JP3197726B2 - 建築物内部蓄熱システム - Google Patents

建築物内部蓄熱システム

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JP3197726B2 JP31867493A JP31867493A JP3197726B2 JP 3197726 B2 JP3197726 B2 JP 3197726B2 JP 31867493 A JP31867493 A JP 31867493A JP 31867493 A JP31867493 A JP 31867493A JP 3197726 B2 JP3197726 B2 JP 3197726B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築物の蓄熱システムに
関する。さらに詳しくは本発明は、昼間の屋外の熱エネ
ルギー例えば太陽光線の照射熱を蓄積し、この蓄積した
熱エネルギーを温度の低い夜間に放出させて屋外温度の
温度変化よりも室内の温度変化が少なくなるように制御
してより快適な居住空間を形成するための建築物内部蓄
熱システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から日本の住宅では、南面に大きな
窓などの開口部を形成し、太陽光線を積極的に取り入れ
る構造が採用されることが多い。こうして大きく形成さ
れた南面の開口部からは、昼間は大量の太陽熱を取り入
れることができるが、夜間には外気温が低下することか
らこの開口部からの熱の放出量も大きい。従って、例え
ば冬季の昼間は太陽熱により室内の温度は相当高くなる
が、夜間には開口部からの放熱により室温も相当低下す
る。
【0003】こうした昼間と夜間との温度差を低減して
より快適な居住空間を形成するために建築物を断熱材で
囲繞しているが、わが国の住宅は木造建築であるために
建築物全体の熱容量が小さく、こうした断熱材を配置し
ても昼間の屋外の高い熱エネルギーを夜間まで蓄積する
ことはできない。従って、昼間と夜間の外気温度の差に
よって室内の温度環境も著しく影響をうけているのが現
実である。
【0004】こうしたわが国の住宅事情を考慮して、建
築物全体を断熱材で囲繞して建築物の壁面からの熱移動
を阻止すると共に、冬季の昼間の太陽熱を南側に設けら
れた窓などの開口部から積極的に建築物内部に取り込
み、この熱エネルギーを例えば床下全面に打設されたコ
ンクリート等の蓄熱材に蓄積させ、夜間にこうして蓄積
された熱エネルギーを建築物内部に放出させる蓄熱方法
が提案されている。
【0005】例えば、図6に示したように、床下にコン
クリートを打設して、このコンクリート層からなる蓄熱
体31に、冬季の昼間に南側の窓32などから室内に照
射される太陽エネルギーを蓄熱し、夜間にこの蓄熱体3
1に蓄熱された熱エネルギーを室内に放出して室内を暖
めるようにしている。
【0006】この蓄熱体31には上述のように床面直下
までコンクリートを打設したり、あるいは、べた基礎3
3縁部に立設した布基礎34の内部に土砂等を充填し、
この上から土台35の下端と同じ高さになるようにコン
クリートをさらに打設して天板36を形成して構築され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして蓄熱・放熱を行なって室温を好適な範囲内に
保つためには、この蓄熱体31の敷設面積をできるだけ
大きくする必要がある。
【0008】従って、蓄熱体31自体の重量も相当大き
くなり、このため、通常の住宅よりもベタ基礎33を堅
牢に形成しなければならず、このような基礎を構築する
のに要するコストが非常に嵩むという問題があった。
【0009】本発明は、上記実情に鑑み、木造建築であ
っても熱収支がよく快適な居住環境を形成することがで
きる建築物内部蓄熱システムを提供することを目的とし
ている。さらに、詳しくは、わが国の住宅事情を考慮し
て南側に大きな開口部を有する木造建築物で冬季の昼間
と夜間との温度差の少ない居住環境を形成することがで
きる建築物内部蓄熱システムを提供することを目的とし
ている。
【0010】さらに、本発明は、上記のような快適な居
住環境を容易に形成できる建築物内部蓄熱システムを提
供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の建築物内蓄熱シ
ステムは、建築物の躯体外周に断熱材を包括的に配置し
た建築物内に蓄熱体を配置して、室内の温度よりも建築
物外部の温度が高いときに屋外の熱エネルギーを吸収し
て蓄積し、室内の温度よりも建築物外部の温度が低いと
きに該蓄積した熱エネルギーを建築物内部に放出して一
日の建築物外部の変化温度よりも室内の温度変化を低減
する建築物内部蓄熱システムであり、前記蓄熱体が、前
記建築物の基礎と床材との間に配置された樹脂発泡体ブ
ロック芯材の外周に打設されたコンクリート層であるこ
とを特徴としている。
【0012】さらに、上記のコンクリート層の厚さを5
cm以上、好ましくは7.5〜22.5cmの範囲内にするこ
とにより蓄熱作用が特に良好になる。また、この蓄熱体
は、建築物の布基礎との間に空気流通可能な間隙を設け
て敷設し、さらにこの間隙に必要により空気を流通させ
るために、布基礎に開閉操作可能な床下ダンパーを設け
ることが好ましい。
【0013】
【作用】本発明の建築物内部蓄熱システムでは、蓄熱体
の芯材に樹脂発泡体ブロックを使用している。本質的に
樹脂発泡体に蓄熱作用はないが、本発明者らの検討によ
ると、蓄熱作用は、コンクリート表面近傍で高く、コン
クリートの深い部分では殆ど蓄熱作用を示さない。従っ
て、蓄熱体全体をコンクリートで形成したり、蓄熱体深
部に土砂を充填したとしても蓄熱作用に顕著な向上は見
られず、単に蓄熱体の重量が増加するだけである。
【0014】従って、蓄熱性に影響を及ぼさない蓄熱体
深部を軽量な樹脂発泡体で形成することにより蓄熱体全
体の軽量化を図ることができる。こうして軽量化するこ
とにより建築物のベタ基礎を蓄熱体を敷設するために特
に堅牢にする必要もなく、工費の低減を図ることができ
る。
【0015】また、樹脂発泡体を芯材にして布基礎との
間に空気流通可能な間隙を形成して蓄熱体を形成する際
には、樹脂発泡体芯材がコンクリート打設時の内側型枠
としても作用するために、樹脂発泡体芯材の周囲に蓄熱
体となるコンクリート層の厚さに相当する空間を形成し
て外側の型枠を組み立て、この空間にコンクリートを充
填すると共に樹脂発泡体芯材上にもコンクリートを流涎
することにより、一工程で蓄熱体を形成することができ
る。
【0016】また、樹脂発泡体ブロックが軽量であるた
め、その敷設作業も容易である。
【0017】
【実施例】以下、図1および図2に示した本発明の建築
物内部蓄熱システムの一実施例について説明する。
【0018】本実施例による建築物では、割栗石10の
上部に防湿シート11を敷設し、この防湿シート11の
上部に板状の断熱材12を配置し、この断熱材12の上
にベタ基礎13を構築する。このように断熱材12を配
置することにより蓄熱体の蓄熱性能が地中温度の影響を
受けにくくなると共に、ベタ基礎13自体にも蓄熱作用
を持たせることができる。
【0019】このベタ基礎13の縁部には、布基礎14
が立設されている。この布基礎14の上部に気密シーリ
ングテープ15が配置され、この気密シーリングテープ
15の上に土台16を載置し、ボルト等で布基礎14に
固定する。ここで使用される気密シーリングテープとし
ては、例えば、片面に粘着剤がついた軟質のPVC発泡
体などを用いることができる。
【0020】上記のような布基礎14の外面には板状断
熱材12が配置される。この板状断熱材12としては、
板状樹脂発泡体などの通常使用されている断熱材が使用
される。なお、この断熱材は、風雨に晒されるので、そ
の表面にモルタル17を塗設するなどして、防水性を賦
与することが好ましい。
【0021】また、上記の布基礎14には開閉操作が可
能な床下ダンパー25を複数設置する。このような床下
ダンパー25を設けることにより、例えば夏季の昼間蓄
熱体に熱エネルギーが蓄積されすぎた場合等にこのダン
パー25を開放して蓄積された熱エネルギーを建築物外
部に放出させることができる。
【0022】一方、土台16より下方で床板26で遮蔽
される床下空間には、熱エネルギーを蓄積する蓄熱体1
8が設置されている。蓄熱体18は、樹脂発泡体ブロッ
ク23からなる芯材と、この芯材の外周に打設されたコ
ンクリート層21とからなる。
【0023】この樹脂発泡体ブロック23としては、具
体的には発泡スチレン、発泡ウレタン、発泡ポリオレフ
ィン(例:発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン)な
どの樹脂発泡体から形成されるブロックを挙げることが
できる。このような樹脂発泡体ブロック23は、原料樹
脂を通常20〜60倍、好ましくは30〜50倍程度の
発泡倍率で発泡成形させることにより形成される。こう
して発泡させたブロックには独立気泡が形成され軽量で
あると共に、圧縮強度が高く、しかも耐クリープ性も良
好であるので、相当の荷重がかかっても変形しにくい。
【0024】このような樹脂発泡体ブロック23は、通
常は20kgf/m3 (JIS−K−7222により測
定)の単位体積重量を有し、1%歪時圧縮強度は通常は
5tf/m2 、5%歪時圧縮強度は通常は10tf/m
2 (JIS−K−722により測定)である。即ち、こ
の樹脂発泡体ブロック23は、極めて軽量であると共に
非常に高い圧縮強度を有している。
【0025】このような樹脂発泡体ブロック23をベタ
基礎13上に並べて芯材を形成する。この際、コンクリ
ートを打設した後、布基礎14との間に空気が流通する
ことが可能な間隙27を形成できるように、布基礎14
との間に一定の間隙を形成して樹脂発泡体ブロック23
を載置することが好ましい。通常、布基礎14と、打設
硬化したコンクリート層21との間に15〜50cm程度
の間隙が形成されるように樹脂発泡体ブロックを載置す
る。このように間隙27が形成された際のベタ基礎13
も蓄熱体としての作用を有するこのように布基礎14と
蓄熱体18との間に、空気流通可能な間隙27を形成す
ることにより、布基礎14に設けられたダンパー25を
開放して床下に空気を流通させることができ、本発明の
システムで使用される蓄熱体18に積極的に熱エネルギ
ーを蓄積させるだけではなく、余剰に蓄積した熱エネル
ギーをダンパー25から導入されて布基礎14とコンク
リート層21との間を通過する空気によって建築物外部
に排出させることができる。
【0026】このように載置した樹脂発泡体ブロック2
3は、隣接するブロックが相互に接合するように、係止
具などを用いて相互に係止される。また、この樹脂発泡
体ブロックは、千鳥状に載置することが好ましい。さら
に、このように樹脂発泡体ブロックからなる芯材の端部
が平面を形成するように必要によりブロックを切断して
使用する。
【0027】こうして樹脂発泡体ブロック23を配置し
た後、樹脂発泡体ブロック23からなる芯材の外周に、
コンクリート壁を形成するための型枠を組み立てて配置
する。この場合、樹脂発泡体ブロックを並べることによ
り形成された芯材の外周壁が内側の型枠として作用する
ために、コンクリート壁の内側の面を構築するための枠
材は必要としない。すなわち、樹脂発泡体ブロック23
からなる芯材の外周面が平面上になるために、この面が
コンクリート層21の内部型枠として作用するため、こ
こに別途枠材を配設する必要はないのである。したがっ
て、外周側にのみ枠材を配置すれば、コンクリート壁を
構築するための型枠を形成することができるので、この
蓄熱体18を構築するための作業工程が著しく簡素化さ
れる。
【0028】このように型枠を形成してコンクリートを
打設する空間には鉄筋24が配置される。さらに、コン
クリート層21に相当する空間部にも鉄筋24を配筋す
る。こうして、コンクリート層21を構築するための型
枠や配筋を配置した後、型枠内にコンクリートを打設す
る。その際、型枠の高さ方向には、樹脂発泡体ブロック
23からなる芯材の厚さにコンクリート層21の厚さを
加えた高さまでコンクリートを流涎し、コンクリート層
21を一体に構築する。
【0029】その後、コンクリート層21の上面をコテ
等により押圧し、コンクリートを硬化させることにより
床下にコンクリートからなる蓄熱体18が構築される。
本発明における蓄熱体では、コンクリート層の厚さがあ
る程度厚くなる程、蓄熱量が増加する傾向にある。
【0030】しかしながら、図3に示すように、コンク
リートの厚さが22.5cmを超えて厚くしても、蓄積さ
れる熱エネルギーの増加量は極めてわずかであり、その
重量の増加分と蓄積される熱エネルギーの増加量とから
22.5cmを超えてコンクリート層の厚さを厚くする必
然性に乏しい。特に18cm、さらに15cmを超えると、
蓄積熱エネルギーは殆ど増加しないので、このコンクリ
ートの厚さは17.5cm以下、さらに15cm以下とする
ことが好ましい。
【0031】また、このコンクリート層の厚さが2.5c
mである程度の蓄熱作用が発現するので、本発明におけ
るコンクリート層の厚さの下限は2.5cmである。また
図3、特に図4から明らかなように、室温を好適温度環
境である18℃に設定しようとすると、コンクリート層
の厚さを5cm以上、好ましくは7.5cm以上、特に好ま
しくは10cm以上にするとよい。
【0032】なお、図3および図4に示すグラフは、外
気温度が約0℃〜10℃、日射量が約400〜1000
Kcal/m2hの範囲で変動したときの3日間の室内温度を測
定したものであり、図3において、曲線1はコンクリー
ト層厚さ0.1cm、曲線2には2.5cm、曲線3には5.
0cm、曲線4には7.5cm、曲線5には10.0cm、曲線
6には12.5cm、曲線7には15.0cm、曲線8には1
7.5cm、曲線9には20.0cm、曲線10には22.5c
mにおける室温の変化を示している。
【0033】このようにして樹脂発泡体ブロック23を
芯材としてこの芯材外周にコンクリートを打設し硬化さ
せて蓄熱体18を形成した後、この蓄熱体18の形成に
使用した型枠を撤去する。
【0034】また、このようにして構築される蓄熱体1
8の高さはベタ基礎13から床材下部までの高さであ
り、通常は300〜600mm程度である。そして、布
基礎14とこの蓄熱体18との間に間隙27を形成した
場合には、この蓄熱体の側面のコンクリート壁も蓄熱体
として作用し得る。
【0035】蓄熱体18の蓄熱熱容量は、上記のように
蓄熱体であるコンクリートの厚さよりも蓄熱体面積によ
る影響が大きい。この蓄熱体18の表面積は、建築物の
延べ床の10%以上にすることが好ましく、さらに空気
流通可能な間隙27の形成幅を差し引いて建築物の延べ
床の10〜50%の範囲内とすることが特に好ましい。
【0036】また、この蓄熱体の上面(天板面)は、建
築物の床材から近接して設けられていることが好まし
い。即ち、床材26と蓄熱体18の上面との間に過度に
広い空気層などが介在すると、室内に取り込まれた熱エ
ネルギーが蓄熱体18に伝導しにくくなり、蓄熱効率が
低下する。通常この蓄熱材18上面と床材26との距離
は0〜10mm程度である。即ち、両者が密着していて
もよいし、密着しないまでも殆ど密着状態に近い位置関
係を有していることが好ましい。
【0037】こうして床下に蓄熱体18を形成した後、
こうした蓄熱体18を有する基礎上に通常の方法により
建造物を構築する。この建築物の形態等に特に制限はな
いが、太陽光を建築内部に積極的に取り入れて屋外から
の太陽熱エネルギーを蓄熱するために建築物の南側にで
きるだけ大きな窓などの開口部を形成することが好まし
い。また、本発明のシステムを利用する建築物は、一
旦、建築物内に取り込まれた外部の熱エネルギーを蓄熱
体18に蓄積して、温度が低くなった夜間等にこの蓄熱
された熱を建築物内に放出させて快適な居住空間を形成
するのであるから、建築物躯体面から予定しない熱の放
出等があると建築物全体の熱収支がバランスが崩れる。
従って、本発明のシステムを採用する建築物は、包括的
に断熱材で囲繞されている必要がある。こうした断熱材
の配置方法には、躯体の室内側に断熱材を配置する内断
熱と、躯体の屋外側に断熱材を配置する外断熱とがあ
り、本発明では、外断熱により建築物を断熱材で包括的
に囲繞することが好ましい。
【0038】即ち、本発明では蓄熱体としてメイン蓄熱
体として床下に配置した樹脂発泡体ブロック23を芯材
とするコンクリート層を用いているが、建築物の躯体自
体にも蓄熱作用はあるので、このような建築物を形成す
る部材が有する蓄熱作用をも有効に利用することによ
り、より蓄熱性の高い建築物とすることができる。この
ためには、こうした建築物を形成する部材の外側に断熱
材を配置して、躯体等に蓄積された熱をも利用すること
が好ましいのである。
【0039】図5に、床材、壁材あるいは天井材として
蓄熱材を用いた場合のこのシステムの蓄熱効果の差異を
示す。図5において1で表される曲線は、床、壁および
天井材に蓄熱作用を有する素材を用いた場合の室温の変
化を示すものであり、曲線2は壁と天井に蓄熱作用を有
する素材を用いた場合の室温の変化を示すものであり、
曲線3は床にのみ蓄熱作用を有する素材を用いた場合の
室温の変化を示すものである。また、曲線4は、こうし
た蓄熱性を有する素材を床、壁、天井のいずれにも使用
しなかった場合の室温の変化を示すものである。
【0040】上記のように建築物の南側開口部から照射
した太陽光による熱エネルギーは、当然メイン蓄熱体で
ある床下に設けられたコンクリート層21に蓄熱される
が、その他に、床、壁等にも蓄熱される。さらにここで
驚くべきことに天井には太陽光は直接当たらないにも拘
わらず、この天井材として蓄熱性を有する素材を用いる
殊により、天井材にも蓄熱される。
【0041】上記のような床、壁、天井を形成する素材
のうちで、蓄熱作用を有するものの例としては、石膏ボ
ード、コンクリート板、煉瓦壁をはじめとして、その
他、通常使用されている蓄熱材を挙げることができる。
従って本発明では、建築物の床、壁、天井の少なくとも
一の面、好ましくはこれらの全ての面を上記のような蓄
熱性を有する素材で形成することが好ましい。
【0042】本発明の建築物内蓄熱システムは、以下の
ようにして使用される。冬季の昼間の太陽光線を本発明
のシステムを採用する建築物の南側窓などの開口部から
室内に採り入れる。例えば東京近傍では冬季であっても
太陽による照射エネルギー量は1000Kcal/m2・h程度
になることがあり、窓などを締め切った状態で建築物内
部に風が流通しないようにし、さらに建築物を包括的に
囲繞すれば、窓から照射する太陽光線による建築物内部
に供給される熱量は相当な量になる。本願発明ではこの
熱エネルギーは主として床下に設けられた蓄熱体に蓄熱
される。また、床、壁、天井等を蓄熱性を有する素材を
用いて形成した場合にはこれらの部材にも熱エネルギー
が蓄積される。即ち、このシステムを採用する建築物
は、その周囲に断熱材が隙間なく配置されているのであ
り、一旦室内に取り込まれば熱エネルギーは建築物の壁
面や屋根面から外部に放出されにくく、温度の低い蓄熱
体に吸収されてここに蓄積される。
【0043】一方、外気温度が下がる夜間には、相対的
に室温も下がるが、本発明のシステムを採用する建築物
内では、昼間熱エネルギーを蓄積して、その温度が高く
なっている蓄熱体18から熱エネルギーが建築物内部に
放出され、室温を上昇させる。従って、冬季の夜間であ
ってもわずかな補助暖房などを使用するだけで快適な居
住環境を形成できる。なお、本発明のシステムを採用す
る建築物は、建築物全体を囲繞するように断熱材が配置
されているので、蓄熱体18から放出された熱エネルギ
ーを効率よく利用することができる。
【0044】なお、夏季のようにこうした蓄熱を必要と
しない季節には、例えば窓等を厚手のカーテンなどで遮
光して建築物内部に熱エネルギーが取り込まれないよう
にすると共に、外気温度が下がった夜間に布基礎14に
設けらえれたダンパー25を開放するなどして蓄熱体1
8と布基礎14との間の間隙27に冷気を流通させるこ
とにより、蓄積熱をダンパー25から建築物外部に排出
して、蓄熱体自体を冷却することができ(負の蓄熱をす
ることができ)、昼間この冷却された蓄熱体18に余剰
の熱を吸収させることにより、建築物内部の温度を低く
することができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の建築物内
蓄熱システムを採用することにより、蓄熱体によって外
部の温度変化の影響が緩和されるので、快適な居住環境
を形成することができる。しかも、このように優れた効
果をもたらす蓄熱体は、芯材が軽量の樹脂発泡体ブロッ
クで形成されているのでこの蓄熱体自体が軽量になるた
め、この蓄熱体が敷設されるベタ基礎などを特に補強す
る必要もなく、通常の基礎の上に構築することができ
る。さらに、ブロック状の形態を有する樹脂発泡体を積
み上げて芯材として使用しているので、この芯材の壁面
が型枠として作用するために内側の型枠を形成する必要
がない。従って、この蓄熱体の敷設作業が著しく簡素化
されると共に低コストで蓄熱体を構築することができ
る。このような利点は、同じ樹脂発泡体であっても仮に
粒子状の樹脂発泡体を用いた場合には得られない利点で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施例に係る太陽熱利用の
蓄熱装置を備えた床下部を一部破断して示す斜視図であ
る。
【図2】 図2は同実施例による蓄熱装置の断面図であ
る。
【図3】 図3は蓄熱層であるコンクリート層の厚さと
蓄熱効果の関係の一例を示すグラフである。
【図4】 図4は、蓄熱層であるコンクリート層の厚さ
と室温変動の緩和状態の一例を示すグラフである。
【図5】 図5は、床下蓄熱体以外の蓄熱材がこのシス
テムの蓄熱作用に及ぼす影響の例を示すグラフである。
【図6】 図6は従来の蓄熱装置を備えた建築物の断面
図である。
【符号の説明】
14 布基礎 18 蓄熱体 21 コンクリート層 23 樹脂発泡体ブロック 25 ダンパー 26 床材 27 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/74

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の躯体外周に断熱材を包括的に配
    置した建築物内に蓄熱体を配置して、室内の温度よりも
    建築物外部の温度が高いときに屋外の熱エネルギーを吸
    収して蓄積し、室内の温度よりも建築物外部の温度が低
    いときに該蓄積した熱エネルギーを建築物内部に放出し
    て一日の建築物外部の変化温度よりも室内の温度変化を
    低減する建築物内部蓄熱システムであり、 前記蓄熱体が、前記建築物の基礎と床材との間に配置さ
    れた樹脂発泡体ブロック芯材の外周に打設されたコンク
    リート層であることを特徴とする建築物内部蓄熱システ
    ム。
  2. 【請求項2】 前記コンクリート層の厚さが7.5〜2
    2.5cmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項
    記載の建築物内部蓄熱システム。
  3. 【請求項3】 前記蓄熱体を建築物の布基礎との間に空
    気流通可能な間隙を設けて敷設すると共に、該布基礎に
    開閉操作可能な床下ダンパーを設けたことを特徴とする
    請求項第1項記載の建築物内部蓄熱システム。
  4. 【請求項4】 前記建築物の床面、壁面および天井面よ
    りなる群から選ばれる少なくとも一種類の面を蓄熱性材
    料で形成することを特徴とする請求項第1項乃至第3項
    のいずれかの項記載の建築物内部蓄熱システム。
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