態を評価し、制御量yに
振動が発生しているかどうかを次式によって判定する
(ステップ109)。
【0053】 |y1|>δ ・・・(16) |y3|>δ ・・・(17) (y2−y3)/(y2−y1)>β ・・・(18) βは減衰判定比例定数であり、本実施の形態では0.7
に設定されている。
【0054】状態判定部11は、式(16)〜(18)
が同時に成立しない場合、制御量yに振動が発生してい
ないと判断し、内部モデルパラメータの修正を指示する
ための修正指示信号を内部モデルパラメータ修正部12
に出力しない。この場合、内部モデルパラメータ修正は
行われず、次の制御周期にて上記と同様の動作(ステッ
プ100〜)が開始される。
【0055】なお、制御量yに振動が発生していない場
合以外に式(16)〜(18)が同時に成立しない場合
として、制御量第1ピーク又は第2ピークが検出されて
いない場合がある。このような場合、第1ピーク制御量
y1、第2ピーク制御量y2が初期値のままなので、式
(16)〜(18)が同時に成立することはない。こう
して、制御量第1ピーク又は第2ピークが検出されてい
ない場合は、内部モデルパラメータ修正を実施しないよ
うになっている。これが上述した整定時変数処理を行う
理由の1つである。
【0056】一方、状態判定部11は、式(16)〜
(18)が同時に成立する場合、制御量yに振動が発生
していると判断して、修正指示信号を内部モデルパラメ
ータ修正部12に出力する。なお、上記の説明では、制
御量ピーク検出部10が図8(c)の時刻t6において
制御量第3ピークを検出すると説明したが、式(16)
〜(18)が同時に成立すれば、状態判定部11が制御
量yに振動が発生していると判断するので、真の制御量
第3ピークが検出される前に内部モデルパラメータ修正
が実施されることも有り得る。
【0057】次に、内部モデルパラメータ修正部12
は、状態判定部11から修正指示信号が入力されると、
内部モデルパラメータ修正を以下のように実施する(ス
テップ110)。図9はこの内部モデルパラメータ修正
部12の動作を詳細に説明するためのフローチャート
図、図10は内部モデルパラメータ修正動作を説明する
ための制御量yとモデル出力値ymの様子を示す図であ
る。
【0058】内部モデルパラメータ修正部12は、まず
パラメータ修正のための修正係数候補ρ1、ρ2を次式
のように算出する(ステップ500)。 ρ1=W×(y1−y2)/(ym2−ym1)+(1−W) ・・(19) ρ2=W×(y1−y2)/(ym3−ym2)+(1−W) ・・(20)
【0059】ここで、Wはモデル出力値ピーク検出部
9、制御量ピーク検出部10による検出結果をパラメー
タ修正にどの程度反映させるかを決定する修正荷重であ
り、0≦W≦1で、本実施の形態では0.7である。続
いて、修正係数候補ρ1を次式によって評価する(ステ
ップ501)。 ρ1>ε ・・・(21) εは評価定数であり、本実施の形態では0である。
【0060】式(21)が成立しない場合、内部モデル
パラメータ修正部12は、修正係数候補ρ1が内部モデ
ルパラメータの修正にとって適当でないと判断し、ステ
ップ503に進む。また、式(21)が成立する場合、
修正係数候補ρ1がパラメータ修正にとって適当である
と判断し、修正係数ρをρ1とした後に(ステップ50
2)、ステップ503に進む。
【0061】次いで、修正係数候補ρ2を次式によって
評価する(ステップ503)。 ρ2>ε ・・・(22) 式(22)が成立しない場合、修正係数候補ρ2がパラ
メータ修正にとって適当でないと判断し、ステップ50
5に進む。また、式(22)が成立する場合、修正係数
候補ρ2がパラメータ修正にとって適当であると判断
し、修正係数ρをρ2とした後に(ステップ504)、
ステップ505に進む。
【0062】以上のような修正係数候補ρ1、ρ2の評
価を行うのは以下の理由による。図10のy1の位置に
ある制御量第1ピーク、同じくy3の位置にある第3ピ
ークが制御量yの極大値(ただし、前述した理由からy
3は真の極大値ではない)、y2の位置にある第2ピー
クが極小値で、ym1の位置にあるモデル出力値第1ピ
ーク、ym3の位置にある第3ピークがモデル出力値y
mの極大値、ym2の位置にある第2ピークが極小値の
場合、式(21)が成立して式(22)が不成立とな
る。これは、y1−y2を制御量yの振幅として採用
し、ym2−ym1をモデル出力値ymの振幅として採
用することを意味する。
【0063】また、図10と逆に、モデル出力値第1ピ
ーク、第3ピークがモデル出力値ymの極小値で、第2
ピークが極大値の場合、式(22)が成立して式(2
1)が不成立となる。これは、y1−y2を制御量yの
振幅として採用し、ym3−ym2をモデル出力値ym
の振幅として採用することを意味する。このように、制
御量yが第1ピークから第2ピークに向かって減少すれ
ば、モデル出力値ymも第1ピークから第2ピーク又は
第2ピークから第3ピークに向かって減少する方を採用
し、制御量yが第1ピークから第2ピークに向かって増
加すれば、モデル出力値ymも増加する方を採用する。
【0064】次に、内部モデルパラメータ修正部12
は、次式が成立するかどうかを判定する(ステップ50
5)。 ρ1≦ε ・・・(23) ρ2≦ε ・・・(24) そして、式(23)、(24)が同時に成立して判定Y
esとなる場合、内部モデルパラメータ修正を先送りし
て動作を終了する。
【0065】このように修正が先送りされる状況につい
て図11を用いて説明する。図11のym2の位置にあ
るモデル出力値第1ピーク、同じくym3の位置にある
第2ピークが検出されて第3ピークが検出されていない
場合、前述の動作により第1ピークの値は第2ピークモ
デル出力値ym2に代入され、第2ピークの値は第3ピ
ークモデル出力値ym3に代入されている。よって、第
1ピークモデル出力値ym1は初期値のままである。こ
のような場合、式(21)、(22)が何れも不成立と
なって式(23)、(24)が同時に成立する。
【0066】すなわち、状態判定部11によって制御量
yの振動が検出された状態で(つまり、制御量第1ピー
ク〜第3ピークは検出済み)、モデル出力値第3ピーク
が検出されてしかるべきときに、モデル出力値第3ピー
クが検出されていないときは、内部モデルパラメータ修
正を先送りする。このような修正先送りを実現すること
が整定時変数処理を行うもう1つの理由である。
【0067】一方、ステップ501、503の何れかが
判定Yesとなって修正係数ρが得られたとき、内部モ
デルパラメータ修正部12は、求めた修正係数ρがρm
axより大きい場合、ρ=ρmaxとし、ρminより
小さい場合、ρ=ρminとする(ステップ506)。
本実施の形態では、ρmax=3、ρmin=1.5で
ある。
【0068】このような修正係数ρの上下限処理を行う
のは以下のような理由による。修正係数ρは式(19)
又は(20)によって算出され、この修正係数ρを基に
内部モデルパラメータが修正される。ところが、修正係
数ρが過大な値に算出されたり過小な値に算出されるこ
ともあり、このような場合はゲインKmもそれに応じて
修正されるので、制御の安全性を損なう。そこで、安全
性の限界を外れないように一定の範囲を設けて、修正係
数ρの上下限処理を行っている。
【0069】続いて、内部モデルパラメータ修正部12
は、こうして確定した修正係数ρから修正ゲインKmne
w を次式のように算出し、内部モデル記憶部6aに出力
する(ステップ507)。 Kmnew =ρ×Kmold ・・・(25) Kmold は内部モデル記憶部6aに記憶されている現在
のゲインである。こうして、修正ゲインKmnew が出力
されることにより、内部モデル記憶部6aに記憶されて
いるゲインKmold がこの修正ゲインKmnew に更新さ
れる。
【0070】最後に、次式のような内部変数の初期化処
理を行う(ステップ508)。 TE=T1+n×dT ・・・(26) e1=0.5×ρ×(ym2+ym3) ・・・(27) ef=0.5×ρ×(ym2+ym3) ・・・(28) ym(t0)=0.5×ρ×(ym2+ym3) ・・・(29) up(i)=u(t0) ・・・(30)
【0071】式(26)において、nは2以上であり、
本実施の形態では2である。状態判定部11に記憶され
た整定継続時間TEを式(26)のように設定すること
により、次の制御周期において、状態判定部11の整定
判定(図4ステップ202)が判定Yesとなる。これ
により、整定時変数処理が実行される。これは、ym1
〜ym3、y1〜y3の古い値がモデル出力値ピーク検
出部9、制御量ピーク検出部10に残っていることによ
る誤動作を防ぐためである。
【0072】また、式(27)〜(30)は、上記の内
部モデルパラメータ修正によって制御状態が乱されると
いう弊害現象の発生を回避するためのものである。つま
り、内部モデルパラメータ修正部12が内部モデルパラ
メータ(ゲインKm)を修正すると、制御動作が過去に
行われてきた処理と不連続なものになる。これは、実質
的に外乱が加えられたのと同等の影響を制御系に与える
ことであり、こうして制御状態が乱される弊害現象が発
生する。
【0073】この制御の不連続性を回避するため、IM
Cの内部変数をリセットする。ところで、式(1)〜
(8)は全て連続時間系で記述されたものであるが、実
際の制御は、1制御周期ごとに行うことからも明らかな
ように離散時間系である。したがって、第1の減算処理
部3の出力値e1、目標値・外乱フィルタ部4aの出力
値ef、操作部4bの出力である操作量u、内部モデル
出力演算部6bの出力であるモデル出力値ymを離散時
間系で演算するためには、これらの値が1次遅れ演算に
関わる変数であることから、各々1制御周期前に演算さ
れた値を使用する必要がある。
【0074】この1制御周期前に演算された値はそれぞ
れ第1の減算処理部3、目標値・外乱フィルタ部4a、
操作部4b、内部モデル出力演算部6bに記憶されてい
る。また、操作量uは、内部モデル出力演算部6bによ
るモデル出力値ymの演算の際のむだ時間演算(式
(7)中のexp(−Lm×s)に関わる演算)に必要
な変数でもあるので、むだ時間Lm分過去に遡った時点
から現時点までに出力された操作量を時系列データとし
て記憶しておく必要がある(ただし、現制御周期で演算
に使用するのは、むだ時間Lm分過去に遡った時点の操
作量である)。
【0075】この時系列データは内部モデル出力演算部
6b内に記憶されており、これをup(i)とする。こ
うして、コントローラの各構成要素は、時系列データu
p(i)と1制御周期前の各値(これらを内部変数と呼
ぶ)を利用して式(1)〜(8)の演算を行うことがで
きる。
【0076】ここで、内部モデルパラメータの修正後の
最初のモデル出力値(図10のym4)は、0.5×ρ
×(ym2+ym3)となる。また、定常状態では式
(1)〜(8)においてs=0となり、e1=ym、e
f=ymが成立する。
【0077】式(27)〜(29)は、これに基づいて
修正後のモデル出力値ym4で整定しているのと等価に
するものであり、式(30)は時系列データup(i)
をすべて修正時刻t0の操作量u(t0)に修正するこ
とにより、同様にu(t0)で整定しているのと等価に
するものである。これら内部変数は第1の減算処理部
3、操作量演算部4、内部モデル出力演算部6bに記憶
され、次の制御周期において利用される。このように修
正後の内部モデルパラメータによって制御が行われてき
たと等価な状態を設定することで、制御の不連続性を回
避する。
【0078】これで、内部モデルパラメータ修正部12
の動作が終了する。以上の動作が1制御周期ごとに繰り
返されるが、内部モデルパラメータの修正後に振動が発
生すれば、再びパラメータ修正が実施されることは言う
までもない。
【0079】図12は従来のIMCコントローラを空調
系における暖房時の給気温度の制御に使用したときの目
標値追従性を示す図、図13は同様に本実施の形態のコ
ントローラの目標値追従性を示す図である。図12、1
3は30℃という目標値rを入力し、その制御の途中で
制御対象プロセスのゲインKpが急変したときの制御量
y(給気温度)を求めたシミュレーション結果である。
また、従来のIMCコントローラは、本実施の形態のコ
ントローラにおいてゲインKmの修正を行わないものを
用いている。
【0080】ここで、制御対象プロセスのゲインKpは
初め0.1で1500秒にて0.35に変化したものと
する。また、制御対象プロセスの時定数Tpを100
秒、むだ時間Lpを33秒とし、本実施の形態のコント
ローラ及び従来のIMCコントローラの内部モデル6の
ゲインKmを0.15、時定数Tmを120秒、むだ時
間Lmを30秒とし、制御周期dTを10秒とする。し
たがって、ゲインKm、時定数Tm、むだ時間Lmにモ
デル同定誤差が存在することになる。
【0081】図12から明かなように、従来のIMCコ
ントローラでは内部モデルの設定が不適当なときに制御
対象プロセスのゲインKpが急変すると制御は振動状態
となるが、本実施の形態のコントローラでは内部モデル
6のゲインKmが2260秒にて0.3221に修正さ
れることにより、制御が整定する。
【0082】なお、本実施の形態では、内部モデルパラ
メータとしてゲインKmを修正したが、修正時定数Tm
newを算出して時定数Tmを修正してもよい。この場合
には、式(19)、(20)を次式に置き換える。 ρ1=W×(ym2−ym1)/(y1−y2)+(1−W) ・・(31) ρ2=W×(ym3−ym2)/(y1−y2)+(1−W) ・・(32) さらに、式(25)を次式に置き換えることで時定数を
修正することができる。 Tmnew =ρ×Tmold ・・・(33) Tmold は内部モデル記憶部6aに記憶されている現在
の時定数である。そして、修正時定数Tmnew が出力さ
れることにより、内部モデル記憶部6aに記憶されてい
る時定数Tmold がこの修正時定数Tmnew に更新され
る。
【0083】ところで、本発明は、式(19)、(2
0)から分かるように、制御量yの振幅y1−y2、モ
デル出力値ymの振幅ym2−ym1又はym3−ym
2を内部モデルパラメータの修正の指標とするものであ
り、制御量yの振幅とモデル出力値ymの振幅が近づく
ように内部モデルパラメータを修正して、制御量yの振
動を抑制するものである。
【0084】これに対し制御量yの振動を抑制する他の
手法として、制御量yの変化率とモデル出力値ymの変
化率を修正の指標とする手法が考えられる。これは、制
御量yの変化率Dyとモデル出力値ymの変化率Dym
を求め、本発明のρに相当する修正係数をDy/Dym
とすることで、制御量yの変化率Dyとモデル出力値y
mの変化率Dymが近づくように内部モデルパラメータ
を修正するものである。
【0085】このような手法に対し、本発明には以下の
ような利点がある。空調系において給気温度の制御を行
う場合、測定される制御量(給気温度)が空調装置の構
造等の影響(例えば空気の流れという外乱)を受けるた
め、制御量の波形が制御対象プロセスの物理特性を忠実
に反映しないことがある。このような現象の例を図14
に示す。図14において、ytは系の物理特性に忠実な
制御量、yは測定された制御量である。
【0086】そして、上述した手法により、時刻j2に
おいて内部モデルパラメータの修正が行われるものとす
る。ところが、時刻j2においては、測定された制御量
yの変化率Dyが物理特性に忠実な本来の変化率Dyt
とかなりかけ離れた値になるので、このような変化率D
yを指標として用いると内部モデルパラメータの修正が
的確に行われず、所望の振動抑制効果が得られないこと
がある。
【0087】これに対し本発明では、時刻j1、j3間
における制御量yの最大振幅Ay(上述したy1−y
2)をパラメータ修正の指標として用いる。この振幅A
yは、変化率Dyのような瞬時値でなく、ある時間内で
検出されるため、系の物理特性に忠実な本来の最大振幅
Aytにほぼ等しい。したがって、制御量yの変化率と
モデル出力値ymの変化率を修正の指標とする手法より
も的確に内部モデルパラメータを修正することができ
る。
【0088】図15は本発明の他の実施の形態を示すコ
ントローラのブロック図である。20は図示しないオペ
レータ又は制御対象プロセス側の装置とのインタフェー
スをとるインタフェース回路、21はプログラム格納領
域となるリードオンリメモリ(以下、ROMとする)、
22は変数格納領域となるランダムアクセスメモリ(以
下、RAMとする)、23はROM21に格納されたプ
ログラムに従ってIMC制御演算と内部モデルパラメー
タの適応調整を行うCPU、24はアドレス・バス、2
5はデータ・バス、26はコントロール・バスである。
【0089】本実施の形態は図1のコントローラの動作
を実現する別の構成例である。インタフェース回路20
は、オペレータによって入力された目標値rを受信する
と共に、制御対象プロセスからの制御量yを受信して、
CPU23で演算された操作量uを制御対象プロセスに
出力する。
【0090】ROM21には、図3の動作を実現するた
めのプログラムが格納されており、CPU23はアドレ
ス・バス24、データ・バス25を介してこれらのプロ
グラムを逐次読み出して実行し、演算結果をアドレス・
バス24、データ・バス25を介してRAM22に記憶
させるか、又はインタフェース回路20から外部に出力
させる。
【0091】次に、このようなコントローラの動作を説
明する。CPU23は、インタフェース回路20から送
出された目標値rに第1の減算処理を行った後(図3ス
テップ100、101)、その演算結果e1から操作量
uを演算してインタフェース回路20に送出する(ステ
ップ102)。そして、CPU23は、操作量uからモ
デル出力値ymを演算し(ステップ103)、インタフ
ェース回路20から送出された制御量yを基に第2の減
算処理を行う(ステップ104、105)。
【0092】次に、CPU23は、整定判定を行い(ス
テップ106)、判定Yesとなったときに整定時変数
処理を行う(図4ステップ204)。続いて、モデル出
力値ピークを検出すると共に(ステップ107)、制御
量ピークを検出し(ステップ108)、検出したピーク
制御量に基づいて制御量の振動状態を判定する(ステッ
プ109)。
【0093】そして、振動が発生していると判断する
と、内部モデルの修正ゲインKmを算出して、RAM2
2に記憶させることで内部モデルパラメータを修正する
(ステップ110)。以上のような動作を1制御周期ご
とに繰り返すことにより、図1の実施の形態の動作を実
現できる。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、制御対象プロセスの同
定誤差による内部モデルパラメータの誤差やプロセスの
特性変動によって制御の実行中に振動が発生しても、制
御応答動作中に内部モデルパラメータを自動的に修正し
て振動を抑制することができるので、制御の安定性を高
めることができ、制御対象プロセスの特性変化にも対応
することができる。また、プロセスの同定誤差等による
トラブルの発生を防ぐことができるので、オペレータの
作業負担を軽減することができる。
【0095】また、内部モデルパラメータ中のモデルゲ
インを修正することにより、振動を容易に抑制すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示すIMC構造
のコントローラのブロック図である。
【図2】 図1のコントローラを用いた制御系のブロッ
ク線図である。
【図3】 図1のコントローラの動作を説明するための
フローチャート図である。
【図4】 状態判定部の動作を詳細に説明するためのフ
ローチャート図である。
【図5】 モデル出力値ピーク検出部の動作を詳細に説
明するためのフローチャート図である。
【図6】 モデル出力値の振動状態を示す図である。
【図7】 制御量ピーク検出部の動作を詳細に説明する
ためのフローチャート図である。
【図8】 制御量の振動状態を示す図である。
【図9】 内部モデルパラメータ修正部の動作を詳細に
説明するためのフローチャート図である。
【図10】 内部モデルパラメータ修正動作を説明する
ための制御量とモデル出力値の様子を示す図である。
【図11】 内部モデルパラメータの修正先送り動作を
説明するための制御量とモデル出力値の様子を示す図で
ある。
【図12】 従来のIMCコントローラの目標値追従性
を示す図である。
【図13】 図1のコントローラの目標値追従性を示す
図である。
【図14】 系の物理特性が忠実に反映されない場合の
制御量の様子を示す図である。
【図15】 本発明の他の実施の形態を示すコントロー
ラのブロック図である。
【図16】 従来のIMCコントローラを用いた制御系
のブロック線図である。
【符号の説明】
1…目標値入力部、3…第1の減算処理部、4…操作量
演算部、5…信号出力部、6a…内部モデル記憶部、6
b…内部モデル出力演算部、7…制御量入力部、8…第
2の減算処理部、9…モデル出力値ピーク検出部、10
…制御量ピーク検出部、11…状態判定部、12…内部
モデルパラメータ修正部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 11/00 - 13/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御の目標値から制御対象プロセスに出
    力する操作量を演算して、制御対象プロセスを数式表現
    した内部モデルによって制御対象プロセスの制御量に相
    当するモデル出力値を演算し、制御量とモデル出力値と
    の差をフィードバックすることにより制御を行うIMC
    構造のコントローラにおいて、 前記目標値からフィードバック量を減算する第1の減算
    処理部と、 この第1の減算処理部の出力を伝達関数が時間遅れの特
    性で出力する目標値・外乱フィルタ部、及び内部モデル
    のパラメータに基づいて目標値・外乱フィルタ部の出力
    から操作量を演算して出力する操作部からなる操作量演
    算部と、 前記内部モデルパラメータを記憶する内部モデル記憶部
    と、 この内部モデル記憶部に記憶された内部モデルパラメー
    タに基づいて前記操作量からモデル出力値を演算する内
    部モデル出力演算部と、 前記制御量からモデル出力値を減算して前記フィードバ
    ック量を出力する第2の減算処理部と、 モデル出力値の極大値又は極小値を検出して、これをピ
    ークモデル出力値とするモデル出力値ピーク検出部と、 制御量の極大値又は極小値を検出して、これをピーク制
    御量とする制御量ピーク検出部と、 検出されたピーク制御量に基づいて制御量の振動状態を
    判定し、振動が発生していると判断すると修正指示信号
    を出力する状態判定部と、 この修正指示信号が出力されると、ピーク制御量、ピー
    クモデル出力値に基づく制御量の振幅とモデル出力値の
    振幅から内部モデルの修正パラメータを算出して、前記
    内部モデル記憶部に記憶されたパラメータをこの修正パ
    ラメータに変更させる内部モデルパラメータ修正部とを
    有することを特徴とするコントローラ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコントローラにおいて、 前記内部モデルの修正パラメータはモデルゲインである
    ことを特徴とするコントローラ。
JP32006195A 1995-12-08 1995-12-08 コントローラ Expired - Lifetime JP3205925B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32006195A JP3205925B2 (ja) 1995-12-08 1995-12-08 コントローラ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32006195A JP3205925B2 (ja) 1995-12-08 1995-12-08 コントローラ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09160604A JPH09160604A (ja) 1997-06-20
JP3205925B2 true JP3205925B2 (ja) 2001-09-04

Family

ID=18117289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32006195A Expired - Lifetime JP3205925B2 (ja) 1995-12-08 1995-12-08 コントローラ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3205925B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09160604A (ja) 1997-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07191710A (ja) コントローラ
JP3437807B2 (ja) 制御演算装置及び制御演算方法
JP3205925B2 (ja) コントローラ
JPH0535309A (ja) モデル予測制御装置
JPH08110802A (ja) Pidコントローラ
JP3205929B2 (ja) Imcコントローラ
JP3336520B2 (ja) Pid調節計
JP3340923B2 (ja) Sacコントローラ
JP3105696B2 (ja) アクチュエータ制御装置
JP3259115B2 (ja) コントローラ
JP3254618B2 (ja) コントローラ
CN112682392A (zh) 液压控制方法和装置
JP3223339B2 (ja) コントローラ
JP3259118B2 (ja) コントローラ
JPH06274204A (ja) Imcコントローラ
JPH0784611A (ja) コントローラ
JP3022050B2 (ja) 制御装置
JP3340926B2 (ja) Sacコントローラ
JP2822427B2 (ja) プロセス制御方法
JPH0871627A (ja) 制御装置
JP2781396B2 (ja) 操作レバーによるアクチユエータ制御方法
JPS60176104A (ja) プロセス制御装置
JPH07219601A (ja) 調節装置
JP2885544B2 (ja) むだ時間補償制御装置
JPH06274202A (ja) Imcコントローラ

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080706

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080706

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090706

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110706

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140706

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term