免震建物においては、建物が地震可動時に大変形を生じることに対する建築的な対応が最重要事項である。この大変形は地盤と建物の間に生じる変形で、この場合に生じる免震建物と非免震建物間の相互移動に対応した間隙部(クリアランス)を確保する必要がある。
即ち、免震建物と非免震建物が形成する間隙部は、屋根部や天井部、外壁部や内壁部、そして、人や車の出入り部分に設けられる床部等があり、夫々の間隙部に設置されるエキスパンションジョイントは、設置場所により独自の構造を有して建物間の相互移動に対応した間隙部を確保すると同時に、該間隙部を覆い免震建物と非免震建物間に装架されて地震時の相互移動に対応できるエキスパンションジョイントが必要となる。
斯くして、本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置するエキスパンションジョイント天井部材に関するものである。エキスパンションジョイント天井部材において、最近は免震化の影響で免震建物と非免震建物との躯体間の間隙部(クリアランス)は広がる傾向で、前記エキスパンションジョイント天井部材は、躯体間の間隙部をエキスパンションジョイントカバー部材にて覆い、該カバー材は地震時における躯体間の大きな変形に対応できることが要求されている。
また、エキスパンションジョイント天井部材は、天井スラブ下の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションカバー部材を収めて設置されていることが重要であり、通常時に左右の天井材とエキスパンションジョイントカバー部材とが同一面になるように設置できること、並びに、地震時におけるエキスパンションジョイント天井部材部の伸縮やリフトアップ動作に伴う衝撃音が発生しないないこと、更には、地震可動時の衝撃による損傷でエキスパンションジョイントカバー部材の垂れ下がりや落下に備え、エキスパンションカバー部材を軽量化することが必要である。
而して、エキスパンションジョイント天井部材の地震時における動作方向は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部の幅方向(Xスライド方向)や長手方向(Yスライド方向)への動作、更には躯体の間隙部の高さ方向(Zスライド方向)への動作や、それらの複合動作がある。そして、このような地震時の可動動作に伴い、左右の天井材間に設置されるエキスパンションジョイント天井部材は相互に衝突することが不可避となるが、これを回避するために従来のエキスパンションジョイント天井部材においては、特開2003−176596号公報(以下、特許文献1と称する)のような工夫がなされている。
特許文献1は、間隙部に設けられる目地天井材の一端部を躯体側の天井部に枢軸を介して連結し、先端部を他方の躯体側まで伸ばして水平摺動自在に重合部を形成するとともに、この先端側が他方の天井上側、即ち、裏側にずれ上がり変位可能に構成した目地天井材支持機構が開示されている。
然しながら、特許文献1のような片側支持による目地天井部材の固定構造では、躯体間隙の目地天井部材の荷重が一端部に掛かり先端側に垂れ下がり現象が生じるので、目地天井部の上部に伸縮リンクを設けて天井目地部の吊り下げワイヤーや引張りワイヤー、並びに取付金具やガイドレールを設置せざるを得ない。従って、前記目地天井部材の垂れ下がり防止機構や片側支持による片上がり構造を採用した特許文献1の発明は、これらの可動機構や支持部材が衝突せずに可動できる広い躯体間隙と天井裏(天井スラブ下)空間が必要となり、施工可能箇所が限定されてしまうと云う欠点があった。
また、上記特許文献1の問題点を解消すべく、エキスパンションジョイント天井部材を二つ折りとして躯体間隙の天井部の荷重を両側の回転軸部に分散させ、天井部の回転構造部をこの上側部に収め、狭い天井裏空間でも設置を可能としたエキスパンションジョイント天井部材が、特開2005−325612号公報(以下、特許文献2と称する)に開示されている。
然しながら、特許文献2は、エキスパンションジョイント天井部材を二つ折りとして、該二つ折り部の上部に天井部材の回転構造部を設けており、地震可動時において、左右の天井間隙部が大きく開いた場合にエキスパンションジョイント天井部材の端部と天井部間を連結する目的で連結部材をエキスパンションジョイント天井部材の裏面に重ねわせて設置している構成が必要で、エキスパンションジョイント天井部材の自重がどうしても重くなってしまう欠点がある。
而して、エキスパンションジョイント天井部材の自体の軽量化は、地震可動時の衝撃による損傷によりエキスパンションジョイントカバー部材が落下した場合を想定して、是非とも配慮されなければならいものであり、また、前記特許文献1と同様に天井裏空間部に跳ね上がる二つ折りの天井部材や天井部の回転構造部、そして連結部材の回転動作機構は、天井スラブ下の狭小スペース内にエキスパンションカバー材を収めて設置する際に、施工可能箇所が限定されてしまうと云う大きな欠点を有している。
本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置するエキスパンションジョイント天井部材に関するものである。そして、最近のエキスパンションジョイント天井部材においては、免震化の影響で免震建物と非免震建物との躯体間の間隙部(クリアランス)は広がる傾向がある。本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、躯体間の間隙部をエキスパンションジョイントカバー部材にて覆い、該カバー部材は地震時における躯体間の大きな変形に対応できる間隙部(クリアランス)を有し、地震時における躯体間の大きな変形にも対応することができるエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
また、本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、天井スラブ下の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションカバー材を収めて設置可能であり、通常時に左右に配置される免震建物側天井材と非免震建物側天井材、そしてエキスパンションジョイント天井部材とが同一面になるように設置できること、並びに、地震時におけるエキスパンションジョイント天井部材部の伸縮やリフトアップ動作に伴う衝撃音が発生しないないこと、更には、地震可動時の衝撃や破損によりエキスパンションジョイントカバー部材が落下した場合に備えてカバー部材やカバー部材の動作機構が軽量化されており、それらが地震可動時に円滑に動作する構成を有したエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
本考案は、建物と建物の躯体間下部に懸架され左右の天井間の間隙を塞ぐために設けたエキスパンションジョイントカバー部材において、そのエキスパンションジョイントカバー部材を懸架するためにエキスパンションジョイントカバー部材の一端はXスライド方向に対して摺動可能な複数本のスライドレール端部より懸吊された夫々の上下可動杆により支持されており、また前記エキスパンションジョイントカバー部材の他端は斜角θ°を有する複数本の摺動軸に沿って摺動する夫々の摺動子に保持され斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能な複数個の保持具により支持されている免震エキスパンションジョイント天井部材を提供する。
また、本考案において、エキスパンションジョイントカバー部材は、通常時、免震建物と非免震建物の躯体間下部に懸架された左右の天井間の間隙を塞ぎ左右の天井材とエキスパンションジョイントカバー部材が同一面上に配置されており、前記エキスパンションジョイントカバー部材が塞ぐ左右の天井間の間隙が地震可動時において狭まった際には前記エキスパンションジョイントカバー部材が片側の天井部材に設けられた押し上げ斜材にて押圧されて前記エキスパンションジョイントカバー部材を傾角θ°を有する斜め上方向にリフトアップ摺動させることでZスライド方向に摺動して左右の天井とエキスパンションジョイントカバー部材の破損を防止する免震エキスパンションジョイント天井部材を提供する。
更に、本考案において、エキスパンションジョイントカバー部材を保持して傾角θ°を有する斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能な複数個の保持具、及び摺動軸や摺動子は、免震建物側天井部材の裏面に設けられた摺動軸保持架台上に載置され、該摺動軸保持架台はYスライド方向に摺動可能なYスライドレールに懸架されている免震エキスパンションジョイント天井部材である。
そして、本考案は前記左右の天井間の間隙が地震可動時において狭まった際にエキスパンションジョイントカバー部材を保持して斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップするための摺動軸の傾きは斜角θ°を90°以下に設定した免震エキスパンションジョイント天井部材を提供する。
斯くして、本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置するエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。最近のエキスパンションジョイント天井部材、即ち、エキスパンションジョイントカバー部材においては、免震化の影響で免震建物と非免震建物との躯体間の間隙部(クリアランス)は広がる傾向がある。本考案におけるエキスパンションジョイントカバー部材は、躯体間の間隙部をエキスパンションジョイントカバー部材にて覆い、該カバー部材は地震時における躯体間の大きな変形に対応できる間隙部(クリアランス)を有し、地震時における躯体間の大きな変形にも対応することができるエキスパンションジョイント天井部材を提供することが可能である。
そして、本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、地震可動時においてエキスパンションジョイントカバー部材が塞ぐ左右の天井間の間隙が狭まった際に前記カバー部材を平行もしくは水平に保ちながら斜め上方向にリフトアップ可能であり、天井スラブ下の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションジョイントカバー材を収めて設置可能であり、狭い躯体間隙と天井裏(天井スラブ下)空間を必要とせず施工可能箇所が大幅に拡大することが可能である。
また、本考案は、エキスパンションジョイント天井部材を左右両側で支持することにより天井部材の垂れ下がりを防止して、通常時に左右の天井材とエキスパンションジョイント天井部材とが同一面になるように設置できること、並びに、地震時におけるエキスパンションジョイント天井部材部の伸縮や上下可動動作に伴う衝撃音が発生しない円滑な動きのできるエキスパンションジョイントカバー部材を提供することか可能である。
更に、本考案は、地震可動時の衝撃や破損によりエキスパンションジョイントカバー部材が落下した場合に備えて、カバー部材やカバー部材の動作機構が軽量化されており、それらが地震可動時に円滑に動作する構成にもなり、軽量化やシンプル化したエキスパンションジョイント天井部材は、従来装置に比較して製造コストを大幅に削減することが可能である。
本考案は、エキスパンションジョイント天井部材に関するものであり、特に本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置され地震可動時に建物間の相互移動に対応した円滑な動きを可能に構成して、建物や天井化粧部材を破損させることのないエキスパンションジョイントを提供するものである。
本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置するエキスパンションジョイント天井部材に関するものである。そして、最近のエキスパンションジョイント天井部材においては、免震化の影響で免震建物と非免震建物との躯体間の間隙部(クリアランス)は広がる傾向がある。本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、躯体間の間隙部をエキスパンションジョイントカバー部材にて覆い、該カバー部材は地震時における躯体間の大きな変形に対応できる間隙部(クリアランス)を有し、地震時における躯体間の大きな変形にも対応することができるエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
また、本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、天井スラブ下の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションカバー材を収めて設置可能であり、通常時に左右の天井材とエキスパンションジョイント天井部材とが同一面になるように設置できること、並びに、地震時におけるエキスパンションジョイント天井部材部の伸縮やリフトアップ動作に伴う衝撃音が発生しないないこと、更には、地震可動時の衝撃や破損によりエキスパンションジョイントカバー部材が落下した場合に備えて、カバー部材やカバー部材の動作機構が軽量化されており、それらが地震可動時に円滑に動作する構成を有したエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
斯くして、本考案は、建物と建物の躯体間下部に懸架され左右の天井間の間隙を塞ぐために設けたエキスパンションジョイントカバー部材おいて、該エキスパンションジョイントカバー部材を懸架するためにエキスパンションジョイントカバー部材の一端はXスライド方向に対して摺動可能な複数本のスライドレール端部より懸吊された夫々の上下可動杆により支持されており、また前記エキスパンションジョイントカバー部材の他端は斜角θ°を有する複数本の摺動軸に沿って摺動する夫々の摺動子に保持され斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能な複数個の保持具により支持されていることが好ましい。
また、本考案における前記エキスパンションジョイントカバー部材は、通常時建物と建物の躯体間下部に懸架された左右の天井間の間隙を塞ぎ左右の天井材とエキスパンションジョイントカバー部材が同一面上に配置されており、前記エキスパンションジョイントカバー部材が塞ぐ左右の天井間の間隙が地震可動時において狭まった際には前記エキスパンションジョイントカバー部材が片側の天井部材に設けられた押し上げ斜材にて押圧されて前記エキスパンションジョイントカバー部材を斜角θ°を有する斜め上方向にリフトアップ摺動させることでZスライド方向に摺動して左右の天井とエキスパンションジョイントカバー部材の破損を防止することができる構成であることが好ましい。
更に、本考案における前記エキスパンションジョイントカバー部材を保持して斜角θ°を有する斜め上方向にリフトアップ可能な複数個の保持具及び摺動軸や摺動子は、右側の免震建物側天井部材の裏面に設けられた摺動軸保持架台上に載置され、該摺動軸保持架台はYスライド方向に摺動可能なYスライドレールに懸架されていることが好ましい。
そして、本考案は、前記左右の天井間の間隙が、地震可動時において狭まった際にエキスパンションジョイントカバー部材を保持して斜め上方向へ平行もしく水平にリフトアップするための摺動軸の傾きは斜角θ°を90°以下に設定した免震エキスパンションジョイント天井部材であることが好ましい。
斯くして、本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置するエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。最近のエキスパンションジョイント天井部材、即ち、エキスパンションジョイントカバー部材においては、免震化の影響で免震建物と非免震建物との躯体間の間隙部(クリアランス)は広がる傾向がある。本考案におけるエキスパンションジョイントカバー部材は、躯体間の間隙部をエキスパンションジョイントカバー部材にて覆い、該カバー部材は地震時における躯体間の大きな変形に対応できる間隙部(クリアランス)を有し、地震時における躯体間の大きな変形にも対応することができるエキスパンションジョイント天井部材を提供することが可能である。
そして、本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、地震可動時においてエキスパンションジョイントカバー部材が塞ぐ左右の天井間の間隙が狭まった際に前記カバー部材を水平に保ちながら斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能であり、天井スラブ下の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションジョイントカバー材を収めて設置可能であり、狭い躯体間隙と天井裏(天井スラブ下)空間を必要とせず施工可能箇所が大幅に拡大することが可能である。
また、本考案は、エキスパンションジョイント天井部材を左右両側で支持することにより天井部材の垂れ下がりを防止して、通常時に左右の天井材とエキスパンションジョイント天井部材とが同一面になるように設置できること、並びに、地震時におけるエキスパンションジョイント天井部材部の伸縮や上下可動動作に伴う衝撃音が発生しない円滑な動きのできるエキスパンションジョイントカバー部材を提供することか可能である。
更に、本考案は、地震可動時の衝撃や破損によりエキスパンションジョイントカバー部材が落下した場合に備えて、カバー部材やカバー部材の動作機構が軽量化されており、それらが地震可動時に円滑に動作する構成にもなり、軽量化やシンプル化したエキスパンションジョイント天井部材は、従来装置に比較して製造コストを大幅に削減することが可能である。
本考案の実施例1を図1及び図2に基づいて説明する。図1は実施例1を説明する側断面図、図2は、図1を説明する斜視図であり、図1及び図2は通常時のエキスパンションジョイント天井部材を示している。また、図3は、地震可動時に躯体間の間隙が最少になった状態を示す側断面図、図4は図3を説明する斜視図であり、図5は、地震可動時に躯体間の間隙が最大になった状態を示す側断面図、図6は、図3を説明する斜視図を示しており、図3乃至図6は地震可動時の動作説明図である。
図1乃至図6において、1は免震建物(以下、建物1と称する)、2は非免震建物(以下、建物2と称する)、C1、C2、C3は、建物1と建物2との躯体3、4間に設けられた間隙部(クリアランス)であり、前記C1は通常時の間隙部、C2は地震可動時に躯体間の間隙部が最小になった状態を示しており、C3は地震可動時に躯体間の間隙部が最大になった状態を示している。
而して、躯体3と躯体4の天井スラブ下5、6には免震建物側の天井部材7、非免震建物側の天井部材8が吊り金具9a、9b、9c・・・や吊り金具10a、10b、10c・・・にて懸架されており、前記左右の免震建物側の天井部材7と非免震建物側の天井部材8の間には間隙部C1を塞ぐようにエキスパンションジョイントカバー部材11が前記天井部材7、天井部材8と同一面上に配置されている。また、エキスパンションジョイントカバー部材11が左右の天井部材7、8に対向する端部形状は斜角を有したカバー材端部12a、12bを形成しており、夫々のカバー材端部12a、12bに対向する天井部材7、天井部材8の端部形状もエキスパンションジョイントカバー部材11のカバー材端部12a、12bとは逆方向の斜角を有した小口部13や小口部14が形成されている。
また、前記非免震建物側天井部材8は、天井スラブ下6に吊り金具10a、10b、10c・・にて懸架される天井装架部材15a、15b、15c・・・にて装架され、前記非免震建物側天井部材8の小口部14は、特に天井部材8の間隙が地震可動時において狭まった際に前記エキスパンションジョイントカバー部材11を上部に大きく押し上げることのできる斜角部16を有した押し上げ斜材17を設けている。
そして、前記エキスパンションジョイントカバー部材11の非免震建物側天井部材8側を懸架するためにエキスパンションジョイントカバー部材11の一端は、Xスライド矢印18(図2に示す)方向に対して摺動可能な複数本のスライドレール19a、19b、19c・・・端部より懸吊された夫々の上下可動杆20a、20b、20c・・・により支持されており、該上下可動杆20a、20b、20c・・・により支持されたエキスパンションジョイントカバー部材11は、間隙部C1が収縮する際に斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ摺動でき、また間隙部C1が拡大する際に斜め下方向にリフトダウン摺動が可能である。
尚、スライドレール19a、19b、19c・・・には、上下可動杆20a、20b、20c・・・装着用の摺動長孔21a、21b、21c・・・が穿設されており、該摺動長孔21a、21b、21c・・・が穿設されたスライドレール19a、19b、19c・・・は伸縮摺動部材22a、22b、22c・・・に連結されている。そして、前記伸縮摺動部材22a、22b、22c・・・は、前記天井装架部材15a、15b、15c・・・にアングル材23にて固定され、その構造は、夫々鞘管式重複パイプ部材を構成し内部に伸縮用引張りスプリング24を内蔵して必要に応じてその長さ方向で伸縮自在であり、前記上下可動杆20a、20b、20c・・・にて支持するエキスパンションジョイントカバー部材11を上述の如くリフトアップ摺動やリフトダウン摺動することが可能でこれらの摺動はYスライド方向の動きをエキスパンションジョイント部に与えることになる。
また前記エキスパンションジョイントカバー部材11の他端部、即ち、免震建物側天井部材7側におけるエキスパンションジョイントカバー部材11の支持構造は、斜角θ°(図1に示す)を有する複数本の摺動軸25a、25b、25c・・・に沿って軸上を摺動する夫々の摺動子26a、26b、26c・・・に保持され斜め上方向にリフトアップ可能な複数個の保持具27a、27b、27c・・・により支持されている。そして、前記エキスパンションジョイントカバー部材11の保持具27a、27b、27c・・・、及び摺動軸25a、25b、25c・・・や、摺動子26a、26b、26c・・・は右側天井部材7の裏面に設けられた摺動軸保持架台28a、28b、28c・・・上に載置され、該摺動軸保持架台28a、28b、28c・・・はYスライド矢印29(図2に示す)方向に摺動可能なガイドレール30内に内蔵して摺動する長レール31を介して懸架されている。
尚、前記ガイドレール30は長レール31の任意ピッチを有する支持部材32a、32b、32c・・・に固定されており、該支持架台32a、32b、32c・・・は、天井スラブ下5に懸架された吊り金具9a、9b、9c・・にて建物1側に装架されていて、前記免震建物側天井部材7等もYスライド矢印29の方向に摺動可能に吊架されている。
斯くして、本考案の実施例1は、建物1と建物2の躯体間下部に懸架され左右の免震建物側の天井部材7、非免震建物側の天井部材8間の間隙部C1を塞ぐために設けたエキスパンションジョイントカバー部材11おいて、該エキスパンションジョイントカバー部材11を懸架するためにエキスパンションジョイントカバー部材11の一端はXスライド方向、矢印18に対して摺動可能な複数本のスライドレール19a、19b、19c・・・の端部より懸吊された夫々の上下可動用の上下可動杆20a、20b、20c・・・により支持されており、また前記エキスパンションジョイントカバー部材11の他端は斜角θ°を有する複数本の摺動軸25a、25b、25c・・・に沿って摺動する夫々の摺動子26a、26b、26c・・・に保持され斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ、またはリフトダウン可能な複数個の保持具27a、27b、27c・・・により支持されている免震エキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
また、本考案の実施例1においては,前記エキスパンションジョイントカバー部材11を保持して斜角θ°を有する斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能な複数個の保持具27a、27b、27c・・・,及び摺動軸25a、25b、25c・・・や,摺動子26a、26b、26c・・・は右側の免震建物側の天井部材7の裏面に設けられた摺動軸保持架台28上に載置され、該摺動軸保持架台28はXスライド矢印18方向に摺動可能なスライドレール19a、19b、19c・・・に懸架されている免震エキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
そして、本考案の実施例1は、前記左右の免震建物側と非免震建物側の天井部材8、9間の間隙部C2の如く地震可動時において狭まった際にエキスパンションジョイントカバー部材11を保持して斜め上方向にリフトアップするための摺動軸25a、25b、25c・・・の傾きは斜角θ°を90°以下に設定した免震エキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。
次に、本考案の実施例は、図3乃至図6において、地震可動時の二つの動作を説明する。図3及び図4は地震可動時において間隙部が最大限狭くなった場合を示す断面図、及び斜視図であり、図5及び図6は地震可動時において間隙部が最大限広くなった場合を示す断面図である。
斯くして、本考案は、地震による建物1と建物2間の変形が大きく、例えば間隙部が図3のC2如く狭まった場合において、エキスパンションジョイントカバー部材11の一端は、Xスライド矢印18方向に対して摺動可能な複数本のスライドレール19a、19b、19c・・・端部より懸吊された夫々の上下可動杆20a、20b、20c・・・により支持されており、また、前記天井部材8の小口部14は、天井部材8の間隙が地震可動時において狭まった際にエキスパンションジョイントカバー部材11を上部に大きく押し上げることのできる斜角部16を有した押し上げ斜材17を設けている。そして、前記エキスパンションジョイントカバー部材11の他端は斜角θ°を有する複数本の摺動軸25a、25b、25c・・・に沿って摺動する夫々の摺動子摺動子26a、26b、26c・・・に保持され斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能な複数個の保持具27a、27b、27c・・・により支持されている免震エキスパンションジョイント天井部材である。
従って、本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、地震可動時においてエキスパンションジョイントカバー部材11が塞ぐ左右免震建物側と非免震建物側の天井間の間隙が狭まった際に前記カバー部材11を水平に保ちながら斜め上方向にリフトアップ可能であり、天井スラブ下5、6の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションジョイントカバー材を収めて設置可能であり、狭い躯体間隙と天井裏(天井スラブ下)空間を必要とせず施工可能箇所が大幅に拡大することが可能である。
また、図5及び図6は地震可動時において間隙部C1が間隙部C3の如く最大限広くなった場合を示しており、この場合においては、エキスパンションジョイントカバー部材11の一端は、伸縮摺動部材22a、22b、22c・・・内に内蔵された伸縮用引張りスプリング24にてエキスパンションジョイントカバー部材11が上下可動杆20a、20b、20c・・・を介して非免震建物側天井部材8の方向に引張り、斜め上方にリフトアップされていたエキスパンションジョイントカバー部材11をリフトダウンさせると共に天井部材8とエキスパンションジョイントカバー部材11間に隙間を作ることにより最大限広くなった躯体間の間隙部C3対応する免震エキスパンションジョイント天井部材である。
斯くして、本考案は、免震建物と非免震建物が形成する躯体の間隙部に設置するエキスパンションジョイント天井部材を提供するものである。最近のエキスパンションジョイント天井部材、即ち、エキスパンションジョイントカバー部材においては、免震化の影響で免震建物と非免震建物との躯体間の間隙部(クリアランス)は広がる傾向がある。本考案におけるエキスパンションジョイントカバー部材は、躯体間の間隙部をエキスパンションジョイントカバー部材にて覆い、該カバー部材は地震時における躯体間の大きな変形に対応できる間隙部(クリアランス)を有し、地震時における躯体間の大きな変形にも対応することができるエキスパンションジョイント天井部材を提供することが可能である。
そして、本考案におけるエキスパンションジョイント天井部材は、地震可動時においてエキスパンションジョイントカバー部材が塞ぐ左右の天井間の間隙が狭まった際に前記カバー部材を水平に保ちながら斜め上方向へ平行もしくは水平にリフトアップ可能であり、天井スラブ下の狭小スペース内に地震時の可動用構造材やエキスパンションジョイントカバー材を収めて設置可能であり、狭い躯体間隙と天井裏(天井スラブ下)空間を必要とせず施工可能箇所が大幅に拡大することが可能である。
また、本考案は、エキスパンションジョイント天井部材を左右両側で支持することにより天井部材の垂れ下がりを防止して、通常時に左右の天井材とエキスパンションジョイント天井部材とが同一面になるように設置できること、並びに、地震時におけるエキスパンションジョイント天井部材部の伸縮や上下可動動作に伴う衝撃音が発生しない円滑な動きのできるエキスパンションジョイントカバー部材を提供することか可能である。
更に、本考案は、地震可動時の衝撃や破損によりエキスパンションジョイントカバー部材が落下した場合に備えて、カバー部材やカバー部材の動作機構が軽量化されており、それらが地震可動時に円滑に動作する構成にもなり、軽量化やシンプル化したエキスパンションジョイント天井部材は、従来装置に比較して製造コストを大幅に削減することが可能である。