JP3252933B2 - クリープ寿命予測方法 - Google Patents

クリープ寿命予測方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発電プラントのボイ
ラ部材や原子力プラントの構造材料、あるいは配管など
の高温で使用されてクリープ損傷が生じる材料のクリー
プ寿命予測方法に関し、クリープ損傷により生じる結晶
粒内のひずみによって生じたずれ角と測定点までの距離
の比から平均粒内歪を求めるようにしてクリープ寿命を
予測するものである。
【0002】
【従来の技術】高温環境や高温高圧環境下で使用される
火力発電プラントのボイラ部材や原子力プラントの構造
材料などに用いられているクロム−モリブデン鋼やステ
ンレス鋼などは、長期間使用すると、クリープ損傷など
の経年劣化損傷が生じる。
【0003】このためこれらのプラントを長期間安全に
使用するためには、これら部材がこれまでに受けたクリ
ープ損傷を知る必要があり、これによって寿命や余寿命
を予測する必要がある。特に、高度成長期に建設され設
計寿命を迎えつつある発電プラントを、近年の電力需要
の高まりや新規発電プラントの立地困難のために、その
寿命を延伸して電力の安定供給を図ろうとする場合に
は、一層寿命や余寿命の予測が重要となる。
【0004】従来、クリープ寿命の予測を行う場合、た
とえばボイラ部材では、実機の設計条件や運転履歴など
に基づいて、応力解析を行って推定したり、伝熱管のよ
うに実機から抜き取った管で試験片を作り、実験室で温
度や荷重を変えて短時間の加速クリープ試験を行って推
定することが行われていた。
【0005】また、クリープ損傷にともなう組織変化を
観察してクリープ寿命を予測する方法があり、結晶粒に
発生するボイドの数や炭化物などの析出相の変化を利用
したり、転位密度を測定することによってクリープ寿命
を予測することも行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの方
法では、運転履歴などのデータによっては損傷計測精度
が低いとか、実機からのサンプリングができない部材に
は適用できないなどの問題があるとともに、短時間加速
クリープ試験を行う場合には、実機の運転条件と異なる
条件での試験となるため正確なクリープ寿命の推定がで
きない。
【0007】また、クリープ損傷にともなう組織変化か
らクリープ寿命を予測する場合には、定量的な推定が難
しく、転位密度測定を利用する場合には、転位密度が一
定値以上には増加または減少しないことが知られている
ことからクリープ寿命の推定できる範囲に限界がある。
また、亜粒界で生じた場合には、亜粒界を挾んだ2つの
結晶方向のずれが低歪域で歪に比例することが知られて
いるが、亜粒界ができる以前の状態の測定方法はなかっ
た。
【0008】さらに、従来のボイド計測法等の組織変化
を利用する方法では、クリープ損傷を知るためには、被
測定試料に微細な空孔や結晶粒の変形が生じる状態とな
らねばならず、このような状態が生じるのが、クリープ
損傷の比較的後期であり、クリープ損傷の初期段階や中
期段階を知ることができないという問題がある。
【0009】この発明はかかる従来技術の課題に鑑みて
なされたもので、クリープ損傷によって生じる結晶粒内
のひずみによって生じるずれ角と測定点までの距離の比
が実用温度域で比例することを利用することで、予め求
める校正用のチャートを加速試験などで求めてもその影
響を受けずに精度良く初期の段階からクリープ寿命を予
測することができるクリープ寿命予測方法を提供しよう
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明のクリープ寿命予測方法は、被測定部から
透過電子顕微鏡(TEM)用の試料を採取する工程と、
該試料をTEMで観察し電子線の非弾性散乱によって生
ずる菊池線により結晶粒内での微小領域の結晶方向を測
定する工程と、試料を微小量動かして同じ結晶粒内での
複数点について同様の測定を繰り返し行う工程と、それ
らの測定点の内の一点を基準点として選び基準点との比
較において他の点の結晶のずれ角rの大きさを計算する
工程と、基準にした点と測定点との距離Lを用いてr/
Lの平均値を求める工程と、同様の作業を他のいくつか
の結晶粒について繰り返し行いそれぞれの結晶について
r/Lの平均値を求める工程と、それらの平均値の和を
測定した結晶の数で割って全体平均値を求め、それを平
均粒内歪値として規定する工程と、予め求めておいた同
一組成材料の既知のクリープ歪を受けた材料のクリープ
歪−平均粒内歪チャートと比較する工程とにより試料の
クリープ歪を求めてクリープ寿命を予測するようにした
ことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】この発明のクリープ寿命予測方法によれば、ク
リープ損傷を受けた被計測試料では、このクリープ歪の
初期の段階から結晶粒内に変形が生じ、平均粒内歪が測
定されるとともに、この平均粒内歪とクリープ歪との間
に一定の関係があることが実験的に得られたことから、
予め既知のクリープ歪に対して同一組成の材料について
平均粒内歪を求めてチャートを作っておき、これと実際
の被計測試料の計測結果とを比較することで、クリープ
歪を求めてクリープ寿命を初期段階から知ることができ
るようにしている。
【0012】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面を参照しな
がら詳細に説明する。この発明のクリープ寿命予測方法
は図3に示すように、次の1から3の3つの構成要素か
らなり、予め求めてある校正用のチャートを利用するこ
とによってクリープ寿命を知るものである。 1 クリープ歪−平均粒内歪直線の作成 クリープ試験によりクリープ歪が既知である試料を
複数個作成し、その試験片から透過電子顕微鏡(TE
M)用の微小試験片を作製する。このとき新しい歪を加
えないように注意する。この試験片をTEMで観察し、
一つの結晶粒内で複数点について菊池線と位置確認の写
真を撮る そのうち結晶粒中央に近い任意の点を基準点として
菊池線の移動、回転による結晶のずれ角(r)と距離
(L)からr/Lの平均を求める。菊池線を利用すると
結晶の方位が性格に決められることが知られている
(「透過電子顕微鏡」昭和49年コロナ社発行P12
3、5.6項参照) 同じ材料の異なる結晶粒のTEM観察を行い、、
を繰り返し、平均を求め、その材料の平均粒内歪とす
る。
【0013】 いくつかの歪が異なる材料について平
均粒内歪を求め、チャートとする。
【0014】2 クリープの歪が未知の材料について クリープの歪が未知の材料について1の、、を行
ない、平均粒内歪を求める。
【0015】3 得られたチャートと上記2で求めたク
リープ歪が実機から採取した未知の材料の平均粒内歪を
比較することで寿命を知る。実験室的に異なるクリープ
歪を与えた材料の一例としてクロムーモリブデン鋼につ
いて、平均粒内歪を求めたところ、クリープ歪(損傷)
の間に比例関係があることが分かった。
【0016】そこで、同じ材料で製造された実機から採
取した微小サンプルで透過電子顕微鏡用の試料を作成し
平均粒内歪を計測・演算することによって、予め実験室
で求めたチャートからクリープ寿命を知ることができ
る。
【0017】このようなクリープ損傷が生じるクロム−
モリブデン鋼などでは、クリープ損傷によって結晶粒に
変形が生じることが知られており、歪量が増したり、予
め熱処理を行って亜粒界組織とした素材については、亜
粒界をはさむ両側の結晶の相対的なずれが菊池線によっ
て測定されており数%から10%まで比例関係があるこ
とが見いだされている。しかし亜粒界が生じる前、また
は亜粒界が生じにくいような材料についての粒内に蓄積
された歪の変化については定量的な報告なない。
【0018】しかし、この発明では、クリープ歪(損
傷)の初期から透過電子顕微鏡による観察で結晶粒に生
じる菊池線によるずれ角を求めるとともに、基準点から
測定点までの距離を測定し、これらの比[(ずれ角)/
(測定点までの距離)]を演算し、粒内平均歪を求める
とクリープ歪との間に一定の関係があることを見出した
のである。
【0019】このようなクリープ歪による結晶粒の変形
は、変形前後の状態を2次元の模式的に表した図4に示
すように、変形前の整然と配列されている結晶粒がクリ
ープ歪によって変形し、ねじれるように変形が起こって
いることが分かるとともに、この結晶粒の変形はクリー
プ歪の増大にしたがって大きくなることが分かり、さら
に、結晶粒に亜粒界が生成される前のクリープ歪の小さ
い段階でも変形が生じることも分かった。
【0020】そこで、この結晶粒の変形を次のようにし
て測定する。まず、透過電子顕微鏡用の試料を作り、こ
れを透過電子顕微鏡で観察すると、図5(a)に模式的
に示すように、電子線の回折像のバックグラウンドとし
て菊池線が現れ、位置を計算するための写真とペアで撮
影する。この状態から同じ粒内で試料を移動すると、同
図(b)に示すように、新たな菊池線が現れる。
【0021】なお、黒丸で示した点は、透過した電子線
の斑点であり、電子線回折で言うところの000入射を
示す。
【0022】この新たな菊池線を最初の(元の)菊池線
と比較するため新たな菊池線と元の菊池線が一致するよ
うにするが、まず、新たな菊池線を得た同図(b)上
で、同図(a)の元の菊池線が新たな菊池線と平行にな
るように000入射を中心として回転し、さらに、新た
な菊池線と元の菊池線が一致するように平行移動するこ
とを合成すれば良いことが分かる。
【0023】ここで、平行移動によるずれ量をaとすれ
ば、このずれ量aから観察に用いた透過電子顕微鏡特有
の長さであるカメラ長L(試料からフィルム面までの電
子的な距離)が分かれば角度に変換することができ、
の角度を平行移動によるずれ角r1 とすれば、r1 =a
/カメラ長と表わすことができる。この平行移動による
ずれ角r1 は、透過電子顕微鏡を十分安定させて使用す
れば、十分0.1度程度の精度で測定することができ
る。
【0024】また、回転によるずれ角をr2 とすれば、
このずれ角r2 は写真に直接示されており、このずれ角
r2 は菊池線の鮮明さによるが、0.3度程度の精度で
測定することができる。
【0025】そして、これら2つのずれ角r1 ,r2 か
ら、ここでは、ずれ角rの絶対値として次式で表した値
を用いる。
【0026】r=(r1 2 +r2 2 1/2 このようなずれ角の絶対値rを求め、その大きさを長さ
で表したものが、図6であり、同図(a)は亜粒界がな
い場合を、同図(b)は亜粒界がある場合をそれぞれ示
しており、いずれの場合であってもずれ角rを求めるこ
とができる。
【0027】そこで、予め既知のクリープ歪(%)を与
えた試料についてずれ角rを求めるとともに、中央に近
い基準点Oを任意に定め、その基準点Oからの距離Lと
ずれ角rとの関係を示したものが図7である。
【0028】この図7からは、基準点Oからの距離Lが
大きくなるとずれ角rも大きくなる傾向にあることが分
かるが、1本の直線や曲線で近似することは難しい。
【0029】そこで、同じ結晶内で複数箇所でこのずれ
角rを基準点Oからの距離Lで割った値を求めるととも
に、結晶粒によって値が異なることから、4個以上の結
晶粒での値の平均値を求めてこれを平均粒内歪として用
いる。
【0030】たとえば2.25Cr −1Mo を用いてク
リープ歪量を変えた試料について菊池線からずれ角r1
,r2 を求めてずれ角の絶対値rを求めるとともに、
結晶粒内に基準点Oを定め、この基準点Oから各測定点
までの距離Lを計測して、各測定点のずれ角rを各測定
点までの距離Lで割った値:比(ずれ角)/(基準点か
ら測定点までの距離)の平均値を求めたのち、異なる結
晶粒についての複数の値からこれらの平均値を求める。
【0031】すると、図1に示すように、クリープ歪量
(%)に対して平均粒内歪との間に一定の関係があるこ
とが分かる。
【0032】そこで、このクリープ歪量(%)に対する
平均粒内歪の関係を予め実験によって求めておき、これ
をチャートする。
【0033】これにより、実機から微小サンプルを採取
し、これを透過電子顕微鏡で観察してずれ角r1 ,r2
および基準点から各測定点までの距離Lを測定し、ずれ
角の絶対値rを演算し、各測定点までの距離Lで割った
比を求め実機材料の平均粒内歪を計算し、チャート上か
らクリープ歪量を求めることができ、クリープ寿命を知
ることができる。
【0034】ここに示した図1の校正用のチャートは、
高温用鋼2.25Cr −1Mo を570℃で応力を1
0.8kg/mm 2 とした場合の実験結果を黒丸で示してあ
る。
【0035】また、同一材料を670℃で応力を4.0
kg/mm 2 とした場合の実験結果を白丸で示すと、同一直
線上に位置し、このチャートは温度や荷重を変化させて
も同一直線で示すことができることが分かる。
【0036】したがって、たとえば実機から採取した微
小サンプルについて求めた平均粒内歪が0.52である
とすると、図1に示すチャートからクリープ歪が10%
であることが分かり、これによってクリープ寿命を予測
することができる。
【0037】なお、実機からは、診断すべき部分の健全
性を損なわない程度の微小サンプル、たとえば、3.5
×3.5×数mm程度のものを放電加工等で採取する。こ
の放電加工による採取では、たとえば採取する微小サン
プルの周囲にサンプル厚さより僅かに深い溝を加工した
後、溝の中に入れた電極で溝で囲まれた中央部を数mmの
厚さに切断することによって行う。
【0038】そして、これから直径が3mm程度で厚さが
100μm 程度の透過顕微鏡用の試料を作成する。
【0039】このような試料を透過電子顕微鏡で観察す
るようにするが、菊池線の観察は比較的厚さの厚い部分
で行うので、曲げなどの測定誤差を少なくする上で好都
合である。
【0040】このクリープ寿命の予測は、図1における
クリープ歪量が設計された値になるまでの時間と微小サ
ンプルから求めたクリープ歪量になるまでの時間の比を
求めることで、消費された寿命が分かる。
【0041】また、各試料について予め所定のクリープ
歪量を与えたときの時間を求めておき、ある温度に対し
て応力をパラメータとして時間に対するクリープ歪量の
関係を求めると、図2のように表すことができる。
【0042】したがって、この図2を用いることで、使
用時間および温度が明らかな場合には、実際の材料に加
わっている応力を推定することができる。
【0043】たとえば図1によって平均粒内歪が0.5
2であり、ボイラ等の運転記録簿から運転時間が130
0時間、使用温度が570℃であれば、図2によってそ
の部材に加わっている応力が10.8kg/mm 2 であるこ
とを読み取ることができる。
【0044】このようなクリープ寿命予測方法によれ
ば、次のような効果を奏する。 結晶粒のずれ角を透過電子顕微鏡による菊池線から
測定するようにしたので、実機などから微小サンプルを
採取すれば良く、極僅かな試験片で測定できるととも
に、今までの加速試験に比べて短時間に測定することが
できる。
【0045】 結晶粒のずれ角と測定点までの距離の
比を用いるようにしたので、定性的な断定に加え、これ
までは見出だすことができなかったクリープ歪との間に
一定の相関関係を得ることができ、定量的な断定ができ
る。
【0046】 結晶粒のずれ角と測定点までの距離の
比からクリープ歪を求めることができるので、測定試料
の使用温度を運転記録簿などから知ることができれば、
測定試料に加わる応力を推定することもできる。
【0047】 実機から試験片を採取してクリープ加
速試験を行う場合のように、実際と異なった条件から残
寿命を求める従来方法と異なり、予め求めてある:時間
−クリープ歪曲線を用いてその条件での残寿命を求める
ので、より高精度に推定することができる。
【0048】 このクリープ寿命予測方法では、結晶
粒の変形前の状態が明らかでなくとも、変形前に十分に
温度を上げるなどして歪を除去した状態にすれば良く、
従来の組織観察による方法に比べて容易に適用すること
ができる。
【0049】 結晶粒の変形は、亜粒界が生じるクリ
ープ変形の中期段階以降でなくとも亜粒界が生じないク
リープ変形の初期段階でも測定することができ、適用で
きる範囲が極めて広い。
【0050】なお、上記実施例では、2.25Cr −1
Mo 鋼を具体例として説明したが、この材料の溶接熱影
響部についても同様に適用することができるとともに、
他のクリープ損傷が生じる材料にも同様にして適用する
ことができる。
【0051】さらに同様な手法は、透過電子顕微鏡以外
でもEBSP(Electron BackScattering Pattern) 等
微小領域の方位測定法を用いることも可能である。
【0052】また、この発明の要旨を変更しない範囲で
各構成要素に変更を加えても良く、例えば、rの変わり
にr1またはr2だけを用いても、ばらつきを抑えるた
めに測定する結晶粒の数を増やせば同様な結果が得られ
る。
【0053】
【発明の効果】以上、一実施例とともに具体的に説明し
たようにこの発明のクリープ寿命予測方法によれば、ク
リープ損傷を受けた被計測試料では、初期の段階から結
晶粒の変形が生じてずれ角が変化するとともに、このず
れ角の変位と測定点までの距離の比をとるとクリープ歪
との間に一定の関係があることが実験的に得られたこと
から、予め既知のクリープ歪に対して同一組成の材料に
ついてずれ角の変位と測定点までの距離の比を求めてチ
ャートを作っておき、これと実際の被計測試料の計測結
果とを比較することで、クリープ歪を求めてクリープ寿
命を初期段階から知ることができる。
【0054】また、このクリープ寿命予測方法によれ
ば、結晶粒の変形によるずれ角がクリープ損傷の初期の
段階から明確に表れるので、従来計測の困難であった初
期のクリープ損傷を計測できるようになり、これによ
り、使用中の材料のクリープ損傷を初期状態から随時計
測し、クリープ損傷後期になったことを知った場合に、
この部材を交換するなどすれば、クリープ損傷による破
断事故を未然に防止することができるとともに、設計寿
命に近づいているボイラの寿命延長を行う場合にも、安
全性の確保が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のクリープ寿命予測方法の一実施例に
かかるクリープ歪の校正用チャートの一例である。
【図2】この発明のクリープ寿命予測方法の一実施例に
かかる時間に対するクリープ歪の関係を示したグラフの
一例である。
【図3】こクリープ歪推定のための手順を示す図であ
る。
【図4】この発明のクリープ寿命予測方法の一実施例に
かかる結晶粒で亜粒界ができる前と後の状態を示す模式
図である。
【図5】この発明のクリープ寿命予測方法の一実施例に
かかるずれ角の測定手順の説明図である。
【図6】この発明のクリープ寿命予測方法の一実施例に
かかるずれ角の測定結果を亜粒界のない場合と亜粒界の
ある場合について示した説明図である。
【図7】この発明のクリープ寿命予測方法の一実施例に
かかるずれ角と測定位置の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
r1 平行移動よって生じたずれ角 r2 回転によって生じたずれ角 r ずれ角の絶対値 L 基準点からの距離 r/L ずれ角と距離の比
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−155251(JP,A) 特開 昭59−182348(JP,A) 特開 平2−268262(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/20 - 23/207

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定部から透過電子顕微鏡(TEM)
    用の試料を採取する工程と、該試料をTEMで観察し電
    子線の非弾性散乱によって生ずる菊池線により結晶粒内
    での微小領域の結晶方向を測定する工程と、試料を微小
    量動かして同じ結晶粒内での複数点について同様の測定
    を繰り返し行う工程と、それらの測定点の内の一点を基
    準点として選び基準点との比較において他の点の結晶の
    ずれ角rの大きさを計算する工程と、基準にした点と測
    定点との距離Lを用いてr/Lの平均値を求める工程
    と、同様の作業を他のいくつかの結晶粒について繰り返
    し行いそれぞれの結晶についてr/Lの平均値を求める
    工程と、それらの平均値の和を測定した結晶の数で割っ
    て全体平均値を求め、それを平均粒内歪値として規定す
    る工程と、予め求めておいた同一組成材料の既知のクリ
    ープ歪を受けた材料のクリープ歪−平均粒内歪チャート
    と比較する工程とにより試料のクリープ歪を求めてクリ
    ープ寿命を予測するようにしたことを特徴とするクリー
    プ寿命予測方法。
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