JP3196923B2 - 半導体式力学量センサの製造方法 - Google Patents

半導体式力学量センサの製造方法

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JP3196923B2 JP01081896A JP1081896A JP3196923B2 JP 3196923 B2 JP3196923 B2 JP 3196923B2 JP 01081896 A JP01081896 A JP 01081896A JP 1081896 A JP1081896 A JP 1081896A JP 3196923 B2 JP3196923 B2 JP 3196923B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の半導体式力学量セン
サの製造方法は、圧力センサや加速度センサなど半導体
受感部を有する力学量センサを製造する製造技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−3380号公報には、シリコ
ン製のセンサ台座の一面にスパッタ法によりホウ硅酸ガ
ラスの薄膜を形成し、この薄膜を介してセンサ台座と感
圧部をもつシリコン基板とを陽極接合する製造技術が開
示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術では、
形成される薄膜の厚さが極めて薄いので絶縁破壊耐圧が
低く、陽極接合時に十分な電圧を印加できなかった。そ
れゆえ、陽極接合に長い時間を要するうえ、良好な接合
強度や気密性はおぼつかなかった。そこで発明者らは、
十分に高い電圧を印加して陽極接合することが可能な製
造方法を発明し、特願平7−239946号(先行技
術)として出願した。同先行技術は、半導体製センサ台
座にガラス薄板を陽極接合する第1陽極接合工程と、ガ
ラス薄板を研磨して厚さを減じる薄肉化工程と、その研
磨面に半導体センサ基板を陽極接合する第2陽極接合工
程とからなる製造方法である。同先行技術により、シリ
コン製台座とガラス薄板との陽極接合(第1陽極接合工
程)でも、ガラス薄板とシリコン基板との陽極接合(第
2陽極接合工程)でも、十分高い電圧を印加することが
できるようになっている。
【0004】ところが、製造条件いかんでは上記先行技
術においても、新たに不都合が生じることがあることが
判ってきた。これらの不都合を大別すると、次の2種類
である。第1の不都合は、第2陽極接合工程において生
じる。すなわち、第2陽極接合工程を終えると、第1陽
極接合工程で接合されたシリコン製台座とガラス薄板と
の接合界面に変化が起きており、良好な接合状態が保存
されていない。その結果、第1陽極接合工程で接合され
た接合界面(第1接合界面)が破壊される場合もあり、
製品の歩留り率が低下している。
【0005】第2の不都合は、製品として完成したのち
に発現する。すなわち、湿度が高い使用環境のおいて
は、半導体式力学量センサのどこかが吸湿しており、セ
ンサ特性が変動してしまうという不都合が生じている。
センサ出力の変動量(狂い)は数〜十数%にも及ぶ場合
があり、見過ごしにすることはできない。そこで、本発
明の半導体式力学量センサの製造方法は、第1接合界面
での破壊を防止し製品の歩留り率を向上させることと、
使用環境の湿度によるセンサ出力の変動を低減しセンサ
特性を安定化することとを、解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
(不都合原因の究明)前述の先行技術の不都合につい
て、発明者らは、不都合のあった製品の斜め断面をと
り、研磨した上でX線マイクロアナリシスによる組織分
析により原因を追求した。その結果、第1接合界面付近
のガラス薄板内にナトリウムが多数偏析していることが
判明した。
【0007】また、不具合のあった製品の第1接合界面
付近のガラス薄板部の断面SEM観察を行った結果、第
1接合界面付近のガラス薄板内にナトリウムが存在した
ことを示す細かい空洞が多数観測されている。これは、
第1接合界面付近でナトリウムの偏析が起きていること
を示唆しているので、発明者らは上記不都合の起きる原
因を次のように推測した。
【0008】先ず、第1陽極接合工程では、ナトリウム
は陰極の電極へ引きつけられ、ガラス内の飽和濃度を越
えたものはガラスの外部へ放出される。次に、第2陽極
接合工程では、第1陽極接合工程とは異なり、引きつけ
られたナトリウムが半導体製センサ台座に阻まれて行く
先を失ってしまうので、ナトリウムの偏析が起こる。す
なわち、第2陽極接合工程でガラス中のナトリウムイオ
ンNa+ は、陰極側にあたる半導体製センサ台座に電気
的に引きつけられて第1接合界面に接するガラス中の欠
陥に偏析し、結晶粒を形成してしまう。
【0009】ここで、第2陽極接合工程での偏析による
ナトリウム結晶粒が大きい場合には、同結晶粒の成長に
伴って生じる内部応力によって第1接合界面の各所に剥
離を生じ、センサ機能は概ね損なわれてしまう。一方、
第2陽極接合工程での偏析によるナトリウム結晶粒が比
較的小さい場合にも、半導体式力学量センサを高湿環境
で使用した際には、結晶粒が吸湿して膨潤し、第1接合
界面に大きな歪みを生じてセンサ出力が変動してしま
う。
【0010】したがって、第2陽極接合工程で第1接合
界面にナトリウムの偏析を生じないようにすることが上
記課題を解決するための要諦と考え、発明者らは以下の
手段を発明した。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載の半導
体式力学量センサの製造方法である。
【0011】本手段では、第1陽極接合工程と第2陽極
接合工程との間に、中間接合品を昇温する熱処理工程が
施される。この熱処理工程は、次のように作用するもの
と、発明者らは推測している。まず、第1陽極接合工程
を終了すると、互いに陽極接合された半導体(センサ基
板またはセンサ台座)とガラス薄板との間には、第1接
合界面が形成されている。第1接合界面付近には、ナト
リウムがガラス材料内から陰極に引きつけられて移動し
た結果、ガラス材料内でのナトリウムの欠乏層を生じ
る。この欠乏層には欠陥が多数存在する。
【0012】次に、熱処理工程では、この状態の第1接
合界面をもつ中間接合品を昇温し、所定温度に所定時間
保って熱処理を施す。すると、第1接合界面付近のガラ
ス組織に多数存在していた欠陥がアニーリングにより減
少する。接合しているガラス組織に欠陥が少ない状態の
第1接合界面では、第2陽極接合工程で第1陽極接合工
程とは逆に電圧を印加されても、ナトリウムの偏析は進
まず、ナトリウム結晶粒はたとえ生じてもほとんど成長
しない。(逆に、本手段とは異なり熱処理を行わない場
合には、第1陽極接合工程で生じた第1接合界面のナト
リウム欠乏層の欠陥に、第2陽極接合工程で引き寄せら
れたナトリウムが偏析する。) したがって、本手段によれば、第1接合界面でナトリウ
ム偏析が進むことがないので、ナトリウム結晶粒がほと
んど成長しない。その結果、次のような効果が生じる。
【0013】第1に、第1接合界面に生じたナトリウム
結晶粒がほとんど成長しないので、第2陽極接合工程で
第1接合界面が破壊されることがなくなり、製品の歩留
り率を向上させることができる。第2に、吸湿して膨潤
するナトリウム結晶粒がほとんど成長しないので、湿度
の高い使用環境においても、湿度によるセンサ出力の変
動がほとんどなくなり、センサ特性を安定化することが
できる。
【0014】(第2手段)本発明の第2手段は、請求項
2記載の半導体式力学量センサの製造方法である。穿孔
工程と熱処理工程とを実施する順は、いずれが先であっ
てもよい。本手段では、貫通孔を形成すべきセンサ台座
およびガラス薄板が、第1陽極接合工程で互いに接合さ
れて中間接合品として一体化している。それゆえ、穿孔
工程が一工程で済むうえ、センサ台座とガラス薄板との
接合時の位置合わせが容易であるから、合理的である。
【0015】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、半導体式力学量センサの貫通孔を容
易かつ安価に形成することができるという効果がある。
(第3手段)本発明の第3手段は、請求項3記載の半導
体式力学量センサの製造方法である。
【0016】本手段では、熱処理工程での所定温度が4
00°C以上に限定されているので、第1接合界面での
欠陥の除去が速やかに行われる。それゆえ、例えば所定
温度が400°Cであれば、熱処理工程において中間接
合品が所定温度に保たれる所定時間が60分間であって
も、第2陽極接合工程において発生する不具合(第1接
合界面の破壊や剥離)は、ほとんど皆無になる。また、
多湿な使用環境において生じるセンサ出力の変動も、熱
処理工程を経ずに製造された製品に比べて半減する。
【0017】したがって本手段によれば、少なくとも前
述の第1手段の効果に加えて、熱処理工程での所定時間
が60分であっても、第2陽極接合工程での破壊不具合
がなくなり、多湿な使用環境での出力変動も半減すると
いう効果がある。その結果、製品の歩留り率が向上して
コストが低減するとともに、多湿な使用環境でもセンサ
出力の変動が少ない半導体式力学量センサを製造方法す
ることができるようになるという効果がある。
【0018】(第4手段)本発明の第4手段は、請求項
4記載の半導体式力学量センサの製造方法である。本手
段では、熱処理工程での所定温度が450°C以上に限
定されているので、第1接合界面での欠陥の除去がいっ
そう速やかに行われる。
【0019】それゆえ、例えば所定温度が450°Cで
あれば、熱処理工程において中間接合品が所定温度に保
たれる所定時間が30分間であっても、第2陽極接合工
程において発生する不具合が皆無になるばかりでなく、
多湿な使用環境で生じるセンサ出力の変動も僅少とな
り、実用上全く問題を生じない。したがって本手段によ
れば、少なくとも前述の第3手段の効果に加えて、熱処
理工程での所定時間が30分であっても、第2陽極接合
工程での破壊不具合が皆無になり、多湿な使用環境での
出力変動も極めて小さくなるという効果がある。その結
果、製品の歩留り率がさらに向上するうえ、多湿な使用
環境でもセンサ出力の変動が極めて小さく計測精度が高
い半導体式力学量センサを製造することができるように
なる。
【0020】(所定温度の上限)なお、熱処理工程での
所定温度の上限は、中間接合品を構成する各材料のそれ
ぞれの融点および歪点温度のうち最低の温度未満に制限
されるべきものと、発明者らは考えている。すなわち、
半導体材料とガラス材料とでは、通常、ガラス材料の歪
点温度が低いので、ガラス薄板を形成している材料の歪
点温度未満に上記所定温度は限定される。例えば、ガラ
ス薄板の材料が商品名パイレックスのホウ硅酸ガラスで
あれば、その歪点温度(約510°C)未満に所定温度
は限定される。この場合、さらに歪点温度のばらつきや
熱処理炉の温度誤差を考慮して、所定温度の上限を50
0°C程度に置くことが適当である。
【0021】ここで、ガラスの歪点温度とは、ガラスの
粘度(粘性率)が1014.5ポアズである温度であり、A
STM(米国材料試験協会)により定義されている。ま
た、ガラス薄板と陽極接合されている半導体(ウエハま
たは台座)に回路がすでに形成されている場合などに
は、その回路の耐熱限界温度(例えば400°C)等で
上記所定温度の上限は制限される。
【0022】(第5手段)本発明の第5手段は、請求項
5記載の半導体式力学量センサの製造方法である。本手
段では、熱処理工程での所定時間が30分以上に限定さ
れているので、所定温度が400°C未満で第1接合界
面での欠陥の除去が緩やかに進む場合にも、欠陥の除去
が進行するのに必要な時間をとることができる。
【0023】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、比較的低い所定温度で熱処理工程を
行っても、第1接合界面の欠陥を除去して第1接合界面
でのナトリウムの偏析を防止し、これに起因する不都合
を逓減することができる。 (第6手段)本発明の第6手段は、請求項6記載の半導
体式力学量センサの製造方法である。
【0024】本手段では、熱処理工程での雰囲気が酸化
性ではないので、中間接合品の材料が酸化する心配がな
い。したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果
に加えて、熱処理工程において酸化反応が起きないの
で、酸化に起因する不具合を未然に防止することができ
るという効果がある。
【0025】
〔実施例〕
(本実施例の製造方法で製造される半導体式力学量セン
サ)本発明の実施例としての製造方法で製造される半導
体式力学量センサは、ダイシング(切り離し)前の状態
で図1に示すように、センサ台座1、ガラス層2および
半導体センサウエハ(基板)3が順に層状に接合されて
構成されている。
【0026】センサ台座1は、厚さ2mmのシリコン単
結晶の平板からなり、所定の間隔を空けて内周面が円筒
状の貫通孔10が開けられている。センサ台座1の一方
の平面(図中上面)には、厚さ150μmのホウ硅酸ガ
ラス(商品名パイレックス)の薄板からなるガラス層2
が、気密かつ強固に陽極接合されている。ガラス層2に
は、台座1の貫通孔10に連続する貫通孔が形成されて
いる。
【0027】半導体センサウエハ3は、台座1と同一材
質(熱膨張率も同一)のシリコン単結晶の平板からな
り、貫通孔10と同軸に受感部31が形成されている。
受感部31は、圧力センサとしてのダイヤフラムであ
り、図示しない歪み計等が取り付けられてセンサとして
機能する。センサウエハ3の厚さ(肉厚部32の厚さ)
は300μmであり、受感部(薄肉部)31の厚さは1
2μmである。受感部31は、センサウエハ3の一方の
面(図中下面)から材料が除去されて形成されている。
【0028】センサウエハ3は、厚肉部32の一面(図
中下面)で、前述のガラス層2の一面(図中上面)に気
密かつ強固に陽極接合されている。つまり、ガラス薄板
2は、両面でウエハ3および台座1の双方に陽極接合さ
れており、ここでは、台座1とガラス薄板2との接合面
を第1接合界面C1、ガラス薄板2とウエハ3との接合
面を第2接合界面C2と呼ぶことにする。したがって、
センサウエハ3とセンサ台座1とは、ガラス薄板からな
るガラス層2を介して間接的に互いに接合されており、
ウエハ3の受感部32の凹部は、貫通孔10に連通して
いる。
【0029】上記構成のセンサでは、ガラス層2は、当
初は厚さ500μmのガラス薄板が台座1に陽極接合さ
れて形成されている。その後、同ガラス薄板は研摩され
て厚さを150μmにまで減じ、しかるのちウエハ3に
陽極接合されている。なお、ガラス薄板2の熱膨張係数
は、ウエハ3および台座1を形成しているシリコン単結
晶の熱膨張係数とほぼ同程度であって、両者の熱膨張係
数の差は、±10%以内におさまっている。
【0030】(一実施例としての製造方法)本発明の一
実施例としての半導体式力学量センサの製造方法は、前
述の半導体式力学量センサを製造する方法であって、図
2(a)〜(f)に示すように、二回の陽極接合工程と
両工程の間に施される熱処理工程とを含む製造工程から
構成されている。
【0031】すなわち、先ず図2(a)に示すように、
直径100mm、厚さ2mmのシリコン単結晶からなる
円盤状の半導体センサ基台1’の一方の面11に、同一
直径で厚さ0.5mmの円盤状のガラス薄板2’の一方
の面21を接合する。この第1陽極接合工程では、図2
(b)に示すように、基台1’およびガラス薄板1’が
カーボン治具5,6に挟持され、所定の押圧力で互いに
接合面11,21が圧着された。この状態で、350〜
400°Cに昇温され、直流電源9から400〜100
0V程度の電圧が所定時間印加されて、基台1’および
ガラス薄板1’は互いに強固に陽極接合され、第1接合
界面C1が形成された。その際、図2(b)に示すよう
に、基台1’には相対的に正、ガラス薄板1’には負の
電圧が印加された。
【0032】第1陽極接合工程が完了すると、基台1’
とガラス薄板2’とは、図2(c)に示すように、第1
接合界面C1で一体に接合されて合わせ板12を構成し
ている。次に、合わせ板12には、貫通孔10の穿孔工
程とガラス薄板2’の薄肉化加工工程とが順に施され
る。穿孔工程では、超音波ホーニングにより所定の間隔
を空けて複数の貫通孔10が碁盤目状に開けられる。貫
通孔10は、ウエハ3の受感部32の数に合わせて64
6個穿孔される。
【0033】薄肉化工程では、ガラス薄板2’が二段階
に分けて研削され、その厚さを500μmから150μ
mに減じる。すなわち、ガラス板2’は、ラッピング加
工で一端180μmの厚さに削られ、さらに研摩加工に
より150μmにまで薄肉化される。薄肉化工程後のガ
ラス薄板2の厚さとその精度は、150μm±20μm
である。ガラス薄板2を薄肉化することにより、徒に高
い印加電圧(後述の第2陽極接合工程で真空放電等の危
険を伴う)をかける必要がなくなると同時に、熱応力の
発生を抑制することができる。
【0034】以上の工程で、図2(d)に示すように、
薄肉化されたガラス薄板2と貫通孔10とを有する合わ
せ板12が中間接合品として形成される。この状態で
は、第1接合界面C1付近のガラス組織にはナトリウム
に析出する場を提供する欠陥が多数存在している。後段
の第2陽極接合工程でナトリウムの偏析が起こらないよ
うにするためには、第1接合界面C1に接するガラス組
織の欠陥を減らして析出の場を奪う必要がある。そこで
本実施例では、図2(e)に示すように、アニーリング
により第1接合界面C1付近のガラス組織の欠陥を減ら
す熱処理工程を導入している。
【0035】熱処理工程では、横型拡散炉を使用して中
間接合品としての合わせ板12を昇温し、還元性雰囲気
内(10%H2 /N2 )で所定温度Tpに所定時間Dだ
け保つことにより、アニーリング熱処理を合わせ板12
に施した。この熱処理工程での所定温度Tpおよび所定
時間Dについては、幾通りかの組合わせを実施して比較
検討に備えた。すなわち、所定温度Tpについては実施
例1が350°C、実施例2が400°C、実施例3が
450°C、実施例4が500°Cである。実施例1〜
4と効果を比較する目的で、熱処理工程のみを省略して
製造された同型の半導体式力学量センサも用意した。ま
た、熱処理工程での所定時間Dは60分を標準としてお
り、熱処理時間Dが60分のサンプルを全ての実施例で
製造したが、実施例3(450°C)では、60分の他
に30分の変形態様および120分の変形態様を用意し
た。なお、実施例1(350°C)および実施例3(4
50°C)では、工程の順を変えて前述の穿孔工程以前
に熱処理工程を施す製造方法(変形態様)で製造された
サンプルも用意した。
【0036】なお、本実施例の熱処理工程では、再び図
2(e)に示すように、室温Trから処理が始まり、昇
温して所定温度Tpに達したのち、同温度を所定時間保
ったのち徐冷して室温Trに戻している。以上のように
熱処理工程が完了すると、アニーリングされた合わせ板
12のガラス層2が形成されているほうの面22に、セ
ンサウエハ3が位置を合わせて乗せられて陽極接合され
る。
【0037】すなわち、第2陽極接合工程では、図2
(f)に示すように、センサウエハ3の一面が合わせ板
12のガラス層2の接合面22に圧着されて、陽極接合
される。ここで、合わせ板12およびウエハ3を挟持す
るカーボン治具7およびステンレス治具8により押圧力
と印加電圧とがかけられる。この際の温度は350〜4
00°Cに昇温されており、直流電源9による印加電圧
は400〜1000Vである。
【0038】その際、相対的にウエハ3には正の、台座
1およびガラス薄板2からなる合わせ板12には負の電
圧が印加された。なお、ステンレス治具8には、ウエハ
3の受感部である薄肉部31には押圧力と印加電圧とが
かからないように、厚肉部32のみに当接する形状に形
成されている。この第2陽極接合工程では、高電圧が印
加された場合に貫通孔10内に放電が生じ、受感部31
が破損する不具合が出ることがあるが、発明者らはすで
にこの不都合を回避する技術を開発済である(特願平7
−164169号)。
【0039】以上の製造方法により、前述の半導体式力
学量センサ(図1参照)が製造され、必要に応じて、歪
み計などが付加された上で各センサユニット毎に切り出
されたりして完成する。場合によっては、一つ一つのセ
ンサユニットに切り離されず、複数の貫通孔10および
受感部31をもつ一次元センサアレイや二次元センサア
レイとして使用されることもある。
【0040】(本実施例の効果)以上詳述した本実施例
の半導体式力学量センサの製造方法においては、第2陽
極接合工程以前に熱処理工程が実施され、第1陽極接合
工程で生じた第1接合界面C1の欠陥が緩和除去されて
いる。それゆえ、第2陽極接合工程が施されるときに
は、第1接合界面C1に欠陥がほとんどないので、第1
接合界面C1にナトリウムの偏析が生じないか、若干生
じてもあまり成長しない。その結果、本実施例では以下
の二つの主要な効果を生じていることが判明した。
【0041】第1に、第1接合界面に生じたナトリウム
結晶粒がほとんど成長しないので、第2陽極接合工程で
第1接合界面が破壊されることがなくなり、製品の歩留
り率を向上させることができる。すなわち、図3に示す
ように、第2陽極接合工程で第1接合界面C1が破壊す
る破壊チップ数が、熱処理工程がない比較例ではウエハ
の有効チップ数646個中に25〜52個もあったの
に、本実施例で製造されたサンプルでは激減している。
具体的には、実施例1(熱処理工程での所定温度350
°C)では破壊チップ数は1〜10個に激減し、実施例
2(同400°C)〜実施例4(同500°C)では皆
無になっている。それゆえ、熱処理工程の所定温度をお
およそ400°C以上に設定すれば60分の熱処理で、
第2陽極接合工程での破壊チップの発生を皆無にするこ
とができる。さらに、実施例3(同450°C)の変形
態様では、熱処理時間(所定時間)が30分であっても
破壊チップ数はゼロという好成績であり、このように高
い熱処理温度であれば、恐らくもっと短時間で熱処理工
程を完了することが可能である。逆に、実施例1のよう
に所定温度が350°Cであっても、長時間を熱処理工
程にかければ、破壊チップの発生を極めて低い率に抑制
できることも、他の実験で確認してある。
【0042】また、実施例1および実施例3において穿
孔工程と熱処理工程との順を逆にした変形態様でも、も
との各実施例と遜色のない成績が得られており、穿孔工
程と熱処理工程との順を逆にしても差し支えないことが
確認された。なお、前述の図3の破壊チップ数は、製造
された各サンプルについて、拡大率100倍程度の顕微
鏡観察により、第1接合界面C1での破壊の有無を目視
確認して数えた。
【0043】第2に、吸湿して膨潤するナトリウム結晶
粒がほとんど成長しないので、湿度の高い使用環境にお
いても、湿度によるセンサ出力の変動がほとんどなくな
り、センサ特性を安定化することができる。すなわち、
図4に示すように、熱処理温度(所定温度)を上げるに
つれて、高湿環境下でのセンサ出力の変動量(狂い)が
減少した。熱処理温度が450°C(実施例3)以上で
は、同変動量はほとんどゼロに収束しており、高湿環境
下においても極めて精度の高い半導体力学量センサを製
造することが可能になる。ただし、熱処理温度が350
°C(実施例1)であっても、熱処理時間(所定時間)
に6時間をかければ同様の効果が得られることは、同様
の実験により確認済である。
【0044】また、実施例3とその変形態様(450°
C)においては、熱処理工程の所定時間が30分・60
分・120分のいずれにおいても、互いに有意な差が認
められない。それゆえ、熱処理温度が450°C以上の
領域では、もっと短時間で熱処理工程を完了することが
できるものと考えられる。さらに、実施例3の他の変形
態様では、実施例3と穿孔工程およびと熱処理工程の順
を逆にしているが、両者のサンプルを比較しても高湿環
境下での出力変動に違いは見られなかった。それゆえ、
高湿環境下での出力変動に関しても、前述の歩留りと同
様に、穿孔工程と熱処理工程との順を逆にしても差し支
えないことが確認された。
【0045】なお、図4に示す試験結果は、ダイシング
カットされたチップを圧力センサパッケージに組み込ん
で、温度85°C・湿度85%の高温高湿下に1000
時間放置してセンサ出力の変動量を測定したものであ
る。 (本実施例の他の変形態様)本実施例ではガラス薄板の
材料に、ホウ硅酸ガラス(商品名パイレックス)を使用
しているが、他のガラス材料を使用する変形態様も可能
である。発明者らは、ガラス材料をアルミノ珪酸ガラス
(特開平4−83733号公報にも開示)に変更した製
造方法もすでに実施しており、前述の本実施例と同様の
試験結果を得ている。
【0046】また、貫通孔10を穿孔する必要がない場
合などには、第1陽極接合工程でセンサウエハ3とガラ
ス薄板2とを接合して両者からなる中間接合品を作り、
熱処理工程を施して第2陽極接合工程で中間接合品と台
座1とを接合してもよい。あるいは、熱処理工程での処
理後の冷却を室温Trまでせず、例えば350°C程度
のまま第2陽極接合工程に進む連続工程をとってもよ
い。同様に、第1陽極接合工程以後に穿孔工程および薄
肉化工程がなければ、第1陽極接合工程での中間接合品
の温度(例えば350°C)を下げることなく(または
室温Trまで下げずに)、熱処理工程に進む連続工程を
とってもよい。これらの連続工程を採れば、熱エネルギ
ーの節約だけでなく、短時間に能率良く生産が進むの
で、コスト節減にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の半導体式力学量センサ(半製品状
態)の側断面図
【図2】 本実施例の半導体式力学量センサの製造方法
を示す組図 (a)接合前のガラス薄板およびセンサ台座を示す側断
面図 (b)第1陽極接合工程を模式的に示す側断面図 (c)陽極接合後のガラス薄板および台座を示す側断面
図 (d)薄肉化工程後のガラス薄板および台座を示す側断
面図 (e)熱処理工程を概念的に示す温度時間線図 (f)第2陽極接合工程を模式的に示す側断面図
【図3】 熱処理温度と第2陽極接合工程での破壊率と
の関係を示す線図
【図4】 熱処理温度と高湿環境下での出力変動量との
関係を示す線図
【符号の説明】
1,1’:センサ台座(貫通孔の形成後/形成前の状
態) 2,2’:ガラス薄板、ガラス層(薄肉化工程以後/薄
肉化工程以前の状態) 21,22:陽極接合面 3:半導体センサウエハ(基板) 31:受感部(薄
肉部) 32:肉厚部 5,6,7:カーボン治具 8:ステンレス治具
9:直流電源 C1:第1接合界面 C2:第2接合界面 Tp:所定温度 Tr:室温等 D:所定時間
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−294354(JP,A) 特開 平4−79272(JP,A) 特開 昭63−298021(JP,A) 特開 平6−163943(JP,A) 実開 昭61−149851(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01L 9/04 H01L 29/84

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一つの受感部が形成されている
    半導体センサ基板と該基板を固定している半導体製のセ
    ンサ台座とが、該基板と該台座との間に介設されている
    ガラス層との陽極接合により、互いに接合されている半
    導体式力学量センサを製造する方法であって、 前記基板および前記台座のうちいずれか一方と、前記ガ
    ラス層を形成するガラス薄板とを陽極接合して中間接合
    品を製造する第1陽極接合工程と、 該中間接合品を昇温し、所定温度に所定時間保つ熱処理
    工程と、 該熱処理工程を終了した該中間接合品の該ガラス薄板
    と、該基板および該台座のうち他方とを陽極接合する第
    2陽極接合工程と、を有することを特徴とする半導体式
    力学量センサの製造方法。
  2. 【請求項2】前記第1陽極接合工程は、前記台座と前記
    ガラス薄板とを陽極接合して前記中間接合品を製造する
    工程であり、 該第1陽極接合工程と前記第2陽極接合工程との間に、
    圧力連通孔としての貫通孔を該中間接合品に形成する穿
    孔工程を有する請求項1記載の半導体式力学量センサの
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記熱処理工程において、前記所定温度は
    400°C以上である請求項1記載の半導体式力学量セ
    ンサの製造方法。
  4. 【請求項4】前記熱処理工程において、前記所定温度は
    450°C以上である請求項3記載の半導体式力学量セ
    ンサの製造方法。
  5. 【請求項5】前記熱処理工程において、前記所定時間は
    30分以上である請求項1記載の半導体式力学量センサ
    の製造方法。
  6. 【請求項6】前記熱処理工程は、還元性雰囲気、不活性
    雰囲気および真空雰囲気のうちいずれかの中で行われる
    請求項1記載の半導体式力学量センサの製造方法。
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