JP3201246B2 - 補正機能を有する制御装置 - Google Patents

補正機能を有する制御装置

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JP3201246B2
JP3201246B2 JP01161896A JP1161896A JP3201246B2 JP 3201246 B2 JP3201246 B2 JP 3201246B2 JP 01161896 A JP01161896 A JP 01161896A JP 1161896 A JP1161896 A JP 1161896A JP 3201246 B2 JP3201246 B2 JP 3201246B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、補正機能を有する
制御装置、特に車両用の、またはこれに類する制御シス
テムに適用して有用な制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両には、種々の制御システムが組み込
まれる。例えば、自動変速機は、その伝動系に挿入した
トルクコンバータを、これによるトルク増大機能やトル
ク変動吸収機能が不要なロックアップ領域での車両運転
状態のもとでは、トルクコンバータ入出力要素間が直結
されたロックアップ状態にし得るようにしたロックアッ
プ式のものに切り換えられる傾向にある。また、車両の
惰性走行(コースト)中に、かかるロックアップ式のも
のでは、そのトルクコンバータはこれをロックアップ
(L/U)状態にするコーストL/Uの採用もなされて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種ロックアップ式
の自動変速機の制御において、コーストL/U制御では
あるが、これに更に改良を加えて、コースト時、L/U
容量を低下させるように制御するコースト時L/U容量
低下制御は、コーストL/U時の急減速によるエンジン
ストール(エンスト)を回避するための有効な手段とな
る。これは、L/U容量を低下させることにより、ロッ
クアップクラッチ、トルクコンバータカバーなどの変形
を抑え、L/U締結解除応答を向上させることができる
ものである。
【0004】しかるに、この場合、L/U容量を低下さ
せすぎれば、トルクコンバータのスリップ回転が発生
し、コーストL/Uによる燃費効果を減じることとな
る。このため、コースト時L/U容量低下制御において
は、低容量側をスリップ発生領域によって、高容量側を
エンスト回避不能領域によって区切られた所定の範囲
に、コースト時のL/U容量を収めるようにすることは
重要である。しかし、L/U制御指令値−容量特性は、
一般に、個体バラツキが大きく、何等かの調整手段なし
に、所定の範囲に、コースト時のL/U容量を収めるこ
とは困難である。また、制御指令値を与えてシステム出
力を制御するときの特性が環境条件によっても影響を受
けることのある制御システムの場合、より制御精度を上
げる上からは、その環境条件バラツキも吸収、調整でき
るようにするのがよい。上記のような自動変速機のコー
スト時L/U容量低下制御の場合、温度その他の車両走
行時の条件も更に考えれば、これによる影響も生じ得
て、L/U油圧制御系には、個体バラツキと環境条件バ
ラツキとによって、同じ制御指令値で発生するL/U容
量が、個体ごと、環境条件ごとに異なってしまう場合が
ある。従って、精度上、環境条件も考慮するときは、そ
の環境条件バラツキも含め、これらバラツキを抑えるよ
うな調整手段なしに、上述の如き所定の範囲にコースト
時のL/U容量を収めることは困難である。
【0005】また、ここで、スリップ発生領域である低
容量側への漸近を検知することは、スリップの発生を監
視することによって容易に実現できる。しかし、他方、
エンストの発生は、それが現に生ずること(実際のエン
ジン停止)は、かかる制御の狙いからみても、本来的に
一度でも許容できないため、上記低容量側での実際のス
リップ発生の有無をみようとするのとは事情は異なり、
エンスト回避不能領域である高容量側への漸近の検知は
難しい。従って、リアルタイムなF/B制御や、高容量
側での学習制御によって対処するような制御方式は実現
しにくい。
【0006】そこでまた、こうした点を踏まえて、低容
量側での学習制御と環境条件補正手段によって、これら
のバラツキを吸収することが考えられ、要求される精度
が高い場合、これに応える上からは、そうするのがより
望ましい。ここに、環境条件バラツキは、例えば上記の
L/U容量制御の例の場合なら、制御指令値に対する容
量特性(制御指令値−出力特性)の変化のパラメータ
を、所定の精度でもって自動変速機の制御装置が計測す
ることよって補正が可能である。即ち、マップ等によっ
て領域を細分化し、その間を線形と見なすことによって
補間、補正する方法であり、環境条件バラツキの補正に
はこうした手段がとれる。一方、個体バラツキは、その
大きさや要因となるパラメータが、基本的に計測不能で
ある。従って、その大きさを推定するロジックを用い
て、計測可能な値から推定することによって、補正をす
ることになる。パラメータが計測不能であることから、
ロジカルなモデル規範型推定法などより、学習制御が有
効である。
【0007】ところが、これら双方が組合わさった場
合、厳密に補正をしようとするためには、マップ等によ
って領域を細分化することとなるため、データ量が増え
てしまう。例えば、個体バラツキの補正の側にも細分化
されたマップを用いることが考えられ、この場合は、環
境条件バラツキを補正するための環境条件毎の制御指令
値−容量特性マップと、個体バラツキを補正するための
学習値を環境条件毎に細分化するためのマップが必要に
なることとなる。この場合はまた、細分化された各領域
の相関をどのようにとるのかということも大きな問題と
なる。また、細分化されたマップを学習に用いると、一
つの環境条件毎の学習機会が減少するという問題も発生
する。そして、この問題を解決するために、ロジックは
さらに複雑となりうる。
【0008】本発明は、制御対象となるシステムに制御
指令値を与えてそのシステム出力を制御する装置におい
て、例えば環境条件バラツキの如き計測可能な要素に起
因する制御指令値−システム出力特性のバラツキ及び、
個体バラツキの如き計測不可能もしくは実質的に計測不
能な要素に起因する制御指令値−システム出力特性のバ
ラツキに対する補正を行え、しかも、これを簡易、高精
度に実現しようというものである。また他の目的は、車
両における自動変速機のロックアップ制御に適用して好
適に使用でき、そのロックアップ制御系の個体バラツキ
のみならず車両走行時の環境条件バラツキをも考慮した
ロックアップ容量の補正が可能で、上記を実現させるこ
とのできる、より改良された補正機能を有するロックア
ップ制御装置を提供しようというものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によって、以下の
補正機能を有する制御装置が提供される。即ち、制御対
象となるシステムに制御指令値を与え、そのシステム出
力の制御をする制御装置において、制御指令値とシステ
ム出力以外の計測可能な第1のパラメータを計測する手
段と、計測不可能もしくは実質的に計測不能な第2のパ
ラメータによる制御指令値−システム出力特性の基準値
からの偏差を推定する手段と、前記第1のパラメータに
よる制御指令値−システム出力特性の変化を補正し、か
つ、前記推定手段により得られる制御指令値−システム
出力特性の偏差を補正する手段とを備え、該補正手段
は、前記第1のパラメータにより領域を細分化したマッ
プ上に、所定のシステム出力相当の制御指令値をマッピ
ングした第1のマップと、前記第1のパラメータにより
領域を細分化したマップ上に、前記所定のシステム出力
近傍の制御指令値−システム出力特性の変化勾配をマッ
ピングした第2のマップとを含み、前記計測手段により
計測される第1のパラメータに応じて、該第1のマップ
から当該制御指令値を読み取ることによって、第1のパ
ラメータによる制御指令値−システム出力特性の変化の
補正をするとともに、前記計測手段により計測される第
1のパラメータに応じて、該第2のマップから当該変化
勾配を読み取り、これに基づき、前記推定手段により得
られる制御指令値−システム出力特性の偏差の補正をす
ることにより、前記第1のパラメータによる制御指令値
−システム出力特性の変化と、前記第2のパラメータに
よる制御指令値−システム出力特性の基本値からの偏差
とを、ともに補正する、ことを特徴とする補正機能を有
する制御装置である。
【0010】また、上記において、前記第1のマップか
ら読み取った制御指令値に対し、前記第2のマップから
読み取った変化勾配と前記値推定手段により求めた偏差
との積を加えることにより、最終的な補正結果を得るこ
とによって、前記第1のパラメータによる制御指令値−
システム出力特性の変化と、前記第2のパラメータによ
る制御指令値−システム出力特性の基本値からの偏差と
の両者を補正する、ことを特徴とするものである。ま
た、車両における自動変速機のロックアップ制御系に適
用した、ことを特徴とするものである。また、前記第1
のパラメータとして、油圧制御弁駆動電圧もしくはそれ
に相当する要素と、変速機作動油温もしくはそれに相当
する要素を用いる、ことを特徴とするものである。ま
た、前記推定手段に、車両における自動変速機のロック
アップ容量の学習制御を適用した、ことを特徴とするも
のである。また、車両の惰性走行時における自動変速機
のロックアップ制御を含み、該ロックアップ制御は、惰
性走行時のロックアップ容量を低下させるように制御す
ることにより、ロックアップ締結解除応答を向上させら
れる、惰性走行時ロックアップ容量低下制御である、こ
とを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】本発明においては、制御対象となるシス
テムに制御指令値を与えてそのシステム出力を制御する
場合において、制御指令値とシステム出力以外の計測可
能なパラメータによって、このパラメータによる制御指
令値−システム出力特性の変化を補正し、同時に計測不
可能もしくは実質的に計測不能なパラメータによる制御
指令値−システム出力特性の基準値からの偏差を推定す
る手段によって求められる制御指令値−システム出力特
性の偏差を補正するとき、前記計測可能なパラメータに
て領域を細分化した第1のマップ上に、所定のシステム
出力相当の制御指令値をマッピングしておき、計測手段
で計測された前記パラメータによって、この制御指令値
を読み取ることによって、このパラメータによる制御指
令値−システム出力特性の変化を補正し、同様に前記計
測可能なパラメータにて領域を細分化した第2のマップ
上に、前記所定のシステム出力近傍の制御指令値−シス
テム出力特性の変化勾配をマッピングしておき、計測さ
れた前記パラメータによって、この変化勾配を読み取
り、これによって、前記計測不可能もしくは実質的に計
測不能なパラメータによる制御指令値−システム出力特
性の変化を推定する手段によって求められた制御指令値
−システム出力特性の偏差を補正することができ、制御
指令値とシステムの出力以外の計測可能なパラメータに
よる制御指令値−システム出力特性の変化と、計測不可
能もしくは実質的に計測不能なパラメータによる制御指
令値−システム出力特性の基準値からの偏差とを同時に
補正することが可能となる。よって、装置使用時の環境
条件のような計測可能なパラメータによる制御指令値−
システム出力特性のバラツキと、その装置個々の個体差
のような計測不可能もしくは実質的に計測不能なパラメ
ータに起因する制御指令値−システム出力特性のバラツ
キとの双方に関する補正を同時に行えるとともに、領域
を細分化したマップを用いて厳密な補正をしようとする
場合でも、補正に要するデータ量の増加を抑制しつつそ
れらのバラツキの影響を吸収し得て、簡易で高精度な制
御指令値に対する補正をすることを可能ならしめる。
【0012】また、この場合において、好ましくは、請
求項2記載のもののようにして最終補正結果を得るよう
にするとよく、前記計測可能なパラメータにて領域を細
分化した第1のマップ上に所定のシステム出力相当の制
御指令値を予めマッピングし、計測された前記パラメー
タによって読み取ったその制御指令値に、前記所定のシ
ステム出力近傍の制御指令値−システム出力特性の変化
勾配を第2のマップ上に予めマッピングしておいて、計
測された前記パラメータによって読み取ったその変化勾
配と、前記計測不可能もしくは実質的に計測不能なパラ
メータによる制御指令値−システム出力特性の基準値か
らの偏差を推定する手段によって求められた制御指令値
−システム出力特性の偏差との積を加えるようにする態
様によって、本発明は好適に実施でき、同様に上記のこ
とを実現することができる。これにより、このもので
も、制御指令値とシステムの出力以外の計測可能なパラ
メータによる制御指令値−システム出力特性の変化と、
計測不可能もしくは実質的に計測不能なパラメータによ
る制御指令値−システム出力特性の基準値からの偏差と
を同時に補正することができ、より簡易で高精度な制御
指令値に対する補正が行える。
【0013】また、本発明は、請求項3記載の如く、上
記制御を自動変速機のロックアップ制御系に適用して、
好適に実施でき、同様に上記のことを実現することがで
きる。このものでは、適用するそのロックアップ制御系
の個体バラツキのみならず車両走行時の環境条件バラツ
キをも考慮したロックアップ容量の補正が可能で、改良
された補正機能を有する自動変速機のロックアップ制御
装置を提供することができる。この場合において、好ま
しくは、請求項4記載の如く、その制御指令値とシステ
ムの出力以外の計測可能なパラメータとしては、油圧制
御弁駆動電圧もしくはそれに相当する要素と、変速機作
動油温もしくはそれに相当する要素を用いる構成とし
て、また、請求項5記載の如く、計測不可能もしくは実
質的に計測不能なパラメータによる制御指令値−システ
ム出力特性の基準値からの偏差を推定する手段に、ロッ
クアップ容量の学習制御を適用する構成として、本発明
は好適に実施でき、同様に上記のことを実現することが
できる。かかる学習制御を適用する態様の場合にあって
は、例えば変速機作動油温等の環境条件バラツキを補正
するための当該環境条件毎の制御指令値−容量特性マッ
プと、個体バラツキを補正するための学習値を当該環境
条件毎に細分化するためのマップが必要となることもな
く、かつまた、細分化された各領域の相関をどのように
とるかといったような大きな問題も回避し得るととも
に、細分化されたマップを学習に用いる場合において生
ずるような一つの環境条件毎の学習機会が減少するとい
った不利等をも招かず、より効果的なものとなる。
【0014】また、請求項6記載の如く、車両における
自動変速機のロックアップ制御は、これを、惰性走行時
のロックアップ容量を低下させるように制御することに
より、ロックアップ締結解除応答を向上させられる、惰
性走行時ロックアップ容量低下制御として、本発明は好
適に実施でき、同様に上記のことを実現することができ
る。この場合は、惰性走行時ロックアップ容量低下制御
では、制御目標となる使用ロックアップ容量幅は限定し
て実施できる状態を、より有効に活用することができ、
2つのマップとしては、該制御での制御目標となるロッ
クアップ容量毎に、例えば変速機作動油温等の環境条件
バラツキのパラメータによってマッピングされたその容
量相当の制御指令値マップと、その容量近傍での制御指
令値−容量特性の勾配変化をマッピングされたマップを
用いる態様でよく、制御目標となるロックアップ容量が
限定されるならば、前記マップの相関問題はなくなり、
学習機会の減少もない。更に、この場合は、個体バラツ
キのみならず、変速機作動油温等の環境条件バラツキを
も抑えて、適用する個体によらず、しかも、該環境条件
によらず、かつ、ロックアップ容量低下制御であって
も、それらの影響を吸収して、自動変速機のロックアッ
プ制御体系に、容易にそのロックアップ容量低下制御も
導入でき、簡易で高精度な惰性走行時ロックアップ制御
指令値の補正をなしえて、惰性走行時ロックアップ容量
低下制御を実現させられる。従って、ロックアップ容量
を低下させることでロックアップ締結解除応答を向上さ
せることを狙った、かかる惰性走行時ロックアップ容量
低下制御に効果的で、ロックアップ容量の低下のさせす
ぎによる不必要なロックアップの差動の発生も抑え、惰
性走行時ロックアップによる燃費効果を減じることも避
けつつ、惰性走行時ロックアップでの急減速によるエン
スト回避のため有効な、かかる惰性走行時ロックアップ
容量低下制御の実効性も確保し、その能力をより充分に
引出し、発揮させ得て、これを高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例を示すも
ので、制御対象となるシステムに制御指令値を与えて、
そのシステム出力を制御する制御装置として、車両にお
ける自動変速機のロックアップ制御装置に適用した場合
の例を示す。図において、1は原動機としてのエンジ
ン、2は自動変速機(A/T)をそれぞれ示す。自動変
速機2は、トルクコンバータ(T/C)3を経てエンジ
ン1の動力を入力され、選択変速段に応じたギヤ比で入
力回転を変速し、出力軸4に伝達するものとする。
【0016】ここで、自動変速機2は、コントロールバ
ルブ5内におけるシフトソレノイド6,7のON,OF
Fの組み合わせにより選択変速段を決定され、トルクコ
ンバータ3は、同じくコントロールバルブ5内における
ロックアップソレノイド8のデューティ(Duty)制
御により、入出力要素間を図示せざるロックアップクラ
ッチにより直結したロックアップ(L/U)状態、また
は入出力要素間を直結しないコンバータ状態(T/C状
態)にされ得るものとする。
【0017】なお、例えば、ロックアップソレノイド8
は、駆動デューティ(D)が0%の時、トルクコンバー
タ3をロックアップクラッチの開放によりコンバータ状
態にし、例えば駆動デューティが100%なら、最大締
結力の下でのロックアップクラッチの締結によるロック
アップ状態にするものとする。これの制御に用いられる
コントロールバルブ5内のロックアップコントロールバ
ルブは、駆動デューティ0%では開放側に、また駆動デ
ューティ100%では締結側に切り換わる油圧制御バル
ブ(制御弁)で、その間の範囲のデューティ値による中
間容量制御では、そのデューティに応じてロックアップ
クラッチの締結容量を任意に設定できる。ロックアップ
制御系は、ここでは、これらロックアップソレノイド
8、ロックアップコントロールバルブやロックアップク
ラッチの油圧制御系を含んで構成できる。
【0018】シフトソレノイド6,7のON,OFF、
及びロックアップソレノイド8の駆動デューティ(L/
U制御指令値)は、A/Tコントローラ9によりこれら
を制御し、該コントローラ9には、エンジン1のスロッ
トル開度TVOを検出するスロットル開度センサ10か
らの信号を入力するとともに、変速機出力軸4の回転数
Noを検出する変速機出力回転センサ13からの信号を
入力する。また、コントローラ9には、ここでは、エン
ジン1の回転数Neを検出するエンジン回転センサ11
からの信号、自動変速機2の入力回転数(トルクコンバ
ータ3の出力回転数)Ntを検出するタービン回転セン
サ12からの信号等を入力する。ここに、スロットル開
度センサ10からの入力情報は、変速制御に適用される
とともに、車両の惰性走行状態か否かを判断するのにも
用いることができる。
【0019】また、コントローラ9には、ここでは、変
速機作動油温(ATF油温)を検出する油温センサ20
からの信号を入力され、更にまた、補機負荷についての
情報、例えばエアコン等の補機負荷情報が入力される。
補機負荷は、補機作動状態で定まり、例えばそのON/
OFF情報や、消費電流などであってよい。
【0020】コントローラ9は、入力検出回路と、演算
処理回路と、該演算処理回路により実行される変速制御
プログラム、及びロックアップ制御プログラム等の制御
プログラム、並びに演算結果等を格納する記憶回路と、
シフトソレノイド6,7及びロックアップソレノイド8
に駆動用の制御信号を送出する出力回路等からなり、入
力情報及び内部情報に基づき、変速制御、ロックアップ
制御を実行する。
【0021】変速制御については、上記スロットル開度
及び変速機出力軸回転の入力情報に基づき、ここでは図
示しないが、周知の演算により以下の変速制御を行うこ
とができる。即ち、変速制御に際し、コントローラ9
は、スロットル開度TVOと、変速機出力回転数Noか
ら演算して求めた車速Vとから、現在の運転状態に最適
な変速段を、例えばテーブルデータからルックアップ方
式により求め、この最適変速段が選択されるよう、シフ
トソレノイド6,7をON,OFFさせて所定の変速を
行う。
【0022】ロックアップ制御では、トルクコンバータ
3によるトルク増大機能やトルク変動吸収機能が不要な
ロックアップ領域での運転中か、これら機能が必要なコ
ンバータ領域での運転中か等の制御領域の判定をし、制
御要求に応じ、ロックアップソレノイド8の駆動制御に
より、ロックアップ領域ならトルクコンバータ3をロッ
クアップ状態にするように、コンバータ領域ではこれを
解除してトルクコンバータ3をコンバータ状態にするよ
うに、制御する。
【0023】コントローラ9は、こうした制御について
は、例えば、予めスロットル開度TVOと車速Vとで設
定したロックアップON線やロックアップOFF線によ
るロックアップ車速線(L/U線)データ(テーブルデ
ータ)を用い、当該運転中の車両の現在のスロットル開
度TVOと車速Vとを基に、斯く規定されたロックアッ
プ領域及びコンバータ領域のいずれの車両運転状態であ
るかを判別し、判別結果に応じて、トルクコンバータ3
を、ロックアップ領域ではロックアップクラッチの締結
により、入出力要素間が直結されたロックアップ状態に
し、コンバータ領域ではロックアップクラッチの開放に
より、この直結が解かれたコンバータ状態にすることに
よって、行うことができる。
【0024】更にまた、本例では、運転者(ドライバ)
がアクセルぺダルを釈放したいわゆる惰性走行状態(コ
ースト走行状態)に該当するとき、コントローラ9は、
かかる状態でのロックアップ時(コーストL/U時)の
急減速によるエンスト回避と燃費向上を狙って、ロック
アップ状態を適切に制御する惰性走行用のロックアップ
容量低下制御(コースト時L/U容量低下制御)をも行
うとともに、ロックアップクラッチ締結容量(L/U容
量)につき学習をする制御をも行う。更には、該学習
は、主に適用L/U油圧制御系の固体バラツキについて
の補正をすることを狙ったものであるが、コントローラ
9は、ここでは、そのコースト時L/UのL/U制御指
令値の決定に際し、上記バラツキによるもののほか、環
境条件のバラツキをも考慮し、これに対する補正も同時
的になされることとなるよう、効果的にそれらバラツキ
を吸収、補正するための処理(図2)をも施す。この場
合において、補正処理は、データ量の低減や学習機会の
確保などの点でも有利で、簡易かつ高精度なコースト時
L/U制御指令値の補正方式を実現するべく、次のよう
なデータマップを導入して行うことを基本とすることが
できる。
【0025】一つは、予め環境条件バラツキのパラメー
タに応じて、コーストL/Uで設定すべき所定容量相当
のコースト時L/U制御指令値を基本値としてマッピン
グしてなる制御指令値マップであり、他の一つは、これ
も同様にデータ読み出しのためのその検索パラメータと
して、上記と同じ計測可能な環境条件バラツキのパラメ
ータを使用するとともに、該環境条件バラツキのパラメ
ータによって当該容量近傍での容量−制御指令値特性の
ゲインがマッピングされたゲインマップである(図3
(a),(b))。この場合は、コントローラ9の記憶
回路にはこれらマップを予め格納し、そして、該当する
コースト時L/U容量低下制御時、コントローラ9は、
その演算部において、これらマップを用い、環境条件バ
ラツキに起因する制御指令値−容量特性の変化と個体バ
ラツキに起因する制御指令値−容量特性の基本値からの
偏差とを同時に補正し、補正後の最終的なコースト時L
/U制御指令値を求めてこれを得、該補正後指令値に応
じたデューティ駆動制御信号をL/U制御系に与える出
力処理を実行する。
【0026】図4は、そのような補正処理のための、図
1に示した実施例システムでの機能の一例をブロックと
して表したものである。aは自動変速機2のL/U制御
系を表し、与えられる制御目標に対しこれを実現するよ
うに出力L/U容量を制御し設定する既述のロックアッ
プソレノイド8、ロックアップコントロールバルブ等を
含む油圧制御系で、かつ、ここでは、個体差により、ま
た使用環境変動等によりその制御指令値に対する出力特
性が影響を受けることある補正対象システムである。b
〜fは、それぞれ、個体バラツキ及び環境条件バラツキ
の総合補正のため適用されるもので、L/U容量の学
習、計測可能なパラメータの計測、制御指令値に対する
補正演算、その演算に用いる制御指令値マップ及び学習
値補正ゲインマップの各手段を表す。
【0027】原理的には、本発明に従う統合補正は、以
下のような分析、考察に基づくものであって、自動変速
機2のL/U制御におけるコースト時L/U容量制御の
場合の上記補正機能は、これを具現化したものである。
本制御では、まず、個体バラツキに関しては、個体バラ
ツキの要因について注目した。一般に油圧バルブ系の制
御指令値−出力油圧特性の個体バラツキ要因は、以下の
3つを挙げることができる。 ソレノイドの入出力特性バラツキ、バルブスプリン
グのバネ定数バラツキ、バルブ受圧面積の工作バラツ
【0028】ここに、上記とは、主に、制御指令値
−出力油圧特性が平行移動する、いわゆるオフセットバ
ラツキの要因となる。また、上記は、主に、制御指令
値−出力油圧特性が回転移動する、いわゆるゲインバラ
ツキの要因となる。このとき、、に比して、のバ
ラツキ範囲は小さく、ほとんど無視してよい。従って、
個体バラツキについては、オフセトバラツキのみを対象
とすればよいこととなる。
【0029】これに対して、環境条件によるバラツキ
は、そのパラメータにより様々であるが、一般に複雑な
要因の組合せであることから、個体バラツキの要因と異
なり、上述の如きゲインバラツキを無視することができ
ない。ここで、本実施例ではコースト時L/U容量制御
を対象としている。従って、コースト時のL/U容量の
補正だけに着目すると、所定の範囲にコースト時のL/
U容量を収めるべくL/U容量低下制御を行おうとする
場合も、制御目標はかかる所定の範囲にあり、よって、
使用するL/U容量幅は極めて限定されているといえ
る。そこで、この点から、或る特定の容量を出力する制
御指令値の環境条件バラツキを補正することのみを考え
るならば、その容量相当の制御指令値を各環境条件でマ
ッピングされたマップより、制御指令値基本値を読み取
るだけでよくなる。
【0030】そして、これに対して個体バラツキ補正を
行うようにすれば、簡単でよい。また、ここで、個体バ
ラツキの補正をするべくL/U容量学習制御を採用して
いる場合においては、これにより個体バラツキ補正を行
うことになるが、このとき、ただ学習値を加えただけで
は(学習補正値として、上記制御指令値基本値に加える
だけでは)、環境条件バラツキのゲインバラツキの分だ
け、補正が狂うこととなる。より好ましくはかかる誤差
を修正することである。
【0031】そこで、更に、本実施例では、次のように
したものである。即ち、その特定容量近傍での容量−制
御指令値特性のゲインを、各環境条件毎にマッピング
し、これから読み取ったゲインでもって個体バラツキオ
フセット分の環境条件バラツキ補正を行った上で、制御
指令値基本値に加えることにより、個体バラツキオフセ
ット環境条件バラツキのゲインバラツキを補正するよう
になす。
【0032】かかる補正方法に従うと、本実施例におい
て必要となるデータは、制御目標となるL/U容量毎
に、環境条件バラツキのパラメータによってマッピング
された、その容量相当の制御指令値マップ、容量近傍で
の容量−制御指令値特性のゲインマップの2つのマップ
と、個体バラツキ吸収のためのオフセット値記憶メモリ
によるものだけである。そして、制御目標となるL/U
容量が限定されるならば、前述した如きマップの相関問
題はなくなり、かつまた、学習値が単一のオフセットで
あるために、学習機会の減少もない。
【0033】図4の2つのマップe,fは、上述のよう
な観点から設けられている。ここに、計測手段cにより
計測すべきこととする環境条件バラツキパラメータとし
ては、例えば、制御指令値とシステム出力以外のもので
あって、ATF油温もしくはそれに相当するものと、コ
ントロールバルブ5の油圧制御弁駆動電圧もしくはそれ
に相当するものを用いることができる。また、L/U容
量学習手段bは、基本的に、計測不可能(もしくは実質
的に計測不能)なパラメータによるL/U制御指令値−
容量特性(制御指令値−出力特性)の基準値からの偏差
(変化)を推定する手段として用いられる。かくて、一
方のマップeは、そのような計測可能なパラメータにて
領域を細分化したマップ上に目標容量相当の制御指令値
のデータをマッピングした制御指令値マップとして用意
され、もう一方のマップfは、同様に計測可能なパラメ
ータにて領域を細分化したマップ上にその目標容量近傍
でのL/U制御指令値−容量特性の変化勾配のデータを
マッピングした学習値補正ゲインマップとして用意され
る。
【0034】補正手段dは、計測可能なパラメータによ
って、このパラメータによるL/U制御指令値−容量特
性の変化を補正し、同時にL/U容量学習手段bによっ
て求められたL/U制御指令値−容量特性の偏差を補正
するとき、上記計測された計測パラメータによって、制
御指令値マップeから上記制御指令値データを読み取る
ことによって、L/U制御指令値−容量特性の変化を補
正し、一方また、その計測パラメータによって、学習値
補正ゲインマップfから上記変化勾配データを読み取
り、これによって、L/U容量学習手段bによって求め
られたL/U制御指令値−容量特性の偏差を補正する。
【0035】この場合において、好ましくは、最終補正
結果は、制御指令値マップeから読み取った制御指令値
に、学習値補正ゲインマップfから読み取った変化勾配
とL/U容量学習手段bによって求められたL/U制御
指令値−容量特性の偏差との積を加えることによって、
これを得るようにし、計測可能なパラメータによるL/
U制御指令値−容量特性の変化と、計測不可能なパラメ
ータによるL/U制御指令値−容量特性の基本値からの
偏差とを同時に補正する。上記L/U容量学習手段b、
補正手段dは、図1のコントローラ9によって構成さ
れ、また、計測手段cは、その計測対象の環境条件バラ
ツキパラメータとして自動変速機2の油温情報、コント
ローラ9の出力回路部分の電源電圧情報を含む場合は、
図1の油温センサ20及びコントローラ9の一部を含ん
で構成される。
【0036】図2は、本実施例においてコントローラ9
が実行する、上記のような補正処理を含むコースト時L
/U制御指令値設定のための制御プログラムフローチャ
ートの一例である。また、図3(a),(b)は、補正
処理において適用できる制御指令値マップ及び学習値補
正ゲインマップを例示するものである。図2において、
まず、ステップS101では完全L/U領域に制御すべ
きか否かを、ステップS102ではコースト状態である
かどうかを、それぞれ判断する。
【0037】上記判断の結果、ここでは、コースト完全
L/U領域の場合のみ、従ってそれら判別ステップの答
のいずれもがYESのとき、以下のステップS104以
降の本例制御へ分岐させ、他の制御状態が要求されてい
る場合については、ステップS103のその他のL/U
制御のための処理に分岐させるものとする。
【0038】ここに、コースト状態かどうかについて
は、例えばスロットル開度TVOが微少設定値以下か否
かにより判定することができる。あるいはまた、例えば
アクセルペダルの釈放時にONするアイドルスイッチか
らの信号をもとに判定することも可能であることはいう
までもない。
【0039】なお、ステップS103におけるその他の
制御状態のための処理に関しては、それが、例えば通常
の駆動走行時のL/U制御でL/Uクラッチ締結容量を
最大にしようとする場合のものなら、本実施例では、コ
ントローラ9は、制御指令値としてロックアップソレノ
イド8の駆動デューティを100%にセット(L/U容
量最大)してロックアップソレノイド8に出力し、トル
クコンバータ3をL/Uクラッチの締結により、その要
求通りのL/U制御状態にさせることができる。また、
L/U解除制御なら、制御指令値として駆動デューティ
を0%にセット(L/U容量最小)することで、トルク
コンバータ3をL/Uクラッチの開放により要求通りコ
ンバータ状態にすることができる。
【0040】これに対し、ステップS104側へ分岐さ
せた場合は、本プログラム例ではステップS104〜S
107において、コースト時L/U容量低下制御を行
い、L/U容量を設定値まで低下させるべく、コースト
時L/U制御指令値を設定する処理を実行する。なお、
コースト時L/U容量低下制御については、基本的に
は、例えば、コースト時L/U容量を低下させるように
コースト走行用に定めたマップデータを基にコースト時
用の目標L/Uクラッチ締結容量を求め、これに基づ
き、ロックアップソレノイド8の駆動デューティ(D
%)を演算し制御指令値としてセットし、ロックアップ
ソレノイド8に出力してL/Uクラッチを小さな締結容
量とするようにして行うことができる。このように、L
/U容量を低下させることにより、L/Uクラッチ、T
/Cカバー等の変形を抑え得て、L/U締結解除応答を
向上させる。
【0041】これは、かかるコースト時L/U容量低下
制御中、もし、急制動により急減速が発生することとな
った場合においてなされるL/Uの解除制御時でも、こ
うしたL/U容量低下状態からトルクコンバータ3がL
/Uを解除されてコンバータ状態となって、車両の当該
急減速時に、制動された駆動車輪でエンジン1が停止さ
れるといったことを防止するのに有効である。たとえ、
コーストL/U時の急減速であっても、上記のL/U解
除が(応答遅れが少なく)速やかに完遂され、エンスト
の発生を適切に回避ることができる。コースト時L/U
容量低下制御は、基本的には上述のようにして行うこと
ができるが、この場合において、本実施例では、L/U
容量の学習制御を行わせつつ、その学習結果も取り入れ
た個体バラツキ及び環境条件バラツキの補正処理を加味
して最終的なコースト時L/U制御指令値CstDtyが決
定される。
【0042】まず、ステップS104において、本プロ
グラム例では、車両負荷、補機負荷の情報より、当該コ
ーストL/UでのL/Uクラッチの目標締結容量を計算
する。車両負荷は車速Vから、補機負荷は補機作動状態
から定まるが、これらをパラメータとしたマップとして
もよい。ここでは、目標締結容量マップ、既述の演算に
よる車速V、コントローラ9への入力補機負荷情報によ
る補機作動状態ステータスに基づいて目標締結容量を求
めるものとする。また、コースト時L/U容量低下制御
の実施条件を狭くとっている場合には、単独の値として
よい。
【0043】次に、ステップS105において、上記ス
テップS104にて求められた目標締結容量と、環境条
件バラツキパラメータ、例えば、ATF油温、油圧バル
ブ駆動電圧もしくは電源電圧などから、目標締結容量相
当の制御指令値基本値をマップ検索により読み取る。こ
こでは、ATF油温と電源電圧を環境条件バラツキパラ
メータとして用いて目標締結容量相当のコーストL/U
制御指令値基本値CstDty0がマッピングされた図3
(a)の制御指令値基本値マップを使用し、当該時点で
検出されているATF油温と電源電圧に基づき、該マッ
プにより、目標締結容量相当のコーストL/U制御指令
値基本値CstDty0を読み取る。
【0044】更に、次のステップS106にて、前記ス
テップS104にて求められた目標締結容量と、上記の
制御指令値基本値のマップ検索に用いるのと同様の環境
条件バラツキパラメータ、例えば、ATF油温、油圧バ
ルブ駆動電圧もしくは電源電圧などから、学習値補正ゲ
インをマップ検索により読み取る。ここでは、図3
(b)の如くに環境条件バラツキパラメータとしてAT
F油温と電源電圧を用いて目標締結容量近傍の変化勾配
がマッピングされた学習値補正ゲインマップを使用し、
該マップより、やはり検出ATF油温と電源電圧に基づ
き、目標締結容量近傍の変化勾配を読み取り、学習値補
正ゲインCstDtyGとする。
【0045】そして、次のステップS107にて、上記
ステップS106にて求められた学習値補正ゲインCst
DtyGと、本例制御とは独立に存在する個体バラツキ学
習制御の結果である学習値との積を、上記ステップS1
05にて求められた制御指令値基本値CstDty0に加え
るよう、次式、
【数1】 CstDty=CstDty0+(CstDtyG×CstPrsLrn) ・・・1 ただし、CstPrsLrn:学習補正値 により演算をし、その結果を最終的なコースト時L/U
制御指令値CstDtyとする。これにより、単に、L/U
容量学習制御側での学習値が直接的に個体バラツキ吸収
用の学習補正値CstPrsLrnとして制御指令値基本値C
stDty0に加えられるのではなく、学習値補正ゲインC
stDtyGにより学習値分のその値CstPrsLrnを補正し
て、その補正後の値CstDtyG×CstPrsLrnを制御指
令値基本値CstDty0に対して適用することができる。
【0046】かくして、図3(a)(b)の2つのマッ
プを用い、ATF油温と電源電圧で同図(a)のマップ
から読み取ったコースト時L/U制御指令値基本値Cst
Dty0に、同様に同図(b)のマップから読み取った学
習値補正ゲインCstDtyGと学習補正値CstPrsLrnの
積を加えて、コースト時L/U制御指令値CstDtyを決
定し、これに対応したL/U容量に設定してコースト時
L/U容量低下制御を実行させることができる。
【0047】本補正方式によれば、L/U式トルクコン
バータ3を有する自動変速機2のL/U制御系における
L/U容量についての個体バラツキのほか、ATF油温
と電源電圧の環境条件バラツキの影響をも補正しようと
する場合に、低容量側での学習制御と環境条件バラツキ
パラメータによるマップを用いる環境条件補正処理の双
方の組み合わせで、それらバラツキを吸収させんとする
にあたり、厳密に補正をしようとして、もし、個体バラ
ツキ補正の学習制御側にも細分化されたマップを用いる
補正方法とするなら、環境条件バラツキを補正するため
の環境条件毎の制御指令値−容量特性マップのみなら
ず、個体バラツキを補正するための学習値を環境条件毎
に細分化するためのマップが必要になるなどといった不
利が生ずるところ、かかる問題もない。よって、補正に
要するデータ量の点で有利となるとともに、その場合の
細分化された各領域の相関をどのようにとるかといった
大きな問題もなく、L/U制御系の個体バラツキ及び上
記ATF油温等の環境条件バラツキを考慮したL/U容
量の補正を実現できる。
【0048】特に、これは、制御目標となる使用L/U
容量幅が限定される(既述の如く、ステップS104で
の目標締結容量算出処理では、コースト時L/U容量低
下制御の実施条件を狭くとっている場合は単独の値とし
てもよい)ようなコースト時のL/U容量の低下制御の
場合にとって好適で有用な補正方法となる。基本的に
は、上記ATF油温と電源電圧の環境条件バラツキに関
し、そうした目標締結容量相当の制御指令値の基本値C
stDty0を図3(a)のマップから読み取るだけでよ
く、しかも、個体バラツキ補正については、上記式1に
従い、同様のATF油温と電源電圧の環境条件でマッピ
ングした図3(b)のマップから読み取った補正用の値
CstDtyGによって個体バラツキオフセット分である学
習値分の環境条件バラツキ補正を行った上で、基本値C
stDty0に加えるといった補正処理で足り、これによ
り、単に学習補正値を加えるだけとした場合の生ずるよ
うなATF油温と電源電圧の環境条件バラツキのゲイン
バラツキの分だけの補正のずれも発生させずに、個体バ
ラツキと上記ATF油温等の環境条件バラツキを吸収で
き、従って、コースト時L/U容量低下制御実現のため
の簡易で高精度なコースト時L/U制御指令値の電源電
圧、油温補正方式ともなる。
【0049】更にまた、もし、細分化されたマップを学
習に用いれば、データ量の増加といった点のほか、一つ
の環境条件毎の学習機会が減少するという問題も発生
し、従ってそれだけ学習効果を反映させにくくし、かつ
また、この問題をも解消しようとすれば、その解決のた
めに更にロジックが複雑なものとなるのに対し、本補正
方式は、そうしたことも避けられる。結果、L/U容量
の学習機会の減少をもたらすといった事態も招かずに、
従って、その分、学習精度も高められ、コースト時にL
/U容量を必要な最適値に低下させるよう制御の場合で
も、当該制御におけるL/U容量についての学習機会を
適切に確保しつつ、学習が可能となるスリップ発生側近
傍である低容量側にて学習を実現することができる。
【0050】なお、かかるL/U容量の学習制御は、ス
リップの発生を監視して行う場合は、スリップの発生の
検知については、例えばエンジン回転と自動変速機入力
回転の差分か、またはその比、もしくはそれらに相当す
る量を用いて行うことができる。ここでは、コントロー
ラ9は、例えば当該コントローラに入力されるエンジン
回転センサ11によるエンジン回転Neとタービン回転
センサ12による自動変速機入力回転Ntの差分を用い
てトルクコンバータ3のスリップ回転の発生を監視する
ものとし、そして、コースト時L/U容量低下制御時、
スリップ発生をみたとき、そのL/U容量はこれを所定
量増加させる方向に修正すべく、学習値増加制御を行わ
せるようにすることで学習を行わせることができる。こ
の場合において、該学習制御ではATF油温、電源電圧
の如何によらずして、専ら上記スリップの発生の有無に
応じて、かかる学習を行わせて行くことが可能である。
こうして、該学習結果を適切に該L/U容量低下制御に
反映させられ、かかるL/U容量学習制御を伴うコース
ト時L/U容量低下制御を良好に行わしめることができ
る。
【0051】従ってまた、個体バラツキのみならず上記
ATF油温等の環境条件バラツキをも抑えて、自動変速
機のL/U制御体系に、容易にコースト時L/U容量低
下制御も導入できる。適用する個体によらず、しかもA
TF油温、電源電圧等の環境条件によらず、かつ、中間
容量制御であっても、それらの影響を吸収して、所望の
範囲となるよう、そのコースト時のL/U容量を適切に
収めることができる。よって、L/U容量を低下させる
ことでL/U締結解除応答を向上させることを狙ったコ
ースト時L/U容量低下制御に効果的で、L/U容量の
低下のさせすぎによる不必要なスリップ回転の発生も抑
え、コーストL/Uによる燃費効果を減じることも避け
つつ、コーストL/U時の急減速によるエンスト回避の
ため有効な、かかるコースト時L/U容量低下制御の実
効性も確保し、その能力をより充分に引出し、発揮させ
得て、これを高めることができるものである。
【0052】なお、本発明は、以上の実施の形態に限定
されるものではない。例えば、上記では自動変速機のL
/U制御に用いたが、これに限らず、制御対象となるシ
ステムに制御指令値を与えて、そのシステム出力を制御
する場合において、制御指令値とシステム出力以外の計
測可能なパラメータによって、このパラメータによる制
御指令値−システム出力特性の変化を補正し、同時に計
測不可能なパラメータによる制御指令値−システム出力
特性の基準値からの偏差を補正しようとする場合に適用
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明制御装置の一実施例に係る自動変速機の
ロックアップ制御装置の一例を示すシステム図である。
【図2】同例におけるコントローラが行うロックアップ
制御指令値における補正処理の説明に供するプログラム
フローチャートの一例を示す図である。
【図3】同例に適用できる、制御指令値マップと学習値
補正ゲインマップの各例を示す図である。
【図4】制御指令値の補正の一例を示す機能ブロック図
である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機(A/T) 3 トルクコンバータ 5 コントロールバルブ 6 シフトソレノイド 7 シフトソレノイド 8 ロックアップ(L/U)ソレノイド 9 コントローラ 10 スロットル開度センサ 11 エンジン回転センサ 12 タービン回転センサ 13 変速機出力回転センサ 20 油温センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G05B 19/02 G05B 19/02 C (56)参考文献 特開 平6−249003(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 11/00 - 13/04 B60K 41/00 - 41/28 F16H 61/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象となるシステムに制御指令値を
    与え、そのシステム出力の制御をする制御装置におい
    て、 制御指令値とシステム出力以外の計測可能な第1のパラ
    メータを計測する手段と、 計測不可能もしくは実質的に計測不能な第2のパラメー
    タによる制御指令値−システム出力特性の基準値からの
    偏差を推定する手段と、 前記第1のパラメータによる制御指令値−システム出力
    特性の変化を補正し、かつ、前記推定手段により得られ
    る制御指令値−システム出力特性の偏差を補正する手段
    とを備え、 該補正手段は、前記第1のパラメータにより領域を細分
    化したマップ上に、所定のシステム出力相当の制御指令
    値をマッピングした第1のマップと、前記第1のパラメ
    ータにより領域を細分化したマップ上に、前記所定のシ
    ステム出力近傍の制御指令値−システム出力特性の変化
    勾配をマッピングした第2のマップとを含み、 前記計測手段により計測される第1のパラメータに応じ
    て、該第1のマップから当該制御指令値を読み取ること
    によって、第1のパラメータによる制御指令値−システ
    ム出力特性の変化の補正をするとともに、前記計測手段
    により計測される第1のパラメータに応じて、該第2の
    マップから当該変化勾配を読み取り、これに基づき、前
    記推定手段により得られる制御指令値−システム出力特
    性の偏差の補正をすることにより、前記第1のパラメー
    タによる制御指令値−システム出力特性の変化と、前記
    第2のパラメータによる制御指令値−システム出力特性
    の基本値からの偏差とを、ともに補正する、ことを特徴
    とする補正機能を有する制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第1のマップから読み取った制御指
    令値に対し、 前記第2のマップから読み取った変化勾配と前記値推定
    手段により求めた偏差との積を加えることにより、最終
    的な補正結果を得ることによって、 前記第1のパラメータによる制御指令値−システム出力
    特性の変化と、前記第2のパラメータによる制御指令値
    −システム出力特性の基本値からの偏差との両者を補正
    する、ことを特徴とする請求項1記載の補正機能を有す
    る制御装置。
  3. 【請求項3】 車両における自動変速機のロックアップ
    制御系に適用した、ことを特徴とする請求項1、または
    請求項2記載の補正機能を有する制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1のパラメータとして、油圧制御
    弁駆動電圧もしくはそれに相当する要素と、変速機作動
    油温もしくはそれに相当する要素を用いる、ことを特徴
    とする請求項3記載の補正機能を有する制御装置。
  5. 【請求項5】 前記推定手段に、車両における自動変速
    機のロックアップ容量の学習制御を適用した、ことを特
    徴とする請求項3、または請求項4記載の補正機能を有
    する制御装置。
  6. 【請求項6】 車両の惰性走行時における自動変速機の
    ロックアップ制御を含み、該ロックアップ制御は、惰性
    走行時のロックアップ容量を低下させるように制御する
    ことにより、ロックアップ締結解除応答を向上させられ
    る、惰性走行時ロックアップ容量低下制御である、こと
    を特徴とする請求項5記載の補正機能を有する制御装
    置。
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