JP3009698B2 - 余寿命診断方法および余寿命診断システム - Google Patents

余寿命診断方法および余寿命診断システム

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JP3009698B2
JP3009698B2 JP3941590A JP3941590A JP3009698B2 JP 3009698 B2 JP3009698 B2 JP 3009698B2 JP 3941590 A JP3941590 A JP 3941590A JP 3941590 A JP3941590 A JP 3941590A JP 3009698 B2 JP3009698 B2 JP 3009698B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、繰返し荷重を受ける高温部材の余寿命診断
方法および余寿命診断システムに関する。
[従来の技術] 繰返し荷重を受ける高温部材の一例として、火力発電
プラントにおける蒸気タービンがある。蒸気タービンの
主要構成部材は、一般に、10万時間クリープ破断強度に
基づいて設計製作されている。
しかし、近年では、稼動中の蒸気タービンのうち、稼
動時間が10万時間に達したものが、半数以上を占めるよ
うになってきている。また、火力発電プラントの運用形
態が変わり、蒸気タービンの起動停止頻度が増加し、蒸
気タービン構成部材の経年劣化が進んでいる。
このため、蒸気タービン構成部材の余寿命を正確に診
断する方法が期待されている。
従来、繰返し荷重を受ける高温部材の余寿命診断方法
としては、高温部材の表面微視亀裂寸法を顕微鏡等で検
出して、この値から疲労余寿命を求めるものや、高温部
材の軟化を硬さ計で測定して、この値からクリープ余寿
命を求めるものなど、多数の診断方法がある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、これら従来技術は、すべて、損傷形態
ごとに独立した余寿命診断方法であり、測定対象として
いる損傷形態の余寿命を認識することはできるが、繰返
し荷重を受ける高温部材の場合、疲労損傷、クリープ損
傷、脆化を伴うので、高温部材の本来の余寿命を認識す
ることができず、高温部材の信頼性を高めることができ
ないという問題点がある。
特に、稼動時間が10万時間を越えている蒸気タービン
のような場合に、特定の損傷形態の余寿命のみを把握し
ているだけで、運転を続けていると、他の損傷で破断す
ることが考えられ、プラントの安全性を損なうことにも
なりかねない。
本発明は、このような従来の問題点について着目して
なされたもので、疲労損傷、クリープ損傷、脆化を伴う
高温部材の本来の余寿命を認識することができ、高温部
材の信頼性を高めることができる余寿命診断方法および
余寿命診断システムを提供することを目的としている。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するため本願は、以下の発明を提供す
る。
余寿命診断方法に係る発明は、 高温部材の疲労寿命消費量とクリープ寿命消費量と脆
化度とを測定により求め、予め求められている疲労寿命
消費量と脆化度と脆化を考慮した疲労寿命との関係と、
測定により求められた前記疲労寿命消費量及び前記脆化
度とから、脆化を考慮した疲労寿命を求め、該脆化を考
慮した疲労寿命と、測定により求められた該疲労寿命消
費量とから、脆化を考慮した疲労寿命消費率を算出し、
予め求められているクリープ寿命消費量と脆化度と脆化
を考慮したクリープ寿命との関係と、測定により求めら
れた前記クリープ寿命消費量及び前記脆化度とから、脆
化を考慮したクリープ寿命を求め、該脆化を考慮したク
リープ寿命と、算出した該クリープ寿命消費量とから、
脆化を考慮したクリープ寿命消費率を算出し、前記脆化
を考慮した疲労寿命消費率と前記脆化を考慮したクリー
プ寿命消費率とに基づき、前記高温部材の総合的な余寿
命率を算出することを特徴とするものである。
また、余寿命診断システムに係る発明は、 高温部材の疲労寿命消費量とクリープ寿命消費量と脆
化度とを算出するためのそれぞれの測定値から、疲労寿
命消費量とクリープ寿命消費量と脆化度とを算出する寿
命消費量算出手段と、予め求められている疲労寿命消費
量と脆化度と脆化を考慮した疲労寿命との関係と、算出
した前記疲労寿命消費量及び前記脆化度とから、脆化を
考慮した疲労寿命を求め、該脆化を考慮した疲労寿命
と、算出した該疲労寿命消費量とから、脆化を考慮した
疲労寿命消費率を算出する疲労寿命消費率算出手段と、
予め求められているクリープ寿命消費量と脆化度と脆化
を考慮したクリープ寿命との関係と、算出した前記クリ
ープ寿命消費量及び前記脆化度とから、脆化を考慮した
クリープ寿命を求め、該脆化を考慮したクリープ寿命
と、算出した該クリープ寿命消費量とから、脆化を考慮
したクリープ寿命消費率を算出するクリープ寿命消費率
算出手段と、前記脆化を考慮した疲労寿命消費率と前記
脆化を考慮したクリープ寿命消費率とに基づき、前記高
温部材の総合的な余寿命率を算出する余寿命算出手段と
を有することを特徴とするものである。
なお、前記疲労寿命消費量は、例えば、高温部材の表
面微視亀裂寸法や表面硬さなどを測定することで得るこ
とができる。
また、前記クリープ寿命消費量に関しては、キャビテ
ィ密度や電気抵抗比などを測定することで得ることがで
きる。また、前記脆化度に関しては、破面遷移温度、粒
界溝深さ、限界亀裂寸法、限界キャビティ密度などで代
用できる。
[作 用] 高温部材の寿命消費量とクリープ寿命消費量と脆化度
とは、寿命消費量算出手段により、それぞれの測定値か
ら算出される。
これら測定値の測定の際には、疲労損傷が部材の表面
に生じるため、まず、高温部材表面の所定位置で、疲労
寿命消費量用の測定値を測定する。
次に、高温部材の所定位置を研磨してから、クリープ
寿命消費量用の測定値を測定する。これは、クリープ損
傷が高温部材内部の粒界損傷が主劣化要因であるためで
ある。
最後に、前記所定位置をさらに研磨してから、脆化度
用の測定値を測定する。これは、脆化機構が粒界へのリ
ンの偏析が原因であるため、表層部では酸化や脱炭等の
化学反応により、リン偏析量を正確に把握できない恐れ
があるからである。
このように、それぞれの測定値を高温部材の一定箇所
からとることにより、各損傷形態間における環境の変化
がほとんどなく、各損傷形態をほぼ等価に評価すること
ができる。
疲労寿命消費量と脆化度と疲労寿命とには高温部材の
種類ごとに一定の関係があり、疲労寿命消費量と脆化度
とが与えらえると、疲労寿命消費率算出手段では、脆化
を考慮した疲労寿命が算出される。脆化を考慮した疲労
寿命は、脆化による部材の劣化が加味されているので、
単なる疲労寿命よりも、短くなる。そして、この脆化を
考慮した疲労寿命と疲労寿命消費量とから脆化を考慮し
た疲労寿命消費率が算出される。
クリープ寿命消費率算出手段でも、疲労寿命消費率算
出手段とほぼ同様に、クリープ寿命消費量と脆化度とか
ら、脆化を考慮したクリープ寿命消費率が算出される。
脆化を考慮した疲労寿命消費率と脆化を考慮したクリ
ープ寿命消費率とから、余寿命算出手段により、高温部
材の総合的な余寿命率が算出される。
この余寿命率は、繰返し荷重を受ける高温部材のすべ
ての損傷形態、つまり、疲労、クリープ、脆化が加味さ
れた値となっている。
[実施例] 以下、本発明の実施例を第1図〜第14図に基づいて説
明する。
第3図に基づいて、余寿命診断システムについて説明
する。
余寿命診断システムは、診断対象物のレプリカの表面
微視亀裂を検出する光学顕微鏡51と、レプリカの粒界キ
ャビティ密度を検出する走査型電子顕微鏡52と、粒界腐
食溝深さを検出するレーザ顕微鏡53と、これらの顕微鏡
51,52,53とアダプタを介して接続可能なTVカメラ55と、
TVカメラ55から得られた画像データを処理して余寿命を
算出する余寿命診断装置60と、TVカメラ55からの画像デ
ータをデジタル信号化して余寿命診断装置60に出力する
インターフェイス54とを備えて構成されている。
余寿命診断装置60は、種々の演算や各種装置の制御を
行うCPU61と、演算のための各種プログラムが記憶され
るRAM62と、フロッピーディスク装置63と、各種顕微鏡5
1,52,53からの画像データ等を記憶する光ディスク装置6
4と、起動時のプログラムが格納されているROM65と、キ
ーボード66と、ディスプレイ装置67と、プリンタ68とか
ら構成されている。
RAM62内には、画像ノイズを除去するプログラム、画
像データから微視き裂寸法、粒界キャビティ密度や粒界
溝深さを算出するプログラム、評価マスターカーブ、マ
スターカーブより寿命消費率を算出するプログラム、そ
れから余寿命算出するプログラム等が、フロッピーディ
スク装置63から格納される。
プリンタ68からは、算出された各種の値等が出力され
る。
ディスプレイ装置67には、顕微鏡51,52,53からの画像
データとともに、算出された各種値等が表示される。
なお、寿命消費量測定手段は、光学顕微鏡51、走査型
電子顕微鏡52、レーザ顕微鏡53、インターフェイス54、
各種プログラムが格納されるRAM62、および前記プログ
ラムに基づき動作し画像データから寿命消費量を算出す
るCPU61とで構成されている。
また、寿命消費量算出手段は、CPU61とRAM62とで構成
されている。
疲労寿命消費率算出手段、クリープ寿命消費率算出手
段、余寿命算出手段も、各種プログラムが格納されるRA
M62と、前記プログラムに基づき、疲労寿命消費率、ク
リープ寿命消費率、余寿命率を算出するCPU61とで構成
されている。
次に、余寿命算出方法、および余寿命診断システムの
動作について、第1図および第2図、第4図〜第14図に
基づいて説明する。
部材の損傷及び脆化のデータサンプリングは、レプリ
カ法で行う(ステップ1)。なお、本実施例では、デー
タサンプリング箇所は蒸気タービン高圧1段のヒートグ
ルーブ部(HG部)である。
レプリカの採取は、第2図に示すように、以下の手順
で行う。
蒸気タービン高圧1段のHG部には、第4図に示すよう
に、スケール層70が形成されているので、これを除去す
る(ステップ1−1)。そして、母材71の表面72から疲
労損傷評価用のレプリカを採取する(ステップ1−
2)。
次に、第5図に示すように、表面72を研磨して、鏡面
研磨仕上げ面73にする(ステップ1−3)。この鏡面研
磨仕上げ面73に対して、5%ナイタール等の腐食液によ
り表面腐食処理を施し(ステップ1−4)、金属組織の
観察を容易にする。腐食処理された鏡面研磨し上げ面73
からクリープ損傷評価用のレプリカを採取する(ステッ
プ1−5)。
さらに、腐食処理された鏡面研磨し上げ面73を、表面
粗さが0.02μm位になるまで、アルミナバフ研磨する
(ステップ1−6)。バフ研磨の終了後、ピクリン酸飽
和水溶液に部材表面を2時間から3時間浸漬し表面腐食
処理を施す(ステップ1−7)。
この腐食処理後、表面を洗滌し、脆化度評価用のレプ
リカを採取する(ステップ1−8)。
このように、レプリカを評価対象物の一定箇所から採
取することにより、各損傷形態間における環境の変化が
ほとんどなく、各損傷形態をほぼ等価に評価することが
できる。
また、疲労評価用のレプリカを最初に採取するのは、
疲労損傷は部材の表面に生じるためであり、次に、クリ
ープ評価用のレプリカを採取するのは、評価対象物内部
の粒界損傷が主劣化要因であるためである。最後に脆化
度評価用のレプリカを採取するのは、脆化機構が粒界へ
のリンの偏析が原因であるため、表層部では酸化や脱炭
等の化学反応により、リン偏析量を正確に把握できない
恐れがあるからである。
疲労評価用のレプリカ、クリープ評価用のレプリカ、
脆化度評価用のレプリカは、それぞれ、光学顕微鏡51、
走査型電子顕微鏡52、レーザ顕微鏡53により、拡大さ
れ、TVカメラ55からインタフェース54を介して、余寿命
診断装置60へ、画像データとして送られる(ステップ2,
3,4)。このとき、画像データは、余寿命診断装置60で
画像処理されるため、インターフェース54で、デジタル
信号化される。
疲労評価は、疲労評価用レプリカの表面微視亀裂寸法
に基づいて行われる。
疲労評価用のレプリカの画像データは、光ディスク装
置64に記憶されると共に、第6図に示すように、表面微
視亀裂以外の酸化皮膜むらや人工的な傷等のノイズが除
去される。ノイズ除去は、2値化処理やコントラスト処
理等の画像処理法により、行われる。
ノイズ除去されたいくつかの画像データから、視野中
の最大亀裂寸法のみを把握し、複数の最大亀裂寸法を統
計処理し、代表亀裂寸法af1を求める(ステップ5)。
亀裂寸法と脆化を考慮しない疲労寿命消費率とには、第
9図に示すマスターカーブのような関係があるため、こ
のマスターカーブから脆化を考慮しない疲労寿命消費率
が算出される。代表亀裂寸法af1と脆化を考慮しない疲
労寿命消費率とは、ディスプレイ装置67に表示されると
共に、プリンタ68で印刷表示される。
一方、脆化度評価は、脆化度評価用レプリカの粒界腐
食溝深さに基づいて行われる。
脆化度評価用レプリカの画像データは、疲労評価用レ
プリカの画像データと同様に、光ディスク装置64に記憶
されると共に、第7図に示すように、ノイズ除去され
る。
ノイズ除去された画像データから、粗さのピーク値を
求められ、この値が代表粒界溝深さgd1となる(ステッ
プ6)。
また、クリープ評価は、クリープ評価用レプリカのキ
ャビティ密度に基づいて行われる。
クリープ評価用レプリカの画像データは、前述同様、
光ディスク64に記憶されると共に、第8図に示すよう
に、ノイズ除去され、この画像データからキャビティ密
度df1が求められる(ステップ7)。キャビティ密度と
脆化を考慮しないクリープ寿命消費率とには、第10図に
示すマスターカーブのような関係があるため、このマス
ターカーブから脆化を考慮しないクリープ寿命消費率が
算出される。キャビティ密度df1と脆化を考慮しないク
リープ寿命消費率とは、ディスプレイ装置67に表示され
ると共に、プリンタ68で印刷表示される。
粒界溝深さgd1からは、限界亀裂寸法acと限界キャビ
ティ密度dcとが求められる(ステップ8,9)。ここで、
限界亀裂寸法acおよび限界キャビティ密度dcは、部材の
寿命とされる亀裂寸法、キャビティ密度のことである。
限界亀裂寸法acは、以下のように算出される。
粒界溝深さと材料の破面遷移温度(FATT)とには、第
11図に示すような一定の関係があるため、粒界溝深さか
らFATTが求められ、次式により、破壊靭性値KICが算出
される。
KIC=C1+C2exp{C3(T−FATT)} ここで、C1、C2、C3は定数で、Tは温度である。
算出された破壊靭性値KICと応力σとから、次式で、
限界亀裂寸法acが算出される。
ac=(KIC 2・F)/σ ここで、Fは部材の形状や亀裂の形状によって定まる
形状係数である。
また、限界キャビティ密度dcは、FATTと反比例の関係
にあるため、先に求めたFATTから算出される。
算出された限界亀裂寸法acと代表亀裂寸法af1とか
ら、脆化を考慮した疲労寿命Nfと疲労寿命消費率Φf1
が、以下のように算出される(ステップ10)。
第12図のように、疲労損傷の累積は、負荷繰返し数の
増加と共に、同図中の疲労損傷曲線Fに示されるように
増加して行く。一方、脆化が進むと、部材の靭性が低下
し、部材の許容できる亀裂寸法が同図中の限界亀裂寸法
曲線BF1,BF2,…に示されるように減少していく。したが
って、疲労寿命は脆化を考慮すると短くなる。
限界亀裂寸法曲線BF1,BF2,…は、温度Tと運転時間t
とをパラメータにすると、実験的に次式のように定める
ことができる。
ac=ac(P・KIC) ここで、Pは、P=T(logt+C4)で、C4は定数であ
る。
疲労損傷曲線Fと限界亀裂寸法曲線BF1,BF2,…は、余
寿命診断装置60のRAM62内に予め記憶されており、代表
亀裂寸法af1と疲労損傷曲線Fとから、まず診断時点の
繰返し数N1を定める。次に、限界亀裂寸法曲線BF1,BF2,
…は、温度Tにより複数の曲線を描くことができるた
め、算出された限界亀裂寸法acと繰返し数N1とから限界
亀裂寸法曲線BF2を決定する。そして、決定した限界亀
裂寸法曲線BF2と疲労損傷曲線Fとの交点Dから脆化を
考慮した疲労寿命Nfを求める。
すなわち、以上では、疲労損傷曲線Fと複数の限界亀
裂寸法曲線BFとを準備することで、予め、疲労寿命消費
量(診断時点までの負荷繰り返し数)と脆化度を示す限
界亀裂寸法と脆化を考慮した疲労寿命(寿命に至るまで
の負荷繰り返し数)との関係を定めておき、測定により
得られた実際の部材に関する疲労寿命消費量N1及び限界
亀裂寸法acをこの関係に当てはめて、この部材の脆化を
考慮した疲労寿命Nfを求めている。
ここで、限界亀裂寸法曲線BF2と疲労損傷曲線Fの精
度を高めるために、負荷繰返し数N1や温度Tを測定して
おくか、または、以前の点検時における限界亀裂寸法や
代表亀裂寸法を記憶しておき、これらの値で曲線を補正
してから疲労寿命を求めるとよい。
脆化を考慮した疲労寿命消費率Φf1は、次式で求めら
れ、 Φf1=N1/Nf この疲労寿命消費率Φf1から次式により、脆化を考慮
した疲労余寿命率Ψが算出される(ステップ12)。
Ψ=1−Φf1 算出された限界キャビティ密度dcと測定されたキャビ
ティ密度df1とから、脆化を考慮したクリープ寿命tf
クリープ寿命消費率Φc1とが、以下のように算出される
(ステップ11)。
第13図に示すように、クリープ損傷は、負荷時間の増
加と共に、同図中のクリープ損傷曲線Cに示されるよう
に増加して行く。一方、前述したように、脆化が進む
と、部材の靭性が低下するため、部材の許容できるキャ
ビティ密度が同図中の限界キャビティ密度曲線BC1,BC2,
…に示されるように減少していく。したがって、クリー
プ寿命も脆化を考慮すると短くなる。
クリープ損傷曲線Cと限界キャビティ密度曲線BC1,B
C2,…は、余寿命診断装置60のRAM62内に予め記憶されて
おり、測定されたキャビティ密度df1とクリープ損傷曲
線Cとから、まず診断時点の負荷時間t1を定める。次
に、限界キャビティ密度曲線BC1,BC2,…は、温度Tによ
り複数の曲線を描くことができるため、算出された限界
キャビティ密度dcと負荷時間t1とから限界キャビティ密
度曲線BC2を決定する。そして、決定した限界キャビテ
ィ密度曲線BC2とクリープ損傷曲線Cとの交点Eから脆
化を考慮したクリープ寿命tfを求める。
すなわち、以上では、クリープ損傷曲線Fと複数の限
界キャビティ密度曲線BCとを準備することで、予め、ク
リープ寿命消費量(診断時点までの負荷時間)と脆化度
を示す限界キャビティ密度と脆化を考慮したクリープ寿
命(寿命に至るまでの負荷時間)との関係を定めてお
き、測定により得られた実際の部材に関するクリープ寿
命消費量t1及び限界キャビティ密度dcをこの関係に当て
はめて、この部材の脆化を考慮したクリープ寿命tfを求
めている。
ここで、限界キャビティ密度曲線BC2とクリープ損傷
曲線Cの精度を高めるために、負荷時間t1や温度Tを測
定しておくか、または、以前の蒸気タービン点検時にお
ける限界キャビティ密度やキャビティ密度を記憶してお
き、これらの値で曲線を補正してからクリープ寿命を求
めるとよい。
脆化を考慮したクリープ寿命消費率Φc1は、次式で求
められ、 Φc1=t1/tf このクリープ寿命消費率Φc1から次式により、脆化を
考慮したクリープ余寿命率Ψが算出される(ステップ
13)。
Ψ=1−Φc1 算出された脆化を考慮した疲労寿命消費率Φf1とクリ
ープ寿命消費率Φc1とから、部材の総合的な余寿命率Ψ
が、次式により求められる(ステップ14)。
Ψ=1−(Φf1+Φc1) 第14図に示すように、脆化を考慮した疲労寿命消費率
Φf1とクリープ寿命消費率Φc1との和、つまり総合的な
寿命消費率をDfcとして、縦軸にこのDfcをとり、横軸に
負荷時間tをとれば、負荷繰り返し数Nをパラメータと
する右上がりの曲線が示すように、同じ負荷時間でも、
負荷繰り返し数Nが大きくなればなるほど、総合的な寿
命消費率Dfcが大きくなる、言い換えると、脆化を考慮
した総合的な余寿命率Ψ(=1−Dfc)は小さくなるこ
とが認識できる。また、脆化を考慮した総合的な寿命消
費率は、上記式に示すように、それぞれの損傷形態ごと
の寿命消費率を合わせたものであるから、それぞれの損
傷形態ごとの寿命消費率よりも大きくなる、つまり、脆
化を考慮した総合的な余寿命率Ψは、それぞれの損傷形
態ごとの余寿命率よりも小さくなる。
以上のように算出された、脆化を考慮した疲労寿命
Nf、疲労寿命消費率Φf1、疲労余寿命率Ψ、脆化を考
慮したクリープ寿命tf、クリープ寿命消費率Φc1、クリ
ープ余寿命率Ψ、総合的な余寿命率Ψは、逐次、ディ
スプレイ装置67に表示されると共に、プリンタ68で印刷
表示される。
算出された総合的な余寿命率Ψに基づいて、高温部材
を補修するか交換するか、または、蒸気タービンプラン
トの運転形態を変えるか、次回の点検時期をいつにする
かを決める(ステップ15)。
蒸気タービンプラントの運転形態を決める際には、脆
化を考慮しない疲労寿命消費率、脆化を考慮しないクリ
ープ寿命消費率、脆化度を示すFATTから、どの損傷形態
が進行しているかを判断して、運転形態を決めるとよ
い。
算出された総合的な余寿命率Ψは、繰返し荷重を受け
る高温部材のすべての損傷形態、つまり、疲労損傷、ク
リープ損傷、脆化による劣化を加味したものであるの
で、高温部材が実質的に後どのくらい保つかを認識する
ことができ、蒸気タービンプラントの安全性を高めるこ
とができる。
なお、本実施例では、粒界溝深さは、レーザ顕微鏡か
らの画像データを画像処理して取得しているが、粗さ計
により直接取得するようにしてもよい。
また、本実施例では、疲労寿命消費量を得るために、
表面微視亀裂寸法を測定しているが、この替りに、高温
部材の表面硬さを測定してもよい。また、本実施例で
は、クリープ寿命消費量を得るために、キャビティ密度
を測定しているが、この替りに、高温部材の電気抵抗比
を測定してもよい。
[発明の効果] 本発明によれば、繰返し荷重を受ける高温部材の余寿
命を、疲労損傷、クリープ損傷、脆化による劣化を把握
し、これらの損傷形態によるすべての寿命消費量を加味
して、求めているので、高温部材の総合的な余寿命率を
認識することができ、高温部材の信頼性を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は余寿命算出のフローチャート、第2図はレプリ
カ採取のフローチャート、第3図は余寿命診断システム
のブロック図、第4図および第5図はレプリカを採取す
る箇所の高温部材部材の要部断面図、第6図は疲労評価
用の画像データを示す説明図、第7図は脆化度評価用の
画像データを示す説明図、第8図はクリープ評価用の画
像データを示す説明図、第9図は表面亀裂寸法と疲労寿
命消費率との関係を示すグラフ、第10図は粒界キャビテ
ィ密度とクリープ寿命消費率との関係を示すグラフ、第
11図は粒界溝深さとFATTとの関係を示すグラフ、第12図
は亀裂長さと負荷繰返し数との関係を示すグラフ、第13
図はキャビティ密度と負荷時間との関係を示すグラフ、
第14図は損傷率と負荷時間との関係を示すグラフであ
る。 51……光学顕微鏡、52……走査型電子顕微鏡、53……レ
ーザ顕微鏡、55……TVカメラ、60……余寿命診断装置、
61……CPU、62……RAM、63……フロッピーディスク装
置、64……光ディスク装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−265311(JP,A) 特開 昭60−95207(JP,A) 特開 昭61−140839(JP,A) 特開 昭63−45531(JP,A) 特開 昭62−245960(JP,A) 特開 昭61−277034(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 19/00 G01N 19/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繰り返し荷重を受ける高温部材の余寿命診
    断方法において、 前記高温部材の疲労寿命消費量とクリープ寿命消費量と
    脆化度とを測定により求め、 予め求められている疲労寿命消費量と脆化度と脆化を考
    慮した疲労寿命との関係と、測定により求められた前記
    疲労寿命消費量及び前記脆化度とから、脆化を考慮した
    疲労寿命を求め、該脆化を考慮した疲労寿命と、測定に
    より求められた該疲労寿命消費量とから、脆化を考慮し
    た疲労寿命消費率を算出し、 予め求められているクリープ寿命消費量と脆化度と脆化
    を考慮したクリープ寿命との関係と、測定により求めら
    れた前記クリープ寿命消費量及び前記脆化度とから、脆
    化を考慮したクリープ寿命を求め、該脆化を考慮したク
    リープ寿命と、算出した該クリープ寿命消費量とから、
    脆化を考慮したクリープ寿命消費率を算出し、 前記脆化を考慮した疲労寿命消費率と前記脆化を考慮し
    たクリープ寿命消費率とに基づき、前記高温部材の総合
    的な余寿命率を算出することを特徴とする余寿命診断方
    法。
  2. 【請求項2】繰り返し荷重を受ける高温部材の余寿命診
    断システムにおいて、 前記高温部材の疲労寿命消費量とクリープ寿命消費量と
    脆化度とを算出するためのそれぞれの測定値から、疲労
    寿命消費量とクリープ寿命消費量と脆化度とを算出する
    寿命消費量算出手段と、 予め求められている疲労寿命消費量と脆化度と脆化を考
    慮した疲労寿命との関係と、算出した前記疲労寿命消費
    量及び前記脆化度とから、脆化を考慮した疲労寿命を求
    め、該脆化を考慮した疲労寿命と、算出した該疲労寿命
    消費量とから、脆化を考慮した疲労寿命消費率を算出す
    る疲労寿命消費率算出手段と、 予め求められているクリープ寿命消費量と脆化度と脆化
    を考慮したクリープ寿命との関係と、算出した前記クリ
    ープ寿命消費量及び前記脆化度とから、脆化を考慮した
    クリープ寿命を求め、該脆化を考慮したクリープ寿命
    と、算出した該クリープ寿命消費量とから、脆化を考慮
    したクリープ寿命消費率を算出するクリープ寿命消費率
    算出手段と、 前記脆化を考慮した疲労寿命消費率と前記脆化を考慮し
    たクリープ寿命消費率とに基づき、前記高温部材の総合
    的な余寿命率を算出する余寿命算出手段とを有すること
    を特徴とする余寿命診断システム。
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