JP3726182B2 - 加速スリップ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に適用され、駆動輪の加速スリップ発生時、少なくとも燃料カット制御により加速スリップを抑制する加速スリップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料カットや点火時期遅角を採用して加速スリップを抑制する加速スリップ制御装置としては、例えば、特開平4−92729号公報や特開平7−166906号公報に記載の技術が知られている。
【0003】
駆動輪の加速スリップ発生時、燃料カットを行うと、燃料カットを行った気筒での時間遅れによる燃料噴射分が燃料燃え残り分となり、排気系触媒内の発熱反応にて後燃えが生じ、触媒加熱を起こす。また、駆動輪の加速スリップ発生時、点火時期遅角を行うと、点火時期遅角による各気筒の燃料燃え残り分が生じ、排気系触媒内の発熱反応にて後燃えが生じ、触媒加熱を起こす。
【0004】
この触媒加熱を防止するため前者の公報には、自動変速機の変速段を高速ギヤ側にシフトアップすることにより、エンジン回転数を低下させ、継続して燃料カット及び点火時期変更制御を実行可能にする技術が記載されている。
【0005】
また、触媒加熱を防止するため後者の公報には、エンジン運転状態が加速スリップ制御禁止領域にあるとき、燃料カット気筒数を徐々に増加させ、エンジントルクを徐々に低減させることで、触媒昇温領域である加速スリップ制御禁止領域を回避する技術や、駆動力制御そのものを禁止して触媒昇温領域である加速スリップ制御禁止領域を回避する技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の加速スリップ制御装置の触媒加熱対策技術にあっては、下記に列挙するような問題点がある。
(1)特開平4−92729号公報に記載のシフトアップによる触媒加熱対策技術にあっては、自動変速機がDレンジ選択時でアップシフト可能な変速段である場合には、図6の実線特性に示すように、加速スリップ制御を継続しながら加速スリップ制御禁止領域を回避することができるものの、自動変速機が1速固定レンジや2速固定レンジの選択時で変速段が固定の場合やDレンジ選択時でアップシフトが不可能な最高変速段である場合、図6の破線特性に示すように、エンジン回転数の上昇を抑えることができず、加速スリップ制御禁止領域に入ってしまい、駆動輪スリップを抑制する加速スリップ制御を行うことができないという問題がある。
(2)特開平7−166906号公報に記載の燃料カット気筒数を徐々に増加させる技術や、加速スリップ制御そのものを禁止してしまう技術は、エンジン回転数が加速スリップ制御禁止領域に入ることを回避することができず、しかも、加速スリップ制御を継続して実施できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、変速段が固定であっても排気系触媒が昇温する加速スリップ制御禁止領域に入ることなく、継続して加速スリップ制御を実施することができる燃料カット制御による加速スリップ制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明では、推定車体速と駆動輪速により駆動輪スリップ相当値を算出するスリップ相当値算出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
エンジン回転数が排気系触媒の昇温を防止する設定回転数未満、または、アクセル開度が排気系触媒の昇温を防止する設定開度未満の領域を加速スリップ制御許可領域とし、エンジン回転数が設定回転数以上、かつ、アクセル開度が設定開度以上の領域を加速スリップ制御禁止領域とするマップを設定したマップ設定手段と、
算出された駆動輪スリップ相当値に基づいて駆動輪スリップを抑制する目標トルクを算出する目標トルク算出手段と、
前記スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上であるかどうかを判断するスリップ判断手段と、
エンジン回転数検出値およびアクセル開度検出値が属するマップ上での領域を判断する領域判断手段と、
スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上で、かつ、前記領域判断手段で加速スリップ制御許可領域にあるとの判断時、少なくとも燃料カット制御により、前記目標トルクを得る加速スリップ制御を行う加速スリップトルク制御手段と、
を備えた加速スリップ制御装置において、
前記加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数を設定し、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に一致させながら加速スリップ制御を行う加速スリップ回転数制御手段を設け、
前記マップ設定手段を、加速スリップ制御許可領域のうち前記排気系触媒の昇温を防止するエンジン設定回転数より低いエンジン回転数の低エンジン回転数側領域または前記排気系触媒の昇温を防止するアクセル設定開度より小さいアクセル開度の小アクセル開度側領域を加速スリップトルク制御領域とし、高エンジン回転数側領域かつ大アクセル開度側領域を加速スリップ回転数制御領域とするマップを設定している手段とし、
前記領域判断手段でエンジン回転数検出値が加速スリップ回転数制御領域であると判断されると、加速スリップ制御方法を、前記加速スリップ回転数制御に切り替える制御切り替え手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明では、請求項1に記載の加速スリップ制御装置において、
前記加速スリップ回転数制御手段を、加速スリップトルク制御での目標トルクとエンジントルクマップに基づき得られたエンジン回転数から算出された第1目標駆動輪速と、加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数に基づいて算出された第2目標駆動輪速のうち、セレクトローの値を目標駆動輪速として決定し、この目標駆動輪速に基づいて目標トルクを算出し、少なくとも燃料カット制御を含む制御により、目標トルクを得る加速スリップ制御を行う手段としたことを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項3記載の発明では、請求項1又は2に記載の加速スリップ制御装置において、
前記制御切り替え手段を、加速スリップ回転数制御の開始後、加速スリップ回転数制御が開始されるエンジン回転数よりも低い設定回転数になったとき、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御に戻す手段としたことを特徴とする。
【0011】
【発明の作用および効果】
本発明のうち請求項1記載の発明にあっては、スリップ相当値算出手段において、推定車体速と駆動輪速により駆動輪スリップ相当値が算出され、エンジン回転数検出手段において、エンジン回転数が検出され、アクセル開度検出手段において、アクセル開度が検出される。そして、目標トルク算出手段において、算出された駆動輪スリップ相当値に基づいて駆動輪スリップを抑制する目標トルクが算出され、スリップ判断手段において、スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上であるかどうかが判断され、領域判断手段において、エンジン回転数検出値およびアクセル開度値が属するマップ上での領域が、加速スリップ制御許可領域か加速スリップ制御禁止領域かが判断される。
そして、スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上で、かつ、領域判断手段で加速スリップ制御許可領域のうち加速スリップトルク制御領域にあるとの判断時、加速スリップトルク制御手段において、少なくとも燃料カット制御により、算出された目標トルクを得る加速スリップ制御が行われる。
一方、スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上で、かつ、領域判断手段で加速スリップ制御許可領域のうち加速スリップ回転数制御領域にあるとの判断時、加速スリップ回転数制御手段において、加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数を設定し、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に一致させながら加速スリップ制御が行われる。
さらに、加速スリップトルク制御中にエンジン回転数検出値およびアクセル開度値が属するマップ上での領域が、加速スリップトルク制御領域から加速スリップ回転数制御領域に移行した場合、制御切り替え手段において、加速スリップ制御方法が、加速スリップ回転数制御手段を用いた加速スリップ回転数制御に切り替えられる。
よって、燃料カットを含む加速スリップ制御モードとして、排気系触媒が昇温する加速スリップ制御禁止領域に入るおそれのあるエンジン回転数およびアクセル開度の領域(加速スリップ回転数制御領域)では、加速スリップトルク制御に代え加速スリップ回転数制御を採用することで、従来のようにシフトアップすることなく変速段が固定のままであってもエンジン回転数の上昇を抑え、加速スリップ回転数制御領域を確実に維持することができる。すなわち、燃料カットを含む加速スリップ制御中において、変速段が固定であっても加速スリップ制御禁止領域に入ることなく、継続して加速スリップ制御を実施することができる。
【0012】
本発明のうち請求項2記載の発明にあっては、加速スリップ回転数制御手段において、加速スリップトルク制御での目標トルクとエンジントルクマップに基づき得られたエンジン回転数から算出された第1目標駆動輪速と、加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数に基づいて算出された第2目標駆動輪速のうち、セレクトローの値が目標駆動輪速として決定され、この目標駆動輪速に基づいて目標トルクが算出され、少なくとも燃料カット制御を含む制御により、目標トルクを得る加速スリップ制御が行われる。
よって、加速スリップ回転数制御では、第1目標駆動輪速が第2目標駆動輪速よりも小さい場合には、実質的に加速スリップトルク制御が行われ、第2目標駆動輪速が第1目標駆動輪速よりも小さい場合に限り、設定された目標エンジン回転数に基づく加速スリップ回転数制御がなされることで、トルク制御による効果的なスリップ抑制と回転数制御による確実なエンジン回転数上昇抑制とをうまく両立させながら加速スリップ回転数制御を実行することができる。
【0013】
本発明のうち請求項3記載の発明にあっては、制御切り替え手段において、加速スリップ回転数制御の開始後、加速スリップ回転数制御が開始されるエンジン回転数よりも低い設定回転数になったとき、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御に戻される。
よって、加速スリップ回転数制御と加速スリップトルク制御とを切り替えるエンジン回転数条件にヒステリシスが設けられているため、制御モードの切り替えハンチングを防止できると共に、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御への切り替えエンジン回転数を低くしているため、目標駆動輪速の切り替わりによるエンジン回転数の上昇を防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
【0015】
実施の形態1は請求項1〜請求項3に記載の発明に対応する加速スリップ制御装置である。
【0016】
まず、構成を説明する。
【0017】
図1は実施の形態1における加速スリップ制御装置の要部を示す概念図で、aはスリップ相当値算出手段、bはエンジン回転数検出手段、cはマップ設定手段、dは目標駆動輪トルク算出手段、eはスリップ判断手段、fは領域判断手段、gは加速スリップトルク制御手段、hは加速スリップ回転数制御手段、iは制御切り替え手段であり、スリップ判断手段eにてスリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上と判断され、かつ、領域判断手段fにてエンジン回転数検出値が加速スリップ回転数制御領域にあると判断されると、制御切り替え手段iにおいて、加速スリップ制御方法が、加速スリップトルク制御から加速スリップ回転数制御に切り替えられ、加速スリップ制御を継続したままでありながら加速スリップ制御禁止領域に入るようなエンジン回転数の上昇が抑えられる。
【0018】
図2は実施の形態1の加速スリップ制御装置が適用された駆動力制御システム全体図であり、1はTCSコントローラ、2はエンジンコントローラ、3はA/Tコントローラである。
【0019】
前記TCSコントローラ1及びエンジンコントローラ2には、バッテリ4からの電源がリレー5を介して投入される。
【0020】
前記TCSコントローラ1は、各種の入力情報に基づき駆動輪で発生する加速スリップの抑制を燃料カットと点火時期リタードにより達成する制御処理並びに制御指令を出力する電子制御回路で、このTCSコントローラ1には、車輪速センサ6,7,8,9から4輪分の車輪速信号と、システムオン/オフスイッチ10からのスイッチ信号が入力され、TCS作動ランプ11への点灯信号が出力される。
【0021】
前記エンジンコントローラ2は、通常時はアクセル開度に応じた燃料噴射制御等を行い、TCSコントローラ1からTCS作動指令が出力されているときには、燃料カット指令信号及び点火リタード指令信号に応じた燃料カット制御と点火時期リタード制御を行う電子制御回路で、このエンジンコントローラ2には、スロットルセンサ12からのアクセル開度信号が入力され、パワートランジスタユニット13への点火時期制御信号と、インジェクタ14への燃料制御信号が出力される。
【0022】
そして、各コントローラ1,2,3間では相互に情報交換が行われるもので、エンジンコントローラ2からTCS制御コントローラ1に対しては、TCS禁止情報、アクセル開度情報、エンジン回転数情報、ニュートラルスイッチ情報が出力され、TCSコントローラ1からエンジンコントローラ2に対しては、燃料カット指令信号及び点火リタード指令信号が出力され、A/Tコントローラ3からTCSコントローラ1に対しては、TCS禁止情報、シフトソレノイド信号が出力され、TCSコントローラ1からA/Tコントローラ3に対しては、TCS作動信号が出力される。
【0023】
次に、作用を説明する。
【0024】
[TCS制御動作]
【0025】
図3はTCSコントローラ1で行われるTCS制御動作の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0026】
ステップ100では、エンジン回転数NEとアクセル開度TVOと車輪速センサ6,7,8,9から4輪分の車輪速信号が読み込まれる。
【0027】
ステップ101では、従動輪速に基づく推定車体速と駆動輪速との差により駆動輪スリップ量が算出される(スリップ相当値算出手段)。なお、スリップ比やスリップ率を算出してスリップ相当値としても良い。
【0028】
ステップ102では、ステップ101にて算出された駆動輪スリップ量に基づいて駆動輪スリップを抑制する目標トルクが算出される(目標トルク算出手段)。
【0029】
ステップ103では、ステップ101にて算出された駆動輪スリップ量がスリップ制御開始しきい値以上であるかどうかが判断され(スリップ判断手段)、駆動輪スリップ量がスリップ制御開始しきい値未満である場合にはステップ100へ戻り、駆動輪スリップ量がスリップ制御開始しきい値以上である場合は、ステップ104へ進む。
【0030】
ステップ104では、ステップ100で読み込まれたエンジン回転数NEとアクセル開度TVOによる運転点が、図4に示す領域マップ上でTCS不可領域、または、TCS禁止領域に属するかどうかが判断され(領域判断手段)、TCS不可領域、または、TCS禁止領域に属するとの判断時にはステップ100へ戻り、TCS不可領域にもTCS禁止領域にも属さない、言い換えると、TCS許可領域に属するとの判断時にはステップ105へ進む。
ちなみに、TCSコントローラ1のメモリには、図4に示すように、エンジン回転数とアクセル開度をパラメータとし、TCS不可領域(例えば、エンジン回転数NE1が1200rpm以下の領域で、燃料カットによるエンジンストール防止のための領域)と、TCS禁止領域(例えば、エンジン回転数NE4が3500rpm以上で、かつ、アクセル開度TVO3が3/8開度以上の領域で、燃料カットによる排気系触媒の昇温を防止するための領域)と、TCS許可領域(TCS不可領域とTCS禁止領域との間の領域で、燃料カットによる加速スリップ制御を許可する領域)を有する領域マップが設定されている。
【0031】
ステップ105では、ステップ100で読み込まれたエンジン回転数NEとアクセル開度TVOによる運転点が、図4に示す領域マップ上でTCS許可領域のうちTCSトルク制御領域に属するかどうかが判断され(領域判断手段)、TCSトルク制御領域に属するとの判断時にはステップ106へ進み加速スリップトルク制御が実施され、TCSトルク制御領域に属さない、言い換えると、TCS回転数制御領域に属するとの判断時にはステップ107へ進み、加速スリップ回転数制御が実施される(制御切り替え手段)。
ここで、領域マップは、図4に示すように、TCS許可領域のうち低エンジン回転数側で低アクセル開度側の領域(例えば、エンジン回転数NE3が1800rpm以下で、アクセル開度TVO2が3/16開度以下の領域)を加速スリップトルク制御領域とし、高エンジン回転数側で高アクセル開度側の領域を加速スリップ回転数制御領域として設定している。
【0032】
ステップ106では、ステップ105においてTCSトルク制御領域に属するとの判断時、燃料カット及び点火リタードの併用により、ステップ102で算出された目標トルクを得る加速スリップトルク制御が実施される(加速スリップトルク制御手段)。
【0033】
ステップ107では、ステップ105においてTCS回転数制御領域に属するとの判断時、第1目標駆動輪速と第2目標駆動輪速のうちセレクトローにより目標駆動輪速が決定される。
ここで、第1目標駆動輪速は、加速スリップトルク制御での目標トルク(ステップ102)とエンジントルクマップに基づき得られたエンジン回転数から算出され、第2目標駆動輪速は、加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数(例えば、3300rpmで、3500rpmを超えない値)に基づいて算出され、両目標駆動輪速のういちセレクトローの値が加速スリップ回転数制御での目標駆動輪速として決定される。ちなみに、駆動輪速の算出式は下記の通りである。
エンジン回転数/変速機ギア比/終減速機ギア比×動的タイヤ外周=駆動輪速
【0034】
ステップ108では、ステップ107で決定された目標駆動輪速に基づいて目標トルクが算出される。
【0035】
ステップ109では、ステップ108で算出された目標トルクを得る加速スリップ回転数制御が、燃料カット及び点火リタードの併用により実施される。なお、ステップ107〜ステップ109は加速スリップ回転数制御手段に相当する。
【0036】
ステップ110では、エンジン回転数NEとアクセル開度TVOが読み込まれる。
【0037】
ステップ111では、ステップ110で読み込まれたエンジン回転数NEが設定回転数NE2(例えば、1700rpm)以下で、かつ、アクセル開度TVOが設定開度TVO1(例えば、2.5/16開度)以下かどうかが判断され、この条件が成立しない間はステップ107に戻り、加速スリップ回転数制御が繰り返し実施され、この条件が成立するとステップ100へ戻り、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御に切り替えられる。
【0038】
[TCS制御作用]
車両走行時、TCSトルク制御領域に含まれる運転状態にて駆動輪スリップが発生すると、図3のフローチャートにおいて、ステップ100→ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106へと進む流れとなり、ステップ103でのスリップ条件と、ステップ104及びステップ105での領域条件が成立することで、ステップ106では、燃料カット及び点火リタードの併用により、ステップ102で算出された目標トルクを得る加速スリップトルク制御が実施される。
【0039】
上記加速スリップトルク制御中にエンジン回転数NEとアクセル開度TVOによる運転点が属するマップ上での領域が、TCSトルク制御領域からTCS回転数制御領域に移行した場合、ステップ105からステップ107→ステップ108→ステップ109へと進む流れとなり、ステップ109では、加速スリップトルク制御に代えて、燃料カット及び点火リタードの併用によりステップ108で算出された目標トルクを得る加速スリップ回転数制御が実施される。
【0040】
なお、車両走行時、TCS回転数制御領域に含まれる運転状態にて駆動輪スリップが発生すると、図3のフローチャートにおいて、ステップ100→ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ107→ステップ108→ステップ109へと進む流れとなり、ステップ103でのスリップ条件と、ステップ104及びステップ105での領域条件が成立することで、ステップ109では、燃料カット及び点火リタードの併用により、ステップ108で算出された目標トルクを得る加速スリップ回転数制御が実施される。
【0041】
加速スリップ回転数制御では、ステップ107にて、加速スリップトルク制御での目標トルクとエンジントルクマップに基づき得られたエンジン回転数から算出された第1目標駆動輪速と、TCS禁止領域に入らない目標エンジン回転数に基づいて算出された第2目標駆動輪速のうち、セレクトローの値が目標駆動輪速として決定され、ステップ108にて、この目標駆動輪速に基づいて目標トルクが算出され、ステップ109にて、燃料カットと点火リタードにより、目標トルクを得る加速スリップ制御が行われる。
【0042】
加速スリップ回転数制御が開始されると、ステップ111にて、エンジン回転数NEが、加速スリップ回転数制御の開始回転数よりも低い設定回転数NE2以下で、かつ、アクセル開度TVOが、加速スリップ回転数制御の開始開度よりも低い設定開度TVO1以下となったと判断されると、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御に戻される。
【0043】
次に、効果を説明する。
【0044】
(1) 燃料カット及び点火リタードの併用による加速スリップ制御モードとして、排気系触媒が昇温するTCS禁止領域に入るおそれのあるエンジン回転数NEの領域、つまり、TCS回転数制御領域では、加速スリップトルク制御に代え加速スリップ回転数制御を行うようにしたため、従来のようにシフトアップすることなく変速段が固定のままであってもエンジン回転数NEの上昇が抑えられ、継続して加速スリップ制御を実施することができる。
しかも、従来の制御ループ中に、加速スリップ回転数制御に対応するロジックを追加するだけで、容易に対応可能である。
【0045】
(2) 加速スリップ回転数制御では、第1目標駆動輪速が第2目標駆動輪速よりも小さい場合には、実質的に加速スリップトルク制御が行われ、第2目標駆動輪速が第1目標駆動輪速よりも小さい場合に限り、設定された目標エンジン回転数に基づく加速スリップ回転数制御を行うようにしたため、トルク制御による効果的なスリップ抑制と回転数制御による確実なエンジン回転数上昇抑制とをうまく両立させながら加速スリップ回転数制御を実行することができる。
【0046】
(3) 加速スリップ回転数制御と加速スリップトルク制御とを切り替えるエンジン回転数及びアクセル開度条件にヒステリシスを設けたため、制御モードの切り替えハンチングを防止できると共に、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御への切り替えエンジン回転数を低くしていることで、目標駆動輪速の切り替わりによるエンジン回転数の上昇を防止することができる。
【0047】
(その他の実施の形態)
【0048】
以上、本発明を実施の形態1により説明してきたが、具体的な構成はこれに限られるものでなく、少なくとも図1に示す加速スリップ制御装置の構成を備えている限り、様々な変更や追加が施されても請求項1に記載された発明に含まれる。
【0049】
例えば、実施の形態1では、TCS回転数制御のみによりTCS禁止領域に入るのを回避する例を示したが、従来のアップシフトとTCS回転数制御とを併用した場合、図5に示すように、1速から2速へのシフトアップを併用することで、最大車速を高めることができる。
【0050】
実施の形態1では、加速スリップ制御として、燃料カットと点火リタードを併用し、併用によりエンジン回転のハンチングを防止できる好ましい例を示したが、少なくとも燃料カットによる加速スリップ制御を行うものであれば適用することができる。
【0051】
実施の形態1では、自動変速機を搭載したAT車への適用例を示したが、手動変速機を搭載したMT車にも適用することができる。
【0052】
実施の形態1では、路面摩擦係数μが高μから低μへと急激に変化するμジャンプによるエンジン回転数の急上昇対策について述べていないが、μ推定ロジックを追加して目標駆動輪速の増減ゲインを変更することにより対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における加速スリップ制御装置の要部を示す概念図である。
【図2】実施の形態1の加速スリップ制御装置が適用された駆動力制御システム全体図である。
【図3】実施の形態1における加速スリップ制御装置のTCSコントローラで行われるTCS制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における加速スリップ制御装置のTCSコントローラのメモリに設定されている領域マップを示す図である。
【図5】実施の形態1における加速スリップ制御装置にシフトアップによるエンジン回転数の上昇抑制を加えた場合の車速−エンジン回転数特性図である。
【図6】従来の加速スリップ制御装置で変速位置が固定の場合にTCS禁止領域までエンジン回転数が上昇することを示す車速−エンジン回転数特性図である。
【符号の説明】
a スリップ相当値算出手段
b エンジン回転数検出手段
c マップ設定手段
d 目標駆動輪トルク算出手段
e スリップ判断手段
f 領域判断手段
g 加速スリップトルク制御手段
h 加速スリップ回転数制御手段
i 制御切り替え手段
1 TCSコントローラ
2 エンジンコントローラ
3 A/Tコントローラ
Claims (3)
- 推定車体速と駆動輪速により駆動輪スリップ相当値を算出するスリップ相当値算出手段と、
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
エンジン回転数が排気系触媒の昇温を防止する設定回転数未満、または、アクセル開度が排気系触媒の昇温を防止する設定開度未満の領域を加速スリップ制御許可領域とし、エンジン回転数が設定回転数以上、かつ、アクセル開度が設定開度以上の領域を加速スリップ制御禁止領域とするマップを設定したマップ設定手段と、
算出された駆動輪スリップ相当値に基づいて駆動輪スリップを抑制する目標トルクを算出する目標トルク算出手段と、
前記スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上であるかどうかを判断するスリップ判断手段と、
エンジン回転数検出値およびアクセル開度検出値が属するマップ上での領域を判断する領域判断手段と、
スリップ相当値がスリップ制御開始しきい値以上で、かつ、前記領域判断手段で加速スリップ制御許可領域にあるとの判断時、少なくとも燃料カット制御により、前記目標トルクを得る加速スリップ制御を行う加速スリップトルク制御手段と、
を備えた加速スリップ制御装置において、
前記加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数を設定し、実エンジン回転数を目標エンジン回転数に一致させながら加速スリップ制御を行う加速スリップ回転数制御手段を設け、
前記マップ設定手段を、加速スリップ制御許可領域のうち前記排気系触媒の昇温を防止するエンジン設定回転数より低いエンジン回転数の低エンジン回転数側領域または前記排気系触媒の昇温を防止するアクセル設定開度より小さいアクセル開度の小アクセル開度側領域を加速スリップトルク制御領域とし、高エンジン回転数側領域かつ大アクセル開度側領域を加速スリップ回転数制御領域とするマップを設定している手段とし、
前記領域判断手段でエンジン回転数検出値が加速スリップ回転数制御領域であると判断されると、加速スリップ制御方法を、前記加速スリップ回転数制御に切り替える制御切り替え手段を設けたことを特徴とする加速スリップ制御装置。 - 請求項1に記載の加速スリップ制御装置において、
前記加速スリップ回転数制御手段を、加速スリップトルク制御での目標トルクとエンジントルクマップに基づき得られたエンジン回転数から算出された第1目標駆動輪速と、加速スリップ制御禁止領域に入らない目標エンジン回転数に基づいて算出された第2目標駆動輪速のうち、セレクトローの値を目標駆動輪速として決定し、この目標駆動輪速に基づいて目標トルクを算出し、少なくとも燃料カット制御を含む制御により、目標トルクを得る加速スリップ制御を行う手段としたことを特徴とする加速スリップ制御装置。 - 請求項1又は2に記載の加速スリップ制御装置において、
前記制御切り替え手段を、加速スリップ回転数制御の開始後、加速スリップ回転数制御が開始されるエンジン回転数よりも低い設定回転数になったとき、加速スリップ回転数制御から加速スリップトルク制御に戻す手段としたことを特徴とする加速スリップ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000001751A JP3726182B2 (ja) | 2000-01-07 | 2000-01-07 | 加速スリップ制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000001751A JP3726182B2 (ja) | 2000-01-07 | 2000-01-07 | 加速スリップ制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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