JPH09325125A - 塑性変形による各種損傷の特定法 - Google Patents

塑性変形による各種損傷の特定法

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JPH09325125A
JPH09325125A JP8165395A JP16539596A JPH09325125A JP H09325125 A JPH09325125 A JP H09325125A JP 8165395 A JP8165395 A JP 8165395A JP 16539596 A JP16539596 A JP 16539596A JP H09325125 A JPH09325125 A JP H09325125A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 微小な試料から塑性変形による変形モードを
特定することができ、将来起こると考えられる損傷の種
類まで推定できる塑性変形による各種損傷の特定法を提
供する。 【解決手段】 塑性変形が生じている試料では、塑性変
形により各結晶粒において結晶方位のずれが生じ、しか
も変形モードと結晶方位の2次元的な変化分布との間に
一定の関係があることが実験的に得られたことから、各
結晶粒での複数の測定箇所の結晶方位のずれを測定して
基準点とその周囲の点の2次元的な方位の変化を求め、
これらを全てプロットして方位分布図を作るとともに、
直線上の測定点のみの2次元的な方位変化のみをプロッ
トした方位分布図を作り、さらに転位密度の高低を調べ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、塑性変形による
各種損傷の特定法に関し、発電プラントや原子力プラン
ト等の各種プラント、あるいは橋梁などの一般的な構造
部材の微小なサンプルから、塑性変形、クリープ、クリ
ープ疲労、疲労のいずれの損傷であるかを特定できるよ
うにしたものである。
【0002】
【従来の技術】発電プラントや原子力プラント等の各種
プラント、あるいは橋梁など一般の構造部材の経年劣化
の影響や損傷の原因解析のためなどに材料自体に生じる
塑性変形による損傷を調べる必要がある場合も多い。
【0003】このような構造部材などの金属材料の塑性
変形による損傷は、大きく塑性変形、クリープ、クリー
プ疲労、疲労の4つの変形モードに分けることができ
る。
【0004】一般に、金属材料の塑性変形は材料中に導
入される転位によってなされるが、塑性変形を生じた材
料の組織を調べてもその変形モードまで特定することは
できなかった。
【0005】これまでは、材料組織を調べることで、単
に転位密度が増加していることによって変形を受けてい
ることを定性的に説明する手法があったり、高温での変
形の場合には、結晶粒中に亜粒界が観察されることで変
形を受けていることを知ることができた。
【0006】したがって、変形を受けていることは材料
組織を調べ、転位密度や亜粒界の観察によって容易に知
ることができるものの、その変形モードがいずれである
かを知ることはできず、変形モードを知ろうとする場合
には、その材料が使用されている装置の運転履歴や応力
解析により計算で推定し決定する必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、材料が使用
されている装置の運転履歴が詳細に分かる場合は少な
く、応力解析による推定の精度も必ずしも高いものでな
い。
【0008】したがって、現状のまま使用した場合でも
将来起こると考えられる損傷の種類まで推定することが
できない。
【0009】この発明はかかる従来技術の課題に鑑みて
なされたもので、微小な試料から塑性変形による変形モ
ードを特定することができ、将来起こると考えられる損
傷の種類まで推定できる塑性変形による各種損傷の特定
法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明の請求項1記載の塑性変形による各種損傷
の特定法は、被測定部から採取した試料を観察し、結晶
粒内での微小領域で複数点の結晶方位を測定するととも
に、当該試料をわずかに動かして同一結晶粒内で同様の
結晶方位を測定した後、この試料移動前後の複数点の測
定方位のうち1つを基準として当該基準点とその周囲の
点の結晶方位の2次元的な変化を求め、これらの結晶方
位の2次元的な変化をプロットした方位分布図を作成
し、この方位分布がいくつかのグループにまとまる場合
とまとまりのない場合とから前者をクリープ疲労による
損傷と後者をクリープによる損傷と判定する一方、前記
結晶方位の2次元的な変化のうち結晶粒内の一直線上の
測定点に対するもののみをプロットして方位分布図を作
成し、この方位分布が重ならない場合と重なる場合とか
ら前者を塑性変形またはクリープによる損傷と後者をク
リープ疲労または疲労による損傷と判定するとともに、
塑性変形による損傷とクリープによる損傷とを結晶粒内
の転位密度の高低で判定することを組み合わせて損傷の
種類を判定するようにしたことを特徴とするものであ
る。
【0011】この塑性変形による各種損傷の特定法によ
れば、塑性変形が生じている試料では、塑性変形により
各結晶粒において結晶方位のずれが生じ、しかも変形モ
ードと結晶方位の2次元的な変化分布との間に一定の関
係があることが実験的に得られたことから、各結晶粒で
の複数の測定箇所の結晶方位のずれを測定して基準点と
その周囲の点の2次元的な方位の変化を求め、これらを
全てプロットして方位分布図を作るとともに、直線上の
測定点のみの2次元的な方位変化のみをプロットした方
位分布図を作り、さらに転位密度の高低を調べるように
しており、転位密度の高低により塑性変形を判定でき、
全ての点をプロットした分布からクリープ疲労とその他
のモードとを判定でき、直線上の点をプロットした分布
から塑性変形またはクリープと、疲労またはクリープ疲
労とを判定でき、これらの組み合わせで4つの変形モー
ドを判定することができるようになる。
【0012】これにより、将来起こると考えられる損傷
の種類が推定できるようになる。
【0013】また、この発明の請求項2記載の塑性変形
による各種損傷の特定法は、請求項1記載の構成に加
え、前記試料の観察を透過電子顕微鏡(TEM)で行
い、電子線の非弾性散乱によって生じる菊池線により結
晶粒内での微小領域の結晶方位のずれを測定するように
したことを特徴とするものである。
【0014】この塑性変形による各種損傷の特定法によ
れば、採取したサンプルから作った試料の結晶粒の結晶
方位のずれを透過電子顕微鏡を用い、電子線の非弾性散
乱によって生じる菊池線を利用して観察するようにして
おり、高精度に結晶方位の変化を求めて、塑性変形によ
る変形モードの特定ができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を
図面を参照しながら詳細に説明する。図1はこの発明の
塑性変形による各種損傷の特定法の一実施の形態にかか
るフローチャートである。
【0016】この発明の塑性変形による各種損傷の特定
法は、塑性変形による各種損傷を塑性変形、クリープ、
クリープ疲労、疲労の4つに分類し、これら4つの損傷
のいずれであるかを結晶粒内の結晶方位の変化から特定
するものである。
【0017】そこで、ここでは、結晶粒内の結晶方位の
変化の測定を、例えば透過電子顕微鏡(TEM)を用い
て次のようにして行う。
【0018】 まず、塑性変形による4つの損傷であ
る塑性変形、クリープ、クリープ疲労、疲労のみをそれ
ぞれ与えた既知の材料の試験片を作成し、これら試験片
から透過電子顕微鏡(TEM)用の微小試料を作成す
る。このとき新しい損傷を加えないように注意する。
【0019】 この試料を透過電子顕微鏡(TEM)
で観察し、菊池線による測定により一つの結晶粒内で多
数の点について方位測定を行う。
【0020】この方位測定は、例えば図2に模式的に示
すように、結晶粒中で20点の測定点を定め、各測定点
で方位の測定を行い、これらの測定点の位置および菊池
線を写真に写すなどして確認しておく。
【0021】なお、これらの多数の測定点、例えば20
点の測定点を選ぶ場合には、ある直線上に複数の測定点
が並ぶ場合が含まれるように選択し、例えば図2の測定
線A(aa),B(bb)上に測定点が並ぶ場合を含めておく。
【0022】 次に、透過電子顕微鏡で観察した測定
点の中から、1つの結晶の周囲によらない部分で1点を
選び、この点を基準点とした後、基準点とその周囲で多
数点、例えばここでは20点をなるべく均一に選び、こ
れら20点での結晶方位の2次元的な変化を測定する。
【0023】この結晶方位の2次元的な変化の測定は、
例えば菊池線を用いて次のようにして行う。
【0024】試料を透過電子顕微鏡で観察すると、図3
(a)に模式的に示すように、電子線の回折像のバック
グラウンドとして菊池線が現れるが、この菊池線を、位
置を確認するための写真とペアで撮影する。この状態か
ら同じ結晶粒内で試料を移動すると、同図(b)に示す
ように、新たな菊池線が現れる。
【0025】この新たな菊池線を最初のものと比較する
と、ベクトルで表わすことができる2次元的な変化があ
ることが分かり、各測定点の2次元的な結晶面の方位変
化を求めることができる。
【0026】 こうして1つの結晶粒内での20点の
測定点の結晶方位の2次元分布を菊池線の移動量から求
め、これをプロットしたものの一例が図4(a)(b)
である。
【0027】 また、結晶粒内での20点の測定点の
うち、直線上の測定点の2次元的な結晶方位の変化のみ
をプロットしたものの一例が図5(a)(b)である。
【0028】以上のようにして各測定点の2次元的な結
晶面の方位変化を求め、図4(a)(b)のように全て
の点についてプロットすると、平らに切断した結晶面内
で結晶方位があるところで、急に変化していくつかのグ
ループにわけられる場合(同図(a))とランダムに変
化している場合(同図(b))に分けることができ、前
者の粒内で方位がグループわけされる場合はクリープ疲
労の場合であり、後者のグループわけされずランダムに
変化している場合は塑性変形、クリープ、疲労の場合で
あることが分かった。
【0029】したがって、全ての測定点の結晶面内での
結晶方位の2次元的な変化を求め、その変化に急激に変
わり、グループわけできるところがあるか否かを調べる
ことで、クリープ疲労とその他(塑性変形、クリープ、
疲労)の場合を区別することができる。
【0030】一方、直線上の測定点のみの結晶面内での
結晶方位の2次元的な変化を図5(a)(b)のように
プロットすると、方位変化が結晶粒サイズに近いあるい
はそれ以上の周期で方位の変化がある場合(同図
(a))と、その周期が結晶粒サイズより小さい場合
(同図(b))に分けることができ、前者の方位変化が
結晶粒サイズに近いあるいはそれ以上の周期で方位の変
化がある場合が塑性変形とクリープの場合であり、後者
のその周期が結晶粒サイズより小さい場合がクリープ疲
労と疲労の場合であることがわかった。
【0031】このような塑性変形とクリープの前者の場
合には、温度と変形に要する時間には差はあるものの、
同様に一回、一方向の塑性変形であり、ここで観察され
る粒内の方位変化は周囲の結晶粒からの拘束によって生
じるため、その周期は結晶粒サイズ以下にならないと考
えられ、直線上の方位変化の分布では、図5(a)のよ
うに線が重ならないような方位変化を示すことになると
考えられる。
【0032】これに対し、後者のクリープ疲労と疲労の
場合には、繰り返し変形によって結晶粒内が不規則に変
形を受けているため、観察する直線によっては直線上の
方位変化の分布図5(b)のようにが何回か重なる場合
が観察されると考えられる。
【0033】したがって、直線上の測定点の方位変化を
調べることによって線が重ならない場合と重なる場合と
から前者を塑性変形またはクリープと判断でき、後者を
クリープ疲労または疲労と判断することができる。
【0034】また、塑性変形とクリープとでは、転位密
度に高低があり、クリープ変形では、転位の対消滅によ
って転位密度は同じひずみを与えた場合で比較すれば、
塑性変形に比較して著しく減少しており、塑性変形とク
リープとは転位密度の観察から容易に区別することがで
きる。
【0035】以上のような3つの判別法を表1のように
組み合わせることで塑性変形による4つの損傷を特定す
ることができることが分かった。
【0036】
【表1】
【0037】次に、この発明法を適用して塑性変形を受
けているが、その損傷の種類が未知の材料の損傷の種類
を特定する方法について説明する。
【0038】 まず、透過電子顕微鏡用の試料を作
り、これを透過電子顕微鏡で観察し、試料の厚い部分
で、小さくない結晶をさがす。
【0039】例えば、実機からは、診断すべき部分の健
全性を損なわない程度の微小サンプル(試験片)、たと
えば、3.5×3.5×数mm程度のものを放電加工等で
採取する。この放電加工による採取では、たとえば採取
する微小サンプルの周囲にサンプル厚さより僅かに深い
溝を加工した後、溝の中に入れた電極で溝で囲まれた中
央部を数mmの厚さに切断することによって行う。
【0040】そして、これから直径が3mm程度で厚さが
100μm 程度の透過電子顕微鏡用の試料を作成し、こ
れを観察する。
【0041】なお、透過電子顕微鏡による観察を試料の
比較的厚さの厚い部分で行なうようにすることで、曲げ
などの測定誤差を少なくすることができる。
【0042】このようにして試料を得た後は、既に説明
した損傷モードが既知の材料の試料の場合と同様にして
透過電子顕微鏡で観察し、菊池線による測定により1つ
の結晶粒内での結晶方位の2次元的な変化を求める。
【0043】この2次元的な方位変化を全ての測定点に
ついて図4のようにプロットするとともに、直線上の測
定点についてのみ図5のようにプロットする。さらに、
透過電子顕微鏡での観察から転位密度が高低のいずれで
あるかを判断する。
【0044】これら3つの判断資料を組み合わせること
で、表1に示すように、調べた試料の損傷が塑性変形、
クリープ、クリープ疲労、疲労の4つのいずれであるか
を特定することができる。
【0045】そして、このような損傷の特定のために必
要な試料は極微小なものさえ用意できれば良く、実機か
らも容易に採取することができる。
【0046】こうして塑性変形による損傷を金属組織か
ら特定することができるので、調べた試料をその環境で
使用した場合、将来起こると考えられる損傷の種類と時
期を推定することが可能となる。
【0047】なお、将来起こる損傷の時期を推定するた
めには、現在の試料の損傷を定量的に知る必要がある
が、クリープや塑性変形の場合には、既に本願発明者ら
によって提案した特願平7−79888号に記載した方
法を用いることで損傷度を知ることができ、疲労の場合
には、制限視野回折(SAD)法を用いることで損傷度
を定量的に知ることができる。
【0048】
【実施例】ここでは、既知の各種損傷を与えて行った実
験のうち一例として2.25Cr−1Mo 鋼を用いてひ
ずみ範囲0.7%、温度650℃で250回のクリープ
疲労を与えた試料の試験結果を示す。
【0049】このクリープ疲労を与えた試料について透
過電子顕微鏡で観察した場合の結晶組織の顕微鏡写真を
図6に示した。図中の番号は測定点を示したものであ
る。
【0050】これら測定点の結晶の方位の2次元的な変
化を求めてプロットしたものが図7である。
【0051】同図から明らかなように、全ての測定点の
2次元的な方位変化の分布に急激な変化が表われている
こと(クリープ疲労の特徴)が分かる。
【0052】同様にして他の損傷を与えた試料について
も既に説明したそれぞれの結晶方位の2次元的な変化が
あることを確認した。
【0053】これまでは、透過電子顕微鏡で組織を観察
すれば、塑性変形だけは転位密度が著しく増加すること
で判別が可能であったが、その他の疲労、クリープ疲
労、クリープの場合の判別が難しい。
【0054】たとえばフェライトとパーライト組織とし
た2.25Cr −1Mo 鋼の場合、3つの損傷によっ
て、フェライト粒中には、亜粒界が生じるがこれだけで
は3つの損傷を判別することは出来なかった。
【0055】しかし、この発明の塑性変形による各種損
傷の特定法を用い、結晶粒中の結晶方位の2次元的な変
化を詳しく調べることで塑性変形だけでなく、クリー
プ、クリープ疲労、疲労の判別ができるようになる。
【0056】また、この発明の塑性変形による各種損傷
の特定法を適用する場合には、十分にひずみを除去した
材料に用いる場合には、母材との比較なしに測定が可能
であり、ひずみを除去しない場合でも母材との比較によ
って測定が可能となる。
【0057】なお、上記実施の形態では、結晶方位の2
次元的な変化の測定を透過電子顕微鏡を用いて行う場合
で説明したが、透過電子顕微鏡以外でも走査電子顕微鏡
中でチャンネリングパターン等を用いたり、EBSP
(Electron Back Scattering Pattern) 等の微小領域の
方位測定法を用いて行うことも可能である。
【0058】また、上記実施例では、2.25Cr −1
Mo 鋼を具体例として挙げて説明したが、この材料に限
らず、他の構造部材に広く適用することができる。
【0059】さらに、疲労による損傷度の定量化につい
ては、疲労の場合には、結晶粒中に疲労させる前から寿
命末期まで安定したセル組織を持つ材料、例えば焼もど
しベイナイト組織を持つ材料SA508材など、では、
SAD法によってセル同志の結晶学的方位変化が疲労変
形に伴って増加することが知られており、この手法を用
いても良く、疲労中に亜粒界組織が生成するステンレス
鋼のような組織変化が生じる合金に適用して測定するこ
ともできる。
【0060】
【発明の効果】以上、一実施の形態とともに具体的に説
明したようにこの発明の請求項1記載の塑性変形による
各種損傷の特定法によれば、塑性変形が生じている試料
では、塑性変形により各結晶粒において結晶方位のずれ
が生じ、しかも変形モードと結晶方位の2次元的な変化
分布との間に一定の関係があることが実験的に得られた
ことから、各結晶粒での複数の測定箇所の結晶方位のず
れを測定して基準点とその周囲の点の2次元的な方位の
変化を求め、これらを全てプロットして方位分布図を作
るとともに、直線上の測定点のみの2次元的な方位変化
のみをプロットした方位分布図を作り、さらに転位密度
の高低を調べるようにしたので、転位密度の高低により
塑性変形を判定でき、全ての点をプロットした分布から
クリープ疲労とその他のモードとを判定でき、直線上の
点をプロットした分布から塑性変形またはクリープと、
疲労またはクリープ疲労とを判定でき、これらの組み合
わせで4つの変形モードを判定することができる。
【0061】これにより、将来起こると考えられる損傷
の種類の推定ができる。
【0062】また、この発明の請求項2記載の塑性変形
による各種損傷の特定法によれば、採取したサンプルか
ら作った試料の結晶粒の結晶方位のずれを透過電子顕微
鏡を用い、電子線の非弾性散乱によって生じる菊池線を
利用して観察するようにしたので、高精度に結晶方位の
変化を求めて、塑性変形による変形モードの特定ができ
る。
【0063】さらに、これらの特定法によれば、小型の
試験片さえ用意できれば、その部位の変形モードを簡単
に知ることができ、従来の運転履歴に基づく応力解析な
どにより損傷を特定する場合に比べ簡単に損傷を特定す
ることができるとともに、適用できる範囲も広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施の形態にかかるフローチャートである。
【図2】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施の形態にかかる結晶粒中での測定を模式的に示す
説明図である。
【図3】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施の形態にかかる菊池線の移動による結晶面の方位
変化の測定を模式的に示す説明図である。
【図4】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施の形態にかかり、結晶面の方位変化を全ての測定
点についてプロットした場合を模式的に示す説明図であ
る。
【図5】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施の形態にかかり、結晶面の方位変化を直線上の測
定点のみについてプロットした場合を模式的に示す説明
図である。
【図6】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施例にかかり、クリープ疲労を与えた材料の透過電
子顕微鏡写真である。
【図7】この発明の塑性変形による各種損傷の特定法の
一実施例にかかり、クリープ疲労を与えた材料の結晶の
方位の2次元的な変化を求めてプロットした説明図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被測定部から採取した試料を観察し、結晶
    粒内での微小領域で複数点の結晶方位を測定するととも
    に、当該試料をわずかに動かして同一結晶粒内で同様の
    結晶方位を測定した後、この試料移動前後の複数点の測
    定方位のうち1つを基準として当該基準点とその周囲の
    点の結晶方位の2次元的な変化を求め、これらの結晶方
    位の2次元的な変化をプロットした方位分布図を作成
    し、この方位分布がいくつかのグループにまとまる場合
    とまとまりのない場合とから前者をクリープ疲労による
    損傷と後者をクリープによる損傷と判定する一方、前記
    結晶方位の2次元的な変化のうち結晶粒内の一直線上の
    測定点に対するもののみをプロットして方位分布図を作
    成し、この方位分布が重ならない場合と重なる場合とか
    ら前者を塑性変形またはクリープによる損傷と後者をク
    リープ疲労または疲労による損傷と判定するとともに、
    塑性変形による損傷とクリープによる損傷とを結晶粒内
    の転位密度の高低で判定することを組み合わせて損傷の
    種類を判定するようにしたことを特徴とする塑性変形に
    よる各種損傷の特定法。
  2. 【請求項2】前記試料の観察を透過電子顕微鏡(TE
    M)で行い、電子線の非弾性散乱によって生じる菊池線
    により結晶粒内での微小領域の結晶方位のずれを測定す
    るようにしたことを特徴とする請求項1記載の塑性変形
    による各種損傷の特定法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007057240A (ja) * 2005-08-22 2007-03-08 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 破壊原因推定装置及び破壊原因推定方法
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