JP3202462B2 - フェライト系耐熱鋼のクリープ歪み計測方法 - Google Patents

フェライト系耐熱鋼のクリープ歪み計測方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェライト系耐熱鋼が
利用される火力発電用ボイラ、石油精製プラント等の高
温機器の供用中検査に適用されるフェライト系耐熱鋼の
クリープ歪み計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系耐熱鋼が長時間、高温、応
力下で使用されると、時間とともに変形が蓄積されて、
ついには破壊に至るクリープ破壊を生じる。そのため、
供用中の材料が長時間使用によってどの程度クリープ変
形したかを知ることは、これらの機器の長時間安定運転
のために重要である。
【0003】従来の運転中の機器のクリープ変形量を測
定する方法としては、例えば管状の部材であれば、その
外径、肉厚を計測する方法が最も一般的な方法であっ
た。また、大径厚肉部材に対しては、部材表面上に目印
となるボタンやポンチを2箇所以上設けておき、各目印
間の距離を図る方法も用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のクリープ歪み計
測方法においては、いずれの方法においても運転初期の
寸法を計測しておく必要があり、運転開始時に寸法計測
が行われていない部材においては、1回の寸法計測では
クリープ変形量を計測できなかった。また、上述した寸
法計測による方法では、形状不連続部等の局所的な変形
量を求めることもできなかった。
【0005】本発明は、上記課題を解決するため、運転
開始前等の寸法計測値等の初期値を必要とせず、また、
高温機器部材として長時間使用されたフェライト系耐熱
鋼のクリープ変形量を局所的な視野で検出する方法を提
供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のフェライト系耐
熱鋼のクリープ歪み計測方法は、クリープ歪み計測の供
試材であるフェライト系耐熱鋼の表面を研磨して平坦な
金属表面を得た後、該研磨面の一定面積を化学腐食およ
び電解腐食法によって一定量腐食させ、該腐食面に軟化
させたプラスティックフィルムを貼り付けて腐食により
母地から遊離した炭化物を抽出し、抽出した炭化物を含
む該プラスティックフィルムから透過型電子顕微鏡用の
抽出レプリカ試料を作製した後、該抽出レプリカ試料を
透過型電子顕微鏡で観察し、対象部が受ける応力方向と
平行及び垂直に走査線を引き、それぞれの方向に引いた
走査線における分散粒子の平均自由行程を下記の数2に
より求めた後、
【0007】
【数2】
【0008】応力方向と平行方向に測定した平均自由行
程と応力方向と垂直方向に測定した平均自由行程の比を
求め、あらかじめ実験室試験において求めておいた平均
自由行程比とクリープ歪みとの関係にあてはめることに
よって該供試材クリープ歪みを測定することを特徴とし
ている。
【0009】
【作用】フェライト系耐熱鋼においては、結晶の粒内に
微細な炭化物が均一に生成されており、これらによって
強化されているが、本発明は、上記フェライト系耐熱鋼
内に生成する炭化物に着目して種々試験を重ね、次の法
則を見出したことによる。
【0010】即ち、フェライト系耐熱鋼はクリープ応力
が負荷されず、析出物が均一に分散している場合、析出
物間の平均自由行程は走査線の方向によらずほぼ一定の
値であるが、クリープ変形が蓄積されると、平均自由行
程は応力方向に平行に走査線を取った場合が最も長くな
り、これに垂直な走査線で計測した平均自由行程との比
は、クリープ歪みが大きくなるに従って大きくなること
である。
【0011】そこで、本発明においては、供試材である
フェライト系耐熱鋼の腐食させた面からプラスティック
フィルムにより遊離した炭化物を抽出し、このプラステ
ィックフィルムから抽出レプリカ試料を作製した後、こ
のレプリカ試料から応力方向に平行な方向の平均自由行
程と垂直方向の平均自由行程を求め、更に、前者と後者
の比を求めて予め実験室試験により求めた平均自由行程
とクリープ歪みとの関係より供試材のクリープ歪みを求
めることとしている。
【0012】本発明の場合、上記のように運転前または
運転初期の計測データを必要としないため、これらのデ
ータがなく長時間使用した後の機器についても、1回の
計測でクリープ歪みを計測することができる。また、微
細な析出物の分布状況からクリープ歪みを計測すること
により、微小領域の歪みを計測することができ、従来の
方法ではできなかった形状不連続部などの応力集中部の
クリープ歪みを評価することも可能となる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例に係るフェライト系耐熱鋼
のクリープ歪み計測方法について、以下に説明する。
【0014】本実施例においては、クリープ歪み計測の
供試材であるフェライト系耐熱鋼の表面を研磨して平坦
な金属表面を得た後、該研磨面の一定面積を化学腐食お
よび電解腐食法によって一定量腐食させ、該腐食面に軟
化させたプラスティックフィルムを貼り付けて腐食によ
り母地から遊離した炭化物を抽出し、抽出した炭化物を
含む該プラスティックフィルムから透過型電子顕微鏡用
の抽出レプリカ試料を作製した後、該抽出レプリカ試料
を透過型電子顕微鏡で観察し、対象部が受ける応力方向
と平行及び垂直に走査線を引き、それぞれの方向に引い
た走査線における分散粒子の平均自由行程を下記の数3
により求めた後、
【0015】
【数3】
【0016】応力方向と平行方向に測定した平均自由行
程と応力方向と垂直方向に測定した平均自由行程の比を
求め、あらかじめ実験室試験において求めておいた平均
自由行程比とクリープ歪みとの関係にあてはめることに
よって該供試材クリープ歪みを測定している。
【0017】本実施例については、フェライト系耐熱鋼
として21/4Cr−IMo鋼を用いて製作した試験片
より、破断までの種々の寿命比でクリープ試験を中断し
た試験片を製作し、これらの試験片について種々測定を
重ねた結果より得られたものであり、以下にその内容を
説明する。
【0018】なお、上記耐熱鋼はフェライト−ベイナイ
トまたはフェライト−パーライトの2相組織からなる
が、フェライト粒内には、図1に示すクリープ試験を実
施する前の供試材の抽出レプリカの透過型電子顕微鏡組
織の模式図に表示されているように、M2 C炭化物(M
は金属元素)1と呼ばれるMoを主体とする微細炭化物
が均一に分布している。
【0019】上記種々の寿命比でクリープ試験を中断し
た試験片については、析出物の平均自由行程を求めてお
り、以下にその要領を説明する。即ち、クリープ試験を
実施した試験片の場合は、抽出レプリカの透過型電子顕
微鏡写真上に試験片が受ける応力方向と平行及び垂直方
向に走査線を引き、また、クリープ試験実施前の試験片
の場合には、任意の直交する2方向に走査線を引く。
【0020】それぞれの方向に引いた走査線について
は、図2に示すように走査線2が析出物内にある線分
(図2中に示す点1−2、3−4、5−6、7−8、9
−10間)の長さの合計(L1 +L2 +L3 +L4 +L
5 )を求める。
【0021】また、この交点(図2に示す点1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10)の数(図2に示す
場合10個)を求める。上記線分の長さの合計及び交点
の数からは、上記数3を用いて平均自由行程を求める。
具体的には次の数4の通りである。
【0022】
【数4】
【0023】上記平均自由行程については、それぞれの
走査線2を一定間隔を設けて写真上で走査させて多数箇
所で測定し、さらに、異なる多数の結晶粒で測定してそ
の平均値を求め、最終の平均自由行程とする。
【0024】図3は、クリープ試験実施前の試験片につ
いて、走査線2の角度を10度毎に回転させながら測定
された平均自由行程を示している。試験前の試験片の平
均自由行程は走査線2の方向によらずほぼ同等の値を示
しており、試験前の状態では析出物はランダムに分布し
ていることがわかった。
【0025】図4は、上記試験片について650℃、4
Kgf/mm2でクリープ試験を行い、試験を破断までの50
%(クリープ歪み1.5%)で中断した試験片につい
て、上述した試験前の試験片の場合と同様の方法で析出
物の平均自由行程を求め、この平均自由行程と走査線2
の角度との関係を調査して示したものである。平均自由
行程は明らかに走査線2の方向に依存して変化してお
り、応力方向と平行方向には長く、垂直方向には短くな
っていた。
【0026】そこで、最も平均自由行程が長くなる応力
方向に平行方向の平均自由行程の値を、最も平均自由行
程が短くなる応力方向に垂直方向の平均自由行程の値で
除した値を平均自由行程比として、クリープ試験を種々
の時間で中断したクリープ中断材のクリープ歪みとの関
係を求めた。
【0027】上記の結果を図示したものが図5であり、
平均自由行程とクリープ歪みとの間には相関関係があ
り、平均自由行程を測定することによって、長時間運転
された高温機器部材より採取した供試材のクリープ歪み
を計測することができることがわかった。
【0028】本実施例については、その測定精度を確認
するための試験を行っており、以下にその内容を説明す
る。上記と同じ材質(21/4Cr−IMo鋼)の継目
無鋼管材について650℃、内圧応力4Kgf/mm2で内圧
クリープ試験を行い、この試験を種々の寿命比で中断さ
せた試験片について、外径歪み計測値からクリープ歪み
を求めるとともに、析出物の平均自由行程比から図5を
用いてクリープ歪みを求めた。
【0029】その結果は図6に示す通りであり、両者の
間にはよい相関が認められ、本実施例の方法によれば従
来方法と同等の精度で、しかも従来方法では必要であっ
た初期測定値を必要とせず、高温応力下で使用されたフ
ェライト系耐熱鋼からなる高温機器部材のクリープ歪み
を精度よく計測できることがわかった。
【0030】
【発明の効果】本発明のフェライト系耐熱鋼のクリープ
歪み計測方法は、供試材の腐食させた面からプラスティ
ックフィルムにより遊離した炭化物を抽出し、このフィ
ルムから抽出レプリカ試料を作製し、このレプリカ試料
から応力方向に平行方向と垂直方向の平均自由行程を求
め、更に、前者と後者の比を求めて予め実験室試験によ
り求めた平均自由行程とクリープ歪みとの関係より供試
材のクリープ歪みを求めることによって、従来方法にお
いて必要とした運転開始前の初期計測値がなくても、フ
ェライト系耐熱鋼からなる高温機器部材の長時間使用に
より生じるクリープ歪みを非破壊的に精度よく簡便に測
定できるものとし、高温機器の信頼性向上に貢献可能と
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るフェライト系耐熱鋼の
クリープ試験前の試験片の抽出レプリカの透過型電子顕
微鏡組織の模式図である。
【図2】上記一実施例に係る試験片の平均自由行程の測
定方法の説明図である。
【図3】上記一実施例に係るクリープ試験前の試験片に
ついて、走査線の角度を10度毎に回転させて測定した
平均自由行程の説明図である。
【図4】上記一実施例に係るクリープ試験を50%で中
断した試験片について、走査線の角度を10度毎に回転
させて測定した平均自由行程の説明図である。
【図5】上記一実施例に係る平均自由行程比とクリープ
歪みの関係の説明図である。
【図6】上記一実施例に係る寸法計測値から求めたクリ
ープ歪みと析出物の平均自由行程から求めたクリープ歪
みの関係の説明図である。
【符号の説明】
1 炭化物 2 走査線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−248034(JP,A) 特開 平3−2642(JP,A) 特開 昭56−136142(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 3/00 G01N 17/00 G01N 33/20 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クリープ歪み計測の供試材であるフェラ
    イト系耐熱鋼の表面を研磨して平坦な金属表面を得た
    後、該研磨面の一定面積を化学腐食および電解腐食法に
    よって一定量腐食させ、該腐食面に軟化させたプラステ
    ィックフィルムを貼り付けて腐食により母地から遊離し
    た炭化物を抽出し、抽出した炭化物を含む該プラスティ
    ックフィルムから透過型電子顕微鏡用の抽出レプリカ試
    料を作製した後、該抽出レプリカ試料を透過型電子顕微
    鏡で観察し、対象部が受ける応力方向と平行及び垂直に
    走査線を引き、それぞれの方向に引いた走査線における
    分散粒子の平均自由行程を下記の数1により求めた後、 【数1】 応力方向と平行方向に測定した平均自由行程と応力方向
    と垂直方向に測定した平均自由行程の比を求め、あらか
    じめ実験室試験において求めておいた平均自由行程比と
    クリープ歪みとの関係にあてはめることによって該供試
    材クリープ歪みを測定することを特徴とするフェライト
    系耐熱鋼のクリープ歪み計測方法。
JP33085593A 1993-12-27 1993-12-27 フェライト系耐熱鋼のクリープ歪み計測方法 Expired - Fee Related JP3202462B2 (ja)

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