JP5351374B2 - 建築物の外装仕上げ構造とその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の外装仕上げ構造とその施工方法に関し、詳しくは、住宅などの建築物において、屋内および屋外の温度環境を改善することを意図する外装仕上げ構造を対象にしている。
建築物の屋内空間と屋外空間とを仕切る外壁の構造に、断熱材などを用いて高断熱構造とすることは、既に良く知られ、現実にも広く採用されている技術である。
特に、外壁構造のうち、屋外側に断熱性を持たせる外断熱構造を採用すると、屋内空間の暖房や冷房の効率が向上したり、壁の内部で結露が発生し難くなったりするなどの利点があるとされている。
このような外断熱構造では、断熱層の上を押さえモルタルで覆ったり、セメント系硬化板を敷き詰めたりして、比較的に強度に劣る断熱層を保護している。
例えば、特許文献1には、屋上のコンクリートスラブの上に、防水層、発泡合成樹脂フォーム等の断熱材、および、軽量気泡コンクリートからなる屋上外断熱材保護用ブロックを施工する技術が示されている。軽量気泡コンクリートのブロックが断熱材を抑え保護する機能を果たすとともに、全体の断熱性も向上できるとされている。
これとは別に、建築物の外壁構造に保水機能を持たせることが提案されている。
例えば、特許文献2には、屋上などのコンクリートスラブ上に、繊維補強セメント板の廃材などを原料にして空隙率や細孔分布が適切に設定された無機質焼成品を敷設することで、保水を可能とした断熱構造体の技術が示されている。表面に散水して保水させておけば、水分が徐々に蒸発することで、コンクリートスラブ側への日射熱などの伝達を抑制する断熱機能が発揮できるとされている。
特許文献3には、屋上表面に保水性セラミックブロックを敷設することで、雨水を吸収保持して、蒸発潜熱によって温度低減を果たす技術が示されている。
特開2000−104384号公報 特開2004−316364号公報 特開2000−145052号公報
前記した屋上などに保水性の材料層を設ける技術では、降雨があるか強制的に散水しなければ、保水性材料層に十分な量の水分を保持させることができず、目的とする断熱効果や蒸発による冷却機能などを発揮させることができない。
建築物の屋上に散水設備を設置するには設備コストおよび保守管理の手間がかかる。特に、一般的な戸建て住宅のような小規模な建築物では経済的に難しい。降雨による水の供給を待つだけでは、降雨量の少ない地域や時期には、目的の機能が発揮できない。我が国の一般的な気象条件では、日射が強い酷暑期に降雨が少ないことが多く、断熱や冷却の効果が最も求められるときに有効に働かないことになってしまう。
本発明の課題は、前記したような屋上などに保水層を設ける技術が有する問題点を解消し、降雨あるいは散水設備がなくても、日射熱による外壁構造の過熱を防ぎ、ヒートアイランド現象の軽減を効率的に達成できるようにすることである。
本発明にかかる建築物の外壁構造は、建築物のうち屋外に面する個所に施工される外装仕上げ構造であって、前記建築物の屋内と屋外とを仕切る壁状構造体と、前記壁状構造体の屋外側に配置される断熱材層と、前記断熱材層の屋外側に配置されて屋外の空気と接触する保湿層と、を備え、前記保湿層が、最大吸湿量10%以上の無機吸放湿材料を5〜100重量%含有し、JIS-A-1470-1に規定する吸放湿試験(高湿域)による吸放湿量が100g/m以上である、ことを特徴とする。
〔建築物の外装仕上げ構造〕
建築物としては、通常の戸建て住宅その他の各種建築物に適用できる。集合住宅やオフィスビル、商業施設、工場、公共施設、高層建築物にも適用可能である。
建築物の外装仕上げ構造としては、日射熱を受けて昇温し易い屋上やバルコニーなどの水平な壁面のほか、水平面から傾斜した屋根面にも適用できる。さらに垂直面である外側壁にも適用できる。
以下の記載では、これら屋上、屋根、外側壁などを含めて、建築物のうち外装仕上げ構造を施工する、屋外に面する個所の構造を外壁あるいは外壁構造と呼ぶ。
〔壁状構造体〕
壁状構造体は、建築物の屋内と屋外とを仕切り、外装仕上げ構造を施工する基本となる構造部分である。
通常の建築物と同様の材料、構造および施工方法が適用できる。
壁状構造体として、コンクリート構造体が採用できる。コンクリート構造体は、内部に鉄筋や鉄骨その他の補強構造が埋め込まれているものであってもよい。鉄骨や木材による梁や柱で骨組が構築された壁状構造体も採用できる。骨組の表面や中間に、セメント系硬化材やセラミック材などからなる外装面材を貼り付けた構造も採用できる。壁状構造体には、構造強度を負担する基本構造のほかに、断熱材や防音材、防湿材、防水材などの各種機能を有する部材が組み込まれていてもよい。
壁状構造体は、建築物の施工現場で構築されるものであってもよいし、予め、工場などで製造された外壁パネルを、建築物の施工現場に設置し組立てて外壁面の全体を構築するものであってもよい。このような外壁パネルに、断熱材層や保湿層、室内空間側の内装材や壁の内部構造などが一体形成されていてもよい。
〔断熱材層〕
断熱材層は、壁状構造体の屋外側に配置される。屋外空間と壁状構造体および屋内空間との間における断熱を図る。
断熱材層としては、通常の建築技術における断熱層の材料や構造、施工技術が適用できる。特に、外断熱の技術が適用できる。断熱材層の材料として、合成樹脂の発泡体やロックウール、グラスウール、無機多孔質材などが用いられる。中でも、ポリスチレン発泡押出成形ボードは、独立気泡で構成されているため、吸水性が低く長期に渡って優れた断熱性を維持できるとともに、耐圧性能が優れている点で好ましく使用できる。その他、予めボードやシート状に製造されたもののほか、壁状構造体の表面に断熱材料あるいは断熱硬化材料を吹き付け硬化させて断熱材層を形成するものでもよい。特性の異なる複数種類の断熱材を積層しておくこともできる。
断熱材層の熱伝導率が、0.05W/m・K以下であれば、優れた断熱性を発揮できる。
断熱材層が非透湿性、非透水性であれば、保湿層からの水分の浸透を阻止できる。
断熱材層の厚みは、通常、分厚いほど断熱性は高くなるが、外壁の厚みが増え過ぎたりコストが高くついたりするので、適切な厚み範囲に設定することが望ましい.具体的には、材質によっても異なるが、厚さ10〜200mmの範囲に設定できる。
〔保湿層〕
断熱材層の屋外側に配置され、屋外の空気と接触することになる。
保湿層は、屋外空間の湿気を吸収して保持する機能、および、保持した湿気の水分を屋外空間に放湿する機能との両方に優れている。具体的には、JIS-A-1470-1に規定する吸放湿試験(高湿域)による吸放湿量が50g/m以上である。好ましくは、吸放湿量100g/m以上である。
一般に建物の外装に使用される建築材料は、素材が吸放湿性を有する材料でないものが多いため、吸放湿量が50g/mより低い材料が多く、本発明で期待する保湿層としての機能を有していない。
吸放湿機能と、吸放水機能あるいは保水機能とは異なる。吸放水あるいは保水の機能は、液体状態の水と接触して吸収し保持するのに対し、吸放湿機能では、空気中に含まれる水蒸気あるいは湿気の状態の水を吸収して保持する。但し、保湿層が、吸放湿機能に加えて吸水の機能を備えていてもよい。
吸放湿機能に優れた保湿層としては、珪質頁岩などの無機吸放湿材料を配合しておくことが有効である。無機吸放湿材料として、鹿沼土、アロフェン、イモゴライト、シリカゲル、セピオライトなども挙げられる。中でも、珪質頁岩やシリカゲルなどは、最大吸湿量が10%以上の優れた吸湿性能を有しており、本発明の保湿層に配合される吸放湿材料として好ましい。
ゼオライト等、一般に使用される吸放湿材料は、最大吸湿量が5%以下のものが多く、こうした吸放湿材料を使用する場合、吸湿性を確保するために多くの配合量が必要となり、強度や耐凍害性などの点で問題があり、実用できるものを製作することが困難となることがある。
保湿層の保湿能力を確保するには、厚さを厚くし、無機吸放湿材料の配合量を一定以上確保する必要があるが、その場合は、粒状で、且つ、粒強度の大きな珪質頁岩が好ましい。珪質頁岩は、粒強度が高く、比重が、0.8〜1.0程度であり、軽量化による断熱効果及び表面温度低減効果に優れる。
珪質頁岩の配合量を、10重量%以上、出来れば、20重量%以上に設定すると、保湿効果が高く、夜間の高湿度時に、多くの湿気を吸湿し、温度低減効果に優れた保湿仕上げ層となる。
アロフェン、イモゴライト、シリカゲルは、粉末であり、粒状にするには、造粒する必要がある。前記した珪質頁岩に比べると、粒強度も弱く、多量に配合することが難しい場合がある。
吸放湿材料は、通常、平均粒径0.1〜10mmの粒塊状で使用することが望ましい。0.1mm以下の粉末も配合しても良いが、粉末の表面積が大きくなるため、混合時の加水量が多くなり、硬化収縮時のクラックの原因と生るため、20重量%以下程度に配合する必要がある。出来れば、15重量%以下に抑える必要がある。
無機吸放湿材料として、毛細管凝縮し、優れた吸放湿性を有する細孔の平均孔径が10〜80Å(=1〜8nm)、BET比表面積が50〜500m/gであるものが好ましい。細孔が大きくなり過ぎると、吸水し易いが吸湿し難くなる。
保湿層は、硬化性を有する無機吸放湿材料であれば、無機吸放湿材料のみで構成することもできるし、無機調湿材料とバインダーその他の成分とを組み合わせて構成することもできる。保湿層に含まれる無機調湿材料の割合を、5〜100重量%(固形分換算)に設定しておくことができる。無機調湿材料が多いほど保湿機能は高まるが、生産性を良くしたり機械的強度などを確保したりするには、必要量のバインダーなどを用いるほうがよい。
無機調湿材料を配合した塗工材を所定の厚みに塗工し硬化させた塗工材層が採用できる。塗工材には、無機調湿材料のほかに、セメントや石膏、樹脂、粘土などのバインダー成分を配合しておくことができる。塗工材には、水などの溶媒のほか、骨材や補強繊維、着色材などを配合しておくこともできる。成型板を用いても良いし、現場で施工し固めても良い。塗工材と同様の材料を焼成してなる焼成材層も採用できる。焼成材料には、粘土やガラス、亜鉛華など溶剤の焼成バインダー成分を配合しておくことができる。
保湿層は、必要とされる保湿量を確保し、機械的強度も持たせるために、十分な厚みを有していることが望ましい。通常、厚さ5〜100mmの範囲に設定できる。好ましくは、厚さ10〜50mmである。保湿層が分厚過ぎると、表面から奥までの水分の移行が十分に行えず、保湿機能が十分に発揮し難くなる。又施工も何層にも行う必要があり、施工工数が大となる。50mmまでの範囲で、吸湿性に優れた保湿層を形成するには、珪質頁岩を、10重量%以上配合すると優れた保湿層が形成できる。
保湿層は、外壁の表面を構成して、外部環境の日射や熱などに耐え、機械的な強度も備えている必要がある。成型板の場合は、機械的強度として、引張強度10N/cm以上、曲げ強度100N/cm以上を備えているものが好ましい。寒冷地に施工される建築物の場合は、保湿層が凍害によって損傷しないように、耐凍害性に優れたものが望ましい。
〔その他の層構造〕
外壁構造には、上記した壁状構造体、断熱材層および保湿層に加えて、各種の機能を果たす層を設けておくことができる。
例えば、壁状構造体と断熱材層との間に防水層を配置しておくことができる。防水層は、保湿層から断熱材層を経て浸入してくる水分が、壁状構造体よりも内側に浸入することを防止する。防水層としては、通常の建築技術における防水材料や防水施工技術が適用できる。例えば、防水シートを貼り付けたり、アスファルト防水施工やFRP防水施工を採用したりすることができる。
断熱材層と保湿層との間に絶縁層を配置しておくことができる。絶縁層は、保湿層から断熱材層への水分の侵入を阻止する防水機能や、日射熱や紫外線などを遮蔽する機能や、塵埃や異物の侵入阻止機能、防蟻機能など、保湿層と断熱材層との間を物理的あるいは化学的に絶縁する機能を果たす。絶縁層としては、通常の建築技術において、上記したような機能を果たすのに有効とされている材料や施工技術を採用することができる。なお、絶縁層では、前記した機能のうち、必要とされる一つあるいは複数の機能を果たすことができればよい。例えば、前記したように、壁状構造体と断熱材層との間に防水層が配置されている場合は、絶縁層には防水機能を持たせなくてもよい場合がある。
具体的な絶縁層としては、各種合成樹脂からなるフィルムや不織布などのシート状物が利用でき、中でも透湿性及び防水性を有する不織布シートを利用すれば、保湿層から断熱層に侵入する雨水を阻止できるとともに、室内や壁状構造体から断熱層を透過して排出される水蒸気を、絶縁層で遮断することなく屋外に排出することができる。
〔外装仕上げ構造の施工〕
上記した外装仕上げ構造を施工するには、基本的に、通常の建築物における外壁構造の施工技術が適用できる。
例えば、建築物の施工現場で外壁構造を構成する各層を順次施工する現場施工、あるいは、外壁構造の全層あるいは一部の層構造が一体形成された外壁パネルを工場などで製造しておき、建築現場に外壁パネルを搬送して組み立てるパネル工法が採用できる。一部をパネル工法で施工し、残りを現場施工で完成させることもできる。
現場施工の方法として、以下の工程を組み合わせることができる。
建築物の屋内と屋外とを仕切る壁状構造体を施工する工程(a)と、壁状構造体の屋外側に断熱材層を施工する工程(b)と、断熱材層の屋外側で、屋外に露出させて、吸放湿性を有する保湿層を施工する工程(b)とである。
壁状構造体および断熱材層の施工は、通常の建築物における外断熱施工と同様に行えばよい。
保湿層の施工は、先に施工された断熱材層の表面に、保湿層を形成する塗工剤を所定の厚みに塗工し、硬化させればよい。基本的には塗り壁やモルタル床などの施工技術が適用できる。予めパネル状やタイル状に製造された保湿層の板材を、断熱材層の上に並べて敷き詰めることもできる。保湿層板材は、釘打ちや接着、係合金具などの手段で断熱材層あるいは断熱材層の下の壁状構造体に固定させることができる。施工された保湿層板材の隙間を、硬化性材料で埋めたり、施工された保湿層の表面に、透湿性の塗料を塗装して仕上げたりすることもできる。
本発明にかかる建築物の外装仕上げ構造は、壁状構造体の屋外側に、断熱材層を介して、吸放湿性の高い保湿層を備えていることにより、表面に散水しなかったり降雨がなかったりしても、空気中に含まれる湿気の水分を保湿層が効率的に吸収し保持することができる。
保湿層に水分が吸収保持された状態で、外装仕上げ構造に日射が当たると、保湿層から水分が蒸発する際に大量の蒸発熱を奪い、保湿層を含む外装仕上げ構造が過度に昇温されることを効果的に抑制する。外装仕上げ構造の表面から屋外空間へと過剰な熱が放出されることがなくなり、建築物からの熱放出によるヒートアイランド現象を軽減させることができる。
〔外装仕上げ構造〕
図1は、本発明の外装仕上げ構造を備えた建築物の構造を模式的に示している。
建築物10は、屋内空間Iと屋外空間Oとを仕切る基本的な外壁の構造体を、コンクリート構造体20で構成している。コンクリート構造体20は、建築物10のうち、地盤Eに埋め込まれた基礎部分から、床面、外側壁、屋上面を含み、全体が箱状をなしている。コンクリート構造体20は、コンクリートの現場打設で構築されたり、予め工場などで生産されたパネルを、建築現場で組み立てて構築されたりする。コンクリート構造体20の内部には鉄骨や鉄筋が埋め込まれている。
屋内空間Iは、周囲をコンクリート構造体20で囲まれている。図示を省略したが、コンクリート構造体20の屋内側には、内装材や表装材などが施工され、屋内空間Iは、間仕切り壁などで仕切られている。コンクリート構造体20には、出入り口や窓などの開口も設けられるが図示を省略している。
コンクリート構造体20の屋外側は、屋上面および外側壁の全体にわたって、断熱材層30および保湿層40が順次配置されている。建築物10の屋外面には保湿層40が露出している。
断熱材層30は、十分な厚みのある発泡ポリスチレン押出成形ボードを敷き詰めてコンクリート構造体20に支持させている。
保湿層40は、吸放湿性材料が配合された塗工剤を、断熱材層30の上に塗工し硬化させて形成している。
〔外装仕上げ構造の機能〕
上記のような外装仕上げ構造では、基本的な構造強度や荷重の負担はコンクリート構造体20が果たす。
断熱材層30は、屋内空間Iと屋外空間Oとの間を断熱遮断する。例えば、寒冷期には、屋外空間Oの寒気によって屋内空間Iが過剰に冷却されることを防ぐ。屋内空間Iの暖房熱が屋外空間Oに逃げることを防ぐ。特に、コンクリート構造体20よりも屋外側に断熱材層30が存在することで、屋内空間Iとコンクリート構造体20とを、屋外空間Oから断熱遮断できる。屋内空間Iとコンクリート構造体20との温度差が少なくなり、コンクリート構造体20の表面に結露が生じ難い。コンクリート構造体20の内外面における温度差が少なくなり、熱膨張差による強度低下や材質劣化を起こすことも少なくなる。
酷暑期には、断熱材層30が、屋外空間Oの高熱環境から屋内空間Iへの伝熱を遮断して、屋内空間Iの昇温を防ぐ。屋内空間Iを冷房しているときに、冷熱が屋外空間Oに逃げることも防ぐ。この場合も、コンクリート構造体20の内外面における温度差が小さく、例えば、コンクリート構造体20の屋外側面に結露が発生することを防ぐことができる。
さらに、保湿層40が存在すると、保湿層40における吸湿および放湿の作用が働く。すなわち、屋外空間Oが高湿状態になると、保湿層40に湿気が吸収され保持された状態になる。例えば、我が国の一般的な気象環境では、夏期の夜から朝にかけては、気温が低下するにつれて、外気の湿度が急激に上昇する。夜露あるいは朝露が発生する状態である。そのため、保湿層40における湿気の吸収が急速に進行し、大量の水分が保湿層40に吸収保持されることになる。この現象は、降雨がなくても毎日発生するので、夏期の朝方は、常に、保湿層40が大量保水状態になっている。
保湿層40に十分な量の水分が保持された状態で、朝から日中にかけて、太陽が上昇し、建築物10に日射が当たるようになる。日射熱によって保湿層40に保持された水分が蒸発する。水分が蒸発する際には大量の蒸発熱を奪うので、保湿層40が冷却される。日射が当たっても保湿層40の温度上昇が抑制される。具体的には、例えば、夏期の日中において、保湿層40すなわち外壁の表面温度を、保湿層40が存在しない場合に比べて、15〜20℃も低減させることができる。
保湿層40の温度上昇が抑制されれば、保湿層40よりも内側の断熱材層30やコンクリート構造体20さらには屋内空間Iについても、温度上昇が抑制される。特に、断熱材層30が過度に熱せられることが防止できるので、断熱材層30の劣化や変質が効果的に防止できる。なお、断熱材層30が存在するので、コンクリート構造体20よりも内側については、保湿層40による温度上昇の抑制効果は付加的である。
外壁構造が屋上に施工されている場合、保湿層40の上を歩行することもできる。屋上面の強烈な照り返しがなくなり、屋上で快適に活動できる。保湿層40の表面が過度に熱せられていないので、素足で歩くようなことも可能になる。
保湿層40からの水分蒸発が生じると、保湿層40の表面温度が低下するとともに、日射熱が保湿層40の表面で反射されて屋外空間Oに放出されることが抑制される。その結果、都会地などの建築物が密集している地域で問題となっているヒートアイランド現象が軽減される。
保湿層40に十分な量で保水されていれば、日中から夕方になって日射が弱くなるまでの時間、継続的に保湿層40からの水分蒸発による冷却あるいは昇温抑制作用が発揮される。日中の水分蒸発で保湿層40の保水量が減っても、夜から朝にかけて再び水分が補給されるので、次の日にも前記同様の保湿層40による機能は有効に発揮される。
保湿層40が吸水性をも有している場合は、降雨や散水によっても水分を吸収保持することができる。湿気の吸収だけでは不十分な場合は、保湿層40に追加的に散水することも有効である。
〔別の実施形態〕
図2に示す実施形態は、外壁の基本構造は前記実施形態と共通しているので、相違点を主に説明する。
外壁構造が、コンクリート構造体20、断熱材層30および保湿層40を備えている点は、前記実施形態と共通している。
さらに、コンクリート構造体20と断熱材層30との間に防水層54を有し、断熱材層30と保湿層40との間に絶縁層52を有する。
防水層54は、アスファルト防水層であり、絶縁層52は、透湿防水性の合成樹脂シートからなる。
この実施形態では、保湿層40に吸収保持された水分が、断熱材層30に浸入することを、絶縁層52によって防止できる。降雨などで大量の水が保湿層40に供給され、保湿層40の裏面まで浸透しても、絶縁層52でそれ以上の浸透を阻止する。酸性雨など断熱材層30に悪影響を及ぼす可能性がある成分が含まれていても、絶縁層52で通過を阻止する。さらに、もしも、絶縁層52を通過して断熱材層30からコンクリート構造体20に浸入しようとする水分が存在しても、防水層54を通過することはできない。断熱材層30の内部で結露などが発生しても、コンクリート構造体20への浸入は阻止できる。したがって、保湿層40を設けていても、断熱材層30およびコンクリート構造体20が水分による悪影響を受けることが、より有効に阻止できる。
本発明の効果を確認すべく、以下の通り、鉄筋コンクリート建築物の屋上を想定した試験体を製作し、初夏(6月)における日射照射時の温度測定を実施した。
まず、屋外の平滑な場所に、地表から空間を設けて、鉄筋コンクリート建築物の屋根を想定した厚さ100mmのコンクリート板を設置した。次に、その上側に、断熱層として、熱伝導率=0.028W/m・K、厚み50mmの押出法ポリスチレンフォーム保温板(ダウ化工(株)製、商品名:スタイロフォーム)を設置した。さらに、その上側には、本発明の構造を形成する保湿層として、稚内層硅質頁岩を30%添加した厚み30mmの土舗装を設置した。
尚、吸放湿材として添加した稚内層硅質頁岩は、相対湿度90%における吸放湿量が0.2g/g以上の性能を有しており、他の無機質多孔質材料と比べて非常に優れた吸放湿性能を有するものである。
また、上記実施例の効果を確認するため、断熱層の上側に、仕上げ層として、稚内層硅質頁岩を添加しない厚み30mmの一般の土舗装、および、厚み30mmのモルタル板を敷設した構成についても同様の測定を行なった。
上記により製作した試験体の表面温度を測定した結果を図3のグラフに示す。(1)稚内層珪質頁岩添加土舗装が、本発明の具体的実施例であり、(2)一般土舗装および(3)モルタル板は、比較例である。稚内層硅質頁岩を添加した土舗装(1)については、一般の土舗装(2)やコンクリート板(3)に比べて表面温度の上昇が抑制され、かつ、昼間の日射照射時の最高温度も一般土舗装(2)と比較して最大15℃程度低減できるという効果が確認された。
さらに、断熱層の断熱効果を確認するため、それぞれの試験体について、コンクリート板の下面温度を測定した結果を図4のグラフに示す。前記(1)〜(3)の何れの場合でも、仕上げ層の表面温度が日中に日射の影響を受けて上昇しているにもかかわらず、コンクリート板の下面温度は終日ほぼ一定の温度で推移しており、仕上げ層からの熱の流入が抑止され、火照り現象が防止されていることがわかった。
上記実験の結果により、本発明の断熱層および保湿層を有する外壁構造のヒートアイランド現象抑制効果が確認された。
本発明の外壁構造は、例えば、戸建て住宅の屋上や外側壁面に適用することができる。日射熱によって屋上面が過熱され、外壁の内部から屋内空間へと熱が伝わってしまうことが防止できる。日射が屋上面で反射されたり屋上面の熱が環境中に放出されたりし難くなり、ヒートアイランド現象を軽減することができる。
本発明の実施形態を表す建築物の外壁構造を模式的に示す断面図 別の実施形態を示す外壁構造の要部拡大断面図 仕上げ層表面温度測定結果を示すグラフ図 コンクリート板下面温度測定結果を示すグラフ図
符号の説明
10 建築物
20 コンクリート構造体
30 断熱材層
40 保湿層
52 絶縁層
54 防水層
I 屋内空間
O 屋外空間

Claims (7)

  1. 建築物のうち屋外に面する個所に施工される外装仕上げ構造であって、
    前記建築物の屋内と屋外とを仕切る壁状構造体と、前記壁状構造体の屋外側に配置される断熱材層と、前記断熱材層の屋外側に配置されて屋外の空気と接触する保湿層と、を備え、
    前記保湿層が、最大吸湿量10%以上の無機吸放湿材料を5〜100重量%含有し、JIS-A-1470-1に規定する吸放湿試験(高湿域)による吸放湿量が100g/m以上である、
    ことを特徴とする、外装仕上げ構造。
  2. 前記外装仕上げ構造が、前記建築物のうち、屋上、バルコニー、外側壁、屋根からなる群から選ばれる部分の外装仕上げ構造を含む、請求項1に記載の外装仕上げ構造。
  3. 前記壁状構造体が、コンクリート構造体であり、前記断熱材層が、熱伝導率0.05W/m・K以下のポリスチレン発泡押出成形ボードであり、前記保湿層が、最大吸湿量10%以上の無機吸放湿材料を5〜100重量%含有し、厚さ5〜100mmである、請求項1または2に記載の外装仕上げ構造。
  4. 前記保湿層が、土と珪質頁岩を主成分として、無機バインダーで固化させてなるものである、請求1〜3の何れかに記載の外装仕上げ構造。
  5. 前記壁状構造体と前記断熱材層との間に配置される防水層と、前記断熱材層と前記保湿層との間に配置される絶縁層とをさらに備える、請求項1〜4の何れかに記載の外装仕上げ構造。
  6. 建築物のうち屋外に面する個所に施工される外装仕上げ構造の施工方法であって、
    前記建築物の屋内と屋外とを仕切る壁状構造体を施工する工程(a)と、前記壁状構造体の屋外側に断熱材層を施工する工程(b)と、前記断熱材層の屋外側で、屋外の空気と接触するように、保湿層を施工する工程(c)と、を含み、
    前記保湿層が、最大吸湿量10%以上の無機吸放湿材料を5〜100重量%含有し、JIS-A-1470-1に規定する吸放湿試験(高湿域)による吸放湿量が100g/m以上である、ことを特徴とする、外装仕上げ構造の施工方法。
  7. 前記工程(c)において、土と珪質頁岩を主成分として、無機バインダーを含む塗工材料を塗工し乾燥硬化させて前記保湿層を施工する、請求項6に記載の外装仕上げ構造の施工方法。
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