JP3200164B2 - 燃料との接触部を有する鋼板製部品を製作するための鋼板及びその鋼板の製造方法 - Google Patents

燃料との接触部を有する鋼板製部品を製作するための鋼板及びその鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料タンク、キャニス
ター、プレッシャーレギュレ−タ−、燃料フィルタ、ス
トレ−ナ−カップ、フィラ−ネック、フィラーキャッ
プ、燃料ポンプ、デリバリーチューブのハウジング、デ
リバリーチューブのカップ及び電磁燃料ポンプケ−シン
グなどの燃料との接触部を有する鋼板製部品(以下単に
「部品」と云う)の液体又は気体の燃料などと接触する
表面に金属、合金などのめっきを施し、その表面からの
腐食を防止し得る耐食性に優れた部品を製作するための
鋼板及びその鋼板を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から例えば自動車には前記部品が数
多く使用されているが、燃料との接触面の防錆力向上の
ために鋼板材の少なくとも内面にPbーSnめっきを施
されたものが、一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低級ガ
ソリン、サワーガソリン、アルコール及びアルコール混
合燃料、軽油、重油などの腐食性の高い燃料の場合、P
bーSnめっき層に存在するピンホールが、アルコー
ル、アルコール混合燃料などの中に存在する水分や、ガ
ソリンの酸化、アルコールの分解によって生成する有機
酸などによって腐食され易い問題があると共に、前記め
っき層のPbが腐食されるという問題があった。
【0004】また、部品を溶接によって組立て、取付け
などする場合、PbーSnめっき層は溶接熱によって溶
融されるが、濡れ性が悪いために、前記ピンホールはこ
の溶接部に顕著に発生し、耐食性がこの部分で特に劣る
と云う問題もあった。
【0005】本発明は、前記問題を解決し、溶接部のみ
ならず、めっき層にも存在するピンホール部などを覆っ
て耐食性を向上し、更に塑性加工であっても燃料との接
触部は優れた耐食性を有する鋼板製部品を製作するため
の鋼板及びその鋼板の製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記問題を
解決し、前記目的を達成するために研究を重ねた結果、
Ni、Co、及び、これら基合金のうち1種類のめっき
層を形成し、さらに、前記めっき層上に、前記めっき層
形成金属又は合金より融点が低い金属、すなわち、S
n、Sn−Zn、Ni−Pその他の低融点単金属あるい
は合金を形成した鋼板を使用して加熱処理することによ
って目的を達し得ることを見い出して本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明は燃料との接触部を有する
鋼板製部品を製作するための鋼板が、 (1)鋼板の内面にNi、Co、及び、これら基合金の
うち1種類からなるめっき厚みが0.5〜10μmの第
1めっき層を有し、及び、 (2)第1めっき層の上に前記第1めっき層より融点の
低い単金属あるいは合金からなるめっき厚みが0.5〜
10μmの第2めっき層を有し、かつ、 (3)前記第1めっき層と第2めっき層との全めっき厚
みが1〜15μmのもので構成され、更に、 (4)前記第1めっき層と第2めっき層を有する鋼板を
600〜1200℃に加熱処理し、前記第1めっき層と
第2めっき層の間に拡散層を形成させたもので構成され
ることを特徴とし、また前記第1めっき層上に形成され
る第2めっき層が、Sn、Sn−Zn、Sn−Ni、N
i−P、Ni−B、Ni−Znのうち1種類からなるも
のであり、かつ鋼板の内面と第1めっき層の間に、下地
めっき層が介在するものであり、さらに燃料との接触部
を有する鋼板製部品を製作するための鋼板を製造する方
法が、 (1)鋼板の少なくとも内面にNi、Co、及び、これ
ら基合金のうち1種類からなるめっき厚みが0.5〜1
0μmの第1めっき層を形成し、次いで、 (2)前記第1めっき層の上に前記第1めっき層より融
点の低い単金属あるいは合金からなるめっき厚みが0.
5〜10μmの第2めっき層を形成し、 (3)その際、前記第1めっき層と第2めっき層との全
めっき厚みが1〜15μmになるように調整し、次い
で、 (4)前記第1めっき層と第2めっき層を有する鋼板を
600〜1200℃に加熱処理し、前記第1めっき層と
第2めっき層の間に拡散層を形成する、ことを特徴とす
るものである。
【0007】本発明における鋼板は、自動車用の燃料な
どと接触する部分を有する部品の製造に使用される鋼材
を使用すればよい。
【0008】次ぎに、第1めっき層は、従来技術に用い
たPbーSnめっき層に比べてピンホールが少ないN
i、Co、及び、これら基合金のうち1種類を使用し、
鋼板上のめっき法として通常行われている電気的あるい
は化学的めっき法によって膜厚が0.5〜10μmにな
るように形成する。第1めっき層の膜厚が0.5μm未
満では所望の耐食性が発揮されず、一方10μmを超え
ると塑性加工の際にクラックが発生し易く、かつ工数が
かかり高価となる割には効果に差がない。 なお、第1
めっき層の鋼板表面への密着性を高めるためストライク
めっき法などにより第1めっき層及び下地との親和性の
よい金属、例えばNi、Cuおよびこれら基合金などを
下地めっき層として形成することもできる。この際、第
1めっき層の膜厚は下地めっき層の膜厚を含めて0.5
〜10μmの範囲とし、下地めっき層単独では1μm以
下の膜厚とすることが好ましい。
【0009】低融点めっき層である第2めっき層は、融
点が第1めっき層形成金属及びこれら基合金よりも低
い、Sn、Sn−Zn、Sn−Ni、Ni−P、Ni−
B、Ni−Znから選ばれた1種類の単金属又は合金に
より電気的あるいは化学的めっき法によって形成し、第
1めっき層上に、0.5〜10μmの膜厚になるように
施行することが好ましい。第2めっき層の膜厚が0.5
μm未満ではピンホール、及びクラックなどの第1めっ
き層の欠陥部を被覆しきれず耐食性が発揮されず、一方
10μmを超えるとクラック、溜り、剥離が発生し、か
つ工数がかかり高価となる割には効果に差がない。さら
に、第1めっき層と第2めっき層の合計厚さを1〜15
μmの範囲とすることが好ましい。これは膜厚が1μm
未満では耐食性を発揮しにくく、一方15μmを超える
と、塑性加工に際してめっき皮膜にクラックや剥離を発
生し易く工数がかかり高価となる割には効果に差がない
からである。
【0010】前記した塑性加工は、絞り加工、曲げ加
工、張出し加工、カシメ加工などのプレス加工やカ−リ
ング加工などにより実施される。
【0011】また、加熱処理工程は、第2めっき層を溶
融、流動させて第1めっき層の欠陥部を被覆すると共
に、固着に際し溶接などを使用した場合は、溶接熱によ
って発生した新たな欠陥部を被覆し、かつ溶接部附近の
熱影響を除去するために行うもので、600〜1200
℃で5秒間〜15分間処理することが好ましく、温度が
600℃未満では第2めっき層の溶融、流動が不充分で
第1めっき層の欠陥部の被覆が充分行えず、一方120
0℃を超えると結晶粒の成長(粗大化)により母材が熱
劣化してしまう。また時間が5秒未満であると第2めっ
き層の溶融、流動が不充分で第1めっき層の欠陥部の被
覆が充分行えず、かつ溶接などを用いた場合の熱影響の
除去も不充分であり、一方15分を超えると結晶粒の成
長(粗大化)により母材が熱劣化すると共に、生産性が
低下して不経済である。なお、800〜1200℃で1
0秒間〜5分間加熱処理することが一層好ましい。
【0012】すなわち、本発明では鋼板の少なくとも片
面に常法にしたがって所定膜厚のNiめっきなどの第1
めっき層を施行し、その第1めっき層上に、たとえば、
所定膜厚のSnめっき層のような第2めっき層を形成
し、その後このように2層にめっきした鋼板を所定寸法
に裁断し、めっき層面が燃料などとの接触面となるよう
に塑性加工し、必要に応じ端縁部分を電気抵抗溶接法、
高周波溶接法などによって溶接、固着し、さらに、雰囲
気炉、高周波加熱炉などを使用して加熱処理して燃料な
どとの接触面の耐食性が優れた部品を製造する。
【0013】
【作用】一般に、これらの製造工程において、第1のめ
っき層にはピンホールが残存した状態となっているが、
本発明においては、Niめっき層などの第1めっき層に
ピンホールや塑性加工に伴うクラックなどが例え存在し
ていても次の加熱処理工程によって、鋼板の燃料などに
接触する表面側に形成されている第1めっき層より融点
の低いSnめっき層のような第2めっき層が溶融、流動
し、これらをふさぐ作用をする。したがって、部品の燃
料などとの接触面は、Niめっき層などの第1めっき層
上に第2めっき層である低融点めっき層が形成され、ま
た、第1めっき層と第2めっき層との間にはこれら2層
の拡散層が形成され、少なくともピンホール、クラック
部なども低融点めっき層が溶融し覆うことになる。した
がって、鋼素材が露出していない状態になっており、低
級ガソリン、サワーガソリン、アルコール及びアルコー
ル混合燃料などの中に含まれる水分、有機酸などに対し
てバリヤー的に保護して腐食を防ぐことができるもので
ある。
【0014】なお、上記は、燃料と接触する部品につい
て説明したが、本発明はこれに限らず、エンジン冷却水
と接触する部品、圧縮エアーと接触する部品及びオイル
と接触する部品にも用いることができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例を述べる。
【0016】図1は、本発明の一実施例に係る燃料タン
クを示す一部切欠側図、図2は、他の実施例に係るキ
ャニスターハウジングの断面図、図3は、プレッシャー
レギュレーターハウジングの図2相当図、図4は、燃料
フィルターハウジングを半裁で示す図2相当図、図5
は、燃料タンク用パイプフランジの図2相当図、図6
は、ストレーナーカップの図2相当図、図7は、プラジ
ャ−式電磁燃料ポンプケ−シングの図2相当図である。 実施例1 厚さ0.9mm、幅1000mmの帯状鋼板(材質 S
PCE)の片面に常法により第1めっき層としてNiめ
っき層を膜厚5μmに形成した。ついで、このNiめっ
き層上に第2めっき層としてNi−Pめっき層を膜厚3
μmに形成し、第1と第2のめっき層の合計膜厚8μm
に形成した。
【0017】この2層にめっきを施した鋼板を所定寸法
に裁断し、めっき層面が内面になるよう張出し加工によ
り成形した上下2部品をもなか状にシーム溶接し、その
後、900℃で90秒間加熱処理して図1に示す燃料タ
ンク1を製造した。
【0018】得られた燃料タンクの張出し加工した彎曲
隅角部1a及びシーム溶接部1bを切断し、その外面及
び切断面をマスキングして下記表1の4種類の腐食試験
液に表1の試験時間、常温下で浸漬したが、赤錆の発生
などの異常は、認められなかった。又,観察の結果第1
めっき層と第2めっき層の間に拡散層が存在することが
認められた。
【0019】
【表1】
【0020】得られたキャニスタ−ハウジングの外面及
び端面をマスキングし、実施例1と同様の各腐食試験液
に常温下で浸漬したところ、試験液No.2と3につい
ては800時間、またNo.1と4については、300
0時間経過した時点でも赤錆などの発生の異常は認めら
れなかった。又,観察の結果第1めっき層と第2めっき
層の間に拡散層が存在することが認められた。 実施例3 厚さ1.0mmの鋼板(材質 SPCD)の片面に常法
に従いストライクNiめっきを0.3μm施した後、第
1めっき層としてCoめっき層を膜厚5μmに形成し、
次いで第2めっき層としてNi−Bめっき層を膜厚0.
5μmに形成し、下地層と第1及び第2のめっき層の合
計膜厚を5.8μmとした。その後所定寸法に裁断し,
次いで孔明けし、めっき層面が内面になるよう深絞り加
工をし、1130℃で450秒間加熱処理することによ
り2個のニップル3a、3bを銅ろう付けすると共に、
溶融拡散処理を行い、図3に示すようなプレッシャーレ
ギュレーターハウジング3を形成した。
【0021】得られたプレッシャーレギュレーターハウ
ジングの外面、端面及びニップルをマスキングし、実施
例1と同様な各腐食試験液に常温下で浸漬したところ、
それぞれの時間で赤錆などの発生の異常は認められなか
った。又,観察の結果第1めっき層と第2めっき層の間
に拡散層が存在することが認められた。 実施例4 厚さ0.4mmの鋼板(材質 SPCD)の片面に常法
に従いストライクCuめっきを0.5μm施した後、第
1めっき層としてNiめっき層を膜厚4μmに形成し、
次いで第2めっき層としてSn−Niめっき層を膜厚1
0μmに形成し、下地層と第1及び第2のめっき層の合
計膜厚を14.5μmとした。その後所定寸法に裁断し
てめっき層面が内面になるよう深絞り加工をし、850
℃で60秒間加熱することにより、図4に示すような燃
料フィルターのハウジング4を形成した。
【0022】得られた燃料フィルターのハウジングの外
面及び端面をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試
験液に常温下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆
などの発生の異常は認められなかった。又,観察の結果
第1めっき層と第2めっき層の間に拡散層が存在するこ
とが認められた。 実施例5 厚さ1.2mmの鋼板(材質 SPCC)の片面に常法
に従い、第1めっき層としてCoめっき層を膜厚0.5
μmに形成し、次いで第2めっき層としてNi−Bめっ
き層を膜厚5μmに形成し、第1と第2のめっき層の合
計膜厚を5.5μmとした。その後所定寸法に裁断して
孔明け、めっき層面が内面になるようプレス成形加工
し、1200℃で240秒間加熱処理することにより、
図5に示すような燃料タンク用パイプフランジ5を形成
した。
【0023】得られた燃料タンク用パイプフランジの外
面及び端面をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試
験液に常温下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆
などの発生の異常は認められなかった。又,観察の結果
第1めっき層と第2めっき層の間に拡散層が存在するこ
とが認められた。 実施例6 厚さ0.6mmの鋼板(材質 SPHC)の両面に常法
に従い、第1めっき層としてNi−Coめっき層を膜厚
0.5μmに形成し、次いで第2めっき層としてSn−
Znめっき層を膜厚10μmに形成し、第1と第2のめ
っき層の合計膜厚を10.5μmとした。その後所定寸
法に裁断してプレス成形加工し、サクションチューブ側
6aをバーリング加工し、一方メッシュ側6bをカーリ
ング加工をした後、1000℃で120秒間加熱処理す
ることによりストレーナーカップ6を形成した。
【0024】得られたストレナーカップのバーリング部
をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試験液に常温
下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆などの発生
の異常は認められなかった。又,観察の結果第1めっき
層と第2めっき層の間に拡散層が存在することが認めら
れた。 実施例7 厚さ0.5mmの鋼板(材質 SPCC)の片面に常法
に従い第1めっき層としてNi−Bめっき層を膜厚3μ
mに形成し、次いで第2めっき層としてSnーNiめっ
き層を膜厚2μmに形成し、第1及び第2のめっき層の
合計膜厚を5μmとした。その後所定寸法に裁断し,次
いで孔明けし、めっき層面が内面になるよう円筒状に成
形、溶接、ツバ出し、絞り加工し、1130℃で360
秒間加熱処理することにより3個のニップル7a、7
b,7cを銅ろう付けすると共に、溶融拡散処理を行
い、図7に示すようなプランジャ−式電磁燃料ポンプケ
−シング7を形成した。
【0025】得られたプランジャー式電磁燃料ポンプケ
−シングの外面、端面及びニップルをマスキングし、実
施例1と同様な各腐食試験液に常温下で浸漬したとこ
ろ、それぞれの時間で赤錆などの発生の異常は認められ
なかった。又,観察の結果第1めっき層と第2めっき層
の間に拡散層が存在することが認められた。 実施例8 厚さ1.2mmの鋼板(材質 SPCC)の片面に常法
に従い、第1めっき層としてCoーSnめっき層を膜厚
10μmに形成し、次いで第2めっき層としてNi−Z
nめっき層を膜厚5μmに形成し、第1と第2のめっき
層の合計膜厚を15μmとした。その後所定寸法に裁断
して孔明け、めっき層面が内面になるようプレス成形加
工し、800℃で30秒間加熱処理することにより、図
5に示すような燃料タンク用パイプフランジを形成し
た。
【0026】得られた燃料タンク用パイプフランジの外
面及び端面をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試
験液に常温下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆
などの発生の異常は認められなかった。又,観察の結果
第1めっき層と第2めっき層の間に拡散層が存在するこ
とが認められた。 実施例9 厚さ1.0mmの鋼板(材質 SPCD)の片面に常法
に従い第1めっき層としてNiめっき層を膜厚8μmに
形成し、次いで第2めっき層としてSn−Niめっき層
を膜厚0.5μmに形成し、第1及び第2のめっき層の
合計膜厚を8.5μmとした。その後所定寸法に裁断
し,次いで孔明けし、めっき層面が内面になるよう深絞
り加工をし、1130℃で360秒間加熱処理すること
により2個のニップルを銅ろう付けすると共に、溶融拡
散処理を行い、図3に示すようなプレッシャーレギュレ
ーターハウジングを形成した。
【0027】得られたプレッシャーレギュレーターハウ
ジングの外面、端面及びニップルをマスキングし、実施
例1と同様な各腐食試験液に常温下で浸漬したところ、
それぞれの時間で赤錆などの発生の異常は認められなか
った。又,観察の結果第1めっき層と第2めっき層の間
に拡散層が存在することが認められた。 比較例1 厚さ0.9mm、幅1000mmの帯状鋼板(材質 S
PCE)の片面に常法によりNiめっき層を膜厚5μm
に形成した。
【0028】このめっきを施した鋼板を所定寸法に裁断
し、めっき層面が内面になるよう張出し加工により成形
した上下2部品をもなか状にシーム溶接して図1に示す
ような燃料タンクを製造した。
【0029】得られた燃料タンクの張出し加工した彎曲
隅角部及びシーム溶接部を切断し、その外面及び切断面
をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試験液に常温
下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆などの発生
の異常が認められた。 比較例2 厚さ0.9mm、幅1000mmの帯状鋼板(材質 S
PCE)の片面に常法によりNiめっき層を膜厚5μm
に形成した。
【0030】このめっきを施した鋼板を所定寸法に裁断
し、めっき層面が内面になるよう張出し加工により成形
した上下2部品をもなか状にシーム溶接し900℃で9
0秒間加熱処理することにより図1に示すような燃料タ
ンクを製造した。
【0031】得られた燃料タンクの張出し加工した彎曲
隅角部及びシーム溶接部を切断し、その外面及び切断面
をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試験液に常温
下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆などの発生
の異常が認められた。 比較例3 厚さ0.4mmの鋼板(材質 SPCD)の片面に常法
に従いPb−Snめっき層を膜厚6μmに形成した。そ
の後所定寸法に裁断しめっき層面が内面になるように深
絞り加工をし、図4に示すような燃料フィルターのハウ
ジングを形成した。
【0032】得られた燃料フィルターのハウジングの外
面及び端面をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試
験液に常温下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆
などの発生の異常が認められた。 比較例4 厚さ1.2mmの鋼板(材質 SPCC)の片面に常法
に従い、Co−Snめっき層を膜厚5μm形成した後、
そのめっき層上にNi−Bめっき層を膜厚15μmに形
成し、2つのめっき層の合計膜厚を20μmとした。そ
の後所定寸法に裁断して孔明け、めっき層面が内面にな
るようにプレス成形加工し、1000℃で300秒間加
熱処理することにより、図5に示すような燃料タンク用
パイプフランジを形成した。
【0033】得られた燃料タンク用パイプフランジの外
面及び端面をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試
験液に常温下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆
などの発生の異常が認められた。 比較例5 厚さ0.7mmの鋼板(材質 SPHC)の片面に常法
に従いNiめっき層を膜厚0.2μmに形成した後、こ
の層上にSnめっき層を膜厚15μmに形成し、2つの
めっき層の合計膜厚を15.2μmとした。その後所定
寸法に裁断してめっき面が内面になるよう円筒状に曲げ
加工により成形し、合せ目を溶接した後、端部をプレス
加工により拡げて850℃で30秒間加熱処理すること
により図2に示すようなキャニスターのハウジングを形
成した。
【0034】得られたキャニスタ−のハウジングの外面
及び端面をマスキングし、実施例1と同様な各腐食試験
液に常温下で浸漬したところ、それぞれの時間で赤錆な
どの発生の異常が認められた。 比較例6 厚さ1.0mmの鋼板(材質 SPCD)の片面に常法
に従いNiめっき層を膜厚15μmに形成した後、この
層上にNi−Pめっき層を膜厚15μmに形成し、2つ
のめっき層の合計膜厚を30μmとした。その後所定寸
法に裁断し,次いで孔明けし、めっき層面が内面になる
ように深絞り加工をし、1130℃で450秒間加熱処
理することにより2個のニップルを銅ろう付けすると共
に、溶融拡散処理を行い、図3に示すようなプレッシャ
ーレギュレーターハウジングを形成した。
【0035】得られたプレッシャーレギュレーターハウ
ジングの外面、端面及びニップルをマスキングし、実施
例1と同様な各腐食試験液に常温下で浸漬したところ、
それぞれの時間で赤錆などの発生の異常が認められた。
【0036】なお、上記実施例は、燃料と接触する部品
について説明したが、本発明はこれに限らず、サーモス
タットやウオーターポンプのメカニカルシールハウジン
グなどのようなエンジン冷却水と接触する部品、リザー
バータンクやエアードライヤーハウジングなどのような
圧縮エアーと接触する部品及びオイルフィルターカ−ト
リッジやオイルストレーナーキャップなどのようなオイ
ルと接触する部品にも用いることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明は、燃料などとの接触部を有する
鋼板製部品の内面に第1めっき層と、該第1めっき層の
金属より融点が低い第2めっき層とからなる2層のめっ
き層を形成し、第2めっき層を溶融、流動するよう加熱
処理したものであり、クラック、ピンホール、溜り、剥
離などをなくし、優れた耐食性を有すると共に、塑性加
工性に優れた部品を得ることができる優れた効果を有す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る燃料タンクを示す一部
切欠側面図である。
【図2】他の実施例に係るキャニスターハウジングの断
面図である。
【図3】プレッシャーレギュレーターハウジングの図2
相当図である。
【図4】燃料フィルターハウジングを半裁で示す図2相
当図である。
【図5】燃料タンク用パイプフランジの図2相当図であ
る。
【図6】ストレーナーカップの図2相当図である。
【図7】プラジャ−式電磁燃料ポンプケ−シングの図2
相当図である。
【符号の説明】
1 燃料タンク 1a 彎曲隅角部 1b シ−ム溶接部 2 キャニスターハウジング 2a 端部 3 プレシャーレギュレ−タ−ハウジング 3a ニップル 3b ニップル 4 燃料フィルタ−ハウジング 5 燃料タンク用パイプフランジ 6 ストレナ−カップ 6a サクションチュ−ブ側 6b メッシュ側 7 プラジャ−式電磁燃料ポンプケ−シング 7a ニップル 7b ニップル 7c ニップル

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料との接触部を有する鋼板製部品を製
    作するための鋼板が、 (1).鋼板の内面に、Ni、Co、及び、これら基合金の
    うちの1種類からなる めっき厚みが0.5〜10μmの
    第1めっき層を有し、及び、 (2).前記第1めっき層の上に前記第1めっき層より融点
    の低い単金属あるいは 合金からなるめっき厚みが0.5
    〜10μmの第2めっき層を有し、かつ、 (3).前記第1めっき層と第2めっき層との全めっき厚み
    が、1〜15μmのも ので構成され、更に、 (4).前記第1めっき層と第2めっき層を有する鋼板を、
    600℃〜1200℃ で5秒間〜15分間、加熱処理
    し、前記第1めっき層と第2めっき層の間に 拡散層を形
    成させたもので構成される、 ことを特徴とする燃料との接触部を有する鋼板製部品を
    製作するための鋼板。
  2. 【請求項2】 第1めっき層上に形成される第2めっき
    層が、Sn、Sn−Zn、Sn−Ni、Ni−P、Ni
    −B、Ni−Znのうちの1種類からなるものである請
    求項1に記載の燃料との接触部を有する鋼板製部品を製
    作するための鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼板の第1めっき層を形成する側の内面
    と第1めっき層の間に、下地めっき層が介在するもので
    ある請求項1に記載の燃料との接触部を有する鋼板製部
    品を製作するための鋼板。
  4. 【請求項4】 燃料との接触部を有する鋼板製部品を製
    作するための鋼板を製造する方法が、 1). 鋼板の少なくとも内面に、Ni、Co、及び、これ
    ら基合金のうちの1種 類からなるめっき厚みが0.5〜
    10μmの第1めっき層を形成し、次いで 2). 前記第1めっき層の上に前記第1めっき層より融点
    の低い単金属あるいは 合金からなるめっき厚みが0.5
    〜10μmの第2めっき層を形成し、 3). その際、前記第1めっき層と第2めっき層の全めっ
    き厚みが、1〜15μ mになるように前記第1めっき層
    と第2めっき層を形成し、次いで、 4). 前記第1めっき層と第2めっき層を有する鋼板を、
    600℃〜1200℃ で5秒間〜15分間、加熱処理
    し、前記第1めっき層と第2めっき層の間に 拡散層を形
    成する、 ことを特徴とする燃料との接触部を有する鋼板製部品を
    製作するための鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1めっき層上に形成させる第2めっき
    層が、Sn、Sn−Zn、Sn−Ni、Ni−P、Ni
    −B、Ni−Znのうちの1種類からなるものである請
    求項4に記載の燃料との接触部を有する鋼板製部品を製
    作するための鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋼板の第1めっき層を形成する側の内面
    と第1めっき層の間に、下地めっき層が介在するもので
    ある請求項4に記載の燃料との接触部を有する鋼板製部
    品を製作するための鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 燃料との接触部を有する鋼板製部品の製
    造方法において、 1). 鋼板の少なくとも片面に、Ni、Co、及び、これ
    ら基合金のうち1種類 からなるめっき厚みが0.5〜1
    0μmの第1めっき層を形成し、次いで、 2). 前記第1めっき層の上に前記第1めっき層より融点
    の低い単金属あるいは 合金からなるめっき厚みが0.5
    〜10μmの第2めっき層を形成し、 3). その際、前記第1めっき層と第2めっき層の全めっ
    き厚が、1〜10μm になるように前記第1めっき層と
    第2めっき層を形成し、次いで、 4). 前記第1めっき層と第2めっき層を形成した鋼板
    を、めっき層面が燃料と の接触面となるように塑性加工
    して鋼板製部品とし、次いで、 5). 前記鋼板製部品を、600℃〜1200℃で5秒間
    〜15分間、加熱処理 し、第1めっき層と第2めっき層
    の間に拡散層を形成する、 ことを特徴とする燃料との接触部を有する鋼板製部品の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 第1めっき層上に形成される第2めっき
    層が、Sn、Sn−Zn、Sn−Ni、Ni−P、Ni
    −B、Ni−Znのうちの1種類からなるものである請
    求項7に記載の燃料との接触部を有する鋼板製部品の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 鋼板の第1めっき層の形成する側の内面
    と第1めっき層の間に、下地めっき層が介在するもので
    ある請求項7に記載の燃料との接触部を有す る鋼板製部
    品の製造方法。
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